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HOME > 掲示板 >  雑談掲示板 > 皆の小説披露して♪

雑談掲示板

フォルダ 皆の小説披露して♪
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ここでは以下の様な小説を大歓迎!

・中二病の時に書いた恥ずかしい小説
・ガチで小説家を目指す人の原石という名の小説
・趣味の一環で書いてる小説
・勢いで書いた読み切り小説

さあ!皆さん投稿どんどん投稿して下さい♪

とりあえず、他の人の作品とゴチャゴチャにならないように
作品タイトル、話数は必ず入れて下さいね(´Д` )

コメント数 82 閲覧数 4711
Re:皆の小説披露して♪
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真性のアホだwww

Re:皆の小説披露して♪
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前書き↓
元々文字数制限があるところに投稿していたので一区切りが短いです。

ですが、あえてそこに着目して文字数制限の中で頑張って書いた作品です。


タイトル:貴方は近くて遠い。君は遠くて近い。


幼稚園の頃からあなたとずっと過ごして来た。

でも、あなたは私を友達としてしか見てくれない。

私の気持ちはあなたにしか向いていないのに、あなたの気持ちは私には向かない。

あなたと触れ合った時間の中であなたを意識しなかった事は無かったのに、あなたは他の子の話を私にする。

あなたのその笑顔を私にだけ向けて欲しいのにあなたは他の子にもその笑顔を向ける。

そんなある日、あなたは独りになった。

私は決めた。

あなたに私の想いを告げる事を……。

例えどんな結果になってもこの想いを告げる事が出来れば、それだけでも良いの…。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

幼稚園の頃から君は僕の隣にいた。

初めの頃は胸のざわつきを感じたがそれが何か分からないまま放置していた。

中学生の時クラスの子から告白された。

あの頃からある胸のざわつきはまだ分からないままだったが告白してきたその子と付き合う事になった。

高校に上がり君は僕の隣にいるけど傍にいるもう一人に気を使っている事は一目で分かる。

そんな折にあの子は僕以外に想い人が出来たらしい。

丁度良い機会だ、あの頃からある君といると感じるこの胸のざわつきの答えを知るのに。

次の日曜日にでも何処かに連れ出して聞いてみようかな……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あなたが私を次の日曜日に遊びに誘ってくれた。

いつ以来だろうかあなたから遊びに誘われたのは……。

私は喜びと決意を胸に秘め当日を迎える。

まだ残暑を感じる日曜日、あなたが昔褒めてくれた白のワンピースで私は待ち合わせ場所に向かう。

あの頃の様に褒めてくれる事を笑顔で迎えてくれる事を期待して私は向かう。

待ち合わせ場所は最寄りの駅前の時計の下、そこそこ大きな街で人通りも車の交通量も多いけど、私は直ぐにあなたを見つけた。

高鳴る鼓動は走っているからなのかあなたへの想いからなのかどうでも良い。

早くあなたの元に……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕は次の日曜日、君を遊びに誘った。

待ち合わせは駅前の時計塔の下、君を誘うのに幾分緊張した事は黙っておこう。

今日のプランは綿密に練って来た。

遊園地で遊び回って日の入りの少し前に観覧車に乗り込み例の話を切り出す。

そして、こういう待ち合わせの時は30分前に着いて置くのが鉄則。

ふと視線を上げると待ち合わせ場所から見える横断歩道の向こう側に白のワンピースが眩しく見える。

そのワンピースを着ているのが君だと直ぐ分かった。

時間にはまだ余裕があるけど君は走っている。
その時、視界の隅の信号はまだ赤だった……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あなたは俯いていた。

私はあなたが何故俯いているのか分からない。

あなたの顔から雫が落ちていく。

あなたは俯いて涙を流している様に見える。

私が声を掛けても応えてくれない。

私の声があなたに届かない……。

私は何だか哀しい気持ちになる……。

前にもこんな事はあったはずなのに、何でだろう。

私もあなたの様に涙が流れそうになる。

ふと気が付くと横断歩道の向こうにいる人達がざわついている。

ざわつきの中で微かに救急車という単語が聞こえた気がした。

視線を落とすとあなたがいて、私の足元には真っ赤な水溜まりがあった……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕は自分の目を疑った。

真っ白なワンピースを着ていた君が今は真っ赤なワンピースを着て倒れている事に。

僕はその現実を受け止められず涙が溢れ出している。

君を抱きかかえ僕は泣き叫ぶ……。

叫んだ、君の名を。

叫んだ、助けを。

叫んだ、君への想いを。

もう僕の声は君に届かないかもしれない。

それでも、僕は叫んだ。

駅前という事も有り人は多く、誰かが救急車を呼んでくれたのだかろうか。

救急車がやって来て君は救急車に乗せられる。

僕も乗り込むがまだ現実を受け止められずただ泣くしかなかった。

僕は願う、君の無事を……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私は怖くて後ろを見れなかった……。

あなたが泣き叫ぶ声は聞こえたけど、内容までは分からなかった。

理解出来る精神状態じゃなかった。

しばらくすると救急車が来てあなたはそれに乗り込んで行く。

私はただ、その姿を眺めているだけしか出来なかった……。

救急車がその場からいなくなると入れ替わりに警察の人達が来た。

警察の人達は私に目もくれず人混みの方に行きその場を納め始めていた。

そして、私は気が付く。

あなたが何故ここからいなくなったのか、他の人達が私を気にも留めないのか。

それは今ここにいる私が『幽霊』だから……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれから数時間……。

君はガラスの向こう側で沢山の管に繫れて寝ている。

病院に着いた時には君は既に虫の息だったらしいが医師の懸命な処置の末、今に至る。

そして、僕の手元には君の着ていたワンピースだった布がある、君の血で染まった布が……。

しばらくして君の両親がやって来た。

こんな形で君の両親にまた会うなんて思っていなかった。

君の両親は泣きながら君がまだ生きている事を喜んでいた。

だけど、事故の原因が少なからず僕にもある。

その現実で僕の胸が締め付けられる。

また涙で視界が歪んでしまう。

君とまた話したい……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

外はすっかり日も落ち辺りは暗くなり始めていた。

私はこんな状態ながらフラフラ出歩くのは良くないと判断して自宅にいた。

そう、私は『幽霊』になってしまったのだから……。

私の両親はまだ帰って来ない、きっと連絡を受けて病院に行っているのだろう。

帰って来る最中改めて私が『幽霊』だと実感した事があった。

それは身体が宙に浮いたり、物体をすり抜けたり出来た事だ。

現に私は自分の部屋まで鍵を使わず宙に浮きながら窓の外を眺めている、あなたの事を考えながら……。

そして、私のこれからを考え出すのは夜が明けてからの事だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

気が付くと時刻は22時をとうに過ぎていた。

君の両親に促され仕方なく今日は帰る事にした。

君から離れたくない、離れている間に君が何処かに行ってしまうのではないかと不安になる。

夜空を見上げるとそこには雲一つ無く無数に瞬く星があった。

小学生の頃に君と星を見に行った日の事を思い出し、また涙が頬を伝う。

改めて思う、君の存在が僕にとってどれだけ大きなものなのかを。

家に着くと僕は真っ直ぐベットに向かった。

薄れ行く意識の中で今日の事が夢でまた明日君がいつも通り迎えてくれる……。

そんな淡い期待をして眠りにつく。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日が昇り、いつもなら登校する時間。

だけど今の私は『幽霊』誰も気付いてくれない……それでも私は淡い期待を胸に登校する。

学校に着いて暫く校門の辺りで漂っているとあなたが暗い顔をして登校して来た。

きっと私の事で悩んでくれているのかな……目の前であんな事になっちゃったし、そういえば私の体どうなっちゃったのかな……。

教室に行くと私の机の上には花瓶が有り、それに花が一輪刺さっていた。

あなたはそれを見て泣き崩れる。

次の瞬間あなたは私の机の上の花瓶を掴み取り床に叩きつけた。

あなたの放つ言葉で私も泣きそうになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夜が明けて平日の朝が始まる。

そしていつも通りの時間に登校する。

昨日の悪夢が頭をよぎって不安にかられる。

僕は君と過ごした教室に着くと君の机の上には花瓶に花が刺さっていた。

それを見て悪夢を思い出す、君がいなくる夢を。

だが、それは悪夢だと自分に言い聞かせ僕は花瓶を掴み取り床に叩きつけた。

そして僕は泣きながら叫んだ。

「小夜は……神田小夜はまだ死んでねぇ!必死に生きようと頑張ってるんだ!だから……こんな物必要ないんだ!」

教室で一人泣き崩れる僕を君はどう思ってくれるだろうか。

僕を愚かだなんて思わないで。



後書き↓
ご意見、ご感想をお待ちしております。

今回のこの作品はプロローグです。

なので好評の場合に限り続編を執筆しようと考えています。

Re:皆の小説披露して♪
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まず、主人公設定が不明(つまり容姿は読んでるお前らの頭脳におまかせ状態)なんで冒頭にでもちょこっと書いておくといいんじゃね?


第1章から主人公中心の本編始めたいんなら序章を短めに圧縮()しないと読み手も飽きるぞ


でも心底期待してるwktk

Re:皆の小説披露して♪
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真DMⅡ【継承されなかった記憶】

元ネタ
真DMⅡ継承されし記憶

登場モンスター
旧神族の皆さん
元儀式モンスターの皆さん

第1話「ゲーム借りてきたよ!」

これはとある街のとある少年と、とあるモンスター達の物語・・・

遊戯「ねぇねぇ城之内君!何か面白いゲームないかな!」

城之内「あ?えっとな・・・。あ、そうだ!」

遊戯「?」

城之内「これ貸してやんよ!」

遊戯「なぁにこれぇ、継承されなかった記憶?」

城之内「あぁ、面白いぜ?じゃ、俺もう帰るわ!」

遊戯「え?待ってよ!一緒に帰ろう!」

城之内「すまねぇな遊戯、今日は大事な用があってよ・・・じゃあな」

遊戯「うん・・・じゃぁまた明日!」

遊戯は城之内に手を振りながら見送った

一方の城之内は不気味にニヤッと笑った・・・


遊戯「ただいま~!」

遊戯は自分の部屋に行くと城之内から借りたゲームをPS2にいれ、電源を入れようとする。

遊戯「あれ?つかない・・・どうしてだろう」

遊戯はコードなどをチェックする。どこにも悪いところは見当たらない。

遊戯「う~ん・・・」

その時だった。突然、ゲームが起動し、テレビ画面が激しく光りだした。

遊戯「な、なんだ!?」

そして、画面から何かが出てくる。

モンスター「う、うぅ・・・」

遊戯「き、君は・・・!」

混沌をまといし騎士。

遊戯「カオスソルジャー!?」

カオスソルジャー「ユ、ユギさ・・・ま・・・」

遊戯「え?」

カオスソルジャー「セ、セトが・・・ぐぅ!」

カオスソルジャーは倒れてしまった・・・

遊戯「い、一体何が・・・!!」

突然、テレビから空へ向けて激しい光が放たれ、やがてそれは各地へ拡散していった・・・

Re:皆の小説披露して♪
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≪いっきゅーさん
あ・え・て、そういう風に書いたんですよ(´Д` )

という言い訳……(ー ー;)

≪ヴェノミヤ
情景描写不足が否めないですが、悪くない思いますよ(´Д` )

Re:皆の小説披露して♪
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>ヴェノミヤ
SSなら


ほにゃららららららr
ほにゃららららららr


海馬「俺のルールd」


遊戯「解せぬ」


ほにゃらら
ほにゃr


っていうように地の文と会話文を分けるのが王道

Re:皆の小説披露して♪
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おぉ、みやびん

今読み返して、今気づいた…
「私」と「僕」がいることに…
(最初読んだとき、主人公が1人なのかと勘違いしてた…)

いやー
改めて読んでみたらなかなかいいと思ってしまった…

Re:皆の小説披露して♪
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唐突だが読んでくれ、嫌だったスルーしておk。また1話1話が短い場合があります。

女戦士の日記帳

1ページ目

私は女戦士のレイ・モン。とある王宮に仕える戦士だ。しかし今は戦争中、おまけにドジな仲間のせいで敵国に捕まってしまった。そして今ここは敵国の地下牢、精一杯叫んだところで到底外には届かないだろう。さて、どうしたものか・・・・。
         カツ カツ カツ カツ
ん?この足音・・・そうか、またあいつか・・・厄介だな・・・。
???「ふふっ、さて、昨夜は良く眠れたかな?レモンちゃん」
レイ「レイ・モンだ。・・・・オウラン・ジー・・・!」
オウラン・ジー。敵国の将軍であり、尚且つ私の牢の看守という訳だ。いや、べつに敵国の将軍が厄介という訳ではない、ただ、ヤツにはとんでもない癖がついていt
          バシッ!!
レイ「っっつぅぅ・・!」
これだ。なんの伏線もなく突然これだ。まあ今回は平手打ちだったがな。とにかくヤツは気まぐれなんだ、ものすごく。敵国の国王以上に気まぐれとも噂されているぐらいらしいからな。
オウラン「くくっ、どだったかな?オレの平手は、くくっ。あ~あほっぺが真っ赤だ、くくっ。さて、次は・・・そうだ、○○○にしよう」

さあ○○○は何をした?

Re:皆の小説披露して♪
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真DMⅡ【継承されなかった記憶】

元ネタ
真DMⅡ継承されし記憶

登場モンスター
旧神族の皆さん
元儀式モンスターの皆さん

第2話「ぷっよぷよ」

カオスソルジャー「うぅ・・・ここは?」

カオスソルジャーはあたりを見渡す。

遊戯「あ、起きた?」

カオスソルジャー「はっ!ユギ様!」

遊戯「違うよ、僕は武藤遊戯だよ」

カオスソルジャー「なに?ならばユギ様は・・・?」

遊戯「とりあえずこれやってみようよ」

遊戯はゲームを取り出した

カオスソルジャー「これは・・・」


ゲーム「ぷよぷよ!」

遊戯とカオスソルジャーはぷよぷよというゲームを始めた。
遊戯はぷよぷよをやりながらユギという人物のことを聞いている。
どうやらユギは赤薔薇派のプリンスらしい。
そして、セトとは薔薇十字団のリーダーらしい。
カオスソルジャーがいた世界では「薔薇戦争」というものが起こっていて、赤薔薇派のユギ達は白薔薇派のセト達に追い詰められているらしい。
そして、セトの切り札は圧倒的な力を持っているらしく、そのモンスターに対抗できるのはカオスソルジャーだけらしい。

カオスソルジャー「私がいなければユギ様は・・・」

遊戯「・・・」

遊戯は何も言わずにぷよぷよをしている。
そして遊戯は決意した。

遊戯「よし!君の世界へ行こう!」

カオスソルジャー「ありがとうございます、遊戯様」

その時、ゲーム画面に古代文字が浮かび上がった。

遊戯「なぁにこれぇ」

カオスソルジャー「では、私が読みます」

ルール
この世界に散らばった儀式モンスターをゲームで倒し、聖杯を手に入れよ。
聖杯をすべて揃えたものはぷよぷよせよ。
そして扉は開かれる。

遊戯・カオスソルジャー「なぁにこれぇ」

Re:皆の小説披露して♪
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なぜぷよぷよ・・・ww

Re:皆の小説披露して♪
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6話「俺ってフレンドリー?」



-「高等超能力学校」登校途中の道-

 さて、昨日は放課後まんまと2番の奴にやられてしまった訳だが、次はそうはいかないぞ。ふっふっふ、また絡まれないように、今度は俺の方からいってやる。待ってろ、1番、4番。

そうして自分で意気込んで歩いていると、曲がり角から人が走ってくる。どん! 軽くぶつかる。あっ、これ前にもあったな。その時は白河だったから良かったものの、今度はいきなり殴りかかりはしないぞ。ぶつかった人を見てみる。白河じゃないな。うん。女の子だ。力の事もあったし、少し慎重に見てみる。胸は中ぐらいか? 160ぐらいの灰色っぽい髪のショートの女の子。俺は手を差し伸べて言う。

「ごめん!大丈夫だったか?」

ちょっと大げさに尋ねると、「ありがとう」でもなく、「いったーい!」でもない、ましてや「どこみてあるいてんだ!」でもない、予想しなかった返事が返ってきた。

「こっちは大丈夫やけど、そっちは大丈夫とちゃうで!ほんまごめん!」

ん? 大阪弁? 珍しいな。元気はつらつな声が返ってきた。てか、言われた事が何の事だか全然だ。予想にない言葉を言われて少し理解に時間がかかる。ぶつかった子は俺の服を指差して何を……ッ!

「うわーーっ!ソースが!」

俺の服の腹の辺りには茶色いソースがべっとりと付いていた。なんで! ? なんでソースなんや! と心のツッコミが思わず関西弁になってしまう。

「すまん!うちがたこ焼き食べとったばっかりに……」

「なんで朝にたこ焼き食いながら歩いてんだ!」

思わずツッコンでしまう。どうやら、この子の食べていたたこ焼きが俺の服に付いたらしい。俺の服から香ばしい匂いが。と、とりあえず水洗いしないと。俺は今着ているワイシャツを脱ぐ。

「うわあ!自分大胆やなあ!」

いきなり服を脱いだ俺を見て激しく狼狽する女の子。

「いや、これはちがくて!早く水で洗わないと取れなくなるから!ここら辺で水無い?」

女の子に聞いてみる。女の子は赤くなった顔を手で隠しながら答える。

「こ、こっちに公園があ、あったで……」

そう言って女の子は女の子が今来た道を戻っていく。付いてこいって事か。俺も、女の子が行った方向に付いていく。

-「高等超能力学校」登校途中の道の公園-


 ふう。とりあえずしみにはならなそうだな。ワイシャツを洗った俺は、偶然持っていた体操着に着替え、とりあえず寂れたベンチに座って一息つく。ふう。すると隣に女の子が座ってきて言った。

「それにしても自分、いきなり服脱ぐかいな。びっくりしたわ」

「しょうがないだろ。これでしみ残ったらどうしてくれんだ。お気に入りなんだぞ」

俺はちょっと怒る。これ、結構いい奴なんだよ。そうすると、また女の子が謝る。

「ほんまごめんって。許してーや」

「まあ、いいけどさ」

大体、朝くうもんと言ったら普通パンとかだろ! なんでたこ焼きなんだ。聞いてみよう。

「でも、なんでたこ焼き食ってたの?」

「それは、うちの大好物だからや!ウチの能力で作ったんやで!パイロキネシスっていうんや」

そういうと女の子は手からボッ! と火を出してみせる。能力者か。まてよ、それなら……。

「もしかして、高等超能力学校にいる?」

「せや。正確には、今日転入するんや。1年1組に!」

「俺と同じクラスか。よろしく!俺、黒田優ってんだ。優って呼んでくれ」

「ウチは、南火憐(みなみかれん)。かれんって呼んでな!よろしゅう!」

俺はかれんと握手をした。でも待てよ、クラスの中に入るって事は誰かが抜けるって事?

「かれんは出席番号何番で入るんだ?」

「ウチは入る時に4番の奴倒したから、そこに入るんや」

まじか。俺より強い奴を倒して入ったのか。まあでも、丁度いい。これで出向く必要がなくなった、って訳だ。後は1番だけ。

「俺は5番なんだ。お互い頑張ろうな!」

「せやな。ちゅうか、そろそろ学校いかんと遅刻するで!」

そうだった! やべえな……。急ぐか。俺はかれんを担ぎ、言う。

「俺が連れてってやる。しっかり捕まってろよ~!」

「ちょ、そんないきなり……」

よし。走るか。俺は最大限の力を出し、学校に向かう。

-「高等超能力学校」校門-


 はあ、はあ。なんとか間に合った。息を切らしながら走った甲斐があったぜ。さ、早く校内に。

「ほら、俺が場所案内してやるよ」

「ちょ、ちょっとまってーな!」

俺はかれんを急かす。早くしないと、豊田が、来る。

-「高等超能力学校」1年1組-


 ふう。危なかった。とりあえずかれんは職員室へ行った。先生に挨拶をしてくるらしい。俺はどっかりと席に座った。ふう。朝から疲れたぜ。

ガラガラ。豊田がかれんと共にやってくる。皆が一斉に席に着く。

「さて、貴様ら。今日は見ての通り、転校生がいる。って、おい、黒田。お前なんだその格好」

あ、体操着着てる事忘れてた。どう言い訳しようか。えーと……、そうだ!

「ちょっと転んだら派手に破けた」

うん。我ながら良いいい訳だ。

「どう転んだら破けるんだ!まあ、いい。とりあえず自己紹介をしろ」

よっしゃ。なんとかごまかせたぜ。豊田がかれんを急かす。かれんが丁寧に黒板に名前を書く。なるほど、漢字ではああ書くのか。かれんが振り返って挨拶する。

「大阪から来ました南火憐です。どうぞよろしゅうおねがいします」

「じゃあ、南はそこの空いている席に座ってくれ」

豊田が俺の隣の席を指差す。隣の席か。なんかの縁なのか、意識しすぎなのか。

「よろしゅうな、優」

「ああ、よろしく」

改めて挨拶をする。かれんがニコッとしてこちらを向く。心が和やかになるこの笑顔をかれんスマイルと名付けよう。そうバカな事を思ってると、何故か優子がこちらを睨む。それを瞬とちのが眺めてニヤニヤ。なんだよ皆。嫌な予感しかしなかった。


 さて、休み時間。だが、俺の席の周りはもう修羅場にしか見えない。優子とかれんが俺の隣同士で睨み合ってるのを、瞬とちのが何とも微笑ましそうに見ている。頼むから助けてよ2人とも。

「あんた、誰?」

おっと、最初に優子が仕掛けた! 

「誰ってさっき自己紹介したやないか。自分聞いてなかったん?」

おおっと、かれんも挑発ー! って何でこんな事やってるんだ。自分でやってて悲しい。でも、今は現実逃避したい。

「そういう事を聞いていたんじゃなくて、つまりその……」

優子が言葉を詰まらせる。それに鋭くかれんが反撃する。

「ははあ、わかったで。自分、うちが優と仲良くしてて気に食わないんやろ?」

かれんが優子にそういうと、優子は図星らしく、顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。かれんがふふんと勝ち誇る。

「まあまあ、転校初日からケンカもなんだし、仲良くなる為に私達も自己紹介しようじゃないか。私は跳村瞬。瞬と呼んでくれ。よろしく」

なんとか瞬が場を取り繕ってくれる。瞬様~! こういう時は本当に頼りになる人である。瞬に習ってちのと優子も自己紹介する。

「私は篠戌ちのですー。よろしくですー」

「わ、私は、黒田優子よ」

なんだそのそっけない挨拶。協調性がない奴だなぁ。

「よろしくな皆!」

かれんがニコッと笑顔を見せる。とたんにさっきの事が嘘の様に和やかな雰囲気になる。さっきまでケンカしてた優子までもが和やかな顔をしている。かれんスマイルは偉大だ。

「さ、さっきは、悪かったわ。ごめんなさい」

「ええよ。うちも言い過ぎたし」

2人がしっかりと握手をする。仲直りできてよかったな。俺も一安心。

「で、2人はどこで知り合ったんだ?」

瞬が聞く。ああ、まだ言ってなかったな。するとかれんが代わりに答えてくれる。

「ウチらは優の、は、裸を見て知り合ったんや……」

かれんが頬を朱色に染めながら言う。……え? 説明端折りすぎじゃね? それじゃ誤解しか生まないんじゃ……。

「「「ええっ!?」」」

一瞬でまた殺伐とした雰囲気に。

「優の変態ーーーーーーっ!!!」

パシーン! 優子のビンタを皮切りに瞬、ちのまでがボコスカと殴ってくる。おまけにちのが犬まで呼ぶ。ちょっと待ってこれは死ぬ……。

「誤解だぁーーーーーーっ!!!」



Re:皆の小説披露して♪
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いいね♪あんぱん。かわいいじゃないか、カレンちゃん!俺も上げよう!

Re:皆の小説披露して♪
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~愛死逢う~
第一話「中毒」

「はぁ…はぁ…」

暗い闇の中に一人の荒い息が響く。

「まだ…まだ、足りない…!」

それは、女性だった。

「もっと…もっと…!」

それは、高校生だった。

「私に………殺意を!!!!」



それは、殺人鬼だった。

彼女の周囲には、たくさんの死体と、赤黒い血溜まりがある。…そして、彼女の右手には、鋭く尖った切っ先を覗かせる刀が握られていた。そう、彼女は殺人を犯したのだ……。

「こんなムサイ大人、殺したって何の得にもならない……もっと…若い…………中学生とか♪」

笑みにも似た奇怪な顔をして、彼女はその場をあとにした……


{場所は変わり、夜我中学校…}

「ふあ~~~。退屈だなぁ……」
俺は大きなあくびをかき、机の上に突っ伏した。
(バンッ!!)
「毎日に、活気を出せ!!」
いきなり、近くから大きな音が聞こえた……何だろ?ま、俺にはかんけいないK
(バンッ!!)
「一日、一日に楽しみを見つけろ!!」
ん…?俺に向けられているのかな?ま。ほっといてくれ……今は、そんな気分じゃ…
(コンッ)
「山本まこ水着写真集ねぇ……」
「っ!!」
(ガバッ!!)
なんだ!?今の呪文は!!
「お、起きた。ハロロ~♪」
やっぱテメェか………ハッ!!
「どどどどどどど」
やばい。声が……!
「?」
目の前の敵は、疑問符を浮かべているが、それどこじゃねぇ!!
「ど、どうしてお前がその宝を……!?」
「あ?これ~?慶太に言って、借りちゃった!」
笑って、事情を説明するコイツは、俺のクラスメートの多々良 美香。周囲からは、元気で活発、そして明るい。クラスのムードメーカー的存在。だが!俺からしてみれば、睡眠妨害をしてくるおせっかいだ。そして、そいつの手には、俺が1か月前コソコソと溜め込んだお金でやっと買った秘蔵の宝が、握られていた。
「慶太のやつめ……!許すもんか!!」
(ガシッ)
「おおっと!………どこ行くのかな…?まさか、逃げようとか……考えてないよね!!」
(ニコッ)
はい。考えてました。ホントは知ってたんだ。慶太は悪くないって☆コイツに脅された奴は、何も手出しなんかできないんだから。今の俺のように…
「えと…あと……」
何か……理由を……!
「言い訳は、これを捨ててからきいてあげるから!」
そういって、彼女は、青く丸い筒に、宝をポイ。見事な、正確性だった。
「ぎゃああああああああああああああ!!!!!!」
そうして、俺の退屈な日常は幕を閉じた。



でも……まだ知らなかったんだ……この時の俺は。
本当の非日常はこんなもんじゃないことを……

第一話 完

※非定期更新です

Re:皆の小説披露して♪
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一応小説の決まり書いとくね

」の前に。を付けない 例:「あ。あ」○ 「ああ。」×

!?の後には1文字分空ける(「」の中は例外)

…は偶数個で使う

段落の冒頭は一文字開ける

Re:皆の小説披露して♪
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へえ…しらなかた。あんぱん。ありがと!!

【忘却ヘイズ】諸注意
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≪!attention!≫

●この小説は「カゲロウプロジェクト」のSSです。
設定等で不明な点がございましたら、公式サイト、またはニコニコ大百科かピクシブ百貨辞典の「カゲロウプロジェクト」の項を参照してください。

●主人公は作者のオリジナルキャラですが、それ以外のキャラクターは作者が新キャラを出さない限り本家様のキャラクターのみです。

●途中、作者の不備により本家様の設定との相違が発生する場合がありますが、ご了承下さい。

●作者の脳の不具合により、稚拙な表現、または中2臭い描写が含まれる場合があります。ご理解とご協力をお願い致します。

上記4項目のうち1つでも納得いかない方は、閲覧しないことを大いに推奨します。

【忘却ヘイズ】第1話
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≪平凡の炎天≫


ピピピピピピ……

「……んっ……」

携帯のアラームが、室内に鳴り響く。朦朧とした視界の中、ボクは手探りでスマホを取った。見ると、画面には「10:00」と表示されている。

「……なんだぁ、まだ夜じゃないですかぁー……」

ボクは安堵の溜息を漏らし、再び布団の中にモソモソと侵入する。
……にしても、夜だというのに不思議だなぁ……。カーテンの隙間から、一筋の光が煌々と……

「って!もう朝だよ!」

うむ、実に良いセルフツッコミだ。今日も快調。ボクは伸びをしてベッドから起き上がる。
カーテンを開くと、隙間から漏れていた光は瞬く間に拡散し、ボクに襲いかかるようだった。
いつものように部屋を出て、リビングに向かう。

「おはよー……」

眠い目を擦りながらリビングに辿り着いた。が、そこには誰もいない。

「……あぁ、そうだった。」

もうここには、ボクの家族はいない。所謂1人暮らしである。

「しっかし……慣れないなぁ、家族が家にいないってのは」

ボクの家族は父親の仕事の都合で日本を離れ、海外に行っているらしい。ボクはこっちでの学校生活があるから、と置いていかれたんだけど……。
きっと、ボクを避ける為の建前なんだろう。
仕送りはくれるから、全く愛していないという訳ではないだろうが。
昔は比較的賑やかだったからか、部屋に響く声が何とも寂しい。

「……シャワーでも浴びるかな」

ボクは髪質がデリケートなので、こうして朝シャンをしないと髪が凄いことになる。
どうなるか……というのは、筆舌に尽くし難い。
個人的には髪型なんてまったく気にしていなかったのだが、「中身がアレなら外見に気を使わなきゃ」という母親の忠告により続けた結果……
今では日課となり、毎日浴びないと落ち着かない。

そんな回想に浸りながら、シャワーの蛇口を捻った。流れ出した水は全身を伝い、次第に温かくなっていく。

「んー……良い良い」

朝シャンが習慣になってからというもの、ボクはシャワーを浴びないと目が覚めない。
気持ちが良いので嫌ではないのだが、学校に行っている時も絶対に浴びていたので遅刻しそうになることも多々あった。

「……さて、こんなもんでいいだろ」

そういってシャワーから出た時には、もう30分は経っていた。とはいえ、いつもよりは少し短い気もしている。普段だったら45分は浴びるところだ。
そのまま水滴を拭き、服を着る。 今日は外出するつもりなので、いつもよりまともな服装だ。
灰色のフード付きパーカーに、イギリス国旗が大きくプリントされた白いTシャツ。黒いジーンズ。そして最後に……いつも通りの、伊達眼鏡。

「……ん、今日も良く視える」

……?伊達眼鏡で「良く視える」はおかしいって?理由なんていずれ分かるよ、いずれ。

「……って、誰に言ってんだろ……?」

全く、ボクは何を言ってるんだか。……まぁいいや。

それにしても、外出するのは久しぶりだ。
夏休みに入り、部活も無いボクは擬似的なヒキニート生活を満喫していた。正直、家の外に出ようなんて、微塵にも考えていなかった。
……じゃあ、何故外に出ようと思ったのか?
理由は実にシンプル。
我がソウルメイト、パソコンことパーソナルコンピューターが急逝してしまったからである。
バッテリーが完全に御臨終して下さったので、起動すらままならない状況。
それだけを買い換えることも出来ないでは無いが、それならいっそのこと新しいPCを買ってしまおうと思った訳だ。
だが、そこで事件は起きた。
パソコンのバッテリーが逝ったのは8月14日の午前0時30分。
詰まる所……「お盆」だ。
今日と明日はお盆休み、その所為で宅配は動かない。
宅配に頼るならば、届くにしても2日後の8月16日からだ。
耐えられない。無理だ。PCに2日間も触れないなんて、絶望以外の何物でもない。破滅主義者も大歓喜の、超弩級の絶望である。
そんな苦行をするぐらいなら、例え炎獄の中だろうと、新しい相棒を買いに行こうという考えだ。

「……朝飯……は……コンビニで買うか」

独り言を呟きながら、財布やら携帯充電器やらを鞄に無造作に詰め込んでいく。
そして耳を、イヤホンで蓋をした。外の音は遮断され、軽快な音楽が耳元から流れ出す。
この感覚が……すごく好きだ。

心無しか外界から隔離された気分になり、ちょっとだけ自分を大きく見せられる。……器が小さい、訳ではない。多分。

「さ、もう良いかな」

紺のスニーカーの紐を結び、玄関のドアに手をかける。

「……じゃ、いってきます」

誰もいない部屋には、ボクの声だけが虚しく響いた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「……マジであっちぃ」

そう呟いて、清々しいまでに青い空を憎々しげに睨みつける。茹だるような熱気が、外に出たボクをご丁寧にお出迎えしてくれた。暑苦しい空気が、ボクの身体を包み込む。全くもって大きなお世話だ。
家からコンビニに辿り着くまでの道のりでさえ、身体中から汗が吹き出し、ボクの全身を湿らせていった。

「はぁ……死ねる……」

加えて擬似ヒキニートしてたこともあって、歩いている疲労もかなりのものだ。せめて早くデパートに辿り着き、涼みたい。
そんなことを考えながら朝食の焼きそばパンを頬張っていると、突然人にぶつかった。

「あ、すいませ……」

その人を見上げた瞬間、ボクは思わず息を飲んだ。
綺麗な深緑色の髪。精悍な顔立ち。そして何より……吸い込まれそうな赤い瞳。

「……すまん」

という彼の言葉に、ふと我に返る。どうやら放心状態に陥っていたらしい。まったくもって情けないものだ……。

「あ……えと、すいません」

そういって、ボクはそそくさと離れた。
暫くすると、彼は友人であろう人達と共にゾロゾロと歩いていく。どうやら彼もデパートに用があるようだ。

(……赤い目、か……)

彼の赤い目。あのどこか異質な赤色には既視感がある。もし、彼が『ボクと同じ』なら……

「……」

特別会う用事も無いのだが……何故か彼らとはまた会うことになるような、そんな何かを感じていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

数分後。
ボクはやっとの思いでデパートの前まで辿り着いた。汗塗れになって既に疲労困憊のボクを、立ち昇る陽炎が嘲るように揺らめいている。

「……それにしても……でかい」

所々にガラスが張られ近未来的なデザインをしたデパートは、ボクの前に立ちはだかる城壁のようだ。見た目的には、テロが起きた米国の貿易ビルに近いだろうか。 このデパートは、ここ最近の都市開発の一貫で立てられたもので、公式サイト曰く『館内のいたるところに最先端技術をとり入れコンピューターで安全管理……』とある。来年になったら『最先端』というワードは取れているに違いない。
……ダメだ、今の状態だと視界に映る全てが忌々しく感じる……早く入ろう……

自動ドアがボクをもてなすように開くと、中から風邪を引きそうなぐらい涼しい風が流れた。先刻までアスファルトで塗り固められた灼熱地獄を歩いてきたボクには、まさに神の息吹と形容するに相応しい代物である。

「うぁー……涼しい……」

おっと、いけないいけない……余りにも素晴らしくて、つい頬が緩んでしまった。早くPC売り場のある7階に行かないと……!?

(……!!)

ボクが目をやった先には、なんと……ケージの中で戯れる子猫達がいた。
何を隠そうボクは、無類の猫好きである。子猫がそこにいるならば、愛でずにはいられない。マンションがペット禁止でなければ、今頃ボクは大量の猫を侍らせて悦に浸っていたに違いないだろう。

(……いや、だが今ボクは新たな相棒を買わなければならない。迅速に、かつ迅速に……!
…………けど……)

「?にゃぁ?」

ケージの中の子猫は、ボクに向けてボクを誘惑するかのようにあざとく首を傾げる。かっ……可愛い…………

(でも……少しぐらいなら……ね?)

ボクの意志は、一匹の子猫の前にいとも簡単に砕け散った。
……ボクは自分でも呆れるぐらい、猫という生き物に弱かったのである。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ふぅ……危うく、本来の目的を見失うとこだった……」

まさかあんな所にアメリカンショートヘアがいたなんて……あのまま途中で思い出さなければ、閉店
まで撫で繰り回し続けていたかもしれない……
30分で済んで良かった。

「取り敢えず、早いとこ7階に行かないとなぁ」

そう思ってエレベーターに向かうと、群雄割拠と言わんばかりにひしめき合う人、人、人。
よくもまぁこんなクソ暑い日に、わざわざお互いの汗に濡れた身体を擦り付けるような真似をしようとするもんだ。
エレベーターはやめにしよう。
こういう時1番空いてるのは……階段か?
先程までのボクだったら「エスカレーターの方がマシ」と言っていただろうが、猫に触れ合うことで体力を回復している今のボクは、健康的に階段を登るという選択肢も厭わない。
静かだから元々嫌いではないし、階段にしよう。

エレベーターの横にある階段を、足音を立てて登っていく。案の定、こんな階段を使用している奴らは滅多にいない。静かだ。ボクはコツコツと足音が響き渡る、この感じが好きだったりする。
耳元から流れる音楽を鼻歌でなぞり登っていくと、話し声が聞こえてきた。まさか、わざわざ階段を選ぶような輩がボク以外にいるなんてなんてね……

「マリー頑張れ。あと少しだ」

「いやキド、ここまだ4階だからね?」

「マリーちゃん、しっかり!」

「はぁ……はぁ……死ぬぅ…………」

更に登って行くと、奇妙なやり取りをしている4人の男女がいた。そのうちの1人に見覚えがある。さっきぶつかった人だ。
男子2人に女子2人……いや、もしかして彼、女の子……?
ってことは男子1人に女子3人……ハーレムかよ。一思いに爆発しろ。

「ぜぇ……ぜぇ……もう、辛い……」

マリーと呼ばれていた白い髪の少女は、肩で息をしながら全身から汗を吹き出していた。あまりにも見ていられない状況だ。一応声でもかけてみるか?

「あのー……大丈夫ですか?」

「「「「!?」」」」

声をかけた途端、前にいた変わったパーカーの少女が、ギョッとした表情で勢いよく振り向いた。確か、さっきそこにいる男子に『キド』と呼ばれていた子だ。年はボクと同じぐらいだろうか。にしても大人びていて、中性的な印象だ。先程男子と間違えたのも無理ない。

「お、お前……俺達が見えるのか!?」

キド(?)は驚きを隠せないような感じでボクに問いかけた。

「え?もしかして、幽霊か何かなの?」

そう問い返すと、キド(?)の横にいた黒いパーカーを羽織ったし猫目の少年が薄っぺらい笑みを浮かべて

「まぁ、そんなもんかな」

と答えた。どうやらボクはいつの間にか霊感が強くなっていたらしい。幽霊と会話してしまったし、今度神社に行ってお祓いでもしてもらおう。

「カノさん、話をややこしくしないでください!」

そう言って、ピンクのパーカーを着た少女が猫目の少年を叱った。
そうか、この猫目はカノっていうのか。
それにしてもこの女の子、どこかで見た気がする……というか見たことがある。間違いない。

「あ、アイドルの如月 桃(きさらぎ もも)さん……?」

「あ……やっぱりバレちゃいました?」

そういって少女は頭を掻いた。
間違える筈もない。ボクは彼女の大ファンなのだ。
期待の新星アイドル、如月桃。
デビューして間もないにも関わらず、人の目を引く圧倒的な魅力とスター性を持ち合わせた将来有望な人気アイドルだ。
あの胸元に『鎖国』と大きく書かれた特徴的なパーカーは、確かこの前のライブでも着ていたものだろう。
……だけど、活動休止と噂されていた彼女が何故……?

「まぁ、ボクはファンですからね。そのパーカー、この前のライブで着てたヤツですよね!ボク、見に行きましたから」

「あはは、ホントですか?嬉しいですっ」

……流石アイドル、笑顔も実に可愛らしい。それにこの笑顔は、営業スマイルなんかじゃない。きっとそうだ。

「まぁ何があったか知りませんが、今日はプライベートみたいですし、何も言いませんよ。ボクは」

「あ、ありがとうございます……」

モモさんは苦笑いを浮かべた。なんか悪いこと言っちゃったかなぁ……

「2人で話してるとこ、ちょーっと悪いんだけどさ」

そういってさっきのカノとかいう猫目が話を遮った。まったく、人が大好きなアイドルと話しているのに、不届きなヤツだ。

「……何ですか?猫目さん」

「突然だけど……君、自分の『目』のことで困ったこととか……無いかな?」

『目』……。
やっぱり、あの時キドって人の『目』に感じた違和感は間違ってなかった。彼らは……ボクと同じものを持っている。

ボクは目に不思議な力がある。
いつ使えるようになったかは分からない。
だけど、能力が発動している間は目が赤くなり、人の『本当の気持ち』が見えてしまうのだ。
営業スマイルをしてるアイドルは素っ気ない顔に見えてしまうし、真面目そうなサラリーマンが電車の中で女子高生に鼻の下を伸ばしているのも分かってしまう。
それだけではないが……まぁ、それが大体だ。
決して見えて嬉しいものでは無いし、目が赤く光るため人には気味悪がられる。『化け物』……そう呼ばれたこともあった。
家族がボクから離れていったのも、恐らくはこの能力が不気味だったからだろう。

「……あるんだね、貴方も」

「まぁね。僕も含めてこの4人は、それぞれ皆がそう。『目』に関して、何か不思議な力を持っている」

そう言われて、改めて4人を見る。モモさんはあからさまに暗い顔……キドさんとカノは、普通の顔をしているが、キドさんの瞳は赤くなっている。能力を使っている証拠だ。で、さっきまで苦しそうだったマリーって少女はというと……キドさんの後ろに隠れている。ボクってそんなに怖い?傷付くなぁ……

「……あぁ、マリーは極度の人見知りなんだ。気にしないでやってくれ」

戸惑うボクに、キドさんがフォローを入れる。なんだ、そうだったのか

「そっか、マリーちゃんはコミュショーなんだね」

「……君はもう少し、初対面の人に対する言葉遣いを考えた方がいいかもね」

カノはやれやれというように溜息をついた。何か癪に触るな……。
と、ボクが若干不満げにしていると

「カノさんが言えたことじゃないんじゃないですか?それ……」

とモモさんがいった。それに続くように、マリーちゃんが

「カノよりはマシ……」

と呟いた。当のカノは、

「えぇっ、酷いよ皆!?」

とショックを受けているようだ。
そこに追い打ちをかけるように

「お前の方が悪いだろ、カノ」

「えっ、そんなキドまで!」

「じゃあカノさんが悪いってことで」

「君まで!?」

と、キドさんとボクが言い放った。カノはよっぽどショックだったのか、「僕の扱いって……」とうなだれている。
このカノってヤツは、弄ってて個人的に結構面白い。何か引っかかる感じはするが……。
そんなこんなで凹んでいるカノを一瞥し、キドさんが話しかけてきた。

「……まぁ、『目』に能力があるっていうなら……ちょっと、俺達と一緒に来てみないか?」

こちらからしたら、願ってもない幸運だ。能力を持ってる奴の集まりなんて、どんなライトノベルだって感じだ。そんな面白い場所、ボクには行かない理由が見当たらない。

「能力者の集団、ね。分かった。面白そうだし、買い物を済ませたらボクも同行するよ。……モモさんもいるしね」

「私目当て!?」

「まぁまぁ、それだけ熱心なファンがいるってことだよ。良かったね、モモちゃん」

「あ、別に……モモさんが嫌なら、構わないです、けど……」

ボクはあからさまに残念そうなフリをしてみせた。
人の良心を利用するような真似はなるべくしたくないが、事実そうなってしまっては残念なのであながち嘘ではない。

「わわ、別に大丈夫ですよ!?ただちょっとビックリしただけで……」

わたわたと弁解をするモモさん。可愛いなぁ……

「良いんですか!ありがとうございます♪」

少し手荒なやり方ではあったが、モモさんと仲間になれたのは人生最大の幸運といっても過言ではない。神様ありがとう。
ボクは1人でグッと拳を握りしめた。

「ちなみに君、名前は?」

名前……かぁ。
つまるところ、ボクは自分の苗字があまり好きではない。
決して変な名前ではないのだが、親との仲を思うとやはり若干の忌々しさを感じる。
……名前だけでも、別に良いだろう。

「……ユイ。苗字はあんまり好きじゃないから、ユイ」

「じゃあ……ユイ君。君は、何階にいくの?」

ここでボクは、忘れかけていた本来の目的を思い出した。そうだ、パソコンを買いに来たんだった。……実はボク、パソコンが無くてもどうにかなるんじゃないか……?
いやいやそんなことは無い。PCが無い生活なんて考えられない……はずだ。

「7階に、パソコンを買いに行こうと思って」

「7階か。俺達と一緒だな」

「そうだね。じゃあ、途中まで一緒に行こうか」

「いいね。これくらいの人数なら、嫌じゃないよ」

「わぁ、新しいメンバーだね!よろしくユイ君!」

モモさんは明るく笑い、ボクに手を差し出した。数分前に出会ったばかりだというのに、ボクに向けられる笑顔はこれでもかというぐらい眩しい。これがアイドルの力なのか、同じ悩みを抱えた仲間を見つけたからなのかは分からないが。

「あ、よろしくお願いします、モモさん」

ボクはモモさんと握手を交わした。嬉しいけど……まさか皆
ボクを男だと思ってる?

(……ま、面白いし、いっか。)

……この先、不幸にもボク達が大事件に巻き込まれるなど、この時は知る由も無かった。

Re:皆の小説披露して♪
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前書き↓
どうも今回は以前投稿した『貴方は遠くて近い。君は近くて遠い。』の短めですけど続編です。
思った以上に好評だったので頑張りました(しかし、山籠り明けという事もあり書き殴った感有りですので大目にみて下さいましm(._.)m

タイトル:貴方は遠くて近い。君は近くて遠い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

気が付くと教室の外には人だかりが出来ていた。

その人達の視線はあなたに向いてる……ただ一つを除いて。

その視線は真っすぐ私に向けられていた、『幽霊』である私に。

視線の主は私と目が会うと足早に去って行った。

私はその視線の主が気になった。

泣き崩れているあなたを置いていくのは忍びないけど、視線の主は私を見て表情一つ変えていなかった。

だからこそ私は何かを感じとったのかもしれない。

私は教室を後に視線の主を追い掛けた。

視線の主は待っていたかの様に階段の手前に佇んでいた。

私が漂う廊下を一度見ると無言で階段を登り始めたのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

泣き崩れている僕は窓を締め切っていたはずの教室に吹く一陣の風に我に帰った。

教室の外に人が沢山いる。

野次馬が大半だろうか、後ろにいる人が入り辛そうにしている。

そんな連中を他所に半べそ状態の僕は割れた花瓶を片付け始める。

蝉時雨の中、掃除も終わり朝礼までの僅かな時間の中で見つめるのは君の席でも野次馬連中が散り始めた廊下でもない。

青空に浮かぶ入道雲を眺めて現実逃避していると僕の席の前に一人の女の子が立っていた。

「あなた取り憑かれているわね」

女の子はそう言うと廊下の方に歩き出す。

取り憑く……何故かその言葉に心が引っ掛かり、僕は無言でその女の子の後をついていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

視線の主は私より少し小柄な女の子だった。

その子は無言で階段を登り続け屋上の扉に手を掛けた。

朝からサンサンと輝く太陽によって焼かれている屋上の真ん中まで歩くとその子は振り返って口を開いた。

「あなたはどうしてここにいるの?」

その質問はごもっともだ。

私は静かに胸に手を当てて答える。

「未練が……伝えてない思いがあるの」

私はあの日何も伝えられず今の状態になってしまった……いや、だからこそ今ここにいるのかもしれない。

「私は清水 玲花、もう分かっていると思うけど幽霊が見える体質なの……他にも除霊とか出来るけどね」

玲花と名乗ったその子は冷たい目でこちらを見つめる。

「でも安心して、今すぐどうこうするつもりもないから」

怯える私を素通りして玲花は階段の方へ歩いて行く。

「少しの間待っててね、すぐあなたの思い人を連れて来てあげるから」

玲花はそう言って屋上の扉を閉めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

女の子は僕よりずっと小柄だった。

その女の子は階段を登り屋上の扉に右手を掛ける。

しかし、扉を開けず右手を掛けたままこちらを振り向き口を開いた。

「ここまで来たって事は心当たりはあるのね……私は清水 玲花、自分で言うのもアレだけど幽霊が見える体質なの」

そう言って玲花と名乗るその子は屋上の扉を開けた。

僕と玲花以外いなかった……特に何か置いてある訳でもない。

しかし、玲花は真っすぐ屋上の真ん中辺りに向かって歩く。

そして、立ち止まって玲花は虚空を指差して言う。

「ここにあなたの心当たりがいるわよ」

しかし、玲花の指差す虚空は僕にとっては虚空でしかない……。

だが、そこに向かって歩み出す自分がいる。

そこに君がいると思うとじっとなんて出来なかった。

玲花が指を差したところの手前まで来ると僕は口を開いた。

「本当に……いるのか?」

無言で玲花は微笑を浮かべる。

気が付くと僕はゆっくりと虚空に向かって手を伸ばしていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

照りつける太陽……でも、今の私はその熱を感じられない。

玲花が屋上から去り私が幽霊である事を再認識していた。

しばらくすると屋上の扉が開き、玲花とあなたがいた。

屋上に再び現れた玲花は真っすぐ私のところに歩みよって来る。

そして、近くまで来た玲花は私を指差して言う。

「ここにあなたの心当たりがいるわよ」

あなたは玲花の指差す私のところへゆっくりと歩いて来る。

私の目の前で立ち止まったあなたはゆっくりと手を伸ばして来た。

私も手を伸ばしてその手に指を絡めるように重ね合わせた。


後書き↓
ご意見ご感想お待ちしておりますm(._.)m

Re:皆の小説披露して♪
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「本来、関西と関東にある藩の政治制度の違いは、モデルとしている政治形態が別の物だからで……ってもういいか……」

 ボサボサの髪を携え、余り清潔な感じのしない無精ひげを生やした顎をポリポリとかきながら、見た目四十代、齢三十歳の社会科講師松本信辰は、面倒くさそうに左手の教科書を閉じ、前時代の黒板の役割を果たす、電子パネル内のシステムチョークを無効化した。

「何故ですか先生! まだ開始十分ですよ」

 講義中にも関わらずそう言った教師に対して、眼鏡をかけた一人の男子生徒唐沢和輝は、電子パネルに書いてある事の倍以上もの分量を書いたノートパネルから目を離し、そう叫んだ。

「いやだって……」

 半ばあきれたような表情で松本は言葉を紡ぐ。

「オマエ以外誰もいないしな」
「…………」

 そこには和輝もツッコむことができず、押し黙るしかなかった。


 西暦2100年九月二日、午前八時五十分。夏休み終了後の二学期初日。

 焼け付くように熱く、もう少し夏休みが必要と思われるレベルの残暑。何故講義室に和輝と教員しかいないのか、と言われれば、みんなもう少し長く夏休みが欲しかったから、としか言い様が無い。更に言えば、一コマ一コマ自分で選択可能な単位制を採用しているこの国立高校で、最高気温三十四度のこの日に来る奴は結構な勉強好きだという事だ。
 しかし、講義に来る人数が一人にまで落ち込んでいるのは、偏にこの社会科講師の特性『眠くなる授業』のせいだろう。
 そしてこの特性には、生徒を眠くさせる以外の力がある。

 それは、自身をも眠くさせるという、教師どころか人としてどうかと思うレベルで必要のない能力だ。

――ただ、近年は能力といえば『あの事』を示す事が多いが。

「い、いや、それにしたって俺がここに居るじゃないですか! やだな~もう。俺一人だってやるべきですって。ほら、かの野口英世も言ってますよ。努力だ、勉強だ、それが天才だ。だれよりも三倍、四倍、五倍勉強する者、それが……」
「つーか、オレも今日くんのめんどくさかったし。あ~もう寝よ寝よ。んじゃ、そういう事で」

 ぴしゃん、と、戸が閉まる。要約すると、和輝がとにかく講義を続行させようと松本に向かって偉人のご高説を語ったが、松本はそのままガラリとアナログなドアを開けて出て行っていった、という事。
 入ったばかりで受験にあまり差障らないとはいえ、何だかんだ高校一年の時というのは、基礎を学ぶ大事な期間の筈だ。
 ここで「だるいから帰る」という台詞は、『藩』に一つしかない国立高校たるこの高松高等学校の教師が使うべきでは無いのは、火を見るより明らかだ。

「…………」

 和輝ひとりとなった教室に訪れる二度目の沈黙。そして次の瞬間、和輝は口を開く。

「あんたはそれでも教師かぁぁぁ!!」

 その数秒後、三度目の沈黙が訪れた事は言うまでもない。

Re:皆の小説披露して♪
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プロローグ



 俺は、弱かった。あの時から力の無い事は罪だと。だから、

          だから俺は、強くなった。

 あれは今から5年前、西暦3050年の事。人口の約3分の1が超能力を使えるのが一般常識になってしまった、狂った世界。
欲のある者は超能力なんて使えるようになれば当然、超能力を悪用するだろう。その欲望を具現化した最たる事件が、「世界PSI制圧計画」と称したテロだった。悪巧みをする超能力者が一丸となり、世界を征服しようと企んだ。その為にあいつらは、無関係な人たちを次々と虐殺しようとしたのだ。 
その中には運悪く俺と俺の家族も居た。ただ、いたというだけで。超能力者達は当時まだ事件が起こった事を知らない俺も例外なく殺そうとした……。

-4月、どこかの路地裏-

 僕は今時、寂れて誰も通らなそうな路地裏を泣きながら、ただひたすら走っていた。ここがどこかもわからずに。その理由は……。
「遊んでただけなのに、ぐすっ、なんで……ぐすっ、どこに逃げれば……」
 シュン! テレポーターが瞬間移動する時の音が、自分の前の暗闇から聞こえる。
「うわっ!」
「ヘッヘッヘ、俺から逃げられると思ったのかァ?」
 僕が逃げている理由。それは、何故か僕を狙っているこのテレポーターから逃げるためだ。だが、相手はテレポーター。すぐに回り込まれてしまう。
「ぐすっ、もう……」
「お前、随分手こずらせたじゃねえかよォ。じゃ、さっさと死ねや!」
 そう言い、テレポーターが手に持ったナイフを勢い良く振り上げる。
僕の人生はこれで終わりか……。そう思った刹那、テレポーターの手からナイフがからん、音を立てて落ちた。
「いってえ!てめえ、誰だ!」
 あれ? まだ生きている。一体何が起こったんだ? 僕は涙で潤んでいる目を擦って周りを見回す。すると、僕の後ろから人の声がした。
「小さい子を追い回すとは、感心しないな」
 振り向くとそこには黒髪の長い女の人がいた。顔は涙でぼやけて良く見えない。どうやら、テレポーターの手を打ったようだ。
「てめえ、女か?なめてんのか!俺の」
 テレポーターが喋り終わる前に、謎の女は目にも留まらぬ速さでテレポーターを殴った。テレポーターは拳を受けて死んだ様に倒れてしまった。す、凄い。超能力を使ったのだろうか?
「大丈夫か坊や?」
「う、うん、ぐすっ。大丈夫。ありがとう。でも、お姉ちゃんは誰?」
「私は正義の味方さ。君は早く逃げるといい。ここから真っ直ぐ行けば安全な所に行ける」
 お姉さんは今時のヒーローもしないような正義の味方宣言をした。でも、僕はそれを聞いて安心した。
「わ、分かった。ぐすっ、ありがとう」
 すると、お姉さんが僕の方へ近づいて、力強い眼差しでこう言ってくれた。
「男が泣くな。分かったか」
 その言葉には、何故かそうさせてしまう説得力があった。
「う、うん!」

 ……俺はあの時上を向き、涙がこぼれないように走るので精一杯だった。きっと親も逃げているだろう。帰ったら、いつもの家に戻っている。そう思って逃げるしかなかった。
しかし、あの事件が収まった頃、俺の家に行ってみると、そこには人の血が。壁にも床にもべっとりとついた血。まさに事件の凄惨さを表している。
俺はそれを見ても何も思わなかった。
いや、思えなかった。
日常を奪われて、自分の弱さを痛いほど心に刻まれて。何も、何も。無くなってしまった。どうすれば、よかったんだ。
 ……そうか、俺も強くなればいい。そうすれば無くすことも、ない。そう思った時から俺は特訓を始めていた。誰かを守れる強い奴になればいいんだ。あの時のあの人のように。

 西暦3051年。あの事件から1年。超能力が悪用される一方で、あの事件の事もあって、やっと警察も手を打った。警察にPSI課なるものができた。目には目を、歯には歯を。という事だろう。その課には、「PSI高等学校」(サイこうとうがっこう)という学校から、超エリート級の超能力者が配属されるというシステムになっているらしい。もちろん、俺の目標はその日からその学校に入る事になった。
 そしてあの事件から5年。16歳になった俺はPSI高等学校に入る手続きをする為、満開の桜が散る中、足を学校の校舎へと向けていた。そう、PSI高等学校へと……。

-4月、PSI高等学校、職員室前-

 まず、最初が肝心だ。息を整えてっと……。俺は職員室の扉を開ける。
「たのも~~!」
「誰だ貴様は?」
 俺が広い職員室を見渡すと、1人の職員がいた。黒髪ショートの女職員。背は175ぐらいか。見た感じ怖いが、びびるな俺。ここでもたもたしてる暇は無い。俺は腹から声を出して言った。
「俺は、黒田優(くろだゆう)!16歳男!身長は180センチ!超能力課に配属される為、入学を希望する!」
「貴様、どうやってここに入った?ここはとても厳しいセキュリティがあるし、PSI対策もしてあるんだぞ?」
 それって俺が来る時壊しちゃったやつかなあ? それだったらやばいな。恐る恐る聞いてみる。
「もしかして、それってレーザーみたいな奴ですか?」
「そうだ。お前心当たりがあるのか?」
 職員が凄んで聞いてくる。や、やべえ。これで入学できなかったらどうしよう。
「えーっと、あれ、来る時に壊しちゃいました……」
 ここは正直に言おう。てっきり怒られると思ったが、俺の答えを聞いた職員は何か難しい顔をして悩んでいる。ええーい、やけくそだ!
「と、とりあえず、入学を希望するんで、承諾してください!」
「うーむ…………。まあ、いいだろう。ただし、条件がある」
 やけくそで言ってみて正解だった。でも、条件ってのはなんだろうか?
「その条件とは何ですか?」
「私とバトルする事だ!」
「え?」
 職員とバトルだって! ? そんな事したら俺は入学もしてないのに即退学になってしまう。どうしたものか。
「ただし勝利条件は、私のつけているこの鈴を取れたらお前の勝ち。取れずに10分経ったら負けだ」
 なんだ鈴を取るだけか。本気の殴り合いかと思った。俺はほっと胸を撫で下ろす。
「よし、乗った!」
「ならば、場所を変えよう。付いて来い」
 俺の答えを聞いた職員は、どこかへ向かって歩き出した。俺も付いていく。さて、どんな所で取り合うのだろうか。

-PSI高等学校、体育館-

「よし。着いたぞ」
 そう言って立ち止まった所の目の前には学校の体育館があった。見た目は何の変哲も無いどこにでもある体育館だ。大きさ以外には。
「ここが?」
 自分ではもっと凄いところをイメージしていたので、期待していただけあって思わず不満の声が出てしまった。それを聞いた職員はこう言った。
「ここは超能力者が暴れても壊れないように出来ている。まあ、中に入ってみろ。そうすれば分かる」
 そう言って職員は扉を開ける。ギギギギー……。地獄の釜のふたを開けたような凄い音。中を見てみると、鉄の色がむき出しのとても頑丈そうな体育館だった。なんだここ。転んだりしたらとても痛そうだ。そう思っていると、職員が言った。
「ここはうちの学校が誇る、世界一頑丈な体育館だ!」
 職員が誇らしげに胸を張る。でかい胸がさらに強調される。ってそんな事考えてる場合じゃない。軽く叩いてみる。やはり硬い音がする。確かにでかいだけではないようだ。
「ここなら大丈夫だろう。さあ、全力でかかって来い!」
 職員が構えて言う。よし、やるか。
「オッス!いきまっす!」
 久しぶりに本気出すか。軽く準備運動した俺は足を踏み込む。めりめりっと床が大きい音を鳴らして、足の形にめり込む。 
「は?」
 さらに踏み込むと、体育館の床に半径10mぐらい、深さ2mぐらいのデカイ穴がぽっかりと開く。世界一頑丈なんじゃなかったのか? というぐらい簡単に穴は開いた。俺の近くにいた職員は油断していたようだ。俺と共に穴に落ちる。床の下までもが鉄でできているようだ。春なのにひんやりとしている。俺は穴に落ちてすっかり地面に腰をついている職員に瞬時に近づき、腰についている鈴を取った。
「もらい!」
 ちりん。俺の手に収まった鈴が鳴った。鈴は職員の体温が移り、少し温かかった。
「あ」
「これで入学決定だー!」
 思わずガッツポーズをとる。やっと、目標に近づいた。能力は無いが、ここで頑張ってやる。
「おい!体育館どうしてくれるんだ!」
「まあまあ、そんなことどうでもいいじゃん」
「どうでもよくない!貴様、どうしてくれんだー!」

 こうして俺は、この事件を見た生徒達が名づけた「脳筋不良無能力者」という長ったらしい通り名を背負って、「PSI高等学校」に入学したのであった……。



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