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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第0話その4「覇王の竜」

第0話その4「覇王の竜」 作:にしん

 ザックが研究所に配属されてから数週間が経った。ザックは相変わらず研究の片手間にデッキを作っては“YU”とデュエルしている。だが有用な研究結果が取れることもあり、天王寺たちはザックの研究結果を参考にして他の“覇王の子”の力も引き出せるよう試行錯誤していた。

そしてついに、大きな結果が出た。

YU「<相克の魔術師>のP効果で<オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン>にランクと同じレベルを付与、<オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン>とでX召喚・・・!」

YUのエクストラデッキが光り出す。YUはそれを引き抜くとそれは白紙のカードだった。だが徐々にエクシーズ特有の黒色と共にその竜の姿が現れていく。YUがそのカードをX召喚すると、デュエルフィールドでは確認されたことのない炎のエフェクトと共に、その赤黒き竜が姿を現した。

YU「<覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン>・・・!」
ザック「おお・・・!!これは素晴らしい!」
天王寺「覇王烈竜・・・!!ついに我々は覇王龍の一歩手前までたどり着いたということですか・・・!」

今までYUからは覇王特有の緑色の光が揺らめいていたが、レイジング・ドラゴンの出現によってそれは赤色に変わっていた。そして眼前のものを全て焼き尽くそうとせんばかりの激情に駆られた表情。物静かなYUからは想像もしなかった表情。その場にいた研究者はもちろん、他のデュエルフィールドでデュエルをしていた覇王の子たちもその鼓動を感じていた。

だが、ザックは冷静にセットされたカードを表側表示にした。

ザック「ですが、更なる高みを見せていただきましょうか。その召喚成功時に対して<激流葬>発動しますよ」
YU「・・・この程度で俺の覇王烈竜が止められると思っているのか。破壊された時の効果で覇王烈竜はPゾーンに移動、<ペンデュラム・エクシーズ>発動でPゾーンの相克と覇王烈竜を特殊召喚し、相克のレベルを覇王烈竜に移して再度覇王烈竜をX召喚だ!」
ザック「なんと・・・!」

・・・

今回のデュエルもYUが圧勝した。デュエルが終了した途端、覇王烈竜のと思われる力によって激情に駆られていたはずのYUが普段のようにスッと無表情に戻り、ザックの髪をじーっと見た。

天王寺「・・・榊くんが覇王烈竜を出した時と同じく、覇王の力を出す時だけ性格が変わるようですね」
ザック「そのようですね。今はもうただ私の頭をガン見するだけの少年です。さて、この結果を更に活かせるようにしなくては」

年に合わないうきうきした表情と態度で研究室へと戻っていくザック。天王寺たちも他の覇王の子たちもこの素晴らしい結果に喜びを表していたが、YUだけはザックを無表情で眺めていた。だけど僅かに唇を噛みしめていた。




YU「・・・違う。俺はーーー」
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