第十五話・アンチウイルスの脅威！前編　作：鈴木颯手

万丈目が戻って来てから平穏な日々が続いた。特に問題もなく日常が続いていた。一つ問題があるとすれば、

「あ！黒崎さん！おはようございます！」

「黒崎さん！お茶を飲みませんか！？」

「おらおら黒崎さんのお通りだぁ！道を開けろ！」

このように対抗デュエル以来取り巻きが出てきて内心へきえき

「…なんだ？」

龍吾がオベリスクブルーの自室に入るとテーブルの上に手紙が置いてあった。人が入った痕跡もなく龍吾が置いたわけでもなかったが龍吾は手紙を取ると読む。

「今夜島の西にある海岸にて待つ、か…」

龍吾はそれをしまうと机に座りデッキの調整を始めた。理由は勿論手紙で指示された場所に行くためだ。





☆★☆★☆
「…場所はここでいいんだよな？」

夜、アカデミアが寝静まったころ龍吾は手紙で指定された場所に来ていた。龍吾はあたりを見回すが誰もおらず場所を間違えたかと思いこの場を離れようとした時であった。

【…ようやく来たかぁ。黒崎龍吾ぉ】

後ろから声が聞こえてきて龍吾は後ろを向く。そこには全身が闇で覆われているがその姿は以前闇のデュエルを仕掛けてきた白衣の男であった。

「…また、お前か」

【ひっひっひ！貴様に体を破壊されてしまったからな】

「…そうなのか？」

龍吾はデュエルの途中で気を失ってからの記憶がないため白衣の男のその後が全く不明であった。

【…どうやら奴が言っていたことは本当の事らしいな。…さて、貴様にはもう一度闇のデュエルを行ってもらう！今度はお前の命が目的ではない。俺が勝った場合貴様の体をいただく！】

「…それを俺が受けるとでも？」

【別に受けなくてもいいさ。その場合他の奴らを標的にするまでだ】

「…いいだろう。再び消し飛ばしてやる」

白衣の男が嘘を言っていないと判断した龍吾は受けて立つ事にした。それを聞いた白衣の男は表情を歪める。

【前回と同じだと思うなよ！】

「【デュエル！】」

【先行は俺！ドロー！】

白衣の男
手札５枚→６枚

【アンチウイルス・スニッフィングドラゴンを召喚。このカードの効果によりデッキからさらに二体特殊召喚する！そしてアンチウイルス・スニッフィングドラゴンは場の同名カード一枚に付き３００攻撃力がアップする！】

アンチウイルス・スニッフィングドラゴン×３
ATK１２００→２１００
DEF６００

【俺はカードを３枚伏せ速攻魔法感染拡大を発動！場にアンチウィルスと名の付くモンスターが三体以上存在する時に発動できる。手札からアンチウィルスと名の付くモンスター一体を場にセット出来る。これでターンエンドだ！】

「俺のターン、ドロー」

黒崎龍吾
手札５枚→６枚

「…俺は死者転生を発動。サイレントドラグーンを墓地に送りそのまま手札に戻す。そしてサイレントドラグーンの効果により特殊召喚する」

サイレントドラグーン
ATK２０００　DEF１７００

「更に俺はサイレントドラグーンを生贄にダーク・パワー・ドラゴンを召喚する」

ダーク・パワー・ドラゴン
ATK２３００　DEF２５００

「ダーク・パワー・ドラゴンの効果によりデッキから装備カード一枚を手札に加える。さらに手札のダークブレード・ドラグーンの効果によりダーク・パワー・ドラゴンに装備！ダーク・パワー・ドラゴンの攻守は５００アップする！」

ダーク・パワー・ドラゴン
ATK２３００→２８００
DEF２５００→３０００

「バトル！ダーク・パワー・ドラゴンでアンチウイルス・スニッフィングドラゴンに攻撃！」

【そんな単調な攻撃が聞くはずないだろう！リバースカードオープン！光の導き！５００ライフを払い貴様の攻撃相手をセットモンスターに変更する！ダーク・パワー・ドラゴン！貴様の相手は此奴だ！】

白衣の男LP４０００→３５００

ダーク・パワー・ドラゴンの前に光が差し込み白衣の男の場のセットカードを照らし出す。光が出た事によりアンチウイルス・スニッフィングドラゴンは暗闇に消え対象を失ったダーク・パワー・ドラゴンは仕方なくセットカードを攻撃した。

【セットモンスター、アンチウイルス・メタモルポッドの効果発動！お互い手札を全て除外する。除外したカード一枚に付き３００のダメージを受ける。だが、俺の手札は０！よって除外もされずダメージもうけない！だが、お前はどうかな？】

龍吾の手札は自分のターンと言う事もあり３枚。龍吾は歯を食いしばりゲームから除外した。その瞬間メタモルポッドの効果で龍吾の体を雷撃が襲った。

黒崎龍吾LP４０００→３１００

【その後お互いに５枚ドローする。更に光の導きの効果によりアンチウイルス・メタモルポッドは５００攻撃力を上げて蘇る！】

再び、今度は攻撃表示で蘇るカビの様な物が付いたメタモルポッド。

アンチウイルス・メタモルポッド
ATK１０５０→１５５０
DEF９００

白衣の男
手札０枚→５枚

黒崎龍吾
手札３枚→０枚→５枚

「…俺はカードを３枚伏せてターンエンド」

白衣の男LP３５００　手札５枚
モンスター
アンチウイルス・スニッフィングドラゴン
アンチウイルス・スニッフィングドラゴン
アンチウイルス・スニッフィングドラゴン
アンチウイルス・メタモルポッド
魔法、罠
セット
セット

黒崎龍吾LP３１００　手札２枚
モンスター
ダーク・パワー・ドラゴン
魔法、罠
セット
セット
セット
ダークブレード・ドラグーン（ダーク・パワー・ドラゴン装備中）

【俺のターン、ドロー！】

白衣の男
手札５枚→６枚

【俺はアンチウイルス・メタモルポッド、アンチウイルス・スニッフィングドラゴン一体をゲームから除外する事で生物兵器・アンチウイルスを特殊召喚する！】

生物兵器・アンチウイルス
ATK０　DEF０

【このカードは戦闘で破壊される以外場を離れる事は無い。更に儀式魔法終末の世界を発動！場のアンチウイルス・スニッフィングドラゴン二体をゲームから除外する事で生物兵器・パンデミックウイルスを召喚する！】

生物兵器・パンデミックウイルス
ATK２５００　DEF２５００

【さらにカードを二枚伏せモンスターをセット！そして生物兵器・パンデミックウイルスの効果発動！ゲームから除外されているモンスターの効果を無条件で発動できる！アンチウイルス・メタモルポッドの効果を発動する！お互いのプレイヤーは手札を全て除外する！その後除外したカード一枚に付き３００のダメージを受けてもらう！お前の手札は２枚！よって６００のダメージを受けてもらう！】

「…くっ！？」

黒崎龍吾LP３１００→２５００

未だ相手は攻撃宣言すらしていないのに龍吾のライフを半分近くまで削っていた。苦悶の表情を浮かべる龍吾を白衣の男は楽しそうに見ている。

【フハハハハハ！いい眺めだ！更にお互いのプレイヤーは５枚ドローする】

白衣の男
手札０枚→５枚

黒崎龍吾
手札２枚→０枚→５枚

【俺はカードを１枚伏せてターンエンドだ】

「…俺のターン、ドロー！」

【この瞬間、リバースカードオープン！アンチウイルス・はたき落とし！今引いたカードを除外し３００のダメージを受けてもらう！】

「…くっ」

黒崎龍吾LP２５００→２２００

「…俺はリバースカードオープン！闇次元の開放！ゲームから除外されている自分のモンスター一体を場に特殊召喚する！俺は今ゲームから除外されたダーク・フェアリー・ドラゴンを特殊召喚する！」

ダーク・フェアリー・ドラゴン
ATK２１００　DEF３０００

「更に俺は融合を発動！ダーク・フェアリー・ドラゴンとダーク・パワー・ドラゴンを融合！現れろ！エンシェント・パワー・ドラゴン！」

エンシェント・パワー・ドラゴン
ATK２５００　DEF３５００

「更にダーク・パワー・ドラゴンの効果発動！このカードが装備しているモンスターで融合を肩代わりする！よってダーク・パワー・ドラゴンは場に残る！」

ダーク・パワー・ドラゴン
ATK２８００→２３００
DEF３０００→２５００

「エンシェント・パワー・ドラゴンの効果発動！デッキから暗黒のグングニル・ドラグーンを装備する！」

エンシェント・パワー・ドラゴンの前に槍を模した竜が現れるとエンシェント・パワー・ドラゴンがそのモンスターを右手に持つ。

「エンシェント・パワー・ドラゴンに装備されている暗黒のグングニル・ドラグーンの効果により攻撃力を半分にして相手に直接攻撃出来る！行け！エンシェント・パワー・ドラゴン！」

【リバースカードオープン！光の導き！５００ライフを払いエンシェント・パワー・ドラゴンは生物兵器・パンデミックウイルスに攻撃を変更する！】

白衣の男LP３５００→３０００

「だが直接攻撃ではなくなったため攻撃力は元に戻る。更に暗黒のグングニル・ドラグーンを墓地に送りこのカードの破壊は免れる」

攻撃力の同じモンスターであるがエンシェント・パワー・ドラゴンは暗黒のグングニル・ドラグーンを投げつける事で生物兵器・パンデミックウイルスのみを破壊する。

【だが！光の導きの効果により攻撃力を５００アップして場に蘇る！】

生物兵器・パンデミックウイルス
ATK２５００→３０００
DEF２５００

「…俺はカードを二枚伏せ暗黒騎兵・ジコグを守備表示で召喚。更にダーク・パワー・ドラゴンを守備表示に変更してターンエンドだ」

暗黒騎兵・ジコグ
ATK１５００　DEF１５００

白衣の男LP３５００　手札４枚
モンスター
生物兵器・アンチウイルス
生物兵器・パンデミックウイルス
セット
魔法、罠
セット

黒崎龍吾LP２２００　手札１枚
モンスター
ダーク・パワー・ドラゴン
エンシェント・パワー・ドラゴン
暗黒騎兵・ジコグ
魔法、罠
セット
セット
セット
セット

場のモンスターのステータスではわずかに龍吾が勝っているが白衣の男の場には除外されているモンスターの効果を無条件で発動できる生物兵器・パンデミックウイルスにその能力が未知数の生物兵器・アンチウイルスがいた。更に龍吾が手札を残せばパンデミックウイルスの効果で除外されるうえにダメージも食らってしまう。龍吾は少しずつ追い込まれ始めているのであった。