HOME > 遊戯王SS一覧 > 遊戯王 World suspension > episode4 夜の神は人生を結う

遊戯王 World suspension/episode4 夜の神は人生を結う 作:

「エクシーズモンスターが2体…でも、その2体で俺のライフを削り切ることは出来ない!」

確かに男の言う通りだ。
彼女のフィールドには攻撃力2500の希望皇ホープが2体、総攻撃を仕掛けても男の6300のライフを削り切ることは出来ない。
だが、彼女にはまだ手札が1枚ある。そのカードがどう絡むか…

「僕は手札の「RUM-アージェント・カオス・フォース」を捨て、希望皇ホープ1体でオーバーレイネットワークを再構築!

【希望の戦士は神の龍へと昇華する!天より授かりしその力を振るい、希望で世界を闇より救え!】

ランクアップ・エクシーズチェンジ!【No.99 希望皇龍ホープドラグーン】!」

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No.99 希望皇龍ホープドラグーン/Number 99. Utopic Dragon
光/ドラゴン族/ランク10/効果/エクシーズ/ATK4000/DEF2000
レベル10モンスター×3
このカードは手札の「RUM」魔法カード1枚を捨て、自分フィールドの「希望皇ホープ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1)1ターンに1度、自分の墓地の「No.」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。
(2)このカードを対象とするモンスターの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし、破壊する。

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ホープが光り輝き、黒い渦に吸い込まれたかと思うと、渦を中心に強い爆発を起こし、周囲の石柱を吹き飛ばし、壁に当たり崩れる。
その間にも、ホープの姿は止まることなく変化し、その姿を人型から龍のような、飛翔する細長い鎧を纏った姿となっていく。
その龍から放たれる波動は「神」の慈しみ、暖かい光が周囲を包み、爆風と爆発が止む。
神の威光を纏いし希望の神龍が、その存在を示すように、強大な威圧感を放ち、静かに佇んでいた。
ただのカードではない。これが彼女のソウルカードなのだ。対峙する男と暁は、瞬時にその事実を認識した。

その龍には体温がある。

その龍には魂がある。

その龍には生命がある。

- - -この龍は「意思」を持っていると。

「なんだ…こいつ…俺のグラファと…比較にもならない…」
「これが…「ソウルカード」なのか…?」

観客である二人は目の前の光景に圧倒され、息をすることすら忘れる感情を抱いた。
「希望」…今すぐ全てを投げ打って、自らの人生を照らし出す光を追い求めたくなった。この龍には、人にそう思わせる力がある。
そして決闘の終幕は呆気なく降りることとなる。

「バトルフェイズ、希望皇ホープで攻撃。【ユートピア・スラッシュ】!」
「あ…」LP6300→3800
「終わりだ。ホープドラグーンでダイレクトアタック。【創星希望波・アンリミテッド・ホープ】!」
「あ…あ…」LP3800→0

二人の意識が覚醒した時、既に勝敗は決まっていた。

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「あ…負け…た…?」
「…可哀想に。人生に嫌気が差したのかい?でも大丈夫だ。希望を持って生きよう…」

彼女はそう言うと、光を失った男に歩み寄り、ホープドラグーンのカードを掲げる。
すると、深淵の闇のように深く昏い男の瞳に光が戻った。その瞳は虚空を見つめ、まるで何かを妄信している信徒のような、軽い狂気を孕んだ瞳だった。

「そうだ…俺は…俺は、まだ死んじゃいないんだ!まだやり直せる!また…生きれるんだぁぁ!」

笑い、叫びながら男は走り去る。突然の出来事の連続に、暁の脳は処理が追いつかない。

「…これが、僕のソウルカード、「No.99 希望皇龍ホープドラグーン」の能力、「対象に狂信的Nなプラスの感情を植え付ける」能力だ。」
「…え?」
「今、あの男に「生への希望」を植え付けた。あいつは生き続けるよ。狂信的な希望を胸にね。」

改めて知る、その異常さ。超能力のように人に影響を与える能力。
人知を超えた、人の範疇を超えた力であった。

「…君は」
「え?」
「君は今までも希望を植え続けてきたのか?」
「…いや、憶えてない。でも、きっとやっていたと思う。でも、やっているのは犯罪者だけだ。犯罪者が足を洗い、社会に復帰する手伝いをしているだけだよ。」

…人に希望を与え、一歩を踏み出せる機会を与える能力、だが、その行為は何のためになるのだろう。自分の意思ではない、植え付けられた一歩など。

「…帰ろう」
「へえ、僕をまだ家に置く気かい?今後もこんな状況に巻き込まれるかもしれないよ?」
「だからこそだ。君がこれ以上危険な状況に一人で立ち向かわずに済むようにだ。見知った人を見殺しにするのは夢見が悪い。」

本心からの言葉だった。自分より一回り小さな少女が世界の闇と戦っているのだ。
正義のヒーローごっこではない。本物の死と隣り合わせで生きている。そんな彼女を放るのは、何とも気持ちの悪い、後味の悪いものだった。触手が蠢く崖下に、今にも身を投げそうな少女を見ている気分だ。

「…じゃあ、ありがたく。」
「そうだ、これを機に君に名前をつけていいかな?」
「名前?いいけど。」
「ありがとう。君の名前はこれから「夜神 結衣」だ。」

夜の街で、神のごとき行いをし、世界に正義を結い戻す。そんな思いを込めて名付けた。
「夜神 結衣」と。

「ふーん…ありがとう。」
「…ん?」

結衣と共に踵を返し、帰ろうとした矢先、何かが視界に入り込んでくる。結衣をその場に待たせ、それに近づく。
それはカードの束だった。青い外枠に赤い矢印のようなマークがついた、見たこともないカードを一番上にした、遊戯王のカードだった。

「…これは?」

しゃがみこみ、カードを手にする。すると、

「…ッ!あぁ…ッ!?」

鋭い頭痛が頭を走り、意味不明な情報が頭に雪崩れ込み、脳の情報回路を焼き切らんとしてくる。
ティンダロス、120度より小さい、異常な角度、連れ込み殺す、とがった時間、鋭角の移動、猟犬、時空の狭間、
…「ティンダングル・アキュート・ケルベロス」

「大丈夫かい?」

異常に気づいた結衣が駆け寄り、背中をさすってくる。

「う…ああ、問題ない。ごめん。」

頭痛が引き、情報の処理が完了する。意味は理解できないが、何か重要なものなのかもしれない。
自分を落ち着かせ、再び家に向かって結衣と共に歩を進める。
「ティンダングル」のデッキを手にして。

次回へ続く。
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ここから暫くデュエル回が無い(予定)です。 (2018-12-29 01:08)

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