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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第0話その2「覇王の子」

第0話その2「覇王の子」 作:にしん

 天王寺らの部署は研究所らしくない空間だ。初めはいかにもド真面目な新人のザックも本当に「覇王の子」の研究をするのか疑っていた様子だが、とある「者」を見てからは早速研究に没頭するようになった。

そして彼は早速有用な結果を出した。

ザック「室長、被検体“YU”が高い適正を持っていることが分かりました」
天王寺「素晴らしい。我々が未だに分からないことを次々と・・・流石ですよ」
ザック「早速接触してもよろしいでしょうか」
天王寺「ええ。あっ、覇王の力を出させるためにこのデッキ持っていきなさい」
ザック「はい」

研究室や覇王の子がいる場所は真っ白な空間に白を基調とした機材などがあるのみ。まるで少年少女のための施設。だけど遊戯王の世の中らしく、本格的なデュエルスペースはある。そこで日々覇王の子たちがデュエルを繰り広げていた。が、目的は遊戯王ではない。

ザック「このカード・・・世には出回ってないものばかりですね。中には真っ白なカードもある。まるでデュエルを通じて覇王を再現しようとしているかのようだ」

デッキを眺めたザックがすぐにこの研究の本質を見抜く。その瞬間、真っ白だったカードが遊戯王のカードに変化した。

天王寺「研究の一環です。その通り研究で抽出した覇王の力が入ってますし、覇王の力に反応して適切なカードが生成されます」
ザック「なるほど。では早速・・・私の予想ではデュエルによる覇王の力を通じて徐々に適性を高めていく方が効率いいでしょう。ところで」

ザックは目を付けた被検体“YU”に近づく。“YU”はまだ小学生ぐらいの少年だが、その表情や姿勢、雰囲気は大人びていた。ザックの興味津々な目線にも動じずただザックの奇形で不思議な色合いの髪をじーっと見ていた。そして双方何も言わずにエアホッケーのようなデュエルフィールドの両端に立った。

ザック「この感じ・・・すでに覇王に近いカードを生成している?」
天王寺「つい最近ですね。“YU”が持つデッキ、および生成したカードは<魔術師>を基本としたかなり覇王に近いデッキなので。生成したカードも<オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン>です。ザックさんのおかげでいい研究結果が取れるでしょう」

ザックと”YU”がデッキ、EXデッキを所定の場所に差し込むと、そのデュエルフィールドが起動し、まるで小さなデュエルスタジアムのフィールドのようなホログラムが浮かび上がった。そのそばで別の機械によりデュエルによる影響の観察を行うといった感じだ。

天王寺は部下の研究者2人を呼び、この有意義な研究デュエルを観させる。観察サイドはジャッジの役割も果たしているので天王寺は立ち上がり、ホログラムに浮かんだ「START」のボタンに触れた。

天王寺「デュエルスタートです。先攻はザックくんです」
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