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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第10話:遊良vsみづき 前編

第10話:遊良vsみづき 前編 作:カズ

~前回まで(7~9話)のあらすじ~
全国規模で発生していた誘拐事件の首謀者が悪霊だと突き止め、亜利沙は死神を総動員した一網打尽計画を打ち立てる。遊良と亜利沙は悪霊の罠に嵌ってしまい、亜空間に閉じ込められたものの、デュエルで無事に撃退。
様々な情報を入手し、その中には亜利沙が追い求めた「三明神」の在処もあった。しかしその在処は遊良の生前のクラスメート、四阿いつきの実家だった。夜明け前に侵入を試みるも、神社の管理権を持つみづきが夢の中にいたため失敗に終わる。
同日、亜利沙から「死神との繋がりが発覚すれば今後も狙われる」と忠告されるも、生前の記憶を思い返した遊良は、それに反して正体を明かすことを決意するのだった。






「あれ?何だろ、この黒い封筒」


 遊良がわたぬき荘に戻るより1時間前。いつきが大学のカリキュラムを終え帰宅すると、自分宛に差出人不明の封筒が届いていた。怪しい宗教勧誘かもしれないと思いつつ封を切ったが、中にはたった一文の手紙しか入っていなかった。


『今夜22時、墓地で待っています。死神・漣 弓弦』


(死神さん…?ていうか、どうして私の名前を知ってるんだろう。四阿って苗字、結構珍しいのに漢字までピッタリ一緒だし)
「表札でも見たのかな。でもそれじゃあ苗字しか知らないはず……」


 四阿という苗字は全国的にも珍しく、その姓を持つ人は60人前後しか存在しない。「表札を見た」といういつきの推測が正しければ辻褄が合うのだが、彼女の名前まで、しかもドンピシャで平仮名表記だということを知っているのはあまりに不自然だ。
 一度会ったきりの人間の姓名を死神が知っている理由が万が一、いつきの考えと一致していたとしたら─────。



「……行ってみよう。悪い人じゃないことは確かだし」


 いつきは死神との邂逅を決意した。助けてもらった時のお礼をまだ済ませていなかったこともあるが、ここで会わなければ全てが有耶無耶のままで終わってしまうと思ったからだ。幸いにも指定された場所は徒歩で15分程度の近場であったため、できる限りの準備をしておくことにした。
 そして、その様子を扉の隙間から見届けていた人物が一人。





「場所は合ってるはずだけど、ここって……」


 約束の時間より10分早く、いつきは墓地に到着していた。真夜中の墓地は日照時間と比べ不気味な空気が漂い、それによって体感温度も実際より低く感じられる。淡い月明かりの下では別の空間に足を踏み入れたような錯覚に陥るのは、単に静寂によるものだけではないだろう。
 この場所で「何か」が起こる。漠然とした予感を抱く最中、突如としていつきの目の前に黒い霧が発生し、そこから黒装束を纏った遊良が現れた。


「四阿いつきさん、ですね?」
「はい。手紙の通りに来ましたけど、ここって……」
「3年前に他界した、凪という少年の墓です」


 いつきが導かれた場所は、かつてクラスメートだった凪 遊良の墓前だった。死神が何故この場所を指定したのか、そして何故、自分と縁ある人物を知っているのか。その疑問を晴らす一言が、死神の口から放たれた。


「始めに言います。俺は、3年前に他界した凪遊良です」
「……そう、なんだ」


 墓標の前に死んだはずの張本人が自分の目の前に立っている。それどころか偽名を使ってまで死神として活動していたことに衝撃を禁じ得ず、2人の間に沈黙が生じた。


「やっぱりなー」
「えっ?」
「だって、声とか身長とか凪くんそのものだったもん。あれで他人の空似ですー、なんて言われても信じないよ」


 10秒ほど続いた沈黙を破ったのは、やはりいつきだった。彼女は初めて再会したあの時から、死神の正体が遊良だと信じていたのだ。亜利沙に「全く関係ない」とはぐらかされた程度で乙女の勘は揺らがないということだろうか。「絶対に正体を悟られてはいけない」という掟を破るほど決死の覚悟で打ち明けた遊良からすれば、彼女の緩い返答はあまりにも拍子抜けだった。
 寧ろ、遊良の現状を根掘り葉掘り追求してこなかっただけでも幸いだった。普通なら、「死後の世界がどんなものか」「何故幽霊ではなく死神として蘇ったのか」などと聞きたいことが山のようにあるはずだが、それらについては一切言及してこなかった。


「少しさ、昔話でもしよっか。凪くんに話したいこと、いっぱいあるんだ」
「……うん」
「嬉しいな。こうして凪くんとまた話せるなんて」


 中学の担任が結婚していたこと、遊良の友人の1人がバンドを始めるために音大に進学したこと、いつきが進学した大学の講義が思っていた以上に難しくて大変なこと、遊良が他界してから暫く塞ぎ込んでいた時期があったこと等々。この3年間で様々な変化が訪れていたのは嬉しいことの筈なのに、同時に寂しくも感じた。
 遊良も生前の病気から解放され、無事に死神として活動していること、場所は教えなかったが高校にも通っていること等、今の生活が充実している旨を伝えた。事実上の不老不死であることを話したら激しく羨ましがっていたが、孤独の中で永遠の時を過ごす可能性があるなどのデメリットも話すと、「死ぬ時は天国に直行したい」と正直すぎる感想をもらした。


「ね、試しに『お姉ちゃん』って呼んでみてくれない?」
「どしたの突然?」
「今の凪くんって実質15歳じゃん」
「うん」
「私18歳。年上じゃん」
「うん」
「だから。ね?」
「短絡的すぎない?」


 昔話で盛り上がっている最中、突然とんでもない羞恥プレイが始まった。いつき曰く「自分が忙しいのもあってか、最近妹が素っ気ない」とのことだが、だからといってかつての同級生に対してやることではない。俗に言う「深夜テンション」と日頃の疲れが蓄積したことで暴走してしまったのだろう。
結局根負けして「いつきお姉ちゃん」と呼んでしまったが、終わった後にいつきも冷静さを取り戻したようで、「なかったことにしてくれない?」と頼み込まれた。



「それでさ、凪くん。わざわざ夜中にこんな場所に呼んだって事はさ、まだ他にも話したいことあるんでしょ?」
「……」
「何だって聞くよ?」


 いつきの観察眼は鋭く、遊良の隠し事を見抜いていた。これ以上の時間稼ぎはできないと悟った遊良は生前の思い出にずっと浸っていたい気持ちを抑え、「本題」を打ち明けた。



「四阿いつきさん。貴女には、凪遊良に関する記憶を全て失ってもらいます」
「えっ……!」
「といっても、一時的に記憶を預かるだけなんですけど」


 遊良が下した「覚悟」、それは、いつきから自分に関する記憶を奪う事だった。一時的というのも「遊良が死神として現世に留まっている間」に限るため記憶はいずれ還元されるのだが、その時の遊良は未練なく天国へと旅立っているか、悪霊退治に失敗して何処ともいえぬ場所を彷徨っている。そうなれば再び彼女に辛い思いをさせてしまうのではないかという懸念もあるが、還元する際には遊良自身の想いを添える予定であるため、いつきが早まる心配はない。
 しかし、流石のいつきでも人為的に記憶を奪われることは想定していなかったため、遊良が正体を打ち明けた時よりも長く絶句していた。そして、その間に浮かべていた彼女の表情は悲しみに満ち満ちていた。こうなる未来は予測できたはずなのに、いざそれを見ると遊良の胸も苦しくなった。


「……心理学の講義で学んだんだけどね、人の記憶って1日で75%近くのことを忘れちゃうんだって。だけど凪くんの事だけは、お婆ちゃんになっても忘れたくなかったな」
「四阿さん……」
「でもさ、きっとこれも『いつまでも過去のことを引き摺るな』っていう神様の啓示なのかも。あ、そういえば凪くん死神だったね」
「辛く、ないの?」
「……ううん。でも、最後に凪くんと話せてよかった。ありがとうね」


 しかし、いつきは悲しみの中でうずくまるような少女ではなかった。辛さを押し殺した作り笑いではあったが、たとえ記憶を失っても遊良の分まで前に進もうとする決意が垣間見えた。
 そんな彼女の苦しそうな顔を見たくなかった遊良は、いつきを優しく抱擁した。それに釣られていつきも抱擁し返すが、その2秒後には彼女は気絶していた。亜利沙から改良を施してもらった神の手で、遊良に関する記憶だけを抜き取ったのだ。急拵えだったため霊感まで消すことはできなかったが、そもそも霊感は、その人が生まれ持っていた性質も含まれているため、神の手でも処理できなかった可能性が高い。


(もう、四阿さんが戦いに巻き込まれることはない。これでよかったんだ……)


 死神として戦いを続けている遊良との関わりを断ち切れば、いつきが無益な争いに巻き込まれることはない。
 これでよかったと、そう思い込むことでしか前に進めなかった。他に選択肢がなかった以上、この事実を受け入れる覚悟はできた「つもり」だった。しかしそれでも、心の何処かにそれを許せない自分がいた。それが弱さの証拠だと分かった時には本当に悔しくて、悔しくて、遊良は初めて涙をこぼしていた。















 気絶したいつきをおぶって四阿家まで戻ってくると、門前には彼女の妹、みづきが待ち構えていた。


「姉様っ!?」
「……」
「あなた……姉様に一体何をしたのですか!?」
「大丈夫です。眠っているだけですので」


 姉の身に何が起こったのかを一切知らないみづきからすれば、目の前にいる死神はどんなに取り繕っても怒りの矛先でしかない。それを承知の上で遊良もみづき宛に黒封筒を送りつけたのだが、彼女の逆鱗に触れてしまったようだ。


「四阿みづきさん。貴方の家に祀られている明神、預からせてくれませんか?」
「……よくもまあ、私の敬愛する姉様を拐かしておいてそんなことを平然と言えますね。死神とやらは、目に見える地雷を踏み抜くのが趣味なんですか?」


 遊良がみづき宛に送った手紙には「今夜24時、貴女の家に祀られている明神について話があります。」とだけ記しておいた。いつきからも同様の旨を聞かされ、無神経すぎる死神相手には一切話すことはないと問答無用で突き返す予定だったのだが、意識を失っている姉の様子を見せられ気が変わった。


「死神が悪霊を退治するのにデュエルを使うと、風の噂で耳にしました。なので、その倣わし通り、明神を懸けて一戦どうです?」
「意外……でもないですね。いいですよ」


 3年前から始まった死神の活動は殆どの人間に知られていないとはいえ、みづきのように巫女として活動している人物には噂程度で認知されつつある。「自分たちの出る幕が減って助かっている」と恩義を感じている者はいるが、逆に「余計な手出しをしないでほしい」と死神の活動に対して否定的な意見を持つ者も一定数存在する。
 みづきも多少は恩義を感じていたのだが、尊敬する姉が死神の干渉を受けてしまったことで「敵」として認識を改めた。加えて今度は大切に祀っている明神までもが奪われようとしているのだから、彼女がこのデュエルに懸ける思いは何よりも大きい。
 一方で遊良も亜利沙の願いを叶えるため、そして二度といつきを危険な目に遭わせないため、是が非でも明神を手に入れたかった。双方がどんな事情を抱えていようが、勝者に明神を確保する権利が与えられる。
 世紀の大一番ともいうべきデュエルが今、人知れず始まった。






「「デュエル!!」」


弓弦→LP:8000 手札:5 デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 魔法&罠ゾーン:0 フィールドゾーン:0 墓地:0 除外:0


 V S


みづき→LP:8000 手札:5 デッキ:35 メインモンスターゾーン:0 魔法&罠ゾーン:0 フィールドゾーン:0 墓地:0 除外:0


*TURN01
「先攻は譲ります」
「姉様を誑かした罪滅ぼし、というわけですか。いいでしょう」
「いや、だからお姉さんとは誑かすとかそういう関係じゃなくって……」
「これ以上は聞きません!手札から魔法カード『ダーク・オカルティズム』を発動!手札から『カース・ネクロフィア』を捨てて、デッキから『ウィジャ盤』を手札に加えます」



○ダーク・オカルティズム(通常魔法)
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:手札を1枚捨てて発動できる。自分のデッキ・墓地から「ウィジャ盤」1枚または悪魔族・レベル8モンスター1体を選んで手札に加える。②:墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の手札・墓地の「ウィジャ盤」及び「死のメッセージ」カードの中から、任意の数だけ選び(同名カードは1枚まで)、好きな順番でデッキの一番下に戻す。その後、戻した数だけ自分はデッキからドローする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。


○ウィジャ盤(永続罠)
このカードと「死のメッセージ」カード4種類が自分フィールドに揃った時、自分はデュエルに勝利する。①:相手エンドフェイズにこの効果を発動する。手札・デッキから、「死のメッセージ」カード1枚を「E」「A」「T」「H」の順番で自分の魔法&罠ゾーンに出す。②:自分フィールドの「ウィジャ盤」または「死のメッセージ」カードがフィールドから離れた時に自分フィールドの「ウィジャ盤」及び「死のメッセージ」カードは全て墓地へ送られる。


○カース・ネクロフィア(Lv8 闇)
悪魔族/特殊召喚/効果
攻2800/守2200
このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:除外されている自分の悪魔族モンスター3体を対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、対象のモンスターをデッキに戻す。②:モンスターゾーンのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを墓地から特殊召喚する。その後、自分フィールドの魔法・罠カードのカード名の種類の数まで相手フィールドのカードを選んで破壊できる。


「そして手札からフィールド魔法『ダーク・サンクチュアリ』を発動!モンスターを裏守備表示でセット、カードを1枚伏せてターンエンドです」
みづき→LP:8000 手札:1 デッキ:35 メインモンスターゾーン:1 魔法&罠ゾーン:1 フィールドゾーン:1 墓地:2 除外:0



○ダーク・サンクチュアリ(フィールド魔法)
①:自分の「ウィジャ盤」の効果で「死のメッセージ」カードを出す場合、そのカードを通常モンスター(悪魔族・闇・星1・攻/守0)として特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したカードは「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない(この効果が適用されたモンスターしか自分フィールドに存在しない状態での相手の攻撃は自分への直接攻撃になる)。②:相手モンスターの攻撃宣言時に発動する。コイントスを1回行う。表だった場合、その攻撃を無効にし、その相手モンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える。



*TURN02
(やっぱ先攻譲ったの、失敗だったかな……)
「俺のターン、ドロー!」


 デュエルに於ける勝利条件はライフポイントが尽きること以外にも存在する。その中には特定の条件を満たすことで発生する「特殊勝利」があり、その中でも【ウィジャ盤】と【エクゾディア】は特に有名だろう。しかしそれを狙うことは決して簡単ではなく、それより先にデュエルの決着がついてしまう事例もままある。
 神を懸けた大一番でそのようなデッキを使うということは、彼女が絶対的な自信を持っている証拠だ。


「『憎悪の勇者イヴァン』を通常召喚。現れろ、死せざる魂を繋ぐサーキット!召喚条件はレベル4以下の戦士族・闇属性モンスター1体。レベル1のイヴァンをリンクマーカーにセット!リンク召喚!!リンク1『憎悪の勇者サフィール』!!」


 遊良の初手にはモンスターがイヴァンしか引き込めず、他は全て魔法・罠カードだった。『王の牧歌』や『マーリンの予言』などのサーチ効果を持つものもあったが、返しのターンのことを考えればあまり好ましい状況ではない。しかしサフィールには、一気に攻めに転じることができる展開効果を持っている。


「魔法カード『王の牧歌』を発動!自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しないことで、デッキから『憎悪の勇者ランスロット』を特殊召喚。そしてサフィールの効果発動!このカードのリンク素材としたモンスターとはカード名が異なるモンスター、『憎悪の勇者ラモラック』をデッキから自身のリンク先に特殊召喚!」
「モンスターが3体、ということは……」
「現れろ、死せざる魂を繋ぐサーキット!召喚条件は戦士族・闇属性モンスター3体。サフィール、ラモラック、ランスロットの3体をリンクマーカーにセット!リンク召喚!!反逆の轍を踏み越え現れろ、リンク3『憎悪の勇者ランスロット・リヴォルト』!!」


 暗黒の鎧『リヴォルト』を纏った勇者、ランスロット・リヴォルトを1ターン目からリンク召喚し、攻撃態勢を整えた。墓地へ送られたラモラックの効果によりランスロット・リヴォルトの攻撃力分だけライフを回復したことで、『ダーク・サンクチュアリ』による効果ダメージ対策も怠らなかった。


「ランスロット・リヴォルトの効果発動!墓地から『憎悪の勇者ランスロット』を自身のリンク先に特殊召喚し、相手に1250ポイントのダメージを与える!」
「っ…!」
みづき→LP:6750


「バトル!ランスロット・リヴォルトで裏守備モンスターを攻撃!」
「この瞬間、フィールド魔法『ダーク・サンクチュアリ』の効果発動!相手モンスターが攻撃宣言を行う度にコイントスを行い、表が出ればその攻撃は無効となり、追加でそのモンスターの攻撃力の半分だけダメージを与えられます」
「ッ…!」
「いきます」


 みづきが懐から取り出したコインには、表向きに大文字の「D」が掘られていた。とあるアーティストのライブ会場でもらった戦利品らしいが、時間経過により酸化して鈍色に変わっている。しかし彼女はこのコインを特別に思っており、今までのコイントスを用いたデュエルでずっと使い続けている。
 彼女の魂が込められた運命のコイントス。その1回目は─────。


「表!よってランスロット・リヴォルトの攻撃は無効となり、1250ポイントのダメージが入ります」
「くっ…。けど2回目はどうかな?ランスロットで裏守備モンスターを攻撃!ソード・オブ・トランプ!!」
「再び『ダーク・サンクチュアリ』の効果発動!コイントスの結果は……表!よって再び1250ポイントのダメージを受けなさい!」
「なっ!?」
弓弦→LP:8000


 2体のランスロットを以てしてもみづきへの攻撃は一切通らず、逆に遊良が2500ものダメージを受けてしまった。『ダーク・サンクチュアリ』の恐ろしい所は、運要素が絡んでいるとはいえ『ウィジャ盤』による特殊勝利以外にもバーンダメージによる勝利を狙える事だ。相手のコイントスで表が出ることを警戒して攻め手を減らせばウィジャ盤による特殊勝利が確定し、攻めたとしてもコイントスの結果次第で死のメッセージが全て揃う前に敗北する。いずれにしろターンが経過すれば敗北する未来は避けられない以上、遊良はたとえ残りライフが1になろうが攻め続けるしかないのだ。
 とはいえ【ヘイトレッドハート】には効果ダメージを与える手段も多いため、そちらをメインに据えた戦法にシフトチェンジする方法もある。ランスロットとランスロット・リヴォルトの効果を組み合わせれば毎ターン2500ポイントのダメージを与えることはできるのだが、みづきがそのコンボを封じてくることを想定しておく必要もある。


「始めに言っておいた方が良かったかしら。私がこれまでのデュエルでコイントスで表を出した確率の平均は、7割強。せいぜい4回に1回は裏を出すことはありますが、この確率を維持し続ける限り私は負けません」
「…カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
「この瞬間、永続罠『ウィジャ盤』を発動!その効果により『死のメッセージ「E」』が私のフィールドに置かれる。そして『死のメッセージ』が4種類出揃った瞬間、私はこのデュエルに勝利します」
「だったら、その前に勝ってみせる」
「姉様を誑かした痴れ者が、私に勝てると思っているのですか?」
弓弦→LP:8000 手札:1 デッキ:32 メインモンスターゾーン:1 魔法&罠ゾーン:2 フィールドゾーン:0 墓地:5 除外:0


 このデュエルに於ける遊良の敗北は、4枚のメッセージカードが並べられた瞬間に訪れる。どんなに長くても6ターン以内に勝敗は決まってしまうが、圧倒的な強運を持つみづきを相手に、為す術はあるのか。



~現在の状況~
弓弦→LP:8000 手札:2 デッキ:32 メインモンスターゾーン:1 魔法&罠ゾーン:2 フィールドゾーン:0 墓地:5 除外:0 EXモンスターゾーン:1(コントローラーから見て右側)


みづき→LP:6750 手札:1 デッキ:33 メインモンスターゾーン:2 魔法&罠ゾーン:1 フィールドゾーン:1 墓地:2 除外:0





未投稿オリカ紹介
○憎悪の勇者サフィール(LINK1 闇)
戦士族/リンク/効果
攻1000
【リンクマーカー:下】
レベル4以下の戦士族・闇属性モンスター1体
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:リンク召喚したこのカードが表側表示で存在する限り1度、発動できる。手札・デッキから、このカードのリンク召喚に使用したモンスターとはカード名が異なる「ヘイトレッドハート」モンスター1体をこのカードのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はリンク2以下のモンスターを特殊召喚できない。②:自分フィールドの「ヘイトレッドハート」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。





遊良の一言追伸(亜利沙不在のため代打)
四阿さん、今までありがとうございました。
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