②：このカードがフィールドに存在する限り　作：szmt

TURN 4
男　LP４０００
モンスター：復囚のガク
魔法罠：一枚伏せ
墓地：３枚

VS

看守 LP４０００
モンスター：拘置な番犬
魔法罠：監獄楽―オルサーバー
墓地：３枚


相手の手札も減らず、決定的な突破口も未だ見当たらない。行方知れずの妹の為にも、こんなところで負けていられないというのに。ああ、次は相手のターンだ。


「ドロー。……まさか、ただのロックデッキ、このまま押し切れば勝てる～、なんて思ってないわよね？私は手札から装備魔法カード、無期役鳥を発動するわ。自分フィールドに監獄楽が存在する場合、貴方のフィールドのモンスター１体に装備して、コントロールを得られるわ。貴方のそのガクを貰おうかしら。それと忠告。貴方のターンになれば、コントロールを得ているモンスターの攻撃力の半分、貴方にダメージを与えるわ。」
斧を構えた鬼の頭に、骸を被った鳥が乗る。次の瞬間、鳥から鎖が放出され、ガクは縛られてしまう。

無期役鳥　装備魔法
自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が存在する場合にのみ、相手フィールドのモンスターに装備可能。
①：装備モンスターのコントロールを得る。
②：？？？

「クソっ……俺は永続罠、復囚の報いを発動！手札の復囚カードを任意の数破壊し、フィールドのカードを破壊する！俺は手札を二枚破壊し、その鳥とフィールド魔法を破壊してやる！」
「あら、残念。破壊されちゃったわ。ということでコントロールはアンタのほうに戻っちゃうけど……この鳥ちゃん、元々監獄楽がないと破壊されちゃうのよね。これで手札は０枚。無駄にしちゃったわね、アンタ」
「チッ……だが、勿論破壊されたのだから効果は発動させてもらうぞ！決して無駄ではない！」
「なんですって！？」
手札を二枚捨て、鳥と牢獄が破壊される。そして、同時に破壊された手札から、鬼が這い出して来る。
「破壊した１枚は復囚のゲン、こいつはレベルが８だ。故にレベル４である復囚……最初に破壊されていた復囚、キンを特殊召喚！もう一枚はレベル２の復囚、グイ。よってデッキから魔法カード、復囚の怨嗟を手札に加える。勿論キンは、ゲンの攻撃力の半分攻撃力が上がる！決して俺は諦めないぞ……！」

キン
ATK1200 → ATK2300


復囚のキン　☆４　地　悪魔族　ATK2300 DEF200　表攻
EFFECT　
①：このカードが戦闘・効果によって破壊された場合発動できる。手札・墓地から「復囚」モンスター１体を特殊召喚する。その後、この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力はこのカードの攻撃力分アップする。
②：？？？

「かなり面倒ね……私は東獄の見張り兵を召喚。このカードの効果でデッキから監獄楽の名前が記されたカードを１枚手札に加えるんだけど、フィールドに監獄楽がなければ代わりにデッキから監獄楽をサーチできるわ。ということで監獄楽をサーチしてそのまま発動。そして永続魔法、捕ラエの木馬も発動してターンエンド。捕ラエの木馬があればアンタは攻撃できないから、このままじわじわと殺してあげるわね？」

東獄の見張り兵　☆３　地　戦士族　ATK1000 DEF1200　表攻
EFFECT　
①：このカードの召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「監獄楽―オルサーバー」の名前が記されたカード１枚を手札に加える。


現れたのは、浪人風の男。笛を吹くと再び現れる牢屋、そして大きな木馬が現れる。


TURN ５
男　LP４０００
モンスター：復囚のキン、復囚のガク
魔法罠：一枚伏せ
墓地：３枚

VS

看守 LP４０００
モンスター：拘置な番犬　東獄の見張り兵
魔法罠：監獄楽―オルサーバー　捕ラエの木馬
墓地：３枚


「俺のターン、ドロー！」
相手にするはロクでもないロックデッキ。効果も使えず攻撃もできず、手札は今ドローした１枚と１枚の魔法。だが、活路はある……！この手札なら！

「俺は手札から復囚の怨嗟を発動！手札・フィールド・墓地の復囚モンスター……墓地のグイ、ゲンを素材として除外し、”融合召喚”！」
「融合ですって……！？」
エクストラデッキを見る。このカードの名前を、俺は知っている。相手をちらと見て、再度カードに目を落とす。ここが監獄というのなら、相手が看守を気取るのなら、ここまでピッタリなカードもないはずだ……！
「飢えよ！力を渇望せよ！渦巻く理、地獄より響け！融合召喚！現れよ、地獄の”看守”！復囚鬼 ラークシャサ！」
地響きのような声が聞こえる。地面からはい出るようにして出てきたのは、巨大な剣を持った赤い鬼。

復囚鬼 ラークシャサ　☆８　闇　悪魔族　ATK2600 DEF 200　表攻
融合
EFFECT
「復囚」モンスター×２体以上
①：？？？

「地獄の看守……！？ッ、ハッ！攻撃は捕ラエの木馬で不可能！そもそも監獄楽の効果でソイツの効果は使えないし、出したのは無駄だったわね！」
「手札から速攻魔法、サイクロンを発動。」
鬼が指さすと巻き起こる突風。監獄のテクスチャは引きはがされ、元のオンボロ監獄に戻る。
「なっ……！」
「これで効果は使えるな。俺はラークシャサの効果を発動！このカードの融合素材の数まで、相手フィールドの魔法・罠カードを破壊する！その気味の悪い木馬を破壊する！」
「そっちもサイクロンを持ってるの……！？で、でも！捕ラエの木馬の効果発動！このカードが破壊された時、手札・墓地から監獄楽の名が載ったカードを２体まで特殊召喚できる！蘇れ、砦の抑竜！監古鳥！」


砦の抑竜　☆４　地　ドラゴン族　ATK1000 DEF2000　表守
EFFECT
①：自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が表側表示で存在する場合、このカードは手札から表側守備表示で特殊召喚できる。
②：自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が表側表示で存在する限り、相手は「砦の抑竜」以外のモンスターを攻撃対象に選択できない。

監古鳥　☆２　風　鳥獣族　ATK200 DEF200 表守
EFFECT
①：手札のこのカードを捨てて発動できる。デッキから「監獄楽―オルサーバー」１枚を手札に加えるか発動する。


「無駄だ……ラークシャサの攻撃力は素材の数×300アップするぞ！バトルフェイズ！俺はガクで抑竜を攻撃！」
先ほど見た風景、ガクが斧を振り上げる。抑竜が身を翻そうとするが、その前に一刀両断。抑竜は破壊された。守る牢獄はなく、飛んでくる鳥もいない。
「なすすべもないようだな。続いてキンでその鳥に攻撃！」
「まだまだ……アンタの手札はもう無いし、ライフは残る！」
「残念だったな……攻撃力が変化しているこのカードは、守備表示のモンスターを貫通する！貫け、キン！」
「なんですって！？……グゥッ！」

看守　LP4000　≫　LP1900

「続いて攻撃力が3200となったラークシャサで、東獄の見張り兵に攻撃！とどめだ！ニリチラージャ・スラッシュ！」

「クソっ……くそがァァァァ！」

看守　LP1900　≫　LP0


吹き飛ぶ看守に詰め寄り、口を開く。
「妹の場所を、黒衣の女の正体を言え！」
「チッ……負けたのは事実、か……いいでしょう、教えてあげる。そのアンタのいう黒衣の女性……組織の幹部が一人、エクシア。アンタをここに入れたのもあの方よ。」
「エク、シア。」
「そ、最初も言ったように妹ちゃんは知らないけどね。出口はあっち。あーあ、負けちゃった。」

そういってぶっきらぼうに看守は去っていく。
フラッシュバックする光景。黒衣の女が家に乗り込んできて、強制的にデュエル、圧倒的な強さに太刀打ちできず、妹を連れ去られ気絶……

はやる気と共にカツカツとテンポよく足音が響く。
長い階段を登り切り、ギィと扉を開くと差し込んできた光に目を細めて、慣れてきた目に飛び込んできたのは。

「なんだ、これ……！」
見渡す限り廃墟、廃墟、廃墟。元の街もわからないほどに破壊された現状に呆然とする。どういう訳か開けた扉はもう開かない。ともかく、どこか落ち着ける場所を見つけるしか……

「おーい、そこの！大丈夫か！」

声が聞こえた。ひとまず、そっちへ向かうことにした。




――カードについて
「監獄楽―オルサーバー」
フィールド魔法
①：このカードが自分フィールドに表側表示で存在する限り、相手フィールドのモンスターの効果は無効になる。
②：１ターンに１度、自分フィールドの「監獄楽―オルサーバー」のカード名が記されたモンスターが戦闘・効果で破壊された場合発動できる。デッキから「監獄楽―オルサーバー」以外の「監獄楽―オルサーバー」のカード名が記載されたカード１枚を手札に加える

正直物語の最初のデュエルで出すような性能じゃないロックカード。初案は「①：このカードが自分フィールドに表側表示で存在する限り、相手フィールドのモンスターの効果は無効になり、攻撃宣言を行えない」という魔鍾洞も真っ青なクソカードだった。流石に強すぎるので攻撃不可能は廃止。代わりに②で後続サーチできるようになった。それでもスキドレの上位互換。「パノプティコン」から発想を得て、最初の名前もそんな感じだった。


「砦の抑竜」
☆４　地　ドラゴン族　ATK1000 DEF2000　
①：自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が表側表示で存在する場合、このカードは手札から表側守備表示で特殊召喚できる。
②：自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が表側表示で存在する限り、相手は「砦の抑竜」以外のモンスターを攻撃対象に選択できない。

砦を守る翼竜から発想を得たカード。効果はまるで別物だが、当初は原作モンスターたちの名前を使う構想だった。縛りきつすぎて諦めたけど。翼竜＋抑留という掛け合わせから、以降のカードも全てそういう単語を掛けた名前になった。「監獄楽」に変更された経緯もそう。フィールド魔法があればSS出来てレベル４なので、ライトニングとか出るよ。手つなぎロックはできないけど。


「狡置な番犬」
☆２　地　獣族　ATK1000 DEF100
①：自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が表側表示で存在する限り、このカードは攻撃宣言を行えない。
②：このカードが攻撃によって相手にダメージを与えた場合発動できる。デッキから「監獄楽―オルサーバー」または「監獄楽―オルサーバー」のカード名が記されたカード１枚を手札に加える。

なんだったんだコイツ。影薄かった１枚。正直NSする必要はなかった気もする。拘置＋狡知。


「幽囚な奴隷」・「監古鳥」
一般通過モンスターズ。手札から墓地へ送られることが本命の二体。前者は疑似耐性、後者はサーチ。


「無期役鳥」
装備魔法
自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が存在する場合にのみ、相手フィールドのモンスターに装備可能。
①：装備モンスターのコントロールを得る。
②：自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が存在しない場合、このカードを破壊する。

デメリット付きでコントロールを奪うカード。無期懲役＋鳥。正直泣きっ面に蜂みたいな感じもするよね。


「捕ラエの木馬」
永続魔法
①：このカードと「監獄楽―オルサーバー」がそれぞれ自分フィールドに表側表示で存在する限り、相手は攻撃宣言を行えない。
②：このカードが相手によって破壊された場合に発動できる。手札・墓地から「監獄楽―オルサーバー」のカード名が記されたモンスターを２体まで特殊召喚する。

知らないカード。初期構想では影も形もなかったのだが、強すぎたから分離したはずの攻撃封じが何故かこっちで再現された。トロイの木馬＋捕らえ。破壊されたら手札・墓地から出てくるのだが、勿論こんな効果も知らない。なんなんだろうね。

「東獄の見張り兵」
お前も知らないカード。カテゴリカードメモにないカードを出すの、やめてほしい。