Turn001 遊騎、参上！　作：「勅使河原」が読めぬ

時は、デュエル戦国時代…。

デュエルの熱は世界中に広まり、今やデュエルタクティクスは一つのステータスとなっている。

そのためデュエリスト達はランク付けされており、最上位に位置するSランクのデュエリストは、皆それぞれの「デュエルスタジアム」を所有している。

Sランクのデュエリストを、同じ属性を使うデュエリストがスタジアム内で倒せば、そのスタジアムはそのデュエリストの手に渡り、Sランクデュエリストの座も手に入れられる。そのため、デュエルスタジアムには連日、多くの猛者達が集う。

「よし…」

弱冠15歳のこの少年・炎藤遊騎(エンドウ・ユウキ)も、そんな猛者達の一人であった。

「穂村熱士(ホムラ・アツシ)！　勝負だ！」

スタジアムに入ると、遊騎は唐突に、このスタジアムの主である穂村に挑戦状を叩きつけた。

「お、久々の挑戦者だな…いいぜ。相手になってやろうじゃねーか！　行くぞ、デュエル！」

スタジアムの床に描かれたデュエルフィールドに立つと、それを構成する線が光り出す。先攻を取る穂村の方が、より強く光っていた。

「先攻はオレがもらう！　BK　ヘッドギアを通常召喚！」

カードが発動されると、デュエルフィールドにそのカードが具現化される。例えばこの場合、モンスターゾーンの真ん中にヘッドギアが立つのだ。

「召喚時効果でデッキからBK　シャドーを墓地へ送る！　続いて通常魔法、バーニングナックル・スピリッツを発動！　デッキトップのBK　ベイルを墓地へ送り、シャドーを特殊召喚！」
「いきなり２体並べてきたか…」
「まだ終わらねーぜ！　２体でエクシーズ召喚！　来い、BK　拘束蛮兵リードブロー！」

スタジアムには当然ながら観客もおり、繰り広げられるデュエルに歓声を沸かせる。

「さすがSランクデュエリストだな…」
「カードを２枚セットしてターンエンドだ！」

穂村のフィールドの光が弱まり、代わりに遊騎のフィールドの光が強くなる。

「行くぞ、俺のターン！　ドロー！　まずは通常魔法、炎熱伝導場を発動だ！　デッキからラヴァル・キャノンとラヴァルのマグマ砲兵を墓地へ送る！　そして通常召喚、ラヴァル炎火山の侍女！」
「ほう、久々の挑戦者だと思ったら、お前も炎属性使いか！　ここのスタジアムをくれってか？」
「ああ、そうだ！　通常魔法発動、真炎の爆発！　墓地からラヴァルのマグマ砲兵を特殊召喚だ！　マグマ砲兵の効果発動！　手札のラヴァル・コアトルを墓地へ送り、お前に５００ダメージを与える！」

ライフポイントが増減すると、デュエリストの横にそれが表示される。穂村の横に、３５００という文字が浮かんだ。

「くっ…」
「さらに、炎火山の侍女とマグマ砲兵でシンクロ召喚だ！　ラヴァルバル・ドラゴン！　効果発動！　墓地に存在するキャノンとコアトルをデッキに戻し、お前のリードブローを手札に戻す！」
「何！？」
「ドラゴンでアタックだ！」
「ぐあぁぁっ！？　…やはり２０００ダメージはこたえるな…」
「俺はカードを２枚セットしてターンエンドだ！」
「オレのターンだ、ドロー！」

穂村がニヤリとほほ笑んだ。

「通常召喚！　BK　スイッチヒッター！　効果で墓地のヘッドギアを特殊召喚する！　さらに魔法カード、死者蘇生を発動！　墓地のベイルを特殊召喚！」
「来るか…」
「レベル４モンスター３体でエクシーズ召喚！　No.105 BK　流星のセスタス！」
「またエクシーズ…強い…」
「まだだ！　RUM―バリアンズ・フォースを発動！　セスタスをランクアップだ！」
「…まさか…！」
「流れ落ちる彗星のごとく、炎の拳士は現れる！　来たれ、CNo.105 BK　彗星のカエストス！」
「カエストス…お前のキーカードだな？　何度かお前の闘いを見たことがある」
「それなら、効果も分かるよな？　お前のドラゴンを破壊し、２０００ダメージを与える！」
「ぐわぁぁっ！」
「お前のライフは残り２０００、カエストスの攻撃力は２８００！　この攻撃で終わりだ！」
「させるか！　罠発動、炎陣爆発！」
「なっ…！」
「墓地のドラゴンを除外し、お前のカエストスを破壊だ！」
「カエストス！」
「これで攻撃できないな！」
「ちっ、悪運の強い奴だ…ターンエンド！」
「よし…俺のターン！　ドロー！　通常魔法発動だ！　封印の黄金柩！　デッキからラヴァル・ウォリアーを除外する！　そして通常召喚、ラヴァル・キャノン！　効果で除外されているラヴァル・ウォリアーを特殊召喚だ！　そして、エクシーズ召喚！」
「エクシーズ召喚だと！？」
「燃え盛れ、炎の海竜！　溶岩の海より湧きあがれ、俺のキーカード！　ラヴァルバル・チェイン！」

モンスターゾーンの一つから溶岩が湧き出ると、その中からチェインが這い出てきた。

「馬鹿な…俺が、負けるだと…」
「お前のライフは残り１５００、チェインは１８００！　俺の勝ちだ！」
「ぐっ…ぐあぁぁぁ！」

そうして…。

「炎藤遊騎、挑戦状だ！」
「おう！　かかってこい！」

遊騎は、このスタジアムの主のSランクデュエリストとなったのだった。