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HOME > 遊戯王SS一覧 > ①:このカードが戦闘・効果で破壊された時

①:このカードが戦闘・効果で破壊された時 作:szmt

意識が浮上する。

目の前には......鉄の檻。誰もいない。どうして俺はこんなところに?
痛む頭で必死に記憶をかき集めれば、そうだ。黒衣の女性。親を失い、妹と二人暮らし。平和に暮らしていた俺たちの前に、その女が急に乗り込んできた。唐突にデュエルを申し込んできた彼女は、あっという間に俺たちを蹴散らした。何の恨みがあったのだろうか。俺たちはただ暮らしていただけだ。デュエルの腕前は街で1位、とか、そういうわけでもない。何の変哲もない、兄妹だったのだ。
嵐のように襲い掛かってきた女に負け、意識を失い、気が付けばよくわからない牢屋。ともかく、だれもいないのなら僥倖ではある。外されることのなかったデュエルディスクに、傍に落ちていたカードをかき集めて、牢屋を出た。

......知らないカードたちだ。だが、テキストを読み込んでいる暇はない。妹もどこかに囚われているのだろうか。気づくと、走り出していた。


どうやらここは監獄らしい。こんな場所、少なくとも俺は知らない。
古びた鉄の扉を開ける。埃が舞い、光が差し込んできた。


「あら、イケナイ子。勝手に牢屋から出てきちゃうなんて。」
そうして目の前にいたのは、看守然とした、赤い髪の女性。......違う。こいつじゃあない。
「妹を、黒衣の女を、知っているか?」
首を竦められる。
「残念。このオンボロ監獄に放り込まれたのは、アンタだけよ。妹なんていたのね?知らなかったわ。」
一瞬で頭が沸騰する。お前たちが妹をどうにかしたのではないか、なんて言葉さえ突き出そうになるが、理性でもって何とか抑える。彼女は、答えるふりをして、大切な問いには答えていない。
「質問に答えろ!黒衣の女は知っているのか!」
「あら、誤魔化せなかった。でもほら、アンタも腕にディスクつけて。決闘者なら、やるべきことがあるんじゃない?その為に、残してあげたんだし。」
舌打ちする。決闘者なら、やるべきこと……デュエルで決着をつけるしかないか。だが、けして、自分の実力は高くはない。ましてや、テキストもろくに読み込めていないデッキ。勝率は低いが......やるしかないことには変わりない。
「わかった。始めよう......デュエル!」

男 LP4000
VS
看守 LP4000

「先攻は......アンタからでいいよ。譲ったげる。」
舐められている。そうありありとわかる余裕の表情。だが、それは救いに変わりない。
カードのテキストを必死に読む。すると、なぜか効果が次々に理解できる。手札に入っていないカードでさえ。ありていに言えば......デッキが理解できる。

「あらあら、必死なのね。そんな調子で私に勝てる?」
「うるさい!俺は、手札から復囚のキンを召喚!ターンエンド!」

復囚のキン ☆4 地 悪魔族 ATK1200 DEF200 表攻
EFFECT ???

現れたのは、地面からはい出てきた悪魔。名前とともに、今の自分を表すようで冷笑する。今はこれしかできない。

TURN 2
男 LP4000
モンスター:復囚のキン
魔法罠:無し
墓地:無し

VS

看守 LP4000
モンスター:無し
魔法罠:無し
墓地:無し

「下級のモンスター1体を棒立ち。もしかして、私を舐めてんの?私のターン!ドロー!」
手札を一通りみて、舌なめずり。手札は上々、相手は初心者としか思えないプレイング。勝てる。そう女は算段を立て、手札を荒々しくディスクに叩きつける。
「手札の監古鳥の効果を発動!このカードを手札から捨てて、デッキからフィールド魔法、監獄楽―オルサーバーを発動するわ!」
女の手札から鎖で雁字搦めになった鳥が飛ぶ。帰ってきた鳥が啄んでいたカードを見もせず取ると、フィールドに出す。

監獄楽―オルサーバー フィールド魔法
EFFECT ???

「オルサーバーが存在する限り、貴方のモンスターの効果を無効にする牢獄が形成されるの。」
言うや否や、キンの周りに檻が出現。囚われ、身動きが取れなくなってしまう。
「そして、自分フィールドにオルサーバーが存在する場合、手札の砦の抑竜は守備表示で特殊召喚できるのよ!あとは手札から狡置な番犬を召喚。この子はオルサーバーがあると攻撃はできないから、ターンエンドよ!」
現れたのは翼を降ろした竜と、飢えた犬。どちらもギラついた眼でコチラを睨みつけてくる。たじろぐが、こんなのに負けていられない。

砦の抑竜 ☆4 地 ドラゴン族 ATK1000 DEF2000 表守
EFFECT
①:自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が表側表示で存在する場合、このカードは手札から表側守備表示で特殊召喚できる。
②:???

狡置な番犬 ☆2 地 獣族 ATK1000 DEF100 表攻
EFFECT
①:自分フィールドに「監獄楽―オルサーバー」が表側表示で存在する限り、このカードは攻撃宣言を行えない。
②:???

「ふふっ、この監獄、突破できるのかしら。」


TURN 3
男 LP4000
モンスター:復囚のキン
魔法罠:無し
墓地:無し

VS

看守 LP4000
モンスター:砦の抑竜 拘置な番犬
魔法罠:監獄楽―オルサーバー
墓地:1枚



睨みつけた先には檻。間違いなくあのフィールド魔法が軸になるデッキ。除去対策をしていない訳がない。厄介なことには変わりないが、ひとまず動くしかない。
「ドロー。手札から復囚の呪いを発動。お互い、相手フィールドのカードを1枚破壊できる。」

復囚の呪い 通常魔法
①:自分フィールドに「復囚」モンスターが存在する場合、相手フィールドのカード1枚を選択して発動できる。そのカードを破壊し、その後相手は自分フィールドのカード1枚を選択し破壊する。

「なら、そのモンスターを破壊しちゃうわね。」
「その代わりに、その趣味の悪いカードを破壊させて貰うぞ。」
地面から黒い亡霊のようなものが出る。檻を叩き壊そうとするが、すんでのところでガリガリに痩せ細った人間が庇い、消滅する。檻は......無事だった。
「手札の幽囚な奴隷の効果。監獄楽の代わりにこのカードを墓地へ送ったわ。残念、破壊されたのはアンタのカードだけよ。」
やっぱり持っていた。だが、こちらもただでは終わらない。
「それはどうかな?破壊されたキンの効果。コイツが破壊されたとき、手札・墓地からレベル2の復囚モンスターを出すことができる。手札から復囚のデモを特殊召喚。」
崩れ落ちるキンの身体から這い上がるのは、一回り小さな鬼だ。

復囚のデモ ☆2 闇 悪魔族 ATK200 DEF200 表攻
EFFECT
???

「そして、キンの攻撃力分コイツの攻撃力はアップする。」

デモ
ATK200 → ATK1400


「なるほどね?だいたい分かったわ。破壊されたら小さなモンスターになって、その分攻撃力は上がると。でも残念。私のフィールドに監獄楽があるから、貴方は砦の抑竜以外をそもそも攻撃できないの。そして抑竜の守備力は2000。簡単に突破できると思わないでよ?」
「……そもそも、俺はまだ召喚していないぞ。俺は手札から復囚のガクを召喚する。」
デモを一瞥。こちらを見たデモは頷いて、自らその鋭利な爪で首を切った。
そうしてその死骸から出てきたのは、斧を手に持った巨大な鬼。

復囚のガク ☆8 風 悪魔族 ATK2200 DEF200 表攻
EFFECT
???

「……ちょっと、ソイツ、レベル8よ。リリースするための素材、一体足りないわよ?」
「ガクを召喚する場合、二体をリリースする代わりに自分フィールドの復囚モンスター1体を破壊できる。俺はデモを破壊してガクを召喚した。勿論デモの効果が発動する。コイツが破壊されたとき、デッキから復囚魔法罠カードを手札に加える。俺は……復讐の報いを手札に加える。」
「なっ、リリースの代わりに破壊!?」
「復囚モンスターを破壊することで召喚したコイツは相手モンスターを破壊できるんだが……」
「無理よ。監獄楽の効果を忘れた?この監獄にいる限り、貴方のモンスターの効果は無効よ。」
「……だろうな。しょうがない、ガクで抑竜に攻撃。」
ガクが斧を振り上げる。抑竜が身を翻そうとするが、その前に一刀両断。抑竜は破壊された。だが、散っていく抑竜が消える瞬間、その穴を埋めんと鳥が飛んでくる。
「監獄楽の名前が載ったカードが戦闘・効果で破壊されたとき、監獄楽の効果が発動するわ。デッキから監獄楽の名前が載ったカード……無期役鳥を手札に加える。」

未だアドバンテージは変わらず、歯がみする。鍵はわかっている。あの趣味の悪い監獄のようなフィールド魔法だ。妙に遠く、届かない。平凡な実力では、やはり……
そんな悪い思いを首を振って振り払い、改めて前を見据える。妹の為に――
「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ。」

NEXT TURN IS TURN 4
男 LP4000
モンスター:復囚のガク
魔法罠:一枚伏せ
墓地:3枚

VS

看守 LP4000
モンスター:拘置な番犬
魔法罠:監獄楽―オルサーバー
墓地:3枚



―――
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szmtという名前がどうやらSSのコメントで使用できないため、返答は専ら「山女魚」という名前で行います。よろしくお願いします。
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