第二話・邪悪龍ダークドラグーン登場！　作：鈴木颯手

「俺のターン、ドロー」

龍吾
手札４枚→５枚

龍吾は教員のセットカードに注意しつつモンスターを選ぶ。

「…俺は闇の大魔術師・バスクを召喚」

闇の大魔術師・バスク
ATK１５００　DEF１０００

「バトル、アックスドラゴニュートでセットモンスターを攻撃」

「いいでしょう」

アックスドラゴニュートは手に持った斧でカードを叩き割った。

「セットモンスター、メタモルポッドの効果発動！お互いのプレイヤーは手札を捨てて五枚ドローする」

「…」

龍吾は特に抵抗もなく墓地にカードを捨てると新たにドローする。

龍吾
手札５枚→０枚→５枚

教員
手札１枚→０枚→５枚

メタモルポッドによって教員の手札は一気に４枚増えてしまったが龍吾は続ける。

「…アックスドラゴニュートは効果によって守備表示になる。続いて闇の大魔術師・バスクで攻撃」

バスクは手に持った杖から黒いエネルギー球体を作り出すとそれを教員に向かって放った。

「…くっ！」

教員LP４０００→LP２５００

「…カードを一枚伏せてエンドフェイズ、闇の大魔術師・バスクのバスクで手札のカードを一枚墓地に送りデッキからカードをドローする」

龍吾
手札５枚→４枚→５枚

「…私のターン、ドロー！」

教員
手札５枚→６枚

「私は手札から死者蘇生を発動！墓地にあるゴギガ・ガガギゴを特殊召喚する！」

そう教員が叫ぶと狂ったような雄たけびを上げて二本足で立つ爬虫類が姿を現した。

ゴギガ・ガガギゴ
ATK２９５０　DEF２８００

「更にリバースカードオープン！装備魔法デーモンの斧をゴギガ・ガガギゴに装備！この効果によりゴギガ・ガガギゴの攻撃力は１０００アップする！」

そう言うとゴギガ・ガガギゴの前に歪んだ斧が現れゴギガ・ガガギゴはそれを掴むと雄たけびを上げた。

ゴギガ・ガガギゴ
ATK２９５０→３９５０

「バトル！ゴギガ・ガガギゴで闇の大魔術師・バスクを攻撃！」

教員の言葉に反応してゴギガ・ガガギゴが雄たけびを上げて闇の大魔術師・バスクに襲いかかった。圧倒的攻撃力の前にバスクは呆気なく破壊される。

龍吾LP４０００→１５５０

その一撃によって龍吾のライフは半分以上を一撃で失ってしまう。観客席からは「攻撃力約４０００か。もうあいつ無理だろ」「あいつもう終わったな」「諦めてサレンダーしろよ」等と言った声が聞こえてくるが龍吾は全く動じなかった。

「メインフェイズ２に私はモンスターをセットしてターンエンドです」

龍吾LP１５５０
モンスター
アックスドラゴニュート
魔法、罠
セット
セット

教員LP２５００
モンスター
ゴギガ・ガガギゴ
セット
魔法、罠
デーモンの斧（ゴギガ・ガガギゴに装備）
セット
セット
セット

ライフでもフィールドでも教員の方が有利であった。誰もが龍吾の敗北を思う中龍吾は淡々と自分のターンに入る。

「俺のターン、ドロー。…俺は手札の魔王龍ザガンの効果を発動する」

龍吾
手札５枚→６枚

龍吾がそう言うと薄っすらと後ろに禍々しい龍が現れたがすぐに消えた。

「このカードを墓地に送る事で相手の場に魔王トークンを二体特殊召喚する」

魔王トークン
ATK２４００　DEF２４００

「私の場に、ですか…」

流石の教員も龍吾の行動に首をかしげる。観客席からも「攻撃力２４００のトークンを相手の場に、しかも二体とか」「あいつ馬鹿だろ？」「全く、期待する程の腕でもないな」等馬鹿にする声が響くが更に龍吾は進めていく。

「更に手札を一枚捨てる事で手札から邪竜・ダークワイバーンを特殊召喚する。ただしこのカードはこのターンの間攻撃する事は出来ない」

邪竜・ダークワイバーン
ATK１７００　DEF１７００

「そして俺はアックスドラゴニュート、邪竜・ダークワイバーン、そしてゴギガ・ガガギゴ、魔王トークン一体を生贄に捧げる」

「何！？私の場のモンスターを生贄にだと！？」

驚きの効果に思わず教員も目を見開くがそうしている間に龍吾を中心にしてトップが吹き荒れ始める。その風は何処か重たく殺気の様な物が含まれている様であった。

「現れろ、邪悪龍ダークドラグーン！」

邪悪龍ダークドラグーン
ATK？　DEF？

龍吾の声に合わせて龍吾の後ろに巨大な龍が現れる。まさに闇の支配者と呼ぶにふさわしい姿をしたその龍は大きな咆哮を上げた。骨の髄に染み込むように響く咆哮に含まれるのは強烈な殺気。それと相対する教員は思わず後ずさりしてしまう。

「邪悪龍ダークドラグーンの攻撃力、守備力は生贄に捧げたモンスターの攻撃力、または守備力の合計値となる。俺は攻撃力を選択する。攻撃力、守備力は１００５０！」

邪悪龍ダークドラグーンを覆うように黒いオーラがまとわりつくとダークドラグーンの禍々しさが上がっていく。

邪悪龍ダークドラグーン
ATK？→１００５０　DEF→１００５０

「こ、攻撃力１００００越えだと！？そ、そんなモンスターが存在するのか！？」

教員はあり得ないと思いながら狂ったように叫ぶ。教員の瞳には恐怖の色が浮かんでいた。

「邪悪龍ダークドラグーンは召喚したターンに攻撃は出来ない。俺はターンを終了する」

龍吾はエンドを宣言すると腕を組み目を瞑った。まるでもう勝負は見えているかのように。実際の所１００５０の邪悪龍ダークドラグーンを戦闘で破壊するのはほぼ不可能でありましてや今教員が使っているデッキは受験生の為に使われるデッキ。ある程度レベルを落としたデッキであった。

「わ、私のターン。ドロー！」

それでも教員は恐怖と戦いながらデュエルを続行する。

「私はギゴバイトを守備表示で召喚してターンエンド…」

しかし邪悪龍ダークドラグーンに適うモンスターがなかったのかゴギガ・ガガギゴの最初の形態であるギゴバイトを召喚するのみであった。

龍吾LP１５５０
モンスター
邪悪龍ダークドラグーン
魔法、罠
セット
セット

教員LP２５００
モンスター
ギゴバイト
セット
魔法、罠
セット
セット
セット

１ターン前までは教員が優勢であったが今では場を支配しているのは龍吾であった。

「俺のターン、ドロー！」

龍吾
手札２枚→３枚

「この瞬間魔王龍ザガンの効果発動！場に出ているモンスター一体に付き３００ポイントダメージを受けてもらう」

そう言うと龍吾の後ろにまたしても禍々しいモンスターが薄っすらと現れると三つの闇の炎を生み出して教員にはなった。

教員LP２５００→１６００

「俺は手札から闇龍の卵を召喚！」

闇龍の卵
ATK３５０　DEF２５０

「闇龍の卵の効果発動！このカードを墓地に送りデッキからレベル４以下の闇属性ドラゴン族モンスターを一体特殊召喚する！出でよ！漆黒のドラグーン！」

漆黒のドラグーン
ATK１７００　DEF１６００

「漆黒のドラグーンの効果発動！このカードが特殊召喚に成功した時相手の場のカードを一枚破壊できる！セットモンスターを破壊する！」

「セットモンスターはペンギンソルジャーだ！効果によって邪悪龍ダークドラグーンと漆黒のドラグーンを手札に戻してもらう！」

「無駄だ！邪悪龍ダークドラグーンは対象を取る効果は受けない！」

「っく！なら漆黒のドラグーンは手札に戻してもらう！」

「…まあいい、俺は手札の雷邪龍サンダーダークドラゴンの効果を発動！このカードを墓地に送り同名カードをデッキから二枚手札に加える！」

龍吾
手札３枚→２枚→４枚

「俺は手札から融合を発動！手札の雷邪龍サンダーダークドラゴン二体を融合してツインヘッド・サンダーダークドラゴンを融合召喚する！」

龍吾がそう叫ぶと雷とともに二つの頭を持つ龍が現れる。

ツインヘッド・サンダーダークドラゴン
ATK３０００　DEF２５００

「バトル！ツインヘッド・サンダーダークドラゴンでギガバイトを攻撃！」

「リバースカードオープン！聖なるバリアミラーフォース！相手の場の攻撃表示モンスターを全て破壊する！」

教員がそう叫ぶとギゴバイトに襲いかかろうとしていたツインヘッド・サンダーダークドラゴンの前に薄いバリアが現れる。

「カウンタートラップ、トラップジャマ―発動！ミラーフォースは破壊だ！」

「っく！？」

教員は打つ手がないのか悔しそうに顔を歪める。助けることが出来ないギゴバイトはツインヘッド・サンダーダークドラゴンに破壊される。

「これで止めだ！邪悪龍ダークドラグーンで攻撃！」

そう叫ぶと邪悪龍ダークドラグーンは黒いエネルギーを作り出すがその大きさは尋常ではなく教員の体を飲み込んで余りある大きさにするとそれを一気に放出した。

「うわあぁあぁぁあぁっ！」

教員LP２５００→-７５５０

教員のLPをオーバーキルで消失させるとデュエルが終了したと判断されモンスター達が消えていくが邪悪龍ダークドラグーンは消える直前に勝利の咆哮をして消えていった。

「…ありがとうございました」

邪悪龍ダークドラグーンの攻撃で吹き飛びそのまま気絶した教員に頭を下げると何事もなかったかの様にその場を後にした。その間ドームでは静寂が場を支配していたと言う。