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02 Origin(中編) 作:Ales
「これは、もしかして……」
対面に陣取る教員から、驚きにも似た声が上がった。
「《幻朧竜エルゴ》はフィールドから墓地に送られる場合、代わりに除外されます。除外されたエルゴの効果、自分フィールド上のモンスター1体に効果耐性を付与します。対象は当然、《ディオクト・ノブレール・ドラゴン》です。カードを1枚セットしてターンエンド。」
遊士はそれに気付かなかったのか、そのままデュエルを続けていた。教員の方も暫しの間何か考えるように俯いていたが、すぐに向き直って相対した。
2nd.Turn
遊士 LP:8000 D:32 H:1 G:3 V:1 Ex:15
Ⅰ:《セットカード》
Ⅱ:《ディオクト・ノブレール・ドラゴン》
Ⅲ:《幻朧燈-嶺暗》
□□Ⅰ□□
□Ⅱ□□□Ⅲ
□ □
□□□□□□
□□□□□
教員 LP:8000 D:35 H:5 G:0 V:0 Ex:15
「私のターン、ドロー!さて、一応確認ですが……《幻朧燈エルゴ》の効果は、「次の相手ターン終了時までカードの効果を受けない」、で間違いないですよね?」
「ええ、そうですけど……?」
教員は一つ頷くと、手札から1枚のカードを取り出した。
「では、手札から魔法カード《トレード・イン》を発動します。手札の《白き霊龍》を捨ててデッキから2枚ドローします。」
「【青眼】……か。」
デュエルモンスターズにおいてモンスター除去の手段とは、何もカードの効果に限ったことではない。いや、初期のそれを考えれば、基本的に除去は戦闘で行われるものである。【青眼】は攻撃力3000の《青眼の白龍》を軸に戦うデッキであり、様々な型はあれどいずれも高攻撃力が持ち味のデッキである。今の遊士のように、除去耐性を効果にのみ依存するデッキにとっては天敵ともいえる。
「更に《ドラゴン・目覚めの旋律》を発動します。手札の《太古の白石》を捨て、デッキから……」
どの型の【青眼】であれ、亜白龍と白龍の2枚を手札に入れれば大凡どのような運用も可能である。逆に言えば【青眼】とは畢竟如何にこの2枚を揃えるかにかかっており、当然対戦相手である遊士からすれば看過できたものではない。
(タイミング的には悪いけど……今しかない。)
そう考えた遊士は、セットしていたカードを表向けた。
「……リバースカード、《幻朧燈-鳴土》を発動します。手札の《幻朧竜ヘリオ》を捨てて、カードの効果を「相手の墓地のカード1枚を除外する」に変更します!」
鳴り響いた弦楽の旋律が、低い地鳴りのような重苦しい響きにかき消された。
「……墓地の《レアケース・ディスカバー》を除外します。魔法カード《復活の福音》を発動、墓地の《白き霊龍》を特殊召喚します。特殊召喚に成功した霊龍の効果、嶺暗を除外します。更に《青き眼の賢士》を召喚、効果で二枚目の《太古の白石》を手札に加えます。レベル8の《白き霊龍》にレベル1の《青き眼の賢士》をチューニング。シンクロ召喚、レベル9!《青眼の精霊龍》!カードを1枚セットしてターンを終了します。ターン終了時、《太古の白石》の効果でデッキから2体目の《白き霊龍》を特殊召喚します。」
(結果的に……防いだ、か。)
《白き霊龍》と《青眼の精霊龍》は共に攻撃力2500であり、また精霊龍の方は【青眼】における守りの要ともいえるモンスターであり、相打ちはしてこなかった。つまり攻撃力3000の2体を抑えたことにより、結果遊士は対【青眼】において最良ともいえる盤面を残したままターンを迎えることとなったのである。
3rd.Turn
遊士 LP:8000 D:32 H:0 G:3 V:4 Ex:15
Ⅰ:《ディオクト・ノブレール・ドラゴン》
□□□□□
□Ⅰ□□□□
A □
□□□B□□
□C□□□
A:《青眼の精霊龍》
B:《白き霊龍》
C:セットカード
教員 LP:8000 D:31 H:2 G:5 V:0 Ex:14
「僕のターン、ドロー!」
勢いよく抜いたカードを見て、さてどうしたものかと悩む。今引いたカードをプレイするにはかなりのリスクが伴う。いや、相手が相手だけにゲームエンドに直結しかねないリスクである。しかし現状でノブレールを維持したとしても、結局打点が不足して負けるのは必至。どうあれ、悩んだところで選択肢はひとつしかなかった。
「メインフェイズ、《ディオクト・ノブレール・ドラゴン》をリリースして、《幻朧竜ラディ》をアドバンス召喚します。召喚に成功したラディの効果、デッキから「幻朧」モンスター1体を除外し、そのモンスターの攻撃力分自身の攻撃力をアップします。」
「……通します。」
セットカード次第では除去された挙句に返しのターンで何もできずに敗北、という未来も見えていた遊士だが、山を越えたことで風向きが変わった。
「効果で《幻朧竜クリプト》を除外、攻撃力を1600上げます。」
《幻朧竜ラディ》
ATK:2200 → 3800
「更に除外されたクリプトの効果を発動、特殊召喚されたモンスターを2体まで破壊します。《白き霊龍》と《青眼の精霊龍》の2体を選択します!」
「では《青眼の精霊龍》の効果、このカードをリリースしてドラゴン族・光属性のシンクロモンスター1体を守備表示で特殊召喚します。」
「ラディの効果をチェーンします。除外された《幻朧竜エルゴ》を墓地に戻し、その効果を無効にします!」
Chain3:《幻朧竜ラディ》
Chain2:《青眼の精霊龍》
Chain1:《幻朧竜クリプト》
「チェーン解決、ラディの効果により精霊龍の特殊召喚効果は無効……」
「クリプトの効果で残った霊龍を破壊、バトルフェイズ、《幻朧竜ラディ》でダイレクトアタックします!」
《幻朧竜ラディ》 ATK:3800
教員 LP:8000 → 4200
「なるほど、その判断も……」
またも意味深に教員が呟くが、集中しきっている遊士はその意味を深く考えることもなくターン終了を宣言した。
4th.Turn
遊士 LP:8000 D:31 H:0 G:5 V:3 Ex:15
Ⅰ:《幻朧竜ラディ》
□□□□□
□Ⅰ□□□□
□ □
□□□□□□
□A□□□
A:セットカード
教員 LP:4200 D:32 H:2 G:7 V:0 Ex:14
「私のターン、ドロー。」
何か思うところありそうな様子を見せる教員ではあるが、私情は禁物とばかりに容赦のないカードを置いた。
「魔法カード、《復活の福音》を発動します……チェーンは?」
「……通します。」
【青眼】における明確な強みのひとつはコンスタントに攻撃力3000という高い打点を出せることだが、逆に明確な欠点としては3000を超えるにはそれなりに苦労する、ということである。永続効果で強化されたラディの攻撃力は3800。わずか800の差であるが、その差を埋める効果が出てこない限り、遊士は全てのカードを通して問題ないのである。
「では墓地から《白き霊龍》を特殊召喚、更に手札から《伝説の白石》を召喚します。」
(賢士でもないし、墓地送り目的……精霊龍では打点が足りないことを考えると……リンク召喚?そうか、天球がいたか。)
相手の意図がわかったところで、効果でもない召喚に介入できるカードがある訳ではない。除外している「幻朧」モンスターも少ない現状、ラディの効果発動は慎重に見極めねばならない。
「リンク召喚を行います。召喚条件はドラゴン族モンスター2体、《白き霊龍》と《伝説の白石》をリンクマーカーにセット。来なさい、《天球の聖刻印》!墓地に送られた白石の効果、デッキから《青眼の白龍》を手札に加えます。《青眼の亜白龍》は、手札の《青眼の白龍》を見せることで特殊召喚できます。亜白龍を特殊召喚、効果を発動します。《幻朧竜ラディ》を破壊します。」
「ラディの効果、除外されたクリプトを墓地に戻してその効果を無効にします。」
「ではリバースカード《銀龍の轟咆》を発動、墓地の霊龍を特殊召喚します。レベル8の《白き霊龍》と《青眼の亜白龍》をオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚、ランク8。《銀河眼の光波竜》!光波竜の効果、オーバーレイユニットを1つ取り除き、ラディのコントロールを得てそのカード名を《銀河眼の光波竜》に変更、攻撃力を3000にします。バトルフェイズ、《銀河眼の光波竜》でダイレクトアタック!」
《銀河眼の光波竜》 ATK:3000
遊士 LP:8000 → 5000
「私はこれでターンエンドです。このターン終了、コントロールの移っていた方の光波竜は返還します。」
「…………」
追い詰められた、と言って過言ではない状況である。攻撃力で制圧したと思っていた状況は一気に悪化し、手札も次のドローフェイズに引ける1枚のみ。
(何が来れば逆転できる……?何が……?)
攻撃力だけではない、引き出しの多さ。光波竜という選択肢を想定していなかった訳ではないが、それに至るまでにラディの効果が使用できなくなるまでに効果を使わされたのが何よりの想定外であった。
(どうする……?どうすればいい?)
「にゃー?お兄さんちょとピンチっぽい?」
黙り込んで俯いていた遊士が顔を上げると、そこには栗毛の少女が遊士の顔をのぞき込むようにして立っていた。
「新田さん?あなた、体調が悪いと言って休んでいたのでは?」
教員が突然の横槍に疑問を投げるが、新田さんと呼ばれた少女は全く何も気にしていない様子で返した。
「体調良くなったので来ちゃいました!」
「デュエルの進行を妨害したことに対する謝罪は?」
「それは……乗りかかった船なのです!おにーさん、とりあえずカードをドローしてから悩んでみては……ふぎゃ!」
いつの間にか少女の背後まで接近していた教員が、少女の奥襟を掴んでデュエルフィールドから摘まみ出した。
「にゃー!放すにゃ、放すのにゃ!」
抵抗する猫よろしくじたばたとしていた少女であるが、フィールドの外に放り出されると華麗に受け身を取って声を上げた。
「だいじょぶ、反撃開始なのですよー!」
個性的な言動に、遊士はいつの間にか笑顔になっていた。もっとも、笑い半分、あきれ半分ではあるが。
5th.Turn
遊士 LP:5000 D:31 H:0 G:5 V:3 Ex:15
Ⅰ:銀河眼の光波竜(幻朧竜ラディ)
□□□□□
□Ⅰ□□□□
A □
□□□□□□
□□□□□
A:銀河眼の光波竜(ORU:1)
教員 LP:4200 D:30 H:1 G:10 V:0 Ex:12
「僕のターン、ドロー!」
指先に普段以上の力を込めて、そのカードを引いた。
「……!」
「どうやら、お目当てのカードを引けたようなのですな?」
ここで迂闊に返事をしてルール違反を取られても困る。遊士は軽く肩を竦めると、改めて対戦相手と正対した。
「メインフェイズ、フィールド魔法《異相空間》を発動、効果を使用します。墓地の幻竜族モンスター3体……クリプト、エルゴ、ヘリオの3体を除外して光波竜を破壊します!」
銀河眼の光波竜(幻朧竜ラディ)
ATK:3000 → 3300
DEF:0 → 300
「墓地の《復活の福音》の効果、ドラゴン族モンスターが戦闘または効果で破壊される場合、代わりにこのカードを除外できます!」
「では除外されたヘリオの効果にエルゴの効果をチェーン、エルゴの効果対象に光波竜となったラディを、ヘリオの効果対象に光波竜を指定します!」
Chain2:幻朧竜エルゴ
Chain1:幻朧竜ヘリオ
「チェーン解決、エルゴの効果で光波竜となったラディは効果耐性を得られます。」
銀河眼の光波竜(幻朧竜ラディ)
ATK:3300 → 3000
DEF:300 → 0
「そしてヘリオの効果で光波竜は攻撃力、守備力が0になり、効果も無効に……」
「バトルフェイズ、光波竜となったラディで光波竜を攻撃します!」
銀河眼の光波竜(幻朧竜ラディ)ATK:3000 ATK:0 銀河眼の光波竜
教員 LP:4200 → 1200
「僕はこれでターンエンドです。」
「おぉー、やるねぇー……むぐ。」
新田さんはいつの間にか観客席の最前列に立ち、どこから取り出したのかホットドッグを食べながら傍観していた。
6th.Turn
遊士 LP:5000 D:30 H:0 G:5 V:3 Ex:15
Ⅰ:銀河眼の光波竜(幻朧竜ラディ)
Ⅱ:異相空間
□□□□□
□Ⅰ□□□Ⅱ
□ □
□□□□□□
□□□□□
教員 LP:1200 D:30 H:1 G:12 V:0 Ex:12
「私のターン、ドロー……なるほど、ここでこれを引きますか。」
「む?」
新田さんが疑問を抱かなくとも、いやな予感がした。
「墓地の《銀河眼の光波竜》を対象に、魔法カード《死者蘇生》を発動します。」
「効果は……いえ、通します。」
「では《銀河眼の光波竜》を特殊召喚、更にこのカードに重ねて《ギャラクシーアイズFA・フォトン・ドラゴン》をエクシーズ召喚、効果を発動。《異相空間》を破壊します。バトルフェイズ、FAで光波竜となったラディを攻撃します!」
ギャラクシーアイズFA・フォトン・ドラゴン ATK:4000 ATK:3000 銀河眼の光波竜(幻朧竜ラディ)
遊士 LP:5000 → 4000
「ラディの除外効果はルール効果なので、そのまま除外されます。」
「私はこれでターンエンドです。」
横目でちらりと見やると新田さんはホットドッグを左手に持ったまま固唾を呑んで静観していた。
6th.Turn
遊士 LP:5000 D:30 H:0 G:7 V:3 Ex:15
□□□□□
□□□□□□
A □
□□□□□□
□□□□□
A:ギャラクシーアイズFA・フォトン・ドラゴン
教員 LP:1200 D:29 H:1 G:13 V:0 Ex:11
「僕のターン、ドロー……っ!メインフェイズ、《幻朧竜エルゴ》を召喚、効果を発動します。除外された《幻朧竜ヘリオ》を特殊召喚、こちらの効果も発動、デッキから2体目のエルゴを特殊召喚、こちらのエルゴの効果も発動して除外された《幻朧竜ラディ》を特殊召喚します!」
「この展開力……ふふっ、なるほど、ね。」
またも意味ありげな言葉を呟く教員に一抹の疑問を抱きつつも、遊士はこれが最後とばかりに背筋を伸ばして宣言した。
「レベル3の《幻朧竜エルゴ》2体をオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚!《幻影騎士団ブレイクソード》!ブレイクソードの効果、オーバーレイユニットを1つ使用して、お互いのフィールド上のカードを1枚ずつ破壊できます。《幻朧竜ヘリオ》と《ギャラクシーアイズFA・フォトン・ドラゴン》を選択します!」
「2枚目の《復活の福音》の効果……いえ、意味がないですね。通します。」
《幻朧竜ヘリオ》は効果でフィールドから除外され、もう一つの効果でフィールド上のモンスター1体の効果無効と攻撃力、守備力を0にできる。ブレイクソードの効果が発動された時点で、教員側の負けであった。
「ではバトルフェイズ、《幻朧竜ラディ》でダイレクトアタック!」
(しかし、彼とあの人に何の関係が……?確か、長崎県の生まれと書いてありましたが……)
幻竜の攻撃の最中、教員側は至極無関係なことを考えていたのであった。
幻朧竜ラディ ATK:2200
教員 LP:1200 → 0
Win:遊士
---
「では、これで実技試験は終了となります。合否発表を……」
「ねーみこっちゃん!わたしこの子欲しい!」
教員の至極真面目な話にまたも横槍を入れたのは、至極真面目に観戦していたはずの新田さんであった。
「子……?みこっちゃん……?って、いきなり何してるんですか!」
遊士の疑問もよそに、新田さんは左肩に飛びかかってそのまま抱きついてきた。
「はぐはぐー……おにーさん凄いよー!らんらん、なんかテンション上がってきたよー!」
「新田さんは今すぐ帰って反省文20枚を来週までに提出してください。前原さんはこれで試験終了です。合否発表をお待ちください。」
「はい、わかりま……」
「おうちょい待てい!何を反省せにゃならんのじゃい!」
尚もやいのやいのと騒ぐ新田さんを引きずり、会場を後にするのは結局遊士の役目であった。ひとつ突き出たアホ毛がぺしぺしと頬に当たって地味に鬱陶しい。
「いやー、ごめんねー!でも、あれなら合格できると思うよー!」
校舎を出てから駅に向かうまでの道中、そのまま家に帰るという新田さんが一緒になった。彼女の本名は新田蘭(あらた らん)であり、祖父、父と続くプロデュエリストの家系の長女とのことである。
「私も夢は大きくプロデュエリスト!その為にはさ、アカデミアでも強い人とデュエルしたいじゃん?だから、おにーさんみたいな強……そうな人とデュエルしたいのよ!あ、今日はカード持ってきてないから出来ないけどさ、絶対に合格して、絶対にらんらんとデュエルしてね!」
「合格って言ってももう試験は全部終わってるし、賽は投げられたんだけど……」
「そこを何とか!」
「それはあの先生に言ってくれないと……」
「おう?みこっちゃんにかい?そいつぁちと骨が折れやすぜ……なにせあのねぇちゃん、新高等部1年生の学年主任やるって話だし、公平性に関しては保証されてるようなもんだし……」
くるくると表情の変わる愉快な子、というのが遊士の蘭に対する第一印象であった。しかしカードも持たずに、何しに学校まで来たのやら。
「んまぁ、妥協してやるですぜ!おにーさん、合格したらいっっちばん最初にらんらんとデュエルしてね!それじゃわたしこっちだから。駅はあっちね!サラダバー!」
「サラダバー……?」
恐らくさらばだ、と言い間違えたのだろう。いろんな意味で、合否発表が楽しみになってきた遊士であった。
---
その日の夜、居酒屋に見慣れない女性二人が旧交を温めていた。
「お久しぶり、ですね。珍しいじゃないですか。先輩から誘ってくるなんて。」
一人は背格好に似合わずスーツを着込んだ、中学校の制服を着ても違和感がないのではないか、と思わせるような小柄な女性であった。
「あなた、随分思い切ったことをしたみたいですね……」
もう一人は背格好的にも十二分に成人女性に見える、こちらもやはりスーツを着込んだ女性である。ふたりは供された徳利に日本酒を注ぐと、どちらからともなく近付けて音を鳴らした。
「いきなり本題ですか。で、いかがでしたか?」
「いかが、といわれましても返答に困りますね。ただ、私としては理由が知りたいです。いつどこで彼と出会ったのか、なぜ彼にカードを渡したのか……」
なるほど、とひとつ呟いた女性が、鳥軟骨を咀嚼した後に返答した。
「二人のうちどちらかにあげる、という訳にもいかないでしょう?まあ、他にも理由は色々ありますけれど……」
「その色々を、今のうちに聞いておきたいのです……教師として。」
「まあ、そういうことなら……」
それから数週間後、遊士の元に合格通知が届いた。
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そしてどこかで見たことある苗字(すっとぼけ)の蘭ちゃん。せ……プロデュエリストの父親はどんな育て方をしたのでしょうか。私、気になります。あと遊士とデュエルした教員ですが、「みこっちゃん」って……もしや。いや、まさかね(殴
(2017-12-11 23:24)
>入学試験ですが相手が【青眼】ってどんだけ試験のレベルが高いんですかこの学校は
教員の使用するデッキと言えば【古代の機械】と相場が決まっております(審議中)が、ちょっと捻って【青眼】になりました。一応理由としては、「コンスタントに登場する攻撃力3000というラインに対する姿勢」を主眼に置いている訳で、受験者は勝つ必要はないんですね。アカデミアという言わば専門校のような学校ですから、必要なのは技術より姿勢と言いますか。実際、初期考案段階では今回遊士は負ける予定でした。が、ここで色々建てておきたい伏線があったので、なし崩し的に勝つことになりました。
>ちなみに異相空間をオリカだと思ってしまった三流デュエリストがここに。いや、同時登場した竜星と相性が悪いから完全に存在を忘れていました
今でこそ【メタファイズ】で活躍が期待できますが、竜星とはリソースを食い合って悪いにも程がありますよね。実は私自身もこのカードに気付いたのは【幻朧】投稿後であり、このデッキに入っていないのが不自然なほどに異常なシナジーだったので入れるしかないと考えまして。結果は……今話でございます。
>そしてどこかで見たことある苗字(すっとぼけ)の蘭ちゃん。せ……プロデュエリストの父親はどんな育て方をしたのでしょうか
新田という姓をあらたと読むのはかなり珍しいですよね。そのおかげで他人の空似説も禁じられた聖なんとかになってしまいました。ぐぬぬ。
パッパ 「わいなんもしとらんぞ……仕事で世界回っとったし」
マッマ 「うちもなんもしとりまへん……仕事で世界回っとりましたし」
>遊士とデュエルした教員ですが、「みこっちゃん」って……もしや。いや、まさかね
まさかは、ある!それはさておき、次作で明かされる事に出来る……かと…… (2017-12-12 20:36)