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第11話:遊良vsみづき 後編 作:カズ
~前回のあらすじ~
「三明神」の在処が遊良の生前のクラスメート、四阿いつきの実家だということを突き止めた遊良と亜利沙は彼女の家に侵入を試みるも、神社の管理権を持つみづきが夢の中にいたため失敗に終わる。
亜利沙からは「死神との繋がりが発覚すれば今後も狙われる」と忠告されるも、生前の記憶を思い返した遊良はその忠告に反し、いつきに自らの正体を明かした。
気絶したいつきを背負って四阿家に戻り、妹・みづきとの明神を懸けたデュエルが始まった。彼女のデッキは特殊勝利をコンセプトにした【ウィジャ盤】であり、遊良は猛攻を仕掛けるも『ダーク・サンクチュアリ』の効果で阻まれてしまうのだった。
~現在の状況~
弓弦→LP:8000 手札:2 デッキ:32 メインモンスターゾーン:1 魔法&罠ゾーン:2 フィールドゾーン:0 墓地:5 除外:0 EXモンスターゾーン:1(コントローラーから見て右側)
みづき→LP:6750 手札:1 デッキ:33 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:1 フィールドゾーン:1 墓地:2 除外:0
*TURN03
「メインフェイズ1開始時、魔法カード『強欲で金満な壺』を発動!エクストラデッキからランダムに6枚を裏側表示で除外し、2枚ドロー!」
前のターン、遊良はランスロット・リヴォルトのリンク召喚まで決めたにも関わらず、みづきの圧倒的な強運によって戦闘ダメージを全く与えられなかった。それどころか、ラモラックの効果で回復したライフポイントが全て帳消しにされてしまい振り出しに戻った。2体のランスロットによる効果ダメージコンボを毎ターン行えたとしても、先にウィジャ盤の特殊勝利条件が達成されるため戦闘ダメージは必須となる。
つまるところこのデュエルの勝敗の分け目は、如何に遊良が戦闘ダメージを与えられるか、そしてみづきの運によって左右されるのだ。
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
みづき→LP:6750 手札:1 デッキ:30 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:2 フィールドゾーン:1 墓地:3 除外:0
*TURN04
「俺のターン、ドロー!」
モンスターカードを引き当てたい。しかしその願いとは裏腹に、ドローしたカードは罠カードだった。前のターンと同様にランスロット・リヴォルトの効果でモンスターを蘇生させたいところだが、その対象はレベル5以上に限られる。今の遊良の墓地に眠るモンスターはいずれもレベル4以下、或いはレベルの概念すら持たないリンクモンスターであるため、効果を発動できないのだ。しかしランスロットをリリースすれば蘇生も可能となるだけでなく、盤面を強化しつつ合計で2500ダメージを与えることができるため、今はこのコンボに懸けるしかない。
「実は私、その人が持つ『魂』の色が見えるんですよ」
「随分、唐突ですね」
「話はこれからが本番です。2週間ほど前でしょうか。下校時間に2つの魂『だけ』が移動している様を目撃しまして」
突然、みづきが不思議なことを語り出した。「魂を色で識別する」という常人では有り得ない話だが、四阿家の継承者は皆この能力を持っているらしい。
2週間前というと、生徒会長・永野真利愛の身に異変が起きた頃と合致する。そしてその際、遊良と亜利沙はその異変を密かに調べるために幽体離脱を使っていたのだが、2人がそれを用いて行動している瞬間をみづきは見ていたのだ。
「丁度、あなたと同じ魂の色でした。おそらく、幽体離脱の類いでしょう。違います?」
「……まさか、見られていたとはね。確かに死神は、活動時間外の調査に幽体離脱を使うことが多いよ」
「まあ、死神や悪霊が蔓延る世界でそのような現象が起きていても大して驚くことではありません。ですが、ここからが本番です」
「…何かな?」
「通常、魂の色というものは十人十色、百人百様、千差万別。似ているものこそあれど、1つとして同じものがないんです。ですが、あなたの魂の色と『全く同じ』色を持つ人が、1人だけいました」
「……」
「海神侑。私と同じ学校に通っているクラスメートです」
漣弓弦、海神侑。いずれも、自分の存在を知っている人間が現世にいても隠し通せるように遊良が用いている偽名だが、いつきのように生前での関わりが深かった人物を相手にすると正体が露見してしまう可能性が高かった。その点、みづきは高校の同級生という立場であるため、普通なら悟られることはない筈だった。
しかし彼女は、いつきのように身長・声といった外見的特徴ではなく、「魂の色」という霊的特徴のみで遊良の正体に踏み入った。ここまで確信を持たれているとなると、いつきの時に使った誤魔化しはまず通じないと見ていいだろう。かといって、このまま素直に正体を明かすわけにもいかない。自分のクラスメートの中に死神が紛れ込んでいることが知られれば、彼女のみならず周囲への被害は拡大してしまう恐れがあるからだ。
「あなたは一体……何者なんですか?」
「……俺がこのデュエルに負けたら、それに答えるとしようかな」
「譲るつもりはないということですか。往生際が悪いとモテませんよ?」
「生憎、悪霊には嫌ってほどモテてるんで。ランスロットの効果発動!」
「なら私も、手札の『怨念の邪悪霊(ダーク・スピリット)』の効果発動!」
○怨念の邪悪霊(Lv3 闇)
悪魔族/効果
攻1600/守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の悪魔族・レベル8モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。②:このカードが墓地に存在し、悪魔族・レベル8モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札に加える。
「蘇れ、呪われし邪悪なる霊!『カース・ネクロフィア』!!」
「……1ターン目で墓地へ送ったカードか。だけどランスロットの効果で、ランスロット・リヴォルトの攻撃力が1250アップし、互いに1250ポイントのダメージを受ける。続けてランスロット・リヴォルトの効果発動!自身のリンク先にランスロットを特殊召喚し、1250ポイントのダメージを与える!」
弓弦→LP:6750
みづき→LP:4250
死神の秘密を守るため、自分の正体を明かさないため、そして何よりいつきのために、俄然、遊良は負けられなくなった。ライフポイントの上ではリードしているが、『ウィジャ盤』による特殊勝利のカウントダウンは残り4ターン。このターンでせめて1回でも戦闘ダメージを与えることができなければ敗北は濃厚となってしまうが、遊良の盤面には『ダーク・サンクチュアリ』対策となるカードが伏せられていた。
「バトル!ランスロットで裏守備モンスターを攻撃!そのダメージ計算時に、速攻魔法『白き竜の威嚇』を発動!その効果により、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードの効果を発動できない!」
「くっ…これでは『ダーク・サンクチュアリ』の効果も不発……」
「更に、『白き竜の威嚇』を発動したゾーンと同じ縦列に存在する相手のカード1枚を破壊できる!」
「ですが『ダーク・サンクチュアリ』によって通常モンスターとして出されたメッセージカードは、『ウィジャ盤』以外の効果を受け付けません!」
「だったらランスロット・リヴォルトで、カース・ネクロフィアを攻撃!ソード・オブ・リベリオン!!」
「再び『ダーク・サンクチュアリ』の効果発動!結果は……裏!よって攻撃が続行され、『カース・ネクロフィア』は破壊されます。しかし、墓地の『怨念の邪悪霊』及び『抹殺の邪悪霊』の効果発動!悪魔族・レベル8モンスターが墓地へ送られたことで、この2枚は手札に戻ります」
みづき→LP:3300
○抹殺の邪悪霊(Lv3 闇)
悪魔族/効果
攻1600/守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:相手モンスターが攻撃するダメージステップ開始時に、自分の手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の悪魔族・レベル8モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、攻撃対象をそのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う。②:このカードが墓地に存在し、悪魔族・レベル8モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札に加える。
このターン、『ダーク・サンクチュアリ』を封じるコンボを生み出すことができただけでなく、みづきのコイントスが初めて外れた。攻撃した回数は前のターンと変わらず2回だけだが、コイントスの結果を恐れずに攻めたからこそ運が遊良に味方してくれたのだ。
しかし墓地に眠っていた2体の邪悪霊が手札に加わりカース・ネクロフィアが再び墓地へ送られたということは、永遠復活のコンボが次のターン以降も繰り返されるということ。みづきを倒すためには、攻撃力2800のカース・ネクロフィアを相手に正面突破で挑むしかないのだが、彼女も何もせずに特殊勝利を待つばかりではなかった。
「カードを1枚伏せて、ターンエンド」
「この瞬間、永続罠『死の宣告』を発動!表側表示のこのカードを墓地へ送ることで、デッキから『死のメッセージ「T」』をウィジャ盤の効果扱いで私のフィールドに置きます。さらにウィジャ盤の効果で『死のメッセージ「A」』が置かれます」
「メッセージカードを置くのが、1ターン早まった!?」
「これは想定外のようですね。そして墓地の『カース・ネクロフィア』の効果発動!このカードは戦闘・効果で破壊されたターンのエンドフェイズに再び蘇る!」
○死の宣告(永続罠)
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①:自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、自分フィールドの「ウィジャ盤」及び「死のメッセージ」カードの数まで悪魔族モンスターを対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。②:魔法&罠ゾーンのこのカードを墓地へ送って発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「死のメッセージ」カード1枚を選び、「ウィジャ盤」の効果扱いとして自分の魔法&罠ゾーンに出す。
「そして『カース・ネクロフィア』の更なる効果によって、私の魔法・罠カードの種類の数だけ、相手フィールドのカードを選んで破壊します!」
「くっ…!こっちのエンドフェイズなのに……」
弓弦→LP:6750 手札:2 デッキ:31 メインモンスターゾーン:1 魔法&罠ゾーン:0 フィールドゾーン:0 墓地:8 除外:1
みづき→LP:3300 手札:3 デッキ:28 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:3 フィールドゾーン:1 墓地:3 除外:0
みづきのフィールドに出ている魔法・罠カードは『ウィジャ盤』『ダーク・サンクチュアリ』『死のメッセージ「A」』『死のメッセージ「T」』の4枚。2ターン目に出した「E」のメッセージカードは通常モンスターとして扱われているためカウントされないものの、遊良のフィールドを一掃するには充分だった。
全て破壊されてしまえば次の遊良のターンで何もできなくなるため、墓地の『憎悪の勇者サフィール』の効果を使い、ランスロットの破壊を無効にした。これでダイレクトアタックによるライフの激減は抑えられたが、反撃のためにセットした罠カードも使えずに終わっただけでなく、次の遊良のターンで彼女のライフを0にしなければならなくなった。
*TURN05
「あなたと姉様がどういう関係なのか、私の知る由ではありません。ですが……もし姉様に何か危害を加えたのでしたら、たとえこのデュエルにあなたが勝ったとしても、明神を渡すわけにはいきません!!」
みづきにとって誰より大切な存在である姉は、厄介事に巻き込まれやすい体質だった。その度にいつきは決まって「みづきを守れるなら構わない」と口にしていたのだが、みづきはいい加減、姉の自己犠牲精神にはうんざりしていた。3年前にも1人のクラスメートのために献身的な活動を行っていたと聞かされていたが、結局そのクラスメートは彼女の献身も虚しく帰らぬ人となった。
いつきが暫く塞ぎ込んでいた時期になってから、みづきは巫女を受け継ぐ決心をした。童話『幸福な王子』のような悲しい結末を姉に辿って欲しくなかったから。そして、今まで姉に守ってもらった分を返したかったから。
「バトル!『カース・ネクロフィア』で『憎悪の勇者ランスロット』を攻撃!」
「ぐっ…!」
弓弦→LP:6450
このターンでみづきが初めて攻撃に転じた。何もせずとも次のターンのエンドフェイズで特殊勝利は確定しているのだが、遊良のドロー次第ではモンスターを1体でも残すだけで形勢が一気に傾く恐れがあった。目の前の死神を忌むべき敵として認識しているからこそ、完全な形での勝利を迎えなければ彼女のプライドが許せないのだ。
この攻撃で遊良のフィールドは焼け野原と化し、みづきは次のターンのエンドフェイズで勝利が決定する。4枚目のメッセージカードを出される前に勝負を決したい所だが、彼女のフィールドには攻撃力2800の『カース・ネクロフィア』がいる。生半可な攻撃では倒すことはできないが、果たしてどうするのか。
「私はこれで、ターンエンド!!」
みづき→LP:3300 手札:4 デッキ:27 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:3 フィールドゾーン:1 墓地:3 除外:0
*TURN06
「確かに、貴女が怒るのも分かります。俺は……君のお姉さんから記憶を奪った」
「っ…!」
「でも誤解しないでほしい。俺はもう、二度とあの人を巻き込みたくなかったんだ。彼女の記憶の中に俺が存在する限り、あの人はこれから先の戦いにも巻き込まれる可能性が高い」
「……」
「そんなの……俺が死ぬことよりも耐えられない…!」
死神である遊良との繋がりを断ち切るためには、いつきから記憶を消すのが最善の策だった。たとえ二度と関わらないよう厳しく忠告したとしても、彼女に自分の記憶が残っている限り存在を認知してしまう。
一度正体を明かしてから記憶を消したのは彼女を巻き込まないためでもあったのだが、本当は、いつきに自分と同じ道を進ませないためだった。彼女自身は立ち直ったとは言っていたが、それでも過去の辛い記憶を完全に消すことは簡単にできるものではない。事実、いつきの中には遊良と再会できるまで僅かながら未練が残っていた。それが小さいまま収束すれば問題はないのだが、大抵の未練は時間経過と共に大きくなる。その状態でもし命を落としてしまえば、間違いなく彼女の魂は未極へと送られる。その結末は、何よりも辛く悲しいものだ。
「だったら示してください、貴方の意志を。このターンで!!」
「言われなくてもそのつもりさ!墓地の罠カード『赤き竜の咆哮』の効果発動!このカードと『白き竜の威嚇』を除外し、相手フィールドの攻撃力または守備力が2800以上のモンスターを全て破壊する!」
「くっ…」
「続けて墓地の罠カード『ワースの伝承』の効果発動!エクストラモンスターゾーンに自分のモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外し、墓地から『憎悪の勇者ランスロット』を特殊召喚する!」
みづきが前のターンで破壊した遊良の罠カードには、墓地で発動できる効果が備わっていた。カース・ネクロフィアの除去をしつつランスロットを蘇生させることで戦闘ダメージを与えられる状態を作ったが、これではまだ届かない。
続けて遊良は魔法カード『マーリンの予言』を発動し、デッキから『憎悪の勇者モルドレッド』を手札に加えた。モルドレッドは墓地からモンスター3体を除外することで特殊召喚できるレベル8モンスターだが、このカードで攻撃してもみづきのコイントスで表が出てしまえば意味がない。しかし、遊良はこのターンで決めるという確固たる意志のもとでモルドレッドをサーチした。勝負を決める鍵は、このターンでドローした魔法カードが握っている。
「墓地のイヴァン、ラモラック、ランスロット・リヴォルトの3体を除外し、手札から『憎悪の勇者モルドレッド』を特殊召喚!そして、除外されたイヴァンの効果発動!このカードは除外された時、手札を1枚捨てることで特殊召喚できる」
「ならばこの瞬間、手札の『怨念の邪悪霊』を捨てて効果発動!再び蘇れ、『カース・ネクロフィア』!!」
「俺はこのカードで、勝負を決める!魔法カード『円卓融合(サークル・フュージョン)』を発動!自分の手札・フィールドから『ヘイトレッドハート』融合モンスターの融合素材モンスターを墓地へ送ることで、融合召喚を行う!モルドレッド、イヴァン、ランスロットの3体を融合!!」
────偉大なる王の下に集いし勇者達よ。その剣重ね合わせ、新たな伝説を創り出せ!────
────融合召喚!!君臨せよ、『憎悪の勇者モルドレッド・フュリアス』!!─────
「頼みの綱は融合召喚ですか。しかし私のフィールドには、攻撃力2800のカース・ネクロフィアがいます。いくら攻撃力3100のモンスターを呼ぼうと、このターンで決められなくては意味がないですよ?」
「それはどうかな?メインフェイズ1終了時、『円卓融合』の更なる効果発動!」
「くっ…ぅ…。何故、このタイミングでダメージが……?」
「『円卓融合』の効果は、融合召喚したモンスター及びその融合素材としたモンスターのレベルの合計×100ダメージをメインフェイズ1終了時に互いのプレイヤーが受ける。モルドレッド、ランスロット、イヴァン、モルドレッド・フュリアス、この4体のレベルの合計は24。よって2400ダメージが入ったんだ」
弓弦→LP:3650
みづき→LP:900
「ですが、その攻撃力では私の『カース・ネクロフィア』を破壊してもまだライフは残ります。どうやら万策尽きたようですね」
「いいや。この瞬間、モルドレッド・フュリアスの効果発動!自分が戦闘・効果ダメージを受ける度に、その数値分の攻撃力が自身に加算される!」
「何ですって!?」
『円卓融合』の効果によって2400ダメージを受けたことで、モルドレッド・フュリアスの攻撃力は5500に上昇した。これだけの攻撃力があれば一撃でみづきを仕留められるが、もし彼女がコイントスで表を当ててしまえば攻撃を無効にされるばかりか、エンドフェイズに『ウィジャ盤』の効果によって特殊勝利条件が満たされてしまう。しかし、効果ダメージを受けることで真価を発揮する【ヘイトレッドハート】の新たな切り札、モルドレッド・フュリアスを止めることはもうできない。
「バトル!モルドレッド・フュリアスでカース・ネクロフィアを攻撃!!」
「この瞬間、『ダーク・サンクチュアリ』の効果……なっ!発動しない!?」
「『円卓融合』の更なる効果!2000ダメージ以上受けた場合、融合召喚されたモルドレッド・フュリアスは相手の魔法・罠カードの効果を受け付けない。これで決まりだ!ペインフル・ホロコースト!!」
みづき→LP:0
「約束通り、明神は預かります」
「……あなたの、姉様への想いは伝わりました。ですが姉様の霊感は私よりも強い故、悪霊を引きつける可能性が高いです。もしまた襲われでもしたら、どう責任を取るつもりです?」
「大丈夫。記憶を抜き取った際、神の手……死神のマストアイテムの欠片を御守りと一緒に渡してある。自分から除霊されたい悪霊でない限り、あの人を襲うことはできない筈だよ。それに……」
「それに、何です?」
「こんなに愛してくれている人が身近にいるんだ。俺に出来ることはもうないよ」
一人っ子だった遊良にとって、彼女たちのような姉妹は羨ましかった。ましてや遊良の家庭は崩壊していたこともあり、親族からの愛を感じられる時間も非常に短かった。それ故に15年の生涯の中で愛する人を見つけることは叶わなかったが、死神として蘇り、いつきと現世で再会することで少しだけその感情を知ることができた。
今のいつきはもう、遊良のことを一切覚えていない。そして今の遊良にも、いつきへの未練は一切ない。そして『守矢』の力を宿した明神を手にした今、みづきも悪霊に巻き込まれる心配もない。最も辛い選択をしたが、結果的にそれが最善の道へと繋がったのだ。
「では、いずれまた何処かで。死神さん」
「……正直、貴方とはもう関わりたくないですけどね」
午前1時。遊良の中で1つの未練に、決着がついた瞬間だった。
オリカ紹介(掲示板投稿済み)
○憎悪の勇者モルドレッド(Lv8 闇)
戦士族/特殊召喚/効果
攻2900/守2500
このカードは通常召喚できない。自分のフィールド・墓地から「ヘイトレッドハート」モンスター3体を除外した場合のみ特殊召喚できる。①:このカードの戦闘で発生するダメージはお互いが受ける。②:1ターンに1度、このカードの攻撃力より低い攻撃力を持つ相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地へ送る。この効果は相手ターンでも発動できる。③:このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、「ヘイトレッドハート」モンスター5体を選んでデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。
○憎悪の勇者モルドレッド・フュリアス(Lv8 闇)
戦士族/融合/効果
攻3100/守2500
「憎悪の勇者モルドレッド」+戦士族・闇属性モンスター1体以上
①:「憎悪の勇者モルドレッド・フュリアス」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。②:自分が戦闘・効果ダメージを受ける度に発動する。このカードの攻撃力はターン終了時まで、その数値分アップする。③:1ターンに1度、除外されている自分の「ヘイトレッドハート」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地に戻す。この効果でレベル7以上のモンスターを戻した場合、自分の墓地の魔法カード1枚を選んで手札に加える事ができる。
○円卓融合(通常魔法)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分の手札・フィールドから、「ヘイトレッドハート」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果を発動したターンのメインフェイズ1終了時、お互いは融合素材モンスター及びその融合モンスターのレベルの合計×100ダメージを受ける。2000ダメージ以上受けた場合、この効果で特殊召喚されたモンスターは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。
○白き竜の威嚇(速攻魔法)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分のメインモンスターゾーンの「ヘイトレッドハート」モンスターが戦闘を行うダメージ計算時に発動できる。そのモンスターが戦闘を行うダメージステップ終了時まで、相手は魔法・罠カードの効果を発動できない。その後、このカードを発動したゾーンと同じ縦列に存在する相手のカード1枚を選んで破壊できる。
○赤き竜の咆哮(通常罠)
①:自分フィールドの「ヘイトレッドハート」モンスターが攻撃対象に選択された場合に発動できる。相手フィールドのリンクモンスターを全て破壊する。その後、フィールドのモンスターを全て守備表示にする。②:自分の墓地からこのカード及び「白き竜の威嚇」1枚を除外して発動できる。相手フィールドの攻撃力または守備力が2800以上のモンスターを全て破壊する。
○ワースの伝承(通常罠)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分フィールドの戦士族・闇属性モンスターが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。デッキからそのモンスターよりレベルが低い「ヘイトレッドハート」モンスター1体を特殊召喚する。その後、そのモンスターのレベル×200ダメージを相手に与える。②:EXモンスターゾーンに自分のモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「ヘイトレッドハート」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
遊良の一言追伸
四阿さん、今度こそ、本当のお別れですね。
「三明神」の在処が遊良の生前のクラスメート、四阿いつきの実家だということを突き止めた遊良と亜利沙は彼女の家に侵入を試みるも、神社の管理権を持つみづきが夢の中にいたため失敗に終わる。
亜利沙からは「死神との繋がりが発覚すれば今後も狙われる」と忠告されるも、生前の記憶を思い返した遊良はその忠告に反し、いつきに自らの正体を明かした。
気絶したいつきを背負って四阿家に戻り、妹・みづきとの明神を懸けたデュエルが始まった。彼女のデッキは特殊勝利をコンセプトにした【ウィジャ盤】であり、遊良は猛攻を仕掛けるも『ダーク・サンクチュアリ』の効果で阻まれてしまうのだった。
~現在の状況~
弓弦→LP:8000 手札:2 デッキ:32 メインモンスターゾーン:1 魔法&罠ゾーン:2 フィールドゾーン:0 墓地:5 除外:0 EXモンスターゾーン:1(コントローラーから見て右側)
みづき→LP:6750 手札:1 デッキ:33 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:1 フィールドゾーン:1 墓地:2 除外:0
*TURN03
「メインフェイズ1開始時、魔法カード『強欲で金満な壺』を発動!エクストラデッキからランダムに6枚を裏側表示で除外し、2枚ドロー!」
前のターン、遊良はランスロット・リヴォルトのリンク召喚まで決めたにも関わらず、みづきの圧倒的な強運によって戦闘ダメージを全く与えられなかった。それどころか、ラモラックの効果で回復したライフポイントが全て帳消しにされてしまい振り出しに戻った。2体のランスロットによる効果ダメージコンボを毎ターン行えたとしても、先にウィジャ盤の特殊勝利条件が達成されるため戦闘ダメージは必須となる。
つまるところこのデュエルの勝敗の分け目は、如何に遊良が戦闘ダメージを与えられるか、そしてみづきの運によって左右されるのだ。
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
みづき→LP:6750 手札:1 デッキ:30 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:2 フィールドゾーン:1 墓地:3 除外:0
*TURN04
「俺のターン、ドロー!」
モンスターカードを引き当てたい。しかしその願いとは裏腹に、ドローしたカードは罠カードだった。前のターンと同様にランスロット・リヴォルトの効果でモンスターを蘇生させたいところだが、その対象はレベル5以上に限られる。今の遊良の墓地に眠るモンスターはいずれもレベル4以下、或いはレベルの概念すら持たないリンクモンスターであるため、効果を発動できないのだ。しかしランスロットをリリースすれば蘇生も可能となるだけでなく、盤面を強化しつつ合計で2500ダメージを与えることができるため、今はこのコンボに懸けるしかない。
「実は私、その人が持つ『魂』の色が見えるんですよ」
「随分、唐突ですね」
「話はこれからが本番です。2週間ほど前でしょうか。下校時間に2つの魂『だけ』が移動している様を目撃しまして」
突然、みづきが不思議なことを語り出した。「魂を色で識別する」という常人では有り得ない話だが、四阿家の継承者は皆この能力を持っているらしい。
2週間前というと、生徒会長・永野真利愛の身に異変が起きた頃と合致する。そしてその際、遊良と亜利沙はその異変を密かに調べるために幽体離脱を使っていたのだが、2人がそれを用いて行動している瞬間をみづきは見ていたのだ。
「丁度、あなたと同じ魂の色でした。おそらく、幽体離脱の類いでしょう。違います?」
「……まさか、見られていたとはね。確かに死神は、活動時間外の調査に幽体離脱を使うことが多いよ」
「まあ、死神や悪霊が蔓延る世界でそのような現象が起きていても大して驚くことではありません。ですが、ここからが本番です」
「…何かな?」
「通常、魂の色というものは十人十色、百人百様、千差万別。似ているものこそあれど、1つとして同じものがないんです。ですが、あなたの魂の色と『全く同じ』色を持つ人が、1人だけいました」
「……」
「海神侑。私と同じ学校に通っているクラスメートです」
漣弓弦、海神侑。いずれも、自分の存在を知っている人間が現世にいても隠し通せるように遊良が用いている偽名だが、いつきのように生前での関わりが深かった人物を相手にすると正体が露見してしまう可能性が高かった。その点、みづきは高校の同級生という立場であるため、普通なら悟られることはない筈だった。
しかし彼女は、いつきのように身長・声といった外見的特徴ではなく、「魂の色」という霊的特徴のみで遊良の正体に踏み入った。ここまで確信を持たれているとなると、いつきの時に使った誤魔化しはまず通じないと見ていいだろう。かといって、このまま素直に正体を明かすわけにもいかない。自分のクラスメートの中に死神が紛れ込んでいることが知られれば、彼女のみならず周囲への被害は拡大してしまう恐れがあるからだ。
「あなたは一体……何者なんですか?」
「……俺がこのデュエルに負けたら、それに答えるとしようかな」
「譲るつもりはないということですか。往生際が悪いとモテませんよ?」
「生憎、悪霊には嫌ってほどモテてるんで。ランスロットの効果発動!」
「なら私も、手札の『怨念の邪悪霊(ダーク・スピリット)』の効果発動!」
○怨念の邪悪霊(Lv3 闇)
悪魔族/効果
攻1600/守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の悪魔族・レベル8モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。②:このカードが墓地に存在し、悪魔族・レベル8モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札に加える。
「蘇れ、呪われし邪悪なる霊!『カース・ネクロフィア』!!」
「……1ターン目で墓地へ送ったカードか。だけどランスロットの効果で、ランスロット・リヴォルトの攻撃力が1250アップし、互いに1250ポイントのダメージを受ける。続けてランスロット・リヴォルトの効果発動!自身のリンク先にランスロットを特殊召喚し、1250ポイントのダメージを与える!」
弓弦→LP:6750
みづき→LP:4250
死神の秘密を守るため、自分の正体を明かさないため、そして何よりいつきのために、俄然、遊良は負けられなくなった。ライフポイントの上ではリードしているが、『ウィジャ盤』による特殊勝利のカウントダウンは残り4ターン。このターンでせめて1回でも戦闘ダメージを与えることができなければ敗北は濃厚となってしまうが、遊良の盤面には『ダーク・サンクチュアリ』対策となるカードが伏せられていた。
「バトル!ランスロットで裏守備モンスターを攻撃!そのダメージ計算時に、速攻魔法『白き竜の威嚇』を発動!その効果により、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードの効果を発動できない!」
「くっ…これでは『ダーク・サンクチュアリ』の効果も不発……」
「更に、『白き竜の威嚇』を発動したゾーンと同じ縦列に存在する相手のカード1枚を破壊できる!」
「ですが『ダーク・サンクチュアリ』によって通常モンスターとして出されたメッセージカードは、『ウィジャ盤』以外の効果を受け付けません!」
「だったらランスロット・リヴォルトで、カース・ネクロフィアを攻撃!ソード・オブ・リベリオン!!」
「再び『ダーク・サンクチュアリ』の効果発動!結果は……裏!よって攻撃が続行され、『カース・ネクロフィア』は破壊されます。しかし、墓地の『怨念の邪悪霊』及び『抹殺の邪悪霊』の効果発動!悪魔族・レベル8モンスターが墓地へ送られたことで、この2枚は手札に戻ります」
みづき→LP:3300
○抹殺の邪悪霊(Lv3 闇)
悪魔族/効果
攻1600/守0
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:相手モンスターが攻撃するダメージステップ開始時に、自分の手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の悪魔族・レベル8モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、攻撃対象をそのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う。②:このカードが墓地に存在し、悪魔族・レベル8モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札に加える。
このターン、『ダーク・サンクチュアリ』を封じるコンボを生み出すことができただけでなく、みづきのコイントスが初めて外れた。攻撃した回数は前のターンと変わらず2回だけだが、コイントスの結果を恐れずに攻めたからこそ運が遊良に味方してくれたのだ。
しかし墓地に眠っていた2体の邪悪霊が手札に加わりカース・ネクロフィアが再び墓地へ送られたということは、永遠復活のコンボが次のターン以降も繰り返されるということ。みづきを倒すためには、攻撃力2800のカース・ネクロフィアを相手に正面突破で挑むしかないのだが、彼女も何もせずに特殊勝利を待つばかりではなかった。
「カードを1枚伏せて、ターンエンド」
「この瞬間、永続罠『死の宣告』を発動!表側表示のこのカードを墓地へ送ることで、デッキから『死のメッセージ「T」』をウィジャ盤の効果扱いで私のフィールドに置きます。さらにウィジャ盤の効果で『死のメッセージ「A」』が置かれます」
「メッセージカードを置くのが、1ターン早まった!?」
「これは想定外のようですね。そして墓地の『カース・ネクロフィア』の効果発動!このカードは戦闘・効果で破壊されたターンのエンドフェイズに再び蘇る!」
○死の宣告(永続罠)
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①:自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、自分フィールドの「ウィジャ盤」及び「死のメッセージ」カードの数まで悪魔族モンスターを対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。②:魔法&罠ゾーンのこのカードを墓地へ送って発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「死のメッセージ」カード1枚を選び、「ウィジャ盤」の効果扱いとして自分の魔法&罠ゾーンに出す。
「そして『カース・ネクロフィア』の更なる効果によって、私の魔法・罠カードの種類の数だけ、相手フィールドのカードを選んで破壊します!」
「くっ…!こっちのエンドフェイズなのに……」
弓弦→LP:6750 手札:2 デッキ:31 メインモンスターゾーン:1 魔法&罠ゾーン:0 フィールドゾーン:0 墓地:8 除外:1
みづき→LP:3300 手札:3 デッキ:28 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:3 フィールドゾーン:1 墓地:3 除外:0
みづきのフィールドに出ている魔法・罠カードは『ウィジャ盤』『ダーク・サンクチュアリ』『死のメッセージ「A」』『死のメッセージ「T」』の4枚。2ターン目に出した「E」のメッセージカードは通常モンスターとして扱われているためカウントされないものの、遊良のフィールドを一掃するには充分だった。
全て破壊されてしまえば次の遊良のターンで何もできなくなるため、墓地の『憎悪の勇者サフィール』の効果を使い、ランスロットの破壊を無効にした。これでダイレクトアタックによるライフの激減は抑えられたが、反撃のためにセットした罠カードも使えずに終わっただけでなく、次の遊良のターンで彼女のライフを0にしなければならなくなった。
*TURN05
「あなたと姉様がどういう関係なのか、私の知る由ではありません。ですが……もし姉様に何か危害を加えたのでしたら、たとえこのデュエルにあなたが勝ったとしても、明神を渡すわけにはいきません!!」
みづきにとって誰より大切な存在である姉は、厄介事に巻き込まれやすい体質だった。その度にいつきは決まって「みづきを守れるなら構わない」と口にしていたのだが、みづきはいい加減、姉の自己犠牲精神にはうんざりしていた。3年前にも1人のクラスメートのために献身的な活動を行っていたと聞かされていたが、結局そのクラスメートは彼女の献身も虚しく帰らぬ人となった。
いつきが暫く塞ぎ込んでいた時期になってから、みづきは巫女を受け継ぐ決心をした。童話『幸福な王子』のような悲しい結末を姉に辿って欲しくなかったから。そして、今まで姉に守ってもらった分を返したかったから。
「バトル!『カース・ネクロフィア』で『憎悪の勇者ランスロット』を攻撃!」
「ぐっ…!」
弓弦→LP:6450
このターンでみづきが初めて攻撃に転じた。何もせずとも次のターンのエンドフェイズで特殊勝利は確定しているのだが、遊良のドロー次第ではモンスターを1体でも残すだけで形勢が一気に傾く恐れがあった。目の前の死神を忌むべき敵として認識しているからこそ、完全な形での勝利を迎えなければ彼女のプライドが許せないのだ。
この攻撃で遊良のフィールドは焼け野原と化し、みづきは次のターンのエンドフェイズで勝利が決定する。4枚目のメッセージカードを出される前に勝負を決したい所だが、彼女のフィールドには攻撃力2800の『カース・ネクロフィア』がいる。生半可な攻撃では倒すことはできないが、果たしてどうするのか。
「私はこれで、ターンエンド!!」
みづき→LP:3300 手札:4 デッキ:27 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:3 フィールドゾーン:1 墓地:3 除外:0
*TURN06
「確かに、貴女が怒るのも分かります。俺は……君のお姉さんから記憶を奪った」
「っ…!」
「でも誤解しないでほしい。俺はもう、二度とあの人を巻き込みたくなかったんだ。彼女の記憶の中に俺が存在する限り、あの人はこれから先の戦いにも巻き込まれる可能性が高い」
「……」
「そんなの……俺が死ぬことよりも耐えられない…!」
死神である遊良との繋がりを断ち切るためには、いつきから記憶を消すのが最善の策だった。たとえ二度と関わらないよう厳しく忠告したとしても、彼女に自分の記憶が残っている限り存在を認知してしまう。
一度正体を明かしてから記憶を消したのは彼女を巻き込まないためでもあったのだが、本当は、いつきに自分と同じ道を進ませないためだった。彼女自身は立ち直ったとは言っていたが、それでも過去の辛い記憶を完全に消すことは簡単にできるものではない。事実、いつきの中には遊良と再会できるまで僅かながら未練が残っていた。それが小さいまま収束すれば問題はないのだが、大抵の未練は時間経過と共に大きくなる。その状態でもし命を落としてしまえば、間違いなく彼女の魂は未極へと送られる。その結末は、何よりも辛く悲しいものだ。
「だったら示してください、貴方の意志を。このターンで!!」
「言われなくてもそのつもりさ!墓地の罠カード『赤き竜の咆哮』の効果発動!このカードと『白き竜の威嚇』を除外し、相手フィールドの攻撃力または守備力が2800以上のモンスターを全て破壊する!」
「くっ…」
「続けて墓地の罠カード『ワースの伝承』の効果発動!エクストラモンスターゾーンに自分のモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外し、墓地から『憎悪の勇者ランスロット』を特殊召喚する!」
みづきが前のターンで破壊した遊良の罠カードには、墓地で発動できる効果が備わっていた。カース・ネクロフィアの除去をしつつランスロットを蘇生させることで戦闘ダメージを与えられる状態を作ったが、これではまだ届かない。
続けて遊良は魔法カード『マーリンの予言』を発動し、デッキから『憎悪の勇者モルドレッド』を手札に加えた。モルドレッドは墓地からモンスター3体を除外することで特殊召喚できるレベル8モンスターだが、このカードで攻撃してもみづきのコイントスで表が出てしまえば意味がない。しかし、遊良はこのターンで決めるという確固たる意志のもとでモルドレッドをサーチした。勝負を決める鍵は、このターンでドローした魔法カードが握っている。
「墓地のイヴァン、ラモラック、ランスロット・リヴォルトの3体を除外し、手札から『憎悪の勇者モルドレッド』を特殊召喚!そして、除外されたイヴァンの効果発動!このカードは除外された時、手札を1枚捨てることで特殊召喚できる」
「ならばこの瞬間、手札の『怨念の邪悪霊』を捨てて効果発動!再び蘇れ、『カース・ネクロフィア』!!」
「俺はこのカードで、勝負を決める!魔法カード『円卓融合(サークル・フュージョン)』を発動!自分の手札・フィールドから『ヘイトレッドハート』融合モンスターの融合素材モンスターを墓地へ送ることで、融合召喚を行う!モルドレッド、イヴァン、ランスロットの3体を融合!!」
────偉大なる王の下に集いし勇者達よ。その剣重ね合わせ、新たな伝説を創り出せ!────
────融合召喚!!君臨せよ、『憎悪の勇者モルドレッド・フュリアス』!!─────
「頼みの綱は融合召喚ですか。しかし私のフィールドには、攻撃力2800のカース・ネクロフィアがいます。いくら攻撃力3100のモンスターを呼ぼうと、このターンで決められなくては意味がないですよ?」
「それはどうかな?メインフェイズ1終了時、『円卓融合』の更なる効果発動!」
「くっ…ぅ…。何故、このタイミングでダメージが……?」
「『円卓融合』の効果は、融合召喚したモンスター及びその融合素材としたモンスターのレベルの合計×100ダメージをメインフェイズ1終了時に互いのプレイヤーが受ける。モルドレッド、ランスロット、イヴァン、モルドレッド・フュリアス、この4体のレベルの合計は24。よって2400ダメージが入ったんだ」
弓弦→LP:3650
みづき→LP:900
「ですが、その攻撃力では私の『カース・ネクロフィア』を破壊してもまだライフは残ります。どうやら万策尽きたようですね」
「いいや。この瞬間、モルドレッド・フュリアスの効果発動!自分が戦闘・効果ダメージを受ける度に、その数値分の攻撃力が自身に加算される!」
「何ですって!?」
『円卓融合』の効果によって2400ダメージを受けたことで、モルドレッド・フュリアスの攻撃力は5500に上昇した。これだけの攻撃力があれば一撃でみづきを仕留められるが、もし彼女がコイントスで表を当ててしまえば攻撃を無効にされるばかりか、エンドフェイズに『ウィジャ盤』の効果によって特殊勝利条件が満たされてしまう。しかし、効果ダメージを受けることで真価を発揮する【ヘイトレッドハート】の新たな切り札、モルドレッド・フュリアスを止めることはもうできない。
「バトル!モルドレッド・フュリアスでカース・ネクロフィアを攻撃!!」
「この瞬間、『ダーク・サンクチュアリ』の効果……なっ!発動しない!?」
「『円卓融合』の更なる効果!2000ダメージ以上受けた場合、融合召喚されたモルドレッド・フュリアスは相手の魔法・罠カードの効果を受け付けない。これで決まりだ!ペインフル・ホロコースト!!」
みづき→LP:0
「約束通り、明神は預かります」
「……あなたの、姉様への想いは伝わりました。ですが姉様の霊感は私よりも強い故、悪霊を引きつける可能性が高いです。もしまた襲われでもしたら、どう責任を取るつもりです?」
「大丈夫。記憶を抜き取った際、神の手……死神のマストアイテムの欠片を御守りと一緒に渡してある。自分から除霊されたい悪霊でない限り、あの人を襲うことはできない筈だよ。それに……」
「それに、何です?」
「こんなに愛してくれている人が身近にいるんだ。俺に出来ることはもうないよ」
一人っ子だった遊良にとって、彼女たちのような姉妹は羨ましかった。ましてや遊良の家庭は崩壊していたこともあり、親族からの愛を感じられる時間も非常に短かった。それ故に15年の生涯の中で愛する人を見つけることは叶わなかったが、死神として蘇り、いつきと現世で再会することで少しだけその感情を知ることができた。
今のいつきはもう、遊良のことを一切覚えていない。そして今の遊良にも、いつきへの未練は一切ない。そして『守矢』の力を宿した明神を手にした今、みづきも悪霊に巻き込まれる心配もない。最も辛い選択をしたが、結果的にそれが最善の道へと繋がったのだ。
「では、いずれまた何処かで。死神さん」
「……正直、貴方とはもう関わりたくないですけどね」
午前1時。遊良の中で1つの未練に、決着がついた瞬間だった。
オリカ紹介(掲示板投稿済み)
○憎悪の勇者モルドレッド(Lv8 闇)
戦士族/特殊召喚/効果
攻2900/守2500
このカードは通常召喚できない。自分のフィールド・墓地から「ヘイトレッドハート」モンスター3体を除外した場合のみ特殊召喚できる。①:このカードの戦闘で発生するダメージはお互いが受ける。②:1ターンに1度、このカードの攻撃力より低い攻撃力を持つ相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地へ送る。この効果は相手ターンでも発動できる。③:このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、「ヘイトレッドハート」モンスター5体を選んでデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。
○憎悪の勇者モルドレッド・フュリアス(Lv8 闇)
戦士族/融合/効果
攻3100/守2500
「憎悪の勇者モルドレッド」+戦士族・闇属性モンスター1体以上
①:「憎悪の勇者モルドレッド・フュリアス」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。②:自分が戦闘・効果ダメージを受ける度に発動する。このカードの攻撃力はターン終了時まで、その数値分アップする。③:1ターンに1度、除外されている自分の「ヘイトレッドハート」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地に戻す。この効果でレベル7以上のモンスターを戻した場合、自分の墓地の魔法カード1枚を選んで手札に加える事ができる。
○円卓融合(通常魔法)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分の手札・フィールドから、「ヘイトレッドハート」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果を発動したターンのメインフェイズ1終了時、お互いは融合素材モンスター及びその融合モンスターのレベルの合計×100ダメージを受ける。2000ダメージ以上受けた場合、この効果で特殊召喚されたモンスターは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。
○白き竜の威嚇(速攻魔法)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分のメインモンスターゾーンの「ヘイトレッドハート」モンスターが戦闘を行うダメージ計算時に発動できる。そのモンスターが戦闘を行うダメージステップ終了時まで、相手は魔法・罠カードの効果を発動できない。その後、このカードを発動したゾーンと同じ縦列に存在する相手のカード1枚を選んで破壊できる。
○赤き竜の咆哮(通常罠)
①:自分フィールドの「ヘイトレッドハート」モンスターが攻撃対象に選択された場合に発動できる。相手フィールドのリンクモンスターを全て破壊する。その後、フィールドのモンスターを全て守備表示にする。②:自分の墓地からこのカード及び「白き竜の威嚇」1枚を除外して発動できる。相手フィールドの攻撃力または守備力が2800以上のモンスターを全て破壊する。
○ワースの伝承(通常罠)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分フィールドの戦士族・闇属性モンスターが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。デッキからそのモンスターよりレベルが低い「ヘイトレッドハート」モンスター1体を特殊召喚する。その後、そのモンスターのレベル×200ダメージを相手に与える。②:EXモンスターゾーンに自分のモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「ヘイトレッドハート」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
遊良の一言追伸
四阿さん、今度こそ、本当のお別れですね。
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