第１３話　戦闘少女と魔王様　作：とき

「くそ、公務執行妨害で逮捕してやりてえ。だがそんな事したらマスコミに言論弾圧だって言われるのが落ちだ。仕方がないな…　デッキとデュエルディスクを持ってきておいて良かったよ。国家権力の力、見せてやる。それで満足したら情報だけ置いてさっさと帰れ」
「言いましたね、言いましたね！？そちらこそ、ブンヤの底意地、舐めないでください！では」

「「デュエル！！」」

増井　LP8000　手札5
二木　LP8000　手札5

いい大人２人がデュエルディスクを使ってデュエルを開始した。傍から見ればこの昼間に元気にカードで遊んでる大人たちという光景は異常と言えるが、本人たちは至って真剣だ。

「先攻くらいは譲ってもらうぜ。お前が挑んできたデュエルなんだからな。俺は《トゥーンのもくじ》を発動しデッキからトゥーンカード１枚をサーチする。俺がサーチするのは《トゥーンのもくじ》だ」
「出ましたね、自分をサーチする事のできる魔法カード！そのデッキ、絶対ろくでもないデッキですね！」
「言ってろ。２枚めの《トゥーンのもくじ》を発動し《トゥーンのもくじ》をサーチ、３枚目の《トゥーンのもくじ》を発動し《トゥーン・サイバー・ドラゴン》を手札に加える」

増井　LP8000　手札5
二木　LP8000　手札5

「さあここからだ。俺は魔法カード《閃刀起動－エンゲージ》 を発動！デッキから閃刀カード１枚を手札に加え、さらに墓地に魔法カードが３枚以上あればカードを１枚ドローする！」
「げえっ！閃刀姫！？ちょっと、国家権力本気出しすぎでしょ！？そこはゴヨウとかじゃないの！？」
「ゴヨウは死んだ、新マスタールールとエラッタのせいでな…　という話はおいておいて、《閃刀起動－エンゲージ》 で俺は《閃刀姫－レイ》をサーチし１枚ドロー」

増井　LP8000　手札6
二木　LP8000　手札5

「そして俺は《閃刀姫－レイ》を召喚し、《閃刀姫－レイ》をリンク素材に《閃刀姫－カガリ》をリンク召喚！
《閃刀姫－カガリ》の効果で墓地の閃刀魔法カード１枚を手札に加える！俺が選ぶのは《閃刀起動－エンゲージ》！俺はカードを2枚セットしてターンエンドだ。また《閃刀姫－カガリ》は自分の墓地の魔法カードの数の100倍だけ攻撃力を上げる」

《閃刀姫－カガリ》　ATK1500→1800

ターン１終了
増井　LP8000　手札4　《閃刀姫－カガリ》＋伏せカード２枚
二木　LP8000　手札5

「私のターン、ドロー！」

相手は国家権力を傘に閃刀姫なんていう凶悪デッキを使ってくる畜生だ。手加減はいらない、やっちまえ歩！二木は自分にそう語りかけると、勇往邁進進撃する。

「魔法カード発動、《炎王の急襲》！このカードは自分の場にモンスターが存在せず相手の場にモンスターが存在する時使える魔法カード！デッキから炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター１体を特殊召喚する！私が特殊召喚するのは、《炎王神獣 ガルドニクス》！《炎王の急襲》で呼び出したモンスターは効果を無効化され、エンドフェイズに破壊されるけど…　ガルドニクスにはあまり関係なーし！」

《炎王神獣 ガルドニクス》は効果破壊されることで効果を発動するモンスターだ。《炎王の急襲》とは鉄板の相性を持つカードである。あまり関係ないどころかメリットと言える。

「更に手札から《炎王獣 ヤクシャ》を召喚！バトルフェイズに入リますよ！」

増井　LP8000　手札4　《閃刀姫－カガリ》＋伏せカード２枚
二木　LP8000　手札4　《炎王神獣 ガルドニクス》《炎王獣 ヤクシャ》

「カガリの攻撃力は確か1800…　ならば、ヤクシャでカガリを攻撃します！」
「相打ち狙いからの自分の手札破壊が狙いか…！だが、せめて相打ちだけは避ける！速攻魔法、《閃刀機－イーグルブースター》をカガリを対象に発動！このターン、カガリはカードの効果を受けず、さらに墓地に3枚以上の魔法カードが存在することにより戦闘でも破壊されない！そして、魔法カードが墓地に送られたことにより、カガリの攻撃力は100アップする！」

《閃刀姫－カガリ》　ATK1800→1900

《炎王獣 ヤクシャ》　ATK1800　対　ATK1900　《閃刀姫－カガリ》

「まあ、これは必要経費必要経費…　《炎王獣 ヤクシャ》の効果発動！このカードが破壊された時、自分の手札かフィールドのカード1枚を破壊できる！私が破壊するのは手札の《ネフティスの鳳凰神》！」

増井　LP8000　手札4　《閃刀姫－カガリ》＋伏せカード１枚
二木　LP7900　手札3　《炎王神獣 ガルドニクス》

「まあ破壊できないけど、ダメージだけは与えておこうか。ガルドニクスでカガリを攻撃！」

《炎王神獣 ガルドニクス》　ATK2700　対　ATK1900　《閃刀姫－カガリ》

増井　LP7200　手札4　《閃刀姫－カガリ》＋伏せカード１枚
二木　LP7900　手札3　《炎王神獣 ガルドニクス》

「これくらいは通してもいいだろう」
「ちぃ、余裕綽々な刑事様だなぁ。エンドフェイズ、《炎王の急襲》の効果で《炎王神獣 ガルドニクス》は破壊。これでターンエンド！」

ターン２終了
増井　LP7200　手札4　《閃刀姫－カガリ》＋伏せカード１枚
二木　LP7900　手札3　なし

（まあ、次のターンにガルドニクスは蘇生される、その効果でカガリを破壊できれば、私のターンにはネフティスも帰ってくるし、盤面は私有利に…！）

「俺のターン、ドロー、そしてセットしていた速攻魔法発動、《閃刀機－シャークキャノン》。相手の墓地のモンスター１体を除外する。対象は《炎王神獣 ガルドニクス》」
「はあああ！？ガルドニクスを、じょ、除外！？」
「そうだ。ガルドニクスは破壊された次のスタンバイフェイズ時に自己蘇生し、自分以外のモンスターを一掃する効果がある。それを発動される前に除外させてもらった」
「な、なんですとー！？これじゃあ、私の場がガラガラのガラガラポンに…！！」
「シャークキャノンには墓地に魔法カードが3枚以上ある時、除外したモンスターを自分の場に蘇生できる追加効果があるが今回は使わん。効果破壊されてはたまらんからな。さて…　いいカードを引いた。一気に決めるとしよう。まずは《閃刀起動－エンゲージ》を発動！デッキから《閃刀姫－レイ》をサーチし、1枚ドロー！カガリの攻撃力はシャークキャノンとエンゲージが墓地に落ちたことで2100になる。俺はこのまま《閃刀姫－レイ》を召喚しバトルフェイズに突入する」

《閃刀姫－カガリ》　ATK1900→2100

「あれ、決めに来るとか言ってた割にはカガリとレイだけ…？」
「まずはレイでダイレクトアタックだ」

増井　LP7200　手札5　《閃刀姫－カガリ》《閃刀姫－レイ》
二木　LP7900　手札3　なし

《閃刀姫－レイ》　ATK1500　ダイレクト！

「そしてこのバトルステップで、俺は手札から《ジュラゲド》を特殊召喚する。《ジュラゲド》の効果発動、1000のライフを回復する。そのまま攻撃を続けるぞ」

増井　LP8200　手札4　《閃刀姫－カガリ》《閃刀姫－レイ》《ジュラゲド》
二木　LP6400　手札3　なし

「続けて俺は《ジュラゲド》でダイレクトアタック」

《ジュラゲド》　ATK1700　ダイレクト！

増井　LP8200　手札4　《閃刀姫－カガリ》《閃刀姫－レイ》《ジュラゲド》
二木　LP4700　手札3　なし

「うっわー、国家権力えげつなー…　でも、このターンで決めきるほどには…　見えないような…」
「黙って見ていろ。《ジュラゲド》の効果発動。このカードをリリースすることで、次のターン終了時までモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップする。対象はカガリだ」

《閃刀姫－カガリ》　ATK2100→3100

「そして、自分フィールド上の闇属性モンスターをリリースした時に手札・墓地から特殊召喚できるモンスターがいる。こいつが俺のもう一つの切り札、手札から来い、《闇黒の魔王ディアボロス》！」
「そんな禍々しい魔王が警察の切り札でいいのかー！！」
「デッキの相性で組み合わさった結果だ！まずはディアボロスでダイレクトアタック、そしてカガリでフィニッシュだ！」

《闇黒の魔王ディアボロス》　ATK3000　ダイレクト！
《閃刀姫－カガリ》　ATK3100　ダイレクト！

増井　LP8200　手札4　《閃刀姫－カガリ》《閃刀姫－レイ》《闇黒の魔王ディアボロス》
二木　LP0　手札3　なし

WINNER　増井由伸

「負けたー！くう、今まで積み上げたネタの数々が国家権力に吸い上げられるぅー！！」

負けてもケロリとした顔でショックを振りまく二木を前に、増井は怪訝な表情を浮かべた。

「…妙だな。デュエルに負けたからと言って意識不明になるとは限らないのか？それともこいつが底抜けのアホなだけなのか？」
「ふむ？これはどうやら私の握っているネタが活躍できそうで？実は～」

二木が講釈を始めようとするのを遮るように、増井のスマートフォンが振動する。

「はい、こちら増井。…今朝の被害者が目覚めた！？それは本当ですか、わかりました、病院に急行します、では」
「今、被害者が目覚めたって言いましたよね、ケーサツさん！？」
「ああ。今までこんな事は起きなかったのだが…　病院に行く。頼むからついてくるなよ」
「頼まれなくてもついていきます！こっちとしても、超一級のネタが待ってそうなんで！」
「はあ…　頼むから人の話を聞いてくれ…」

車に乗り込み病院に向かう増井のあとを、二木もまた自分の車で追走するのであった。