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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第4話 闇夜の銃声

第4話 闇夜の銃声 作:ハントラ

「よし新入り!この過酷な仕事に生きる手本って奴を見せてやるぜ!」

スティングの口から出た
『過酷』という言葉に、ユーラは息を飲む。実際、今襲撃してきている男以外にも、カレンを狙う国家への反逆者達はいるのだろう。今はシュラウス達がいるからまだいいが、万が一カレンを守れるのが自分一人になったとしたら…。

(そうなった時のために、今ここで、戦い方を見ておかないと…)

「あ、どうせ一ターンで決めるんじゃろ?だったら小生はもう寝るから、おやすみー。」
「ふわぁぁぁ…スリープモードに…移行………ぐぅ。」
「夜更かしは美容の天敵ですので、おやすみなさーい。あとカレン様もそろそろおやすみしましょです。」
「えっ?で、でも私は……」

「ぐぐぐ……このアホ女ども………!!」

襲撃されてるというのにのほほんとした雰囲気で就寝準備に入る女性陣にギリギリと歯ぎしりして腹をたてるスティング。ユーラはぽかんとした。

「え?襲撃…されてるんだよな、俺たち?」
「ああ、されているな。」

やけに落ち着いた声で懐からタバコを取り出し口にくわえるシュラウス。

カチッ……カチッ……

「……む、火が点かない。ユーラ君、ライター持ってないか?」
「何ですかライターって…」
「こういう、火を点けるための道具なんだが…ないか?」
「持ってるはずがないでしょう…というか、リーダーも何してるんですか?」
「決まってるだろう、一服するのだよ、週に一度のこれが欠かせなくてね。」

ため息をつきつつ咥えたタバコをしまうシュラウス。よっぽど楽しみだったらしい。

「あ、ウチは大体こんな感じだから今のうちに慣れてくれたまえ。」
「えー……?」

「てめえら揃いも揃ってのんきにしやがって…ぶっ飛ばしてやる!俺のターン!」

襲撃者 LP8000

スティング LP8000

「あっ、てめえ!誰の了解を得て先攻とってんだ!」

スティングが抗議する。

「ぼーっとしてたてめえが悪いんだよ!俺は手札から『生贄虫(サクリファイスインセクト)』召喚!」

生贄虫 ATK1300

「左右の羽にそれぞれ『生』と『贄』って字が描かれてやがる…趣味わりぃ…」
「やかましいぜ!こいつの効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、手札・デッキから同じ『生贄虫』2体を攻撃表示で特殊召喚できる!デッキから来やがれ『生贄虫』!」

生贄虫 ATK1300

生贄虫 ATK1300

「うへぇー、三匹に増えやがったよ…」
「俺はこれでターンエンド!」
「あれ?それで終わり?じゃあ俺のターンだな、ドロー!!」

「リーダー、スティングさんのデッキってどんなものなんですか?」
「私にもスティングにも敬語はいらないよ、君は元を正せばフリエン軍の関係者ではないからね…と、スティングのデッキか…そうだな、見ればわかるさ。」

見ればわかる。それはユーラも分かりきっていたことだが、ユーラはデュエルが始まる前のカダの一言がどうにも気になっていたのだ。

(『どうせ一ターンで終わる』…その言葉の意味、確かめなければ…)

当のスティングは6枚の手札を見て何やら考え込んでいる様子だった。

「そういえばよぉ、新入りユーラ!キルから聞いたぜ?お前あいつに対して勝利宣言したんだってな?」
「えっ?勝利宣……」

『宣言するぜ!このデュエル、このターンで決めなければあんたは負ける!』

「…あれか」

日が少ししか差し込まないギャラリーもいない教会の中で繰り広げられたデュエル。ユーラはその情景を思い返していた。

「ああ、確かに言ったよ」
「それ、カッコいいなぁ〜?俺もやってみていいか?」
「許可を得るほどのものでもないけど…どうぞ」
「やりぃ!じゃあさっそく…」

「このデュエル、次のターンで決めなければてめえは負けるぜ!」
(つまり、このターンで追い詰めるということか?ワンターンキルではなさそうだ)

スティングの手札は後攻ドローで6枚、対する襲撃者の手札は4枚、フィールドには攻撃力がさほど高くない下級モンスターが三枚のみで伏せカード無し。相手のライフは8000もあるが、それくらいなんてこともないと言わんばかりに一瞬で消し飛ばすテーマが存在する。

だからこのターンで追い詰め、次の襲撃者のターンをしのぎ決着をつけるのだろう、とユーラは予想した。これが普通の考えだ。





……だがユーラは失念していた。この護衛チームの人が『普通ではない』という事実を。

「俺はこのまま、何もせずにターンエンド!」
「は!?」
「……なに?」
「フッ…」

一番驚いたのはユーラだ。壁として裏守備モンスターも出さず、速攻魔法や罠、ブラフ用の魔法カードすら伏せず、本当に何もしないままターンを終了した。それがどんなに危険なことかわからないユーラではなかった。

(よほど手札が悪かったのか!?いや、あの顔を見るにそれはない…でも相手は次のターン何をするかわからないんだぞ!せめて壁モンスターだけでも…)

「てめえ……!!!バカにしやがってえーーー!!!!俺のターンドロー!」

何もせずにターン終了、まさに相手を『なめている』としか言いようがない行為は、襲撃者を激情させるのに十分だった。

「来たぜ…お望み通りボコボコにしてやる!手札のこのカードは、自分フィールドの昆虫族モンスター3体をリリースして特殊召喚することができる!」
「来い!『究極完全甲虫 グレイトフル・モス』!!」

究極完全甲虫 グレイトフル・モス ATK4000

『キシャアァアアーーー!!!』

『究極完全態 グレート・モス』というカードが存在するが、それをはるかに上回る大きさ、そして凶暴な巨大蛾が現れる。

「攻撃力…4000!?」
「ほう、中々のカードを持っているようだな」

「さらに手札から魔法カード『同生同名』発動!自分の墓地からモンスターを一体攻守ゼロにして特殊し、その後特殊召喚したモンスターと同名のモンスターを一体特殊召喚する!また来い!『生贄虫』!」

生贄虫 DEF800→0

生贄虫 DEF800

「今召喚した『生贄虫』2体をリリースし、アドバンス召喚!『究極変異態 インセクト女帝(エンプレス)』!!」

究極変異態 インセクト女帝 ATK3300

「おいおい、蘇ったと思ったら今度はアドバンス召喚のためのリリースだと?どんだけ虫使い荒いんだよ…」

スティングがやれやれ、とウエスタンハットを抑えて呆れる。

「ふん!『生贄虫』という名前なんだから当然だろう!『インセクト女帝』の効果!このカードがフィールドに存在する限り、フィールドの昆虫族モンスターは攻撃対象に選択できず、効果の対象にもならない!」
「さらにエンドフェイズ毎にに自分のデッキから昆虫族モンスターを手札に加えることができる!ヒャハハ!バトルだぁ!『究極変異態 インセクト女帝』でダイレクトアタック!」

「おいおい勘弁してくれよ、女型モンスターならもっと顔をよくしてくれよな…」

スティングLP8000→4700

「続けて『究極完全甲虫 グレイトフル・モス』でダイレクトアタック!」

スティングLP4700→700

「スティング!」
「お、心配してくれてるのか?まあ確かに俺も少し焦ってるなぁ〜。まさかここまでやるとは…」
「余裕かましやがって…ターンエンド!インセクト女帝の効果は使わないでおいてやるぜ死に損ない!」

「逆にワンターンキルを食らうのはなんとか避けることができたけど…このターンでスティングが勝つ方法はあるのか…?」
「ふむ…ところでユーラ君、弾丸を当てる方法は知ってるかね?」
「え?」

あと少しで部下が負けそうだというのにシュラウスはすごく冷静にユーラに問いかける。

「そんなの…相手に銃口を向けて引き金を引くとしか…」
「私も初めはそう思った、だがスティングによれば銃というのは銃口の向きや残弾数はもちろん、発射の反動によるブレ、射程と標的の距離、標的の動き、遮蔽物の有無、風量と風向、重力など様々な要素を考慮しなければいけないらしい。…だがスティングによれば一番重要なのは射手の精神状態だという。」
「怒りや憎しみ、慢心や恐怖といった感情が、先ほどの要素を考慮する余裕を失い命中確率が低くなってしまうという。咄嗟に拾った他人の銃を使って弾丸が当てられるかというとまず当たらない。なぜなら使い慣れていない銃を使うというそれだけのことで精神に大きな負担をかけるのだそうだ。」
「スティングを見たまえ。」

シュラウスに促され、ユーラはスティングがいる方向を見る。彼はこの状況でも相手をしっかり見据えている。

「彼は非常に落ち着いている、こういう時のスティング…いや『ガンマン』は勝つんだ。2ドラ賭けてもいいよ。」




「(嬉しいこと言ってくれるじゃねーかリーダー……絶対に撃ってやるぜ。)俺のターン!ドロー!!俺は手札から『GG(ゴーストガン)マグナム』召喚!」

GGマグナム ATK0

射手のいない一つの銃が現れ空中を漂う。よく見ると、白い手のようなものが浮いているように見える。

「さらに俺は手札から『霊魂装填』発動!1〜4の任意の数だけ自分フィールド上の『GG』または『GOG』モンスターに霊弾カウンターを乗せる!宣言する数字は4!」

GGマグナム 霊弾カウンター0→4

「『GG』モンスターの共通効果!このカードに霊弾カウンターが乗った場合、その数だけレベルをアップする!」

GGマグナム レベル1→5

「さらに手札から速攻魔法『GGクイックリロード』発動!自分フィールド上の『GG』または『GOG』モンスターに霊弾カウンターを二つ乗せる!」

GGマグナム 霊弾カウンター4→6

GGマグナム レベル5→7

(…ん?『GOG』?さらりと出てきたが、いったい?)

ユーラの思考を待つことなくスティングはターンを進行していく。

「さあーて、仕込みは済んだ!いよいよ発射だ!手札から魔法カード『霊銃士発現』!自分フィールド上の『GG』モンスターを墓地へ送り、そのモンスターと同じレベルの『GOG』融合モンスター一体をエクストラデッキから特殊召喚する!」
「なっ、モンスター一体のみで…!?」
「融合だと!?」

「銃に宿りし銃士の魂よ!華麗なる射撃を見せてみろ!融合召喚!『GOG(ガンズ・オブ・ゴースト)ジャンゴ』!」

GGマグナムの周りにうっすらと見えていた手から腕ができ、胴体ができ、やがて人型の幽霊となった。幽霊はクルクルとGGマグナムを2、3回転させ、ピタッと回転を止めた途端に相手のデュエリストにその銃口を向ける。

GOG ジャンゴ ATK0

「……ハッ、モンスター一体で融合には驚いたが、攻撃力0だと?そのモンスターで俺に勝つつもりか?」
「黙って聞いとけよ…『霊銃士発現』の効果の続きを!墓地に送った『GG』モンスターに乗っていた霊弾カウンターの数と同じ数だけ、『GOG』モンスターに霊弾カウンターを乗せる!」
「それでまたレベルを上げるつもりか?ムダなことを!」
(…果たして本当にそうか?なぜあいつは『GG』と『GOG』は『乗せるカウンターは同じでカウンターによって受ける恩恵は違う』可能性を考慮しないんだ?…スティングの狙いはきっとそれだ!)
「(ユーラの奴、『GOG』の効果を大体理解したな?まあキルに勝っただけにデュエルのセンスは中々だな)こいつら『GOG』は霊弾カウンターの数×300ポイント攻撃力がアップする上に、カウンターの数だけ攻撃できる!ま、攻撃毎に霊弾カウンターを一つも失うがな…」
「つまり、六回攻撃!」

GOG ジャンゴ 霊弾カウンター0→6

GOG ジャンゴ ATK0→1800

「だがその攻撃力じゃ俺のモンスター達を撃破できない!やはりムダな行為だったな!」


「「それはどうかな!」」

「…あ?」
「えっ?」

偶然にもユーラとスティングの台詞が全く同じタイミングで飛び出た。俗に言う『ハモる』というものである。

「ゴホン、『GOG』にはもう一つの共通効果がある!『自分の墓地に罠カードが存在しない場合、このカードは相手に直接攻撃できる』!」
「な、なにいーー!!」
(もっとも、『究極変異態 インセクト女帝』の効果であいつのモンスターは攻撃対象にできず、ダイレクトアタックされることになるんだが、あいつ自分のデッキにあるカードの効果も把握していないのか?)
(これなら新入り抜き打ちテストと称してユーラにやらせてみるべきだったぜ…ま、先輩としてカッコいいところを見せてやる!)

「やれ、『GOG ジャンゴ』!6回のダイレクトアタックだ!」

ジャンゴが引き金を引き、弾丸を見事に相手に命中させる。

「ぐはっ!」

襲撃者 LP8000→6200

GOG ジャンゴ 霊弾カウンター6→5

GOG ジャンゴ ATK1800→1500

ジャンゴはすぐさま撃鉄を引き、また照準を相手に合わせ、引き金を引く。

襲撃者 LP6200→4700

GOG ジャンゴ 霊弾カウンター 5→4

GOG ジャンゴ ATK1500→1200

相手がどれだけ躱そうとしても、ジャンゴが打つ弾は正確に相手の眉間に命中する。

襲撃者LP4700→3500→2600→2000→1700

GOG ジャンゴ 霊弾カウンター4→0

GOG ジャンゴ ATK1200→900→600→300→0

「ガハァッ!!ハァー、ハァー……」
「相当聞いたみたいだなぁ、おい?俺はこれでバトルフェイズを終了する」
(や…やったぞ!耐えきった!やはりあの勝利宣言はハッタリだったんだ!)
(…って考えている顔だな、アレは)
「(現実を突きつけてやるとするか!)メインフェイズ2、魔法カード発動『霊銃士弾』!自分フィールド上の『GOG』モンスターを一体リリースし…」
「その『GOG』モンスターのレベル×300ポイントのダメージを相手に与える!」
「…………へっ?」
「つまり、7×300で2100ダメージ!残念だったな、だがこれで…宣言通りだ」

ジャンゴが持っていたGGマグナムに吸い込まれる。するとGGマグナムがスティングの手に収まるサイズまで小さくなり、スーッとスティングの右手まで移動する。スティングはそれをキャッチし、ジャンゴがやったように銃口を向けこう言い放つ。

「BANG!」

放たれた弾丸はそのまま吸い込まれるかのように襲撃者の心臓めがけて飛翔していく。

襲撃者LP1700→0

「ぐっ!……ち、ちきしょお………!」

スティングは銃口にフッと息を吐き、ウエスタンハットを抑え襲撃者に背を向ける。

「決着、だな」












次回予告

王都に向け、歩み始めるカレン一行。森林地帯を通ろうとしたその時、森全体に霧がかかりはじめ…?

シュラウス「これは…看板にクイズが書かれているのか?」

ユーラ「正しい答えを見つけなければ、永遠にこの森の中か……」




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