持たざる者の反逆　作：パシフィスの人

「なんだよーこのカードレアカードだと思ったら通常モンスターサポートじゃんか！」

「あーせっかくレアカードが確定してたのに、外れひいちゃったね。」

「ちっくしょう　せめてデッキから特殊召喚できる・・・なんだっけ？」

「名前は知らないけどデッキから特殊召喚できる通常サポートカードだったら　LやXに使えるもんね。」

「そうだよなーこの当たった、通常モンスターがいないと発動できないカードなんて、俺にとっては
ノーマルカード以下だぜ！」

「そうだね、でも次はいいカードが当たるといいね。」

「このカード正直あっても邪魔だし捨てるか。」

「こらっポイ捨ては良くないよ。ちゃんとリサイクルしなきゃ。」

「リサイクルってどこに？」

「カードショップの人に渡せばいらないカードは引き取ってもらえるよ、もしかしたら欲しい人が
いるかもしれないし。」

「こんなカード店の人に渡しても店のスペースの邪魔になるよ、そう考えたら　ポイ捨ても悪くないだろ？」

「そうかもしれないね、」


2人は笑いながらカードをポイ捨てした、しかし2人が言うことはこの世界では決して間違いじゃない。
通常モンスターは基本出されることはあっても、すぐに素材やコストになる。
なぜなら今のデュエルの高速化に唯一の強みのステータスを生かせないからである。
ペンデュラム通常モンスターは世間からはただのスケールか永続魔法としてしか見られていない。


「でもよー　こんなカードを欲しがるやつなんてそもそもいるのか？」

「ははは　いないと思うよ。でもいるとしたら、すごい貧乏人か　よっぽどの馬鹿だね。」

「そうだな。よっぽどの馬鹿か貧乏人しか欲しがらないな。」

ハハハハハ

フフフッ





「貧乏で悪かったな。」



2人の話を後ろから聞いてた　男は小声でつぶやきつつ捨てられたカードを拾った。


「ふぅ　これで20枚目あと20枚あればデッキが組める。」


彼の名前は『水堂　遊原』（すいどう　ゆうげん）彼がカードを拾い集めてるのには理由があった。

早くカードを集めてこの大会に向けて練習しないといけないしな・・・

彼は壁に貼られた広告を見てそう思った。その広告には。


神崎プロ主催　決闘大会　参加募集中！！
大会に出て優勝すればなんと賞金１００万DPに加え神崎プロの弟子になれる！
参加して君もプロ決闘者をめざそう！！

と書かれていた。

彼は良い生まれではない1年前まではたった一人の親とかわいい兄弟と暮らしていたが、
親が死に、頼れる大人もいないので彼が兄弟の面倒を見ている。幸い親が最後に残してくれた保険金の
おかげで何とか生活はできているが保険金も無限じゃない。彼は一刻も早く稼がないといけなかった。
しかし彼は未成年　未成年じゃ働くこともできない。だが
『プロ決闘者』としてなら未成年でも働くことができる。彼は兄弟に無理をさせないようプロになって、
家族に楽をさせてあげたい。しかし彼の家にはお金がない、レアカードもない、
彼ができることはカードを拾ってデッキを組むことだった。しかしテーマデッキは当然組めない。
ならどうするか。彼が見つけた答えは通常モンスタービートだった。
これなら落ちてるカードでもなんとかなる。彼は皆が不要としたカードでデッキを組む。
自分にはそれしかないから・・・


「今日は結局1枚だけか・・・」


日課のカード集めも終わり俺は家に帰ろうとしたその時


ん・・・なんだあれ　古い神社？


カードを探しに遠い道を進んだ帰りふと神社が目に入った。


「ボロボロだな・・・　せっかくだしお参りしていくか・・・」


入り口の看板にはひどく風化した字で『幻煌の社』という言葉がかろうじて読み取れた。

「げん・・・おう？聞いたことないな・・・？」

俺はボロボロのお賽銭箱にわずかなお金を入れてこう願った。


（神様　本当にいるならどうか俺の願いを聞いてください
貧乏な俺でも決闘者になり弟や妹を食わせていい『決闘学園』に行かせてやりたいです。
どうか俺に、今度の大会で勝てる力とカードを拾う運をください。）






『力が欲しいか？』



っ！？


『お前にわが力を授けてやってもよい、貴様と我の相性が良い貴様だからこそ　わが力を使いこなせる』



おかしな声が聞こえる。　これは夢かもしれない、だが。


お前が神でも悪魔でもいい、　俺は強くなって家族にいい暮らしをさせてやりたい！


『ならばお前に古の力を授けよう　そして示せ　わが力を！』


その声が聞こえると、俺の意識は閉ざされた。



「ん・・・夢？」


気が付くと俺は神社にもたれかかって寝てた　その俺の近くに


「なんだこれカードが落ちている・・・なんだこのカード
『幻煌龍の現身』？　これ通常サポート・・・？」


そこには俺が望む　力　があった。











作者の裏話
オリカの効果は10期の環境より少し強いレベル