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黒竜と虹彩竜 作:エスカル

先攻は塵君からみたいだ。
さて、どんなドラゴン族モンスターを私の前にお披露目してくれるのかな?


「俺のターン! 俺はモンスターをセットして、カードを3枚伏せてターンエンドだ」

おっと、モンスターをセットしてターンエンド。
ドラゴンを表にしないとは。
これが焦らしプレイという奴ですか?
なら、積極的に攻めて白日の下にドラゴンの姿を晒させるまで。

「私のターン、ドロー! 私は真紅眼の飛竜を召喚します!」

真紅眼の飛竜が私の前に降り立ち、相手を見てくれる。
さっき熱核竜のワイバーンモデルを見たばっかりだから、私もワイバーンをお披露目しなくちゃ。

「まさかレッドアイズと対戦できるとはな。嬉しいぜ」

塵君が嬉しいことを言ってくれる。
もっとも、レッドアイズ以外のドラゴンやデーモンの召喚も採用しているが、私のデッキの大本はレッドアイズだ。

「バトルフェイズ! 裏守備モンスターに攻撃します!」

行ってきて、飛竜!
口から炎の弾を発射し、裏守備モンスターが炎の弾を喰らって表になる。

「俺がセットしていたモンスターはアモルファージ・プレストだ」

真紅眼の飛竜 ATk1800 VS アモルファージ・プレスト DEF1950

飛竜君が発射した炎はハリネズミの背中に弾かれ、逆に私の下に弾かれた際に発生した火の粉が降りかかってきた。遊紅 愛流 LP8000→7850

しかし、そんな火の粉などどうだっていい!

「プレストだー!」

塵君はアモルファージ使い。

アモルファージは様々な生物がドラゴンに浸食され、ドラゴンの見た目に変貌してしまっているテーマ集団。

そのごちゃごちゃした見た目のせいで、好き嫌いがはっきりと分かれるテーマだ。

だが、それがいい。

元の生物がなんとか己の姿を保とうと頑張っている姿。
それでもドラゴンの呪いが侵蝕してドラゴンの見た目になってきてる。
そこにドラゴンに浸食されかけている生命の、なんとかして元の姿のままで生きようとする強い意志を感じるのだ。

己の意志とドラゴンの意志がその生命体の間でせめぎ合っている。

その結果、竜と他の生命体との、見た目が素晴らしくマッチングされた合成獣が産まれるのだ。
これほど見事な竜の合成獣を私はアモルファージ以外で見たことが無い。

アモルファージ・プレストが逃げようとするにもかかわらず私は彼を思いっきりハグ。
ハリネズミだったのがほとんどドラゴンに浸食されてしまったその姿。
ドラゴンの呪いがほとんど浸食されてしまってもハリネズミのアイデンティティであるそ針だらけの背中は死んでも変わってやるものかという意地が見れる姿。

まさに竜の合成獣の完成体と言っても過言ではないイタタタタ。
私の腕にプレスト君の背中の針がチクチク刺さって痛い。
でも、アモルファージ・プレスト君にハグ出来て私は大満足。

はっ、まさか!

「私がドラゴンに抱き着くという癖を見抜いてチクチクと刺さる針で痛みを与えようという作戦ね!」
「いやそんなつもりまったくないからな! ただ単に愛流さんがプレストに見境なく抱き着いていっただけだからな!」

彼のツッコミを受けて私はプレスト君を解放し、さっさと戻っていく。
ふぅ、さすがにこれ以上奇行に走ってデュエルのテンポを悪くするわけにはいかないわね。

「メイン2、私はカードを1枚伏せてターンエンド」

飛竜君だけに場を任せるのは悪いけど、後は任せよう。

遊紅 愛流 LP7850 モンスターゾーン 真紅眼の飛竜 魔法・罠カードゾーン セットカード1枚 手札4枚

「俺のターン、ドロー! 俺はペンデュラムスケール5のアモルファージ・イリテュムをセット!」

さて、不破君が使っていた魔術師と同じペンデュラムテーマでもあるアモルファージ。
ここからペンデュラム召喚に繋いでくるのだろう。

「永続罠カード・ペンデュラム・スイッチを発動! 俺の場のペンデュラムゾーンに発動されているペンデュラムモンスター1体を特殊召喚する! アモルファージ・イリテュムを特殊召喚する!」

驚いている私の前に完全にドラゴンに浸食されてしまった巨竜が出現する。
元の生命体が何だったのかもはやその見た目から読み取れることは出来ない。
だが、想像で楽しむことは出来る、想像力が試されるドラゴンだ。

「さらにアモルファージ・プレストをリリースしてアモルファージ・ノーテスをアドバンス召喚させてもらう!」

次はクマと竜が融合したモンスターだ。
クマとしての荒々しさが前面に出され、龍の見た目とマッチして獰猛さがよく表れている姿だ。

「バトル! アモルファージ・イリテュムで真紅眼の飛竜に攻撃!」

アモルファージ・イリテュム ATk2750 VS 真紅眼の飛竜 ATk1800

大きな尻尾に叩きつけられ、飛竜君が潰されて消滅していく。
うう、飛竜君ごめんね。

遊紅 愛流 LP7850→6900

「アモルファージ・ノーテスで直接攻撃!」

アモルファージ・ノーテス ATK 2250

「受けるよ!」

遊紅 愛流 LP6900→4650

「メイン2、このままターンエンド」

塵 劉 LP8000 
モンスターゾーン アモルファージ・ノーテス アモルファージ・イリテュム 
魔法・罠カードゾーン ペンデュラム・スイッチ セットカード2枚 
手札0枚

「大丈夫、愛流ちゃん?」

アモルファージ上級2体の攻撃を受けたことで楠葉ちゃんが心配して声をかけてくれた。
不破君と岬君も少しばかり不安そうな表情だ。

「大丈夫。むしろ、ここからだよ」

3人に心配をかけないように笑顔で声をかけ、そしてデッキからカードを引く。

「魔法カード・ワン・フォー・ワンを発動します! 手札からモンスターカードを捨ててデッキからLV1のモンスターを特殊召喚します! 私は伝説の黒石を特殊召喚します!」

無限の可能性が詰まった卵。
この中から生まれるのは真紅眼の可能性たち。

「さらに魔法カード・レッドアイズ・インサイトを発動! デッキからレッドアイズモンスター1体を墓地へ送って発動する! 私はデッキからレッドアイズと名のつく魔法・罠カード1枚を手札に加えます!」
「その効果に対してペンデュラム・スイッチの効果発動! 場のアモルファージ・ノーテスをPゾーンに移動させる! アモルファージ・ノーテスは俺の場にアモルファージモンスターが存在してペンデュラムゾーンに置かれている場合、お互いデッキからドロー以外の方法でカードを手札に加えることを封じる」
「!」

サーチ全般を封じるとは厄介な効果だ。

「さらにアモルファージ・イリテュムは場に存在している限りお互いアモルファージモンスター以外EXデッキからの特殊召喚を封じる。つまり、レッドアイズお得意の融合は封じたぜ」

おまけに融合まで封じられたとは。
塵君は勝利を確信しているのか、得意げな顔で私の場を見てくる。
だけど、まだ決めつけるには早いよ!

「私は伝説の黒石をリリースしてデッキから真紅眼の黒竜を特殊召喚します!」

キリっとした鋭利なフォルム。
余分な色など一切混じる様子を見せない漆黒のボディ。
そして相手を睨みつける、闘争心溢れる真紅の瞳。

出でよ、真紅眼の黒竜。

「ついに出たな真紅眼の黒竜……だが、攻撃力2400じゃ!?」

場が揺れ、私を除く全員が驚いて辺りを見渡す。

「安心して、皆。これは地震じゃないよ」

皆を安心させるために告げる。
出でよ!

「私の場の闇属性モンスターがリリースされたことで、墓地から闇黒の魔王ディアボロスを特殊召喚します!」

体全体に赤いラインが走る。
鎖による拘束が外れ、場を蹂躙するべく暴れる準備は万全。
まさに魔王と名乗るのに相応しき姿だ。
この魔王竜になら私はお姫様として誘拐されて一生魔王竜の下に暮らすことになっても、悔いはないどころかむしろウェルカムだ。

「んな……いつの間に墓地に!?」
「あったでしょ? 明確に墓地へ送るタイミングが」
「……ワン・フォー・ワンのコストか!」

ご名答。
準制限カードになったおかげでワン・フォー・ワンも少しは引きやすくなったものだ。

「さらに手札から黒鋼竜を真紅眼の黒竜に装備させ、攻撃力を600アップさせる!」
「まさかEXデッキを使わずに攻撃力3000のドラゴン族を2体並べるか」

さっきの表情から一転、塵君は慌て始める。

「バトルフェイズ! 闇黒の魔王ディアボロスでアモルファージ・イリテュムに攻撃!」

闇黒の魔王ディアボロス ATK3000 VS アモルファージ・イリテュム ATK2750

ディアボロスが鎖から解放されたその腕力でイリテュムの首を掴み、勢いよく地面へと叩きつける。
イリテュムが苦し気な雄たけびを上げて消滅する。

「イリテュムがこうもあっさりとやられるだと」

塵 劉 LP8000→7750

「真紅眼の黒竜でダイレクトアタック! ダーク・メガ・フレア!」

真紅眼の黒竜が黒き炎の弾丸を口から発射し、塵君に直撃させる。

「っ……」 

塵 劉 LP7750→4750

「メイン2、召喚条件は闇属性モンスター2体! 私は真紅眼の黒竜と闇黒の魔王ディアボロスの2体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン! 来てください見習い魔嬢! 真紅眼の黒竜に装備されていた黒鋼竜が墓地に送られたことでデッキから真紅眼融合を手札に加えます! このままターンエンド。私はこのターン一切召喚していないので墓地の真紅眼の飛竜の効果を発動します。墓地のこのカードをゲームから除外して蘇って、真紅眼の黒竜!」

前回の不破君の決闘の時は融合素材と効果発動のコストのためにデッキと墓地を行き来させたからね。
今回は思う存分場で活躍してね。
私はそんな彼に思いっきりハグ。
うーん、やっぱり決闘中の凛々しい真紅眼の黒竜の抱き心地は長年待ち望んでいただけに最高以外の言葉が見つからないよ~。

遊紅 愛流 LP4650 
モンスターゾーン 真紅眼の黒竜 
EXモンスターゾーン 見習い魔嬢 
魔法・罠カードゾーン セットカード1枚 
手札 2枚

「攻撃力2400以上を出してEXデッキを封じればレッドアイズは倒せると思っていたが、さすがにそんなに甘くはないか」

うん、その発想はさすがに甘いよ。
昔は確かにそうだったかもしれないけど、時代は変わって今は芳醇なカードプールがある。
おかげで可能性の竜と呼ばれる真紅眼の黒竜は様々な戦術を取り入れることが出来て戦いやすい。

「だけど、俺だって負けたくないからな……俺のターン、ドロー!」

塵君は意を決してカードを引く。

「よっしゃあああああ! 俺は魔法カード・サンダー・ボルトを発動!」

嘘でしょ!?
このタイミングでサンダー・ボルト!?

「相手のモンスターを全て破壊する!」

雷撃が見習い魔嬢と真紅眼の黒竜を貫く。

「よっしゃ、塵!」
「大逆転だな!」
「これは貰ったぜ!」

八住君の陣営はこのトップドローに大興奮し、騒いでいる。
私だって逆の立場だったらすごく喜ぶだろう。

「見習い魔嬢が塵君のカード効果によって破壊されたことで、墓地から伝説の黒石を手札に戻します」
「俺はそして罠カード・ペンデュラム・リボーンを発動する! EXデッキのアモルファージ・イリテュムを特殊召喚するぜ! そしてペンデュラム・スイッチの効果でペンデュラムゾーンのアモルファージ・ノーテスを特殊召喚する!」

さすがに巨竜と、熊との合成竜が再び並んで私を見下ろしてくると圧倒感が半端ない。
ドラゴンの威圧は、追い詰められてるとさらに大きくなるんだね……

「バトルフェイズ! アモルファージ・イリテュムでダイレクトアタック!」

尻尾が私の胴体めがけて振り下ろされる。
だけど!

「手札からバトルフェーダーの効果を発動します!」
「何だと!?」

バトルフェーダーがカーン、カーンと鐘を鳴らす。
尻尾が鐘から発せられる音波で弾き返され、そのまま動きを止めてすごすごと塵君の場へと戻っていく。

「止めてきたか……」

私だって負けたくないからね。
いざというときの防御手段も私はデッキには入れている。
おまけにバトルフェーダーはリンクリボーの素材にも出来るし、場に特殊召喚されるから墓穴の指名者にも引っかからないし優秀な手札誘発モンスターだ。

「メイン2。このままターンエンド」

塵 劉 LP4750
モンスターゾーン アモルファージ・ノーテス
EXモンスターゾーン アモルファージ・イリテュム 
魔法・罠カードゾーン ペンデュラム・スイッチ 伏せ1枚 
手札0枚

再びイリテュムとノーテスが場に揃い、EXデッキからの特殊召喚は封じられた。
おまけでにペンデュラム・スイッチの効果で次の私のターン、ノーテスが置かれればサーチが封じられた状態になり、イリテュムが置かれれば墓地へ送られるカードが除外されるというのいずれかが私に制約としてかけられる。

だけど、臆するわけにはいかない! 

「なら私のターン、ドローします! 私は伝説の黒石を召喚してリリース! 再びお願いします、真紅眼の黒竜!」

伝説の黒石が再び孵化し、真紅眼の黒竜が産まれる。

「再び真紅眼の黒竜か……ならここでペンデュラム・スイッチの効果発動! アモルファージ・ノーテスをペンデュラムゾーンにセットする!」

…………この時を待っていました!

「私は罠カード・鎖付き真紅眼牙を発動! このカードは発動時、レッドアイズモンスターに装備するカードになります。真紅眼の黒竜の装備カードにします!」

真紅眼の黒竜が自分の姿を模したブーメランみたいな装備を手にする……格好いい!
だけど、格好いいだけじゃ終わらない!

「装備されている鎖付き真紅眼牙を墓地へ送り、相手の場のモンスター1体を対象にして装備します! アモルファージ・イリテュムを装備させてもらいます!」
「な、何だと!? や、やめろー!」

真紅眼の黒竜が手にした鎖付き真紅眼牙を放り投げ、イリテュムの首に引っ掛ける。
そしてそのまま自身の腕力で鎖を引っ張っていき、イリテュムの体を鎖で巻き付けた状態で私の魔法・罠カードゾーンに置いてくれた。

「そしてこの効果で真紅眼の黒竜の攻撃力は装備したモンスターの攻撃力になります! バトルフェイズ! 攻撃力2750になった真紅眼の黒竜で攻撃します! ダーク・イリテュム・フレア!」

背後にいるイリテュムから力を吸い取り、漆黒の弾を口から吐く。
ダークなイメージが増してるその火の玉もイケてるよー!

「マジか」

塵 劉 LP4750→2000

「メイン2に入ります。このままターンエンド」

本当は真紅眼融合を発動して流星竜を出して効果でダメージを与えたいところだけど、真紅眼融合のデメリットのせいで発動できない。

遊紅 愛流 LP4650 
モンスターゾーン 真紅眼の黒竜 
魔法・罠カードゾーン アモルファージ・イリテュム 
手札3枚

「俺のターン、ドロー! まだだ、まだ諦めないぜ俺は! ペンデュラム・スイッチの効果でアモルファージ・ノーテスを守備表示で特殊召喚する! そしてモンスターをセットしてターンエンドする」

塵 劉 LP2000 
モンスターゾーン アモルファージ・ノーテス セットモンスター 
魔法・罠カードゾーン ペンデュラム・スイッチ セットカード1枚 
手札0枚

壁モンスターを増やしてきたね。
でも、真紅眼には……あのカードがある!

「私のターン、ドロー! 真紅眼、壁を突破して! 魔法カード・黒炎弾発動! 私の場に真紅眼の黒竜が存在している時に発動出来ます! 真紅眼の黒竜の元々の攻撃力分だけ相手にダメージを与えます!」
「しまった……」

今更真紅眼の黒竜の必殺カードの存在を思い出しても、もう遅い。
真紅眼の黒竜は私がデュエルディスクに置いたイラスト通りのポーズで黒炎弾を放つ。
あのイラストだけを見てるだけでも10分は余裕で過ごせるのに、リアルソリッドビジョンになるとここまで臨場感たっぷりで見られるなんて……もうー最高!

惜しむところはすぐに処理が終わるので発射ポーズはほんのわずかしか拝めないというところだ。

「負けちゃったか」

塵 劉 LP2000→0

よっし、私の勝利。
今回はお疲れ様、真紅眼の黒竜。
私がカードをデッキの中に収めるとリアルソリッドビジョンの真紅眼の黒竜が消えていく。
名残惜しいけど、こればっかりはしょうがないよね。

「はーっ、負けたわ」

塵君は確かに悔しそうだけども、それでも笑顔だった。

「でも、俺のデッキのアモルファージの見た目を褒めてくれる奴、しかも女子なんて初めて見たわ。大抵の連中は俺のアモルファージモンスターのイラストを見ると気持ち悪いとか言ってくるのに」

確かに好き嫌いは分かれるよね、アモルファージ。
私はドラゴン好きだけども、愛なんてものは人それぞれ、その価値観を人に押し付ける気はさらさらない。
だけど、私は好きだよアモルファージ。

「そっか、ありがとな」
「あ、また声に出して言ってた?」
「まあな。でも、やっぱ自分の使っているモンスターを褒められると嬉しいわ。これからも使い続けるぜ、アモルファージ」

うんうん、自分のデッキのモンスターに愛着が湧いて、デッキを使い続けているデュエリストはやっぱり素晴らしいね。

「また今度リベンジ挑むけど、いいか?」
「不破君と同じく、挑戦はいくらでも受け付けてるよ」

今回はプレストとノーテス、イリテュムしか見られなかったけど、今度は様々なアモルファージを見られればさらに嬉しいな。

「お疲れ様!」

皆の元へと戻ってきた私の前に、不破君がやってくる。
そして左手を私の前に差し出してくる。
これはあれだね、うん。

「勝ってきたよ!」

そのまま勢いよくハイタッチ。
不破君の次は岬君、最後に楠葉ちゃんにハイタッチ。

「これで俺たちの班の女子は全員勝利か」
「こりゃ、俺達男が情けないところは見せられねーな」

おお、不破君と岬君が燃えている。
こりゃこの2人のデュエルも見どころ満載そうだね。
楠葉ちゃんもすごく興味あり気に2人を見てるし、私と同じ気持ちみたいだ。

「女の子と仲良さげな姿を見せつけるとはやってくれるじゃねぇか不破ぁ……ここは俺、八住が負けた同じ班の連中のリベンジに挑んでくるぜ」
「頑張って来いよ、八住」
「俺たちの分も頼むぜ」

七伏君と塵君が八住君を送り出す。

「よっしゃ、相手さんやる気満々みたいだな。じゃ、俺行ってくるぜ!」

不破君も目を輝かせて、やる気満々で八住君の元へと行く。

「岬、最後までお預けさせちまって悪いな」
「構わねーよ。むしろ最後の方が目立てるだろ?」
「芸人みたいなこと言いだしたな。ま、お前はそういう奴だって俺はよくわかってるからよ」
「ああ、思う存分戦って来い」

2人は軽口を交えつつも、お互い信頼し合っているのが会話を聞いただけでよくわかる。

「ボクたちもあの2人の仲と同じぐらい仲良くなれるかな?」
「うん、なれるよ。だって私たち4人、デュエルが大好きって共通点あるでしょ?」
「そだね。不破君、頑張って来て-!」
「頑張れ、不破君!」

楠葉ちゃんと私とで不破君を応援する。
不破君は手を振って私たちの声援を受け取ってくれた。

「女子からの応援とはやはり見せつけてくれるじゃねえか」
「悪いな。でも、俺は負ける気さらさらないからな。容赦しねーぞ」
「最初からいらねーよ、そんなものは!」

こうして不破君と八住君の決闘が開始された。

不破 修輔 LP8000 VS 八住 桂 LP8000



さてと、不破君のデュエルが始まったけど。

「岬君、お願いがあるんだけど」
「何だ?」

これは間違いなく今しておかなければならない最優先事項だ。

「もしドラゴンタイプモンスターが出てきたら、私に抱き着いて、私がドラゴンに抱き着くのを阻止してほしいの!」
「俺に何をお願いしてんだ愛流さん!?」

だってこれ以上ドラゴン族モンスターを見て抱き着いて、デュエルのテンポを悪くするわけにはいかないし。
今このデュエルルームは私たちと八住君たちの班で貸し切りだけど、他の班はすでにデュエルが終わってるかもしれないし。
だから、ドラゴンが抱き着けないのはしょうがないけど苦渋の策だよ。

「愛流ちゃん、さすがにそれは男の人に頼むことじゃないよ。ボクがやってあげる」

おお、楠葉ちゃんGJ。
これで不破君がオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが出てきても抱き着くことが出来ず、デュエルのテンポを悪くしないで済みそうだよ。

「とりあえず第一の関門はクリア。八住君のデッキってドラゴン系統入ってる?」

これは次に必要な質問だ。
岬君の相手はドラゴン族デッキ使い。
その時も楠葉ちゃんに止めてもらうとして、八住君がドラゴンタイプのモンスターを出して来たら楠葉ちゃんが対応してくれないかもしれない。

「確か八住のデッキにドラゴン系統なんていなかったはずだ」
「そっか、それなら私は不破君のデッキからオッドアイズが出てきたら自重して楠葉ちゃんに抱いてもらえば大丈夫だね」
「そうだね。ボクに任せておいて」

楠葉ちゃんが自信満々な顔で言ってくれる。
うん、すっごく頼もしい。

「じゃ、俺の先攻から行くぜ」

私たち3人がそんなことをしている間に不破君が手札5枚を引きデュエルを開始していた。

「よっしゃ。俺はペンデュラムスケール1・紫毒の魔術師一番右にセット。そしてペンデュラムスケール・8の虹彩の魔術師も一番左にセット」
「いきなりペンデュラム召喚する気か。なら俺は手札から増殖するGを捨てて効果発動。このターンお前が特殊召喚するたびに俺はカードを1枚ドロー出来るぜ!」

八住君の手札からGの群れが飛び出していき、不破君の足元に纏わりつく。
あれがドラゴンなら、幸せな光景何だろうけどなぁ……さすがにゴキブリじゃね。

「愛流ちゃん、ゴキブリ大丈夫なの?」
「んー、得意ってわけじゃないけど、小学生のころよくいとこの男の子たちとコオロギやらバッタやら虫取りに夢中になっていた時期があるから苦手ってわけでもないよ」
「そうなんだ」
「そういう楠葉ちゃんは?」
「ダメダメダメダメ!? ゴキブリなんて見るだけでもおぞましいよ!」
「岬君は?」
「さすがに好意的には見られねーな。っていうか不破の奴、特にびくともしてねぇな」

確かに不破君の足元にGの群れが纏わりついているのにも関わらず、不破君はいたって平気な顔だ。
リアルソリッドビジョンだからゴキブリが足元に数十匹纏わりついていて実際に感触もあるはずなのに。

やっぱり不破君はすごいや。

「ゴキブリが怖くてデュエルが出来るかっての。とはいっても相手にわざわざドローさせる理由もないわな。俺はモンスターをセットしてカードを1枚伏せてターンエンド」

不破 修輔 LP8000
モンスターゾーン セットモンスター×1
魔法・罠カードゾーン セットカード1枚 紫毒の魔術師 虹彩の魔術師 
手札1枚

そして不破君の足元に纏わりついていたゴキブリたちが獲物にありつけなくて不満げにしながら八住君の墓地へと送られていった。

「ドローさせるのを恐れてチキンしたか、不破ぁ」
「何とでも言え」
「なら俺のターン、ドロー! 俺は冥帝従騎エイドスを召喚!」

あのモンスターは確か……召喚に成功したとき、通常召喚権利とは別にアドバンス召喚する権利を得られるようにするモンスター。
となるとやってくるのは。

「俺はエイドスをリリースして光帝クライスをアドバンス召喚! クライスの効果でセットモンスターと伏せカードを破壊させてもらうぜ!」

金色に光り輝く鎧を身に纏う帝様が八住君の場で煌く。
フィールドのカードを2枚まで破壊できるが、デメリットとして破壊したカードのプレイヤーは破壊したカードの枚数だけドローできる。
だが、相手のテンポを狂わせられればドローさせても痛手ではない。

「いいだろう、受けてやる」

不破君が破壊したのは魔装戦士ドラゴディウスと幻影霧剣。
幻影霧剣を発動すればクライスの、それよりも前にエイドスの効果は無効にできたはずだ。

「2枚ドロー。そしてドラゴディウスのエフェクト発動。相手のエフェクトによって破壊されたことでエンドフェイズに攻撃力2000以下の戦士族か魔法使い族モンスターを手札に加える」

確かに相手によって破壊されるのが条件ならあえて通すというのも戦術だけど。

「それが不破のやり方だ。常にリターンを重要視する。もっともクライス以外だったら間違いなく幻影霧剣を発動していただろうけどな」

岬君も特に心配した様子もなく不破君のデュエルを見守っている。
私と楠葉ちゃんはハラハラしてたのに。
これが幼馴染通しでお互いのことを分かっているという信頼の表れか。

「俺はフィールド魔法・真帝王領域を発動。こいつがある限り不破、お前がEXデッキからモンスターを特殊召喚する行為は封じさせてもらったぜ!」
「OK」

不破君はやはりびくともしてない様子だ。
そういえば私のデュエルの時も、特に慌てた様子を見せていなかったよね不破君は。
結果的にあの時、私は不破君の予想を超えたデュエルを行えたから勝つことが出来た。

「……俺はカードを2枚伏せてターンエンド」

八住 桂 LP8000
モンスターゾーン 光帝クライス 
魔法・罠カードゾーン セットカード2枚
フィールド魔法ゾーン 真帝王領域 
手札0枚

「エンドフェイズにドラゴディウスのエフェクト適用。デッキからEMドクロバット・ジョーカーを手札に加えさせてもらうぜ。そしてそのまま俺のターン、ドロー!」

不破君が手札を思いっきり引き、ふっと笑う。

「ならまずそいつの排除からだな。俺は刻剣の魔術師を召喚。そして虹彩の魔術師のペンデュラム・エフェクト発動。刻剣の魔術師が相手モンスターとの戦闘によって発生する戦闘ダメージは倍になる。そして虹彩の魔術師が破壊されたことでモンスターエフェクト発動! デッキからペンデュラムグラフマジック・トラップカードを手札に加える。俺は星霜のペンデュラムグラフを手札に加える」

サーチをきっちり適用させたけど、これじゃペンデュラム召喚は出来ないはず。
何を考えてるんだろう、不破君は。

「エターナル・マジック・星霜のペンデュラムグラフを発動! そして刻剣の魔術師のモンスターエフェクト発動! 刻剣の魔術師と光帝クライスを除外させてもらう!」

刻剣の魔術師が光帝クライスに向かって自身の持つ杖を差し向ける。
そして杖から闇の弾を発射させる。

「甘いぜ不破! 永続罠カード・帝王の溶撃を発動! アドバンス召喚したモンスター以外のモンスター効果は無効になるぜ!」

クライスが手から光を出し、刻剣の魔術師が発車しようとしていた闇の弾をかき消した。
ああ、刻剣君が何が起こったか分からないきょとん顔してるよ。

「なるほど、そいつは厄介だな。だが、これでお前が自信満々にしていた手はさらけ出したぜ!」
「はぁ?」
「バトルフェイズ! 刻剣の魔術師で攻撃!」

不破君は確信をもって攻撃してる。
あとはあのセットカードが何かによるけど……

「……くそっ、罠カード発動! 強制脱出装置! 刻剣の魔術師には手札に戻ってもらうぜ!」

ああ、刻剣の魔術師君が脱出ポッドに乗せられて無理やり上へと発射されちゃったよ!?

「戻ってこーい!」

不破君が呼びかけると脱出ポッドから刻剣の魔術師君が飛び出してきた。
格好つけてモンスターゾーンに着地しようとしたんだろうけど、そこ、不破君の手札だよ!

「星霜のペンデュラムグラフのエフェクト。デッキから魔術師と名のつくペンデュラムモンスター1体を手札に加える。俺は慧眼の魔術師を手札に加える。そしてメイン2、ペンデュラムスケール5・慧眼の魔術師をセット。そして俺は慧眼の魔術師のペンデュラム・エフェクト発動。慧眼の魔術師を破壊してデッキから黒牙の魔術師をセット。ペンデュラム召喚! 刻剣の魔術師を手札から守備表示で特殊召喚する!」

再び刻剣の魔術師君が不破君の場に着地する。
さっき着地する場所を間違えた恥ずかしさがまだ残ってるのか、頬が少し赤らんでる。
幼い魔術師君が一生懸命頑張ってる姿だけど、正直可愛いなぁと思っちゃうよ。

「俺はカードを1枚セットしてターンエンド」

不破 修輔 LP8000
モンスターゾーン 刻剣の魔術師 
魔法・罠カードゾーン 伏せカード1枚 星霜のペンデュラムグラフ 紫毒の魔術師 黒牙の魔術師 
手札3枚

「防戦一方か、不破!」
「まあな、さすがに真帝王領域があるんじゃ突破するの厳しーわ」

八住君があからさまに挑発してるけど、不破君はそれに乗って少しばかり辛そうな表情を浮かべてる。
大丈夫だよね?
あれ、演技だよね?
まさか、本当に少し辛いわけじゃないよね?

「俺のターン、ドロー! じゃ、なおさら絶望させてやるぜ! 俺は光帝クライスをリリースして天帝アイテールをアドバンス召喚するぜ!」

黄金の鎧を身に纏っていた帝が次は天の光を宿した神々しい帝に変わっちゃった!
攻撃力も2800とクライスよりも攻撃力が高い!

「アイテールの効果発動! デッキから帝王と名のつく魔法・罠カードを2枚墓地へ送り、デッキから攻撃力2800・守備力1000か攻撃力2400・守備力1000のモンスター1体を特殊召喚するぜ!」
「さすがにそれは通したくねーな。手札からエフェクト・ヴェーラーを捨ててモンスターエフェクト発動。相手の場のモンスター1体を対象にしてそのエフェクトを無効にするぜ」

翼を生やした可愛らしい魔法使いちゃんがアイテールの周りを飛び交い、光を浴びせかけてそのエフェクトを無効にしちゃった。
そしてやり遂げたと言わんばかりの表情で不破君の墓地へ行く。か、可愛い。

「ちくしょう……このままターンエンド」

八住 桂 LP8000
モンスターゾーン 天帝アイテール 
魔法・罠カードゾーン 帝王の溶撃
フィールド魔法ゾーン 真帝王領域 
手札0枚

「俺のターン、ドロー! スタンバイフェイズには何もない。そしてメインフェイズ。ペンデュラム召喚! 手札より出でよ相克の魔術師!」

中心に丸い突起がある杖を手にした魔術師が現れアイテールを睨みつける。

「このままバトル! 相克の魔術師で天帝アイテールに攻撃! ダメージ計算前に紫毒の魔術師のペンデュラム・エフェクト発動! 戦闘を行う闇属性・魔法使い族モンスターの攻撃力を1200アップさせる!」

おお、相克の魔術師の手に紫毒の魔術師が手にしている鞭が!
そしてそれをそのままアイテールの頭辺りに叩きつけようとし、それをアイテールが杖で受け止める。

相克の魔術師 ATk3700 VS 天帝アイテール ATK2800

八住 桂 LP8000→7100

「アイテールが何も出来ずに退場だと……」
「残念だったな。そして紫毒の魔術師のモンスターエフェクト発動。真帝王領域を破壊させてもらう。そして星霜のペンデュラムグラフのエフェクトでデッキから賎竜の魔術師を手札に加える」

ペンデュラムの光の柱から飛び出てきた紫毒の魔術師が真帝王領域に存在している巨大な椅子を鞭でビシバシ叩き椅子を破壊した。
すると真帝王領域がなぜか全体的に崩れていく。

「おのれ、椅子に取りつけられていた領域具現化装置の存在に気が付いていたか……」

真帝王領域ってエレボスが座っている椅子が発生させていたリアルソリッドビジョンだったの!?

「これで厄介な真帝王領域は破壊できたぜ。メイン2、俺はペンデュラムスケール2・賎竜の魔術師をセット。そして賎竜の魔術師の効果でEXデッキで表側になっている虹彩の魔術師を手札に加える。そして俺はそのままペンデュラム召喚! EXデッキより出でよ紫毒の魔術師、そして手札から虹彩の魔術師!」

紫毒の魔術師と虹彩の魔術師が同時に降り立ち、鞭と剣を同時に構える。

「俺はこのままターンエンド」

不破 修輔 LP8000
モンスターゾーン 刻剣の魔術師 虹彩の魔術師 相克の魔術師 
EXモンスターゾーン 紫毒の魔術師
魔法・罠カードゾーン セットカード1枚 星霜のペンデュラムグラフ 賎竜の魔術師 黒牙の魔術師 
手札3枚

「さて、相手の運にもよるがこれで相手はほぼ詰みに近い状態だな」

岬君が完全に勝ったと確信した表情で場を見つめる。

「どうして?」

楠葉ちゃんが首を傾げながら疑問符を頭に浮かべる。
いまいちわかっていない楠葉ちゃんのために岬君が優しく解説を始める。

「帝王の溶撃はアドバンス召喚したモンスター以外のモンスターの効果を無効化する、確かに強力な罠カードだ。だけども、アドバンス召喚したモンスターが存在していなければ自分のエンドフェイズに破壊されるデメリットもある」
「そうなんだ」
「ま、そこは大した問題じゃない。重要なのは自分のモンスターの効果もアドバンス召喚したモンスター以外は無効にしてしまうという点だ。アドバンス召喚する権利を増やす冥帝従騎エイドスの効果も無効にしてしまうし、それをデッキから特殊召喚する効果がある天帝従騎イデアの効果も無効にしてしまう」
「そっか、つまり帝のアドバンス召喚をサポートするモンスターの効果も無効にしちゃうんだ」
「そういうこと。まあ、一部の家臣に例外はいるけどな」

確かにそれだけ聞けば八住君はほぼ詰みに近い状態だろう。
でも、八住君の表情にはまだ諦めはない。
それに不破君もまだ何かしてくるだろうと、一切油断はしていない。

「不破……お前に絶対に勝つ! 行くぜ、ドロー! 俺は魔法カード・強欲で貪欲な壺を発動! デッキトップから10枚を除外して2枚ドローする! そして俺は魔法カード・汎神の帝王を発動! 手札の真源の帝王を捨てて2枚ドロー! 魔法カード・名推理を発動! LVを宣言しろ、不破!」
「8だ!」

深怨の帝王、汎神の帝王が墓地へ送られた後。

「LV2、天帝従騎イデアを特殊召喚! 確かにリクルート効果は使えない。そして墓地の真源の帝王の効果発動! 墓地の深怨の帝王を除外して特殊召喚する! そして墓地の汎神の帝王を除外してデッキから3枚帝王の烈旋を見せ、相手はそれをランダムに1枚選んで手札に加える!」

「いや俺に選択させる気ねーだろそれ!」

そのツッコミは確かにもっともなものだ。
だが、同名カード3枚もOKという緩いサーチなのは強いなぁ。

「速攻魔法帝王の烈旋を発動! これで相手のモンスターをアドバンス召喚の生贄に使える! 俺は紫毒の魔術師、真源の帝王、イデアの3体をリリース! 出でよ神獣王バルバロス!」

このタイミングで3体リリースでのバルバロス!?
確かバルバロスの効果って……

「バルバロスが3体のモンスターをリリースしてのアドバンス召喚に成功したとき、効果発動! 相手フィールドのカードを全て破壊する!」

槍を振りまわし、バルバロスが野生の本能そのままに暴れまわる。
その勢いで不破君の場のカード全てが破壊される。

「……すっげぇ」

実際に対戦している不破君だけじゃなくて、私も岬君も楠葉ちゃんも、それどころか相手のチームの仲間の人たちも呆然と、誇り高い咆哮を上げているバルバロスが支配している場を見ていた。
確かに帝王の溶撃が存在している時に妥協召喚すれば攻撃力3000のモンスターとして運用できる。
だけどまさかあの状況でバルバロスの3体アドバンス召喚を成功させるなんて。

不破君がぽつりと呟いた通り、すっごいの一言しかないよ。

「すごいね。やっぱり私、ロッサス校に入学して良かった」
「ボクも」
「八住の奴、まさかの大逆転を披露しやがった……!」

「……だが、破壊された虹彩の魔術師の効果でデッキからエターナルトラップ・時空のペンデュラムグラフを手札に加える」
「関係ないな! 墓地へ送られたイデアの効果で除外されている汎神の帝王を手札に加える。このままバトルフェイズ! バルバロスでダイレクトアタック!」

バルバロスの槍が不破君に襲い掛かり、不破君がそれを間一髪で避ける。
いくらリアルソリッドビジョンでも実際に槍で貫かれるわけではないとはいえ、わざわざ痛い目に遭いたくはないだろう。

不破 修輔 LP8000→5000

「このままターンエンド」

八住 桂 LP7100 
モンスターゾーン 神獣王バルバロス 
魔法・罠カードゾーン 帝王の溶撃
手札1枚

不破にターンが移る。

「俺のターン、ドロー。俺はモンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド」

不破 修輔 LP5000
モンスターゾーン セットモンスター1体
魔法・罠カードゾーン セットカード2枚
手札1枚

「また防戦一方になっちまったな!」
「確かにな。バルバロスのアドバンス召喚はお見事だったぜ」
「まだまだこれからだ! 俺のターン、ドロー! 墓地の冥帝従騎エイドスの効果発動! 墓地からエイドスを除外し墓地のイデアを特殊召喚する! そして真源の帝王の効果発動! 墓地から帝王の烈旋を除外して守備表示で特殊召喚する。俺はイデアと真源の帝王をリリースして冥帝エレボスをアドバンス召喚する!」

つい先ほどの真帝王領域に置かれていた椅子に主であるエレボスが座り、八住君の場に現れる。
だが、それと同時に悪魔の鎖がエレボスを縛り付ける。

「エターナルトラップ・デモンズ・チェーンを発動だ。エレボスの効果を無効にし攻撃を封じるぜ」
「だが墓地へ送られたイデアの効果で墓地から帝王の烈旋を手札に戻すぜ。バトル! バルバロスでセットモンスターに攻撃!」

バルバロスが槍で裏守備モンスターを貫くと、慧眼の魔術師が槍で貫かれ辛そうな表情のまま消滅していく。

神獣王バルバロス ATK3000 VS 慧眼の魔術師 DEF1500

「よっしゃ! メイン2、手札の汎神の帝王を発動! 烈旋を捨てて2枚ドロー! そして墓地の汎神の帝王を除外し、帝王の烈旋、真帝王領域、進撃の帝王のいずれかを選んでもらうぜ!」
「帝王の烈旋だ」
「いいぜ、カードを2枚セットしてターンエンド」

八住 桂 LP7100 
モンスターゾーン 神獣王バルバロス 冥帝エレボス 
魔法・罠カードゾーン セットカード2枚 帝王の溶撃
手札1枚

「俺のターン、ドロー! 俺は手札のEMドクロバット・ジョーカーを捨ててマジックカード・ペンデュラム・コールを発動! デッキから名称が異なる魔術師ペンデュラムモンスター2体を手札に加える! 俺はペンデュラムスケール8・調弦の魔術師、ペンデュラムスケール2・賎竜の魔術師を手札に加えるぜ! そしてその2枚をそのままセッティング!」
「残念だったな不破。速攻魔法ツインツイスター発動! 手札を1枚捨てて発動したペンデュラムスケールモンスター2枚を破壊させてもらうぜ!」

2つの風が不破君のペンデュラムゾーンを襲う。
だが。

「残念だったな、八住。ペンデュラム・コールのエフェクトで発動された魔術師ペンデュラムモンスターは次の相手ターン終了時まで破壊されないぜ! そしてエターナルトラップ・時空のペンデュラムグラフを発動! 賎竜の魔術師と神獣王バルバロスを破壊させてもらうぜ!」
「だが、賎竜の魔術師が破壊されないってことは」

時空のペンデュラムグラフがついでに帝王の溶撃も貫いていく。
これで不破君のモンスターは自由に効果を発動できる!

「俺は賎竜のペンデュラム・エフェクトを発動。EXデッキで表側表示になっている相克の魔術師を手札に加える。そして俺はペンデュラム召喚! EXデッキより出でよ刻剣の魔術師、そして相克の魔術師! 刻剣の魔術師のモンスターエフェクト発動! 刻剣の魔術師と冥帝エレボスをゲームから除外する! バトルフェイズ! 相克の魔術師でダイレクトアタック! 相克の魔術師は調弦の魔術師のペンデュラム・エフェクトでEXで表側表示になっている魔術師ペンデュラムモンスターの数×100ポイント攻撃力をアップさせる!」

今不破君のEXデッキで表側表示になっているのは虹彩の魔術師、紫毒の魔術師、黒牙の魔術師、慧眼の魔術師、賎竜の魔術師の5体。
つまり今の攻撃力は3000だ。

八住 桂 LP7100→4100

「俺はこのままターンエンド」

不破 修輔 LP5000 
モンスターゾーン 相克の魔術師 
魔法・罠カードゾーン 時空のペンデュラムグラフ デモンズ・チェーン(対象不在) 調弦の魔術師 賎竜の魔術師 
手札0枚

「また逆転されちまったか。俺のターン、ドロー! 俺はセットしておいた帝王の烈旋を発動! そして真源の帝王の効果発動! 墓地の帝王の烈旋をゲームから除外して特殊召喚するぜ!」
「時空のペンデュラムグラフのエフェクト発動! 相克の魔術師と真源の帝王を破壊する!」

まさに一進一退。
一切引かない戦いを行ってる。
いつしかお互いデュエルの行く末を見届け、黙り込んでいた。

「メイン2、俺はこのままターンエンド」

八住 桂 LP4100 
魔法・罠カードゾーン セットカード1枚
手札1枚

「俺のターン、ドロー! スタンバイフェイズに刻剣の魔術師と冥帝エレボスは場に戻ってくるぜ!」
「やっと戻ってきたか、エレボス」

再びお互いの場にモンスターが揃い、お互いがそれぞれのモンスターを出迎える。
だけども。

「俺は賎竜の魔術師のペンデュラム・エフェクト発動! EXデッキから黒牙の魔術師を手札に戻すぜ!」
「このタイミングでセットしておいた連撃の帝王を発動! 相手のターンのメインフェイズにアドバンス召喚するぜ!」
「時空のペンデュラムグラフのエフェクト発動! 刻剣の魔術師と冥帝エレボスを破壊する!」
「リリースするモンスターがもういないからエフェクトを発動させただけだ」

あ、八住君、不破君のエフェクト口癖移ってる。
私も試験の時、思わずエフェクトって思いかけたっけ。

「俺はマジックカード・デュエリスト・アドベントを発動! デッキからペンデュラムと名のつくカード、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを手札に加える!」

このタイミングでオッドアイズ!?

「うん、スタンバイOKだよ愛流ちゃん」

楠葉ちゃんが興奮しかけた私を背後から抱きしめてくれている。
よし、これでオッドアイズに抱き着くなんて行為は出来やしない。

「ペンデュラム召喚! EXデッキから出でよ紫毒の魔術師、そして手札から黒牙の魔術師、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!」

再びまさかリアルソリッドビジョンでお目にかかれるなんて。
すっごく抱き着きたいけど楠葉ちゃんが頑張ってくれている。
私が思わず動こうとするたびに楠葉ちゃんがぎゅっと抱きしめてくれている。

「……俺はLV4の紫毒の魔術師と黒牙の魔術師でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! Emトラピーズ・マジシャン!」

試験の時に見かけた愉快な魔法使い。
今回もオッドアイズの周りを飛び交い、光の粉をかける。

「トラピーズのエフェクトでこのターン、オッドアイズは2回攻撃することが出来る!」
「何だと!?」
「調弦の魔術師のペンデュラム・エフェクトで攻撃力は500アップしている! トラピーズ・マジシャンでダイレクトアタック!」

トラピーズ・マジシャンがどこに繋がっているか分からない空中ブランコに乗りながら八住君に思いっきり蹴りを放つ。

「いってぇなぁ」

八住 桂 LP4100→1100

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでダイレクトアタック! 螺旋のストライクバースト!」

オッドアイズが空高くジャンプし、八住君に回転する赤いブレスをぶつける。
だが、アイテールを模した像が八住君の場に立ちはだかる。

「真帝王領域を除外して真源の帝王を壁にする」

像が螺旋のストライクバーストによって粉々になる。
だが、光の粉を浴びたオッドアイズが分裂し、色が薄い方が螺旋のストライクバーストを放とうとする。
って、分裂!?
これはまさかのサプライズ!
トラピーズの力のおかげでまさかオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが並び立つように見えるなんて!
しかも光る粉のおかげでドラゴンが幻想的に光り輝いてるように見えてドラゴンの魅力がますます際立っている!
まさにイリュージョン!
私という観客を笑顔にする、エンタ―テイメントを提供する魔法使い、まさにエンタメイジの名にふさわしい素晴らしい働きよ!

そして分裂体のオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが光り輝きながら八住君に螺旋のストライクバーストをお見舞いし、LPを0にした。

「あー、ちくしょー! また負けたー!」

八住 桂 LP1100→0


ああ、なんと幻想的なドラゴンイリュージョン……
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、Emトラピーズ・マジシャン……

素晴らしい竜の演舞を、ありがとう……

「じゃ、行ってくるわ。引き続き愛流さんが暴走しないように押さえといてくれ」
「うん、ボクに任せておいて」

そして私がドラゴントリップ状態に入っていた間に岬君が相手の残り1人と対戦するべく不破君と入れ替わった。

「お疲れ、不破君」
「おう、バルバロスにはすごく驚かされたけど、なんとか勝てたぜ。最後は岬を応援してやろうぜ」

うん、そうだね。
ここまで来たら岬君が勝利で〆て、私たちの班全員が全勝して綺麗に終わりたいところだ。

「よろしくな、えっと」
「九谷 準です」
「おう、俺は岬 黒人だ。じゃ、デュエル行こうか」
「はい、よろしくお願いします」

岬 黒人 LP8000 VS 九谷 準 LP8000

さて、同じクラスで別れた班同士の対抗デュエルもこれで最終戦。
今のところ私、楠葉ちゃん、不破君の3人が勝った。
岬君も勝利で終わりたいところだ。

だけども、相手はドラゴンデッキ。
どのようなドラゴンが飛び出てくるのか楽しみでしょうがないのでございますよええ。

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