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第5話 強さは独りを嫌う 作:イベリコ豚丼
「たけおくんを…いじ、める…な…」
「何なんだよこのガキ!何でこんだけ殴られて倒れねぇんだよ!?」
「も、もうやめろそうすけ!おれのことはいいからもうあきらめろ!」
「や…だよ。どれだけなぐられたって……あきらめるのはぜったいに…いやだ…。あきらめたら……ぜんぶなかったことになっちゃうんだって…おかあさんがいってたんだ……!おとこには…やらなきゃいけないときがあるって……おとうさんがいってたんだ……!だからぼくは…ぜっ…たい…」
そこまで言ったところで宗介は倒れた。
「…ちっ。おいお前ら、もういい、帰るぞ」
「お、おい、いいのかよ!?あの野郎の弟をボコボコにするんじゃ…」
「もういいつってんだろ!!」
「ひっ…!あ、あぁ…分かったよ」
そう言ってそいつらは立ち去って行った。俺の体もボロボロで、立ち上がることは出来なかったが、何とか宗介の下ににじり寄る。
「おいそうすけ!そうすけ!だいじょうぶか!?」
「……あぁ、たけ…おくん。あの人達は……?」
「もうどっかいっちまったよ!」
「そっか……、なら…よかった……」
宗介が顔を綻ばせる。
「……なんでだよ、なんでそこまでするんだよ!!これはおれんちの…おれとおれのにいちゃんのもんだいだろ!?にいちゃんはデュエルつよいのに…ともだちつくらないから…それであいつらがにいちゃんのわるぐちいったから…おれがにいちゃんのかわりにおこって…。でもかんけいないおまえがなぐられることは……!」
「かんけいなくなんかないよ」
「え…?」
「かんけいなくなんかない。ともだちが……たけおくんがいじめられてるなら……それだけで、ぼくにはかんけいのあることだよ…。…だってぼくは………ヒーローだから」
「………!!」
―――この日俺は誓った。
絶対にコイツより強くなることを。
宗介は友達を守る為ならなんだってする。自分が危ない目に会うかどうかなんて全く考えずに行動する。
だから俺が強くなるんだ。
もう宗介が守らないでいいように、代わりに俺が宗介を守れるように。その為なら悪者にだってなってやる、と―――
―――
――
―
『…清掃員だと?清掃員が何の用だ!?関係ねぇ奴はすっこんでろ!!』
「悪いな、宗介は俺の友達なんだ。その友達がピンチってんなら助けねぇとな」
『………!!』
弾き飛ばした宗介のデュエルディスクを拾う。
「強い相手を探してんだろ?だったら俺が相手になってやるよ」
『ほぉ…、随分な自信だな。だがお前のデュエルディスクはどうした?』
「あん?そんなもん持ってねぇ。俺はとっくにデュエルやめてんだ」
『何だと…?そんな奴が俺に勝てると思ってんのか!!』
「戦うのは俺だが、お前を倒すのは俺じゃねぇ。宗介だ」
『あぁん?』
「宗介、デッキ借りるぜ?」
宗介は答えない。
だが、その目は確かに返事をしていた。
宗介のデュエルディスクを左腕にはめる。
D-ゲイザーは必要無い。
「さぁかかって来いよ。お前の技も力も、全部纏めて俺がきっちり掃除してやる」
『舐めやがってぇぇぇ!!!ぶっ潰してやる!!』
(もう二度とデュエルはしないつもりだったんだがな……)
だからってここで黙って見てるような決意なら、そんなもん捨てちまった方がいい。
俺は目を閉じ―――虹彩の色を赤く染める。
「『デュエル!!』」
ISAMI LP 4000
―――VS―――
LP 4000 TAKEO
『俺はリーガリアンの暗躍者を召喚!!』
リーガリアンの暗躍者 ☆3 ATK 1100
『リーガリアンの暗躍者の召喚に成功した時、デッキからリーガリアンモンスターを1体墓地に送る事ができる!俺が選ぶのはリーガリアンの麒麟児!!』
「………。」
『俺は手札のリーガリアンの修行僧を墓地へ送り、ライフを700ポイント支払うことで、墓地からリーガリアンの麒麟児を復活させる!戻れ、リーガリアンの麒麟児!!』
リーガリアンの麒麟児 ☆3 チューナー ATK 1000
ISAMI LP 4000
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
『勝利を唄う兵士の咆哮、目覚めたるは栄光の王者!シンクロ召喚!唸れ、ディグニファイロード・グローリア!!』
ディグニファイロード・グローリア ☆6 ATK 2500
『……シンクロ召喚に驚かねぇんだな』
「今更だからな。その程度のシンクロ召喚なら昔散々見た」
『ちっ…。どんな奴と戦ってたのかは知らねぇが、そいつらとはレベルが違うってことを教えてやるぜ!俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!』
「俺のターン」
デッキに指を添える。
(賢妖精か……。使った事はねぇが…)
俺は自分の持つ賢妖精に関する全ての情報を思い起こす。
(……まだこんだけ覚えてんなら行けんだろ)
「手札から賢妖精ナレッジフロスを召喚!」
賢妖精ナレッジフロス ☆4 ATK 1900
「そして速攻魔法、賢妖精秘術を発動!手札の賢妖精ナレッジワーフ、賢妖精ナレッジビットを墓地に送り、ディグニファイロード・グローリアをデッキに戻す!!」
『馬鹿め!それじゃ宗介の二の舞だぜ!俺は墓地のリーガリアンの暗躍者を除外することで、ディグニファイロード・グローリアを対象にした効果を無効化!!さらに900のダメージを与えるぜ!!』
ISAMI LP 3100
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
発動出来れば一番良かったが、本当の目的はそっちじゃない。
「フィールド魔法、賢妖精文書館発動!手札を1枚デッキの上に戻すことで、相手エンドフェイズに1枚ドローすることができる!」
確かに相手ターンに好きな効果を発動できるのは便利だが、このカードにはもう一つの使い方がある。
「バトル!ナレッジフロスでディグニファイロード・グローリアに攻撃!!」
賢妖精ナレッジフロス ATK 1900 VS ディグニファイロード・グローリア ATK 2500
『血迷ったか!それじゃただの自爆特効だぜ!!』
「この瞬間、ナレッジフロスの効果が発動する!」
『何っ!?』
「このモンスターの攻撃宣言時、俺はデッキからカードを1枚ドローできる!この時、ドローしたカードが賢妖精モンスター以外だった場合デッキに戻さなきゃならねぇが、賢妖精文書館の効果により俺がドローするカードは一つ!現れろ、賢妖精アルフナレッジ!!」
賢妖精アルフナレッジ ☆6 ATK 1200
「さらに!アルフナレッジが自身の効果での特殊召喚に成功したことで、さっき墓地に送ったナレッジビットを特殊召喚する!!」
賢妖精ナレッジビット ☆6 ATK 2300
「聡明なる精霊よ!聖なる光へと昇華し、輝く一陣の風となれ!エクシーズ召喚!吹き抜けろ、賢妖精アルベナレッジ!!」
賢妖精アルベナレッジ ★6 ATK 2600 ORU 2
「オーバーレイユニットを一つ使用し、アルベナレッジの効果発動!デッキからカードを1枚ドローし、それがモンスターカードなら相手モンスター1体を手札に戻す!!」
『ぐっ…!』
「………!ドローしたのは賢妖精ウィルナレッジ!!ディグニファイロード・グローリアを手札に戻すぜ!!」
賢妖精アルベナレッジ ORU 1
『くそっ!ディグニファイロード・グローリアの効果を発動できるのは1ターンに1度だけ…。さっきの特殊召喚といい、速攻魔法は囮だったか!!』
「これで俺はターンエンド」
ダメージは与えられなかったが、まぁ1ターン目ならこんなもんだろ。
『どうやら最初の啖呵通り、中々やるようだな。だがその程度じゃあ俺には勝てねぇぜ!俺のターン!!』
豪快にカードをドローする。
『永続罠、王格の再興を発動!墓地のリーガリアンの修行僧をディグニファイロードモンスターへと変更し、特殊召喚する!!』
リーガリアンの修行僧 ☆4 ATK 1900
『続いて手札からリーガリアンの占術士を召喚!!』
リーガリアンの占術士 ☆2 チューナー ATK 500
再びシンクロ召喚の準備が整った。
『レベル4、リーガリアンの修行僧に、レベル2、リーガリアンの占術士をチューニング!』
2体のモンスターが1つとなって光の道を作り上げる。
『戦場駆ける雄々しき御旗、率いたるは支配の王者!シンクロ召喚!貫け、ディグニファイロード・インペリウム!!』
ディグニファイロード・インペリウム ☆6 ATK 2300
新たなシンクロモンスターだが…、知らない訳ではない。確か効果は―――
『俺はディグニファイロード・インペリウムでナレッジフロスに攻撃!!』
ディグニファイロード・インペリウム ATK 2300 VS 賢妖精ナレッジフロス ATK 1900
『ディグニファイロード・インペリウムが攻撃した時、戦闘を行う相手モンスター以外のフィールド上のカードを1枚破壊できる!さぁ砕けろ、賢妖精アルベナレッジ!!』
「だがアルベナレッジの効果は相手ターンでも発動できる!アルベナレッジのオーバーレイユニットを一つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする!!」
『転んでもタダじゃ起きねぇって訳か…』
ISAMI LP 2700
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
『これで俺はターンエンド!』
「その時、賢妖精文書館の効果により俺は1枚ドローする!」
カードを確認する……が、特殊召喚できるモンスターではなかった。
『これでそのデッキのエースモンスターは破壊した!形勢は一気に俺に傾いたなぁ!?』
「そいつはどうかな?」
『!!!』
これは俺と宗介の2人で作ったデッキだ。このデッキの事は俺が2番目に良く分かっている。まだ大丈夫だ。
「俺のターン!俺は再び賢妖精文書館の効果を発動し、手札を1枚デッキの上に戻すぜ!!」
『またデッキ操作か!!』
「そして、墓地に眠るナレッジワーフの効果を発動!このカードと手札のウィルナレッジを除外することで、デッキから1枚ドローする!!」
もちろんドローするカードは…
「俺はカードの効果によりドローしたことで、賢妖精ナレッジボルトを特殊召喚!!」
賢妖精ナレッジボルト ☆6 ATK 1500
「さらに!フィールド上のナレッジボルトをリリースし、墓地から2体の賢妖精モンスターを効果を無効にして特殊召喚する!再び現れろ、賢妖精ナレッジビット、賢妖精ナレッジマンダ!!」
賢妖精ナレッジビット ATK 2300
賢妖精ナレッジマンダ ATK 2100
「俺はレベル6のアルフナレッジとナレッジビットでオーバーレイネットワークを構築!」
『てめぇのモンスターエクシーズはさっき潰したはず!……まさか!!』
「木々の息吹をその身に纏い、月明かりの下で舞い踊れ!エクシーズ召喚!魅せろ、賢妖精ダイアナレッジ!!」
賢妖精ダイアナレッジ ★6 ATK 2700 ORU 2
『新たなモンスターエクシーズ!?』
「ダイアナレッジのオーバーレイユニットを一つ使用し、効果を発動!デッキからカードを2枚ドローし、手札を2枚デッキの一番上に戻す!」
賢妖精ダイアナレッジ ORU 1
「ダイアナレッジがフィールド上に存在し、自分がカードをドローした時、俺は1000ポイントのライフを得る!!」
ISAMI LP 3700
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
『……ぷっ、はっはっは!!どんな強力な効果が出てくるかと思えば、たかだか1000のライフ回復だと!?ビビらせやがって!そんなモンスターで俺に勝とうなんざ100年早ぇぜ!!』
やっぱ最初はそう思うよな。
俺は宗介との会話を思い出す。
―――
「じゃあダイアナレッジの効果で2枚ドローして2枚をデッキの上へ。そしてライフを1000回復……。…あの鶴岐さん、これ何の意味があるんですか?」
「何がだ?」
「いえ、だってこれ結局引いて戻してるだけじゃないですか。確かに欲しいカードといらないカードを入れ換えられるのは嬉しいですけど、わざわざエクシーズ召喚してまで使う様な効果かと言われれば…」
「それで十分強いんだがな……。まぁ実感が湧きにくくはあるか。よし!いいか宗介。これはな、いらねぇカードを戻すんじゃなくているカードを戻すんだよ」
「は……?」
ーーー
「もう一度オーバーレイユニットを取り除き、ダイアナレッジの効果を再発動!!」
『1ターンに2度効果を発動するだと!?』
賢妖精ダイアナレッジ ORU 0
「デッキから2枚ドローし、手札を2枚デッキに戻す!続けてライフを1000回復!」
ISAMI LP 4700
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
『まさか…、1回目はデッキを操作する為に…!!』
「そのまさかだ!カードの効果でドローしたことにより、ナレッジピクスを特殊召喚!!」
賢妖精ナレッジピクス ☆1 ATK 600
「魔法カード、賢妖精魔杖をダイアナレッジに装備!ダイアナレッジの攻撃力を800ポイントアップする!!」
賢妖精魔杖 装備魔法
賢妖精ダイアナレッジ ATK 3500
「そしてフィールド上のナレッジピクスを手札に戻すことで、ダイアナレッジの攻撃力をさらに600ポイントアップ!!」
賢妖精ダイアナレッジ ATK 4100
「バトルだ!ダイアナレッジでディグニファイロード・インペリウムにアタック!!」
『ディグニファイロード・インペリウムは戦闘では破壊されねぇ!』
「だがダメージは受けてもらうぜ!!」
賢妖精ダイアナレッジ ATK 4100 VS ディグニファイロード・インペリウム ATK 2300
『ぐぁぁぁ!!!』
ISAMI LP 4700
―――VS―――
LP 1500 TAKEO
「俺はこれでターンエンドだ!!」
『はぁ…、はぁ…、は…、ははは…、はっはっは、はっはっはっはっは!!』
「!!!」
『いいぞぉぉ!!まさかここまでやるとは予想外だったぜ!!それでこそ潰しがいがあるってもんだ!!さぁもっともっと飛ばして行くぞぉぉぉ!!!』
その言葉に答える様に、デュエルディスクが黒い光を放つ。
『俺の、タァァァン!!!俺はチューナーモンスター、ラストシンクロードを召喚!!』
ラストシンクロード ☆1 チューナー ATK 0
「……っ!?」
自分が知っているカードの量には多少自信があるが、俺がデュエルを辞めてもう8年経つ。その間に多くのカード出ただろうし、知らないカードがあるのにも不思議は無い。
だが何だコイツは。
俺は絶対にこんなモンスターは知らない………はずなのに、何なんだこの懐かしい感覚は?まるで旧友に会ったかのような…
「鶴岐さん……、気をつけて下さい……あのモンスターは…」
(はっ!)
その声に現実に引き戻される。
「……あぁ、分かってる」
『俺は300のライフを支払い、ラストシンクロードのレベルを1から2に変更!!』
ラストシンクロード ☆2
『レベル6、ディグニファイロード・インペリウムに、レベル2、ラストシンクロードをチューニング!!』
どす黒い影が、2体のモンスターを包み込む。
『終末誘う戦火の渦に、奮い立つは思惑の王者!ラストシンクロォォォ!!!打ち砕け、ディグニファイロード・アルビトリウム!!』
ディグニファイロード・アルビトリウム ☆8 ATK2800
『シンクロ召喚に成功したことで、ディグニファイロード・アルビトリウムの効果発動!賢妖精ダイアナレッジを破壊するぜ!!』
「うっ…!」
『まだ終わってねぇぞ!ディグニファイロード・アルビトリウムでダイレクトアタックだぁぁぁ!!』
ディグニファイロード・インペリウム ATK 2800
「がはっ…!!」
あまりの衝撃に全身の骨が軋み、膝をついてしまう。
ISAMI LP 1900
―――VS―――
LP 1500 TAKEO
『ひゃっはははぁぁぁ!!!どうだ清掃員!強さとは力!力こそが最強!どんな技術も作戦も、圧倒的な力の前にはただ平伏すのみ!!弱ぇ事はそれだけで罪だ!だからこうやって強者が裁いてやってんだよ!!!』
「……そいつは違うぜ」
口の中を切ったらしい。溜まった血を吐き出す。
『……何?』
「確かに力は大事だよ。弱者が淘汰されんのは世の常だ。けどな、」
膝に手を置き、何とか立ち上がる。
「だからこそ人は繋がるんだよ!助け合って、支え合って強大な敵に立ち向かう!それこそが人の強さだ!力なんかじゃ到底及ばねぇ本当の強さだ!!」
『黙りやがれぇぇぇ!!てめぇ状況が分かってんのか!?ラストシンクロードが罠を完全に封じ、ディグニファイロード・アルビトリウムが1ターンに1度特殊召喚を無効にする!その本当の強さとやらでこの布陣を崩せるもんなら見せてみやがれ!!』
「―――あぁ見せてやるよ、てめぇを倒してな」
息を整え、デュエルディスクを構える。
「俺の、ターン!!」
エンドフェイズに賢妖精文書館の効果でドローしたことで、俺の手札は3枚。
それだけあれば十分だ。
「俺は、賢妖精ザントナレッジを召喚!!」
賢妖精ザントナレッジ ☆4 ATK 1800
『モンスターエクシーズですらないたかだか攻撃力1800のモンスター?それが本当の強さとは笑わせてくれるぜ!!』
「墓地に存在する賢妖精魔杖の効果を発動!墓地のアルベナレッジ、ダイアナレッジを除外し、このカードをデッキの一番上に戻す!!」
『2体のモンスターエクシーズを除外…!?』
「そして魔法カード、賢妖精贈札発動!!」
賢妖精贈札 通常魔法
「手札を1枚デッキに戻し、カードを2枚ドローする!この瞬間、ザントナレッジの攻撃力は500ポイントアップする!!」
賢妖精ザントナレッジ ATK 2300
『だがまだ攻撃力は2300!ディグニファイロード・アルビトリウムには届かねぇぜ!!』
「自身の効果でデッキに戻った賢妖精魔杖がそのターン中にドローされた時、デッキから1枚ドローする!!これでザントナレッジの攻撃力はさらに500ポイントアップ!!」
賢妖精ザントナレッジ ATK 2800
『攻撃力が並んだ…!相打ち狙いか!!』
「言ったろ?てめぇを倒すって」
『何!?』
「カードの効果によってドローされたことにより、賢妖精ナレッジピクスと賢妖精ナレッジアードは手札から特殊召喚できる!」
『だが特殊召喚は…』
「分かってるよ。さぁ好きな方を止めな!!」
『………俺は墓地からリーガリアンの修行僧を除外し、ナレッジピクスの特殊召喚を無効にする!!』
賢妖精ナレッジアード ☆2 ATK 500
「ナレッジアードが手札からの特殊召喚に成功した時、俺はカードを1枚ドロー!!」
賢妖精ザントナレッジ ATK 3300
「さらに賢妖精魔杖をザントナレッジに装備し、攻撃力を800ポイントアップ!!これでザントナレッジの最終攻撃力は4100!!」
賢妖精魔法杖 装備魔法
賢妖精ザントナレッジ ATK 4100
『くそ、くそくそくそくそくそくそくそくそ!!!』
「見せてやれザントナレッジ、お前達の繋がりの強さを!!ザントナレッジで、ディグニファイロード・アルビトリウムに攻撃!!!」
『くっっそォォォぉぉぉ!!!』
ISAMI LP 1900
―――VS―――
LP 0 TAKEO
―――
「それじゃあ出席取るぞー。綾崎ー…は今日も体調不良、と。伊東ー」
「伊東君は昨日の怪我で休みです」
「……そうか。じゃあ奥村ー」
「はい」
「神田ー…も怪我か。木下ー」
「はい」
「黒沢ー」
「はーい」
「剛田ー……は休みか。さと…」
ガララッ
「「「「!!!?」」」」
空気が凍り付いたのが分かる。
(おい…何であいつ来てんだよ…)
(知らないわよ…。退学になったんじゃなかったの!?)
(ていうかよく学校来れるよな…)
(あぁ…、あんなことしておいて…)
(今日なんか昨日の怪我で10人も休んでるんだぜ…?)
……声を落とした話し声ってのは大抵聞こえてるもんだ。
「こそこそ話してんじゃねぇ!!言いたい事があるならはっきり言いやがれ!!!」
「「「「………。」」」」
そしてほら、こうやって怒鳴ってやれば全員黙り込みやがる。
「……ほ、ほら剛田、授業始めるから席に……」
「帰る」
「え?」
「帰るっつってんだよ!!」
バァン!
後ろ手にドアを思いっ切り閉める。
今朝、目覚めた時は自分のベッドの上だった。なんでも、気を失った俺と満身創痍の宗介を、あの鶴岐とかいう清掃員が家まで運んでくれたらしい。
昨日の事は……全部覚えてる。
とんでもない力を持ったカードに溺れてクラスメートのデュエルディスクを破壊したことも、その力で宗介をボロボロにしたことも、全部。夢だと思い込もうとして自分のデッキを確認したが、入れた覚えの無い白紙のカードと体の傷が、あれが現実だったことを物語っていた。
(もう二度と、学園には来れねぇな…)
そんなことを考えながら校門に向かう。あれだけの事件を起こしたのだ。そもそもデュエルを続けるかどうかさえ―――
ドンッ
考え事をしていて前が見えていなかったのだろう。学園に入ろうとする生徒にぶつかった。
「……ってぇな。どこ見て歩いてんだ!」
「す、すみません!急いでたもので………って、武雄君?」
「!!」
ぶつかった相手は宗介だった。
「何だ、先輩かと思ってびっくりしちゃったよ…。武雄君早退するの?」
何でそんな普通に話しかけてくるんだ。
こいつ昨日の事覚えてないのか?
「……お前は俺が怖くないのかよ」
「………?なんで僕が武雄君を怖がるのさ?」
「だって俺は昨日お前にあんなことを……!」
「う~ん…、確かに昨日の武雄君は変だったけど…。でも怖さだけなら他にもっと怖い時あったよ?例えばほら……」
昔の思い出を楽しそうに話す宗介。
……変わらねぇなこいつは。
あの日から俺はお前を越える事だけを目標にしてきたってのに、お前はずっと俺の隣に立ってやがったんだな。
「…なぁ宗介、今度エクシーズ召喚教えろよ」
「いいけど…、武雄君には難しいよ?」
「なっ…!てめぇ調子乗ってんじゃねぇ!」
宗介の頭を小突く。
「いてっ!……へへへ」
「ぷっ…。はは、ははは」
紅葉舞い散る学園に、俺と宗介の笑い声がこだまする―――。
「何なんだよこのガキ!何でこんだけ殴られて倒れねぇんだよ!?」
「も、もうやめろそうすけ!おれのことはいいからもうあきらめろ!」
「や…だよ。どれだけなぐられたって……あきらめるのはぜったいに…いやだ…。あきらめたら……ぜんぶなかったことになっちゃうんだって…おかあさんがいってたんだ……!おとこには…やらなきゃいけないときがあるって……おとうさんがいってたんだ……!だからぼくは…ぜっ…たい…」
そこまで言ったところで宗介は倒れた。
「…ちっ。おいお前ら、もういい、帰るぞ」
「お、おい、いいのかよ!?あの野郎の弟をボコボコにするんじゃ…」
「もういいつってんだろ!!」
「ひっ…!あ、あぁ…分かったよ」
そう言ってそいつらは立ち去って行った。俺の体もボロボロで、立ち上がることは出来なかったが、何とか宗介の下ににじり寄る。
「おいそうすけ!そうすけ!だいじょうぶか!?」
「……あぁ、たけ…おくん。あの人達は……?」
「もうどっかいっちまったよ!」
「そっか……、なら…よかった……」
宗介が顔を綻ばせる。
「……なんでだよ、なんでそこまでするんだよ!!これはおれんちの…おれとおれのにいちゃんのもんだいだろ!?にいちゃんはデュエルつよいのに…ともだちつくらないから…それであいつらがにいちゃんのわるぐちいったから…おれがにいちゃんのかわりにおこって…。でもかんけいないおまえがなぐられることは……!」
「かんけいなくなんかないよ」
「え…?」
「かんけいなくなんかない。ともだちが……たけおくんがいじめられてるなら……それだけで、ぼくにはかんけいのあることだよ…。…だってぼくは………ヒーローだから」
「………!!」
―――この日俺は誓った。
絶対にコイツより強くなることを。
宗介は友達を守る為ならなんだってする。自分が危ない目に会うかどうかなんて全く考えずに行動する。
だから俺が強くなるんだ。
もう宗介が守らないでいいように、代わりに俺が宗介を守れるように。その為なら悪者にだってなってやる、と―――
―――
――
―
『…清掃員だと?清掃員が何の用だ!?関係ねぇ奴はすっこんでろ!!』
「悪いな、宗介は俺の友達なんだ。その友達がピンチってんなら助けねぇとな」
『………!!』
弾き飛ばした宗介のデュエルディスクを拾う。
「強い相手を探してんだろ?だったら俺が相手になってやるよ」
『ほぉ…、随分な自信だな。だがお前のデュエルディスクはどうした?』
「あん?そんなもん持ってねぇ。俺はとっくにデュエルやめてんだ」
『何だと…?そんな奴が俺に勝てると思ってんのか!!』
「戦うのは俺だが、お前を倒すのは俺じゃねぇ。宗介だ」
『あぁん?』
「宗介、デッキ借りるぜ?」
宗介は答えない。
だが、その目は確かに返事をしていた。
宗介のデュエルディスクを左腕にはめる。
D-ゲイザーは必要無い。
「さぁかかって来いよ。お前の技も力も、全部纏めて俺がきっちり掃除してやる」
『舐めやがってぇぇぇ!!!ぶっ潰してやる!!』
(もう二度とデュエルはしないつもりだったんだがな……)
だからってここで黙って見てるような決意なら、そんなもん捨てちまった方がいい。
俺は目を閉じ―――虹彩の色を赤く染める。
「『デュエル!!』」
ISAMI LP 4000
―――VS―――
LP 4000 TAKEO
『俺はリーガリアンの暗躍者を召喚!!』
リーガリアンの暗躍者 ☆3 ATK 1100
『リーガリアンの暗躍者の召喚に成功した時、デッキからリーガリアンモンスターを1体墓地に送る事ができる!俺が選ぶのはリーガリアンの麒麟児!!』
「………。」
『俺は手札のリーガリアンの修行僧を墓地へ送り、ライフを700ポイント支払うことで、墓地からリーガリアンの麒麟児を復活させる!戻れ、リーガリアンの麒麟児!!』
リーガリアンの麒麟児 ☆3 チューナー ATK 1000
ISAMI LP 4000
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
『勝利を唄う兵士の咆哮、目覚めたるは栄光の王者!シンクロ召喚!唸れ、ディグニファイロード・グローリア!!』
ディグニファイロード・グローリア ☆6 ATK 2500
『……シンクロ召喚に驚かねぇんだな』
「今更だからな。その程度のシンクロ召喚なら昔散々見た」
『ちっ…。どんな奴と戦ってたのかは知らねぇが、そいつらとはレベルが違うってことを教えてやるぜ!俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!』
「俺のターン」
デッキに指を添える。
(賢妖精か……。使った事はねぇが…)
俺は自分の持つ賢妖精に関する全ての情報を思い起こす。
(……まだこんだけ覚えてんなら行けんだろ)
「手札から賢妖精ナレッジフロスを召喚!」
賢妖精ナレッジフロス ☆4 ATK 1900
「そして速攻魔法、賢妖精秘術を発動!手札の賢妖精ナレッジワーフ、賢妖精ナレッジビットを墓地に送り、ディグニファイロード・グローリアをデッキに戻す!!」
『馬鹿め!それじゃ宗介の二の舞だぜ!俺は墓地のリーガリアンの暗躍者を除外することで、ディグニファイロード・グローリアを対象にした効果を無効化!!さらに900のダメージを与えるぜ!!』
ISAMI LP 3100
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
発動出来れば一番良かったが、本当の目的はそっちじゃない。
「フィールド魔法、賢妖精文書館発動!手札を1枚デッキの上に戻すことで、相手エンドフェイズに1枚ドローすることができる!」
確かに相手ターンに好きな効果を発動できるのは便利だが、このカードにはもう一つの使い方がある。
「バトル!ナレッジフロスでディグニファイロード・グローリアに攻撃!!」
賢妖精ナレッジフロス ATK 1900 VS ディグニファイロード・グローリア ATK 2500
『血迷ったか!それじゃただの自爆特効だぜ!!』
「この瞬間、ナレッジフロスの効果が発動する!」
『何っ!?』
「このモンスターの攻撃宣言時、俺はデッキからカードを1枚ドローできる!この時、ドローしたカードが賢妖精モンスター以外だった場合デッキに戻さなきゃならねぇが、賢妖精文書館の効果により俺がドローするカードは一つ!現れろ、賢妖精アルフナレッジ!!」
賢妖精アルフナレッジ ☆6 ATK 1200
「さらに!アルフナレッジが自身の効果での特殊召喚に成功したことで、さっき墓地に送ったナレッジビットを特殊召喚する!!」
賢妖精ナレッジビット ☆6 ATK 2300
「聡明なる精霊よ!聖なる光へと昇華し、輝く一陣の風となれ!エクシーズ召喚!吹き抜けろ、賢妖精アルベナレッジ!!」
賢妖精アルベナレッジ ★6 ATK 2600 ORU 2
「オーバーレイユニットを一つ使用し、アルベナレッジの効果発動!デッキからカードを1枚ドローし、それがモンスターカードなら相手モンスター1体を手札に戻す!!」
『ぐっ…!』
「………!ドローしたのは賢妖精ウィルナレッジ!!ディグニファイロード・グローリアを手札に戻すぜ!!」
賢妖精アルベナレッジ ORU 1
『くそっ!ディグニファイロード・グローリアの効果を発動できるのは1ターンに1度だけ…。さっきの特殊召喚といい、速攻魔法は囮だったか!!』
「これで俺はターンエンド」
ダメージは与えられなかったが、まぁ1ターン目ならこんなもんだろ。
『どうやら最初の啖呵通り、中々やるようだな。だがその程度じゃあ俺には勝てねぇぜ!俺のターン!!』
豪快にカードをドローする。
『永続罠、王格の再興を発動!墓地のリーガリアンの修行僧をディグニファイロードモンスターへと変更し、特殊召喚する!!』
リーガリアンの修行僧 ☆4 ATK 1900
『続いて手札からリーガリアンの占術士を召喚!!』
リーガリアンの占術士 ☆2 チューナー ATK 500
再びシンクロ召喚の準備が整った。
『レベル4、リーガリアンの修行僧に、レベル2、リーガリアンの占術士をチューニング!』
2体のモンスターが1つとなって光の道を作り上げる。
『戦場駆ける雄々しき御旗、率いたるは支配の王者!シンクロ召喚!貫け、ディグニファイロード・インペリウム!!』
ディグニファイロード・インペリウム ☆6 ATK 2300
新たなシンクロモンスターだが…、知らない訳ではない。確か効果は―――
『俺はディグニファイロード・インペリウムでナレッジフロスに攻撃!!』
ディグニファイロード・インペリウム ATK 2300 VS 賢妖精ナレッジフロス ATK 1900
『ディグニファイロード・インペリウムが攻撃した時、戦闘を行う相手モンスター以外のフィールド上のカードを1枚破壊できる!さぁ砕けろ、賢妖精アルベナレッジ!!』
「だがアルベナレッジの効果は相手ターンでも発動できる!アルベナレッジのオーバーレイユニットを一つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする!!」
『転んでもタダじゃ起きねぇって訳か…』
ISAMI LP 2700
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
『これで俺はターンエンド!』
「その時、賢妖精文書館の効果により俺は1枚ドローする!」
カードを確認する……が、特殊召喚できるモンスターではなかった。
『これでそのデッキのエースモンスターは破壊した!形勢は一気に俺に傾いたなぁ!?』
「そいつはどうかな?」
『!!!』
これは俺と宗介の2人で作ったデッキだ。このデッキの事は俺が2番目に良く分かっている。まだ大丈夫だ。
「俺のターン!俺は再び賢妖精文書館の効果を発動し、手札を1枚デッキの上に戻すぜ!!」
『またデッキ操作か!!』
「そして、墓地に眠るナレッジワーフの効果を発動!このカードと手札のウィルナレッジを除外することで、デッキから1枚ドローする!!」
もちろんドローするカードは…
「俺はカードの効果によりドローしたことで、賢妖精ナレッジボルトを特殊召喚!!」
賢妖精ナレッジボルト ☆6 ATK 1500
「さらに!フィールド上のナレッジボルトをリリースし、墓地から2体の賢妖精モンスターを効果を無効にして特殊召喚する!再び現れろ、賢妖精ナレッジビット、賢妖精ナレッジマンダ!!」
賢妖精ナレッジビット ATK 2300
賢妖精ナレッジマンダ ATK 2100
「俺はレベル6のアルフナレッジとナレッジビットでオーバーレイネットワークを構築!」
『てめぇのモンスターエクシーズはさっき潰したはず!……まさか!!』
「木々の息吹をその身に纏い、月明かりの下で舞い踊れ!エクシーズ召喚!魅せろ、賢妖精ダイアナレッジ!!」
賢妖精ダイアナレッジ ★6 ATK 2700 ORU 2
『新たなモンスターエクシーズ!?』
「ダイアナレッジのオーバーレイユニットを一つ使用し、効果を発動!デッキからカードを2枚ドローし、手札を2枚デッキの一番上に戻す!」
賢妖精ダイアナレッジ ORU 1
「ダイアナレッジがフィールド上に存在し、自分がカードをドローした時、俺は1000ポイントのライフを得る!!」
ISAMI LP 3700
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
『……ぷっ、はっはっは!!どんな強力な効果が出てくるかと思えば、たかだか1000のライフ回復だと!?ビビらせやがって!そんなモンスターで俺に勝とうなんざ100年早ぇぜ!!』
やっぱ最初はそう思うよな。
俺は宗介との会話を思い出す。
―――
「じゃあダイアナレッジの効果で2枚ドローして2枚をデッキの上へ。そしてライフを1000回復……。…あの鶴岐さん、これ何の意味があるんですか?」
「何がだ?」
「いえ、だってこれ結局引いて戻してるだけじゃないですか。確かに欲しいカードといらないカードを入れ換えられるのは嬉しいですけど、わざわざエクシーズ召喚してまで使う様な効果かと言われれば…」
「それで十分強いんだがな……。まぁ実感が湧きにくくはあるか。よし!いいか宗介。これはな、いらねぇカードを戻すんじゃなくているカードを戻すんだよ」
「は……?」
ーーー
「もう一度オーバーレイユニットを取り除き、ダイアナレッジの効果を再発動!!」
『1ターンに2度効果を発動するだと!?』
賢妖精ダイアナレッジ ORU 0
「デッキから2枚ドローし、手札を2枚デッキに戻す!続けてライフを1000回復!」
ISAMI LP 4700
―――VS―――
LP 3300 TAKEO
『まさか…、1回目はデッキを操作する為に…!!』
「そのまさかだ!カードの効果でドローしたことにより、ナレッジピクスを特殊召喚!!」
賢妖精ナレッジピクス ☆1 ATK 600
「魔法カード、賢妖精魔杖をダイアナレッジに装備!ダイアナレッジの攻撃力を800ポイントアップする!!」
賢妖精魔杖 装備魔法
賢妖精ダイアナレッジ ATK 3500
「そしてフィールド上のナレッジピクスを手札に戻すことで、ダイアナレッジの攻撃力をさらに600ポイントアップ!!」
賢妖精ダイアナレッジ ATK 4100
「バトルだ!ダイアナレッジでディグニファイロード・インペリウムにアタック!!」
『ディグニファイロード・インペリウムは戦闘では破壊されねぇ!』
「だがダメージは受けてもらうぜ!!」
賢妖精ダイアナレッジ ATK 4100 VS ディグニファイロード・インペリウム ATK 2300
『ぐぁぁぁ!!!』
ISAMI LP 4700
―――VS―――
LP 1500 TAKEO
「俺はこれでターンエンドだ!!」
『はぁ…、はぁ…、は…、ははは…、はっはっは、はっはっはっはっは!!』
「!!!」
『いいぞぉぉ!!まさかここまでやるとは予想外だったぜ!!それでこそ潰しがいがあるってもんだ!!さぁもっともっと飛ばして行くぞぉぉぉ!!!』
その言葉に答える様に、デュエルディスクが黒い光を放つ。
『俺の、タァァァン!!!俺はチューナーモンスター、ラストシンクロードを召喚!!』
ラストシンクロード ☆1 チューナー ATK 0
「……っ!?」
自分が知っているカードの量には多少自信があるが、俺がデュエルを辞めてもう8年経つ。その間に多くのカード出ただろうし、知らないカードがあるのにも不思議は無い。
だが何だコイツは。
俺は絶対にこんなモンスターは知らない………はずなのに、何なんだこの懐かしい感覚は?まるで旧友に会ったかのような…
「鶴岐さん……、気をつけて下さい……あのモンスターは…」
(はっ!)
その声に現実に引き戻される。
「……あぁ、分かってる」
『俺は300のライフを支払い、ラストシンクロードのレベルを1から2に変更!!』
ラストシンクロード ☆2
『レベル6、ディグニファイロード・インペリウムに、レベル2、ラストシンクロードをチューニング!!』
どす黒い影が、2体のモンスターを包み込む。
『終末誘う戦火の渦に、奮い立つは思惑の王者!ラストシンクロォォォ!!!打ち砕け、ディグニファイロード・アルビトリウム!!』
ディグニファイロード・アルビトリウム ☆8 ATK2800
『シンクロ召喚に成功したことで、ディグニファイロード・アルビトリウムの効果発動!賢妖精ダイアナレッジを破壊するぜ!!』
「うっ…!」
『まだ終わってねぇぞ!ディグニファイロード・アルビトリウムでダイレクトアタックだぁぁぁ!!』
ディグニファイロード・インペリウム ATK 2800
「がはっ…!!」
あまりの衝撃に全身の骨が軋み、膝をついてしまう。
ISAMI LP 1900
―――VS―――
LP 1500 TAKEO
『ひゃっはははぁぁぁ!!!どうだ清掃員!強さとは力!力こそが最強!どんな技術も作戦も、圧倒的な力の前にはただ平伏すのみ!!弱ぇ事はそれだけで罪だ!だからこうやって強者が裁いてやってんだよ!!!』
「……そいつは違うぜ」
口の中を切ったらしい。溜まった血を吐き出す。
『……何?』
「確かに力は大事だよ。弱者が淘汰されんのは世の常だ。けどな、」
膝に手を置き、何とか立ち上がる。
「だからこそ人は繋がるんだよ!助け合って、支え合って強大な敵に立ち向かう!それこそが人の強さだ!力なんかじゃ到底及ばねぇ本当の強さだ!!」
『黙りやがれぇぇぇ!!てめぇ状況が分かってんのか!?ラストシンクロードが罠を完全に封じ、ディグニファイロード・アルビトリウムが1ターンに1度特殊召喚を無効にする!その本当の強さとやらでこの布陣を崩せるもんなら見せてみやがれ!!』
「―――あぁ見せてやるよ、てめぇを倒してな」
息を整え、デュエルディスクを構える。
「俺の、ターン!!」
エンドフェイズに賢妖精文書館の効果でドローしたことで、俺の手札は3枚。
それだけあれば十分だ。
「俺は、賢妖精ザントナレッジを召喚!!」
賢妖精ザントナレッジ ☆4 ATK 1800
『モンスターエクシーズですらないたかだか攻撃力1800のモンスター?それが本当の強さとは笑わせてくれるぜ!!』
「墓地に存在する賢妖精魔杖の効果を発動!墓地のアルベナレッジ、ダイアナレッジを除外し、このカードをデッキの一番上に戻す!!」
『2体のモンスターエクシーズを除外…!?』
「そして魔法カード、賢妖精贈札発動!!」
賢妖精贈札 通常魔法
「手札を1枚デッキに戻し、カードを2枚ドローする!この瞬間、ザントナレッジの攻撃力は500ポイントアップする!!」
賢妖精ザントナレッジ ATK 2300
『だがまだ攻撃力は2300!ディグニファイロード・アルビトリウムには届かねぇぜ!!』
「自身の効果でデッキに戻った賢妖精魔杖がそのターン中にドローされた時、デッキから1枚ドローする!!これでザントナレッジの攻撃力はさらに500ポイントアップ!!」
賢妖精ザントナレッジ ATK 2800
『攻撃力が並んだ…!相打ち狙いか!!』
「言ったろ?てめぇを倒すって」
『何!?』
「カードの効果によってドローされたことにより、賢妖精ナレッジピクスと賢妖精ナレッジアードは手札から特殊召喚できる!」
『だが特殊召喚は…』
「分かってるよ。さぁ好きな方を止めな!!」
『………俺は墓地からリーガリアンの修行僧を除外し、ナレッジピクスの特殊召喚を無効にする!!』
賢妖精ナレッジアード ☆2 ATK 500
「ナレッジアードが手札からの特殊召喚に成功した時、俺はカードを1枚ドロー!!」
賢妖精ザントナレッジ ATK 3300
「さらに賢妖精魔杖をザントナレッジに装備し、攻撃力を800ポイントアップ!!これでザントナレッジの最終攻撃力は4100!!」
賢妖精魔法杖 装備魔法
賢妖精ザントナレッジ ATK 4100
『くそ、くそくそくそくそくそくそくそくそ!!!』
「見せてやれザントナレッジ、お前達の繋がりの強さを!!ザントナレッジで、ディグニファイロード・アルビトリウムに攻撃!!!」
『くっっそォォォぉぉぉ!!!』
ISAMI LP 1900
―――VS―――
LP 0 TAKEO
―――
「それじゃあ出席取るぞー。綾崎ー…は今日も体調不良、と。伊東ー」
「伊東君は昨日の怪我で休みです」
「……そうか。じゃあ奥村ー」
「はい」
「神田ー…も怪我か。木下ー」
「はい」
「黒沢ー」
「はーい」
「剛田ー……は休みか。さと…」
ガララッ
「「「「!!!?」」」」
空気が凍り付いたのが分かる。
(おい…何であいつ来てんだよ…)
(知らないわよ…。退学になったんじゃなかったの!?)
(ていうかよく学校来れるよな…)
(あぁ…、あんなことしておいて…)
(今日なんか昨日の怪我で10人も休んでるんだぜ…?)
……声を落とした話し声ってのは大抵聞こえてるもんだ。
「こそこそ話してんじゃねぇ!!言いたい事があるならはっきり言いやがれ!!!」
「「「「………。」」」」
そしてほら、こうやって怒鳴ってやれば全員黙り込みやがる。
「……ほ、ほら剛田、授業始めるから席に……」
「帰る」
「え?」
「帰るっつってんだよ!!」
バァン!
後ろ手にドアを思いっ切り閉める。
今朝、目覚めた時は自分のベッドの上だった。なんでも、気を失った俺と満身創痍の宗介を、あの鶴岐とかいう清掃員が家まで運んでくれたらしい。
昨日の事は……全部覚えてる。
とんでもない力を持ったカードに溺れてクラスメートのデュエルディスクを破壊したことも、その力で宗介をボロボロにしたことも、全部。夢だと思い込もうとして自分のデッキを確認したが、入れた覚えの無い白紙のカードと体の傷が、あれが現実だったことを物語っていた。
(もう二度と、学園には来れねぇな…)
そんなことを考えながら校門に向かう。あれだけの事件を起こしたのだ。そもそもデュエルを続けるかどうかさえ―――
ドンッ
考え事をしていて前が見えていなかったのだろう。学園に入ろうとする生徒にぶつかった。
「……ってぇな。どこ見て歩いてんだ!」
「す、すみません!急いでたもので………って、武雄君?」
「!!」
ぶつかった相手は宗介だった。
「何だ、先輩かと思ってびっくりしちゃったよ…。武雄君早退するの?」
何でそんな普通に話しかけてくるんだ。
こいつ昨日の事覚えてないのか?
「……お前は俺が怖くないのかよ」
「………?なんで僕が武雄君を怖がるのさ?」
「だって俺は昨日お前にあんなことを……!」
「う~ん…、確かに昨日の武雄君は変だったけど…。でも怖さだけなら他にもっと怖い時あったよ?例えばほら……」
昔の思い出を楽しそうに話す宗介。
……変わらねぇなこいつは。
あの日から俺はお前を越える事だけを目標にしてきたってのに、お前はずっと俺の隣に立ってやがったんだな。
「…なぁ宗介、今度エクシーズ召喚教えろよ」
「いいけど…、武雄君には難しいよ?」
「なっ…!てめぇ調子乗ってんじゃねぇ!」
宗介の頭を小突く。
「いてっ!……へへへ」
「ぷっ…。はは、ははは」
紅葉舞い散る学園に、俺と宗介の笑い声がこだまする―――。
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…これまた細かいところで申し訳ないのですが、ダイアナレッジは『1枚につき500回復』なので、2枚ドローすると1000回復したりします。 (2016-02-25 21:35)
コメントありがとうございます!
すいません使わせていただいているのにミスばかり…。
また訂正しておきます^^; (2016-02-27 21:52)