第6話：1-2　作：光芒

○前書き
ザシ○ンの厳選がやっっっと終わりました（陽気HaBDSの5Vという奇跡）
ああ……次はメ○モンだ……（死んだ目）










「ダーク・エルファイバーの効果は使えなかったけど、もう一つの効果は生きてるよ！ ダーク・エルファイバーの効果を発動！ フィールドのこのカードをゲームから除外することで、手札からレベル6以上のKozmoモンスター1体を特殊召喚するよ！」

　クリスさんはフェルブランの効果で最上級Kozmoモンスター1体を手札に加えています。最上級のKozmoモンスターはいずれも高い攻撃力を持っているため、モンスターによってはアークパーシアスであっても突破されてしまうでしょう。

「私は手札の《Kozmo-ダークシミター》を―――」
「パーミッションを甘く見ないで貰いたいですわ！ リバースカードを発動を発動します。カウンター罠《神の摂理》！」

《神の摂理》
カウンター罠
(1)：モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、そのカードと同じ種類（モンスター・魔法・罠）の手札を1枚捨てて発動できる。その発動を無効にし破壊する。

「神の摂理！？」

チェーン2（アリス）：神の摂理
チェーン1（クリス）：Kozmo-ダーク・エルファイバー

「チェーン2の神の摂理の効果。手札のモンスターカード《大天使クリスティア》を捨てることでモンスターであるダーク・エルファイバーの効果の発動を無効にして破壊しますわ！」
「Nooo！！ あうう、愛する人を救えなかったエピソード3のダーク・エルファイバーの気分だよ……」

　私はそのシリーズの映画を見たことないのでわかりませんが、見たことがあるであろうアリスさんと遊舞さんは気持ちがわかるのかうんうん、と頷いていました。遊舞さんが小声で「あそこでシリーズが終わっていればよかったのにね」と言っていましたが、それは敢えて聞かないことにしておきます。

「カウンター罠が発動したため、豊穣のアルテミスの効果が発動します。1枚ドローです」
「手札コストまで補填されちゃったよ……」
「だから言ったでしょう？ パーミッションは幾重にもわたる防衛線を敷くことができるデッキです。半端な攻めはかえって被害を増すだけですわ」
「だよね……でも、輪廻のパーシアスも神の摂理も使っちゃったんだからもう手はないよね？ ってことでリバースカードオープン！ 永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動するよ！」

《リビングデッドの呼び声》
永続罠
(1)：自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

「リビングデッドの呼び声……なるほど、Kozmoデッキなら入っていて当然のカードですわね」
「そういうこと！ 私は墓地から《Kozmo-ダークエクリプサー》を特殊召喚するよ！」

《Kozmo-ダークエクリプサー》
効果モンスター
星9/闇属性/機械族/攻3000/守2600
(1)：このカードは相手の効果の対象にならない。
(2)：罠カードが発動した時、自分の墓地から「Kozmo」モンスター1体を除外して発動できる。その発動を無効にし破壊する。
(3)：このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル8以下の「Kozmo」モンスター1体を手札に加える。

「……攻撃力3000ですか」
「バトル！ アークパーシアスも厄介だけど、もうこれ以上手札を増やされたくないからね！ 豊穣のアルテミスを攻撃！ “エクリプス・オブ・エンパイア”！」

Kozmo-ダークエクリプサー　ATK3000　VS　豊穣のアルテミス　ATK1600

アリス　LP7000→LP5600

「っ……」
「パーミッションはカードが揃っていれば強いけど、その反面カードが揃っていないときついんでしょ？ このまま押し切っちゃうよ！ バトルフェイズを終了、このままターンエンドだよ！」

クリス　LP7500　手札1枚
デッキ：31　モンスター：1（Kozmo-ダークエクリプサー）魔法・罠：2（リビングデッドの呼び声）墓地：3　Pゾーン：青/赤　除外：2　EXデッキ：15（0）
アリス　LP5600　手札1枚
デッキ：32　モンスター：1（天空聖騎士アークパーシアス）魔法・罠：1　墓地：5　Pゾーン：青/赤　除外：0　EXデッキ：15（0）


☆TURN04（アリス）

「私のターン、ドローですわ。あら……」
「どうしたの、可愛い声出しちゃって～」
「クリス、あなたにちょっと申し訳ない気持ちになってしまいまして……魔法カード《サンダー・ボルト》を発動しますわ」

《サンダー・ボルト》
通常魔法（制限カード）
(1)：相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

「ええっ！？ そこでそれ引くのーっ！？」
「引いてしまったのですからしょうがないことですわ。ということでダークエクリプサーを破壊します」

　雷撃を受けたダークエクリプサーは黒煙を吐きながら落ちていき、そして爆散します。しかし、ダークエクリプサーは破壊されたとしても自身のレベル以下のKozmo1体を手札に加えることができるため、サンダー・ボルトを撃ったところで気休めにしかならないのが現状です。

「破壊されたダークエクリプサーの効果を発動するよ！ このカードをゲームから除外してダークエクリプサーのレベル以下のKozmo1体を手札に加えるよ！」

　ただ、他のカードとの組み合わせでその効力は数倍にも跳ね上がるのです。

「リバースカードオープン。速攻魔法墓穴の指名者を発動します」

チェーン2（アリス）：墓穴の指名者
チェーン1（クリス）：Kozmo-ダークエクリプサー

「ゔっ……！」
「ダークエクリプサーを除外し、その効果の発動を無効にします。よってチェーン1のダークエクリプサーの効果は無効です。では、バトルフェイズに移行します。アークパーシアスでダイレクトアタックです。“セレスティアル・パーミッション”」

天空聖騎士アークパーシアス　ATK2800

クリス　LP7500→LP4700

「戦闘ダメージを与えたことでアークパーシアスの効果を発動しますわ。デッキからパーシアスカードもしくはカウンター罠1枚を手札に加えますわ。私が手札に加えるのは永続魔法《パーシアスの神域》。そしてメインフェイズ2に移行し、パーシアスの神域を発動します！」

《パーシアスの神域》
永続魔法
(1)：このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「天空の聖域」として扱う。
(2)：このカードが魔法＆罠ゾーンに存在する限り、フィールドの天使族モンスターの攻撃力・守備力は300アップし、フィールドにセットされた魔法・罠カードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。
(3)：1ターンに1度、自分の墓地の天使族モンスター及びカウンター罠カードの中から、合計3枚を対象として発動できる（同名カードは1枚まで）。そのカードを好きな順番でデッキの上に戻す。

「パーシアスの神域が存在する限り、フィールドの天使族モンスターの攻守は300アップし、セットされた魔法・罠カードは効果の対象にならず、効果では破壊されませんわ」

天空聖騎士アークパーシアス　ATK2800/DEF2300→ATK3100/DEF2600

　アークパーシアスの攻撃力は3000を超えたため、クリスさんのデッキではダークエクリプサーをもってしても戦闘破壊ができなくなりました。もちろん効果で破壊することはできますが、デュエルモンスターズはそう都合よく効果破壊できるカードを引けるようなゲームではありません。もちろん、アリスさんのようにサンダー・ボルトを引けるという強運を発揮できるケースもあるのですが。

「パーシアスの神域の効果を発動します。墓地の天使族モンスターおよびカウンター罠カードから合計3枚を対象として発動、そのカードを好きな順番でデッキの上に戻します。私は豊穣のアルテミス、輪廻のパーシアス、神の宣告の3枚をデッキトップに戻します。私はこれでターンエンドですわ」

クリス　LP4700　手札1枚
デッキ：31　モンスター：0　魔法・罠：1　墓地：4　Pゾーン：青/赤　除外：3　EXデッキ：15（0）
アリス　LP5600　手札1枚
デッキ：33　モンスター：1（天空聖騎士アークパーシアス）魔法・罠：1（パーシアスの神域）墓地：4　Pゾーン：青/赤　除外：0　EXデッキ：15（0）

☆TURN05（クリス）

「私のターン、ドロー！！……っ」

　ドローカードを見たクリスさんは苦虫を噛み潰したような顔をします。Kozmoはデッキの性質上、上級モンスターを多く採用するため手札事故のリスクがどうしてもつきまとってしまうのです。今のクリスさんの手札2枚のうち、1枚はダーク・エルファイバーの効果で特殊召喚しようとした《Kozmo-ダークシミター》であることが明らかになっているため、恐らくそれと同じような上級以上のモンスターを引いてしまったのでしょう。

「……私は、ターンエンド」

クリス　LP4700　手札1枚
デッキ：31　モンスター：0　魔法・罠：1　墓地：4　Pゾーン：青/赤　除外：3　EXデッキ：15（0）
アリス　LP5600　手札1枚
デッキ：33　モンスター：1（天空聖騎士アークパーシアス）魔法・罠：1（パーシアスの神域）墓地：4　Pゾーン：青/赤　除外：0　EXデッキ：15（0）

☆TURN06（アリス）

「私のターン、ドロー。これで決めさせてもらいますわ。豊穣のアルテミスを召喚」

豊穣のアルテミス　ATK1600/DEF1700→ATK1900/DEF2000

「そしてバトル！ 豊穣のアルテミス、天空聖騎士アークパーシアスでダイレクトアタック！」

豊穣のアルテミス　ATK1900

クリス　LP4700→LP2800

天空聖騎士アークパーシアス　ATK3100

クリス　LP2800→LP0






＊





「うう、最初っから最後まで翻弄されっぱなしだったよぉ……やっぱり私はセントラル校随一のポンコツなんだぁ……」
「You’ve never heard of the Forerunner？（あなたはフォアランナーを知らないのですか？） デュエリストは中身で勝負、ですわ。クリス！」
「アリス……そうだよね！ デュエリストは中身だよね！ よし、宇宙最強のガラクタを目指すよ！」

　宇宙最強はともかくガラクタって表現はどうなんでしょうか……さて、肝心のデュエルですが、互いにデッキの内容をよく知っていることもあってどのカードを使われるとまずいか、ということを理解していたために締まったデュエルになったと思います。近しい間柄同士の二人のデュエルとなると、いつも以上に警戒して臨まなければならない、ということを改めて教えられました。

「うん、二人ともいいデュエルだったと思うよ☆ 次はアタシとやろー！」
「よっし！ じゃあアリスに負けちゃったからその借りを遊舞ちゃんで返しちゃおっかなー？」

　落ち込むのはそこそこに、反省しつつ前を見て歩き出せるのもまた才能の一つです。クリスさんはお二人のデュエルを見てデュエル熱が熱くなった遊舞さんと二戦目に臨むようです。

「ふぅ……」
「大丈夫ですか？」
「ええ。一回のデュエルであればともかく、連戦となるとまだ体力には自信がありませんわ……」
「でも、だいぶ改善されてきたと思いますよ。これを契機に少しずつ歩いていきましょう」

　一方で勝ったアリスさんもこの勝ちに奢ることはないようで、私の隣に腰かけては遊舞さんとクリスさんのデュエルを見ていくようです。生まれ持った身体の弱さがあるとはいえ、アリスさんもクリスさんに負けないような向上心があるようです。
　デュエリストとしての実績では負けるつもりはありませんが、生まれ持ったハンディを受け入れつつ前に進もうという姿勢は私にないものであり、私もアリスさんからは数多くのことを学ばなければなりません。

「……結衣さん」
「どうかしましたか？ まさか体調が……」
「いえ、体調は落ち着いています。私、セントラル校に入ることができて本当によかったです」
「……私もです」

　私とアリスさんはそう言ってにっこりと笑い合いました。そんな中、デュエルフィールドでは遊舞さんの【ゲイルアイズ】に早々と圧倒されたクリスさんの「うぎゃー！」という悲鳴が響き渡ります。もう少し余韻に浸りたかったんですけどね。

「……もう、クリスったら。品がない悲鳴ですこと」
「クリスさんの明るさも私にないものですから、クリスさんにももっと学びたいですね」