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5th days疾風 烈風 ドラグニティ 作:蓮木
私は友人の雛と新しく出来たクラスメイトの想さんを追って教室を出た。私が通った道は入学式が終わった後、教室に向かう時に使っていた道筋を辿りつつデュエルスペースに向かっていた。教室に向かっている時には意識してなかったが、やはり大都市の学校なのだなあと思う。地元で通っていた学校ではそこまで教室数が多くなかったりた、デュエルスペースも決して広くはなかった。だが、ここは大都市の学校だ。数多くの教室で生徒が過ごしており、デュエルスペースも各フロア各所にあり、どこも賑わっている。今までは決して見た事の無い光景に、私は心を強く打たれていた。
「教室を出てようやくデュエルスペースに着いたけど・・・遠過ぎる。やっぱり大きい学校は色々と違うものねえ。」
「もー! おーそーい! 想ちゃんが待ちくたびれたって言ってもう一人で勝手にデュエルしてるよ?」
「ごめんごめん・・・色々教室とか道を確認しながらだったから、遅れちゃった。」
立ち止まったり地図を確認しながら移動し、歩いた時間にしておよそ10分を少し過ぎたほど、私は1年生棟から一番近い三番デュエルスペースに到着した。色々考えながら歩いて10分なら、慣れていけば半分ぐらいには移動時間も減らせるだろうなーと思っていたらそこには少し不機嫌な雛の姿があった。早く来ないから少し不機嫌だったのかなと思いつつ、謝った。
「まー私は別にいっつも祈といるから、こういう事があるのは知ってるから良いんだけど、想がもう意気揚々とガシガシデュエルしてバンバン連勝してるからねー。今からデュエルして向こうの勝ち続けてる勢いに飲み込まれないにしなきゃね。」
「アドバイスありがと、それじゃあやってくるよ。」
不機嫌な顔をしていた雛はすぐに顔を元通りに戻した。不機嫌な顔だったが決して本気で怒ってる訳では無いと、長年の付き合いであるから知っていた。本気で怒ってるならアドバイスなど貰わないだろうし。私はそのアドバイスに分かったよと返事をしながら、想さんのいるデュエルスペースに向かう。デュエルスペース横の記録板には現在4連勝の文字が見えた。4連勝という事は私がここに来るまでの時間の10分少々で、1戦を2分そこそこでデュエルしていたという計算になる。そうするとかなりの高打点なデッキなのかなと意識しつつ、デュエルスペースへと上がる。
「おう! 待ってたぞ、イノリ! 今の私は連勝続きでゼッコーチョーだからな!」
「ええ、あの掲示板を見る限りそうみたいね。でも私に勝てるとは限らないよ? 自信満々でいて浮き足立ってると痛い目見るからね!」
「「ーーデュエル!!」」
祈:4000 (先行)
想:4000 (後行)
こうして今日初めて出会った二人のデュエルは開始した。
「私のターン、『マンジュ・ゴッド』を召喚。効果で手札に『高等儀式術』を手札に加えるよ。そしてカードを1枚伏せてターン終了だよ。」
《マンジュ・ゴッド》
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1400/守1000
(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した時に発動できる。
デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。
《高等儀式術》
儀式魔法
儀式モンスターの降臨に必要。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、デッキから通常モンスターを墓地へ送り、手札から儀式モンスター1体を儀式召喚する。
デュエルディスクによって決められた先行は私だ。この手札で出来ることをやり切り、ターンを渡す。
祈:4000 手札3枚
(EXモンスターゾーン:なし メインモンスターゾーン:マンジュ・ゴッド 魔法&罠ゾーン:セットカード1枚)
「オレのターン、ドロー! オレは手札から『成金ゴブリン』を3枚発動するぞ! イノリのライフが3000増えるけど、オレは3枚ドローするぞ!」
ターン受け取った想さんの様子を伺おうと思っていたが、ドローしてからの行動に驚いた。成金ゴブリン3枚って、めちゃくちゃ低い確率だろう。初手から全部持ってたのか、ドローした奴に最後の1枚があったのかは分からない。だが想さんが連勝を続けてるし、そういった細かくて強いヒキがあっても仕方ないのかも。そう思うことで自分を無理やり納得させた。
祈:4000→7000
「そしてオレは手札から『テラ・フォーミング』を発動! デッキからフィールド魔法をカードを1枚手札に加えるぞ!」
《テラ・フォーミング》
通常魔法(制限カード)
(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。
想さんの手札が半分ほど入れ替わった後、使われたのはテラ・フォーミング。フィールド魔法を便利に取り寄せられるカードで、私も良く使うカードの一つだ。テラ・フォーミングを使った後、手札から発動するフィールド魔法でデッキを大まかに判断出来る事も出来る重要なカードだ。これから使うカードには意識しておきたい。
「オレはデッキから『竜の渓谷』を手札に加えて、そのまま発動するぜ!」
《竜の渓谷》
フィールド魔法
(1):1ターンに1度、手札を1枚捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●デッキからレベル4以下の「ドラグニティ」モンスター1体を手札に加える。
●デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。
テラ・フォーミングの効果で持ってきたのは竜の渓谷だった。竜の渓谷というと『ドラグニティ』デッキのサポートだがドラグニティだけではなく広くドラゴン族等の墓地肥やしとして使われてきた。この後想さんが墓地肥やしか、ドラグニティを持ってくるか・・・・・・それで想さんのデッキがより分かるだろう。
「オレは手札の『ドラグニティ‐ファランクス』を捨ててレベル4までのドラグニティを手札に加えるぜ! 手札に加えたのは『ドラグニティ‐ドゥクス』! そして加えたドゥクスを通常召喚!」
《ドラグニティ-ファランクス》
チューナー・効果モンスター
星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100
(1):1ターンに1度、このカードが装備カード扱いとして装備されている場合に発動できる。
装備されているこのカードを特殊召喚する。
《ドラグニティ-ドゥクス》
効果モンスター
星4/風属性/鳥獣族/攻1500/守1000
(1):このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル3以下のドラゴン族の「ドラグニティ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのドラゴン族モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):このカードの攻撃力は、自分フィールドの「ドラグニティ」カードの数×200アップする。
これで相手のデッキがほぼ『ドラグニティ』だと想定出来た。鳥獣族とドラゴン族の混合テーマで、装備されるモンスターを特殊召喚しながらの連続シンクロが特徴的だったはず。この後どのエースモンスターに着陸する動きをするのか、期待して見ている事にする。
「召喚した『ドラグニティ‐ドゥクス』の効果発動! 墓地にある『ドラグニティ‐ファランクス』を装備する! そして装備カードとなったファランクスを特殊召ーー」
「特殊召喚する動きにチェーンして、手札から『増殖するG』を捨てて効果発動。このターン想さんが特殊召喚するごとに1枚カードをドロー出来る。」
《増殖するG》
効果モンスター
星2/地属性/昆虫族/攻 500/守 200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、相手ターンでも発動できる。
(1):このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
このターン、以下の効果を適用する。
●相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、自分はデッキから1枚ドローしなければならない。
「あっ! 出たな悪ムシめ! お前はシンクロとかやる時にいっつも飛んでくるんだ!」
「仕方ないでしょ、ここで打つのが1番効率良いし。全力でデュエルしてるからね。」
私はドラグニティと分かった上で、この装備カードから特殊召喚になるタイミングに増殖するGを手札から発動させた。これに対して周りからちょっとした悲鳴等が聞こえたり、打たれた本人もシンクロを使うと大体相手の手札から飛んでくるから悪ムシだと言った。個人的にGより許せない人が多そうなのは、『灰流うらら』じゃないだろうか、可愛くて効果も優秀だし。文句を言われた私は全力でやるが故の策であるとしか説明が出来ない。今打たなかったら逆に『舐めプ』とか言われそうで怖い。取り敢えずチェーン解決として、私は1枚ドローした。
「全力でデュエルするなら仕方ないな! でも手札が増えても一撃で吹き飛ばしちまうのがオレの使うドラグニティだぞ! 私はドゥクスとファランクスでシンクロ召喚! 『ドラグニティナイト‐ヴァジュランダ』!」
《ドラグニティナイト-ヴァジュランダ》
シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻1900/守1200
ドラゴン族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター1体以上
(1):このカードがS召喚に成功した時、自分の墓地のレベル3以下のドラゴン族の「ドラグニティ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのドラゴン族モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):1ターンに1度、このカードに装備された装備カード1枚を墓地へ送って発動できる。
このカードの攻撃力はターン終了時まで倍になる。
「特殊召喚した事により1枚ドローする!」
手札3→4
全力でデュエルするなら仕方ないと、すぐに気持ちを切り替えた想さん。増殖するGに恐れる事無くシンクロ召喚を使っていく。
「そして召喚した『ドラグニティナイト‐ヴァジュランダ』の効果を発動! 墓地から『ドラグニティ‐ファランクス』を装備して、手札から『ドラグニティの神槍』を発動! この効果でヴァジュランダの攻撃力がレベルの数×100ポイントアップするぞ!」
《ドラグニティの神槍》
装備魔法
「ドラグニティ」モンスターにのみ装備可能。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):装備モンスターは、攻撃力が装備モンスターのレベル×100アップし、罠カードの効果を受けない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
デッキからドラゴン族の「ドラグニティ」チューナー1体を選び、このカードの装備モンスターに装備カード扱いとして装備する。
ヴァジュランダ:1900→2500
私も知らない装備カードが出てきた。デュエルディスクに出てきた情報を流し目で確認するとドラグニティにしか装備出来ず、レベルの数×100アップし更に装備されているモンスターに罠耐性を与えるという地味に便利な効果のようだ。これだけならヴァジュランダの効果を使っても5000にしかならないから安心出来そうーー
「まだだぞ! 更に続けてドラグニティの神槍の効果発動! 1ターンに1度デッキからドラグニティチューナーを一体装備カードとして装備出来る!」
アレっ? その効果、ドラグニティだと結構ヤバくないですか? 確かドラグニティに2回攻撃出来るカードがあったような・・・
「私が装備させるのは『ドラグニティ‐ブランディストック』! これでヴァジュランダは2回攻撃が出来るようになったぜ!」
《ドラグニティ-ブランディストック》
チューナー(効果モンスター)
星1/風属性/ドラゴン族/攻 600/守 400
このカードが装備カード扱いとして装備されている場合、装備モンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
外見には出さないが内心はめちゃくちゃ焦っている。今ライフ7000で恐らくヴァジュランダの効果を使ってくるから5000で2回攻撃が飛んでくる。1回目の攻撃に合わせて伏せてある『ダメージ・ダイエット』を発動してダメージを半減しつつ、マンジュ・ゴッドが破壊されて残りライフが5200になるから次ダイレクトアタックを貰ってもぎりぎり耐えられそうだ。
「そして更に装備カード『ビッグバン・シュート』と『巨大化』を装備!」
《ビッグバン・シュート》
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップする。
装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターをゲームから除外する。
《巨大化》
装備魔法
(1):自分のLPが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる。
自分のLPが相手より多い場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の半分になる。
ヴァジュランダ:2500→2900→5800
待て待て待て待て、確かにまだ何枚かカードを使ってなかったとは思ったが想さんのデッキまさかヴァジュランダの倍攻撃に特化して組んでる可能性が高い。『巨大化』は自分のライフと相手のライフとの差で装備モンスターの攻撃力守備力を倍または半減させるカード。そして『ビッグバン・シュート』は攻撃力上昇は400と少ないが防御貫通効果を与えるカードだ。もしかしたら壁モンスターを出て来ても無理やり乗り越える気が満載なのだろう。
「ヴァジュランダに装備されているファランクスを墓地に送って攻撃力をこのターンの終了まで倍にする! 」
ヴァジュランダ:5800→11600
想さんは案の定装備カードになっていたファランクスをリリースしてヴァジュランダの攻撃力を倍にする効果を使った。その結果攻撃力が11600になり、成金ゴブリンでライフが増えていてもワンショットが充分に出来るパワーを秘めたヴァジュランダが、私に迫ってくる。
「バトルフェイズ! ヴァジュランダでマンジュ・ゴッドを攻撃!」
「トラップ発動!『ダメージ・ダイエット』 このターン私に与えられるダメージは全て半分にする!」
《ダメージ・ダイエット》
通常罠
このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。
また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。
祈:7000→1900
ここで負ける訳には行かない為に、ダメージ・ダイエットを使って戦闘ダメージを軽減する。成金ゴブリンで回復させて貰わなければ、そもそも耐え切る耐え切らないの話にならなかった。そしてライフを貰ったが1回目の攻撃でその余剰分も使い、体力が1900になった。2回目の攻撃には耐えられそうにない。
「だけどここでオレのライフがイノリより上になったから『巨大化』の効果は攻撃力を倍加ではなく半減させる効果になる。」
ヴァジュランダ:11600→5800
「そしてこれがラスト! イノリに向けてダイレクトアタック!」
「手札から『護封剣の剣士』の効果発動! 相手のバトルフェイズ中にこのモンスターを守備表示で特殊召喚する!」
《護封剣の剣士》
効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻 0/守2400
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、特殊召喚したこのカードの守備力がその攻撃モンスターの攻撃力より高い場合、その攻撃モンスターを破壊する。
(2):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。
●このカードは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。
「そんなモンスターなんて構わず蹴散らしてやれ! 護封剣の剣士に攻撃しろ、ヴァジュランダ!」
祈:1900→700
増殖するGのおかげで引けていた護封剣の剣士を特殊召喚する事で自分のライフをギリギリながら残す事に成功した。それでもライフはもう風前の灯火、次のターンに全てをかけるしかない。
「オレはカードを1枚伏せてターンエンド。この時、ドラグニティナイト‐ヴァジュランダの攻撃力を倍加させる効果が終了する。」
ヴァジュランダ:5800→2900→1450
想:4000 手札0枚
(EXモンスターゾーン:ドラグニティナイト‐ヴァジュランダ メインモンスターゾーン:なし 魔法&罠ゾーン:巨大化 ビッグバンシュート ドラグニティの神槍 ドラグニティ‐ブランディストック セットカード)
「私のターン、ドロー! 手札から『高等儀式術』を発動! デッキから『青眼の白龍』を墓地に送って『青眼の混沌龍』を儀式召喚!」
《青眼の混沌龍》
儀式・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守 0
「カオス・フォーム」により降臨。
このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。
(2):「青眼の白龍」を使用して儀式召喚したこのカードの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールドの全てのモンスターの表示形式を変更する。
この効果で表示形式を変更したモンスターの攻撃力・守備力は0になる。
このターン、このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
私のターンに移り、ドローする。何枚かカードを引けていたのもあり、それなりに動きやすい。私は青眼の白龍を落として青眼の混沌龍を儀式召喚した。青眼の儀式というと、もう片方の相方のを思い出す人が多いだろうが、私はこちらのデザインの方が好きなので優先的に使っている。効果も優秀だし。
「そして私は手札の儀式魔法『カオス・フォーム』を発動! 墓地に落ちた青眼の白龍を除外して2枚目の青眼の混沌龍を儀式召喚!」
《カオス・フォーム》
儀式魔法
「カオス」儀式モンスターの降臨に必要。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地から「青眼の白龍」または「ブラック・マジシャン」を除外し、手札から「カオス」儀式モンスター1体を儀式召喚する。
「バトルフェイズ! 青眼の混沌龍でドラグニティナイト‐ヴァジュランダを攻撃! この時、青眼の混沌龍の効果発動! このカードを儀式召喚する時に青眼の白龍を使用した場合、攻撃宣言時に相手モンスターを守備表示にして攻撃力守備力を0にする!」
「でも守備表示ならダメージは受けないはずだ!」
「青眼の混沌龍は守備表示を破壊した場合守備力を攻撃力が上回った分のダメージを与える! 今のヴァジュランダの守備力は0、よって3000ポイントのダメージを与える!」
想:4000→1000
青眼の混沌龍がヴァジュランダを攻撃し、破壊した事でダメージを与えた。次の攻撃で決める!
「2体目の青眼の混沌龍で想さんにダイレクトアタック!」
「トラップ発動『王魂調和』! 直接攻撃される時に発動が出来て墓地からチューナー1体とチューナー以外のモンスターを任意の数除外してレベル8までのシンクロモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚する事が出来る!」
《王魂調和》
通常罠
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
その攻撃を無効にする。
その後、以下の効果を適用できる。
●レベルの合計が8以下になるように、自分の墓地からチューナー1体とチューナー以外のモンスターを任意の数だけ選んで除外し、除外したモンスターのレベルの合計と同じレベルを持つSモンスター1体を、エクストラデッキからS召喚扱いで特殊召喚する。
2体目の攻撃を止める為に伏せカードを使ってきた、このままだと直接攻撃は止まり、高ステータスなドラグニティが残る事になる。このカードは止めないと。
「手札から『レッド・リブート』を発動!」
「手札からトラップ・・・? 普通トラップは伏せてから使うものだろ?」
《レッド・リブート》
カウンター罠
このカードはLPを半分払って手札から発動する事もできる。
(1):相手が罠カードを発動した時に発動できる。
その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。
その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。
このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない。
使わない人からしたら疑問だろう。一部のワンショットキルデッキを扱うプレイヤーが採用するくらいで、多くのプレイヤーには見向きがされなかったカードだ。手札からトラップカードが飛んでくるとは普通は思わない。ごく一部のカードしか手札から発動する物がないのだから。
「『レッド・リブート』はライフを半減させることで手札からも発動する事が出来る! レッド・リブートの効果発動! 相手のトラップを無効にしてこのターン発動出来なくさせる! その代わり想さんは新しくデッキからトラップカードを伏せる事が出来るけど。」
「でもそれじゃあ・・・シンクロモンスターは出てこない?」
「そういうこと、なので攻撃は続行! 想さんにダイレクトアタック!」
王魂調和が不発となり青眼の混沌龍の攻撃が続行される。想さんには攻撃を止めるカードは存在しなく、ダイレクトアタックが決まった。
想:1000→0
「せっかく連勝が続くと思ったのに・・・悔しいぞ。しかも最後のトラップは見たことないカードだった、アレ凄いな!」
「手札からライフを半減させる事で発動出来るから便利だけど、トラップを使わせないだけ効果だから、発動したターンで決めるくらいじゃないといけ・・・」
私は対戦が終わった後、想さんに話しかけられてやり取りをする。余程手札からから発動したレッド・リブートが気になったらしい。私はレッド・リブートについて色々と説明しようとした。その説明の途中で、力が抜ける。活動限界を迎えたロボットのように一瞬にして力が抜けた私は、倒れた後の事を周りの人に任せるしかなかった。
「教室を出てようやくデュエルスペースに着いたけど・・・遠過ぎる。やっぱり大きい学校は色々と違うものねえ。」
「もー! おーそーい! 想ちゃんが待ちくたびれたって言ってもう一人で勝手にデュエルしてるよ?」
「ごめんごめん・・・色々教室とか道を確認しながらだったから、遅れちゃった。」
立ち止まったり地図を確認しながら移動し、歩いた時間にしておよそ10分を少し過ぎたほど、私は1年生棟から一番近い三番デュエルスペースに到着した。色々考えながら歩いて10分なら、慣れていけば半分ぐらいには移動時間も減らせるだろうなーと思っていたらそこには少し不機嫌な雛の姿があった。早く来ないから少し不機嫌だったのかなと思いつつ、謝った。
「まー私は別にいっつも祈といるから、こういう事があるのは知ってるから良いんだけど、想がもう意気揚々とガシガシデュエルしてバンバン連勝してるからねー。今からデュエルして向こうの勝ち続けてる勢いに飲み込まれないにしなきゃね。」
「アドバイスありがと、それじゃあやってくるよ。」
不機嫌な顔をしていた雛はすぐに顔を元通りに戻した。不機嫌な顔だったが決して本気で怒ってる訳では無いと、長年の付き合いであるから知っていた。本気で怒ってるならアドバイスなど貰わないだろうし。私はそのアドバイスに分かったよと返事をしながら、想さんのいるデュエルスペースに向かう。デュエルスペース横の記録板には現在4連勝の文字が見えた。4連勝という事は私がここに来るまでの時間の10分少々で、1戦を2分そこそこでデュエルしていたという計算になる。そうするとかなりの高打点なデッキなのかなと意識しつつ、デュエルスペースへと上がる。
「おう! 待ってたぞ、イノリ! 今の私は連勝続きでゼッコーチョーだからな!」
「ええ、あの掲示板を見る限りそうみたいね。でも私に勝てるとは限らないよ? 自信満々でいて浮き足立ってると痛い目見るからね!」
「「ーーデュエル!!」」
祈:4000 (先行)
想:4000 (後行)
こうして今日初めて出会った二人のデュエルは開始した。
「私のターン、『マンジュ・ゴッド』を召喚。効果で手札に『高等儀式術』を手札に加えるよ。そしてカードを1枚伏せてターン終了だよ。」
《マンジュ・ゴッド》
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1400/守1000
(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した時に発動できる。
デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。
《高等儀式術》
儀式魔法
儀式モンスターの降臨に必要。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、デッキから通常モンスターを墓地へ送り、手札から儀式モンスター1体を儀式召喚する。
デュエルディスクによって決められた先行は私だ。この手札で出来ることをやり切り、ターンを渡す。
祈:4000 手札3枚
(EXモンスターゾーン:なし メインモンスターゾーン:マンジュ・ゴッド 魔法&罠ゾーン:セットカード1枚)
「オレのターン、ドロー! オレは手札から『成金ゴブリン』を3枚発動するぞ! イノリのライフが3000増えるけど、オレは3枚ドローするぞ!」
ターン受け取った想さんの様子を伺おうと思っていたが、ドローしてからの行動に驚いた。成金ゴブリン3枚って、めちゃくちゃ低い確率だろう。初手から全部持ってたのか、ドローした奴に最後の1枚があったのかは分からない。だが想さんが連勝を続けてるし、そういった細かくて強いヒキがあっても仕方ないのかも。そう思うことで自分を無理やり納得させた。
祈:4000→7000
「そしてオレは手札から『テラ・フォーミング』を発動! デッキからフィールド魔法をカードを1枚手札に加えるぞ!」
《テラ・フォーミング》
通常魔法(制限カード)
(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。
想さんの手札が半分ほど入れ替わった後、使われたのはテラ・フォーミング。フィールド魔法を便利に取り寄せられるカードで、私も良く使うカードの一つだ。テラ・フォーミングを使った後、手札から発動するフィールド魔法でデッキを大まかに判断出来る事も出来る重要なカードだ。これから使うカードには意識しておきたい。
「オレはデッキから『竜の渓谷』を手札に加えて、そのまま発動するぜ!」
《竜の渓谷》
フィールド魔法
(1):1ターンに1度、手札を1枚捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●デッキからレベル4以下の「ドラグニティ」モンスター1体を手札に加える。
●デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。
テラ・フォーミングの効果で持ってきたのは竜の渓谷だった。竜の渓谷というと『ドラグニティ』デッキのサポートだがドラグニティだけではなく広くドラゴン族等の墓地肥やしとして使われてきた。この後想さんが墓地肥やしか、ドラグニティを持ってくるか・・・・・・それで想さんのデッキがより分かるだろう。
「オレは手札の『ドラグニティ‐ファランクス』を捨ててレベル4までのドラグニティを手札に加えるぜ! 手札に加えたのは『ドラグニティ‐ドゥクス』! そして加えたドゥクスを通常召喚!」
《ドラグニティ-ファランクス》
チューナー・効果モンスター
星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100
(1):1ターンに1度、このカードが装備カード扱いとして装備されている場合に発動できる。
装備されているこのカードを特殊召喚する。
《ドラグニティ-ドゥクス》
効果モンスター
星4/風属性/鳥獣族/攻1500/守1000
(1):このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル3以下のドラゴン族の「ドラグニティ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのドラゴン族モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):このカードの攻撃力は、自分フィールドの「ドラグニティ」カードの数×200アップする。
これで相手のデッキがほぼ『ドラグニティ』だと想定出来た。鳥獣族とドラゴン族の混合テーマで、装備されるモンスターを特殊召喚しながらの連続シンクロが特徴的だったはず。この後どのエースモンスターに着陸する動きをするのか、期待して見ている事にする。
「召喚した『ドラグニティ‐ドゥクス』の効果発動! 墓地にある『ドラグニティ‐ファランクス』を装備する! そして装備カードとなったファランクスを特殊召ーー」
「特殊召喚する動きにチェーンして、手札から『増殖するG』を捨てて効果発動。このターン想さんが特殊召喚するごとに1枚カードをドロー出来る。」
《増殖するG》
効果モンスター
星2/地属性/昆虫族/攻 500/守 200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、相手ターンでも発動できる。
(1):このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
このターン、以下の効果を適用する。
●相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、自分はデッキから1枚ドローしなければならない。
「あっ! 出たな悪ムシめ! お前はシンクロとかやる時にいっつも飛んでくるんだ!」
「仕方ないでしょ、ここで打つのが1番効率良いし。全力でデュエルしてるからね。」
私はドラグニティと分かった上で、この装備カードから特殊召喚になるタイミングに増殖するGを手札から発動させた。これに対して周りからちょっとした悲鳴等が聞こえたり、打たれた本人もシンクロを使うと大体相手の手札から飛んでくるから悪ムシだと言った。個人的にGより許せない人が多そうなのは、『灰流うらら』じゃないだろうか、可愛くて効果も優秀だし。文句を言われた私は全力でやるが故の策であるとしか説明が出来ない。今打たなかったら逆に『舐めプ』とか言われそうで怖い。取り敢えずチェーン解決として、私は1枚ドローした。
「全力でデュエルするなら仕方ないな! でも手札が増えても一撃で吹き飛ばしちまうのがオレの使うドラグニティだぞ! 私はドゥクスとファランクスでシンクロ召喚! 『ドラグニティナイト‐ヴァジュランダ』!」
《ドラグニティナイト-ヴァジュランダ》
シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/ドラゴン族/攻1900/守1200
ドラゴン族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター1体以上
(1):このカードがS召喚に成功した時、自分の墓地のレベル3以下のドラゴン族の「ドラグニティ」モンスター1体を対象として発動できる。
そのドラゴン族モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
(2):1ターンに1度、このカードに装備された装備カード1枚を墓地へ送って発動できる。
このカードの攻撃力はターン終了時まで倍になる。
「特殊召喚した事により1枚ドローする!」
手札3→4
全力でデュエルするなら仕方ないと、すぐに気持ちを切り替えた想さん。増殖するGに恐れる事無くシンクロ召喚を使っていく。
「そして召喚した『ドラグニティナイト‐ヴァジュランダ』の効果を発動! 墓地から『ドラグニティ‐ファランクス』を装備して、手札から『ドラグニティの神槍』を発動! この効果でヴァジュランダの攻撃力がレベルの数×100ポイントアップするぞ!」
《ドラグニティの神槍》
装備魔法
「ドラグニティ」モンスターにのみ装備可能。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):装備モンスターは、攻撃力が装備モンスターのレベル×100アップし、罠カードの効果を受けない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
デッキからドラゴン族の「ドラグニティ」チューナー1体を選び、このカードの装備モンスターに装備カード扱いとして装備する。
ヴァジュランダ:1900→2500
私も知らない装備カードが出てきた。デュエルディスクに出てきた情報を流し目で確認するとドラグニティにしか装備出来ず、レベルの数×100アップし更に装備されているモンスターに罠耐性を与えるという地味に便利な効果のようだ。これだけならヴァジュランダの効果を使っても5000にしかならないから安心出来そうーー
「まだだぞ! 更に続けてドラグニティの神槍の効果発動! 1ターンに1度デッキからドラグニティチューナーを一体装備カードとして装備出来る!」
アレっ? その効果、ドラグニティだと結構ヤバくないですか? 確かドラグニティに2回攻撃出来るカードがあったような・・・
「私が装備させるのは『ドラグニティ‐ブランディストック』! これでヴァジュランダは2回攻撃が出来るようになったぜ!」
《ドラグニティ-ブランディストック》
チューナー(効果モンスター)
星1/風属性/ドラゴン族/攻 600/守 400
このカードが装備カード扱いとして装備されている場合、装備モンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
外見には出さないが内心はめちゃくちゃ焦っている。今ライフ7000で恐らくヴァジュランダの効果を使ってくるから5000で2回攻撃が飛んでくる。1回目の攻撃に合わせて伏せてある『ダメージ・ダイエット』を発動してダメージを半減しつつ、マンジュ・ゴッドが破壊されて残りライフが5200になるから次ダイレクトアタックを貰ってもぎりぎり耐えられそうだ。
「そして更に装備カード『ビッグバン・シュート』と『巨大化』を装備!」
《ビッグバン・シュート》
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップする。
装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターをゲームから除外する。
《巨大化》
装備魔法
(1):自分のLPが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる。
自分のLPが相手より多い場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の半分になる。
ヴァジュランダ:2500→2900→5800
待て待て待て待て、確かにまだ何枚かカードを使ってなかったとは思ったが想さんのデッキまさかヴァジュランダの倍攻撃に特化して組んでる可能性が高い。『巨大化』は自分のライフと相手のライフとの差で装備モンスターの攻撃力守備力を倍または半減させるカード。そして『ビッグバン・シュート』は攻撃力上昇は400と少ないが防御貫通効果を与えるカードだ。もしかしたら壁モンスターを出て来ても無理やり乗り越える気が満載なのだろう。
「ヴァジュランダに装備されているファランクスを墓地に送って攻撃力をこのターンの終了まで倍にする! 」
ヴァジュランダ:5800→11600
想さんは案の定装備カードになっていたファランクスをリリースしてヴァジュランダの攻撃力を倍にする効果を使った。その結果攻撃力が11600になり、成金ゴブリンでライフが増えていてもワンショットが充分に出来るパワーを秘めたヴァジュランダが、私に迫ってくる。
「バトルフェイズ! ヴァジュランダでマンジュ・ゴッドを攻撃!」
「トラップ発動!『ダメージ・ダイエット』 このターン私に与えられるダメージは全て半分にする!」
《ダメージ・ダイエット》
通常罠
このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。
また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。
祈:7000→1900
ここで負ける訳には行かない為に、ダメージ・ダイエットを使って戦闘ダメージを軽減する。成金ゴブリンで回復させて貰わなければ、そもそも耐え切る耐え切らないの話にならなかった。そしてライフを貰ったが1回目の攻撃でその余剰分も使い、体力が1900になった。2回目の攻撃には耐えられそうにない。
「だけどここでオレのライフがイノリより上になったから『巨大化』の効果は攻撃力を倍加ではなく半減させる効果になる。」
ヴァジュランダ:11600→5800
「そしてこれがラスト! イノリに向けてダイレクトアタック!」
「手札から『護封剣の剣士』の効果発動! 相手のバトルフェイズ中にこのモンスターを守備表示で特殊召喚する!」
《護封剣の剣士》
効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻 0/守2400
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、特殊召喚したこのカードの守備力がその攻撃モンスターの攻撃力より高い場合、その攻撃モンスターを破壊する。
(2):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。
●このカードは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。
「そんなモンスターなんて構わず蹴散らしてやれ! 護封剣の剣士に攻撃しろ、ヴァジュランダ!」
祈:1900→700
増殖するGのおかげで引けていた護封剣の剣士を特殊召喚する事で自分のライフをギリギリながら残す事に成功した。それでもライフはもう風前の灯火、次のターンに全てをかけるしかない。
「オレはカードを1枚伏せてターンエンド。この時、ドラグニティナイト‐ヴァジュランダの攻撃力を倍加させる効果が終了する。」
ヴァジュランダ:5800→2900→1450
想:4000 手札0枚
(EXモンスターゾーン:ドラグニティナイト‐ヴァジュランダ メインモンスターゾーン:なし 魔法&罠ゾーン:巨大化 ビッグバンシュート ドラグニティの神槍 ドラグニティ‐ブランディストック セットカード)
「私のターン、ドロー! 手札から『高等儀式術』を発動! デッキから『青眼の白龍』を墓地に送って『青眼の混沌龍』を儀式召喚!」
《青眼の混沌龍》
儀式・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守 0
「カオス・フォーム」により降臨。
このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。
(2):「青眼の白龍」を使用して儀式召喚したこのカードの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールドの全てのモンスターの表示形式を変更する。
この効果で表示形式を変更したモンスターの攻撃力・守備力は0になる。
このターン、このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
私のターンに移り、ドローする。何枚かカードを引けていたのもあり、それなりに動きやすい。私は青眼の白龍を落として青眼の混沌龍を儀式召喚した。青眼の儀式というと、もう片方の相方のを思い出す人が多いだろうが、私はこちらのデザインの方が好きなので優先的に使っている。効果も優秀だし。
「そして私は手札の儀式魔法『カオス・フォーム』を発動! 墓地に落ちた青眼の白龍を除外して2枚目の青眼の混沌龍を儀式召喚!」
《カオス・フォーム》
儀式魔法
「カオス」儀式モンスターの降臨に必要。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地から「青眼の白龍」または「ブラック・マジシャン」を除外し、手札から「カオス」儀式モンスター1体を儀式召喚する。
「バトルフェイズ! 青眼の混沌龍でドラグニティナイト‐ヴァジュランダを攻撃! この時、青眼の混沌龍の効果発動! このカードを儀式召喚する時に青眼の白龍を使用した場合、攻撃宣言時に相手モンスターを守備表示にして攻撃力守備力を0にする!」
「でも守備表示ならダメージは受けないはずだ!」
「青眼の混沌龍は守備表示を破壊した場合守備力を攻撃力が上回った分のダメージを与える! 今のヴァジュランダの守備力は0、よって3000ポイントのダメージを与える!」
想:4000→1000
青眼の混沌龍がヴァジュランダを攻撃し、破壊した事でダメージを与えた。次の攻撃で決める!
「2体目の青眼の混沌龍で想さんにダイレクトアタック!」
「トラップ発動『王魂調和』! 直接攻撃される時に発動が出来て墓地からチューナー1体とチューナー以外のモンスターを任意の数除外してレベル8までのシンクロモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚する事が出来る!」
《王魂調和》
通常罠
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
その攻撃を無効にする。
その後、以下の効果を適用できる。
●レベルの合計が8以下になるように、自分の墓地からチューナー1体とチューナー以外のモンスターを任意の数だけ選んで除外し、除外したモンスターのレベルの合計と同じレベルを持つSモンスター1体を、エクストラデッキからS召喚扱いで特殊召喚する。
2体目の攻撃を止める為に伏せカードを使ってきた、このままだと直接攻撃は止まり、高ステータスなドラグニティが残る事になる。このカードは止めないと。
「手札から『レッド・リブート』を発動!」
「手札からトラップ・・・? 普通トラップは伏せてから使うものだろ?」
《レッド・リブート》
カウンター罠
このカードはLPを半分払って手札から発動する事もできる。
(1):相手が罠カードを発動した時に発動できる。
その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。
その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。
このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない。
使わない人からしたら疑問だろう。一部のワンショットキルデッキを扱うプレイヤーが採用するくらいで、多くのプレイヤーには見向きがされなかったカードだ。手札からトラップカードが飛んでくるとは普通は思わない。ごく一部のカードしか手札から発動する物がないのだから。
「『レッド・リブート』はライフを半減させることで手札からも発動する事が出来る! レッド・リブートの効果発動! 相手のトラップを無効にしてこのターン発動出来なくさせる! その代わり想さんは新しくデッキからトラップカードを伏せる事が出来るけど。」
「でもそれじゃあ・・・シンクロモンスターは出てこない?」
「そういうこと、なので攻撃は続行! 想さんにダイレクトアタック!」
王魂調和が不発となり青眼の混沌龍の攻撃が続行される。想さんには攻撃を止めるカードは存在しなく、ダイレクトアタックが決まった。
想:1000→0
「せっかく連勝が続くと思ったのに・・・悔しいぞ。しかも最後のトラップは見たことないカードだった、アレ凄いな!」
「手札からライフを半減させる事で発動出来るから便利だけど、トラップを使わせないだけ効果だから、発動したターンで決めるくらいじゃないといけ・・・」
私は対戦が終わった後、想さんに話しかけられてやり取りをする。余程手札からから発動したレッド・リブートが気になったらしい。私はレッド・リブートについて色々と説明しようとした。その説明の途中で、力が抜ける。活動限界を迎えたロボットのように一瞬にして力が抜けた私は、倒れた後の事を周りの人に任せるしかなかった。
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