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1話 日常と災難の狭間 作:シンクロ厨
デュエルモンスターズ。それは力の宿るカードを手に取り、モンスターを使役して戦うゲーム。この世界は、今、デュエルの熱気で溢れている。誰もが究極至高のゲームとし疑わないそのデュエルを命を賭けて行う者達を、この世界で最も栄光を掴もうとしている者達を、人々は、決闘者と呼んだ。
目が覚めた。
いつもと変わらない朝日が窓から差し込んでいる。
ベッドの上で起きた俺は、すぐに下の部屋に行き、寝巻きを私服に着替え、資料の入ったバッグを持って玄関をでる。ご飯は適当にコンビニで買えばいい。いつもと何の変化もない朝だ。だがそれでいい。
街はいつもどおりの風景だ。周りの人々は行くべき所へ流れていく。ひっきりなしに車やモノレールが視界に入っては消えてゆく。「デュエル開始〜!」・・・このセリフもいつも聞くものだ。
今世間はデュエルに熱狂している。誰もが、決闘者とモンスター達に目を奪われ、美しく勇ましい攻撃や効果エフェクトにどよめく。俺もそうだ。街中に映し出されるソリッドビジョンの大画面でのデュエルシーンには思わず足を止めてしまう。でもそこで足を止めていては真面目な時においてゆかれる。俺は足を急がせ、あそこへ向かう。街の中で最も目立つ建物。そう・・・デュエルユニバーシティに・・
ひどく威圧してくる彫像のある校門をぬけ、生徒でごった返しているキャンバスに入る。「やべぇッ!」もうこんな時間だ。早く講堂にいかなきゃ、思考が停止する程怒られてしまう。そんな不安を胸に、急いで講堂に向かう。ここはデュエルユニバーシティ。決闘者「見習い」が入ってくる大学だ。もちろんデュエルばっかりして遊んでいる場所ではない。まあ・・ここの学生にデュエルして「遊んでいる」なんていったらリアルにライフポイントを0にされかねないが。ここでは普通の勉学も行っている。でもここに勉学のために入っては来ることはありえないだろう。ここでは3度の飯よりデュエルが好きな奴ばかりだ。俺もかつてはそうだった。かつては・・ね・・・。
「ダイレクトアタックゥ!」「ノワーーッ!」また情けない声を出してしまった。「おい遊輝ぃ、これで30連敗だぞ・・なんでお前はそんなに弱えんだよ〜」「仕方ないだろ!こんなシナジーの無いデッキじゃぁ!」 あぁ、またこんな言い訳をしてしまった。どうしてこうなるんだ・・・
俺の名前は紅那崎 遊輝(くなさき ゆうき)このデュエルユニバーシティの・・おそらく最弱のへっぽこ決闘者だ。実を言うと、俺は二ヶ月前にこの学園に入学してから、一度もデュエルで勝利したことがない。じゃあなんでこんなデュエル専門学校に入学できたかって?実を言うと、入学試験が筆記だったんだ。モンスターの効果とかデュエルのルールとかそういうの書く試験だった。昔から書いてあることを覚えるのは得意だ。だから小中高は成績は滅茶苦茶良かった。ここに入学した時も自分を天才だと思って疑わなかった。でもいざやるとこのザマだ。自分にはタクティスもへったくれも無いことを嫌ほど思い知らされた。天才どころかこれじゃ下手の横好きだ。
「デッキのせいにするとか・・・お前最低だな。」「なんでここ入ったんだよ。」自分に跳ぶ罵言・・「はいはい、俺は弱えよ!」気がつくとデュエルスタジアムを抜け出していた。急に恥ずかしくなった。でも今更戻れない。ああああ・・どうしよう。
屋上、またこんな所まで来てしまった。見える空は、いつも通り、青かった。「俺の気持ちと・・一緒だな。」心がからっぽになるのを感じた。もう地面に力無く座るしか無かった。周りからの圧力、自分のカードを信じらない心、デュエルタクティスのなさ、そして・・・心の弱さ。もうマイナスな気持ちになるしかなかった。目が熱くなったその時、突如視界が暗黒に染まった。「えい! だーれだっ?」後ろから高い声が聞こえてくる。そして俺が答える前に、声の主は俺の視界を元に戻し、目の前に跳ぶように回ってくる。「なーに塞いでんの?」「真希ぃ・・」「講義終わったから、またここにいると思ってきてみたよ。」清純な水のように無邪気な声の持ち主は、葵牙 真希 (あおいが まき)。俺に対するお節介が大好きな奴だ。こいつとは小学生の時からの付き合い・・腐れ縁だ。何故かこいつとは必ずどこでも会ってしまうのだ。このデュエルユニバーシティに俺と同期に入ったのも多分偶然だ。こいつも頭はよく、外見の可愛らしいさも相まって、昔は良く比べられたものだ。昔・・はな。
「そんなふさぎ込んで、どうしたの? あっ・・! またデュエル負けたな〜」「うるせえな わざわざデカイ声で言うことでもねぇだろ。いつものことなんだからよ。」「そんな悪口いって、 私だって、可哀想だと思っているから、励ましてあげようとおもって来たんだよ〜」「うるせえええ! 負け知らずな奴に可哀想だとか思われたくないんだよッ!」
そう、こいつ・・現在絶賛連勝なんだ・・・・一体どんなタクティスしてんだかはこいつのデュエルを見た事無いからわから無いが、風の噂によるととてもすごいらしい。 どうしてこうなった・・別に幼馴染という訳ではないが、なんでこいつに先越されたというだけでこんなにムカつくんだ。自分でも良くわからない。でも、解ることもある。こいつにデュエルの極意を聞いてみればもしかしたら自分のデュエルがレベルアップするかもしれない。恥ずかしいが、聞くは一瞬の恥、聞かずは一生の恥だ。
「なあ真希、どうやったらデュエルが上手くなるかさぁ、教えてくれないかなぁ。」「え〜〜 デュエル上達の方法〜 んーとぉ 『カードを信じる』とか・・かな!」
カードを信じる。これ程俺にとって難しいことは無い。カードは物だ。デュエルをすればカードに書かれたモンスター達がソリッドビジョンで実体化するが、やはり・・物だ。信じるということは、愛着が湧くということだろうか。でもそれじゃ時間がかかり過ぎる。その間に俺は学園最弱の決闘者として語り草になっちまう。もっと早く強くなれる方法ねぇのかと言おうとした。そのときだった。
ドゴォーーン
重い爆発音が空中に響き渡った。
「え・・・!」「な、何!」俺と真希は一瞬驚き以外の感情が無くなったが、すぐに戻り、危機を察知した。「行こう! 遊輝!」「・・ああ!」走り出したその時、俺は咄嗟に、役に立ちそうもない、デュエルディスクとデッキをつかんでいたことはしっかり判った。でもその展開していないデュエルディスクに、赤い、小さな光球が入っていくのを、あの頃の俺は、気がつかなかった。
目が覚めた。
いつもと変わらない朝日が窓から差し込んでいる。
ベッドの上で起きた俺は、すぐに下の部屋に行き、寝巻きを私服に着替え、資料の入ったバッグを持って玄関をでる。ご飯は適当にコンビニで買えばいい。いつもと何の変化もない朝だ。だがそれでいい。
街はいつもどおりの風景だ。周りの人々は行くべき所へ流れていく。ひっきりなしに車やモノレールが視界に入っては消えてゆく。「デュエル開始〜!」・・・このセリフもいつも聞くものだ。
今世間はデュエルに熱狂している。誰もが、決闘者とモンスター達に目を奪われ、美しく勇ましい攻撃や効果エフェクトにどよめく。俺もそうだ。街中に映し出されるソリッドビジョンの大画面でのデュエルシーンには思わず足を止めてしまう。でもそこで足を止めていては真面目な時においてゆかれる。俺は足を急がせ、あそこへ向かう。街の中で最も目立つ建物。そう・・・デュエルユニバーシティに・・
ひどく威圧してくる彫像のある校門をぬけ、生徒でごった返しているキャンバスに入る。「やべぇッ!」もうこんな時間だ。早く講堂にいかなきゃ、思考が停止する程怒られてしまう。そんな不安を胸に、急いで講堂に向かう。ここはデュエルユニバーシティ。決闘者「見習い」が入ってくる大学だ。もちろんデュエルばっかりして遊んでいる場所ではない。まあ・・ここの学生にデュエルして「遊んでいる」なんていったらリアルにライフポイントを0にされかねないが。ここでは普通の勉学も行っている。でもここに勉学のために入っては来ることはありえないだろう。ここでは3度の飯よりデュエルが好きな奴ばかりだ。俺もかつてはそうだった。かつては・・ね・・・。
「ダイレクトアタックゥ!」「ノワーーッ!」また情けない声を出してしまった。「おい遊輝ぃ、これで30連敗だぞ・・なんでお前はそんなに弱えんだよ〜」「仕方ないだろ!こんなシナジーの無いデッキじゃぁ!」 あぁ、またこんな言い訳をしてしまった。どうしてこうなるんだ・・・
俺の名前は紅那崎 遊輝(くなさき ゆうき)このデュエルユニバーシティの・・おそらく最弱のへっぽこ決闘者だ。実を言うと、俺は二ヶ月前にこの学園に入学してから、一度もデュエルで勝利したことがない。じゃあなんでこんなデュエル専門学校に入学できたかって?実を言うと、入学試験が筆記だったんだ。モンスターの効果とかデュエルのルールとかそういうの書く試験だった。昔から書いてあることを覚えるのは得意だ。だから小中高は成績は滅茶苦茶良かった。ここに入学した時も自分を天才だと思って疑わなかった。でもいざやるとこのザマだ。自分にはタクティスもへったくれも無いことを嫌ほど思い知らされた。天才どころかこれじゃ下手の横好きだ。
「デッキのせいにするとか・・・お前最低だな。」「なんでここ入ったんだよ。」自分に跳ぶ罵言・・「はいはい、俺は弱えよ!」気がつくとデュエルスタジアムを抜け出していた。急に恥ずかしくなった。でも今更戻れない。ああああ・・どうしよう。
屋上、またこんな所まで来てしまった。見える空は、いつも通り、青かった。「俺の気持ちと・・一緒だな。」心がからっぽになるのを感じた。もう地面に力無く座るしか無かった。周りからの圧力、自分のカードを信じらない心、デュエルタクティスのなさ、そして・・・心の弱さ。もうマイナスな気持ちになるしかなかった。目が熱くなったその時、突如視界が暗黒に染まった。「えい! だーれだっ?」後ろから高い声が聞こえてくる。そして俺が答える前に、声の主は俺の視界を元に戻し、目の前に跳ぶように回ってくる。「なーに塞いでんの?」「真希ぃ・・」「講義終わったから、またここにいると思ってきてみたよ。」清純な水のように無邪気な声の持ち主は、葵牙 真希 (あおいが まき)。俺に対するお節介が大好きな奴だ。こいつとは小学生の時からの付き合い・・腐れ縁だ。何故かこいつとは必ずどこでも会ってしまうのだ。このデュエルユニバーシティに俺と同期に入ったのも多分偶然だ。こいつも頭はよく、外見の可愛らしいさも相まって、昔は良く比べられたものだ。昔・・はな。
「そんなふさぎ込んで、どうしたの? あっ・・! またデュエル負けたな〜」「うるせえな わざわざデカイ声で言うことでもねぇだろ。いつものことなんだからよ。」「そんな悪口いって、 私だって、可哀想だと思っているから、励ましてあげようとおもって来たんだよ〜」「うるせえええ! 負け知らずな奴に可哀想だとか思われたくないんだよッ!」
そう、こいつ・・現在絶賛連勝なんだ・・・・一体どんなタクティスしてんだかはこいつのデュエルを見た事無いからわから無いが、風の噂によるととてもすごいらしい。 どうしてこうなった・・別に幼馴染という訳ではないが、なんでこいつに先越されたというだけでこんなにムカつくんだ。自分でも良くわからない。でも、解ることもある。こいつにデュエルの極意を聞いてみればもしかしたら自分のデュエルがレベルアップするかもしれない。恥ずかしいが、聞くは一瞬の恥、聞かずは一生の恥だ。
「なあ真希、どうやったらデュエルが上手くなるかさぁ、教えてくれないかなぁ。」「え〜〜 デュエル上達の方法〜 んーとぉ 『カードを信じる』とか・・かな!」
カードを信じる。これ程俺にとって難しいことは無い。カードは物だ。デュエルをすればカードに書かれたモンスター達がソリッドビジョンで実体化するが、やはり・・物だ。信じるということは、愛着が湧くということだろうか。でもそれじゃ時間がかかり過ぎる。その間に俺は学園最弱の決闘者として語り草になっちまう。もっと早く強くなれる方法ねぇのかと言おうとした。そのときだった。
ドゴォーーン
重い爆発音が空中に響き渡った。
「え・・・!」「な、何!」俺と真希は一瞬驚き以外の感情が無くなったが、すぐに戻り、危機を察知した。「行こう! 遊輝!」「・・ああ!」走り出したその時、俺は咄嗟に、役に立ちそうもない、デュエルディスクとデッキをつかんでいたことはしっかり判った。でもその展開していないデュエルディスクに、赤い、小さな光球が入っていくのを、あの頃の俺は、気がつかなかった。
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