第十六話・アンチウィルスの脅威！後編　作：鈴木颯手

【俺のターン、ドロー！】

白衣の男
手札４枚→５枚

【俺はアンチウイルス・切り込み隊長を召喚。その効果により手札からアンチウイルス・カードガンナーを特殊召喚する！】

アンチウイルス・切り込み隊長
ATK１８００　DEF６００

アンチウイルス・カードガンナー
ATK６００　DEF６００

【カードガンナーの効果によりデッキの上からカードを３枚除外する！そしてこのカードの攻撃力はエンドフェイズまで１５００アップする！更に生物兵器・パンデミックウイルスの効果発動！今ゲームから除外したアンチウイルス・ペンギンソルジャーの効果発動！貴様の場のモンスター二体をゲームから除外する！対象はダーク・パワー・ドラゴンとエンシェント・パワー・ドラゴン！】

「リバースカードオープン！瞬間装着！これによりゲームから除外されている装備カードをエンシェント・パワー・ドラゴンに装備！そしてエンシェント・パワー・ドラゴンの効果により装備カードで効果を代用する！」

【これでそちらは躱されたか…。だが！ダーク・パワー・ドラゴンは除外してもらう！そして１０００のダメージを受けてもらう！】

「くっ！」

黒崎龍吾LP２２００→１２００

【そして俺はアンチウイルス・切り込み隊長でエンシェント・パワー・ドラゴンに攻撃！】

「何！？」

白衣の男の行動に龍吾は驚く。アンチウイルス・切り込み隊長の攻撃力は１８００．対するエンシェント・パワー・ドラゴンの攻撃力は２５００。勝てるはずがなかった。結果アンチウイルス・切り込み隊長は返り討ちにあい破壊される。

白衣の男LP３０００→２３００

「…モンスターの無駄死にか…」

【フハハハハハ！そんなわけないだろう！俺はさらにアンチウイルス・カードガンナーで攻撃！】

「…何がしたいのだ？」

いくら攻撃力が上がっているとはいえエンシェント・パワー・ドラゴンに勝てずアンチウイルス・カードガンナーは破壊される。

白衣の男LP２３００→１９００

【俺はカードを２枚伏せてターンエンド。この瞬間！生物兵器・アンチウイルスの効果により戦闘では破壊されたモンスターを全て攻撃力を５００上げて復活させる！】

「何だと！？」

予想を超える能力に龍吾が驚いている間に破壊された二体のモンスターが蘇った。

アンチウイルス・切り込み隊長
ATK１８００→２３００
DEF６００

アンチウイルス・カードガンナー
ATK６００→１１００
DEF６００

【フハハハハハ！戦闘をするたびに俺のモンスターは蘇っていく！さあ、龍吾よ！どうする！？】

「…俺のターン、ドロー！」

黒崎龍吾
手札１枚→２枚

「…俺はエンシェント・パワー・ドラゴン、暗黒騎兵・ジコグ、そしてお前の場の場の生物兵器・アンチウイルス、生物兵器・パンデミックウイルスを生贄に邪悪龍ダークドラグーンを特殊召喚する！」

【…無駄だ。俺は前回そのカードを召喚させてしまったが故に負けた。だが！今回は違う！リバースカードオープン！パンデミックの脅威！お前は場に存在するアンチウイルス、生物兵器と名の付くモンスターを生贄にする事は出来ない！更にもう一枚リバースカードオープン！ウイルス拡散！このターン場のモンスターは全て生物兵器、アンチウイルスとして扱う！よって貴様はこのターン邪悪龍ダークドラグーンを召喚する事は出来ない！】

「…あくまで引き伸ばしにされただけだ。俺はエンシェント・パワー・ドラゴンの効果によりダーク・ドラグニティ・ジャベリンを装備！ダーク・ドラグニティ・ジャベリンの効果により攻守を３００アップする」

エンシェント・パワー・ドラゴン
ATK２５００→２８００
DEF３５００→２８００

「エンシェント・パワー・ドラゴンで生物兵器・アンチウイルスを攻撃！」

【リバースカードオープン！スピリットバリア！俺の場にモンスターが存在する限り俺の戦闘ダメージは０になる】

「だが！アンチウイルスは破壊してもらう！」

エンシェント・パワー・ドラゴンによって破壊される生物兵器・アンチウイルス。これにより厄介な蘇生能力は消え龍吾は小さく息を吐く。

「俺はターンエンドだ」

白衣の男LP１９００　手札１枚
モンスター
生物兵器・パンデミックウイルス
アンチウイルス・カードガンナー
アンチウイルス・切り込み隊長
セット
魔法、罠
スピリットバリア
パンデミックの脅威

黒崎龍吾LP１２００　手札１枚
モンスター
エンシェント・パワー・ドラゴン
暗黒騎兵・ジコグ
魔法、罠
セット
セット
セット

【俺のターン、ドロー！この瞬間、パンデミックの脅威の維持コストとしてライフを５００払う！】

白衣の男LP１９００→１４００
手札１枚→２枚

【俺は手札から死者蘇生を発動！甦れ生物兵器・アンチウイルス！】

白衣の男が今引いたカード死者蘇生を発動させると地面から生物兵器・アンチウイルスが復活した。

生物兵器・アンチウイルス
ATK０　DEF０

【さらに俺は生物兵器・アンチウイルスゾンビを召喚する！】

生物兵器・アンチウイルスゾンビ
ATK５００　DEF５００

【俺は生物兵器・パンデミックウイルスの効果発動！対象はアンチウイルス・メタモルポッド！貴様の手札を除外し３００のダメージを受けてもらう！残念だったな！これで貴様は邪悪龍ダークドラグーンを召喚する事は出来ない！】

「…く！」

黒崎龍吾LP１２００→９００

少しずつ削られていたライフが遂に三桁になってしまう。

【そしてお互いのプレイヤーはカードを５枚引く】

白衣の男
手札０枚→５枚

黒崎龍吾
手札１枚→０枚→５枚

既にお互いのデッキは半分以上にまで減っておりこのまま行けばデッキが０になる可能性があった。

【ひっひっひ！安心しろ。デッキ破壊なんて言う事はしない。第一このままでは俺のデッキが先に亡くなってしまうからな】

龍吾の思考を読んだのか白衣の男は表情を歪めて言う。実際白衣の男の言う通りで龍吾がデッキから引いた枚数は２０枚。対する白衣の男は２９枚まで使っておりこのまま行けばどうなるかは目に見えていた。

【バトル！生物兵器・パンデミックウイルスでエンシェント・パワー・ドラゴンを攻撃！】

「…そう来ると思っていた！手札のクリラグーンを墓地に送り生物兵器・パンデミックウイルスをデッキの上に戻す！」

【何！？】

『クリクリ～！』

生物兵器・パンデミックウイルスの前にドラゴンもどきのクリボーが現れると大きく鳴き生物兵器・パンデミックウイルスをデッキの上に戻した。儀式モンスターのパンデミックウイルスは儀式カードがないと召喚出来ない。更にデッキの上に戻すので生物兵器・アンチウイルスの効果も使えない。しかも次のターンは単体で来ても役に立たないパンデミックウイルスが来る。

【おのれぇ！…だが、それだけだ！生物兵器・アンチウイルスゾンビでエンシェント・パワー・ドラゴンに攻撃！このカードの戦闘で発生するダメージは０になる。まあ、スピリットバリアがあるのだがな】

白衣の男の解説の間にエンシェント・パワー・ドラゴンに潰されて破壊されるアンチウイルスゾンビ。それを見た白衣の男はさらに攻撃を行う。

【アンチウイルス・切り込み隊長、アンチウイルス・カードガンナーで攻撃！スピリットバリアが存在する事でダメージは０だ！】

「…厄介だな」

エンシェント・パワー・ドラゴンが返り討ちにしていく姿を見て龍吾はそう呟く。実際このターンが終われば生物兵器・アンチウイルスの効果により攻撃力を上げて復活する。アンチウィルスを何とかしない限り永遠に復活していく。まさに最悪のカードだ。

【俺はカードを１枚伏せてターンエンド！特別に教えてやろう！このカードはリビングデッドの呼び声！貴様がたとえ生物兵器・アンチウイルスを破壊しても直ぐに復活する！そして俺のモンスターたちは強くなって復活するのだ！そして我がモンスター達よ！死の淵より甦れ！】

白衣の男の言葉を聞いてモンスター達が地面から現れる。その姿はまさにゾンビであった。

アンチウイルス・切り込み隊長
ATK２３００→２８００
DEF６００

アンチウイルス・カードガンナー
ATK１１００→１６００
DEF６００

既に１０００攻撃力が上がっており切り込み隊長の攻撃力がエンシェント・パワー・ドラゴンと並んでいた。

「…俺のターン、ドロー！」

黒崎龍吾
手札４枚→５枚

「俺は強欲な壺を発動！更に２枚ドロー！…っ！」

黒崎龍吾
手札４枚→６枚

引いたカードをみた龍吾は笑みを浮かべた。引いたカードはこの場で活躍できるカードだった。

「俺はダークハリケーンを発動！お前の場のカードを二枚まで除外する！」

【くっ！厄介なカードだな。だが！生物兵器・アンチウイルスは破壊でしか場を離れる事は無い！無駄だぞ！】

「誰がそいつを選ぶと言った！？俺はスピリットバリアとセットカードを除外する！」

【何！？】

黒いハリケーンによって空中に飛ばされるスピリットバリアとセットカードリビングデッドの呼び声。吹き飛ばされたカードを白衣の男は茫然と見ていたが直ぐに我に返る。

【くっ！だがまだ負けたわけではない！】

「俺は魔法カード右手に剣を左手に盾を発動！ライフを５００払い貴様の場のモンスター全ての攻守の数値を入れ替える！」

【なっ！】

名前が右手に盾を左手に剣をの効果に似ているがこちらは相手の場にのみ効果が及びあがった数値もろとも入れ替わる。

「アンチウイルスの効果で上がったのは攻撃力のみ！貴様のモンスターの守備力は貧弱！」

アンチウイルス・切り込み隊長
ATK２８００→６００
DEF６００→２８００

アンチウイルス・カードガンナー
ATK１６００→６００
DEF６００→１６００

【こ、こんなバカな！？俺はまた負けると言うのか！？】

「バトル！エンシェント・パワー・ドラゴンでアンチウイルス・切り込み隊長を攻撃！」

白衣の男にセットカードはなく対応できるカードもなかった。結果エンシェント・パワー・ドラゴンのブレスで切り込み隊長は破壊され

白衣の男LP１４００→-１４００

ライフを０にした。

【ア“ア”ア“ア”ア“！馬鹿な！？あり得ない！？今度は万全を期したはず！？何故！？なぜだぁぁぁぁ！】

白衣の男は叫び声をあげながら体を消滅させていくのであった。

【くそがぁ！黒崎龍吾ぉ！必ず！貴様を地獄に落としてやる！覚悟するがいい！フハハハハハ！】

最終的に龍吾に恨み声をあげ狂ったように笑いながら消滅するのであった。

完全に敵が消えたと判断した龍吾はその場に膝をつく。デュエル中は我慢していたが闇のデュエルの影響でかなり身を削っていた。

「はぁ、はぁ、…ぐっ！？…はぁ」

時折襲ってくる痛みに耐えながら龍吾は息を整える。暫くして息が少し整い痛みが引いてきた龍吾は自室に戻るために海岸を後にするのであった。