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「死者蘇生」のカード評価 : C/ゾンマス蒼血重点さん
▶︎ デッキ |
《死者蘇生》
C/ゾンマス蒼血重点
2023/12/14 13:20
遊戯王を象徴するカード…というのも正しくないかもしれない。このカードは遊戯王そのものである。遊戯王という深遠複雑な総体をまとめて評価することがどれほど難しいか。何度かここの評価を執筆しようとしたが、書くべきことが溢れ、今日までまるで望む形にすることが出来なかった。ひとたびは、いくつかの側面に分割して評価したいと思う。
まず、遊戯王という物語を定義するカードである。そもそも、アテム(闇遊戯)が間接的に現代に蘇ることから遊戯王という物語は始まっており、作中最初のデュエルにおいては海馬に奪われし祖父の《青眼の白龍》を奪還するために発動され、以降も多くの場面にドラマを生み出し、最後は《封印の黄金櫃》にしまい込まれることで自らその役目を終え、王の魂は冥界に還り、物語は締めくくられる。 遊戯王とは《死者蘇生》なのだ。 続く漫画・アニメ作品でも、他のカードとは別格となる立ち位置を占めていることが多い。 次に、遊戯王OCGでも指折りの強力なカードである。その簡素かつ強力な効果文に一切の傷をつけることなく輸入された(《ラーの翼神竜》を一瞥)このカードは、長い歴史を持つこのカードゲームにおいて蘇生カードとして最強の存在であり続けた。通常魔法である故に即効性があり、発動枚数や蘇生対象の縛りやデメリットが無く、相手の墓地のモンスターも蘇生することが出来る。(執筆時点で)このサイトに投稿された6万を数えるデッキのうち半数超にはこのカードが携えられている。これは2位以下(《ハーピィの羽根帚》、《おろかな埋葬》)の倍近い採用率で圧倒的トップであり、数多のデュエルに劇的展開をもたらしてきたことは、もはや語るまでもないだろう。 更に言うなら、遊戯王というゲームの進化の方向性の確定にも大きく関与している。 通常召喚権は1つしかないが特殊召喚は何度でも行えるため特殊召喚を行えるカードの価値が高く、カードの利用枚数に(他のゲームで言うマナ・コストの概念が無いため)制限がなく墓地利用やビッグムーブ(ソリティア)が容易という遊戯王のゲーム性は《死者蘇生》に極めて有利なものだが、恐らくそれだけではなく、《死者蘇生》を活かせる方向に遊戯王は漫画・ゲームとも自らの舵を切った。リミットレギュレーションの指定にもそれが現れており、例えばMTGではほとんどのレギュレーションで「制限カード」が存在しない。これは制限カードはいわゆる「デスティニードロー」の運ゲーが加速する側面を有しているためであり、唯一ヴィンテージでのみ、パワー9などの象徴的カードを禁止にしないため&これらを思う存分使わせるための、制限カードありの独特な基準が組まれている。サーチや手札交換を連続的に使える遊戯王ではなおさらこの影響が強く、制限の影響は弱い筈だったが、しかし遊戯王はこの姿勢に追随しなかった。これは「デッキに1枚しか入れられない」という立ち位置が「人々が特別感を持ちながら使い続けることが出来る」という意味を持ったが故であり、《死者蘇生》は原作(バトルシティ編)において唯一この位置にあることが明示されている上、OCGでも長らく制限カードにあり続けている。単に強くゲーム性を破壊するカードなら、《強欲な壺》にそうしたように禁止に押し込めればよい。しかし《死者蘇生》に対してはそれをすることを躊躇い、かえってその制限を特別なものとすることで問題を解決した。リミットレギュレーションの現在の姿勢も、《死者蘇生》のために作られた側面が強いのである(なお、こうした制限カードの特別感はさらに後、MTGの末裔であるデュエル・マスターズに「殿堂入り」という形で流入・昇華されているのだが、詳細は略す)。 このように、《死者蘇生》は単なる「強いカード」の域を超えている。ある意味、《死者蘇生》こそが遊戯王を創った。物語の核となり、カードゲームの中枢となって後世を動かした。このような存在は他に類を見ない。 そう考えると、このように他のカードと点数比較するのでさえおかしな話に思えるが…もちろん、10点である。 |
報告URL | yugioh-list.com/reviews/view/183587 |
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