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遊戯王MG(マインド・ゲーム)/第11話 復讐の始まり 作:とき


激動の一日は、夜は何もなかったように終わった。
晴海は増井や病院、あるいは高梨先生から何らかの連絡が来るのではないかと思いながら家に帰り着いたが、結局それらしいものはなく、両親とともに平和な日常を過ごした。しかし晴海の心には、高梨裕美を罰ゲームに追いやったことが、どうしてもまとわりついて離れずなかなか寝付くことはできなかった。

(裕美ちゃん… 私の言えた義理じゃないけど、大丈夫かな…)

一方の優は家に帰ると購入してきた商品を開封し、デッキの強化に着手した。夜は自分が材料を買ってきたカレーに舌鼓を打ち、好きなテレビを見ながらデッキの試運転を行うなどをして過ごし、日付が変わる頃に眠りについた。
翌朝。優はもう着ることはないだろうと思っていた制服の前に立っていた。自分の計画にとってこれは必要になる可能性があるからだが、結局優は制服を着ることはなかった。この制服は、いじめられ続けた、反撃もできなかった弱い自分の象徴なのだ。自分は力を手に入れた。マインド・ゲームという力を。だから。

(いつまでも私を弱いままの清水優だと思うな…!絶対ツケを払わせてやる…!!)

優は心に黒い炎を燃え上がらせると、会社に出社した父親と、相変わらず地域活動でどこかに用があるらしい母親が外出したのを確認し、家の外へと自転車で飛び出した。時間はまだ生徒たちの登校時間だが、目指す場所も目的もはっきりしている。目標は栗山中学校への通学路、登校中のターゲットたちを校内に入られる前に仕留めることだ。

(大丈夫… これは復讐のための必要なステップ。私は、やれる)

学校に近づくと、かつて受けたいじめの一部がフラッシュバックする。だからできれば学校の遠くで出会いたかった。幸い、金銭を要求された時にいじめの犯人の一人の家の場所はしっかり覚えている。学校の場所とその家の場所を逆算すれば、登校ルートは算出できる。優は自分の位置とその登校ルートをスマートフォンの地図アプリで比較しながら、自転車の足を進め、そしてその生徒を見つけるのであった。

「見つけた。久しぶり、中村実里さん」
「お前… 清水優かよ!?不登校になって毎日ゴロゴロしてると思ってたのに、なんでこんなところに…!」
「あなたに、いやあなた達に復讐するためよ」
「復讐?何だよ、お前をさんざんいびって金巻き上げたことや仲間はずれにしてやったこと、根に持ってるのかよ?」
「聞けば聞くほど反吐が出るね、本当に。やっぱりあなた達は赦されるべきじゃない」
「ケーサツにでも突き出すのか?子供同士の喧嘩なんて取り合うかよ。それとも、今ここでケンカでもするのか、もやしチビッコの清水優!」
「そうね、ある意味ケンカかもしれない。でも、ただのケンカじゃない」

優はカードをかざし、高らかに声を上げる。

「マインド・デュエル」

優が言葉をあげると同時に、精神の空白の間が周囲を包む。空白の間には優と実里、そして裁定者のレナードのみが姿を見せる。

「のわっ、何だよこの気持ち悪い空間… それにその男、何者だよ!助っ人がいるなんて卑怯だぞ!」
「…やれやれ、一応釘を差したというのに、マインド・ゲームのピースではないものにマインド・ゲームを挑んだのか、清水優」
「何よ、それが私の目的なのだから。何が悪いの?」
「仕方ない。一応説明しておこう。マインド・ゲームのピースではないものにマインド・デュエルを宣言した場合、精神の空白の間は宣言者のみの宣言で完全に展開される。そして終了後のコインカードのやり取りは行われない。スキルを使うのは自由だがコインカードの使い損になるのでおすすめはせん」
「ダメージの痛みは、あのチュートリアルと同様に与えられるのでしょう?」
「一応はな。…それが目的だというなら、悪趣味極まりないがな」
「こんなゲームを作ったあなたが人のことを悪趣味といえる資格がどこにあるのやら」
「まあ、道理だな」
「ちょっと、私のことを無視して二人で話を進めんな!どうやったらこの気持ち悪い空間から出られるんだよ、遅刻しちまうだろ!」

除け者にされたと思った実里は、優とレナードに食って掛かる。しかしそれを、優は左へ受け流した。

「へえ、そんなに遅刻が心配…?昔は恐喝まがいのことまでしてたのに、ずいぶん丸くなったのね」
「うるせえ… 相変わらず気持ち悪いし陰湿なんだな、お前。しかも昔はもっとおどおどしてたのに、妙な自信までつけやがって」
「遅刻するなら早々に決着をつけなきゃいけないでしょ、この空間から出るには私をデュエルで倒せばいいの。うだうだ言わずにデッキを手に取ったら?」
「なんで私が学校にデッキを持ち込んでることまで知ってるんだよ… 仕方ねえ、返り討ちにしてやる!」

「「デュエル!!」」

「デュエルの先攻後攻は俺がコインで決めることになっている。今回はお前が先攻だ、中村実里」

実里 LP8000 手札5
優 LP8000 手札5

「それじゃあフルスロットルで行くぜ、変な自信と妙な仲間がいるからって私に挑んだことを後悔させてやる!私は《終末の騎士》を召喚!ってなんか実体化してる!?まあ、とにかく終末の騎士は召喚に成功した時にデッキから闇属性モンスターを墓地に送れる。効果で《インヴェルズの斥候》を墓地に送ってターンエンドだ」

剣を持った漆黒の騎士が場に展開される。モンスターが実体化したことに中村は驚くが、すぐに気を取り直してデュエルを続けた。

ターン1終了
実里 LP8000 手札4 《終末の騎士》
優 LP8000 手札5

「私のターン、ドロー!」

心は熱く、しかしデュエルは冷静に。優は自分に言い聞かせると、怒涛の展開を開始する。

「私は永続魔法《サイバネット・コーデック》を発動」

場にサイバースのネットワークが構築されていく。

「私は《バランサーロード》を召喚。《バランサーロード》の効果発動。ライフを1000支払うことでこのターン、もう一度サイバース族モンスターを召喚できる権利を得る。私が召喚するのは《レディ・デバッガー》。このモンスターは召喚に成功した時、デッキからレベル3以下のサイバース族1体を手札に加えられる。《マイクロ・コーダー》を手札に加える。くうっ…!何か魂が抜ける感覚、ライフコストにも痛みが伴うのか。本当に悪趣味」

実里 LP8000 手札4 《終末の騎士》
優 LP7000 手札4 《バランサーロード》《レディ・デバッガー》+《サイバネット・コーデック》

「私は《バランサーロード》《レディ・デバッガー》と、手札の《マイクロ・コーダー》をリンク素材に《トランスコード・トーカー》をリンク召喚、右側のEXゾーンに置く」
「手札のモンスターをリンク素材にだと!?おい、インチキじゃねえのか!?」
「残念だけど、《マイクロ・コーダー》の効果よ。コード・トーカーモンスターをリンク召喚する時、このカードは手札から素材にできる。《マイクロ・コーダー》にはもう一つ効果がある。コード・トーカーモンスターのリンク素材となった時、デッキからサイバネット魔法罠を手札に加える。私が加えるのは《サイバネット・コンフリクト》」
「くそっ、インチキ効果も大概だ!しかもあいつ、手札がそんなに減ってねえ…!」
「そして場にEXデッキからコード・トーカーモンスターが特殊召喚されたことで、《サイバネット・コーデック》の効果を発動。デッキから特殊召喚したコード・トーカーモンスターと同じ属性のモンスターを手札に加える。私は《ドットスケーパー》を手札に」

実里 LP8000 手札4 《終末の騎士》
優 LP7000 手札5 《トランスコード・トーカー》+《サイバネット・コーデック》

「やりたい放題やりやがって… そのリンクモンスターで攻撃すればいいだろ!」
「そのデッキはインヴェルズでしょ?インヴェルズ相手にモンスター1体で安心する私じゃない。手札の《ビットルーパー》の効果発動。手札の《ドットスケーパー》を墓地に送り自身を特殊召喚。さらに《ドットスケーパー》の効果を発動。墓地に送られた時、自身を場に特殊召喚できる」
「くそ、私のターンはまだかよ!お前一人でどれだけデッキを回してるんだ!」

実里 LP8000 手札4 《終末の騎士》
優 LP7000 手札3 《トランスコード・トーカー》《ビットルーパー》《ドットスケーパー》+《サイバネット・コーデック》

「私は《ビットルーパー》《ドットスケーパー》と手札の《コード・ラジエーター》をリンク素材に、《エクスコード・トーカー》をリンク召喚。場所はトランスコードの下に置く。そして《サイバネット・コーデック》の効果で、《リンク・インフライヤー》を手札に。…あ、これコンフリクト必要なかったかも」
「あん…??どういう意味だよ」
「《コード・ラジエーター》の効果発動、コード・トーカーモンスターのリンク素材となった時、相手フィールド上のモンスター1体の効果を無効にし、攻撃力を0にする。もちろん対象は《終末の騎士》」

《終末の騎士》 ATK1400→0

実里 LP8000 手札4 《終末の騎士》
優 LP7000 手札3 《トランスコード・トーカー》《エクスコード・トーカー》+《サイバネット・コーデック》

「私は《リンク・インフライヤー》を《エクスコード・トーカー》のリンク先に自身の効果で特殊召喚。さらにリンクモンスターのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚したことで、《シーアーカイバー》を手札から特殊召喚」
「おい、まさか、またリンク召喚かよ… もう十分だろ…」

実里 LP8000 手札4 《終末の騎士》
優 LP7000 手札3 《トランスコード・トーカー》《エクスコード・トーカー》《リンク・インフライヤー》《シーアーカイバー》+《サイバネット・コーデック》

「私は《リンク・インフライヤー》《シーアーカイバー》をリンク素材に、《ハニーボット》をリンク召喚!場の真ん中に置く。さあ、ようやっと戦闘の時間だ。あんたの泣き顔が見れることが楽しみだよ」
「へっ、でも攻撃力の合計は6500… ワンキルには届かないだろ!」

(この攻撃を耐えれば、次のターンで《インヴェルズ・ギラファ》を出して反撃開始だ!)

「攻撃力の合計が6500…?冗談はよしなさいよ。フィールド、もう一度見てみたら?」

場に並んでいたのは、攻撃力3300の《トランスコード・トーカー》、2800の《エクスコード・トーカー》、2400の《ハニーボット》だった。

実里 LP8000 手札4 《終末の騎士》
優 LP7000 手札3 《トランスコード・トーカー》《エクスコード・トーカー》《ハニーボット》+《サイバネット・コーデック》
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