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episode2 訪問、そして対峙 作:暁
状況を整理しよう。
俺が玄関を開けたら全く知らない美少女が立っていた。
何を言っているのか分からねーと思うが俺も何が起こっているのか理解できない。
異世界転生だとか、ハーレムエ口ゲだとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。
もっと理解できないなにかを味わったぜ……
「えっと…聞こえるかい?」
眼前の少女の放った一言で俺の意識は涅槃から現実へ戻ってくる。人間慌てると考えられなくなるようだ。
とりあえず、軽く少女を探ってみよう。
もしかしたら家出少女かもしれないし、そうなら警察に保護してもらわなければ。
「大丈夫だ、それより君は?」
「それは僕の方が聞きたいよ。君は僕が何者か知っているかい?」
…は?
何を言っているんだこの子。自分の事が分からない?そんな馬鹿な。
記憶喪失でもしてるのか?
「君、『こいつ記憶喪失か?』という顔をしているね。まさしくそうだよ。」
「…へー」
不味いぞ。それが本当なら俺が誘拐いて記憶を消したみたいに思われるじゃないか。警察に相談したらゴヨウされるぞ。
…とりあえず、家で保護しておこう。警察に差し出すと、俺の社会的地位も差し出すことになる。
「というか、何故ここに?」
「知らない。気付いたらここにいたのさ。暑いから上がっていい?」
なんてふてぶてしいんだこいつ。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
突如女の子を家に上げたことでKに通報されかけたが、必死の説得と少女の証言によって俺は不当な死を迎えずに済んだ。
少女にはあれから話を聞いた。症状を要約すると以下の通りだ。
・エピソード記憶が何も思い出せない。(人の名前、顔、家族など)
・知識は衰えておらず、寧ろ上がった気がする。
・「ソウルカード」に目覚めていた。
…ラノベかよ。が率直な感想だ。
それはともかく、彼女はソウルカードに目覚めた時の記憶もないらしく、喪失以前からの力か、喪失後の力かが不明のようだ。
彼女のソウルカードは【 No.99 希望皇龍ホープドラグーン】。聞いたことはある。
【 No.】とはこの世界を作りし創世神が、世界を守る切り札として残した107つの星の伝説だ。その伝説がカードになっているとは初めて知った。
彼女のデッキは俗に言う【ランク4】。ランク4Xモンスターの中でもとりわけ汎用的なモンスターを主軸に、高速でX召喚をするデッキだ。ホープドラグーンの出番は少なそうだ。
彼女は話終えると、そそくさに貸した部屋へこもってしまった。
「…不思議な子だなぁ…」
「まあ、世界は広いしな。色んな奴がいる。」
「当たり前だ」
Kとそんな当たり障りのない話をする。
そのまま夜も更けていった。
時刻は午後10時。良い子は寝る時間だ。
Kは既に帰っており、部屋には俺だけ。そろそろ寝ようと電気を消すと、見計らったように彼女に貸した部屋へ からドアが開く音がした。
「?どこ行くんだ?」
「散歩だよ。すぐ帰るから。」
「危ないぞ、着いていく、待ってろ。」
準備を整えて玄関に戻ると、彼女はもういなかった。
仕方がないので尾行することにした。
彼女は淀みない足取りで町外れの高架下まで来た。こんなところに何の用があるのだろう。
高架下の外から、彼女を眺めているとー ー ー
ー ー 突如、彼女の眼前が歪んだ。空間が渦巻き、ヒトを象っていき、彼女と対峙する。
「闇人間」の回りは深い黒の絵の具を落としたような不安を煽る色で、見ているとざわざわする。
彼女はそんなものを見ても微動だにしなかった。
ー 頭で考えるより体が動いた。彼女を守ることだけを考え、二人の間に立ちふさがった。
「君、逃げろ!」
「なんだ、着いてきてたのか。大丈夫、僕に任せて、そこを退くんだ。」
彼女は微笑んでそう言うと、「闇人間」にホープドラグーンのカードを翳す。すると、闇が晴れ、アルビノの男の姿が露わになる。
「あぁ…?」
「こんばんは、犯罪者さん。」
この子は何をいっているんだ。
確かに闇の中から現れたり不審ではあるが…
「…へぇ?何の?」
「勿論、ここ最近の失踪事件のことさ。」
失踪事件…この辺りで幅広い年代の人が次々に姿を消し、総数が10人を超えた事件か。だが、何の関係が?
「おい、突然人を犯人扱いするなよ。あの人困ってるだろ。」
「いいや、あの人は犯人だ。だよね?」
「…くっくっ…どう知ったかは知らねえが、知られたからには殺るしかねえな。だよなぁ?」
…え、なんだこの超展開。俺もう着いていけないんだが。
「で?これから殺されるキミは遺言ある?」
彼女はその一言を無視して右腕を前に差し出す。
右腕に付けられたリストバンドを左手で撫でると、高架下がデュエルフィールドに変貌し、リストバンドがデュエルディスクになる。
「君を、救ってあげよう。」
次回へ続く。
俺が玄関を開けたら全く知らない美少女が立っていた。
何を言っているのか分からねーと思うが俺も何が起こっているのか理解できない。
異世界転生だとか、ハーレムエ口ゲだとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。
もっと理解できないなにかを味わったぜ……
「えっと…聞こえるかい?」
眼前の少女の放った一言で俺の意識は涅槃から現実へ戻ってくる。人間慌てると考えられなくなるようだ。
とりあえず、軽く少女を探ってみよう。
もしかしたら家出少女かもしれないし、そうなら警察に保護してもらわなければ。
「大丈夫だ、それより君は?」
「それは僕の方が聞きたいよ。君は僕が何者か知っているかい?」
…は?
何を言っているんだこの子。自分の事が分からない?そんな馬鹿な。
記憶喪失でもしてるのか?
「君、『こいつ記憶喪失か?』という顔をしているね。まさしくそうだよ。」
「…へー」
不味いぞ。それが本当なら俺が誘拐いて記憶を消したみたいに思われるじゃないか。警察に相談したらゴヨウされるぞ。
…とりあえず、家で保護しておこう。警察に差し出すと、俺の社会的地位も差し出すことになる。
「というか、何故ここに?」
「知らない。気付いたらここにいたのさ。暑いから上がっていい?」
なんてふてぶてしいんだこいつ。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
突如女の子を家に上げたことでKに通報されかけたが、必死の説得と少女の証言によって俺は不当な死を迎えずに済んだ。
少女にはあれから話を聞いた。症状を要約すると以下の通りだ。
・エピソード記憶が何も思い出せない。(人の名前、顔、家族など)
・知識は衰えておらず、寧ろ上がった気がする。
・「ソウルカード」に目覚めていた。
…ラノベかよ。が率直な感想だ。
それはともかく、彼女はソウルカードに目覚めた時の記憶もないらしく、喪失以前からの力か、喪失後の力かが不明のようだ。
彼女のソウルカードは【 No.99 希望皇龍ホープドラグーン】。聞いたことはある。
【 No.】とはこの世界を作りし創世神が、世界を守る切り札として残した107つの星の伝説だ。その伝説がカードになっているとは初めて知った。
彼女のデッキは俗に言う【ランク4】。ランク4Xモンスターの中でもとりわけ汎用的なモンスターを主軸に、高速でX召喚をするデッキだ。ホープドラグーンの出番は少なそうだ。
彼女は話終えると、そそくさに貸した部屋へこもってしまった。
「…不思議な子だなぁ…」
「まあ、世界は広いしな。色んな奴がいる。」
「当たり前だ」
Kとそんな当たり障りのない話をする。
そのまま夜も更けていった。
時刻は午後10時。良い子は寝る時間だ。
Kは既に帰っており、部屋には俺だけ。そろそろ寝ようと電気を消すと、見計らったように彼女に貸した部屋へ からドアが開く音がした。
「?どこ行くんだ?」
「散歩だよ。すぐ帰るから。」
「危ないぞ、着いていく、待ってろ。」
準備を整えて玄関に戻ると、彼女はもういなかった。
仕方がないので尾行することにした。
彼女は淀みない足取りで町外れの高架下まで来た。こんなところに何の用があるのだろう。
高架下の外から、彼女を眺めているとー ー ー
ー ー 突如、彼女の眼前が歪んだ。空間が渦巻き、ヒトを象っていき、彼女と対峙する。
「闇人間」の回りは深い黒の絵の具を落としたような不安を煽る色で、見ているとざわざわする。
彼女はそんなものを見ても微動だにしなかった。
ー 頭で考えるより体が動いた。彼女を守ることだけを考え、二人の間に立ちふさがった。
「君、逃げろ!」
「なんだ、着いてきてたのか。大丈夫、僕に任せて、そこを退くんだ。」
彼女は微笑んでそう言うと、「闇人間」にホープドラグーンのカードを翳す。すると、闇が晴れ、アルビノの男の姿が露わになる。
「あぁ…?」
「こんばんは、犯罪者さん。」
この子は何をいっているんだ。
確かに闇の中から現れたり不審ではあるが…
「…へぇ?何の?」
「勿論、ここ最近の失踪事件のことさ。」
失踪事件…この辺りで幅広い年代の人が次々に姿を消し、総数が10人を超えた事件か。だが、何の関係が?
「おい、突然人を犯人扱いするなよ。あの人困ってるだろ。」
「いいや、あの人は犯人だ。だよね?」
「…くっくっ…どう知ったかは知らねえが、知られたからには殺るしかねえな。だよなぁ?」
…え、なんだこの超展開。俺もう着いていけないんだが。
「で?これから殺されるキミは遺言ある?」
彼女はその一言を無視して右腕を前に差し出す。
右腕に付けられたリストバンドを左手で撫でると、高架下がデュエルフィールドに変貌し、リストバンドがデュエルディスクになる。
「君を、救ってあげよう。」
次回へ続く。
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暁
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