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HOME > 遊戯王SS一覧 > 逆転の切り札! 女帝の力を解放せよ!⑤

逆転の切り札! 女帝の力を解放せよ!⑤ 作:はにわ改

 
「ーーどうかな、ラグナシア?
今日の刹那とのデュエルで、ラグナシアの召喚を狙ってみたいんだけど」

ーー時間は遡って早朝。
前日、刹那の家から遅く帰って来たにも関わらず、透矢は朝の四時に目を覚ましてデッキの調整を行っていた。
そしてそのデッキ調整の最大の議題と言えるものが、『三騎士 女帝の聖杖』を3枚入れるべきか、否かというものである。

透矢は端から見れば独り言を繰り返しているようにしか見えないが、デッキのトップに置いた女帝、すなわちラグナシアと『声』を交わしあっていた。

『ーーこの間も言ったはずだ。
私というカードは重い。
今のお前ではまだ手に余るだろう』

透矢の脳裏に、直接響くようなその声。
起きてデッキ調整を始めてからも、こうして所々アドバイスを受けていた。

「でもこれは俺の勘なんだけどさ。
刹那に勝つためにはラグナシアの力が必要だと思うんだよ」

未だに絵柄・テキストのない、『ラグナシア』とだけ書かれたカードを見つめながら透矢は口にする。

『私の力を当てにするのは結構だが、強い力にはリスクが伴うものだ。
何度も言うが今のお前には早い』

「そっかー・・・」

『それにお前にはまだそのカードが見えてないのだろう?』

「ああ、見えない」

『ならばお前はまだ我の力を行使する時ではないということだ。
焦るな、と言っただろう』

確かに透矢にはまだテキストが『見えない』。
故にその効果を見知る事は出来ないはずだが、
ただその能力の一端は既にラグナシア本人から聞いていたのだった。
その一端だけでも、相手を一瞬に打ち倒せる可能性を秘めた能力なのである。
透矢がその力を当てにするのも無理はなかった。

『なんだ・・・アリアスたちでは力不足、とでも言うつもりか?』

「そんなことない!
そんなことない・・・けど、さぁ・・・」

ラグナシアの声を強く否定する透矢。

「今日のデュエルには、仲間の退学が掛かってんだ。
・・・何としても勝ちたいんだよ」

『その勝ちたい勝負で、我が“魂の欠片”を3枚入れて、手札事故でも起こしたらどうするつもりだ?』

「うーん・・・それに・・・」

『それに、なんだ』

「やっぱり使ってみたいじゃんか。
ラグナシア。
あんたの魂が込められてるこのカードを、さ」

『・・・困ったマスターだ』

透矢に負けた事で退学を言い渡された凌斗。
彼を護るためであるのが第一の理由であるのは確かだが、それと同じくらい『カードを使ってみたい』というデュエリストの偽らざる本音。

ラグナシアは呆れつつも、その声には親しみが込められていた。

『・・・好きにするがいい』

「いいのか?!」

『他ならぬお前に、そう言われてはな。
私も強く否定は出来ん。
だが、どうなっても責任はとれんぞ』

「ああ!
任せてくれ、必ずラグナシアの魂を開放してみせるからさ!
要はフィールドに3枚揃えればいいんだろ?
そうすりゃ、俺にもこのカードがーー」

お墨付き、とは違うが、女帝のお許しが出て朝方に大きな喜びをあらわにする透矢。
この瞬間から透矢のデッキに『女帝』を3枚いれることが確定された。
透矢はラグナシアが言う『カードが見える時』というのを、『女帝』をフィールド上に揃えられるようになった時、と思っているようだ。

『だが・・・忘れるな。
強い力にはリスクが伴う、と』

「リスク・・・って、やっぱり重いからか?」

改めてその言葉を繰り返すラグナシア。

『お前にまだ早い、と言ったのは何も我が“魂の欠片”を3枚入れたデッキが使いこなせない、という意味ではない』

「え、違うのか?
じゃどういう意味なんだ?」

『・・・』

黙るラグナシア。
透矢は小首を傾げる。

『・・・取り敢えず、まずは私をフィールドに3枚揃えてみろ。
その時に私の言葉の意味が分かる』

「え?」

『今のお前でも・・・何とか耐えられるだろう』

ーー全てを教えてはくれなかったラグナシア。
透矢の心に釈然としないものが残った。



ーーそして時は現在に戻る。

『女帝』を3枚デッキに入れ、しかもその事を悟られないよう、ギリギリまでデッキに忍ばせておいた透矢。

そして今、彼は『女帝』をフィールドに3枚並べ揃えた。
いよいよ、『女帝』の真の力を開放できるーー透矢は逸る気持ちを押さえられず、召喚を宣言する前に『ラグナシア』のカードを握る。

だがしかし、そのカードにはやはり『ラグナシア』としか書かれていない。

「ど、どういうことだ?
『女帝』をフィールドに3枚揃えれば、このカードが開放されるはずじゃあーー」

思わず口に出してしまう透矢。
刹那が怪訝な表情で、その様子を伺う。

(ど、どうすればいいんだ?
何も書いてないけどーーデュエルディスクに置いて、反応するのか?このカード・・・!)

戸惑う透矢。

『・・・落ち着け、透矢』

(ラグナシア・・・?)

そんな透矢に声を掛けたのはやはりラグナシア。

『言ったはずだ。
我の力を行使するのにはリスクが伴う、と』

(リスク・・・って、あんたの魂は3枚ちゃんと揃えたぞ?!)

『それは我を召喚するための前提条件に過ぎん。
お前が握る我自身であるそのカードを目覚めさせるには、まだ足りないのだ』

(足りない、って!?)

ーーカードを握ったまま動かない透矢。
前にも炎魅子戦でも起こったこの状況。
刹那と審判のクロエは何かを伝え合うように目配せしている。

『足りないのは・・・お前の魂だ』

(た、魂!?)

『そうだ』

(俺の魂を寄越せ、ってのか?)

まさかの要求に、透矢は心の中で声を荒げる。

『全てを寄越せとは言っていない。
少し分けてほしい、と言ってるのだ』

(す、少しって・・・)

『心配するな。
何もお前の寿命が縮むとかの話ではない。
ただ少し、疲れる、だけだ』

(つ、疲れる・・・?)

『魂というよりは、体力、と言った方がいいかもしれないな』

透矢は不安なものを感じながらカードを見る。
カードを覚醒させるために、魂、体力の一部を必要とするーーそんな事があるのだろうか、と。

(体力を分ける、って・・・どうやって?)

『お前が握るそのカードに力を込めるように、精神を集中させればいい』

(精神を集中・・・)

『不安なら、無理強いはしない。
だがそうしないことには我が魂は完全には目覚めないのだ』

透矢は迷う。
まさか急転直下、死を迎えるということはないだろうが、どこか踏み切れない。
何せ初めての経験なのだから、無理もないだろう。

『私を・・・そして“あの人”を信じろ』

(あの人・・・『お姉さん』・・・)

透矢は『お姉さん』を思い浮かべる。
このデッキを託してくれた、敬愛する存在。
その『お姉さん』が自分に危害を加えるようなカードを託すだろうか。

そしてまだ日は浅いが、自分を何かと導き、力強く鼓舞してくれるラグナシア。

この二人を信じられないわけがない。

(よ、よし・・・分かった、やってみるぜ)

まだ一抹の不安を抱えつつも、透矢は意を決する。
手に握ったカードに、言われた通り力を込める。

『指先だけに力を込めるんじゃない。
もっと全身を奮え立たせるように力を溜めてみろ』

(む、難しいな・・・こ、こうか・・・?)

『・・・よし。
後はその状態を維持しながら、意識だけを落ち着かせるイメージで、精神を集中しろ』

(・・・)

『・・・いいぞ、その調子だ』

慣れない所作に戸惑いつつも、言われた通りにする透矢。
するとラグナシアの言葉に合わせて、自らの身体が徐々に熱くなる何かを感じ、それが指先に向けて流動するような感覚に捉われる。
やがてカードがどんどん熱を帯びたように熱くなり、指がその熱に拒否反応すら示し始めた。

ーーそして。
目覚めの時は来たのである。

弾けるような眩い光が、カードから溢れ、
そのあまりの神々しさに目を閉じていた透矢でさえ目を見開いた。

「ーーな、なんだ!?」

しっかり握っていないとどこかに吹き飛びそうなカードをしっかり握りながら、目を庇う透矢。
その光は観客にもはっきりと見え、何事かと騒然となる。

「あ、あの輝きはーーあ・・・っ!?」

刹那もまたその輝きに驚きつつも、すぐに自分に起こっている異変にも気付く。
自らのエクストラデッキから、同じ光を発しているカードに気付いたのだ。

「ま、まさか私の『ルシフェル』がーー?!」

刹那にはすぐに分かる。
自分の光るそのカードの正体に。


ーー異変は観客席でも起きる。
それは久遠、そしてアルフレッド。

懐に入れておいたデッキに起きた異変。
数十枚ある中からある1枚だけが光を発していたのだ。

「(ーー私の『サタン』がーー?)」

「(俺の・・・『バハムート・レイア』がーーどういう事だ?)」

ーー突如起きたその異変。
それは『ラグナシア』の目覚めにより、『選ばれし者』たちが握るカードに呼応したものだったのだーー。

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