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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第九話 恐怖のオカルトコンボ

第九話 恐怖のオカルトコンボ 作:サクラ

決勝トーナメント出場者と観戦者がバトルシップに搭乗すると、直ぐに発進した。中は思ったより広く、いくつもの部屋が用意してあった。
黒服達からバトルシティの参加者用の部屋のカードキーを受け取ると各々部屋の中に入って行った。

「ほう?なるほど、流石は海馬コーポレーション。設備は完璧か。ん?」

遊香が荷物をベッドの上に置くと電子モニターに黒服が映る。

『デュエリストの皆様、対戦表を発表致しますので中央ホールにおいで下さい』
「ふふ。早速か。まぁ原作と違う点は私とイシズが変わった点だ。その結果どうなるのか観に行くか」

遊香はベッドから立ち上がるとホールに向かって歩き出した。

「やぁ野崎遊香さんだよね?僕のこと覚えてる?」
「ん?ああ覚えているよ。『ナム』……だったな?」
「覚えていてくれて嬉しいな。これからよろしくね」
「ふふ。ヨロシク」

ナムと共に遊香は中央ホールに向かう。遊香はナムの背中を見る。微妙に膨らんだソレを見るとニヤリと笑う。形状からしてソレはやはり千年ロッドだ。この大会でコイツから千年ロッドと《ラーの翼神竜》のカードを奪い取り、少しずつ自身の記憶を取り戻す準備をしてやる。遊香がそう息巻いている内に2人は中央ホールに着く。既に他の参加者達が集まっており、沢山の料理が出されていた。

「おっせーぞ!遊香!ナム!」
「先に頂いちゃってたわよ」

城之内はあれもこれもと出ている料理を取っては凄い勢いで食べていた。

「ふぅん。漸く現れたか野崎遊香。遅いので部屋で震えていたのかと思ったぞ?」
「ふふ。随分と威勢がいいな海馬君。そんなに女性にガッついていると、嫌われてしまうよ?」
「ふ、貴様などにガッつくなどありえんな」

遊香と海馬の目から火花が飛び散る。そうこうしているうちに黒服達の用意が出来たようで、集められた。

「対戦相手はこの『アルティメットビンゴマシーン』で行います」
「あーあれビンゴマシーンだったんだな……」
「センスゼロだな」

本田と御伽は辛辣な感想を述べる。透明な球体の中に青眼の白龍が入っており、番号の書かれたボールが出てくる仕掛けだ。それを見た遊香と海馬は、

「ふつくしい……」
「ふふ……いいものだな……」

うっとりと溜息を吐く。黒服の声によって再び二人の意識が戻ってくるとビンゴマシーンのボタンを押した。

「では『アルティメットビンゴマシーン』スタート!」

中のボールが激しく飛び散る。そして一個めのボールは直ぐに出てきた。

「デュエリストNo.3武藤遊戯。そしてその対戦者……デュエリストNo.6 獏良了!」
「えーいきなり遊戯君と?ついてないなぁ」

獏良は溜め息を吐く。

「おいおい獏良もついてないなぁ?」
「もう結果は見えたって感じ?」
「えーそんなぁ」

仲間たちの冗談をにこやかに返す獏良。早速一回戦目の対戦者である遊戯と獏良は、黒服達にエレベーターの中に連れられていく。対戦者以外は違うエレベーターに案内され、それに乗り込んだ。30秒程でエレベーターが止まり開かれた。そこは、

「寒っ!」
「何だよここは!」

城之内と本田は声を上げる。そうここは飛行船の天井部分。一応柵があるが、一歩間違えれば真っ逆さまに落ちていくだろう場所だ。飛行船の高度も高く、残暑のあった日本とは大違いに寒々しい風が吹き荒んでいた。

「ここは『天空デュエル場』!高さ1000メートルを進む飛行船からの風は刃の如き鋭さでデュエリストの体力と精神力を奪っていく!」

海馬の解説が入る。そして、遊戯と獏良が到着するとデュエル場に上っていく。

「これより、バトルシティ決勝トーナメント第一回戦を開始いたします」

黒服の声が響く。遊戯も獏良も一言も発さない。黙り込んだまま数分が過ぎる。

「そろそろ正体を見せたらどうだ?お前、獏良君じゃないだろ。本物の獏良君はどこだ」
「……クフフ、ハハハハハ!」

獏良の胸から千年リングが出てくる。

「あいつまたあんなのを付けちまったのか!」
「そんな馬鹿な!俺があの時投げ捨てたハズなのに」

城之内と本田は言う。本田曰く、千年リングは決闘者の王国の時に捨てたハズだったらしい。
それもそのはずだ。千年アイテムに選ばれた者は離れても運命のように戻ってくる。そう言う物なのだ。

「バクラ。お前の目的はなんだ?」
「俺様の目的は遊戯!お前の持つ神のカードだ!」
「何!?」
「ゲームを嗜む者として、そのゲーム最強の物を欲しくなるのは必然だろう?」
「……」

全然信じていないって顔をする遊戯。遊香もそれは感じた。遊香の知識通りならここでバクラは負ける。さぁどうなるか。

「「デュエル」」

遊戯とバクラのデュエルディスクが変形する。

「俺様の先攻!……コイツを攻撃表示だ」

出てきたのは攻撃力1200の《絵画に潜む者》。効果を持たない通常モンスターだ。伏せカードも置かれていない。これでは攻撃してくれと言っているのと同じだ。

「俺のターン!《幻獣王ガゼル》召喚。攻撃!」
「ぐわぁ!」

バクラのライフが500失われる。悔しげな表情を浮かべながらもバクラはカードを引き、モンスターを召喚した。召喚したモンスターも通常モンスターで攻撃力が低い。遊戯のモンスターによってどんどんライフが削られていく。

「はぁ……はぁ……攻撃表示だ」
「また攻撃表示だと?」

出てきたのは《魔犬オクトロス》だ。このモンスターも攻撃力が800しかない。遊戯のターン。迷いなく、遊戯はバクラのモンスターを破壊した。もうバクラのライフは僅かになる。が、

「なぁあいつ、笑ってやがるぞ」
「ふふふふふふ、ハハハハハ!!遊戯ぃ!貴様は俺様のオカルトコンボにハマったんだよ!」
「何!?」
「貴様が破壊した《魔犬オクトロス》はフィールドから墓地に送られた事でデッキから、悪魔族レベル8モンスターを手札に加えることができるのさ!これにより俺様は《ダーク・ネクロフィア》を手札に加える!」

バクラはカードを一枚デッキから抜き取ると手札に加えた。
バクラはニヤリと笑うと、

「早速だが遊戯。さっき加えたコイツを召喚するぜ」
「何!?レベル8のモンスターをリリース無しで召喚するだと!?」
「コイツはフィールドから墓地に送られた3体の悪魔族モンスターを除外する事でフィールドに特殊召喚をする事が出来るのさ!」
「そのために3体の悪魔族モンスターを破壊させた訳か」
「そういうことだ。さぁ現れろ、死の世界の支配者《ダーク・ネクロフィア》!」

墓地の《絵画に潜む者》と《夢魔の亡霊》と《魔犬オクトロス》が除外され、上半身だけの人形を持った機械仕掛けの女性の悪魔が現れた。悍ましい程の不気味さと異彩を放っている。

「侮ってたぜ!まさかこんな方法で攻撃力2200の上級モンスターを召喚するとはな」
「ハハハハハ!俺様はカードを2枚伏せ、これでターンエンドだ」

バクラはニヤリと笑う。

「なぁ遊香。なんでバクラの奴は態々モンスターを攻撃表示で出したんだ?墓地にモンスターを送るなら別に守備表示でもよかったんじゃ……」
「いや、守備表示ならリバース効果を持つモンスターを伏せていると考えられる可能性がある。遊戯君がそう踏んで攻撃してこないことがあるからね。特に先攻1ターン目からなら《深淵の暗殺者》の様なのに当たればモンスター除去を行ってくるかもしれないからな」
「フン、そんな事も分からぬとは流石は凡骨デュエリストだ」
「なんだと!」

海馬の安定の城之内ディスりが炸裂し、城之内は憤慨する。
一方デュエル場では、

「俺のターン!ドロー!《幻獣王ガゼル》をリリースし《ブラック・マジシャン・ガール》召喚!」
「は!マジシャンの小娘じゃあ《ダーク・ネクロフィア》は倒せねぇぞ」
「慌てるなよ。装備魔法《魔術の呪文書》を装備させ、攻撃力700アップ!これで《ダーク・ネクロフィア》の攻撃力を上回ったぜ!行け『黒魔導爆裂』」

ブラック・マジシャン・ガールの一撃がダーク・ネクロフィアに直撃し、溶けていく。
ダーク・ネクロフィアは甲高い絶叫をあげると、ダーク・ネクロフィアの持っていた人形がカタカタ言わせながら砕け散った。

「遊戯!《ダーク・ネクロフィア》を倒しちまったなぁ」
「なんだ?」
「この瞬間罠カード《メタバース》発動!デッキからフィールド魔法を手札に加えるか発動する!《ダーク・サンクチュアリ》を発動!ふふふ、ハハハハハ!!」

辺り一帯が口や目の浮かぶ不気味な空間が広がった。

「これぞ俺様のオカルトデッキの醍醐味《ダーク・サンクチュアリ》だ!そしてコイツを発動しておくぜ!罠カード《ウィジャ盤》発動!」

バクラがそのカードを発動した瞬間、フィールドに英語が彫られた一枚の板が出てきた。その板の上にダーク・ネクロフィアの腕が添えてある。

「な、なんだよアレ!」
「あれは西洋の降霊術に使う道具だ!」
「知ってるわ!こっくりさんみたいな物でしょ!」

観戦者達も騒めく。幽霊などが苦手な城之内は妹の静香に抱きついて一緒に震えている。

「《ウィジャ盤》は毎ターン、貴様のエンドフェイズに1文字ずつ表示される。見てな、先ず1つ目の文字が出てくる」

ウィジャ盤の上の腕が動き出し、1つ目の文字の上に止まった。文字は『D』だ。そして幽霊の様な物がDのマークと共に表示される。

「それだけじゃないぜ!ここから『E』『A』『T』『H』の文字が順番に出てくる!」
「D、E、A、T、H……『DEATH』!!」
「そうさ!貴様は《ウィジャ盤》による死の宣告をされ、抹殺されるんだ!ハハハハハハ!!」

バクラは高らかに笑う。遊戯の仲間たちの表情は険しい。遊戯も苦しげにバクラを見つめる。

「俺はターンエンドだ」
「おっと貴様がターンを終わらせる前に、コイツの効果が残ってるんだよ!《ダーク・ネクロフィア》よ!怨霊となりマジシャンの小娘に取り憑きな!」

バクラの墓地から赤黒いオーラが漂い、ブラック・マジシャン・ガールに取り憑いた。ブラック・マジシャン・ガールの目から光が失われ、バクラのフィールドに移動する。

「《ブラック・マジシャン・ガール》が!?」
「《ダーク・ネクロフィア》に取り憑かれたモンスターのコントロールは俺様の物になるのさ!俺様のターンドロー!魔法カード《暗黒の扉》と《セカンド・チャンス》とを発動しておくぜ!ターンエンド」
「俺のターン!ドロー!(今の奴の場には《ブラック・マジシャン・ガール》がいる。まずは奪還する!)魔法カード《サイクロン》!これで《ブラック・マジシャン・ガール》は返してもらうぜ!」

サイクロンの発生する風に取り憑いていたダーク・ネクロフィアの怨念が取り除かれた。ブラック・マジシャン・ガールは正気を取り戻すと、直ぐに遊戯のフィールドに戻っていく。

「《ブラック・マジシャン・ガール》でバクラにダイレクトアタック!」
「その瞬間!《ダーク・サンクチュアリ》の効果発動!判定コイン!」
「判定コイン?」
「そうだ、《ダーク・サンクチュアリ》によって現れた悪霊に取り憑かれているかどうかのなぁ。……表だ。よってそいつから悪霊の攻撃が炸裂する!『スピリット・バーン』!」
「ぐわぁ!」

ブラック・マジシャン・ガールの背中から何かが飛び出してきた。それはバクラでは無く遊戯に向かって突進する。

「これにより、貴様のライフは攻撃モンスターの半分のダメージを受け、その数値分俺様は回復する!」

バクラ LP1450

遊戯 LP3000

暗黒の扉の効果により、これ以上攻撃出来ない遊戯はターンエンドを宣言するしかなかった。

「これでターンエンドだ」
「《ウィジャ盤》効果発動!《死のメッセージE》だ」

バクラが死のメッセージカードを置くと、ウィジャ盤からEの文字が出現する。それを見た遊戯は1つの結論が生まれた。

「バクラよ、そのままじゃあ《死のメッセージ》を置く魔法罠カードゾーンが無くなるぜ?」
「忠告ありがとう。だが、まさかそれで弱点を見つけた訳じゃあないだろうな?《ダーク・サンクチュアリ》の効果により、俺様は魔法罠カードゾーンだけで無く、モンスターカードゾーンにも《死のメッセージ》を置く事が出来るのさ!」
「くっ!」

確かにそれなら魔法罠カードゾーンを使ってウィジャ盤やモンスターの攻撃を制限すれば勝率はぐっと高まる。原作と違い、墓地に《ダーク・ネクロフィア》が居ないといけないわけでないのでオカルトコンボは完全なものとなった。だが、

(遊戯君、私は知っているよ。君にはこの完全となったオカルトコンボを突破出来る唯一のカードがあるって事がね)

遊香は遊戯を見つめながら思う。
バクラはカードを引くと直ぐにターンを終了した。

「俺のターン!ドロー!(あの判定コインが厄介だ。だが、攻撃を恐れていては《ウィジャ盤》によって敗北してしまう。ここはリスクがあっても攻撃するべきだ!)今度こそいけ!『黒魔導爆裂破』」
「まぁ慌てるな。判定コイン!」

バクラのコインは裏を指していた。

「よし!裏だ!」
「いーや、コイツは無効だ!もう一度やり直す!」
「何!?」
「俺様が場に出した《セカンド・チャンス》は、コイントスの判定を取り消してやり直す事ができるのさ!もう一度、判定コイン!」

バクラのコインが宙を舞う。結果は表だった。

「ハハハハハ!食らいなぁ!『スピリット・バーン』」
「ぐぅ!!」

バクラ LP2450

遊戯 LP2000

遂にバクラのライフポイントが遊戯を上回った。

「俺様のオカルトコンボは絶対よぉ!ハハハハハ!!」
「俺は……ターンエンドだ」

そしてウィジャ盤に新たな文字Aが出現する。着々と遊戯は追い詰められている。

「俺様のターン!ドロー!……ほうコイツはいい。遊戯!俺様は超恐ろしい罠を伏せておくぜ!ターンエンド」
「俺のターン!ドロー!(このまま《ブラック・マジシャン・ガール》で攻撃しても回避された時のダメージが大きすぎる。ここは《磁石の戦士γ》で微弱ながら攻撃していくしかない!)俺はモンスターを伏せ、《磁石の戦士γ》でダイレクトアタック!」
「バックダメージを減らそうなんてそうはいかないんだよぉ!!罠カード《沈黙の邪悪霊》!」
「何!?これで、《磁石の戦士γ》は沈黙を余儀なくされ、攻撃命令は《ブラック・マジシャン・ガール》に!?」
「だがその前にコイツをやらねぇとなぁ?判定コイン!……表!」

バクラ LP3450
遊戯 LP1000

「ぐ!ここまでなのか……?オカルトコンボに欠点など無いのか?」
「ないともさ!さぁサッサとターンエンドを宣言しな!」
「ターンエンド……」

そしてウィジャ盤がTの文字を出す。もう後がない。

「遊戯!泣いても笑ってもラストターンだ!俺様はターンエンド!」
「くっ……」
「遊戯!諦めるんじゃねぇぞ!!」
「そうよ!獏良君を元に戻してあげて!」
「みんな……ああ!バクラ!この引きに俺のデュエリストとしての全てを掛ける!ドロー!ッ!!」

遊戯がドローした瞬間、天空からいくつもの雷が巻き起こる。雷は飛行船のデュエル場に何本も落ちていく。そして、

「《ブラック・マジシャン・ガール》!《磁石の戦士γ》裏側となっていた《ビッグシールド・ガードナー》の三体をリリースして、《オシリスの天空竜》よ!降臨せよ!」

雲が厚くなっていき、そこから一筋の光が降りてくると飛行船にグルグルと巻きついた。
その光からどんどんその姿が見えてくる。紅い巨躯と巨大な顔が出現するとバクラに向かって巨大な咆哮をあげる。

「《オシリス》だと!?この1ターンで《ウィジャ盤》による抹殺コンボが完成しようとしている所に神を引き当てたというのか!?……だが、例え神だとしても判定コインの前には無力だぜ!」
「ならやってみろよ。この神の威圧感の前にお前は平常心でコインを飛ばせるかな?」
「ほざいてろ!!いくぞ!判定コイン!」

バクラがコインを飛ばして確認する。

「裏……だが、もう一度だ!《セカンド・チャンス》!」

2回目のコイントスが行われる。
(俺様が怯えているだと?そんな事があるはずがねぇ!このコイントスでそれを証明してやる!)
バクラも遊戯も宙を舞うコインを凝視する。それはスローモーションの様に落ちていく。そして落ちた瞬間バクラはコインを手で押さえる。ゆっくり手を外すと、

「ば、馬鹿な!?裏だと!?」
「どうやら神の前ではお前の悪運も発揮されなかったようだな……。いけ!《オシリス》!『超電導波 サンダーフォース』!!」

オシリスの口にエネルギーが集まってくる。そしてそれが発射された。

「遊戯!今回は俺様の負けにしておいてやるよ。だが、最後に闇の力を手に入れるのは俺様よぉ!!ハハハハハ!!」

バクラは両腕を広げてオシリスのサンダーフォースを受ける。その衝撃によってバクラの千年リングは取れて飛んで行った。獏良は倒れ、気を失っている。

「獏良!しっかりするんだ!」
「獏良!!」
「獏良君!」
「早く下ろしてやってくれ!」

遊戯はいち早く獏良の元に走って行き、抱え上げる。

「ゆ、遊戯君……僕は一体……」
「獏良!しっかりしろ!」

デュエル場に登ってきた遊香達は獏良に声をかけるも返事がない。恐らく再び気を失ってしまったのだろう。本田が獏良を背負うとそのまま部屋に運んで行った。
遊香も遊戯達に付いて獏良の部屋に行く。

「遊戯が勝ったってのに何かスッキリしねぇ」
「この大会。怪我人が多すぎるわ!」

城之内と杏子が悔しそうに言う。遊香は壁に寄りかかりながら獏良を見つめる。恐らく神の一撃を受けた衝撃で千年リングが取れ、バクラが強制的に離された事が原因だろう。原作通りなら腕の怪我が原因だったのだが、今回の獏良は腕に怪我を負っていない。遊香の介入によって少しずつ原作の流れが変わってきているようだ。

『間も無く第二回戦の対戦カードを発表致します。参加者の皆様はホールにお集まりください』

「みんな行ってきて。ここは私たちで見てるから」
「杏子。静香ちゃん。まかせた」

参加中の遊戯、遊香、城之内、舞、ナムは獏良の部屋を出てホールに向かった。

「それでは第二回戦の対戦カードを発表致します。アルティメットビンゴマシーン、スタート!!」

再びビンゴマシーンの中のボールが激しく動き出す。そして青眼の白龍のオブジェの口にボールが1つコロンと入った。

「デュエリストNo.2野崎遊香!」
「次は遊香か!」
「で、対戦相手は?」

もう1つボールがコロンと入った。

「対戦者、デュエリストNo.8マリク・イシュタール!」
「マ、マリク!?」
「遊香の相手がマリクだと!?」

城之内と本田が声を上げる。遊戯も御伽も心配そうに遊香を見るが、遊香はフッと笑って返す。

「遊戯や海馬と並んで最強と謳われる紅一点。野崎遊香……。あの決闘者の王国に姿を現さなかったから分からなかったけど、どんなモンか……楽しみね」

孔雀舞は遊香がエレベーターに向かって歩いていく後ろ姿を見ながら呟いた。
こうして遊香とマリクと名乗る男とのデュエルが開始される事となった。
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ター坊
ウィジャ盤強化するとここまで厄介なのか。
さて、次回は早くも遊香の出番。イシズとの入れ替わりの影響でしょうが、城之内くんの見せ場が…。 (2018-10-02 18:02)
サクラ
城之内君……本当に申し訳ない!
遊戯王に介入しようとすると、丁度いい立ち位置がそこしか無かったんです!非力な私を許してくれ(血涙) (2018-11-02 12:08)

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