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3rd days 清掃 清掃 清掃 決闘 作:蓮木
「店長さーーん! 私達二人共無事に合格してましたー!」
「ええ、祈さんと雛さんが共に合格していましたか。おめでとうございます。今晩はごちそうを作らないといけませんね、二人とも何か食べたい物はありますか?」
私達がこの喫茶店「アルカルム」の二階から上にお世話になり始めてから数日、まだ沢山ある部屋を掃除仕切れていないのでまだ手付かずね部屋を片付ける日々を過ごしながら私達は試験結果を待っていたが、見事二人とも合格したらしい。その話を雛から振られた店長さんは今晩はごちそうを作らないとと言い、何が食べたいかを尋ねてきた。
「じゃー私は・・・ハンバーグが食べたい! ふわっふわでとってもおっきいのが!」
「私もハンバーグが食べたいです。最近余り食べていなかったので。」
私と雛の回答が一致した。ごちそうと聞いて思い付いたのがハンバーグ。確かに肉汁溢れてソースとの相性も良いからやはりごちそうにはぴったりな料理だろう。
「では今晩はハンバーグにしましょうか、この後買い物に行ってきますので、今日もまたお部屋のお掃除とかお願いしますね。部屋の飾り付けも自由にしてもらって構わないですので。」
「はい、分かりましーー」
「ほんと? 嬉しいー! 今日の夜はハンバーグだなんて・・・・・・店長さんありがと! 大好きー!」
「ーーーー雛、このままだと店長さん今日1日動けなくなる可能性あるから。そろそろやめてあげて・・・」
店長さんがハンバーグを作る為の材料を買いに行くと話した。買いに行っている間、いつもの様に空き部屋の掃除を頼まれた。私はそれに対して了承の返事を返そうかと思ったが、その言葉は途中で遮られた。まーた雛が嬉しくて店長さんに飛び付いていた。いや、店長さんも男性だから大分身長高いのに今の雛の勢いのが強過ぎて一回りくらい大きく見えてしまってるぞ。そして急な抱きしめを受けた店長さんは、動揺してるし、何だか少し赤っぽくも見えるし・・・これ以上はまずいと感じた。ボクシングやプロレスのレフェリーの様にストップコールをかけた。
「・・・では行ってきますね。他にもお店の買い出しも済ませてきますので、夕方頃に戻ってくると思います。」
「はい! 美味しいハンバーグ楽しみにしてますね!」
「掃除も進めておきますので、ゆっくりと買い物に行ってきてください。」
少し赤らんだ顔を見ながら店長さんは買い物に向かっていった。やはりああいう事はされた方が嬉しいのだろうか。でもまずはやらなくてはいけない仕事を先に済ませようと思い、下からバケツや雑巾などを雛と共に持っていき、今日の掃除対象であった3階へと向かう。
「それにしてもここ本当におっきいよねえー、見た目は他と比べてもそんなに大きく無いような建物だったけど中は一杯部屋があってびっくりだよ!」
「それは私も同感。こんなに部屋とかあるとは全然思ってなかったし。」
取り敢えずこの喫茶店の上だが、店長さんから聞いた話によるとどうやら最低でも4階はあるらしい。店長さんが最低でもというのが上がった事があるのが4階までだということらしい。店長さん、この建物の持ち主なのに全部見たことがないなんて・・・
「さーて、これから3階の掃除だけどここは2階と違って部屋数少ないね。代わりに1個1個の部屋が2階と比べて倍ぐらいあるんだけど・・・」
「そうねえ・・・2階と比べて部屋数は少ないけど1個1個は大きいね。全部で2部屋だけど、こっちはキッチンで反対側は・・・デュエルスペース? そして向こうの部屋の中央にあるでっかい奴・・・もしかしてデュエルテーブル? そうだったらかなり高い奴なんだけど・・・しかも初代モデルだよ。」
階段を上がってきて廊下を通して大きな部屋が対面しているという感じで部屋が分かれていた。そしてそれぞれの部屋を見てみるとコンロが置けそうなスペースや水周りもありそうなスペースがある部屋と何か部屋の中央に巨大な物が置いてある部屋の2つがあった。一つはその置けそうな物を想像するにキッチンスペースだと分かるが、もう一つの部屋に置いてある奴は何だ? でも周りに置いてあるボードの様なものもあるから恐らく昔流行ったデュエルテーブルなのだろうかと予測する。今ほどデュエルディスクが浸透してなかった頃にカード店のようなスペースが取れる場所で『気軽に楽しめるソリッドビジョン』をコンセプトに開発されたとか。確かに出来はよく、ルールなどが多少変わっても大丈夫な様に追加のパーツとかもあり非常に便利な物であったが、肝心の値段が以上に高く、なおかつそれを置けるスペースも必要だという事もあった。しかも分解もしにくくメンテナンス泣かせというのもあり、都心や地方で一部の資金力のあるお店や個人での趣味でしか導入されなかった、という話を昔歴史の授業で聞いたことがある。
「これって昔に作られて今でも新しい奴は売ってるけど珍しいからって貴重な奴なんだっけ? これまだ使えるのかなぁー」
「出来れば新しい奴のが便利だとは思うけどこの巨大なテーブルを店長さんも含めて3人で運べる試しがないでしょう。取り敢えず私がキッチンスペースを掃除するから、雛はデュエルスペースの掃除をお願いね。」
「りょーかーい! まっかせといてーー」
今はより価格の安い新型デュエルテーブルも出てるし中古とかも出回っててはいる。だがそれでもこの初代モデルが好きだというファンも多く、中古価格も一定の値段で維持しているという話も聞いたことがある。そんなものがこんな都心に置いてあるとは・・・不思議にしか思えない。店長さんのお爺さんが昔使っていたのかも知れないね、と一旦話を切り上げると私はキッチンスペース、雛はデュエルスペースの掃除を始めた。
「いやー、掃除した掃除した! やっぱり綺麗にすると良い気分になるねー」
「そうね、綺麗になると気分が良いよ。しかも私が掃除してたキッチンスペースがお水も通ってて良かったよ。おかげで下にお水交換しに行かなくて済んだだろうし。」
掃除をしてから数時間後、3階の部屋の掃除が終わった。キッチンスペース側の水道が使えたのでわざわざ1階まで降りてバケツの水が交換しなくても良かったのはお掃除効率で見てかなりプラスに働いた。もっとかかるかと思ったがこれのおかげで大分時間を節約出来た。掃除用具を片付けた後、私達は再びこの3階に戻ってきた。
「3階の大掃除が終わったのは良いんだけど、このデュエルテーブル動くのかなあ?」
「どうだろう、正直あるだけでも珍しいのに動いてくれれば更に良いけれども・・・ダメだ、動く部分はあるけど多分肝心のソリッドビジョンが動いてなさそう。」
「残念だなぁ・・・せっかくソリッドビジョン出しながらデュエル出来ると思ったのにー。」
そして私達の興味はデュエルスペースにあったデュエルテーブルに移る。電源を差し込んでみて確認してみたが起動やデッキシャッフルといった基本的な動作は出来るようだが、メインであるソリッドビジョンの作成は出来ないようだった。まあ何十年も前の物だし少しでも動くだけラッキーだと思おうよ、と雛を宥めながらおもむろに反対側に向かった。
「やりたいんでしょ?デュエル。」
「ーーーーうん!」
彼女の表情と声は、ここ最近で一番良いものの様に思えた。ちょっと早く大掃除を終えた、ご褒美だ。
「「デュエル!!」」
祈:4000
雛:4000
「それじゃあ、私の先行だね!」
デュエルテーブルが決めた先行は雛だ。
「手札から『未来融合-フューチャー・フュージョン-』を発動! このカードは次の私のスタンバイフェイズから動き始めるよ!」
《未来融合-フューチャー・フュージョン》
永続魔法
(1):このカードの発動後1回目の自分スタンバイフェイズに発動する。
自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、そのモンスターによって決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
(2):このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに発動する。
このカードの(1)の効果で確認したモンスターと同名の融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
「・・・へっ?」
思わず驚いた。あんなカードを雛が持っていたとは。でも昔の時(エラッタ前)とは違い、発動してすぐに墓地肥やしが出来なくなったのに何故採用したのだろうか。
「そして手札から『レッドアイズ・インサイト』を発動! デッキから『真紅眼の黒竜』を墓地に送って、デッキから『レッドアイズ・インサイト』以外の魔法かトラップカードを1枚手札に加えるよ! 加えるのは『真紅眼融合』!」
《真紅眼の黒竜》
通常モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000
真紅の眼を持つ黒竜。
怒りの黒き炎はその眼に映る者全てを焼き尽くす。
《レッドアイズ・インサイト》
通常魔法
「レッドアイズ・インサイト」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札・デッキから「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
デッキから「レッドアイズ・インサイト」以外の「レッドアイズ」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
《真紅眼融合》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・特殊召喚できない。
(1):自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「レッドアイズ」モンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターのカード名は「真紅眼の黒竜」として扱う。
デッキから墓地肥やししつつ、キーカードのサーチも出来るとか強過ぎやしないだろうか。そして加えたカードも融合系のカードだ。このまま使って来ないでくれれば助かるのに。
「更に加えたカードの『真紅眼融合』を発動! このターン私はこのカード以外でモンスターを召喚や特殊召喚は出来ないけど手札デッキフィールドの三箇所から融合する事が出来るようになるよ!」
私の儚い希望はあえなく散った。召喚出来ないというデメリットがあるものの手札とフィールドだけじゃなくデッキからも融合出来るとか便利過ぎる。最近のレッドアイズというカードシリーズは便利なカードが増え過ぎてやしないだろうか。
「私はデッキから『真紅眼の黒炎竜』と『魔晶龍ジルドラス』を墓地に送って、『流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン』を融合召喚!」
《真紅眼の黒炎竜》
デュアル・効果モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000
(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に発動できる。
このカードの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
「真紅眼の黒炎竜」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
《魔晶龍ジルドラス》
効果モンスター
星6/闇属性/ドラゴン族/攻2200/守1200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドの魔法・罠カードが相手の効果でフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
その後、自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から、魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
現れたのはレベル7レッドアイズモンスターとレベル6ドラゴン族モンスターを融合条件にする流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンだ。攻撃力3500もあり先行でも出し得な利点がある。それは・・・
「『流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン』の効果発動! 融合召喚に成功した時に手札、またはデッキからレッドアイズモンスターを墓地に送ってその攻撃力の半分のダメージを与えるよ! 私はもう1枚の真紅眼の黒炎竜を墓地に送って、攻撃力の半分1200ダメージを与えるよ!」
《流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン》
融合・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3500/守2000
レベル7「レッドアイズ」モンスター+レベル6ドラゴン族モンスター
(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。
手札・デッキから「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
(2):このカードがモンスターゾーンから墓地へ送られた場合、自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
祈:4000→2800
このデッキ圧縮兼墓地肥やしにバーン効果だ。些か効果を色々と詰め込み過ぎやしないだろうか。久しぶりの真紅眼新規が来た時には喜んだが、こうして対面すると恐ろしい効果だこのカードは。
「そして更に手札から『竜の霊廟』を発動!」
《竜の霊廟》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。
この効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、さらにデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
「どれだけぶん回せば気が済むのよ!」
「だって引いてるんだから仕方ないでしょ!」
とうとう心の叫びが現実に出てきた。と言っても私達のデュエルではこういう事も稀に起こるので、こうやって叫んではいるが2人にとってはこの叫びが出てきたりするのもいつもの日常である。
「竜の霊廟の効果でデッキから『真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン-』を墓地に送るよ、そして墓地に送ったのが通常モンスターだから更にもう1枚墓地に送るよ、墓地に送るのは『伝説の黒石』」
《真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン》
デュアル・効果モンスター
星6/闇属性/ドラゴン族/攻1800/守2000
(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカード以外の自分フィールドの「レッドアイズ」モンスターは戦闘・効果では破壊されない。
《伝説の黒石》
効果モンスター
星1/闇属性/ドラゴン族/攻 0/守 0
「伝説の黒石」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードをリリースして発動できる。
デッキからレベル7以下の「レッドアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地のレベル7以下の「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターをデッキに戻し、墓地のこのカードを手札に加える。
落としたカードは墓地で通常モンスター扱いになるデュアルモンスターを落としつつ伝説の黒石を落としていった。という事はこの後起こるであろう動きもある程度想定出来る。
「墓地に送った『伝説の黒石』の効果発動! 墓地に落とした真紅眼の黒竜をデッキに戻してこのカードを手札に加えるね。そして『紅玉の宝札』も使うよ! 手札から『真紅眼の黒炎竜』を墓地に送って2枚ドロー! その後にデッキから『真紅眼の黒竜』を墓地に送るね。」
《紅玉の宝札》
通常魔法
「紅玉の宝札」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札からレベル7の「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
その後、デッキからレベル7の「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
伝説の黒石の効果でデッキにレッドアイズモンスターを戻しつつ自身を手札にリクルートした。そして更にここでドローカード。本当に初期手札が優秀だったのだなとしか思えない。
「そしてカードを1枚伏せてターンエンド!」
ようやく私のターンが回ってきた。融合のレッドアイズが出て、先制ダメージも貰い、伏せカードも出来てターンを貰った。運が良いとすれば、今の雛の手札が伝説の黒石1枚しかないというのが救われているポイントだ。
祈:2800 手札:5枚
雛:4000 手札:1枚
(EXモンスターゾーン:流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン メインモンスターゾーン:なし セットカード1枚)
「私のターンーードロー! ・・・手札から『月の書』発動、とっとと裏返って。」
《月の書》
速攻魔法
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示にする。
「酷い! チェーンしてリバースカード発動、『真紅眼の凱旋』!自分フィールド上にレッドアイズモンスターが存在しているから墓地から通常モンスターを一体蘇生させるよ! 蘇生させるのは墓地で通常モンスターになっている『真紅眼の黒炎竜』!」
《真紅眼の鎧旋》
永続罠
「真紅眼の鎧旋」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「レッドアイズ」モンスターが存在する場合、自分の墓地の通常モンスター1体を対象としてこの効果を発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
(2):このカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合、自分の墓地の「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
ドローしたカードで対策が出来そうだったのだからすぐ使ったら案の定酷いと言われた。それが今まで目の前にいた人にやっていた事だよ、雛。高ステータスのモンスターを無理矢理裏守備にして踏み越える用意が出来た。その代わりに雛には墓地からモンスターを蘇生させられることになったが、流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンを乗り越えやすくする為には仕方ない。
「手札から『調和の宝札』を発動! 手札から『伝説の白石』を墓地に送って2枚ドロー! そして伝説の白石の効果でデッキから手札に『青眼の白龍』を手札に加えるよ。」
《調和の宝札》
通常魔法
(1):手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
《伝説の白石》
チューナー・効果モンスター
星1/光属性/ドラゴン族/攻 300/守 250
(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。
デッキから「青眼の白龍」1体を手札に加える。
《青眼の白龍》
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。
どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。
まず行った事は手札補充、全力で回せば手札も無くなるだろうし早めに補給出来るのであれば、補給をして損は無い。追加でドローした2枚を確認しつつ、私も次の行動に移る。
「私も手札から『竜の霊廟』を発動。デッキから『白き霊龍』を墓地に送るよ。そして追加で『青眼の白龍』を墓地に送るね。」
《白き霊龍》
効果モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
このカードはルール上「ブルーアイズ」カードとしても扱う。
(1):このカードは手札・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを除外する。
(3):相手フィールドにモンスターが存在する場合、このカードをリリースして発動できる。
手札から「青眼の白龍」1体を特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
私も雛と同じカードを使い、墓地肥やしを行った。ドラゴン族限定とはいえ2枚も墓地肥やし出来るのはやはり破格の効果だ。
「更に手札から『ギャラクシーサーペント』を墓地に送って『銀河戦士』を特殊召喚! 効果でデッキから『銀河眼の光子竜』を手札に加える!」
《ギャラクシーサーペント》 †
チューナー・通常モンスター
星2/光属性/ドラゴン族/攻1000/守 0
宵闇に紛れて姿を現わすと言われるドラゴン。
星の海を泳ぐように飛ぶ神秘的な姿からその名が付けられた。
その姿を見た者は数えるほどしかないと伝えられるが、見た者は新たな力を得られるという。
《銀河戦士》
効果モンスター
星5/光属性/機械族/攻2000/守 0
「銀河戦士」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカード以外の手札の光属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
このカードを手札から守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「ギャラクシー」モンスター1体を手札に加える。
《銀河眼の光子竜》
効果モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
(1):このカードは自分フィールドの
攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースして手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行うバトルステップに、その相手モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターとフィールドのこのカードを除外する。
この効果で除外したモンスターはバトルフェイズ終了時にフィールドに戻り、この効果でXモンスターを除外した場合、このカードの攻撃力は、そのXモンスターを除外した時のX素材の数×500アップする。
「ああそうだったよね・・・確か一部のカードは高いから別のカードで代用してるんだっけ。」
「流石に『青眼の亜白龍』とかは私じゃ手に入らないから・・・仕方ないね。」
出来ればブルーアイズ関連カードで揃えたかったが、一部カードは馬鹿にならない程高い。特に『青眼の亜白龍』はかなり便利なカードで欲しいところだった。だがどう考えてもシングルの値段がおかしいほど高過ぎる。これ普通の女子学生が買える物じゃないだろう。1枚買うためにどれだけ節約しなくちゃいけないんだ・・・などと現在も揃えるために質素倹約しながら資金繰りをしているというところだ。
「そしてフィールド上にフォトンまたはギャラクシーモンスターがいるため手札から『フォトン・パニッシャー』を特殊召喚! 効果でデッキから2枚目の銀河眼の光子竜を手札に加える!」
《フォトン・バニッシャー》
特殊召喚・効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻2000/守 0
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドに「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスターが存在する場合に特殊召喚できる。
自分は「フォトン・バニッシャー」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「銀河眼の光子竜」1体を手札に加える。
(2):このカードは特殊召喚したターンには攻撃できない。
(3):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。
●このカードが戦闘で破壊したモンスターは墓地へは行かず除外される。
更にギャラクシーやフォトンカードを用いて展開していく。こういう時に青眼の亜白龍があったらなあ・・・と思うがないのだから仕方ない。愚痴るのは控えめにして、デュエルを続けていく。
「手札から『フォトン・サンクチュアリ』を発動して、フィールド上にフォトントークンを2体守備表示で特殊召喚するよ。」
《フォトン・サンクチュアリ》
通常魔法
このカードを発動するターン、自分は光属性モンスターしか召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
(1):自分フィールドに「フォトントークン」(雷族・光・星4・攻2000/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。
このトークンは攻撃できず、S素材にもできない。
手札にある銀河眼の光子竜の召喚条件を満たすためにフィールド上にトークンを2体特殊召喚した。
「私はフォトントークン2体をリリースして『銀河眼の光子竜』を特殊召喚! そしてフォトン・パニッシャーと銀河戦士をリリースして『青眼の白龍』をアドバンス召喚!」
「バトルフェイズに入るよ! 銀河眼の光子竜で真紅眼の黒炎竜を攻撃!」
「うーん、このダメージは仕方ないね。」
雛:4000→3400
「そして青眼の白龍で裏側になっているメテオ・ブラック・ドラゴンを攻撃!」
「破壊されたメテオ・ブラック・ドラゴンの効果で真紅眼の黒竜を攻撃表示で特殊召喚するね。」
バトルフェイズに入り雛のフィールドにいたモンスターを取り敢えずは一掃した。だが、フィールドに裏側守備で残っていた流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンの効果で真紅眼の黒竜が攻撃表示で残ってしまった。こればかりは仕方ないと諦めるしかなかった。
「このままターンエンドだよ。」
私はこれ以上展開する事が出来なかった為、このままターンを渡す。次の雛の引きがめちゃくちゃ怖い・・・
祈:2800
(EXモンスターゾーン:なし メインモンスターゾーン:銀河眼の光子竜 青眼の白龍 魔法罠ゾーン:なし)
雛:3600
(EXモンスターゾーン:なし メインモンスターゾーン:真紅眼の黒竜 魔法罠ゾーン:真紅眼の凱旋)
「じゃあ私のターン、ドロー! スタンバイフェイズに『未来融合-フューチャー・フュージョン-』の効果で『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』を選択してデッキから『デーモンの召喚』と『真紅眼の黒竜』を墓地に送るよ!」
雛にターンが移り、スタンバイフェイズに未来融合の効果が適応された。これで次のスタンバイフェイズには悪魔竜が顕現するという構図が出来上がった。
「手札から『闇の誘惑』を発動! デッキから2枚ドローして『伝説の黒石』を除外する!」
《闇の誘惑》
通常魔法
(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。
手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。
伝説の黒石1枚しか無かった手札が2枚に増えた。これから先の展開の仕方に注目しないといけなくなりそうだ。でもドローカードを引かれるところまでは想定済みだから焦らなくても大丈夫、次の未来融合の為にエクストラモンスターゾーンを空けておくはずだからーー
「まだ終わらないよ! 手札から魔法カード『龍の鏡』を発動! 墓地のデーモンの召喚と真紅眼の黒竜を除外して、『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』を融合召喚!」
《龍の鏡》
通常魔法
(1):自分のフィールド・墓地から、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
《悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン》
融合・効果モンスター
星9/闇属性/ドラゴン族/攻3200/守2500
レベル6「デーモン」通常モンスター+「レッドアイズ」通常モンスター
自分は「悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
(2):融合召喚したこのカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、自分の墓地の「レッドアイズ」通常モンスター1体を対象として発動できる。
墓地のそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
その後、そのモンスターをデッキに戻す。
融合先チラ見せして融合素材墓地に送ったと思ったら、速攻で除外して出てくるなよ! 少し安心しようかと思ったが一瞬で安心出来なくなった。出てきたブラック・デーモンズ・ドラゴンのテキストを思い出そうとする。アレも確かレッドアイズカードを戻して何かしてくるはず・・・
「バットルフェーイズ! 悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンで青眼の白龍を攻撃!」
祈:2800→2600
良かった・・・あのカードはバーンとかしてこないのか。一皮繋がったかなこれは、などと思っていた時である。
「悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンの効果発動! 融合召喚したこのモンスターが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に、レッドアイズモンスターを一体デッキに戻す事で戻したモンスターの『元々の』攻撃力分のダメージを与えるよ! 戻すカードは真紅眼の黒炎竜!」
「・・・元々?」
「Yes 元々のダメージ。」
「レッドアイズモンスターは大抵攻撃力2400だから・・・残るのは200?」
「いえーす、2400のたっぷりとしたダメージ貰って行きましょー!」
祈:2600→200
痛すぎる。さっきの融合は元々の半分だったのにこっちの融合は元々と同じダメージかよ・・・タイミングが違うとはいえダメージに差がつき過ぎてる気がしないでもない。
「私はバトルフェイズを終了してそのままターンエンド! さあ、次の私のターンで決着付けちゃうからねー!」
祈:200
(EXモンスターゾーン:なし メインモンスターゾーン:青眼の白龍 魔法罠ゾーン:なし)
雛:3600
(EXモンスターゾーン:悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン メインモンスターゾーン:真紅眼の黒竜 魔法罠ゾーン:真紅眼の凱旋)
「私の・・・ターン! ドロー! 『トレード・イン』を発動! 手札にある銀河眼の光子竜を捨てて2枚ドローする!」
《トレード・イン》
通常魔法
(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
私のターンに回り、引けたカードはドローカード。この引けた2枚に賭けるしかない。良いカードを引いてくれと、ただ祈りながら2枚ドローする。
「手札から『銀河眼の雲篭』を召喚! 効果で自身をリリースして銀河眼の光子竜を特殊召喚する! そしてバトルフェイズだ! 銀河眼の光子竜で悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンに攻撃!」
《銀河眼の雲篭》
効果モンスター
星1/光属性/ドラゴン族/攻 300/守 250
このカードをリリースして発動できる。
自分の手札・墓地から「銀河眼の雲篭」以外の「ギャラクシーアイズ」と名のついたモンスター1体を選んで特殊召喚する。
「銀河眼の雲篭」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、このカードが墓地に存在する場合、自分のメインフェイズ時に自分フィールド上の「ギャラクシーアイズ」と名のついたエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
墓地のこのカードを選択したモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。
「銀河眼の雲篭」のこの効果はデュエル中に1度しか使用できない。
引けたカードの1枚でエース級モンスターの銀河眼の光子竜を呼び戻す。そしてそのままバトルフェイズに入り、戻ってきた銀河眼の光子竜で攻撃を仕掛ける。
「どうして攻撃力が低いモンスターで攻撃を? 光属性・・・もしかして!」
「そのもしかしてだよ! ダメージ計算時、手札から『オネスト』を捨てることで相手の攻撃力分攻撃力をアップさせる!」
《オネスト》
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1100/守1900
(1):自分メインフェイズに発動できる。
フィールドの表側表示のこのカードを持ち主の手札に戻す。
(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。
トレードインで手に入った銀河眼の雲篭ともう1枚のカードが、光属性の特権とも言えるカードであるオネストだった。これにより相手の攻撃力を上回る事が出来て、ダメージが通る。
雛:3600→600
「これが最後のバトル! 青眼の白龍で真紅眼の黒竜を攻撃! 滅びの爆裂疾風弾!!」
「やーらーれーたー!!」
雛:600→0
私達のデュエルの最後は二人とも大体気の抜けたやられ声で終わる事が多いのである。それにしても、ギリギリで勝てて助かった・・・・・・
「おや? ここにはデュエルテーブルがあったんですね。お仕事お疲れ様でした。」
「あっ、店長さんもう帰って来てたんですね。おかえりなさい。このデュエルテーブルですけどほとんど使えない感じでした。」
「店長さんがいつ帰って来てたか気付かなかったよー で、ちゃんと今晩のメニュー用に買ってきたんでしょ?」
私達が上でやり取りしているのが聞こえたのか、帰宅した店長さんがデュエルスペースまで上がってきていた。店長さんは辺りを見ると、良くここまで綺麗に掃除してくれましたね、と答えながら私達の話を聞いていた。
「はい、勿論ですよ。それとデュエルテーブルですけれども、知り合いに頼んで使えるようにして貰いましょうか?」
「「ーー本当ですか?」」
突然の提案に私達は喜んだ。もしこのデュエルテーブルが使えるのならば家に帰ってからでもたっぷりとデュエルが出来る。そんな特別な環境を作って貰っても良いのかと雛と共に思い、本当なのかと答えた。
「ええ、本当ですよ。貴方達デュエリストが一番過ごしやすい環境にするのが良いですからね。でもその前にーー」
「ーーその前に?」
何か条件が有るのだろうか、働いて返したりとか使える時間帯に制限があるとか・・・
「まずは美味しいご飯を作って食べるところから始めましょうか。その後にあのテーブルを修理して貰う事にしましょう。」
「「ーーはい!!」」
この日の掃除とデュエル、そしてその後のアカデミア入学記念のハンバーグは、私達2人にとっては決して忘れる事が出来ない出来事になった。
「ええ、祈さんと雛さんが共に合格していましたか。おめでとうございます。今晩はごちそうを作らないといけませんね、二人とも何か食べたい物はありますか?」
私達がこの喫茶店「アルカルム」の二階から上にお世話になり始めてから数日、まだ沢山ある部屋を掃除仕切れていないのでまだ手付かずね部屋を片付ける日々を過ごしながら私達は試験結果を待っていたが、見事二人とも合格したらしい。その話を雛から振られた店長さんは今晩はごちそうを作らないとと言い、何が食べたいかを尋ねてきた。
「じゃー私は・・・ハンバーグが食べたい! ふわっふわでとってもおっきいのが!」
「私もハンバーグが食べたいです。最近余り食べていなかったので。」
私と雛の回答が一致した。ごちそうと聞いて思い付いたのがハンバーグ。確かに肉汁溢れてソースとの相性も良いからやはりごちそうにはぴったりな料理だろう。
「では今晩はハンバーグにしましょうか、この後買い物に行ってきますので、今日もまたお部屋のお掃除とかお願いしますね。部屋の飾り付けも自由にしてもらって構わないですので。」
「はい、分かりましーー」
「ほんと? 嬉しいー! 今日の夜はハンバーグだなんて・・・・・・店長さんありがと! 大好きー!」
「ーーーー雛、このままだと店長さん今日1日動けなくなる可能性あるから。そろそろやめてあげて・・・」
店長さんがハンバーグを作る為の材料を買いに行くと話した。買いに行っている間、いつもの様に空き部屋の掃除を頼まれた。私はそれに対して了承の返事を返そうかと思ったが、その言葉は途中で遮られた。まーた雛が嬉しくて店長さんに飛び付いていた。いや、店長さんも男性だから大分身長高いのに今の雛の勢いのが強過ぎて一回りくらい大きく見えてしまってるぞ。そして急な抱きしめを受けた店長さんは、動揺してるし、何だか少し赤っぽくも見えるし・・・これ以上はまずいと感じた。ボクシングやプロレスのレフェリーの様にストップコールをかけた。
「・・・では行ってきますね。他にもお店の買い出しも済ませてきますので、夕方頃に戻ってくると思います。」
「はい! 美味しいハンバーグ楽しみにしてますね!」
「掃除も進めておきますので、ゆっくりと買い物に行ってきてください。」
少し赤らんだ顔を見ながら店長さんは買い物に向かっていった。やはりああいう事はされた方が嬉しいのだろうか。でもまずはやらなくてはいけない仕事を先に済ませようと思い、下からバケツや雑巾などを雛と共に持っていき、今日の掃除対象であった3階へと向かう。
「それにしてもここ本当におっきいよねえー、見た目は他と比べてもそんなに大きく無いような建物だったけど中は一杯部屋があってびっくりだよ!」
「それは私も同感。こんなに部屋とかあるとは全然思ってなかったし。」
取り敢えずこの喫茶店の上だが、店長さんから聞いた話によるとどうやら最低でも4階はあるらしい。店長さんが最低でもというのが上がった事があるのが4階までだということらしい。店長さん、この建物の持ち主なのに全部見たことがないなんて・・・
「さーて、これから3階の掃除だけどここは2階と違って部屋数少ないね。代わりに1個1個の部屋が2階と比べて倍ぐらいあるんだけど・・・」
「そうねえ・・・2階と比べて部屋数は少ないけど1個1個は大きいね。全部で2部屋だけど、こっちはキッチンで反対側は・・・デュエルスペース? そして向こうの部屋の中央にあるでっかい奴・・・もしかしてデュエルテーブル? そうだったらかなり高い奴なんだけど・・・しかも初代モデルだよ。」
階段を上がってきて廊下を通して大きな部屋が対面しているという感じで部屋が分かれていた。そしてそれぞれの部屋を見てみるとコンロが置けそうなスペースや水周りもありそうなスペースがある部屋と何か部屋の中央に巨大な物が置いてある部屋の2つがあった。一つはその置けそうな物を想像するにキッチンスペースだと分かるが、もう一つの部屋に置いてある奴は何だ? でも周りに置いてあるボードの様なものもあるから恐らく昔流行ったデュエルテーブルなのだろうかと予測する。今ほどデュエルディスクが浸透してなかった頃にカード店のようなスペースが取れる場所で『気軽に楽しめるソリッドビジョン』をコンセプトに開発されたとか。確かに出来はよく、ルールなどが多少変わっても大丈夫な様に追加のパーツとかもあり非常に便利な物であったが、肝心の値段が以上に高く、なおかつそれを置けるスペースも必要だという事もあった。しかも分解もしにくくメンテナンス泣かせというのもあり、都心や地方で一部の資金力のあるお店や個人での趣味でしか導入されなかった、という話を昔歴史の授業で聞いたことがある。
「これって昔に作られて今でも新しい奴は売ってるけど珍しいからって貴重な奴なんだっけ? これまだ使えるのかなぁー」
「出来れば新しい奴のが便利だとは思うけどこの巨大なテーブルを店長さんも含めて3人で運べる試しがないでしょう。取り敢えず私がキッチンスペースを掃除するから、雛はデュエルスペースの掃除をお願いね。」
「りょーかーい! まっかせといてーー」
今はより価格の安い新型デュエルテーブルも出てるし中古とかも出回っててはいる。だがそれでもこの初代モデルが好きだというファンも多く、中古価格も一定の値段で維持しているという話も聞いたことがある。そんなものがこんな都心に置いてあるとは・・・不思議にしか思えない。店長さんのお爺さんが昔使っていたのかも知れないね、と一旦話を切り上げると私はキッチンスペース、雛はデュエルスペースの掃除を始めた。
「いやー、掃除した掃除した! やっぱり綺麗にすると良い気分になるねー」
「そうね、綺麗になると気分が良いよ。しかも私が掃除してたキッチンスペースがお水も通ってて良かったよ。おかげで下にお水交換しに行かなくて済んだだろうし。」
掃除をしてから数時間後、3階の部屋の掃除が終わった。キッチンスペース側の水道が使えたのでわざわざ1階まで降りてバケツの水が交換しなくても良かったのはお掃除効率で見てかなりプラスに働いた。もっとかかるかと思ったがこれのおかげで大分時間を節約出来た。掃除用具を片付けた後、私達は再びこの3階に戻ってきた。
「3階の大掃除が終わったのは良いんだけど、このデュエルテーブル動くのかなあ?」
「どうだろう、正直あるだけでも珍しいのに動いてくれれば更に良いけれども・・・ダメだ、動く部分はあるけど多分肝心のソリッドビジョンが動いてなさそう。」
「残念だなぁ・・・せっかくソリッドビジョン出しながらデュエル出来ると思ったのにー。」
そして私達の興味はデュエルスペースにあったデュエルテーブルに移る。電源を差し込んでみて確認してみたが起動やデッキシャッフルといった基本的な動作は出来るようだが、メインであるソリッドビジョンの作成は出来ないようだった。まあ何十年も前の物だし少しでも動くだけラッキーだと思おうよ、と雛を宥めながらおもむろに反対側に向かった。
「やりたいんでしょ?デュエル。」
「ーーーーうん!」
彼女の表情と声は、ここ最近で一番良いものの様に思えた。ちょっと早く大掃除を終えた、ご褒美だ。
「「デュエル!!」」
祈:4000
雛:4000
「それじゃあ、私の先行だね!」
デュエルテーブルが決めた先行は雛だ。
「手札から『未来融合-フューチャー・フュージョン-』を発動! このカードは次の私のスタンバイフェイズから動き始めるよ!」
《未来融合-フューチャー・フュージョン》
永続魔法
(1):このカードの発動後1回目の自分スタンバイフェイズに発動する。
自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、そのモンスターによって決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
(2):このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに発動する。
このカードの(1)の効果で確認したモンスターと同名の融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
「・・・へっ?」
思わず驚いた。あんなカードを雛が持っていたとは。でも昔の時(エラッタ前)とは違い、発動してすぐに墓地肥やしが出来なくなったのに何故採用したのだろうか。
「そして手札から『レッドアイズ・インサイト』を発動! デッキから『真紅眼の黒竜』を墓地に送って、デッキから『レッドアイズ・インサイト』以外の魔法かトラップカードを1枚手札に加えるよ! 加えるのは『真紅眼融合』!」
《真紅眼の黒竜》
通常モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000
真紅の眼を持つ黒竜。
怒りの黒き炎はその眼に映る者全てを焼き尽くす。
《レッドアイズ・インサイト》
通常魔法
「レッドアイズ・インサイト」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札・デッキから「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
デッキから「レッドアイズ・インサイト」以外の「レッドアイズ」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
《真紅眼融合》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・特殊召喚できない。
(1):自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「レッドアイズ」モンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターのカード名は「真紅眼の黒竜」として扱う。
デッキから墓地肥やししつつ、キーカードのサーチも出来るとか強過ぎやしないだろうか。そして加えたカードも融合系のカードだ。このまま使って来ないでくれれば助かるのに。
「更に加えたカードの『真紅眼融合』を発動! このターン私はこのカード以外でモンスターを召喚や特殊召喚は出来ないけど手札デッキフィールドの三箇所から融合する事が出来るようになるよ!」
私の儚い希望はあえなく散った。召喚出来ないというデメリットがあるものの手札とフィールドだけじゃなくデッキからも融合出来るとか便利過ぎる。最近のレッドアイズというカードシリーズは便利なカードが増え過ぎてやしないだろうか。
「私はデッキから『真紅眼の黒炎竜』と『魔晶龍ジルドラス』を墓地に送って、『流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン』を融合召喚!」
《真紅眼の黒炎竜》
デュアル・効果モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000
(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に発動できる。
このカードの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
「真紅眼の黒炎竜」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
《魔晶龍ジルドラス》
効果モンスター
星6/闇属性/ドラゴン族/攻2200/守1200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドの魔法・罠カードが相手の効果でフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
その後、自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から、魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
現れたのはレベル7レッドアイズモンスターとレベル6ドラゴン族モンスターを融合条件にする流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンだ。攻撃力3500もあり先行でも出し得な利点がある。それは・・・
「『流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン』の効果発動! 融合召喚に成功した時に手札、またはデッキからレッドアイズモンスターを墓地に送ってその攻撃力の半分のダメージを与えるよ! 私はもう1枚の真紅眼の黒炎竜を墓地に送って、攻撃力の半分1200ダメージを与えるよ!」
《流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン》
融合・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3500/守2000
レベル7「レッドアイズ」モンスター+レベル6ドラゴン族モンスター
(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。
手札・デッキから「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
(2):このカードがモンスターゾーンから墓地へ送られた場合、自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
祈:4000→2800
このデッキ圧縮兼墓地肥やしにバーン効果だ。些か効果を色々と詰め込み過ぎやしないだろうか。久しぶりの真紅眼新規が来た時には喜んだが、こうして対面すると恐ろしい効果だこのカードは。
「そして更に手札から『竜の霊廟』を発動!」
《竜の霊廟》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。
この効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、さらにデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
「どれだけぶん回せば気が済むのよ!」
「だって引いてるんだから仕方ないでしょ!」
とうとう心の叫びが現実に出てきた。と言っても私達のデュエルではこういう事も稀に起こるので、こうやって叫んではいるが2人にとってはこの叫びが出てきたりするのもいつもの日常である。
「竜の霊廟の効果でデッキから『真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン-』を墓地に送るよ、そして墓地に送ったのが通常モンスターだから更にもう1枚墓地に送るよ、墓地に送るのは『伝説の黒石』」
《真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン》
デュアル・効果モンスター
星6/闇属性/ドラゴン族/攻1800/守2000
(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカード以外の自分フィールドの「レッドアイズ」モンスターは戦闘・効果では破壊されない。
《伝説の黒石》
効果モンスター
星1/闇属性/ドラゴン族/攻 0/守 0
「伝説の黒石」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードをリリースして発動できる。
デッキからレベル7以下の「レッドアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地のレベル7以下の「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターをデッキに戻し、墓地のこのカードを手札に加える。
落としたカードは墓地で通常モンスター扱いになるデュアルモンスターを落としつつ伝説の黒石を落としていった。という事はこの後起こるであろう動きもある程度想定出来る。
「墓地に送った『伝説の黒石』の効果発動! 墓地に落とした真紅眼の黒竜をデッキに戻してこのカードを手札に加えるね。そして『紅玉の宝札』も使うよ! 手札から『真紅眼の黒炎竜』を墓地に送って2枚ドロー! その後にデッキから『真紅眼の黒竜』を墓地に送るね。」
《紅玉の宝札》
通常魔法
「紅玉の宝札」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札からレベル7の「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
その後、デッキからレベル7の「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
伝説の黒石の効果でデッキにレッドアイズモンスターを戻しつつ自身を手札にリクルートした。そして更にここでドローカード。本当に初期手札が優秀だったのだなとしか思えない。
「そしてカードを1枚伏せてターンエンド!」
ようやく私のターンが回ってきた。融合のレッドアイズが出て、先制ダメージも貰い、伏せカードも出来てターンを貰った。運が良いとすれば、今の雛の手札が伝説の黒石1枚しかないというのが救われているポイントだ。
祈:2800 手札:5枚
雛:4000 手札:1枚
(EXモンスターゾーン:流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン メインモンスターゾーン:なし セットカード1枚)
「私のターンーードロー! ・・・手札から『月の書』発動、とっとと裏返って。」
《月の書》
速攻魔法
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示にする。
「酷い! チェーンしてリバースカード発動、『真紅眼の凱旋』!自分フィールド上にレッドアイズモンスターが存在しているから墓地から通常モンスターを一体蘇生させるよ! 蘇生させるのは墓地で通常モンスターになっている『真紅眼の黒炎竜』!」
《真紅眼の鎧旋》
永続罠
「真紅眼の鎧旋」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「レッドアイズ」モンスターが存在する場合、自分の墓地の通常モンスター1体を対象としてこの効果を発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
(2):このカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合、自分の墓地の「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
ドローしたカードで対策が出来そうだったのだからすぐ使ったら案の定酷いと言われた。それが今まで目の前にいた人にやっていた事だよ、雛。高ステータスのモンスターを無理矢理裏守備にして踏み越える用意が出来た。その代わりに雛には墓地からモンスターを蘇生させられることになったが、流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンを乗り越えやすくする為には仕方ない。
「手札から『調和の宝札』を発動! 手札から『伝説の白石』を墓地に送って2枚ドロー! そして伝説の白石の効果でデッキから手札に『青眼の白龍』を手札に加えるよ。」
《調和の宝札》
通常魔法
(1):手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
《伝説の白石》
チューナー・効果モンスター
星1/光属性/ドラゴン族/攻 300/守 250
(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。
デッキから「青眼の白龍」1体を手札に加える。
《青眼の白龍》
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。
どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。
まず行った事は手札補充、全力で回せば手札も無くなるだろうし早めに補給出来るのであれば、補給をして損は無い。追加でドローした2枚を確認しつつ、私も次の行動に移る。
「私も手札から『竜の霊廟』を発動。デッキから『白き霊龍』を墓地に送るよ。そして追加で『青眼の白龍』を墓地に送るね。」
《白き霊龍》
効果モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
このカードはルール上「ブルーアイズ」カードとしても扱う。
(1):このカードは手札・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを除外する。
(3):相手フィールドにモンスターが存在する場合、このカードをリリースして発動できる。
手札から「青眼の白龍」1体を特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
私も雛と同じカードを使い、墓地肥やしを行った。ドラゴン族限定とはいえ2枚も墓地肥やし出来るのはやはり破格の効果だ。
「更に手札から『ギャラクシーサーペント』を墓地に送って『銀河戦士』を特殊召喚! 効果でデッキから『銀河眼の光子竜』を手札に加える!」
《ギャラクシーサーペント》 †
チューナー・通常モンスター
星2/光属性/ドラゴン族/攻1000/守 0
宵闇に紛れて姿を現わすと言われるドラゴン。
星の海を泳ぐように飛ぶ神秘的な姿からその名が付けられた。
その姿を見た者は数えるほどしかないと伝えられるが、見た者は新たな力を得られるという。
《銀河戦士》
効果モンスター
星5/光属性/機械族/攻2000/守 0
「銀河戦士」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカード以外の手札の光属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
このカードを手札から守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「ギャラクシー」モンスター1体を手札に加える。
《銀河眼の光子竜》
効果モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
(1):このカードは自分フィールドの
攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースして手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行うバトルステップに、その相手モンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターとフィールドのこのカードを除外する。
この効果で除外したモンスターはバトルフェイズ終了時にフィールドに戻り、この効果でXモンスターを除外した場合、このカードの攻撃力は、そのXモンスターを除外した時のX素材の数×500アップする。
「ああそうだったよね・・・確か一部のカードは高いから別のカードで代用してるんだっけ。」
「流石に『青眼の亜白龍』とかは私じゃ手に入らないから・・・仕方ないね。」
出来ればブルーアイズ関連カードで揃えたかったが、一部カードは馬鹿にならない程高い。特に『青眼の亜白龍』はかなり便利なカードで欲しいところだった。だがどう考えてもシングルの値段がおかしいほど高過ぎる。これ普通の女子学生が買える物じゃないだろう。1枚買うためにどれだけ節約しなくちゃいけないんだ・・・などと現在も揃えるために質素倹約しながら資金繰りをしているというところだ。
「そしてフィールド上にフォトンまたはギャラクシーモンスターがいるため手札から『フォトン・パニッシャー』を特殊召喚! 効果でデッキから2枚目の銀河眼の光子竜を手札に加える!」
《フォトン・バニッシャー》
特殊召喚・効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻2000/守 0
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドに「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスターが存在する場合に特殊召喚できる。
自分は「フォトン・バニッシャー」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「銀河眼の光子竜」1体を手札に加える。
(2):このカードは特殊召喚したターンには攻撃できない。
(3):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。
●このカードが戦闘で破壊したモンスターは墓地へは行かず除外される。
更にギャラクシーやフォトンカードを用いて展開していく。こういう時に青眼の亜白龍があったらなあ・・・と思うがないのだから仕方ない。愚痴るのは控えめにして、デュエルを続けていく。
「手札から『フォトン・サンクチュアリ』を発動して、フィールド上にフォトントークンを2体守備表示で特殊召喚するよ。」
《フォトン・サンクチュアリ》
通常魔法
このカードを発動するターン、自分は光属性モンスターしか召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
(1):自分フィールドに「フォトントークン」(雷族・光・星4・攻2000/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。
このトークンは攻撃できず、S素材にもできない。
手札にある銀河眼の光子竜の召喚条件を満たすためにフィールド上にトークンを2体特殊召喚した。
「私はフォトントークン2体をリリースして『銀河眼の光子竜』を特殊召喚! そしてフォトン・パニッシャーと銀河戦士をリリースして『青眼の白龍』をアドバンス召喚!」
「バトルフェイズに入るよ! 銀河眼の光子竜で真紅眼の黒炎竜を攻撃!」
「うーん、このダメージは仕方ないね。」
雛:4000→3400
「そして青眼の白龍で裏側になっているメテオ・ブラック・ドラゴンを攻撃!」
「破壊されたメテオ・ブラック・ドラゴンの効果で真紅眼の黒竜を攻撃表示で特殊召喚するね。」
バトルフェイズに入り雛のフィールドにいたモンスターを取り敢えずは一掃した。だが、フィールドに裏側守備で残っていた流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンの効果で真紅眼の黒竜が攻撃表示で残ってしまった。こればかりは仕方ないと諦めるしかなかった。
「このままターンエンドだよ。」
私はこれ以上展開する事が出来なかった為、このままターンを渡す。次の雛の引きがめちゃくちゃ怖い・・・
祈:2800
(EXモンスターゾーン:なし メインモンスターゾーン:銀河眼の光子竜 青眼の白龍 魔法罠ゾーン:なし)
雛:3600
(EXモンスターゾーン:なし メインモンスターゾーン:真紅眼の黒竜 魔法罠ゾーン:真紅眼の凱旋)
「じゃあ私のターン、ドロー! スタンバイフェイズに『未来融合-フューチャー・フュージョン-』の効果で『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』を選択してデッキから『デーモンの召喚』と『真紅眼の黒竜』を墓地に送るよ!」
雛にターンが移り、スタンバイフェイズに未来融合の効果が適応された。これで次のスタンバイフェイズには悪魔竜が顕現するという構図が出来上がった。
「手札から『闇の誘惑』を発動! デッキから2枚ドローして『伝説の黒石』を除外する!」
《闇の誘惑》
通常魔法
(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。
手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。
伝説の黒石1枚しか無かった手札が2枚に増えた。これから先の展開の仕方に注目しないといけなくなりそうだ。でもドローカードを引かれるところまでは想定済みだから焦らなくても大丈夫、次の未来融合の為にエクストラモンスターゾーンを空けておくはずだからーー
「まだ終わらないよ! 手札から魔法カード『龍の鏡』を発動! 墓地のデーモンの召喚と真紅眼の黒竜を除外して、『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』を融合召喚!」
《龍の鏡》
通常魔法
(1):自分のフィールド・墓地から、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
《悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン》
融合・効果モンスター
星9/闇属性/ドラゴン族/攻3200/守2500
レベル6「デーモン」通常モンスター+「レッドアイズ」通常モンスター
自分は「悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
(2):融合召喚したこのカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、自分の墓地の「レッドアイズ」通常モンスター1体を対象として発動できる。
墓地のそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
その後、そのモンスターをデッキに戻す。
融合先チラ見せして融合素材墓地に送ったと思ったら、速攻で除外して出てくるなよ! 少し安心しようかと思ったが一瞬で安心出来なくなった。出てきたブラック・デーモンズ・ドラゴンのテキストを思い出そうとする。アレも確かレッドアイズカードを戻して何かしてくるはず・・・
「バットルフェーイズ! 悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンで青眼の白龍を攻撃!」
祈:2800→2600
良かった・・・あのカードはバーンとかしてこないのか。一皮繋がったかなこれは、などと思っていた時である。
「悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンの効果発動! 融合召喚したこのモンスターが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に、レッドアイズモンスターを一体デッキに戻す事で戻したモンスターの『元々の』攻撃力分のダメージを与えるよ! 戻すカードは真紅眼の黒炎竜!」
「・・・元々?」
「Yes 元々のダメージ。」
「レッドアイズモンスターは大抵攻撃力2400だから・・・残るのは200?」
「いえーす、2400のたっぷりとしたダメージ貰って行きましょー!」
祈:2600→200
痛すぎる。さっきの融合は元々の半分だったのにこっちの融合は元々と同じダメージかよ・・・タイミングが違うとはいえダメージに差がつき過ぎてる気がしないでもない。
「私はバトルフェイズを終了してそのままターンエンド! さあ、次の私のターンで決着付けちゃうからねー!」
祈:200
(EXモンスターゾーン:なし メインモンスターゾーン:青眼の白龍 魔法罠ゾーン:なし)
雛:3600
(EXモンスターゾーン:悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン メインモンスターゾーン:真紅眼の黒竜 魔法罠ゾーン:真紅眼の凱旋)
「私の・・・ターン! ドロー! 『トレード・イン』を発動! 手札にある銀河眼の光子竜を捨てて2枚ドローする!」
《トレード・イン》
通常魔法
(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
私のターンに回り、引けたカードはドローカード。この引けた2枚に賭けるしかない。良いカードを引いてくれと、ただ祈りながら2枚ドローする。
「手札から『銀河眼の雲篭』を召喚! 効果で自身をリリースして銀河眼の光子竜を特殊召喚する! そしてバトルフェイズだ! 銀河眼の光子竜で悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンに攻撃!」
《銀河眼の雲篭》
効果モンスター
星1/光属性/ドラゴン族/攻 300/守 250
このカードをリリースして発動できる。
自分の手札・墓地から「銀河眼の雲篭」以外の「ギャラクシーアイズ」と名のついたモンスター1体を選んで特殊召喚する。
「銀河眼の雲篭」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、このカードが墓地に存在する場合、自分のメインフェイズ時に自分フィールド上の「ギャラクシーアイズ」と名のついたエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
墓地のこのカードを選択したモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。
「銀河眼の雲篭」のこの効果はデュエル中に1度しか使用できない。
引けたカードの1枚でエース級モンスターの銀河眼の光子竜を呼び戻す。そしてそのままバトルフェイズに入り、戻ってきた銀河眼の光子竜で攻撃を仕掛ける。
「どうして攻撃力が低いモンスターで攻撃を? 光属性・・・もしかして!」
「そのもしかしてだよ! ダメージ計算時、手札から『オネスト』を捨てることで相手の攻撃力分攻撃力をアップさせる!」
《オネスト》
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1100/守1900
(1):自分メインフェイズに発動できる。
フィールドの表側表示のこのカードを持ち主の手札に戻す。
(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。
トレードインで手に入った銀河眼の雲篭ともう1枚のカードが、光属性の特権とも言えるカードであるオネストだった。これにより相手の攻撃力を上回る事が出来て、ダメージが通る。
雛:3600→600
「これが最後のバトル! 青眼の白龍で真紅眼の黒竜を攻撃! 滅びの爆裂疾風弾!!」
「やーらーれーたー!!」
雛:600→0
私達のデュエルの最後は二人とも大体気の抜けたやられ声で終わる事が多いのである。それにしても、ギリギリで勝てて助かった・・・・・・
「おや? ここにはデュエルテーブルがあったんですね。お仕事お疲れ様でした。」
「あっ、店長さんもう帰って来てたんですね。おかえりなさい。このデュエルテーブルですけどほとんど使えない感じでした。」
「店長さんがいつ帰って来てたか気付かなかったよー で、ちゃんと今晩のメニュー用に買ってきたんでしょ?」
私達が上でやり取りしているのが聞こえたのか、帰宅した店長さんがデュエルスペースまで上がってきていた。店長さんは辺りを見ると、良くここまで綺麗に掃除してくれましたね、と答えながら私達の話を聞いていた。
「はい、勿論ですよ。それとデュエルテーブルですけれども、知り合いに頼んで使えるようにして貰いましょうか?」
「「ーー本当ですか?」」
突然の提案に私達は喜んだ。もしこのデュエルテーブルが使えるのならば家に帰ってからでもたっぷりとデュエルが出来る。そんな特別な環境を作って貰っても良いのかと雛と共に思い、本当なのかと答えた。
「ええ、本当ですよ。貴方達デュエリストが一番過ごしやすい環境にするのが良いですからね。でもその前にーー」
「ーーその前に?」
何か条件が有るのだろうか、働いて返したりとか使える時間帯に制限があるとか・・・
「まずは美味しいご飯を作って食べるところから始めましょうか。その後にあのテーブルを修理して貰う事にしましょう。」
「「ーーはい!!」」
この日の掃除とデュエル、そしてその後のアカデミア入学記念のハンバーグは、私達2人にとっては決して忘れる事が出来ない出来事になった。
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主人公がバーン系カードの使い手とは珍しい。
今後の進展に期待が・・・。 (2018-12-11 15:59)
コメントありがとうございます、作者の蓮木です。
バーンデッキは入学試験デュエルでの特別のデッキでしたので今後の登場は・・・・・・でもどこかでは使ってあげたいですねえ (2018-12-11 22:16)