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第1話 3年ぶりの再会 後編(第15話) 作:クトゥルフ大好きな人
※ デュエルフローラside
「旅行に行くのは良いとして……、2人には1つだけ言っておくわ。『あのカード』は向こうでは使ってはダメよ、絶対に」
「『あのカード』ってこれの事?」
六花はデッキから『地烈竜ガイアアイズ』を取り出して不思議そうな顔をしている。
「六花、まさかとは思うけどそのカードの存在を他の人に知られた時のリアクションを忘れた訳じゃないでしょうね……」
そう、六花の『地烈竜 ガイアアイズ』や凛の『爆炎竜 ブラストクロー』は彼女達しか持たない貴重なカードだ。ただでさえ学校において話題の的になっていたのだ。もし他の場所でその存在を知られでもしたら何が起こるか分からない。そういって面でのいざこざを回避する為にもこれらのカードの運用は慎重に行わなければならないのだが………
「………凛?なんで目を逸らしているのかしら?」
滝のような汗を噴き出しながら口笛を吹いている凛に櫻は問いかけるが返事は返ってこない。
「まさかとは思うけど、話したのね?そのカードの事を……」
ジリジリと迫ってくる櫻に凛の表情は強張っていく。
「ご、ごめんなさい! でも心くんなら他の人には絶対に言わないだろうしそれに心くんも似たような事を電話で話してたから! 」
「似たような事って?」
流石に可哀想だと思い六花が2人の間に割ってはいる。
「ボクがブラストクローを手に入れる少し前の事なんだけど……、詳しくは分からないんだけどなんでも心くんがカードの精霊が見えるようになったとか」
「カードの精霊?なんのカードって話てたの?」
「ワーム・ゼロって言ってたような…」
「「…………」」
櫻と六花は『ワーム・ゼロ』のイラストを思い出し思わず黙ってしまった。正直は話、あまり皆に好かれるような見た目ではない。空中に浮かぶ巨大な玉から滴る薄いグレーの粘液。しかも本体に纏わり付いている液体が流動している所を想像してしまい言葉が出ない。
「もしかして俺らのカードとなんか繋がりでもあるのか?」
カレーうどんを食べ終わった雷がトレーを戻して三人の所へ戻ってくる。
「……流石に私達のカードとは繋がりはないと思うわ。だってこのカードは精霊界から来たって話してたじゃない」
「でも精霊付きなんだろ?一応調べて見てもいいんじゃねぇか?」
「じゃあボクが向こうに行った時に色々聞いてきますね」
「そうね、一応六花も話を聞いてきて頂戴。何か有益な情報が手に入るかもしれないから」
そんな話をしている内にお昼休みは終わり、4人は各自の教室へと向かった。
ちなみに家に帰った櫻と六花は両親に旅行の事は説明し、父が悩む間に母からの許しがあっさり下りたので早速荷物の準備を始めたそうな。
※翌日
「……あ! 六花さ~ん! こっちですよ~」
「凛ちゃんお待たせ。って何だか荷物が少ないね、大丈夫なの? 」
「はい。ある程度必要な日常品は向こうで用意してくてるみたいなので。それでも足りなかったら買いに行くとかなんとか」
(凛ちゃんの彼氏って本当にお金持ちなんじゃ……)
そんな六花のささやかな疑問は明かされる事はなく、2人は空港の受付へと歩いていった。
「すいません、今日この空港で予約させて頂いている早川 凛という者ですが」
「早川様ですね。すぐに確認致します」
手元のキーボードを叩く音がしばし続いたのち、受付のお姉さんが顔を上げる。
「確認しました。早川 凛様とご友人の榊原 六花様ですね。担当の者が伺いますので少々お待ち下さい」
2人は案内されるがまま職員の後ろを付いていく。通常のお客が通るゲートではなく職員専用の通路を移動していく。VIPルームと思わせる豪華な待合室に案内された2人はお互いに顔を見合わせ、何か言いたげな感じではあったがとりあえず待つ事にした。それから数分後………
コンコンッ
「失礼致しやす。本日お2人の送迎を担当させて頂く事になった内藤と言うものです」
「あ、はい。ボクは早川 り………え?」
「凛ちゃんどうし……え!?」
部屋に入ってきたのは身長が190はある大きな男で、髪は微かに白髪交じりでオールバック。サングラスを付けており、スーツ越しでも分かる鍛えられた体。何も言われなければどこかのヒットマンのようにも見える。
2人が黙ってしまったの見てこれは失礼とサングラスを外す。
「驚かせてしまったようで申し訳ありやせん。あっしは心の坊ちゃんに頼まれて、お二人のお迎えに来た者です」
サングラスの下には整った顔立ちに左目には三本の縦の切り傷が付いていた。本人曰くペットの猫に引っかかれてそれを隠す為にサングラスを掛けていたとか。
「す、すいません。改めまして、ボクが早川 凛です」
「私は榊原 六花です」
「と、なると貴女が心の坊ちゃんの恋人の……」
「はい。ボクが……え!?」
内藤と名乗る男は凛の両手を包むように手を握ると号泣しながら膝を付く。
「やっと……やっと心の坊ちゃんの男として歩む事が出来るだけでなく、こんなに可愛らしいお嬢さんとお付き合い出来るようになるとは…………小さい頃から繊細で人と話す事も苦手だった心の坊ちゃんが彼女を!うぉぉぉおお」
突然泣き出した内藤を目の前に凛と六花はどうしていいか分からなくなってしまった。内藤が落ち着くまでに10分ほど要したが、その後は最初のような落ち着いた雰囲気に戻り、2人の荷物を預かるとそのまま滑走路へと案内する。そこに用意されていた軽飛行機はセスナと称されるもので、内装もこれまた豪華である。中に乗り込む際に六花はペイントで隠されているイニシャル『KC』の文字を偶然見てしまったが、何も触れない事にした。
内藤は操縦室に移動し、凛と六花はゆっくりと空の旅を楽しむ。子一時間のフライトの後、セスナは心の住む町、『彩町』へと到着した。
※One of Heart side
空港の待合場で心は同じ所を行ったりきたりを繰り返していた。手元の時計ではもうすでに到着予定時刻になっているが中々お目当ての人はやってくる様子がない。何かあったのではと考えていると、通常のゲートとは別の場所から3人の人影が現れる。
「内藤さん、ここに心くんが待ってるんですか?」
「ええ。心の坊ちゃんからはここで待っていると連絡が………あ、あそこに居やすね」
内藤が指差す方向には背の高い1人の男性が立っている。向こうもこちらに気付いたのかこちらに向かって手を振っている。
「………! 心くーーーん!! 」
荷物を置き去りにし凛は走り出す。心も同じタイミングでこちらの方向へ駆け出していた。
勢いそのままに凛は心の胸の中へと飛び込んだ。心は勢いを受け流すようにその場で凛を抱きしめたままクルクルと何度か回り、ゆっくりと下ろす。
お互いがお互いを確認し、もう一度強く抱き締め合う。
「凛ちゃん、ずっと会いたかった」
「ボクもだよ心くん。どれだけ今日を待ちわびたと思ってるの?」
見詰め合う2人はまさに幸せの絶頂と言っても過言ではないご様子だった。
「まさか到着早々にこんな御暑い光景を見せられるとはね~」
2人が顔を上げると凛の荷物を持った内藤と自分のキャリーバックを引っ張ってくる六花がいた。
「榊原 六花さんですよね?初めまして、一 心と申します。いつも凛ちゃんからお話を伺ってますよ」
「初めまして。榊原 六花です。これからしばらくお世話になりますね」
4人は空港から出た後、入り口で立ち止まる。
「心の坊ちゃん、車を回してきますので少々お待ち頂けやすか」
「内藤さん、坊ちゃんはやめてよ。僕もう子どもじゃないんだよ?」
「すいやせん、どうにも昔からの癖が抜けないもので」
笑いながら内藤は駐車場へと向かっていく。
「あんな見た目だからびっくりしたでしょ?見た目はアレだけど凄く良い人なんだ」
「ねぇ心くん、ちょっと聞いてもいい?」
「何?凛ちゃん」
「心くんってお金持ちだったりするの?」
「どうかな?割と普通の家計だよ?」
内藤が乗ってきたリムジンを見て六花はこれのどこが普通なんだろうと思ったが突っ込んでもキリがないと判断し、考えるのをやめた。
4人が乗った車を心の家へと走りだした……
「旅行に行くのは良いとして……、2人には1つだけ言っておくわ。『あのカード』は向こうでは使ってはダメよ、絶対に」
「『あのカード』ってこれの事?」
六花はデッキから『地烈竜ガイアアイズ』を取り出して不思議そうな顔をしている。
「六花、まさかとは思うけどそのカードの存在を他の人に知られた時のリアクションを忘れた訳じゃないでしょうね……」
そう、六花の『地烈竜 ガイアアイズ』や凛の『爆炎竜 ブラストクロー』は彼女達しか持たない貴重なカードだ。ただでさえ学校において話題の的になっていたのだ。もし他の場所でその存在を知られでもしたら何が起こるか分からない。そういって面でのいざこざを回避する為にもこれらのカードの運用は慎重に行わなければならないのだが………
「………凛?なんで目を逸らしているのかしら?」
滝のような汗を噴き出しながら口笛を吹いている凛に櫻は問いかけるが返事は返ってこない。
「まさかとは思うけど、話したのね?そのカードの事を……」
ジリジリと迫ってくる櫻に凛の表情は強張っていく。
「ご、ごめんなさい! でも心くんなら他の人には絶対に言わないだろうしそれに心くんも似たような事を電話で話してたから! 」
「似たような事って?」
流石に可哀想だと思い六花が2人の間に割ってはいる。
「ボクがブラストクローを手に入れる少し前の事なんだけど……、詳しくは分からないんだけどなんでも心くんがカードの精霊が見えるようになったとか」
「カードの精霊?なんのカードって話てたの?」
「ワーム・ゼロって言ってたような…」
「「…………」」
櫻と六花は『ワーム・ゼロ』のイラストを思い出し思わず黙ってしまった。正直は話、あまり皆に好かれるような見た目ではない。空中に浮かぶ巨大な玉から滴る薄いグレーの粘液。しかも本体に纏わり付いている液体が流動している所を想像してしまい言葉が出ない。
「もしかして俺らのカードとなんか繋がりでもあるのか?」
カレーうどんを食べ終わった雷がトレーを戻して三人の所へ戻ってくる。
「……流石に私達のカードとは繋がりはないと思うわ。だってこのカードは精霊界から来たって話してたじゃない」
「でも精霊付きなんだろ?一応調べて見てもいいんじゃねぇか?」
「じゃあボクが向こうに行った時に色々聞いてきますね」
「そうね、一応六花も話を聞いてきて頂戴。何か有益な情報が手に入るかもしれないから」
そんな話をしている内にお昼休みは終わり、4人は各自の教室へと向かった。
ちなみに家に帰った櫻と六花は両親に旅行の事は説明し、父が悩む間に母からの許しがあっさり下りたので早速荷物の準備を始めたそうな。
※翌日
「……あ! 六花さ~ん! こっちですよ~」
「凛ちゃんお待たせ。って何だか荷物が少ないね、大丈夫なの? 」
「はい。ある程度必要な日常品は向こうで用意してくてるみたいなので。それでも足りなかったら買いに行くとかなんとか」
(凛ちゃんの彼氏って本当にお金持ちなんじゃ……)
そんな六花のささやかな疑問は明かされる事はなく、2人は空港の受付へと歩いていった。
「すいません、今日この空港で予約させて頂いている早川 凛という者ですが」
「早川様ですね。すぐに確認致します」
手元のキーボードを叩く音がしばし続いたのち、受付のお姉さんが顔を上げる。
「確認しました。早川 凛様とご友人の榊原 六花様ですね。担当の者が伺いますので少々お待ち下さい」
2人は案内されるがまま職員の後ろを付いていく。通常のお客が通るゲートではなく職員専用の通路を移動していく。VIPルームと思わせる豪華な待合室に案内された2人はお互いに顔を見合わせ、何か言いたげな感じではあったがとりあえず待つ事にした。それから数分後………
コンコンッ
「失礼致しやす。本日お2人の送迎を担当させて頂く事になった内藤と言うものです」
「あ、はい。ボクは早川 り………え?」
「凛ちゃんどうし……え!?」
部屋に入ってきたのは身長が190はある大きな男で、髪は微かに白髪交じりでオールバック。サングラスを付けており、スーツ越しでも分かる鍛えられた体。何も言われなければどこかのヒットマンのようにも見える。
2人が黙ってしまったの見てこれは失礼とサングラスを外す。
「驚かせてしまったようで申し訳ありやせん。あっしは心の坊ちゃんに頼まれて、お二人のお迎えに来た者です」
サングラスの下には整った顔立ちに左目には三本の縦の切り傷が付いていた。本人曰くペットの猫に引っかかれてそれを隠す為にサングラスを掛けていたとか。
「す、すいません。改めまして、ボクが早川 凛です」
「私は榊原 六花です」
「と、なると貴女が心の坊ちゃんの恋人の……」
「はい。ボクが……え!?」
内藤と名乗る男は凛の両手を包むように手を握ると号泣しながら膝を付く。
「やっと……やっと心の坊ちゃんの男として歩む事が出来るだけでなく、こんなに可愛らしいお嬢さんとお付き合い出来るようになるとは…………小さい頃から繊細で人と話す事も苦手だった心の坊ちゃんが彼女を!うぉぉぉおお」
突然泣き出した内藤を目の前に凛と六花はどうしていいか分からなくなってしまった。内藤が落ち着くまでに10分ほど要したが、その後は最初のような落ち着いた雰囲気に戻り、2人の荷物を預かるとそのまま滑走路へと案内する。そこに用意されていた軽飛行機はセスナと称されるもので、内装もこれまた豪華である。中に乗り込む際に六花はペイントで隠されているイニシャル『KC』の文字を偶然見てしまったが、何も触れない事にした。
内藤は操縦室に移動し、凛と六花はゆっくりと空の旅を楽しむ。子一時間のフライトの後、セスナは心の住む町、『彩町』へと到着した。
※One of Heart side
空港の待合場で心は同じ所を行ったりきたりを繰り返していた。手元の時計ではもうすでに到着予定時刻になっているが中々お目当ての人はやってくる様子がない。何かあったのではと考えていると、通常のゲートとは別の場所から3人の人影が現れる。
「内藤さん、ここに心くんが待ってるんですか?」
「ええ。心の坊ちゃんからはここで待っていると連絡が………あ、あそこに居やすね」
内藤が指差す方向には背の高い1人の男性が立っている。向こうもこちらに気付いたのかこちらに向かって手を振っている。
「………! 心くーーーん!! 」
荷物を置き去りにし凛は走り出す。心も同じタイミングでこちらの方向へ駆け出していた。
勢いそのままに凛は心の胸の中へと飛び込んだ。心は勢いを受け流すようにその場で凛を抱きしめたままクルクルと何度か回り、ゆっくりと下ろす。
お互いがお互いを確認し、もう一度強く抱き締め合う。
「凛ちゃん、ずっと会いたかった」
「ボクもだよ心くん。どれだけ今日を待ちわびたと思ってるの?」
見詰め合う2人はまさに幸せの絶頂と言っても過言ではないご様子だった。
「まさか到着早々にこんな御暑い光景を見せられるとはね~」
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「榊原 六花さんですよね?初めまして、一 心と申します。いつも凛ちゃんからお話を伺ってますよ」
「初めまして。榊原 六花です。これからしばらくお世話になりますね」
4人は空港から出た後、入り口で立ち止まる。
「心の坊ちゃん、車を回してきますので少々お待ち頂けやすか」
「内藤さん、坊ちゃんはやめてよ。僕もう子どもじゃないんだよ?」
「すいやせん、どうにも昔からの癖が抜けないもので」
笑いながら内藤は駐車場へと向かっていく。
「あんな見た目だからびっくりしたでしょ?見た目はアレだけど凄く良い人なんだ」
「ねぇ心くん、ちょっと聞いてもいい?」
「何?凛ちゃん」
「心くんってお金持ちだったりするの?」
「どうかな?割と普通の家計だよ?」
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(2016-11-06 20:26)
選択肢は3を選びますね。修羅場だ修羅場だー(棒) (2016-11-08 10:47)
折角遊びに来て下さったので六花さんには特別な相手と決闘して貰いますね(*´ω`*)
>選択肢は3を選びますね。修羅場だ修羅場だー(棒)
いやぁ乱世乱s(殴2人の内騒ぐのは1人なんですけどね?ボソリ (2016-11-08 12:34)