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3話 フレンドシップカップ 作:3D
夕日が眩しい帰り道…のはずだが、今音無と都築が歩く道にはほとんどその光は差してこない。そんな裏路地を歩きながら、彼らは昔の事を話していた。
都築「…それにしても、デュエルモンスターズって不思議だな。これがなかったら俺達既に解散してたぜ? …ま、逆にそのせいでもはや軽音楽部じゃなくてデュエル部になりつつあるけど…」
音無「まぁな。あの時こいつらを拾った俺に感謝しやがれ! …にしても、本当に不思議だよな。ちょうど2デッキ分のカードが落ちてるって、そんなことあるか?」
都築「ねぇよ、普通は。絶対これは運命だぜ」
音無「うげ、出た…。都築のメルヘン世界」
都築「メルヘン世界言うなよ…。このスターダスト、本当に似てるんだよな。『不動遊星』のドラゴンに…」
音無「知らねぇよ。昔の英雄だかなんだかしらねぇけど、お前本当に好きだよな、不動遊星。そんなマイナーな歴史人物、学校でも聞いたことがねぇ」
都築「本当にかっこいいんだって不動遊星は! 差別の壁をぶち壊してサテライトとネオ童実野シティを橋で繋いだんだからな」
音無「へいへい。そんな奴いたら、今このトップスとコモンズの差別を無くしてくれって話だ。…それに、かっこいいといえばやっぱり、これだろ!」
そう言って音無が指差した方向に貼ってあったのは、シティのデュエルキング、ジャック・アトラスのポスターだ。ジャック・アトラス。彼の名前を知らない人間は少なくともこのシティには居ない。コモンズ出身でありながらフレンドシップカップという大会で優勝を果たし、今現在もキングの座に居座り続けるその姿は、音無が希望を持ち続ける一つの理由でもある。
都築「あー、出た出た。キングキングって…。そいつ、コモンズを裏切ったんだろ? 確かにやり遂げたこと自体は凄いけど、お前知らないのか? あいつがコモンズの人間を見る時の目。ペット以下だぜ?」
音無「ジャックは元から目つきが鋭いんだって。…お、そろそろ分かれ道だな。俺はこっちだから、また明日な!」
都築「ああ、また明日」
そして二人はそれぞれの家に帰り、それから約3日ほどの時が過ぎた。
ロジェ「…ほぅ、ペンデュラムカードに、初めて見るドラゴン…ですか。なるほど、ならば、その彼らにこれを渡しなさい」
ノボル先生「ワッツ…!? これをですか…? もう少し様子を見たほうがいいのでは…」
ロジェ「いいのです。こちらも、一刻を争う事態なのですから…」
チェスボードをいじりながらノボル先生に二通の封筒を渡した彼は、ジャン・ミシェル・ロジェ。シティの治安維持局の最高責任者である。
ノボル先生「オーケー、これを音無彩牙と都築四弦に渡せばいいのですね?」
ロジェ「ええ、なるべく早急に、お願いします。それと、どちらでもいいので片方には……」
その怪しげな会話が行われていたことなど微塵も知るはずもない音無と都築は、その次の日の放課後、適当に部室で楽器をいじったり、拾ったカードで適当にデッキを調整したりしていた。コモンズの裏路地には、時々トップスの人間が捨てたカードが落ちていることがある。それらのカードがあるからこそ、毎回微妙に相手のデッキが変わり、音無と都築は飽きずに毎日デュエルを続けられるのだ。しかし、その日は違った。部室の扉が開き、ノボル先生が部室に静かに入ってくる。
音無「おお、先生じゃねぇか。こんな場所に何の用だよ」
音無は、正直言ってノボル先生が好きではない。成績だけで生徒の全てを評価し、悪い成績の生徒はひたすら見下す。そんな教師が、学校で下から数える方が圧倒的に早い順位に居座る音無の元にやってきたのだ。退部か廃部か、それともそれ以上にめちゃくちゃな事を言いはじめるのか。音無は異常な警戒を始める。
ノボル先生「ステイステイ。別に今は成績の話をしに来たのでは無いのです。これを、キミたち二人に。とても幸運ですね、キミたちは」
そう言いながら音無と都築に封筒を手渡す。それを開けて紙を取り出すと、そこには、「フレンドシップカップ出場権」の文字が。
音無「お、おい…、これ、マジか?」
都築「先生、これはどう言う事だ?」
ノボル先生「ワタクシにも何が何だか…。いきなりトップスの偉い人間にこれをキミたち二人に渡してくれと。…そうそう、それと、どちらか片方は、エキシビションマッチにも出れるらしいのですが、どうでしょう?」
音無「エキシビション…、ジャックと戦えるのか…!?」
ノボル「イエス。もちろんその試合は負けてもフレンドシップカップ自体の戦績は変わらないので、思う存分楽しめますよ…?」
音無「よし、それは俺が…」
都築「俺にやらせてくれ」
元気よく音無が決定しようとしたところで、都築が鋭く割って入る。それもそのはず。音無はジャックのファンだから知らないだろうが、都築は知っている。フレンドシップカップ。トップスとコモンズが仲良く、みたいな目的でできた大会のエキシビションマッチでは、ジャックがチャレンジャーを完膚無きまでに叩き潰すのだ。体も、心も…。いくら音無でも、ファンのジャックにそんな事をされると立ち直れなくなる可能性すらある。ここは、別にジャックに勝とうが負けようが関係ない都築が出る方がいろんな意味で安全なのだ。
音無「お前…、本当はジャックのファンなのか…?」
しかし、音無はそんな事を微塵も考えず、このような事を言いだすのだ。だからこそ、都築としては扱いやすい。
都築「まぁ、ファンではないけど、キングがどんなデュエルをするのか見てみたい、というのもあるし、多分キングならスターダストの倒し方も見せてくれるんじゃないか?」
音無「…なるほど、ならしょうがねぇ。悔しいが、今回はお前に譲ってやるよ。その代わり、優勝は頂くけどな!」
ノボル先生「オーケイ、じゃあ、二人ともフレンドシップカップには出場、エキシビションマッチは都築君、という事で登録を進めておきます。我が校の代表みたいなものです。是非頑張りなさい」
そう言い残し、ノボル先生は部室を出て行く。その後、しばらく沈黙が続くが、それを破ったのは都築だ。
都築「…大変なことになったな。フレンドシップカップとなると、あと1ヶ月ぐらいしか時間ないぜ?」
音無「よし! なら、フレンドシップカップまでは部活中止にして、お互いデッキ調整と練習の時間に当てようぜ。その方が、決勝で楽しめるだろ?」
都築「ま、まぁな…。お前がそれでいいのならそうするか」
都築(少し調べたいこともあるしな…)
そして、ここからフレンドシップカップに向けた練習の日々が幕を開ける。
あとがき
読んでくださり、ありがとうございました! 突然ですが、次回は音無の練習のためのフリー対戦回にしたいので、オススメのオリカやおもしろそうなオリカなどございましたら、遠慮なくコメントしてください! 先着でその対戦相手のデッキに反映したいと思います! 一応シンクロ次元ですので、シンクロテーマの応募だけを拾わせていただきます。また、何も来なければ普通に中堅デッキでも用意しようと思います。
都築「…それにしても、デュエルモンスターズって不思議だな。これがなかったら俺達既に解散してたぜ? …ま、逆にそのせいでもはや軽音楽部じゃなくてデュエル部になりつつあるけど…」
音無「まぁな。あの時こいつらを拾った俺に感謝しやがれ! …にしても、本当に不思議だよな。ちょうど2デッキ分のカードが落ちてるって、そんなことあるか?」
都築「ねぇよ、普通は。絶対これは運命だぜ」
音無「うげ、出た…。都築のメルヘン世界」
都築「メルヘン世界言うなよ…。このスターダスト、本当に似てるんだよな。『不動遊星』のドラゴンに…」
音無「知らねぇよ。昔の英雄だかなんだかしらねぇけど、お前本当に好きだよな、不動遊星。そんなマイナーな歴史人物、学校でも聞いたことがねぇ」
都築「本当にかっこいいんだって不動遊星は! 差別の壁をぶち壊してサテライトとネオ童実野シティを橋で繋いだんだからな」
音無「へいへい。そんな奴いたら、今このトップスとコモンズの差別を無くしてくれって話だ。…それに、かっこいいといえばやっぱり、これだろ!」
そう言って音無が指差した方向に貼ってあったのは、シティのデュエルキング、ジャック・アトラスのポスターだ。ジャック・アトラス。彼の名前を知らない人間は少なくともこのシティには居ない。コモンズ出身でありながらフレンドシップカップという大会で優勝を果たし、今現在もキングの座に居座り続けるその姿は、音無が希望を持ち続ける一つの理由でもある。
都築「あー、出た出た。キングキングって…。そいつ、コモンズを裏切ったんだろ? 確かにやり遂げたこと自体は凄いけど、お前知らないのか? あいつがコモンズの人間を見る時の目。ペット以下だぜ?」
音無「ジャックは元から目つきが鋭いんだって。…お、そろそろ分かれ道だな。俺はこっちだから、また明日な!」
都築「ああ、また明日」
そして二人はそれぞれの家に帰り、それから約3日ほどの時が過ぎた。
ロジェ「…ほぅ、ペンデュラムカードに、初めて見るドラゴン…ですか。なるほど、ならば、その彼らにこれを渡しなさい」
ノボル先生「ワッツ…!? これをですか…? もう少し様子を見たほうがいいのでは…」
ロジェ「いいのです。こちらも、一刻を争う事態なのですから…」
チェスボードをいじりながらノボル先生に二通の封筒を渡した彼は、ジャン・ミシェル・ロジェ。シティの治安維持局の最高責任者である。
ノボル先生「オーケー、これを音無彩牙と都築四弦に渡せばいいのですね?」
ロジェ「ええ、なるべく早急に、お願いします。それと、どちらでもいいので片方には……」
その怪しげな会話が行われていたことなど微塵も知るはずもない音無と都築は、その次の日の放課後、適当に部室で楽器をいじったり、拾ったカードで適当にデッキを調整したりしていた。コモンズの裏路地には、時々トップスの人間が捨てたカードが落ちていることがある。それらのカードがあるからこそ、毎回微妙に相手のデッキが変わり、音無と都築は飽きずに毎日デュエルを続けられるのだ。しかし、その日は違った。部室の扉が開き、ノボル先生が部室に静かに入ってくる。
音無「おお、先生じゃねぇか。こんな場所に何の用だよ」
音無は、正直言ってノボル先生が好きではない。成績だけで生徒の全てを評価し、悪い成績の生徒はひたすら見下す。そんな教師が、学校で下から数える方が圧倒的に早い順位に居座る音無の元にやってきたのだ。退部か廃部か、それともそれ以上にめちゃくちゃな事を言いはじめるのか。音無は異常な警戒を始める。
ノボル先生「ステイステイ。別に今は成績の話をしに来たのでは無いのです。これを、キミたち二人に。とても幸運ですね、キミたちは」
そう言いながら音無と都築に封筒を手渡す。それを開けて紙を取り出すと、そこには、「フレンドシップカップ出場権」の文字が。
音無「お、おい…、これ、マジか?」
都築「先生、これはどう言う事だ?」
ノボル先生「ワタクシにも何が何だか…。いきなりトップスの偉い人間にこれをキミたち二人に渡してくれと。…そうそう、それと、どちらか片方は、エキシビションマッチにも出れるらしいのですが、どうでしょう?」
音無「エキシビション…、ジャックと戦えるのか…!?」
ノボル「イエス。もちろんその試合は負けてもフレンドシップカップ自体の戦績は変わらないので、思う存分楽しめますよ…?」
音無「よし、それは俺が…」
都築「俺にやらせてくれ」
元気よく音無が決定しようとしたところで、都築が鋭く割って入る。それもそのはず。音無はジャックのファンだから知らないだろうが、都築は知っている。フレンドシップカップ。トップスとコモンズが仲良く、みたいな目的でできた大会のエキシビションマッチでは、ジャックがチャレンジャーを完膚無きまでに叩き潰すのだ。体も、心も…。いくら音無でも、ファンのジャックにそんな事をされると立ち直れなくなる可能性すらある。ここは、別にジャックに勝とうが負けようが関係ない都築が出る方がいろんな意味で安全なのだ。
音無「お前…、本当はジャックのファンなのか…?」
しかし、音無はそんな事を微塵も考えず、このような事を言いだすのだ。だからこそ、都築としては扱いやすい。
都築「まぁ、ファンではないけど、キングがどんなデュエルをするのか見てみたい、というのもあるし、多分キングならスターダストの倒し方も見せてくれるんじゃないか?」
音無「…なるほど、ならしょうがねぇ。悔しいが、今回はお前に譲ってやるよ。その代わり、優勝は頂くけどな!」
ノボル先生「オーケイ、じゃあ、二人ともフレンドシップカップには出場、エキシビションマッチは都築君、という事で登録を進めておきます。我が校の代表みたいなものです。是非頑張りなさい」
そう言い残し、ノボル先生は部室を出て行く。その後、しばらく沈黙が続くが、それを破ったのは都築だ。
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