第３話　ファースト・デュエル　作：とき

レナードが指を鳴らすと、玉座と優との間に巨大な石机がせり上がってきた。

「それではデュエルを開始する。なお、石机の上を見ればわかるが、マインド・ゲームだからといって基本ルールは変わらない。新マスタールールを採用し、ライフは8000点から始まる。現実のデュエルに近ければ近いほど、お前たちもやりやすいだろうしな。さあ、先攻は譲ろう」

絶対に鼻を明かしてやる。優は鼻息を荒くすると、石机の前に立つのであった。

「「デュエル！！」」

優　LP8000　手札5
レナード　LP8000　手札5

「私のターン。マインド・ゲームでも、先攻がドローできないのは同じ？」
「もちろんだ。不要と思って説明は省いていたがね」
「そう、それじゃあまずは小手調べ。私は《ウィジェット・キッド》を召喚し、効果を発動。手札からサイバース族モンスターを守備表示で特殊召喚する」
「ほう、サイバース族か」
「この空間にこのデッキを再現したのはあなたじゃないの、白々しい。私が特殊召喚するカードは《ドングルドングリ》。そして特殊召喚された《ドングルドングリ》の効果発動。場にドングルトークン1体を守備表示で特殊召喚する」

優　LP8000　手札3　《ウィジェット・キッド》《ドングルドングリ》＋ドングルトークン1体
レナード　LP8000　手札5

「私は《ウィジェット・キッド》とドングルトークンをリンク素材として、《コード・トーカー》をリンク召喚！EXモンスターゾーンに置く。この《コード・トーカー》と《ドングルドングリ》をリンク素材として《デコード・トーカー》をEXモンスターゾーンにリンク召喚！さらに《リンク・インフライヤー》を《デコード・トーカー》の右下のリンク先に特殊召喚して《デコード・トーカー》の攻撃力を500アップ、私はカードを1枚伏せて、ターンエンド」

《デコード・トーカー》　ATK2300→2800

ターン1終了
優　LP8000　手札1　《デコード・トーカー》《リンク・インフライヤー》＋伏せカード１枚
レナード　LP8000　手札5

「なるほど、初手に攻撃力2800の《デコード・トーカー》とセットカード…　これは骨が折れそうだな」
「なーんか、白々しいなあ…　あなたのターンなんだけど」
「いいだろう、ではドロー。俺は《おろかな埋葬》を発動、デッキから《ライトロード・ビースト ウォルフ》を墓地に落とす。さらにウォルフの効果を発動。デッキから墓地に送られた時、墓地から特殊召喚される」
「ふむ、ライトロード…　あのカードに出られると厄介かな」

優　LP8000　手札1　《デコード・トーカー》《リンク・インフライヤー》＋伏せカード１枚
レナード　LP8000　手札5　《ライトロード・ビースト ウォルフ》

「さらに手札から《ライトロード・パラディン ジェイン》を召喚。そしてウォルフとジェインをエクシーズ素材にエクシーズ召喚、《ライトロード・セイント ミネルバ》！」

優　LP8000　手札1　《デコード・トーカー》《リンク・インフライヤー》＋伏せカード１枚
レナード　LP8000　手札4　《ライトロード・セイント ミネルバ》

「ミネルバの効果を発動する。エクシーズ素材のウォルフを取り除き、デッキトップからカードを３枚墓地に送る。送られたカードは、《オネスト》《死者転生》《ライトロード・マジシャン ライラ》の３枚。ミネルバの効果で墓地に送ったライトロードの数まで、デッキからカードをドローする。今回は１枚だ」

優　LP8000　手札1　《デコード・トーカー》《リンク・インフライヤー》＋伏せカード１枚
レナード　LP8000　手札5　《ライトロード・セイント ミネルバ》

「さて、俺はミネルバで《デコード・トーカー》に攻撃する」
（ただ闇雲に自爆するわけがない…　何か策がある）

《ライトロード・セイント ミネルバ》　ATK2000　対　ATK2800　《デコード・トーカー》

「ミネルバは戦闘で破壊され、俺は800ダメージを受けるがミネルバのもう一つの効果が発動する。ミネルバは戦闘か相手の効果で破壊された場合、デッキトップからカードを3枚墓地に送る。そしてその中に含まれるライトロードの数だけ、相手フィールド上のカードを破壊できる。墓地に落ちたのは《ハーピィの羽根帚》《ギャラクシー・サイクロン》《光の援軍》か。残念だが思惑が外れたな。ターンエンド」
「だったら、エンドフェイズ時に速攻魔法《サイバネット・バックドア》発動。《デコード・トーカー》をゲームから除外し、元々の攻撃力2300より低い攻撃力を持つサイバース族1体を手札に加える。私が選ぶのは《バックアップ・セクレタリー》」

（あそこまで強引に墓地を肥やす動き…　ジェイン、ウォルフ、ライラ、ミネルバ…　あのカードが手札に有るなら、早く攻めないと！）

優　LP8000　手札2　《リンク・インフライヤー》
レナード　LP7200　手札5

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズにバックドアの効果で除外していたデコードが場に戻る。右側のEXモンスターゾーンの下に戻す、攻撃力はリンク先のカードが無くなったことで2300にダウンする」

優　LP8000　手札3　《デコード・トーカー》《リンク・インフライヤー》
レナード　LP7200　手札5

「私は手札から《スタック・リバイバー》を召喚、さらに自身の効果で《バックアップ・セクレタリー》を特殊召喚。リバイバー、セクレタリー、そしてリンク・インフライヤーの3体でリンク召喚、《エンコード・トーカー》をリンク召喚してEXモンスターゾーンに配置する。リンク先にモンスターが置かれたことで、デコードの攻撃力は2800にアップ、スタック・リバイバーの効果は今は使わない。バトルフェイズ、私はエンコードとデコードでダイレクトアタック！」
「ここは通そう、そのほうが面白いものを見せられる」

《エンコード・トーカー》　ATK2300　ダイレクト！
《デコード・トーカー》　ATK2800　ダイレクト！

優　LP8000　手札1　《エンコード・トーカー》《デコード・トーカー》
レナード　LP2100　手札5

この男、何をヘラヘラと。優はそう思わざるを得なかった。手札誘発の一つもあるかと思えばそんなものもなく。こちらの攻撃も止めるでもなく、面白いものが見せられる？馬鹿にするのも大概だ。ひょっとして、裁定者というだけでデュエルの腕は悪いのか？とも穿ってしまう。

（私だって、大会とかに出たことはない一般のカジュアルユーザーなのに。この弱さと反比例するような余裕、本当におかしい…）

訝しむ優を尻目に、レナードはついに牙を剥いた。

「さて、ではいいだろう。俺は…　『スキル』を使わせてもらう」