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異端なる者 作:エスカル
『くらえ』
エーリアン・リベンジャーの手から光の玉が再び発射される。
それらは不破君の後ろのラドちゃんめがけて発射された。
無防備の相手を狙うとはなんて卑怯な。
「ふん」
腕をXの文字に交差させただけで光の玉が弾き飛ばされた。
まさかポーズを決めるだけでバリアが張れるの!
これがドラゴンと魔法使い、人が交じり合って得られる力ってことだね。
しかもこの尻尾がほんのりと温かくて……気持ちよい。
「愛流さん、動きづらいから尻尾から手を離してもらっていいかな」
「あ、ごめん。でも、こんな魅惑的な尻尾をさせてるのが悪いんだよ?」
うわ、不破君がすごく微妙な顔してる。
明らかに文句を言いたいんだろうけど、今はそれどころじゃないからまあいいやって顔だ。
「はうう」
「ラドリーちゃんも愛流さんも俺の後ろから絶対に離れないように」
不破君が声を掛けると前進しエーリアン・リベンジャーに向かっていく。
『こしゃくな』
何度も何度も光の玉を投げつけるが、それら全てが不破君の前で掻き消えていく。
腕をXの文字に交差してるだけで攻撃を弾き飛ばせるって、ミラフォもびっくりの守護性能だよ。
「どらぁ!」
そして不破君の全力の右ストレートがエーリアン・リベンジャーのお腹に直撃する。
リベンジャーが苦しそうなうめき声を上げよろめいた隙を見逃さず何度も殴りかかる。
『ぐほっ』
「くらえ」
そしてそのままリベンジャーの体に組みかかり、少しだけ飛び上がる。
地面に向かって思いっきり投げつけたけど……不破君、力持ち!
『おのれ……人間ごときがそのような力を持つなど』
「生憎、人間だけども『異端札』を得たことでお前のような『異界者』とも戦える力を得てるんだ。この異世界は侵略させねーぞ」
異端札?
それってさっきの『χ card』のこと?
そして『異界者』って、今目の前に立っている『エーリアン・リベンジャー』のこと?
ラドちゃんを追いかけてこの世界に迷い込んだってこと?
私の中で不破君に聞きたいことが大渋滞している。
「第一、お前も同類だろ?」
同類?
今目の前に立っているのは『エーリアン・リベンジャー』。
だけども、それとは違うってこと?
『ぐぬっ』
「終わりにしてやる」
あ、あれは!?
オッドアイズの顔が先端についてる槍!?
確か似たようなのが……『ヴァルキュルスの影霊衣』も確か槍の先端に『魔轟神ヴァルキュルス』の仮面がついてたけど、あれだ。
ままままさかそのような素晴らしい武器が存在してるなんて。
後で私にも奮わせてもらおうっと。
「ランス・ディバニッシュメント!」
槍の穂先の刃でエーリアン・リベンジャーの体を何度も切り裂く。
そして切り裂かれた部分が紫色の光を放つ。
『ぐおっ!』
エーリアン・リベンジャーの体で切り裂かれた部分からあふれ出す紫の光が大きくなっていき、やがて大爆発を起こした。
なんで斬られただけで大爆発を起こすのか、特撮番組を見てて疑問だったけどまさかそれを現実で拝むことが出来るとは。
「ギイイイィ」
だが爆発が収まった後、そこにいたのは私やラドちゃんよりも一回り小さな全身が黒い人型の魔物。
手が鋭い爪になっているのを除けば人間に近い姿だった。
「な、ま、マズイ! 憑依先がなくなれば我ら『デュアキル星人』は……ギャアアアアッ」
だが、その黒い体に光が当たったことが原因だったのか、デュアキル星人と名乗った存在はその場に溶けていくように消滅していった。
さっきの爆発で光が遮られていたから消滅しなかったのか。
でも、不破君が勝った!
「……どうやらこのカードを利用して、この魔物に姿を写し取っていたみたいだな」
不破君が地面に落ちていた『エーリアン・リベンジャー』のカードを拾った。
どうやらさっきの『デュアキル星人』とやらはこのカードのイラストどおりの魔物になって、ラドちゃんを襲ったみたいだ。
「ってことはもしかしてラドちゃんも人間か、それに近い生命体が変身してたりするの?」
ラドちゃんのほっぺをむにむに。
調べるということを口実にさっきのもち肌をもにもに。
うーん、いいさわり心地。
「私は違うですの~」
「ああ、確かに違う。純粋に『Card Spirit』だ」
それって訳すると『カードの精霊』だよね?
なんでわざわざ英語?
もしかしてそっちのほうが格好良いとか不破君思ってない?
そういやデュエル中もわざわざ気取ったような言い回ししてたし。
「いや別に。このカードに描かれてるモンスターが実体化して欲しいなぁという人々の思いが集まり、実体化する。それが『Card Spirit』だ」
それってつまり、ラドちゃんが現実にいて欲しいなぁっていう人の思いが集まって、ラドちゃんがこの世界に生まれたということ?
「いや、この世界には生まれない」
「どうして断言できるの? そもそも不破君にはいろいろと聞きたいことがあるんだけど」
どうして不破君はいろいろなことを知ってるのか。
そして不破君はどうしてドラゴンの力を借りて変身するなんてうらやましいことが出来るのか。
ラドちゃんとあの『デュアキル星人』とやらが降ってきたあのわっかは一体何なのか。
そしてドラゴンの尻尾を生やしたり、ドラゴンを模した槍を手に出来る能力は一体何なのか。
私もあの能力を得ることが出来るのか。
出来たら私もついに……ふはは、笑みが止まらぬわ。
「愛流さん、もはやドラゴンに意識が引っ張られてる。他がどうでもよさげに思えてくる」
「今明らかに女の子が出しちゃいけない口調してたですの」
え、また口に出てたの!?
あうう、思ったことが口にすぐに出ちゃう癖をなんとかしたいよ~。
「それはさておき、ラドリーちゃんをどうする?」
「ご主人様も家もあの化け物にやられちゃったですの……だからお二人のどちらかの家でメイドとして雇って欲しいですの」
「はいはいはいはいはいはいはいはいはいはい!」
ラドちゃんを実際に家のメイドに出来るなんて、こんな大チャンス逃すわけにはいかない!
実際に助けたのは不破君だけども、譲るわけにはいかないよ。
「まあ実際女の子同士だし、愛流さんがラドリーちゃんと一緒に暮らしたほうがいいだろ」
そして不破君もあっさりと譲ってくれた。
「いろいろぺたぺたと触られたけど、すごく優しい触り方でしたし、信用してもよさそうですの。愛流さんがよろしければ、これからよろしくお願いしますですの」
もちろん歓迎ウェルカム。
むしろ私のほうからお願いしたいぐらいだったもん。
「これで問題は解決したな。じゃ、また明日な愛流さん」
「待って」
いつの間にやら制服姿に戻っていた不破君の服をぐっと掴む。
ラドちゃんが正式に私の元にいてくれるようになったからといって、頭の中で渦巻く混乱の渋滞がなくなるわけではない。
ちゃんと不破君からいろいろと説明してもらわないと納得できないよ。
「やっぱごまかしきれないか」
「当たり前だよ」
「そうですの。愛流お嬢様の元で生きていくと決めた以上、この世界のこととかいろいろと聞きたいですの」
ラドちゃんも同意してくれたみたいだ。
それにそもそもラドちゃんがどうしてあの『デュアキル星人』とやらに狙われなければならなかったのか、いろいろと話を聞きたいところだ。
「分かったよ。だけどもこんな場所で話すと長い話になる。俺の家でいったん説明するけど、それでいいなら来な」
お、男の人の家にお誘い!?
そりゃ不破君は嫌いじゃないけど、あわわ。
「分かったですの。ただ、ラドリーや愛流お嬢様に手出しをするようなら考えがあるですの」
「肝に銘じておく。じゃ、行こうか」
「うん」
「じゃ、ラドリーはいったんカードに戻るですの」
ラドちゃんが青い光を放つとカードになり、私の手に自ら収まりに行く。
どうやら『Card Spirit』というのは本当らしい。
でも、これで正式に私の元で一緒にいてくれるようになったのだから誰にも文句は言わせない。
自転車に乗り、不破君と一緒に公園を後にする。
「……最近のデュエルってデュエリストが自ら変身して戦うのがトレンドなのね」
一部始終を唯一見ていたクレープ屋の女性店員は呆然としながら2人が公園から出て行くのを見届けていた。
ここが不破君の家か。
少し古い木造の2階建ての家だけども、それ以外特筆するところはないいたって普通の家だ。
「どうぞ」
不破君に招き入れられ、家の中に入る。
靴は……少し古ぼけた以外の靴以外は大きいものしかない。
「不破君、ご両親は?」
「いないよ。姉貴と一緒に……少し遠くへ行ってる」
不破君がどこか寂しそうに言う。
もしかしたら触れてはいけないところだったのだろうか。
そんなことを考えてると、ラドちゃんが私の傍で実体化する。
「一人暮らしの男の子の家に上げるなんて……さっきも言ったけど、愛流お嬢様とラドリーに手を出したらダメですの」
……確かに言われてみたら、一人暮らしの家に上げられるなんて。
さっき言われてた話がもし誰にも話しちゃいけないことだとしたら……口封じされても、それこそラドちゃんが言ってるようなことをされてもおかしくないのだ。
「手を出さないよ。それにそもそも手を出すって俺が何をすると思ってるんだ?」
不破君が微笑ましそうに笑いながら言う。
まあ実際不破君もドラゴンが好きなところはあるけども、それ以外はいたって普通のいい人だ。
実際警戒することは無いのかもしれない。
「愛流お嬢様の大きい胸をもみもみしたり、スカートをめくったりですの」
……ふえ!?
ラドちゃんの尻尾が私のスカートをめくってた。
ななな何するのぉ!?
慌てて手でスカートを押さえ、不破君のほうを見る。
「……俺はそんなことしないから大丈夫」
顔をそらしてるけど、少し赤くなってる。
うう、絶対にパンツ見られちゃったよ。
「ラドちゃ~ん、何私のスカートをめくってるの?」
「ご、ごめんなさいですの。尻尾でスカートを指すつもりだったけども、勢いあまってめくっちゃったですの」
そんなところでドジを発揮しないで欲しかった……うぅ、恥ずかしい。
「こうなったらラドちゃんのも見せてもらうよ」
「きゃ~ですの」
ラドちゃんの尻尾の辺りをめくろうとするが、回避される。
なので彼女を抱きしめ動きを拘束する。
うーん、何度抱きしめても柔らかい抱き心地。
これを感じてればさっき受けた辱めも忘れられそうだよ。
「……とりあえず居間に入って待ってて。お茶入れるから」
不破君はそんなやり取りを見ないようにさっさと台所らしき場所へと向かっていく。
なのでラドちゃんを抱きしめたまま不破君に指差された部屋へと入っていった。
(リボンつきの水色……愛流さん、あんな可愛いパンツ履いてたんだな)
不破が顔を赤くしながらそんなことを考えていたことを、愛流もラドリーも知るよしがなかった。
エーリアン・リベンジャーの手から光の玉が再び発射される。
それらは不破君の後ろのラドちゃんめがけて発射された。
無防備の相手を狙うとはなんて卑怯な。
「ふん」
腕をXの文字に交差させただけで光の玉が弾き飛ばされた。
まさかポーズを決めるだけでバリアが張れるの!
これがドラゴンと魔法使い、人が交じり合って得られる力ってことだね。
しかもこの尻尾がほんのりと温かくて……気持ちよい。
「愛流さん、動きづらいから尻尾から手を離してもらっていいかな」
「あ、ごめん。でも、こんな魅惑的な尻尾をさせてるのが悪いんだよ?」
うわ、不破君がすごく微妙な顔してる。
明らかに文句を言いたいんだろうけど、今はそれどころじゃないからまあいいやって顔だ。
「はうう」
「ラドリーちゃんも愛流さんも俺の後ろから絶対に離れないように」
不破君が声を掛けると前進しエーリアン・リベンジャーに向かっていく。
『こしゃくな』
何度も何度も光の玉を投げつけるが、それら全てが不破君の前で掻き消えていく。
腕をXの文字に交差してるだけで攻撃を弾き飛ばせるって、ミラフォもびっくりの守護性能だよ。
「どらぁ!」
そして不破君の全力の右ストレートがエーリアン・リベンジャーのお腹に直撃する。
リベンジャーが苦しそうなうめき声を上げよろめいた隙を見逃さず何度も殴りかかる。
『ぐほっ』
「くらえ」
そしてそのままリベンジャーの体に組みかかり、少しだけ飛び上がる。
地面に向かって思いっきり投げつけたけど……不破君、力持ち!
『おのれ……人間ごときがそのような力を持つなど』
「生憎、人間だけども『異端札』を得たことでお前のような『異界者』とも戦える力を得てるんだ。この異世界は侵略させねーぞ」
異端札?
それってさっきの『χ card』のこと?
そして『異界者』って、今目の前に立っている『エーリアン・リベンジャー』のこと?
ラドちゃんを追いかけてこの世界に迷い込んだってこと?
私の中で不破君に聞きたいことが大渋滞している。
「第一、お前も同類だろ?」
同類?
今目の前に立っているのは『エーリアン・リベンジャー』。
だけども、それとは違うってこと?
『ぐぬっ』
「終わりにしてやる」
あ、あれは!?
オッドアイズの顔が先端についてる槍!?
確か似たようなのが……『ヴァルキュルスの影霊衣』も確か槍の先端に『魔轟神ヴァルキュルス』の仮面がついてたけど、あれだ。
ままままさかそのような素晴らしい武器が存在してるなんて。
後で私にも奮わせてもらおうっと。
「ランス・ディバニッシュメント!」
槍の穂先の刃でエーリアン・リベンジャーの体を何度も切り裂く。
そして切り裂かれた部分が紫色の光を放つ。
『ぐおっ!』
エーリアン・リベンジャーの体で切り裂かれた部分からあふれ出す紫の光が大きくなっていき、やがて大爆発を起こした。
なんで斬られただけで大爆発を起こすのか、特撮番組を見てて疑問だったけどまさかそれを現実で拝むことが出来るとは。
「ギイイイィ」
だが爆発が収まった後、そこにいたのは私やラドちゃんよりも一回り小さな全身が黒い人型の魔物。
手が鋭い爪になっているのを除けば人間に近い姿だった。
「な、ま、マズイ! 憑依先がなくなれば我ら『デュアキル星人』は……ギャアアアアッ」
だが、その黒い体に光が当たったことが原因だったのか、デュアキル星人と名乗った存在はその場に溶けていくように消滅していった。
さっきの爆発で光が遮られていたから消滅しなかったのか。
でも、不破君が勝った!
「……どうやらこのカードを利用して、この魔物に姿を写し取っていたみたいだな」
不破君が地面に落ちていた『エーリアン・リベンジャー』のカードを拾った。
どうやらさっきの『デュアキル星人』とやらはこのカードのイラストどおりの魔物になって、ラドちゃんを襲ったみたいだ。
「ってことはもしかしてラドちゃんも人間か、それに近い生命体が変身してたりするの?」
ラドちゃんのほっぺをむにむに。
調べるということを口実にさっきのもち肌をもにもに。
うーん、いいさわり心地。
「私は違うですの~」
「ああ、確かに違う。純粋に『Card Spirit』だ」
それって訳すると『カードの精霊』だよね?
なんでわざわざ英語?
もしかしてそっちのほうが格好良いとか不破君思ってない?
そういやデュエル中もわざわざ気取ったような言い回ししてたし。
「いや別に。このカードに描かれてるモンスターが実体化して欲しいなぁという人々の思いが集まり、実体化する。それが『Card Spirit』だ」
それってつまり、ラドちゃんが現実にいて欲しいなぁっていう人の思いが集まって、ラドちゃんがこの世界に生まれたということ?
「いや、この世界には生まれない」
「どうして断言できるの? そもそも不破君にはいろいろと聞きたいことがあるんだけど」
どうして不破君はいろいろなことを知ってるのか。
そして不破君はどうしてドラゴンの力を借りて変身するなんてうらやましいことが出来るのか。
ラドちゃんとあの『デュアキル星人』とやらが降ってきたあのわっかは一体何なのか。
そしてドラゴンの尻尾を生やしたり、ドラゴンを模した槍を手に出来る能力は一体何なのか。
私もあの能力を得ることが出来るのか。
出来たら私もついに……ふはは、笑みが止まらぬわ。
「愛流さん、もはやドラゴンに意識が引っ張られてる。他がどうでもよさげに思えてくる」
「今明らかに女の子が出しちゃいけない口調してたですの」
え、また口に出てたの!?
あうう、思ったことが口にすぐに出ちゃう癖をなんとかしたいよ~。
「それはさておき、ラドリーちゃんをどうする?」
「ご主人様も家もあの化け物にやられちゃったですの……だからお二人のどちらかの家でメイドとして雇って欲しいですの」
「はいはいはいはいはいはいはいはいはいはい!」
ラドちゃんを実際に家のメイドに出来るなんて、こんな大チャンス逃すわけにはいかない!
実際に助けたのは不破君だけども、譲るわけにはいかないよ。
「まあ実際女の子同士だし、愛流さんがラドリーちゃんと一緒に暮らしたほうがいいだろ」
そして不破君もあっさりと譲ってくれた。
「いろいろぺたぺたと触られたけど、すごく優しい触り方でしたし、信用してもよさそうですの。愛流さんがよろしければ、これからよろしくお願いしますですの」
もちろん歓迎ウェルカム。
むしろ私のほうからお願いしたいぐらいだったもん。
「これで問題は解決したな。じゃ、また明日な愛流さん」
「待って」
いつの間にやら制服姿に戻っていた不破君の服をぐっと掴む。
ラドちゃんが正式に私の元にいてくれるようになったからといって、頭の中で渦巻く混乱の渋滞がなくなるわけではない。
ちゃんと不破君からいろいろと説明してもらわないと納得できないよ。
「やっぱごまかしきれないか」
「当たり前だよ」
「そうですの。愛流お嬢様の元で生きていくと決めた以上、この世界のこととかいろいろと聞きたいですの」
ラドちゃんも同意してくれたみたいだ。
それにそもそもラドちゃんがどうしてあの『デュアキル星人』とやらに狙われなければならなかったのか、いろいろと話を聞きたいところだ。
「分かったよ。だけどもこんな場所で話すと長い話になる。俺の家でいったん説明するけど、それでいいなら来な」
お、男の人の家にお誘い!?
そりゃ不破君は嫌いじゃないけど、あわわ。
「分かったですの。ただ、ラドリーや愛流お嬢様に手出しをするようなら考えがあるですの」
「肝に銘じておく。じゃ、行こうか」
「うん」
「じゃ、ラドリーはいったんカードに戻るですの」
ラドちゃんが青い光を放つとカードになり、私の手に自ら収まりに行く。
どうやら『Card Spirit』というのは本当らしい。
でも、これで正式に私の元で一緒にいてくれるようになったのだから誰にも文句は言わせない。
自転車に乗り、不破君と一緒に公園を後にする。
「……最近のデュエルってデュエリストが自ら変身して戦うのがトレンドなのね」
一部始終を唯一見ていたクレープ屋の女性店員は呆然としながら2人が公園から出て行くのを見届けていた。
ここが不破君の家か。
少し古い木造の2階建ての家だけども、それ以外特筆するところはないいたって普通の家だ。
「どうぞ」
不破君に招き入れられ、家の中に入る。
靴は……少し古ぼけた以外の靴以外は大きいものしかない。
「不破君、ご両親は?」
「いないよ。姉貴と一緒に……少し遠くへ行ってる」
不破君がどこか寂しそうに言う。
もしかしたら触れてはいけないところだったのだろうか。
そんなことを考えてると、ラドちゃんが私の傍で実体化する。
「一人暮らしの男の子の家に上げるなんて……さっきも言ったけど、愛流お嬢様とラドリーに手を出したらダメですの」
……確かに言われてみたら、一人暮らしの家に上げられるなんて。
さっき言われてた話がもし誰にも話しちゃいけないことだとしたら……口封じされても、それこそラドちゃんが言ってるようなことをされてもおかしくないのだ。
「手を出さないよ。それにそもそも手を出すって俺が何をすると思ってるんだ?」
不破君が微笑ましそうに笑いながら言う。
まあ実際不破君もドラゴンが好きなところはあるけども、それ以外はいたって普通のいい人だ。
実際警戒することは無いのかもしれない。
「愛流お嬢様の大きい胸をもみもみしたり、スカートをめくったりですの」
……ふえ!?
ラドちゃんの尻尾が私のスカートをめくってた。
ななな何するのぉ!?
慌てて手でスカートを押さえ、不破君のほうを見る。
「……俺はそんなことしないから大丈夫」
顔をそらしてるけど、少し赤くなってる。
うう、絶対にパンツ見られちゃったよ。
「ラドちゃ~ん、何私のスカートをめくってるの?」
「ご、ごめんなさいですの。尻尾でスカートを指すつもりだったけども、勢いあまってめくっちゃったですの」
そんなところでドジを発揮しないで欲しかった……うぅ、恥ずかしい。
「こうなったらラドちゃんのも見せてもらうよ」
「きゃ~ですの」
ラドちゃんの尻尾の辺りをめくろうとするが、回避される。
なので彼女を抱きしめ動きを拘束する。
うーん、何度抱きしめても柔らかい抱き心地。
これを感じてればさっき受けた辱めも忘れられそうだよ。
「……とりあえず居間に入って待ってて。お茶入れるから」
不破君はそんなやり取りを見ないようにさっさと台所らしき場所へと向かっていく。
なのでラドちゃんを抱きしめたまま不破君に指差された部屋へと入っていった。
(リボンつきの水色……愛流さん、あんな可愛いパンツ履いてたんだな)
不破が顔を赤くしながらそんなことを考えていたことを、愛流もラドリーも知るよしがなかった。
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