第五十九話　目的地は３０㎞先①　作：怪盗七夜月

・朝、有希の本の栞に書いてあったのが気になり、行ったら発信機が。そしてなんと校長室の地下には
　鉄道があることも発覚。咲夜は有希を救う為、電車に乗り込み、いざ出発！
　⋯⋯にしても、なんで学校に電車があるんだ！しかも校長室に！！


学校から電車に乗り込み３０分が経過。咲夜は⋯⋯思いっきり寝ていた。これで人助け等出来るのであろうか。

咲「⋯⋯」
　目覚めると駅についてた。電車にアナウンスが流れてるので今着いたらしい。そうだ、手形。

？「あなた誰？」
咲「これ⋯⋯」
　ヨハンから貰った手形を渡した。すると割とすんなり通してくれた。

咲「久しぶりだな、『カサミシティ』は⋯⋯」
　そんな事を言ってるが、発信機を見ないと位置さえ分からん。発信機を見た。まだ全然遠い。

咲「遠い！」
　端末を見ると距離にして３０㎞近くある。

咲「おっちゃん！」
男「なんだい？あんちゃん？」
咲「こっから３０㎞先って何がある？」
男「３０㎞⋯？だと『ルーズベルト』付近かな？どうしてだい？」
咲「ここから『ルーズベルト』まで歩いてかないといけないんだ、ありがと！」
男「ちょっと待ちな！これ使って！」
　持ってきたのは自転車。

咲「良いんですか？こんなカッコいいの！」
男「ああ、いいとも。乗りこなしてくれよ！」
咲「ありがとう！」
男「気を付けてな！」
　咲夜は直ぐに自転車に乗り、走り出す。

咲「長旅だな⋯⋯」
　咲夜は走り続ける。咲夜、『ルーズベルト』まで約３０㎞地点。


その頃、有希は⋯⋯
有「⋯⋯！」
　目覚めた時、体は縛られていた。

有「ここどこ⋯⋯？」
　　周りは真っ暗闇。誰も居ない。

有「助けて⋯⋯咲夜⋯⋯！」
　有希は切に願った。


咲夜はひたすら自転車を走らせていた。

咲「おい⋯⋯マジかよ⋯⋯」
　吊り橋だ。ボロボロで今にも崩れそうだ。実は咲夜、高い所が「超」が付く程苦手なのである。

咲「でも⋯⋯！」
　咲夜は自転車を押し、ゆっくり渡り始める。目を瞑って。こんな所で死んだら最悪だ。

咲「絶対に⋯⋯有希は助ける！」
　心に決めていた咲夜はゆっくりだが着々と渡って行っている。

咲「終わった！」
　無事、渡り終えた。その瞬間、「ガラガラガラ⋯⋯！」と橋が崩れた。

咲「一足遅かったら死んでたな⋯⋯」
　そう言うと、また自転車に跨り、走り始めた。この時、『ルーズベルト』まで２５㎞地点。


その頃有希は⋯⋯
有「⋯⋯！⋯⋯」
　泣き出しそうな有希。そこに

？「起きたんだ⋯⋯遅かったわね⋯⋯」
　黒マントの人物。顔も見えない。手に何も持ってはいない。

有「ここは⋯⋯？」
？「言わない」
有「貴方は⋯⋯？」
？「教えない⋯⋯」
有「⋯⋯」
すると
？「これ見なさい」
　有希は何かと「これ」を見る。
有「ウ⋯⋯意識が⋯⋯」
　有希は意識を失った。
？「⋯⋯駒がまた一人⋯⋯」


第六十話へ続く