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2話「炎渦の挑戦者」 作:グレイ
エキシビション・デュエルが行われた入学式も終わり、発表されたクラス分け通りに教室へ。
担任によって軽く最優秀新入生の表彰が行われ、初日の授業はあっさりと終了した。三年振りの再会を果たした竹馬の友とは異なるクラスとなってしまったようで、美遊は少し落胆した気持ちになっていた。
このアカデミアは初等部・中等部・高等部と続いていて、美遊は中等部には進学せずこの地を離れ、高等部の入学試験を受けた。中等部からいる生徒達には、既に仲間となるグループが出来上がっているため、美遊は学級に馴染めずにいた。加えて、彼女の入学式でのデュエルは大盛り上がりを見せたことで、ほとんどのクラスメイトが美遊に憧れの眼差しを向け、そうでない者は嫉妬心を持っている。結果、デュエルアカデミア初日にして美遊は学級で浮いた存在と化すこととなった。
初日であるため早々に解放された美遊は、一先ず小夜を探すことにした。しかし、アカデミアは超マンモス校であり、新入生だけで3000人、クラスは100近く存在することになる。思考は巡り、ぐるりと回る。暫し経過し、とうとうその中から小夜のクラスを特定することは不可能と判断し、諦めて帰路に就いた。
これだけの規模を誇るアカデミアには、当然全国から入学希望が殺到する。それを受け入れる学生寮も存在するが、美遊は地元であるため自宅から通学している。そして小夜は幼馴染み――彼女も地元であるので、恐らくは住所も以前と同じのはず。すなわち寮にはいない、そう思うばかりであった。
かつて覚えたことのない憂鬱感を抱え、校門を出る――刹那、そんな不芳な心は去る。
小夜「……!や。待ったよ」
校門の外に件の幼馴染が佇んでいた。陰鬱とした気分と表情は完全に晴れ、安堵と歓喜が交錯する。
小夜を見つけるや否や美遊は駆け寄り、彼女の肩へと両手を伸ばし掴んだ。興奮のあまり、体を揺さぶりそうになるのを抑えて大きく息を吐く。
美遊「どうしてここに?」
小夜「どうしてって……勿論、美遊と一緒に帰ろうと思ってね」
小夜「久方振りの再会なんだから。話したい事も山のようにあるし、付き合ってくれるよね」
美遊「小夜……!ああ、当然だ。ちょうど私もお前の話を聞きたかった折でね」
小夜「ふふん。どうせ友達が出来なくて、あたしに泣きついてきたってところなんじゃないの?」
美遊「生意気なところは昔と変わってなくて安心した。この機会にお前の恥ずかしい昔話、わんさか聞かせてもらうぞ?」
先ほどのデュエルの時とはまた違う、昔馴染みらしい雰囲気を感じ取った二人の会話が交わされ、学園を後にした。
美遊と小夜の二人は例の試合によって、アカデミア内ですっかり有名人になっていた。今までの会話も多くの新入生に目撃されている。そして、その中には鋭い敵意の視線を送る者が一人――。
――――
美遊「そうそう、ここで小夜が川に落ちてデッキが全ておじゃんになったな。最高に面白かったよ、アレは」
小夜「それは美遊に押されたからで、あたしは何もしてないよ――って、これは前にも言ったし」
美遊「いや確実に自分から落ちて行ったね。暫くここを離れてたからって、私の目と記憶は誤魔化せないぞ」
数十分が経過したところで、美遊達二人は帰路から寄り道をして、河川敷の一角に腰を掛けて駄弁っていた。美遊がここに戻って来たのはわずか一月前で、新居のごたごたもあり、なかなか散歩などできていなかったため、思い出の場所に訪れるや否や、忘れられた昔の記憶がすらすらと呼び起こされ、つい先日のように記憶に定着していく。先ほどの憂鬱は何処へやら、美遊は全力で思い出話に花を咲かせていた。
小夜「それは違うよ。美遊の記憶は少し混濁としているようだから、私が正してあげよう!」
美遊「何だ何だ、恥ずかしくてやけになったか?ああ良いとも、やってやろうじゃないか。デュエルだ!」
花は少々咲き過ぎてしまっていたようで、瑣事を引き金に臨戦態勢に入ってしまう二人。入学式と違い、ギャラリーが誰もいない中、銀色のディスクと煌びやかなディスクが交差しようとしていた――。
「おい。デュエルするってんなら、いっちょ俺とデュエルしようぜ?最優秀新入生サマよ」
――ギャラリーは多いに越したことはないと言うが、一人のみいても厄介者なら意味は無い。気分の高揚した幼馴染達に水を差すごとく、一人の男が姿を現した。
派手な赤色の髪の毛、猫背で睨め付け顔、夥しい金属製の装飾品。贔屓目に見たとて、品行方正な優男であるとは言えない。そういう風貌の男であった。
美遊は誰だお前、と非友好的に接すると、男は功刀 炎司(くぬぎ えんじ)と言い、デュエルアカデミアの生徒であるということを答え、そして美遊に敵意を向けていることが理解できた。
炎司「気に入らねえんだよ、お前が。俺に負けたらアカデミアを去りな、クソガキ」
美遊「そりゃ奇遇だな、私も、私を気に入らないと言ってきた事が気に入らない」
美遊「よし!何者だか知らないが、先にお前と闘おうじゃないか。楽しませてくれよ?」
小夜「美遊!何も相手にする必要はないでしょ」
美遊「大丈夫さ、私のこの衝動は誰にも止められない」
美遊「さあ、デュエルだ。私が勝ったらこの場を去れ!」
炎司「ハッ!倒されるのはお前の方だってことを、わからせてやるぜ」
炎司から挑発された美遊は、冷静にその挑発に乗りデュエルを受けた。決して頭に血が上っているわけではなく、美遊は純粋にデュエルでぶつかり合い愉悦を得ようとしている。デュエルを楽しむことは美遊の長所であり短所。これを見ている小夜は美遊のこの性格による思い出をいくつも懐古し、呆れた。
炎司のデュエルディスクは、初期デザインではあるが小夜のものと同じくブレード射出タイプ――であるものを改造し、ブレードを翼のような形に仕上げていた。
河川敷の空の下、観客が一人のデュエルが始まる。
「「デュエル!!」」
――――
功刀「俺の先攻だ。俺は手札の『炎翼のジブル』を、召喚!」
《炎翼のジブル》(SSオリジナル)
効果モンスター
星4/炎属性/天使族/攻0/守0
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドの「炎翼のジブル」以外の表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
(2):このカードが攻撃またはモンスター効果の対象となった時、
自分の墓地の「炎翼のジブル」以外の「炎翼」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
功刀「手札の『炎翼のミカル』を手札から捨て、効果発動!『ジブル』を選択し、攻撃力を500アップさせるぜ」
《炎翼のミカル》(SSオリジナル)
効果モンスター
星6/炎属性/天使族/攻500/守1500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを手札から捨て、
自分フィールドの「炎翼のミカル」以外の炎属性モンスターまたは
天使族モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力は500アップする。
この効果は相手ターンにも発動できる。
(2):このカードが攻撃またはモンスター効果の対象となった時に発動できる。
デッキから「炎翼のミカル」以外の「炎翼」モンスター1体を手札に加える。
美遊「このタイミングで、手札を1枚使って攻撃力のアップか……何が狙いか」
功刀「対象となったこの瞬間、『ジブル』の効果発動!モンスター効果の対象になった時、墓地から炎翼を特殊召喚できる!蘇れ、『ミカル』!」
小夜「……なるほど。手札から捨てた対象に取り、捨てたモンスターをそのまま蘇生するコンボだね」
功刀「まだまだァ!『ジブル』のもう1つの効果発動!『ミカル』を選択し、効果を無効にする」
功刀「だが効果が無効になる前に、『ミカル』の効果が誘発するぜ。デッキから炎翼モンスター、『炎翼のシャマル』をサーチする」
《炎翼のシャマル》(SSオリジナル)
効果モンスター
星5/炎属性/天使族/攻2400/守1400
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「炎翼」モンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、
フィールドの「炎翼」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベル×100ダメージを相手に与える。
功刀「サーチした『シャマル』は炎翼が場にいるとき、特殊召喚できる。これで準備は整ったぜ」
小夜「モンスター効果のコンボで、一気に3体もモンスターを!」
美遊「エレメント召喚か……!来な!」
功刀「俺は!『ミカル』と『シャマル』をエレメントとし、『ジブル』をアセンション!」
功刀「情熱の炎を身に纏い、閃光と共に舞い降りろ……救世の翼!エレメント召喚!レベル8、『炎翼のミトロン』ッ!」
《炎翼のミトロン》(SSオリジナル)
エレメント・効果モンスター
星8/炎属性/天使族/攻2000/守2500
【エレメント素材】炎属性モンスター2体
天使族モンスター
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが攻撃またはモンスター効果の対象となった時、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(2):エレメント召喚したこのカードが相手の効果でフィールドを離れた場合に発動できる。
このカードのエレメント元のモンスター1体を特殊召喚する。
美遊「へえ、なかなかいかしたモンスターじゃないか」
功刀「この瞬間、エレメント素材となった『シャマル』のモンスター効果。『ミトロン』を選択し、そのレベル×100ダメージを相手に与える。食らいやがれ、800のダメージを!」
美遊「フン!」LP4000→3200
功刀「俺はカードを1枚伏せる。……『炎翼のミトロン』はモンスターに選択された時、モンスター1体を対象としてそれを破壊する効果がある」
功刀「ターンエンド。さあ、最優秀新入生サマの力、見せてもらうぜ」
美遊「あの場で名前を聞いていなかったのか?私は藍河 美遊(あいが みゆ)。覚えておくんだな!」
美遊「私のターン!私は『シュトロームベルクの金の城』を展開する」
《シュトロームベルクの金の城》
フィールド魔法
このカードのコントローラーは自分スタンバイフェイズ毎に
デッキの上からカード10枚を裏側表示で除外する。
除外できない場合このカードを破壊する。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
「シュトロームベルクの金の城」のカード名が記されたモンスター1体をデッキから特殊召喚する。
この効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。
(2):相手モンスターの攻撃宣言時に発動する。
その攻撃モンスターを破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
美遊「その効果の前に。相手のみモンスターがいることで『H・C 強襲のハルベルト』を呼び出せる!」
《H・C 強襲のハルベルト》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1800/守 200
(1):相手フィールドにモンスターが存在し、
自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(3):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。
デッキから「ヒロイック」カード1枚を手札に加える。
美遊「『金の城』の効果。通常召喚を放棄し、そのカード名が刻まれたモンスター、『鉄のハンス』を呼び出し、さらに連鎖して『鉄の騎士』を召喚する」
《鉄のハンス》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1200/守 800
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「鉄の騎士」1体を特殊召喚する。
この効果の処理時にフィールドゾーンに「シュトロームベルクの金の城」が存在しない場合、
ターン終了時まで自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。
(2):フィールドゾーンに「シュトロームベルクの金の城」が存在する場合、
このカードの攻撃力は自分フィールドの「鉄の騎士」の数×1000アップする。
《鉄の騎士》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1700/守 700
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「鉄のハンス」が存在する場合、
このカードの攻撃力は1000ダウンする。
(2):フィールドのこのカードが効果で墓地へ送られた場合、
または戦闘で破壊された場合に発動できる。
デッキから「鉄のハンス」1体を手札に加える。
フィールドゾーンに「シュトロームベルクの金の城」が存在する場合、
代わりにデッキから戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。
美遊「この2体が揃うと攻撃力がそれぞれ変動するが、興味ない。私は『金の城』をエレメントとし、『鉄のハンス』をアセンション!」
美遊「エレメント召喚!レベル4、『昇魔導師ランドマスター』!」
《昇魔導師ランドマスター》(SSオリジナル)
エレメント・効果モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻1800/守1000
【エレメント素材】魔法カード1枚
地属性モンスター
このカードはエレメント召喚に使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功したターン、
自分が戦闘・効果でダメージを受ける場合、1ターンに1度だけそのダメージは0になる。
(2):このカードの攻撃力は、このカードのエレメント元のモンスターの元々のレベル×100アップする。
(3):このカードが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりに墓地の魔法カード1枚を除外できる。
美遊「このカードの打点は、アセンションしたモンスターのレベルかける100上昇する。その結果攻撃力は2200!」
美遊「バトルフェイズだ。私は『ランドマスター』で『ミトロン』を攻撃!」
功刀「『炎翼のミトロン』の効果を聞いていなかったか?攻撃対象になったことで、『ランドマスター』を破壊する!」
美遊「このカードは墓地の魔法カードを破壊の身代わりにできる。『金の城』を除外して破壊を無効、攻撃は続行だ!」
功刀「甘えな。トラップ発動、『救済の翼』!フィールド・デッキ・墓地の炎翼モンスターを手札に加える。俺は墓地の『ミカル』を手札に戻す」
功刀「そして『ミトラ』の効果。手札から墓地へ捨てることで、『ミトロン』の攻撃力を500アップさせる。返り討ちだぜ!」
美遊「なるほどな……もう墓地に魔法カードはない、私はカードを2枚伏せてターン終了だ」LP3200→3000
功刀「だらしねえな。俺のターン、ドロー!」
功刀「エレメントモンスターがいる時、『炎翼のラジル』を特殊召喚できる!そして2体目の『炎翼のシャマル』も特殊召喚するぜ!」
《炎翼のラジル》(SSオリジナル)
効果モンスター
星5/炎属性/天使族/攻2000/守400
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドにエレメントモンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):相手ターンに自分フィールドの「炎翼」モンスター1体をリリースし、
フィールドのEXデッキから特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。
デッキから、対象のモンスターよりレベルの低い「炎翼」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
功刀「バトルだオラァ!『炎翼のミトロン』で『ハルベルト』を攻撃!『契約の剣』!」
美遊「ここで負けるわけにはいかない、手札の『H・C ソード・シールド』を墓地へ送って、ターン中戦闘破壊とダメージを無効にする!」
《H・C ソード・シールド》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻 0/守2000
(1):自分フィールドに「ヒロイック」モンスターが存在する場合、
このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
このターン、自分の「ヒロイック」モンスターは戦闘では破壊されず、
自分が受ける戦闘ダメージは0になる。
この効果は相手ターンでも発動できる。
功刀「悪ぃな!カウンター罠、『抑圧の翼』を発動!炎翼存在時のモンスター効果の発動を無効にする!」
《抑圧の翼》
カウンター罠
(1):自分フィールドに「炎翼」モンスターが存在し、
相手がモンスター効果を発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
この時、相手がフィールド以外で効果を発動した場合、
自分フィールドの「炎翼」モンスターの攻撃力はその相手モンスターのレベル×100アップする。
功刀「さらに手札の効果だ、そのレベル4×100の400アップして攻撃力は2900!」
美遊「くっ……」LP3000→2000
功刀「さらに『シャマル』で『鉄の騎士』を攻撃!」
美遊「……」LP2000→900
功刀「これで決まりだぜ!『ラジル』で最後のダイレクトアタック!」
小夜「美遊……!」
美遊「……フフ、ハハハ。デュエルはこうでなくっちゃ楽しくないぜ!私は手札から『スピリット・オブ・ガイア』を特殊召喚し、攻撃を移し替える!」
《スピリット・オブ・ガイア》(SSオリジナル)
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻 0/守1800
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、
その相手モンスターの攻撃対象をこのカードに移し替えてダメージ計算を行う。
この時、相手モンスターの効果をダメージステップ終了時まで無効にする。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分フィールドの地属性モンスターはそれぞれ1ターンに1度だけ効果で破壊されない。
(3):このカードが戦闘で破壊された場合に発動できる。
手札・デッキから、その戦闘でこのカードを破壊したモンスター以下の攻撃力を持つ、
地属性の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
功刀「守備力1800の壁程度俺の敵じゃねえ。行け『ラジル』!」
美遊「『スピリット・オブ・ガイア』が破壊されたことで、攻撃力2400より低い攻撃力の、『暗黒騎士ガイア』を特殊召喚!」
功刀「ハッ、たかが攻撃力2300の通常モンスター。俺はこれでターンエンドだ!」
美遊「効果を持たないことは決して弱さじゃないってことを教えてやるよ」
美遊「エンドフェイズにリバースカードオープン、『トゥールス・リインフォース』!』
《トゥルース・リインフォース》
通常罠
このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
(1):デッキからレベル2以下の戦士族モンスター1体を特殊召喚する。
美遊「これでデッキから『H・C アンブッシュ・ソルジャー』を特殊召喚。発動ターンはバトルフェイズを行えなくなるが、お前のターンに発動すれば関係ないってことだ」
《H・C アンブッシュ・ソルジャー》
効果モンスター
星1/地属性/戦士族/攻 0/守 0
(1):自分スタンバイフェイズにこのカードをリリースして発動できる。
自分の手札・墓地の、「H・C アンブッシュ・ソルジャー」以外の
「H・C」モンスターを2体まで選んで特殊召喚する。
(2):このカードの(1)の効果で特殊召喚に成功した時、
墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分フィールドの全ての「H・C」モンスターのレベルは1になる。
美遊「私のターン。――!」
美遊「スタンバイフェイズに『アンブッシュ』をリリースし、墓地の『ハルベルト』と『ソード・シールド』を特殊召喚する」
美遊「悪いな――このデュエルはこのターンで終わる!」
功刀「ンなぁ!?」
小夜「美遊が逆転のカードを引いたんだ!」
美遊「行くぞ!私は『ソード・シールド』をエレメントとし、『暗黒騎士ガイア』をアセンション!」
美遊「その聖槍に想いを乗せて、狂った世界を突き抜けろ。エレメント召喚!希望の使者!レベル5、『エンカウント・ランサー』ッ!」
《エンカウント・ランサー》(SSオリジナル)
エレメント・効果
星5/地属性/戦士族/2300/2100
【エレメント素材】効果モンスター1体
通常モンスター
(1):このカードは、このカードのエレメント元となっているモンスターの
元々の攻撃力以下の攻撃力の相手モンスターの効果を受けない。
(2):このカードが戦闘で相手モンスター破壊した時に発動できる。
このカードのエレメント元となっているモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
功刀「コイツは、朝のデュエルの――!なら、ここで『ラジル』の効果を発動。『シャマル』をリリース!」
功刀「EXデッキから特殊召喚されたモンスターの『ミトロン』選択し、それ以下のレベルの炎翼モンスターをデッキから特殊召喚する」
小夜「『ミトロン』がモンスター効果の対象になった……!」
功刀「『炎翼のミトロン』のモンスター効果発動!登場したばかりで悪ぃが、消えろ『エンカウント・ランサー』!」
美遊「甘いな!リバースカードオープン、『バージェストマ・ハルキゲニア』!これで『ミトロン』の攻撃力・守備力をこのターン半減させる」
《バージェストマ・ハルキゲニア》
通常罠
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで半分になる。
(2):罠カードが発動した時、その発動にチェーンしてこの効果を墓地で発動できる。
このカードは通常モンスター(水族・水・星2・攻1200/守0)となり、
モンスターゾーンに特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。
この効果で特殊召喚したこのカードはモンスターの効果を受けず、
フィールドから離れた場合に除外される。
美遊「あの試合で言った通りだ。『エンカウント・ランサー』は、エレメント元以下の攻撃力のモンスターの効果を受けない」
小夜「!『暗黒騎士ガイア』の攻撃力2300を下回って、攻撃力が1450になった!」
功刀「ぐうう……『ラジル』の処理でデッキから『ミカル』を特殊召喚。そして『シャマル』の効果を発動!同じく800ダメージを食らえ!」
美遊「構わない。バトルフェイズ!『エンカウント・ランサー』で『ミトロン』を攻撃!『ブレイク・ダウン・イレイザー』!」LP900→100
功刀「『ミトロン』ッ!」LP4000→3150
美遊「そして『エンカウント・ランサー』は破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分、相手プレイヤーにダメージを与える!」
功刀「……厄介な効果だぜ」LP3150→2150
美遊「続けて『ハルベルト』で『ミカル』を攻撃!このカードは守備表示モンスターを攻撃した時貫通ダメージを与える効果がある!」
功刀「クソッ!だが『ミカル』が攻撃対象になったことで効果発動、『炎翼のジブル』を手札に加える!」LP2150→1750
美遊「『ハルベルト』もダメージを与えた事で、デッキから『H・C サウザンド・ブレード』を手札に加える」
美遊「そして、これが勝負を決める最後のカード!速攻魔法、『グランド・カウンター』!」
《グランド・カウンター》(SSオリジナル)
速攻魔法
(1):自分・相手のバトルフェイズ中、手札1枚を捨て、
自分フィールドのこのターン戦闘でモンスターを破壊したモンスター1体を対象として発動できる。
対象のモンスターのコントローラーは相手モンスター1体を選ぶ。
そのモンスターに対象のモンスターを攻撃させてダメージ計算を行う。
美遊「手札の『サウザンド・ブレード』を墓地へ送る。これで『エンカウト・ランサー』はもう1度攻撃を行うことが出来る!」
功刀「な……なんだとォ!?」
美遊「その処理により、『エンカウント・ランサー』で『炎翼のラジル』を攻撃する!」
美遊「そして、戦闘破壊に成功した時に『エンカウント・ランサー』の効果が発動!破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを食らえ!『アサルト・オブ・ジャスティス』!」
功刀「ぐ……クソがああああ!!!!」LP1750→1450→0 ピーッ
――――
美遊「ふ……楽しいデュエルだったぜ、功刀炎司とやら」
小夜「やったね美遊!」
展開の応酬の末勝利したデュエルに満足し、愉悦する美遊。暫し余韻に浸っていたが、開始前のやり取りを思い出し、我に返る。
功刀の方を見ると、朝の小夜のような悔しがり方を見せていた。一体なぜこの男は自分達に剣かを吹っかけてきたのだろうか、と考えてみるも、彼自身が言っていた通り、朝のデュエルを見て自分と小夜が目障りになった、と結論付ける他なく、無駄に思考を巡らせてしまった。
美遊「勝者は私だ。大人しくここを去るんだな!」
小夜「その通り!目障りだからどこか行ってよ」
美遊「……いや小夜がその態度を取るのもな」
功刀「クソ……畜生め!覚えてやがれ!!!!藍河美遊!!!!」
創作の場において星の数ほど聞いたような捨て台詞を放ち、功刀炎司は何処かへと走り去っていった。
思い出話をしていたはずの幼馴染達は、彼のせいですっかり気分が変わってしまい、暗くなるまで二人でデュエルを繰り返すのであった。
担任によって軽く最優秀新入生の表彰が行われ、初日の授業はあっさりと終了した。三年振りの再会を果たした竹馬の友とは異なるクラスとなってしまったようで、美遊は少し落胆した気持ちになっていた。
このアカデミアは初等部・中等部・高等部と続いていて、美遊は中等部には進学せずこの地を離れ、高等部の入学試験を受けた。中等部からいる生徒達には、既に仲間となるグループが出来上がっているため、美遊は学級に馴染めずにいた。加えて、彼女の入学式でのデュエルは大盛り上がりを見せたことで、ほとんどのクラスメイトが美遊に憧れの眼差しを向け、そうでない者は嫉妬心を持っている。結果、デュエルアカデミア初日にして美遊は学級で浮いた存在と化すこととなった。
初日であるため早々に解放された美遊は、一先ず小夜を探すことにした。しかし、アカデミアは超マンモス校であり、新入生だけで3000人、クラスは100近く存在することになる。思考は巡り、ぐるりと回る。暫し経過し、とうとうその中から小夜のクラスを特定することは不可能と判断し、諦めて帰路に就いた。
これだけの規模を誇るアカデミアには、当然全国から入学希望が殺到する。それを受け入れる学生寮も存在するが、美遊は地元であるため自宅から通学している。そして小夜は幼馴染み――彼女も地元であるので、恐らくは住所も以前と同じのはず。すなわち寮にはいない、そう思うばかりであった。
かつて覚えたことのない憂鬱感を抱え、校門を出る――刹那、そんな不芳な心は去る。
小夜「……!や。待ったよ」
校門の外に件の幼馴染が佇んでいた。陰鬱とした気分と表情は完全に晴れ、安堵と歓喜が交錯する。
小夜を見つけるや否や美遊は駆け寄り、彼女の肩へと両手を伸ばし掴んだ。興奮のあまり、体を揺さぶりそうになるのを抑えて大きく息を吐く。
美遊「どうしてここに?」
小夜「どうしてって……勿論、美遊と一緒に帰ろうと思ってね」
小夜「久方振りの再会なんだから。話したい事も山のようにあるし、付き合ってくれるよね」
美遊「小夜……!ああ、当然だ。ちょうど私もお前の話を聞きたかった折でね」
小夜「ふふん。どうせ友達が出来なくて、あたしに泣きついてきたってところなんじゃないの?」
美遊「生意気なところは昔と変わってなくて安心した。この機会にお前の恥ずかしい昔話、わんさか聞かせてもらうぞ?」
先ほどのデュエルの時とはまた違う、昔馴染みらしい雰囲気を感じ取った二人の会話が交わされ、学園を後にした。
美遊と小夜の二人は例の試合によって、アカデミア内ですっかり有名人になっていた。今までの会話も多くの新入生に目撃されている。そして、その中には鋭い敵意の視線を送る者が一人――。
――――
美遊「そうそう、ここで小夜が川に落ちてデッキが全ておじゃんになったな。最高に面白かったよ、アレは」
小夜「それは美遊に押されたからで、あたしは何もしてないよ――って、これは前にも言ったし」
美遊「いや確実に自分から落ちて行ったね。暫くここを離れてたからって、私の目と記憶は誤魔化せないぞ」
数十分が経過したところで、美遊達二人は帰路から寄り道をして、河川敷の一角に腰を掛けて駄弁っていた。美遊がここに戻って来たのはわずか一月前で、新居のごたごたもあり、なかなか散歩などできていなかったため、思い出の場所に訪れるや否や、忘れられた昔の記憶がすらすらと呼び起こされ、つい先日のように記憶に定着していく。先ほどの憂鬱は何処へやら、美遊は全力で思い出話に花を咲かせていた。
小夜「それは違うよ。美遊の記憶は少し混濁としているようだから、私が正してあげよう!」
美遊「何だ何だ、恥ずかしくてやけになったか?ああ良いとも、やってやろうじゃないか。デュエルだ!」
花は少々咲き過ぎてしまっていたようで、瑣事を引き金に臨戦態勢に入ってしまう二人。入学式と違い、ギャラリーが誰もいない中、銀色のディスクと煌びやかなディスクが交差しようとしていた――。
「おい。デュエルするってんなら、いっちょ俺とデュエルしようぜ?最優秀新入生サマよ」
――ギャラリーは多いに越したことはないと言うが、一人のみいても厄介者なら意味は無い。気分の高揚した幼馴染達に水を差すごとく、一人の男が姿を現した。
派手な赤色の髪の毛、猫背で睨め付け顔、夥しい金属製の装飾品。贔屓目に見たとて、品行方正な優男であるとは言えない。そういう風貌の男であった。
美遊は誰だお前、と非友好的に接すると、男は功刀 炎司(くぬぎ えんじ)と言い、デュエルアカデミアの生徒であるということを答え、そして美遊に敵意を向けていることが理解できた。
炎司「気に入らねえんだよ、お前が。俺に負けたらアカデミアを去りな、クソガキ」
美遊「そりゃ奇遇だな、私も、私を気に入らないと言ってきた事が気に入らない」
美遊「よし!何者だか知らないが、先にお前と闘おうじゃないか。楽しませてくれよ?」
小夜「美遊!何も相手にする必要はないでしょ」
美遊「大丈夫さ、私のこの衝動は誰にも止められない」
美遊「さあ、デュエルだ。私が勝ったらこの場を去れ!」
炎司「ハッ!倒されるのはお前の方だってことを、わからせてやるぜ」
炎司から挑発された美遊は、冷静にその挑発に乗りデュエルを受けた。決して頭に血が上っているわけではなく、美遊は純粋にデュエルでぶつかり合い愉悦を得ようとしている。デュエルを楽しむことは美遊の長所であり短所。これを見ている小夜は美遊のこの性格による思い出をいくつも懐古し、呆れた。
炎司のデュエルディスクは、初期デザインではあるが小夜のものと同じくブレード射出タイプ――であるものを改造し、ブレードを翼のような形に仕上げていた。
河川敷の空の下、観客が一人のデュエルが始まる。
「「デュエル!!」」
――――
功刀「俺の先攻だ。俺は手札の『炎翼のジブル』を、召喚!」
《炎翼のジブル》(SSオリジナル)
効果モンスター
星4/炎属性/天使族/攻0/守0
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドの「炎翼のジブル」以外の表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
(2):このカードが攻撃またはモンスター効果の対象となった時、
自分の墓地の「炎翼のジブル」以外の「炎翼」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
功刀「手札の『炎翼のミカル』を手札から捨て、効果発動!『ジブル』を選択し、攻撃力を500アップさせるぜ」
《炎翼のミカル》(SSオリジナル)
効果モンスター
星6/炎属性/天使族/攻500/守1500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを手札から捨て、
自分フィールドの「炎翼のミカル」以外の炎属性モンスターまたは
天使族モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力は500アップする。
この効果は相手ターンにも発動できる。
(2):このカードが攻撃またはモンスター効果の対象となった時に発動できる。
デッキから「炎翼のミカル」以外の「炎翼」モンスター1体を手札に加える。
美遊「このタイミングで、手札を1枚使って攻撃力のアップか……何が狙いか」
功刀「対象となったこの瞬間、『ジブル』の効果発動!モンスター効果の対象になった時、墓地から炎翼を特殊召喚できる!蘇れ、『ミカル』!」
小夜「……なるほど。手札から捨てた対象に取り、捨てたモンスターをそのまま蘇生するコンボだね」
功刀「まだまだァ!『ジブル』のもう1つの効果発動!『ミカル』を選択し、効果を無効にする」
功刀「だが効果が無効になる前に、『ミカル』の効果が誘発するぜ。デッキから炎翼モンスター、『炎翼のシャマル』をサーチする」
《炎翼のシャマル》(SSオリジナル)
効果モンスター
星5/炎属性/天使族/攻2400/守1400
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「炎翼」モンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、
フィールドの「炎翼」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベル×100ダメージを相手に与える。
功刀「サーチした『シャマル』は炎翼が場にいるとき、特殊召喚できる。これで準備は整ったぜ」
小夜「モンスター効果のコンボで、一気に3体もモンスターを!」
美遊「エレメント召喚か……!来な!」
功刀「俺は!『ミカル』と『シャマル』をエレメントとし、『ジブル』をアセンション!」
功刀「情熱の炎を身に纏い、閃光と共に舞い降りろ……救世の翼!エレメント召喚!レベル8、『炎翼のミトロン』ッ!」
《炎翼のミトロン》(SSオリジナル)
エレメント・効果モンスター
星8/炎属性/天使族/攻2000/守2500
【エレメント素材】炎属性モンスター2体
天使族モンスター
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが攻撃またはモンスター効果の対象となった時、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(2):エレメント召喚したこのカードが相手の効果でフィールドを離れた場合に発動できる。
このカードのエレメント元のモンスター1体を特殊召喚する。
美遊「へえ、なかなかいかしたモンスターじゃないか」
功刀「この瞬間、エレメント素材となった『シャマル』のモンスター効果。『ミトロン』を選択し、そのレベル×100ダメージを相手に与える。食らいやがれ、800のダメージを!」
美遊「フン!」LP4000→3200
功刀「俺はカードを1枚伏せる。……『炎翼のミトロン』はモンスターに選択された時、モンスター1体を対象としてそれを破壊する効果がある」
功刀「ターンエンド。さあ、最優秀新入生サマの力、見せてもらうぜ」
美遊「あの場で名前を聞いていなかったのか?私は藍河 美遊(あいが みゆ)。覚えておくんだな!」
美遊「私のターン!私は『シュトロームベルクの金の城』を展開する」
《シュトロームベルクの金の城》
フィールド魔法
このカードのコントローラーは自分スタンバイフェイズ毎に
デッキの上からカード10枚を裏側表示で除外する。
除外できない場合このカードを破壊する。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
「シュトロームベルクの金の城」のカード名が記されたモンスター1体をデッキから特殊召喚する。
この効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。
(2):相手モンスターの攻撃宣言時に発動する。
その攻撃モンスターを破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
美遊「その効果の前に。相手のみモンスターがいることで『H・C 強襲のハルベルト』を呼び出せる!」
《H・C 強襲のハルベルト》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1800/守 200
(1):相手フィールドにモンスターが存在し、
自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(3):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。
デッキから「ヒロイック」カード1枚を手札に加える。
美遊「『金の城』の効果。通常召喚を放棄し、そのカード名が刻まれたモンスター、『鉄のハンス』を呼び出し、さらに連鎖して『鉄の騎士』を召喚する」
《鉄のハンス》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1200/守 800
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「鉄の騎士」1体を特殊召喚する。
この効果の処理時にフィールドゾーンに「シュトロームベルクの金の城」が存在しない場合、
ターン終了時まで自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。
(2):フィールドゾーンに「シュトロームベルクの金の城」が存在する場合、
このカードの攻撃力は自分フィールドの「鉄の騎士」の数×1000アップする。
《鉄の騎士》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1700/守 700
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「鉄のハンス」が存在する場合、
このカードの攻撃力は1000ダウンする。
(2):フィールドのこのカードが効果で墓地へ送られた場合、
または戦闘で破壊された場合に発動できる。
デッキから「鉄のハンス」1体を手札に加える。
フィールドゾーンに「シュトロームベルクの金の城」が存在する場合、
代わりにデッキから戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。
美遊「この2体が揃うと攻撃力がそれぞれ変動するが、興味ない。私は『金の城』をエレメントとし、『鉄のハンス』をアセンション!」
美遊「エレメント召喚!レベル4、『昇魔導師ランドマスター』!」
《昇魔導師ランドマスター》(SSオリジナル)
エレメント・効果モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻1800/守1000
【エレメント素材】魔法カード1枚
地属性モンスター
このカードはエレメント召喚に使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功したターン、
自分が戦闘・効果でダメージを受ける場合、1ターンに1度だけそのダメージは0になる。
(2):このカードの攻撃力は、このカードのエレメント元のモンスターの元々のレベル×100アップする。
(3):このカードが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりに墓地の魔法カード1枚を除外できる。
美遊「このカードの打点は、アセンションしたモンスターのレベルかける100上昇する。その結果攻撃力は2200!」
美遊「バトルフェイズだ。私は『ランドマスター』で『ミトロン』を攻撃!」
功刀「『炎翼のミトロン』の効果を聞いていなかったか?攻撃対象になったことで、『ランドマスター』を破壊する!」
美遊「このカードは墓地の魔法カードを破壊の身代わりにできる。『金の城』を除外して破壊を無効、攻撃は続行だ!」
功刀「甘えな。トラップ発動、『救済の翼』!フィールド・デッキ・墓地の炎翼モンスターを手札に加える。俺は墓地の『ミカル』を手札に戻す」
功刀「そして『ミトラ』の効果。手札から墓地へ捨てることで、『ミトロン』の攻撃力を500アップさせる。返り討ちだぜ!」
美遊「なるほどな……もう墓地に魔法カードはない、私はカードを2枚伏せてターン終了だ」LP3200→3000
功刀「だらしねえな。俺のターン、ドロー!」
功刀「エレメントモンスターがいる時、『炎翼のラジル』を特殊召喚できる!そして2体目の『炎翼のシャマル』も特殊召喚するぜ!」
《炎翼のラジル》(SSオリジナル)
効果モンスター
星5/炎属性/天使族/攻2000/守400
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、
(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドにエレメントモンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):相手ターンに自分フィールドの「炎翼」モンスター1体をリリースし、
フィールドのEXデッキから特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。
デッキから、対象のモンスターよりレベルの低い「炎翼」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
功刀「バトルだオラァ!『炎翼のミトロン』で『ハルベルト』を攻撃!『契約の剣』!」
美遊「ここで負けるわけにはいかない、手札の『H・C ソード・シールド』を墓地へ送って、ターン中戦闘破壊とダメージを無効にする!」
《H・C ソード・シールド》
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻 0/守2000
(1):自分フィールドに「ヒロイック」モンスターが存在する場合、
このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
このターン、自分の「ヒロイック」モンスターは戦闘では破壊されず、
自分が受ける戦闘ダメージは0になる。
この効果は相手ターンでも発動できる。
功刀「悪ぃな!カウンター罠、『抑圧の翼』を発動!炎翼存在時のモンスター効果の発動を無効にする!」
《抑圧の翼》
カウンター罠
(1):自分フィールドに「炎翼」モンスターが存在し、
相手がモンスター効果を発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
この時、相手がフィールド以外で効果を発動した場合、
自分フィールドの「炎翼」モンスターの攻撃力はその相手モンスターのレベル×100アップする。
功刀「さらに手札の効果だ、そのレベル4×100の400アップして攻撃力は2900!」
美遊「くっ……」LP3000→2000
功刀「さらに『シャマル』で『鉄の騎士』を攻撃!」
美遊「……」LP2000→900
功刀「これで決まりだぜ!『ラジル』で最後のダイレクトアタック!」
小夜「美遊……!」
美遊「……フフ、ハハハ。デュエルはこうでなくっちゃ楽しくないぜ!私は手札から『スピリット・オブ・ガイア』を特殊召喚し、攻撃を移し替える!」
《スピリット・オブ・ガイア》(SSオリジナル)
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻 0/守1800
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、
その相手モンスターの攻撃対象をこのカードに移し替えてダメージ計算を行う。
この時、相手モンスターの効果をダメージステップ終了時まで無効にする。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分フィールドの地属性モンスターはそれぞれ1ターンに1度だけ効果で破壊されない。
(3):このカードが戦闘で破壊された場合に発動できる。
手札・デッキから、その戦闘でこのカードを破壊したモンスター以下の攻撃力を持つ、
地属性の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
功刀「守備力1800の壁程度俺の敵じゃねえ。行け『ラジル』!」
美遊「『スピリット・オブ・ガイア』が破壊されたことで、攻撃力2400より低い攻撃力の、『暗黒騎士ガイア』を特殊召喚!」
功刀「ハッ、たかが攻撃力2300の通常モンスター。俺はこれでターンエンドだ!」
美遊「効果を持たないことは決して弱さじゃないってことを教えてやるよ」
美遊「エンドフェイズにリバースカードオープン、『トゥールス・リインフォース』!』
《トゥルース・リインフォース》
通常罠
このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
(1):デッキからレベル2以下の戦士族モンスター1体を特殊召喚する。
美遊「これでデッキから『H・C アンブッシュ・ソルジャー』を特殊召喚。発動ターンはバトルフェイズを行えなくなるが、お前のターンに発動すれば関係ないってことだ」
《H・C アンブッシュ・ソルジャー》
効果モンスター
星1/地属性/戦士族/攻 0/守 0
(1):自分スタンバイフェイズにこのカードをリリースして発動できる。
自分の手札・墓地の、「H・C アンブッシュ・ソルジャー」以外の
「H・C」モンスターを2体まで選んで特殊召喚する。
(2):このカードの(1)の効果で特殊召喚に成功した時、
墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分フィールドの全ての「H・C」モンスターのレベルは1になる。
美遊「私のターン。――!」
美遊「スタンバイフェイズに『アンブッシュ』をリリースし、墓地の『ハルベルト』と『ソード・シールド』を特殊召喚する」
美遊「悪いな――このデュエルはこのターンで終わる!」
功刀「ンなぁ!?」
小夜「美遊が逆転のカードを引いたんだ!」
美遊「行くぞ!私は『ソード・シールド』をエレメントとし、『暗黒騎士ガイア』をアセンション!」
美遊「その聖槍に想いを乗せて、狂った世界を突き抜けろ。エレメント召喚!希望の使者!レベル5、『エンカウント・ランサー』ッ!」
《エンカウント・ランサー》(SSオリジナル)
エレメント・効果
星5/地属性/戦士族/2300/2100
【エレメント素材】効果モンスター1体
通常モンスター
(1):このカードは、このカードのエレメント元となっているモンスターの
元々の攻撃力以下の攻撃力の相手モンスターの効果を受けない。
(2):このカードが戦闘で相手モンスター破壊した時に発動できる。
このカードのエレメント元となっているモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
功刀「コイツは、朝のデュエルの――!なら、ここで『ラジル』の効果を発動。『シャマル』をリリース!」
功刀「EXデッキから特殊召喚されたモンスターの『ミトロン』選択し、それ以下のレベルの炎翼モンスターをデッキから特殊召喚する」
小夜「『ミトロン』がモンスター効果の対象になった……!」
功刀「『炎翼のミトロン』のモンスター効果発動!登場したばかりで悪ぃが、消えろ『エンカウント・ランサー』!」
美遊「甘いな!リバースカードオープン、『バージェストマ・ハルキゲニア』!これで『ミトロン』の攻撃力・守備力をこのターン半減させる」
《バージェストマ・ハルキゲニア》
通常罠
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで半分になる。
(2):罠カードが発動した時、その発動にチェーンしてこの効果を墓地で発動できる。
このカードは通常モンスター(水族・水・星2・攻1200/守0)となり、
モンスターゾーンに特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。
この効果で特殊召喚したこのカードはモンスターの効果を受けず、
フィールドから離れた場合に除外される。
美遊「あの試合で言った通りだ。『エンカウント・ランサー』は、エレメント元以下の攻撃力のモンスターの効果を受けない」
小夜「!『暗黒騎士ガイア』の攻撃力2300を下回って、攻撃力が1450になった!」
功刀「ぐうう……『ラジル』の処理でデッキから『ミカル』を特殊召喚。そして『シャマル』の効果を発動!同じく800ダメージを食らえ!」
美遊「構わない。バトルフェイズ!『エンカウント・ランサー』で『ミトロン』を攻撃!『ブレイク・ダウン・イレイザー』!」LP900→100
功刀「『ミトロン』ッ!」LP4000→3150
美遊「そして『エンカウント・ランサー』は破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分、相手プレイヤーにダメージを与える!」
功刀「……厄介な効果だぜ」LP3150→2150
美遊「続けて『ハルベルト』で『ミカル』を攻撃!このカードは守備表示モンスターを攻撃した時貫通ダメージを与える効果がある!」
功刀「クソッ!だが『ミカル』が攻撃対象になったことで効果発動、『炎翼のジブル』を手札に加える!」LP2150→1750
美遊「『ハルベルト』もダメージを与えた事で、デッキから『H・C サウザンド・ブレード』を手札に加える」
美遊「そして、これが勝負を決める最後のカード!速攻魔法、『グランド・カウンター』!」
《グランド・カウンター》(SSオリジナル)
速攻魔法
(1):自分・相手のバトルフェイズ中、手札1枚を捨て、
自分フィールドのこのターン戦闘でモンスターを破壊したモンスター1体を対象として発動できる。
対象のモンスターのコントローラーは相手モンスター1体を選ぶ。
そのモンスターに対象のモンスターを攻撃させてダメージ計算を行う。
美遊「手札の『サウザンド・ブレード』を墓地へ送る。これで『エンカウト・ランサー』はもう1度攻撃を行うことが出来る!」
功刀「な……なんだとォ!?」
美遊「その処理により、『エンカウント・ランサー』で『炎翼のラジル』を攻撃する!」
美遊「そして、戦闘破壊に成功した時に『エンカウント・ランサー』の効果が発動!破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを食らえ!『アサルト・オブ・ジャスティス』!」
功刀「ぐ……クソがああああ!!!!」LP1750→1450→0 ピーッ
――――
美遊「ふ……楽しいデュエルだったぜ、功刀炎司とやら」
小夜「やったね美遊!」
展開の応酬の末勝利したデュエルに満足し、愉悦する美遊。暫し余韻に浸っていたが、開始前のやり取りを思い出し、我に返る。
功刀の方を見ると、朝の小夜のような悔しがり方を見せていた。一体なぜこの男は自分達に剣かを吹っかけてきたのだろうか、と考えてみるも、彼自身が言っていた通り、朝のデュエルを見て自分と小夜が目障りになった、と結論付ける他なく、無駄に思考を巡らせてしまった。
美遊「勝者は私だ。大人しくここを去るんだな!」
小夜「その通り!目障りだからどこか行ってよ」
美遊「……いや小夜がその態度を取るのもな」
功刀「クソ……畜生め!覚えてやがれ!!!!藍河美遊!!!!」
創作の場において星の数ほど聞いたような捨て台詞を放ち、功刀炎司は何処かへと走り去っていった。
思い出話をしていたはずの幼馴染達は、彼のせいですっかり気分が変わってしまい、暗くなるまで二人でデュエルを繰り返すのであった。
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