第２羽　その男、人参につき。　作：ハカラメ

人参？「う、ううう...」


トリオン「に、ににに...！」

アトラ「人参が、喋ってる！？」

ティオ「すごく...キモいです」

カズーラ「あら～美味しそうね～」
アトラ「カズーラ！？」

アトラ「ていうかフレ姉、それどっから持ってきたんだよ！？」
トリオン「もしかしてこれ、中国産？」
アトラ「そんなわけないだろ！」
トリオン「え、でも中国の野菜ってこんなんじゃ...」
アトラ「やめろぅ！ いろんな人に怒られるからぁ、怒られちゃうからぁ！！」（泣）


人参？「ど、どちらかと言えば、韓国産だ...」


アトラ「うわっ、また喋った！？ ていうかそんな情報いらないよ！」

フレシア「これはねぇ・・・そう、仕事場からの帰り道に拾ったの！ 今日はニンジンたっぷりのシチューにしようと思って！！」
トリオン「わーい、フレ姉のシチュー大好き～！」
アトラ「まてまて！ なんでどいつもこいつも食べる流れになってんだよ！正気か！？」
トリオン「でも、人参だよ？」
アトラ「いやいや、こんな気持ち悪い見た目の人参だぞ！？ 味だって相当マズいはず...」


人参？「誰が気持ち悪いだとコノヤローーー！！！」（怒）


アトラ「うわぁ、人参オバケが怒った！！」
人参？「俺は化けもんでもオバケでもねぇ！ 俺の名は『にんじん』だ！！」
トリオン「・・・見れば分かるよ？」


にん人「違う！ にんじんじゃねぇ、『にん人』だ！」


アトラ「・・・もしかして、お前もアカデミアか！？」
にん人「融合じゃねぇ、ユーゴだ...ってそれは違う人だろうが！」

カズーラ「そんな事よりにん人さん、あなたって美味しいの～？」
にん人「あ、あぁ・・・一応市販のニンジンよりカロテンやうま味成分が豊富に含まれているのは確かだが...」

カズーラ「じゃあ、いただきま～す♪」
にん人「？」

ｶﾞﾌﾞｯ

にん人「ギャアアアァァァ腕があああっ！？！？」

カズーラ「もぐもぐ...あら、美味しい！」
にん人「いやそれ俺の腕ェ！ 何平然と食ってるの君ィ！？」
ティオ「え、美味しいんですか...？」
トリオン「そうみたいだねティオちゃん。ティオちゃんも食べる？」
にん人「えっ...」

トリオン「じゃああたしが捕ってあげる！」
ﾌﾞﾁｯ
にん人「あああぁぁ、今度は左腕がああああ！？」

トリオン「どう、ティオちゃん？」
ティオ「すごく、美味しいです...！」ｷﾗｷﾗ
にん人「いやそれぇ！ 俺の腕だからぁ！！」
トリオン「もう、腕を食いちぎられたくらいで大げさな・・・ノイド使いを見習いなさい！」
にん人「いや俺ノイド使い程左腕生えてないから！ 左腕は１本しかないから！！」


にん人「ちょ、ちょっとフレシアさん・・・なんかさっきの話とは全然違うんですけどこれ...」

フレシア「え～と...ごめんなさいね、ちょっと我慢してて...」

トリオン「？ どうしたの、フレ姉？」
フレシア「あ、ううん、何でもないわよ～」
トリオン「フレ姉も一緒に食べよ！」
にん人「！？」
フレシア「じゃあ遠慮なく・・・私は胴体を頂くわ！」

にん人「えっ、ちょっ、まって助け・・・」

ｶﾞﾌﾞｶﾞﾌﾞｶﾞﾌﾞｯ



にん人「ギャアアアァァァ ァァァ ｧｧｧ ｧｧｧ... ...」



その日、喋る人参の断末魔が、森中に響き渡ったのでした...









第３羽に続く