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2nd days 新たな居場所 作:蓮木
「むー・・・どうしていつものデッキじゃなかったのさ。あんなデッキ使うの久しぶりに見たよ。周りもなんだかザワザワしてたし。」
「別にいつものデッキで良かったけど、今回の実技試験のタイプならあのデッキのが良かったかなってね。」
帰り道。先に実技試験を終えていた雛と共に帰る。そして、やはり何故あのデッキを使ったのか質問された。
「どーしてあの試験ならバーンデッキのが良いのさー?」
「まずは試験での特別なルールを思い出そうか、せっかく話すなら何処かで休憩しながら話した方が良さそうだし。それに丁度良さそうなお店も見つかった事だから、遅めのお昼がてらどうかな?」
「さんせーい! 朝からほとんどご飯食べれてないからお腹ペコペコだよー」
私達は朝からほとんど食事を出来てなかったからか、試験終わりにはかなりの空腹を感じていた。夜までにはまだ時間もあることで何か腹に食べ物を入れようと思い、周りの店を見回した。そうすると、大通りから一本外れた小道。その少し奥ばった所にひっそりとした佇まいの喫茶店を見つけた。周りの人はこのお店に気付いていないのか素通りする人が多く、かなり2人で話すには適している場所じゃないかと思えた。私達は大通りから外れ、喫茶店に入った。
「いらっしゃい、おや・・・この時間にこんな可愛いお客さんが来るとは珍しいね。何処でも好きな席を使ってくれて構わないよ。」
喫茶店などに特有のドアを開くと同時にベルが鳴り響き、来客がある事を店に伝える。店の奥から出てきたのはまだ30代そこそこに見えるメガネを掛けた男性だった。他に人が居ないことから恐らく彼が店長なのだろう。その男性は好きに席を使ってを良いとだけ告げて、一旦奥へと戻っていった。
「私は何処でも良いから雛が選んでちょうだい。」
「うーん・・・じゃーあの大きなドラゴンの描いてある目の前にしよっ! 見ていてとってもカッコいい感じだし、でもあのドラゴン一体何のドラゴン何だろう?」
私は席選びを雛に任せた。少し悩みながら雛が選んだのは、入口から見て中央奥側に飾られていたドラゴンのイラストをしっかりと見れるような位置に席を選んだ。席に座りつつあの描かれているドラゴンを見るが、あのドラゴンがどんなモンスターなのか想像つかない。恐らくデュエルモンスターズのカードだと思うがあんなドラゴンがいただろうかと記憶を辿る。色々なドラゴンが数いれど、あの描かれているドラゴンは私の知っているドラゴン系カードのどれにも似ているようだが、どのカードのイメージにも合わない。そういった不思議な魅力があの絵画のドラゴンには存在していた。
「ああ、それは僕が描いた絵ですよ。昔は画家を目指していて、良くこうやってドラゴンのようなモンスターを描いていたんですよ。さて、これがメニューになるからじっくり選んでから決めてね。」
「へー・・・店長さん昔画家を目指していたんですか、今にも動き出しそうでカッコいいですー」
「私もそう思います。迫力があって、カードのイラストにも使われていてもおかしくないかも知れません。」
私達が席に座って少しした後に店長さんがお水とメニューをトレイに載せて持ってくる。メニューとお水を渡しながら話してきたのは昔画家を目指していてその時に卒業課題で描いたものらしい。私達は素直な感想を伝えると、何だか少し照れている様に見えた。
「じゃー私はナポリタンとオレンジジュースをお願いします!」
「私はオムライスとコーヒーでお願いします。砂糖とミルクは無くて大丈夫です。」
「ナポリタンとオムライスに飲み物がオレンジジュースとコーヒーだね。じゃあ今から作ってくるから少々お待ちください。」
「「はーい」」
私達はメニューを見ながら食べる物を決めた。注文を聞いた店長さんは手元にあるメモ帳にササッと走り書きをして奥の厨房へと向かって行った。しばらくすると、ガスが付ける音などが聞こえてきた。
「じゃあ、待ってるうちにあの試験デュエルについてのおさらいをしよっか。あの時普通のデュエルと何が違った?」
店長の小気味の良い調理音をBGMにしながら、私は話を始めた。まずは普通のデュエルとさっきまでやっていた試験デュエルと何が違うかを質問する。
「えっと、あのデュエルで普段のデュエルと違ったのは『受験生が必ず先行』で『デュエルの時間に制限』があった事かな?」
「そうだね、大きなところだとその二つがいつものデュエルと違う所だったね。」
これから出てくる食事と飲み物を期待して待ってるうちに先程まで私達がやっていた試験デュエルの事を振り返る。あのデュエルでは細かいものも含めれば幾つもあるが大きく分けて二つの事が通常のデュエルと決定的に違っていた。
「じゃあ『デュエルの時間に制限』があったのはなんでだと思う?」
「えーっと・・・なんでデュエルの時間に制限があったか。やっぱり受ける人がいっぱいいたから? 私達以外にも沢山の受験生がいたし、全部が全部長いデュエルじゃないだろうけどそういうながーいデュエルが続いたら幾ら時間があっても足りないでしょ?」
大きく分けて2つ違ううちの一つ、何故デュエルの制限時間があったのかを尋ねてみる。雛から返ってきた答えは長いデュエルばかり続かないようにする打開策だと答えた。それも正しい。けどまだ半分しか当たっていない。
「例えばデュエルの時間に制限が無かったら同じカードをぐるぐる回してひたすらデュエルを遅延したり相手のデッキを削り切ったりも出来るでしょ? 多分そういうのがあってデュエルの時間を制限してるのかも知れないかなって思ってたんだ。」
「なるほどー、そう考えて見れば確かに何枚かのカードを使って遅延行為みたいな事も出来たのかも!」
あくまでも仮説だけど、と前置きしてから私は話す。あの制限は遅延行為予防の為ではなかったのかと。実際にその場で見て起こった訳ではないから、確証など何も持てない。これが正しいかは分からないが、可能性の一つとしては考えられる。これが特に気になった試験デュエルの特徴の一つだ、と言いつつ話を続ける。
「そしてもう一つは『受験生が必ず先行』が取れるということ。雛も分かると思うけど、先行が取れた方が後攻を取るより動きやすいのは分かるよね?」
「うーん・・・そうだね、いつもは先行か後攻か分からないからどっちでもある程度動けるようにデッキを作るよね。そして後攻からスタートすると相手フィールドのモンスターやセットカードにも警戒しないといけないけど、先行だったら手札誘発だけに気を付ければ良いもんね!」
そしてもう一つの特徴であった受験生が必ず先行だということについても触れる。そしてその先行のメリットについて雛が語る。その内容は先行は相手の妨害をそこまで受けにくい事だ。後攻になればドロー出来るという利点があるがその代わりに相手のモンスターやセットカードに警戒しないといけない。後攻の方が有利に動きやすいデッキもあるが、自由に動けるという観点で言えば先行の方が良いだろう。これでいて、昔は先行で更にドローも付いていたというのだから恐ろしい。
「そしてこの二つの話を纏めると、『デュエルに時間を余りかけなくて済み』なおかつ『先行でしっかり動ける』というのがあの試験デュエルでの理想の回答に近くなるよね? そうすると私の使ったチェーンバーンデッキは案外理想的といえば理想的だったんじゃない?」
「そうか・・・分かったよ! 確かにチェーンバーンなら手札誘発に引っかかる事もないし、先行で手札も大体使えるから問題ないよね! なーんだ、急に使ってると思って焦ってたよー」
今までの話を纏めつつ、私は何故あのチェーンバーンデッキを使ったのかを説明しだす。チェーンバーンは基本的にデッキに入るのは魔法と罠カードだ。モンスターカードの様に召喚出来なくて手札に貯まる、という事は起こりにくい。そして、こちらも相手の動きを止めにくいデッキであるのでバーンカードの威力を最大限に発動出来る行動をしてきた時に合わせて魔法や罠を起動すれば良いため瞬間的にも大ダメージを与えられる。なるほどーと言いながら私の話を聞いていた雛がうんうんと頷いてる所に料理を持った店長がやってきた。
「どうやら、復習の時間は終わったようだね。丁度こっちの料理も出来たから持ってきたよ。 オムライスとナポリタンにオレンジジュースとコーヒーだね。」
店長は私達の話を意識しながら準備してたのだろうか。多分私達の口元しか見えていないだろうに、調理しながら口元だけを見て話の内容や展開を想像出来ていたかも知れない。この人はおっとりとしながらも意外と油断ならないなと思いつつ、まずはこの目の前にある美味しそうなオムライスに向かい合うとする。
「うーん・・・美味しい! パスタも丁度いい感じに茹で上がっていたし、他の具材との相性も抜群だよー!」
「こっちのオムライスは卵の具合が絶妙ですし中のライスも今までで食べたことのない味です・・・・・・美味しい。」
「喜んで貰えたなら嬉しいよ。そうやって嬉しそうな顔で食べて貰えるとこっちも作った甲斐があったというものだね。それと、これ少し料理が出るのが遅れちゃったからケーキもサービスしておくね。」
私達が店長さんの料理を絶賛していると、少し照れていた。一回りも年齢が下の女の子に褒められたのが嬉しかったのだろう。そして私達はそれほど気にしてはいないが料理が出るのが少し遅れたからという理由でケーキをサービスしてきた。そのご好意に感謝しつつ、私達は店長の作った美味しい料理とケーキを食べ進めていった。
「そういえば君達2人は、この後どうするんだい?」
「この後はしばらく2人でホテルに泊まりつつ結果待ちですね。」
店長さんの美味しい料理とケーキを食べた後、私達は以外にもクオリティに対しては安かった食事代を払った。その後に店長さんから試験終わりからの数日間をどうするか話題に出していた。
「確かにこの時期なら遠方から来てる人の為に格安で出してるホテルは多いけど・・・それよりももっと良い方法があるよ。」
「何処かにもっと安く泊めてくれる場所でもあるんですか?」
一体何処にあるんだろう、少し辺鄙な所にある代わりに安い感じなのだろうか。それとも何処かのホテルの上の人と知り合いとかで安く泊めさせて貰えるのだろうか。
「君達が良ければ・・・だけど、此処に住み込まないかい?」
「「――はい?」」
どうやら詳しい話を聞いたら、こういう理由で誘ってくれただ。
私達が食事した小さい喫茶店を含めたこよ建物全てが今の店長さんの持ち物らしい。だが、喫茶店に必要な物である設備や食材は全部1階の部屋や厨房で賄えるようで、2階以降が全く使ってないという事のようだ。前の建物の持ち主であった祖父が空き部屋をほぼ無償で学生に貸し出していた話をふと思い出して、提案してくれたという訳だ。
「うーん、私は別に構わないけど・・・祈ちゃんどうする?」
「正直に言えばホテル代だってバカにならないし、お言葉に甘えて住まわせて貰う事にしよっか。」
私達はそれなりの時間悩んだが、ホテルに連泊する費用、合格後の準備諸々にかかる費用も考えたら少しでも安く済ませられる事にしておきたい。だったらこの提案は私達と店長さんの両方にメリットがある。そういう理由で店長さんのお言葉に甘える事にした。
「でこれが使える部屋なんだけど・・・これは大分掃除が必要そうですね。」
「ええ、これは確かに広くて住ませて貰うには快適そう。だけど・・・」
「大分派手に汚れちゃってますねー、むむむ・・・これはがっつり掃除が必要だね。祈ちゃん、店長さん、一緒に頑張りますよー!」
だが部屋を借りられるのは良かったものの、長年使ってなかったからかかなり埃っぽい状態になっており、そのまま使えるという状況ではなかった。部屋の全てを大掃除して、綺麗に使えるようになったのは今日の夕方付近まで行われていた。
「別にいつものデッキで良かったけど、今回の実技試験のタイプならあのデッキのが良かったかなってね。」
帰り道。先に実技試験を終えていた雛と共に帰る。そして、やはり何故あのデッキを使ったのか質問された。
「どーしてあの試験ならバーンデッキのが良いのさー?」
「まずは試験での特別なルールを思い出そうか、せっかく話すなら何処かで休憩しながら話した方が良さそうだし。それに丁度良さそうなお店も見つかった事だから、遅めのお昼がてらどうかな?」
「さんせーい! 朝からほとんどご飯食べれてないからお腹ペコペコだよー」
私達は朝からほとんど食事を出来てなかったからか、試験終わりにはかなりの空腹を感じていた。夜までにはまだ時間もあることで何か腹に食べ物を入れようと思い、周りの店を見回した。そうすると、大通りから一本外れた小道。その少し奥ばった所にひっそりとした佇まいの喫茶店を見つけた。周りの人はこのお店に気付いていないのか素通りする人が多く、かなり2人で話すには適している場所じゃないかと思えた。私達は大通りから外れ、喫茶店に入った。
「いらっしゃい、おや・・・この時間にこんな可愛いお客さんが来るとは珍しいね。何処でも好きな席を使ってくれて構わないよ。」
喫茶店などに特有のドアを開くと同時にベルが鳴り響き、来客がある事を店に伝える。店の奥から出てきたのはまだ30代そこそこに見えるメガネを掛けた男性だった。他に人が居ないことから恐らく彼が店長なのだろう。その男性は好きに席を使ってを良いとだけ告げて、一旦奥へと戻っていった。
「私は何処でも良いから雛が選んでちょうだい。」
「うーん・・・じゃーあの大きなドラゴンの描いてある目の前にしよっ! 見ていてとってもカッコいい感じだし、でもあのドラゴン一体何のドラゴン何だろう?」
私は席選びを雛に任せた。少し悩みながら雛が選んだのは、入口から見て中央奥側に飾られていたドラゴンのイラストをしっかりと見れるような位置に席を選んだ。席に座りつつあの描かれているドラゴンを見るが、あのドラゴンがどんなモンスターなのか想像つかない。恐らくデュエルモンスターズのカードだと思うがあんなドラゴンがいただろうかと記憶を辿る。色々なドラゴンが数いれど、あの描かれているドラゴンは私の知っているドラゴン系カードのどれにも似ているようだが、どのカードのイメージにも合わない。そういった不思議な魅力があの絵画のドラゴンには存在していた。
「ああ、それは僕が描いた絵ですよ。昔は画家を目指していて、良くこうやってドラゴンのようなモンスターを描いていたんですよ。さて、これがメニューになるからじっくり選んでから決めてね。」
「へー・・・店長さん昔画家を目指していたんですか、今にも動き出しそうでカッコいいですー」
「私もそう思います。迫力があって、カードのイラストにも使われていてもおかしくないかも知れません。」
私達が席に座って少しした後に店長さんがお水とメニューをトレイに載せて持ってくる。メニューとお水を渡しながら話してきたのは昔画家を目指していてその時に卒業課題で描いたものらしい。私達は素直な感想を伝えると、何だか少し照れている様に見えた。
「じゃー私はナポリタンとオレンジジュースをお願いします!」
「私はオムライスとコーヒーでお願いします。砂糖とミルクは無くて大丈夫です。」
「ナポリタンとオムライスに飲み物がオレンジジュースとコーヒーだね。じゃあ今から作ってくるから少々お待ちください。」
「「はーい」」
私達はメニューを見ながら食べる物を決めた。注文を聞いた店長さんは手元にあるメモ帳にササッと走り書きをして奥の厨房へと向かって行った。しばらくすると、ガスが付ける音などが聞こえてきた。
「じゃあ、待ってるうちにあの試験デュエルについてのおさらいをしよっか。あの時普通のデュエルと何が違った?」
店長の小気味の良い調理音をBGMにしながら、私は話を始めた。まずは普通のデュエルとさっきまでやっていた試験デュエルと何が違うかを質問する。
「えっと、あのデュエルで普段のデュエルと違ったのは『受験生が必ず先行』で『デュエルの時間に制限』があった事かな?」
「そうだね、大きなところだとその二つがいつものデュエルと違う所だったね。」
これから出てくる食事と飲み物を期待して待ってるうちに先程まで私達がやっていた試験デュエルの事を振り返る。あのデュエルでは細かいものも含めれば幾つもあるが大きく分けて二つの事が通常のデュエルと決定的に違っていた。
「じゃあ『デュエルの時間に制限』があったのはなんでだと思う?」
「えーっと・・・なんでデュエルの時間に制限があったか。やっぱり受ける人がいっぱいいたから? 私達以外にも沢山の受験生がいたし、全部が全部長いデュエルじゃないだろうけどそういうながーいデュエルが続いたら幾ら時間があっても足りないでしょ?」
大きく分けて2つ違ううちの一つ、何故デュエルの制限時間があったのかを尋ねてみる。雛から返ってきた答えは長いデュエルばかり続かないようにする打開策だと答えた。それも正しい。けどまだ半分しか当たっていない。
「例えばデュエルの時間に制限が無かったら同じカードをぐるぐる回してひたすらデュエルを遅延したり相手のデッキを削り切ったりも出来るでしょ? 多分そういうのがあってデュエルの時間を制限してるのかも知れないかなって思ってたんだ。」
「なるほどー、そう考えて見れば確かに何枚かのカードを使って遅延行為みたいな事も出来たのかも!」
あくまでも仮説だけど、と前置きしてから私は話す。あの制限は遅延行為予防の為ではなかったのかと。実際にその場で見て起こった訳ではないから、確証など何も持てない。これが正しいかは分からないが、可能性の一つとしては考えられる。これが特に気になった試験デュエルの特徴の一つだ、と言いつつ話を続ける。
「そしてもう一つは『受験生が必ず先行』が取れるということ。雛も分かると思うけど、先行が取れた方が後攻を取るより動きやすいのは分かるよね?」
「うーん・・・そうだね、いつもは先行か後攻か分からないからどっちでもある程度動けるようにデッキを作るよね。そして後攻からスタートすると相手フィールドのモンスターやセットカードにも警戒しないといけないけど、先行だったら手札誘発だけに気を付ければ良いもんね!」
そしてもう一つの特徴であった受験生が必ず先行だということについても触れる。そしてその先行のメリットについて雛が語る。その内容は先行は相手の妨害をそこまで受けにくい事だ。後攻になればドロー出来るという利点があるがその代わりに相手のモンスターやセットカードに警戒しないといけない。後攻の方が有利に動きやすいデッキもあるが、自由に動けるという観点で言えば先行の方が良いだろう。これでいて、昔は先行で更にドローも付いていたというのだから恐ろしい。
「そしてこの二つの話を纏めると、『デュエルに時間を余りかけなくて済み』なおかつ『先行でしっかり動ける』というのがあの試験デュエルでの理想の回答に近くなるよね? そうすると私の使ったチェーンバーンデッキは案外理想的といえば理想的だったんじゃない?」
「そうか・・・分かったよ! 確かにチェーンバーンなら手札誘発に引っかかる事もないし、先行で手札も大体使えるから問題ないよね! なーんだ、急に使ってると思って焦ってたよー」
今までの話を纏めつつ、私は何故あのチェーンバーンデッキを使ったのかを説明しだす。チェーンバーンは基本的にデッキに入るのは魔法と罠カードだ。モンスターカードの様に召喚出来なくて手札に貯まる、という事は起こりにくい。そして、こちらも相手の動きを止めにくいデッキであるのでバーンカードの威力を最大限に発動出来る行動をしてきた時に合わせて魔法や罠を起動すれば良いため瞬間的にも大ダメージを与えられる。なるほどーと言いながら私の話を聞いていた雛がうんうんと頷いてる所に料理を持った店長がやってきた。
「どうやら、復習の時間は終わったようだね。丁度こっちの料理も出来たから持ってきたよ。 オムライスとナポリタンにオレンジジュースとコーヒーだね。」
店長は私達の話を意識しながら準備してたのだろうか。多分私達の口元しか見えていないだろうに、調理しながら口元だけを見て話の内容や展開を想像出来ていたかも知れない。この人はおっとりとしながらも意外と油断ならないなと思いつつ、まずはこの目の前にある美味しそうなオムライスに向かい合うとする。
「うーん・・・美味しい! パスタも丁度いい感じに茹で上がっていたし、他の具材との相性も抜群だよー!」
「こっちのオムライスは卵の具合が絶妙ですし中のライスも今までで食べたことのない味です・・・・・・美味しい。」
「喜んで貰えたなら嬉しいよ。そうやって嬉しそうな顔で食べて貰えるとこっちも作った甲斐があったというものだね。それと、これ少し料理が出るのが遅れちゃったからケーキもサービスしておくね。」
私達が店長さんの料理を絶賛していると、少し照れていた。一回りも年齢が下の女の子に褒められたのが嬉しかったのだろう。そして私達はそれほど気にしてはいないが料理が出るのが少し遅れたからという理由でケーキをサービスしてきた。そのご好意に感謝しつつ、私達は店長の作った美味しい料理とケーキを食べ進めていった。
「そういえば君達2人は、この後どうするんだい?」
「この後はしばらく2人でホテルに泊まりつつ結果待ちですね。」
店長さんの美味しい料理とケーキを食べた後、私達は以外にもクオリティに対しては安かった食事代を払った。その後に店長さんから試験終わりからの数日間をどうするか話題に出していた。
「確かにこの時期なら遠方から来てる人の為に格安で出してるホテルは多いけど・・・それよりももっと良い方法があるよ。」
「何処かにもっと安く泊めてくれる場所でもあるんですか?」
一体何処にあるんだろう、少し辺鄙な所にある代わりに安い感じなのだろうか。それとも何処かのホテルの上の人と知り合いとかで安く泊めさせて貰えるのだろうか。
「君達が良ければ・・・だけど、此処に住み込まないかい?」
「「――はい?」」
どうやら詳しい話を聞いたら、こういう理由で誘ってくれただ。
私達が食事した小さい喫茶店を含めたこよ建物全てが今の店長さんの持ち物らしい。だが、喫茶店に必要な物である設備や食材は全部1階の部屋や厨房で賄えるようで、2階以降が全く使ってないという事のようだ。前の建物の持ち主であった祖父が空き部屋をほぼ無償で学生に貸し出していた話をふと思い出して、提案してくれたという訳だ。
「うーん、私は別に構わないけど・・・祈ちゃんどうする?」
「正直に言えばホテル代だってバカにならないし、お言葉に甘えて住まわせて貰う事にしよっか。」
私達はそれなりの時間悩んだが、ホテルに連泊する費用、合格後の準備諸々にかかる費用も考えたら少しでも安く済ませられる事にしておきたい。だったらこの提案は私達と店長さんの両方にメリットがある。そういう理由で店長さんのお言葉に甘える事にした。
「でこれが使える部屋なんだけど・・・これは大分掃除が必要そうですね。」
「ええ、これは確かに広くて住ませて貰うには快適そう。だけど・・・」
「大分派手に汚れちゃってますねー、むむむ・・・これはがっつり掃除が必要だね。祈ちゃん、店長さん、一緒に頑張りますよー!」
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