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第3話 いじめられっ子と乱暴者 作:ター坊
~夏蓮サイド~
ピピピ…ピピピ…カチャ
恐らく今までで一番嫌な月曜日だろう。どんなに来て欲しくないと思ったことか。今週からあの男山さんが通ってくる!あの事件のせいでたぶん生徒会長さんに目を付けられたし、男山さんのことだって恨んでるハズだから私もまた巻き込まれちゃうかも…。いや、ダメよ夏蓮。後ろ向きに考えちゃ。必ずしも男山さんと同じクラスになるわけないじゃない!きっと別のクラスになる!そうしたら関わらないように平穏な学校生活を送る!それで良いじゃない!
さて、朝ごはん食べて学校へ行こう!
「えー。それでは今日から共に切磋琢磨しあう新しい仲間が来ました。えー、男山遊太郎さんです」
「…よろしく」
先生、嘘だと言ってー!
「えーっと。それではあの一番後ろの窓際の席で良いかな」
先生ー!なんで男山さん番長スタイルのまんまなんですかー!いや、それよりも指定された席って…私の斜め後ろの席じゃん!
「…」ギロッ
「ひっ!」
私の横を通り過ぎたとき、鋭い視線を感じた。そのあと後ろからは椅子がずれる音がした。
「えー、それでは早速授業を始めます。教科書は…」
授業後。転校生がやって来たら質問攻めというのが恒例のパターンだけど…
「…Z Z Z 」
寝息が後ろから聞こえてきたのは授業が始まって5分もしないうちだ。先生だって注意した。けど…
「男山さん、起きてください」
「…Z Z Z 」
まさに動かざること山の如し。先生まで匙を投げたほどだ。他のみんなも恐くて起こすに起こせない。眠れる獅子とはこの事だろう。
ガタッ
ひーー!ごめんなさい、ごめんなさい!失礼なこと考えてごめんなさい!
「…終わったのか」
男山さんがそうボソッと呟くと教室を出てしまった。
その後、二時間目、三時間目、教室に戻ってくることは無かった。
キーン,コーン,カーン,コーン
四時間目が終わりお昼休みになる。男山さんの席は一時間目の終了時からずっと空いたままだ。
「あ…飲み物」
鞄の中を見たら水筒を忘れたみたいだった。仕方ない、購買部の自動販売機で、と思い教室を出たときだった。
「あら天宮さん。奇遇ですわね」
あの声は!振り向くと生徒会長さんが!
「ちょっと屋上までよろしいかしら?」
それはお願いではなく命令に聞こえてしまう。先週のこともあり、逆らえる訳もなく首を縦に振る。
カツーン…カツーン…
屋上への階段の一歩一歩が重い。
「ところで天宮さん」
「は、はい!」
「そう言えばあの男山遊太郎、貴女のクラスに編入になったそうね?」
「は、はい…」
「で、どうでしたの?」
「へ?どうって…」
生徒会長さん、何を考えて?
そう思った時だった。
「うわぁぁ!」
「ひぇぇ!」
上の方から叫び声とものすごい駆け足で階段を下りる足音が迫ってくる。
「なんですの!?」
さすがの生徒会長さんも驚きを隠せないといった様子だった。
「どけどけ!」
慌てて下りてきたのは二人組の男子生徒だった。すれ違いざまでよく見てなかったが、顔面に痣があったり鼻血出したりでボコボコにされた感じだった。…まさか。生徒会長さんも察したようで急いで屋上に向かった。
屋上の扉から覗きこむ。そこには
「案の定いましたわね。男山遊太郎…」
男山さんが誰かと向き合っている。
「あれって…」
「いかがなさったの?」
男山さんが向かい合っている男子生徒に見覚えがあった。確か…
「蒲田くん?」
(少し時間を戻して授業の頃に)
~蒲田サイド~
おいらの隣に転校生かぁ。緊張するぞぉ。でも…おっかなそうだなぁ。でも…名前といい姿といい、カッコいいなぁ…。
「えー、それでは早速授業を始めます。教科書は…」
あ、いっけね。教科書見せてあげねぇと。
「あの…おいら蒲田篤志(かばた あつし)って言うんだ…」
「…Z Z Z」
「えっ?」
ね、寝てるのかぁ?…んー。でも起こすとおっかなそうだしなぁ。結局おいらはそのままにすることにした。
キーン,コーン,カーン,コーン
四時間目が終わって昼休みが始まった。一時間目が終わってからずっと男山くんはどっか行ったっきりだぁ。緊張して腹でも痛ぇのかなぁ?
「おい。購買行こうぜぇ」
「ねぇねぇ一緒に行こう?」
あ!そう言えば今日は父ちゃんも母ちゃんも店が忙しくて弁当作ってもらえなかったんだっけか。おいらも何か買いに行かなきゃなぁ。そう思って教室を出たら
「おうおうおう。蒲田よぉ」
「ちょいと顔貸せや」
うぅ…。鈴木と近藤だ……。いっつも苛めるから嫌いだなぁ。
「お、おいら、急いでるから…」
「何言ってんだよ、蒲田のくせによ」
「んなデップリした体じゃ急いだって変わりねぇだろ?最近手ぇ出してねぇからって調子こいてるな」
「そんなこと…」
「久々に痛い目合わせてやるぜ。屋上来いや」
おいらは嫌と言う暇もなく連れていかれた。
屋上に来て二人に詰め寄られる。
「まぁとりあいず金とカード出せや」
「えっ?でもそれじゃあ、おいらの昼飯が…。それにデッキはダメだぁ…」
「うっせぇんだよデブが!」
「ひっ!」
「おめえなんか1食くれぇ抜いたって平気なんだよ!」
「代わりに俺達が有意義に使ってやるから安心しろよ。金もカードもよぉ」
うぅ…。おいら、太ってるから運動音痴だし頭も悪いし、デュエルの腕前だってそんなすごくねぇE位だぁ。やっぱおいらはダメなのかぁ。
「おら!早く出せよ!」
「や、やめてくれよぉ…」
「うっせぇんだよデブが!」
カッコーン!カラカラ…
「ぎゃっ!」
「な、なんだ!?」
…へ?なんだろぉ?鈴木の頭に何かぶつかって…下駄?
「ギャーギャーうるせぇんだよ。こちとら寝不足で眠てぇのによ」
屋上の入り口の上にある給水タンクの所から誰か出てきた。あれは…男山くんだぁ。
「なんだテメェ?」
「ふざけたことすんなや!」
ブン!パシッ
「ふざけてんのはテメェだ」
ゴキャ
「アギャアァァ!」
男山くんは近藤のパンチを片手で受け止めて仕返しとばかりに思いっきり顔面を殴った。
「こんの」
バシッ!ドゴッ!
「いってぇよぉ…」
鈴木も向かったけど同じように返り討ちだぁ。
「おら立てよ」
「や、やべろ…。マジ、鼻折れたって」
「じゃあテメェはそこの奴がやめろと言ったらやめたか?」
「ひっ…!」
ボコッ!ゴギャ!バキッ!グギッ!バシバシ!ドギャバキャ!
「た、たしけて~!」
「こ、ころされるぅぅ!」
鈴木と近藤は顔面痣だらけで逃げて行った。
「…あんな元気に走れるなら大丈夫だろ」
「あ、その男山くん…あ、ありがとな」
「ん?誰だお前?なんで俺の名前を知ってる?」
「へっ?」
あ、そうか。名乗った時、もう寝てたっけなぁ。
「おいら、蒲田篤志って言うんだ…。同じクラスの隣の席なんだけどぉ…」
「そうか悪いな。どうも人の名前と顔を覚えるのは面倒な性分でな」
「そ、そうなのかぁ」
「今何時か分かるか?」
「えっと、お昼休みだけど…」
「そうか。…もう昼か」
男山くんはしばらく黙った後、とんでもないことを言い出した。
「目覚ましがてら、デュエルがしたい。少し付き合え」
「へ?でも、お昼ごはんはどうするんだぁ?腹減らねぇのか?」
「んなもんデュエルしてれば忘れる。いいから付き合え」
「う…」
でもさっき助けて貰ったしなぁ。
「わ、分かったよぉ…」
「そう来なくちゃな」
ピピピ…ピピピ…カチャ
恐らく今までで一番嫌な月曜日だろう。どんなに来て欲しくないと思ったことか。今週からあの男山さんが通ってくる!あの事件のせいでたぶん生徒会長さんに目を付けられたし、男山さんのことだって恨んでるハズだから私もまた巻き込まれちゃうかも…。いや、ダメよ夏蓮。後ろ向きに考えちゃ。必ずしも男山さんと同じクラスになるわけないじゃない!きっと別のクラスになる!そうしたら関わらないように平穏な学校生活を送る!それで良いじゃない!
さて、朝ごはん食べて学校へ行こう!
「えー。それでは今日から共に切磋琢磨しあう新しい仲間が来ました。えー、男山遊太郎さんです」
「…よろしく」
先生、嘘だと言ってー!
「えーっと。それではあの一番後ろの窓際の席で良いかな」
先生ー!なんで男山さん番長スタイルのまんまなんですかー!いや、それよりも指定された席って…私の斜め後ろの席じゃん!
「…」ギロッ
「ひっ!」
私の横を通り過ぎたとき、鋭い視線を感じた。そのあと後ろからは椅子がずれる音がした。
「えー、それでは早速授業を始めます。教科書は…」
授業後。転校生がやって来たら質問攻めというのが恒例のパターンだけど…
「…Z Z Z 」
寝息が後ろから聞こえてきたのは授業が始まって5分もしないうちだ。先生だって注意した。けど…
「男山さん、起きてください」
「…Z Z Z 」
まさに動かざること山の如し。先生まで匙を投げたほどだ。他のみんなも恐くて起こすに起こせない。眠れる獅子とはこの事だろう。
ガタッ
ひーー!ごめんなさい、ごめんなさい!失礼なこと考えてごめんなさい!
「…終わったのか」
男山さんがそうボソッと呟くと教室を出てしまった。
その後、二時間目、三時間目、教室に戻ってくることは無かった。
キーン,コーン,カーン,コーン
四時間目が終わりお昼休みになる。男山さんの席は一時間目の終了時からずっと空いたままだ。
「あ…飲み物」
鞄の中を見たら水筒を忘れたみたいだった。仕方ない、購買部の自動販売機で、と思い教室を出たときだった。
「あら天宮さん。奇遇ですわね」
あの声は!振り向くと生徒会長さんが!
「ちょっと屋上までよろしいかしら?」
それはお願いではなく命令に聞こえてしまう。先週のこともあり、逆らえる訳もなく首を縦に振る。
カツーン…カツーン…
屋上への階段の一歩一歩が重い。
「ところで天宮さん」
「は、はい!」
「そう言えばあの男山遊太郎、貴女のクラスに編入になったそうね?」
「は、はい…」
「で、どうでしたの?」
「へ?どうって…」
生徒会長さん、何を考えて?
そう思った時だった。
「うわぁぁ!」
「ひぇぇ!」
上の方から叫び声とものすごい駆け足で階段を下りる足音が迫ってくる。
「なんですの!?」
さすがの生徒会長さんも驚きを隠せないといった様子だった。
「どけどけ!」
慌てて下りてきたのは二人組の男子生徒だった。すれ違いざまでよく見てなかったが、顔面に痣があったり鼻血出したりでボコボコにされた感じだった。…まさか。生徒会長さんも察したようで急いで屋上に向かった。
屋上の扉から覗きこむ。そこには
「案の定いましたわね。男山遊太郎…」
男山さんが誰かと向き合っている。
「あれって…」
「いかがなさったの?」
男山さんが向かい合っている男子生徒に見覚えがあった。確か…
「蒲田くん?」
(少し時間を戻して授業の頃に)
~蒲田サイド~
おいらの隣に転校生かぁ。緊張するぞぉ。でも…おっかなそうだなぁ。でも…名前といい姿といい、カッコいいなぁ…。
「えー、それでは早速授業を始めます。教科書は…」
あ、いっけね。教科書見せてあげねぇと。
「あの…おいら蒲田篤志(かばた あつし)って言うんだ…」
「…Z Z Z」
「えっ?」
ね、寝てるのかぁ?…んー。でも起こすとおっかなそうだしなぁ。結局おいらはそのままにすることにした。
キーン,コーン,カーン,コーン
四時間目が終わって昼休みが始まった。一時間目が終わってからずっと男山くんはどっか行ったっきりだぁ。緊張して腹でも痛ぇのかなぁ?
「おい。購買行こうぜぇ」
「ねぇねぇ一緒に行こう?」
あ!そう言えば今日は父ちゃんも母ちゃんも店が忙しくて弁当作ってもらえなかったんだっけか。おいらも何か買いに行かなきゃなぁ。そう思って教室を出たら
「おうおうおう。蒲田よぉ」
「ちょいと顔貸せや」
うぅ…。鈴木と近藤だ……。いっつも苛めるから嫌いだなぁ。
「お、おいら、急いでるから…」
「何言ってんだよ、蒲田のくせによ」
「んなデップリした体じゃ急いだって変わりねぇだろ?最近手ぇ出してねぇからって調子こいてるな」
「そんなこと…」
「久々に痛い目合わせてやるぜ。屋上来いや」
おいらは嫌と言う暇もなく連れていかれた。
屋上に来て二人に詰め寄られる。
「まぁとりあいず金とカード出せや」
「えっ?でもそれじゃあ、おいらの昼飯が…。それにデッキはダメだぁ…」
「うっせぇんだよデブが!」
「ひっ!」
「おめえなんか1食くれぇ抜いたって平気なんだよ!」
「代わりに俺達が有意義に使ってやるから安心しろよ。金もカードもよぉ」
うぅ…。おいら、太ってるから運動音痴だし頭も悪いし、デュエルの腕前だってそんなすごくねぇE位だぁ。やっぱおいらはダメなのかぁ。
「おら!早く出せよ!」
「や、やめてくれよぉ…」
「うっせぇんだよデブが!」
カッコーン!カラカラ…
「ぎゃっ!」
「な、なんだ!?」
…へ?なんだろぉ?鈴木の頭に何かぶつかって…下駄?
「ギャーギャーうるせぇんだよ。こちとら寝不足で眠てぇのによ」
屋上の入り口の上にある給水タンクの所から誰か出てきた。あれは…男山くんだぁ。
「なんだテメェ?」
「ふざけたことすんなや!」
ブン!パシッ
「ふざけてんのはテメェだ」
ゴキャ
「アギャアァァ!」
男山くんは近藤のパンチを片手で受け止めて仕返しとばかりに思いっきり顔面を殴った。
「こんの」
バシッ!ドゴッ!
「いってぇよぉ…」
鈴木も向かったけど同じように返り討ちだぁ。
「おら立てよ」
「や、やべろ…。マジ、鼻折れたって」
「じゃあテメェはそこの奴がやめろと言ったらやめたか?」
「ひっ…!」
ボコッ!ゴギャ!バキッ!グギッ!バシバシ!ドギャバキャ!
「た、たしけて~!」
「こ、ころされるぅぅ!」
鈴木と近藤は顔面痣だらけで逃げて行った。
「…あんな元気に走れるなら大丈夫だろ」
「あ、その男山くん…あ、ありがとな」
「ん?誰だお前?なんで俺の名前を知ってる?」
「へっ?」
あ、そうか。名乗った時、もう寝てたっけなぁ。
「おいら、蒲田篤志って言うんだ…。同じクラスの隣の席なんだけどぉ…」
「そうか悪いな。どうも人の名前と顔を覚えるのは面倒な性分でな」
「そ、そうなのかぁ」
「今何時か分かるか?」
「えっと、お昼休みだけど…」
「そうか。…もう昼か」
男山くんはしばらく黙った後、とんでもないことを言い出した。
「目覚ましがてら、デュエルがしたい。少し付き合え」
「へ?でも、お昼ごはんはどうするんだぁ?腹減らねぇのか?」
「んなもんデュエルしてれば忘れる。いいから付き合え」
「う…」
でもさっき助けて貰ったしなぁ。
「わ、分かったよぉ…」
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