80.翼煌巨挙　作：くちなし

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、、【S召喚！☆8、、クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン！】

雄々しき姿に、水晶の様に煌びやかな翼を輝かせ、場に現れた白竜こそ、悠里に渋々ながら借りたモンスターである。

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン　ATK3000


【フィールド】
瑞穂　LP2500　手札2
クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン　ATK3000
ABF－漆黒のホーク・ジョー　ATK2600
ABF－神立のオニマル　ATK3000
伏せカード2枚

翼　LP6400　手札2
クリアー・バイス・ドラゴン　ATK？
眠れる巨人ズシン　ATK？


「、、【BF】じゃない、、」
「、、行くわよっ！」

翼の後ろを追いかける瑞穂が、強く声を発する。

(あいつ、、オニマルを放置するのか、、オニマルは雷を纏った【BF】の中での頂に立つモンスター。。だが、S素材は”ジズキエル”、、オニマルの効果は使えない、、仮に、ズシンを無理矢理倒せたとして、次のターン、【壊獣】で処理される、、さて、どうするか、、？)

悠里は考えていた。
ここで”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”をS召喚、相手を牽制しても、【壊獣】は防げない。しかも、格好の餌食になってしまう。瑞穂はいったい何を考えているのか。。

「”神立のオニマル”で”クリアー・バイス・ドラゴン”を攻撃！」

クリアー・バイス・ドラゴン　ATK0

翼　LP6400

「”クリアー・バイス・ドラゴン”が、、残っている、、？」
「バトル直前に、罠発動！”BF－アンカー”！！」
「、、！」


BF－アンカー　通常罠
①【BF】モンスター1体をリリースし、自分の場に表側表示で存在するSモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで、このカードを発動するためにリリースしたモンスターの攻撃力分アップする。


「ホーク・ジョーをリリースして、クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンの攻撃力を、2600アップする！」

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン　ATK3000→5600

ホーク・ジョーが、クリスタルウィングに憑依すると、クリスタルウィングの翼が黒く染まる。瑞穂と悠里のカードの力を合わせた、というところだろうか。そして、ホーク・ジョーがフィールドから姿を消したことによって、バトルは強制終了した。

「、、いくら攻撃力を上げようとも、ズシンを戦闘では破壊できない！」
「破壊してみせるわ！これが最後の攻撃よ！”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”、
”眠れる巨人ズシン”に攻撃しなさい！！”双翼撃『黒晶のクリスタルダイブ』！！”」

【BF】の力を纏ったクリスタルウィングが啼きながら、天高く空へと舞い上がる。

「”最後の”攻撃、、」
「あたしは、クリスタルウィングの攻撃宣言時に、この罠カードを初そうするわ。そして、このカードは、このデュエルの勝敗を決めるカードよ！！」
「、、！」
「、、ラストリバース、オープン！！」

Dホイールに設置されたボタンを人差し指で押す。相手の場には伏せカードはない。

「あのカードは、、」
「、、そうだな」
「。。え？どういうこと。。」
「、、言っただろ。この勝負は、、」

瑞穂が発動した罠カード。瑞穂は言った。「勝敗を決めるカード」だと。その宣言は、ピットにいる悠里や、他のメンバーの目にも、その状況を映し出している。

「あたしが発動したのは、、”フェイク・フェザー”！手札の【BF】モンスター1枚を墓地に送り、墓地の罠カードの効果を適用する効果よ！」
「まさか、、、！」

発動した”フェイク・フェザー”のイラストが、”BF－アンカー”のイラストに変わる。もっとも、瑞穂の考えの中には、他に選択するカードという選択肢はないのだけれども。

「墓地の”BF－アンカー”の効果を発動！”神立のオニマル”をリリースし、”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”の攻撃力をさらに3000アップするわ！雷の力を纏いなさい！！」

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン　ATK5600→8600

水晶の翼を黒く光らせ、雷の力を纏った煌く竜。2体の【BF】モンスターの力を託されたクリスタルウィングの姿は、太陽に照らされ、まばゆく輝いている。

「でも、ズシンの攻撃力はその上を行く！」

眠れる巨人ズシン　ATK0→9600

「ズシン、返り討ちにしなさい！」

ズシンが巨大な拳でクリスタルウィングに襲い掛かる。そして、クリスタルウィングはそれをかわす。その後、クリスタルウィングの身体から、憑依した2体の【BF】モンスターが、ズシンに向かって飛んでいく。

「何が、、何が起こっているの、、」
「、、クリスタルウィングの攻撃力をよく見なさい！」

翼は言われるがまま、クリスタルウィングの攻撃力を確認する。それを見て驚きの表情を露にする。

「、、攻撃力が、、どういうこと！？」
「クリスタルウィングの効果は、☆5以上の相手モンスターと戦闘を行うとき、相手モンスターの攻撃力をそのまま加算する効果よ」
「でも、ズシンの効果が後に来るはず、、なぜこんなことに、、！」
「クリスタルウィングの効果は、、あんたのズシンと同じ、強制的に発動する効果なのよ！」
「、、！？」

瑞穂の言うとおり、”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”の攻撃力に関する効果と、
”眠れる巨人ズシン”の効果は、同じタイミングで発動する効果である。しかし、今は瑞穂のターンのバトルフェイズである。つまり、優先権は瑞穂にあるのだ。そのため、”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”の効果がルール上に則って、一番最初に発動する。その結果、最初にズシンが”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”の効果を上乗せし、その攻撃力を”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”がさらに上乗せしたのだ。

～Chain (逆順処理)～
効果1：クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン
効果2：眠れる巨人ズシン

眠れる巨人ズシン　ATK9600

ズシンが、再度クリスタルウィングに向かって拳を突き出す。それに対抗して、2体の【BF】によって強化された”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”が、ズシンの拳に向かってダイビングを仕掛ける。

「いっけー！！！」

瑞穂の叫びに呼応して、クリスタルウィングが少しずつズシンを押していく。

「そんな、、ズシンが押し負けるなんて、、」

「光輝なる竜よ！黒翼と共に行きなさいっ！」


















”双翼撃『黒晶のクリスタルダイブ』！！”














クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン　ATK18200

翼　LP6400→0

「そんな、、」

翼のDホイールが失速し、瑞穂が翼を追い抜かす。その瞬間は敵味方とわず、その場にいた誰もが言葉を発せずにいた。そんな中、モニターがサーキットの周囲にいくつも出され、そこには、未だ走り続ける瑞穂の姿が映し出されていた。そして、実況者が声をあげる。

〈なんと、、”出せば強い”と評され、数ターンに亘って場に存在し続けた”眠れる巨人ズシン”を、、戦闘で乗り越え、チームを勝利に導いたのは、、チーム『エイトスターズ』の稲垣瑞穂だ～！！〉

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「、、瑞穂っち」

理沙と氏家さんをはじめ、悠里や、チーム全員が瑞穂のもとに集まる。

「、、ありがとう」
「、、なによ、、2人がいなかったら勝てなかったわ」
「、、それと！”クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン”、、貸してくれてありがと」

ほんのり頬を紅潮させながらカードを返す。

「、、顔、真っ赤だぞ」
「う、うるさいわね！暑くて汗かいただけよ！」
「、、決勝進出おめでとう、、」
「、、！」

やってきたのは翼だった。もう1人も後ろについている。

「、、」
「無返答とは冷たいな、、ねえ」
「、、まあまあ、初対面っさ。あたしが紹介するっさ。この子は”白井
翼”。あたしの中学の同級生っさ」
「、、あなたと決闘できて楽しかったよ。また決闘してくれると嬉しいな」
「、、いつでも来なさい。あたしこそ、楽しかったわよ」
「決勝、私たちの分まで頑張って、、」
「もちろんよ」

二人はしっかりと握手をして、言葉を発してはいないが、互いのこれからの健闘を祈った。

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次回予告！
”眠れる巨人ズシン”を突破し、決勝戦へと駒を進めた瑞穂たち。
決勝戦へと準備を進める中、瑞穂は信じがたい状況を目にする、、！

次回！第81話「窮愕浮心」