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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第1話 少年は苦悩する道を歩む

第1話 少年は苦悩する道を歩む 作:リバース@影の使者

??「クッ……俺のッ……俺の右眼がアアア!!」

授業中にいきなり彼は右目を両手で覆い、素早く立ち上がった。

先生「……どうした、大樹(たいき)君。右目がどうかしたかね」

彼の名は森本大樹〔もりもと たいき〕。俗に言う中二病というものに罹っている。

大樹「ヘヘ……アンタにはわかんないだろうな……」

大樹「教えたところで……状況は何もかわら――ッ!! うぐぁああ!!」

そう言って大樹は教室の外へ飛び出て行った。

ガヤガヤ……

教室は彼に対する哀れみや馬鹿らしさを言う言葉で埋まった。

先生「……ありゃ重症だな」

先生までもが哀れみの表情を浮かべる。


――そうだった。私の名前を言ってなかったね。

私は飯島彩華〔いいじまあやか〕。彼――大樹とは言うなら『幼馴染』である。

彼は昔から少しおかしかった。

あるはずの無いものをほしがったり、

馬鹿みたいな理想を振りかざし、

堂々とあのような真似をする。

おかげで、昔は親しかった仲も、今では「会ってあいさつするぐらい」の仲である。

だが、今日だけは本当に様子がおかしかった。

目は充血し、血管が浮き出ていた。

少し歩くだけでハーハーしていたし、いつも以上に挙動不審だった。

彼のことを知らない人だったら「なんかやったんじゃないの?」と、言うだろう。

だが、一応私も幼馴染という立場上、彼のことは実は結構知っていたりする。

彼はそんなことはしない。

だったら何故……?

その瞬間、私の探索本能(人はそれを好奇心、悪く言うと野次馬根性という)に火が点いた。

彩華「すみません。なんだか気分が悪いので帰っていいでしょうか」

先生「うっほーいwww彩華君のことならwww何でも聞くぞぉぉ?www」

彩華「はい。ありがとうございます。じゃ」ノシ

先生が扱いやすくてよかった。

先生「あwwwさっきwwwぱんつ見えたwww」

……明日あいつはぼこすか。



彼が行った方向に、私は走っていった。

生憎、私は家が近いから自転車通学ではない。

だから走っていたりする。

彩華「……取りに帰ればよかった」タッタッタッタ

あ、後ろ姿発見!!ウシロスガタヨーシ

……え?



瞬間、私は目を疑った。

彼は右手が千切れ落ちていて、漫画でしか見たことの無いオーラのようなものを出して――


【化物】と、戦っていた。
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