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第19話 孤独への恐怖 作:白金 将
翌檜がライディングデュエルをしている間、アルストロメリア本部の方では伽藍、シロ、桔梗の3人が男4人と向かい合っていた。人数的には伽藍たちの方が不利だ。だが、伽藍と桔梗はどこか示し合わせたかのような雰囲気で、シロは一人疑問符を浮かべていた。
「あ、あの、らん姉、本当に大丈夫かな?」
「大丈夫大丈夫~。さあ、この人たちを片付けちゃうわよ~」
― ― ― ― ― ― ―
伽藍 8000
桔梗 8000
シロ 8000
男1 8000
男2 8000
男3 8000
男4 8000
― ― ― ― ― ― ―
伽藍はいつも通りに5伏せをしてターンを終える。シロはドローした後、手札から〈ゴブリンドバーグ〉を通常召喚した。その効果で〈H・C サウザンドブレード〉が特殊召喚される。伽藍は何も反応しない。ただにこにことシロの様子を見守っている。
「ぼ、僕はフィールド上の〈H・C サウザンドブレード〉の効果発動! 手札の〈H・C ダブルランス〉を墓地へ送って、デッキから〈H・C エクストラソード〉を特殊召喚します! そして、3体のモンスターでオーバーレイ!」
そして召喚されるのは、甲冑を身に纏ったヒロイック。異色の存在とも言われるそれが、シロの声に応えるかのように現れる。
「神の名を受け継ぎし戦士の魂よ、その名に相応しき力ここに示せ! エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4、〈H-C クサナギ〉!」
― ― ― ― ― ― ―
H―C クサナギ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/地属性/戦士族/攻2500/守2400
戦士族レベル4モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。罠カードの発動を無効にし破壊する。その後、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
― ― ― ― ― ― ―
「僕はこれでターンエンド!」
「んじゃあたしのターンね。えーっと……」
桔梗は手札を確認した後、それを全部伏せてターンを終える。なにやら不穏な空気が漂っているが、男はカードを引いた。そして、カードを発動する。
「俺は手札を1枚リリースして〈ツインツイスター〉を発動!」
「続けてあたしは〈カース・オブ・スタチュー〉を発動。手札発動系誰か持ってるー?」
その一言にどよめく男たち。誰一人手札誘発を持っていないらしい。桔梗は伽藍に目で合図を送った。彼女たちの勝利が確信したことを、彼らはまだ知らない。
「んじゃ勝負は決まりだね……続けて〈ソウル・オブ・スタチュー〉〈深淵のスタングレイ〉〈死霊ゾーマ〉〈苦紋様の土像〉を発動しまーす。ということで伽藍さん、あとはシクヨロでーす」
「はいは~い。私は〈自業自得〉〈仕込みマシンガン〉〈おジャマトリオ〉〈連鎖爆撃〉〈連鎖爆撃〉を発動よ~」
伽藍の言葉に男たちとシロは凍り付いた。ここまでのチェーンの数は……11。
「1回目の連鎖爆撃は11×400で4400ダメージ。2回目の連鎖爆撃は10×400で4000ダメージ。早かったわね~」
「そうだねー」
「あ、あの……」
ソリッドビジョンの爆発に男たちが巻き込まれているさなか、シロは2人の間で肩身が狭い思いをしながら尋ねる。
「これ、僕のいる意味はあったんでしょうか」
「何言ってるの~? シロちゃんがいなかったら私頑張れないのよ~」
「あ、ちょっと、らん姉……!」
「伽藍はホント変わってないねぇ」
― ― ― ― ― ― ―
伽藍 8000
桔梗 8000
シロ 8000
男1 8000 → 0
男2 8000 → 0
男3 8000 → 0
男4 8000 → 0
― ― ― ― ― ― ―
本部の方で簡単に決着がついてしまった頃、葵は非常に不機嫌な状態にあった。遊乃が必死になだめてくれているからまだ激昂こそしていないが、ブルー・オレンジとのデュエルはどうも気に障る。何か事情があったかもしれないが、そこまで喧嘩するなら最初からタッグを組むなと言いたくなるような二人だ。
現在、遊乃の手札は2枚。場には、攻撃力が半分になったオーバーレイユニット二つのデルタテロス攻撃表示、〈星因子 シャム〉守備表示。伏せは2枚。
葵の手札も2枚だ。場には、アイテールとテスタロス、どちらも攻撃表示。
どこまでも理性的なブルーの手札もまた2枚。フィールドには、守備力が2倍になった表側守備表示の〈アステカの石像〉と伏せカード1枚だ。
一方、感情的になりやすいオレンジの手札は4枚。フィールドには、表側守備表示の〈音響戦士サイザス〉と1枚の伏せ。そして、現在はブルーにターンが回っていた。
「私のターン、ドロー。私は手札から〈ミスフォーチュン〉を発動。そこにいるデルタテロスを破壊し、その元々の攻撃力の半分のダメージを与える」
「ううっ……」
「更にリバースカードオープン! 〈破壊輪〉! 対象は〈星因士 シャム〉!」
破壊輪は対象となったモンスターの元の攻撃力分の値のダメージを自分・相手両方に与えるカード。遊乃のライフは1250。これをまともに食らえば、遊乃の負けになってしまう。
「ライフを半分支払って〈神の宣告〉を発動します……!」
「止められましたか……まぁいいでしょう」
― ― ― ― ― ― ―
ミスフォーチュン
通常魔法
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。このターン自分のモンスターは攻撃する事ができない。
― ― ― ― ― ― ―
遊乃のライフの残りは625だ。隣に立っていた葵も、遊乃が徐々に追いつめられてきていることを肌で感じていた。慣れない夜中のデュエルがもたらした疲労のためか、遊乃の足はふらついており、額からは汗が流れている。
「遊乃、大丈夫か」
「葵ちゃん……?」
遊乃はちらと葵の方を向いた。目を合わせた葵は戦慄した。遊乃の身体から、黄金色のようなオーラが発せられているのがちらと見えたのだ。彼女の目の色は黒、いや、金……? 葵は自分自身の目を疑ってしまう。
「一人にしないよ……大丈夫だよ……」
「遊乃、お前……」
葵は呆然とした。そして感じた。今の遊乃は、いつもの遊乃とは全く違う存在だ。何か、自分の予想をはるかに超えたことが起きている。そしてそれに相手は気が付いていない。
「私は手札の残り2枚を伏せてターンエンドです」
「っしゃ、俺のターン、ドロー!」
遊乃と葵の様子をさておき、相手のターンは進む。
「俺は手札から〈音響戦士ギータス〉をスケールにセッティング! 更に、〈手札抹殺〉を発動! 俺は手札3枚を墓地へ送り、デッキから3枚ドローする!」
ドローしたカードを見たオレンジの顔つきが明るくなった。先ほどまでブルーと喧嘩をしていた時の不機嫌そうな表情はどこにも見当たらない。今のオレンジの表情はまるで、ずっと欲しがっていたおもちゃを買い与えられた子供。
「来たぜ来たぜ来たぜぇぇぇぇ! 俺は手札から〈アイアンコール〉を発動! 墓地からレベル4以下の機械族モンスター……〈トラップ・リアクター・RR〉を蘇生させる!」
現れたのは緑色の人型の機械。だが、攻撃力はそこまで高くはない。効果も非常に限定的だが、オレンジは更にその先を見据えている。
「俺はペンデュラムスケールの〈音響戦士ギータス〉の効果発動! 手札からカードを1枚を墓地へ送って、デッキから〈音響戦士ピアーノ〉を特殊召喚する! 更に、墓地から〈音響戦士ベーシス〉の効果発動! ピアーノのレベルを今の手札の枚数……1だけ上げ、4にする!」
― ― ― ― ― ― ―
音響戦士ギータス
ペンデュラム・効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻1500/守 100
【Pスケール:青7/赤7】
「音響戦士ギータス」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「音響戦士ギータス」以外の「音響戦士」モンスター1体を特殊召喚する。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「音響戦士」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
音響戦士ピアーノ
効果モンスター チューナー
星3/風属性/機械族/攻 900/守1300
種族を1つ宣言し、フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターは宣言した種族になる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、種族を1つ宣言し、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体は宣言した種族になる。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
音響戦士ベーシス
効果モンスター チューナー
星1/風属性/機械族/攻 600/守 400
1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。エンドフェイズ時まで、選択したモンスターのレベルを手札の枚数分上げる。
また、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体のレベルをエンドフェイズ時まで手札の枚数分上げる。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
音響戦士ドラムス
効果モンスター チューナー
星2/風属性/機械族/攻 700/守700
属性を1つ宣言し、フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターは宣言した属性になる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、属性を1つ宣言し、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体は宣言した属性になる。
― ― ― ― ― ― ―
オレンジのフィールドに存在するのは、レベル4のサイザス、レベル4のチューナーであるピアーノの2体。隣に立っていたブルーがふぅむと唸る。
「俺は墓地に送っていた〈音響戦士ドラムス〉の効果発動! ピアーノの属性を『闇属性』に変更する! そして、レベル4のサイザスに、闇属性レベル4のピアーノをチューニング!」
その時、どこからともなく機械の音が聞こえてきた。葵が音のした方――空を見上げるとそこには長い滑走路を持つ機械が浮いているのが見えた。あれが、男の召喚したシンクロモンスター、〈ダーク・フラット・トップ〉だ。
「更に更にぃぃ! 俺は手札から〈マジック・リアクター・AID〉を通常召喚! そして、〈ダーク・フラット・トップ〉の効果発動! 墓地から〈サモン・リアクター・AI〉を蘇生させる! そして、〈サモン・リアクター・AI〉の効果発動!」
男の場に3体のリアクターが揃う。そして、3体のリアクターは突然光となって空へと昇って行った。代わりに現れるのは、爆撃機をモチーフとした超大型のモンスターだ。
「亜音速の世界を生きる心無き破壊者よ、今ここに現れ、消し炭残さず全てを壊せ! 合体召喚! 現れろ、レベル8、〈ジャイアント・ボマー・エアレイド〉!」
― ― ― ― ― ― ―
ダーク・フラット・トップ
シンクロ・効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻 0/守3000
闇属性チューナー+チューナー以外の機械族モンスター1体以上
1ターンに1度、自分の墓地に存在する「リアクター」と名のついたモンスターまたは「ジャイアント・ボマー・エアレイド」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する事ができる。
このカードが破壊され墓地へ送られた場合、手札からレベル5以下の機械族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
サモン・リアクター・AI
効果モンスター
星5/闇属性/機械族/攻2000/守1500
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上にモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、相手ライフに800ポイントダメージを与える。この効果は1ターンに1度しか使用できない。
この効果を使用したターンのバトルフェイズ時、相手モンスター1体の攻撃を無効にできる。
また、自分フィールド上に表側表示で存在する、このカードと「トラップ・リアクター・RR」「マジック・リアクター・AID」をそれぞれ1体ずつ墓地へ送る事で、自分の手札・デッキ・墓地から「ジャイアント・ボマー・エアレイド」1体を選んで特殊召喚する。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
ジャイアント・ボマー・エアレイド
効果モンスター
星8/風属性/機械族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。「サモン・リアクター・AI」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、手札を1枚墓地へ送る事で相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。
また、相手のターンに1度、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。そのモンスターを破壊し、相手ライフに800ポイントダメージを与える。
●相手がカードをセットした時に発動できる。そのカードを破壊し、相手ライフに800ポイントダメージを与える。
― ― ― ― ― ― ―
オレンジの切り札、〈ジャイアント・ボマー・エアレイド〉。様子のおかしい遊乃のこともあったせいか、葵は柄になく動揺してしまっていた。
「バトルだ! 俺はエアレイドで〈炎帝テスタロス〉を攻撃!」
「くっ……」
― ― ― ― ― ― ―
遊乃 625
葵 8000 → 7400
ブルー 7000
オレンジ 7000
― ― ― ― ― ― ―
「かぁぁぁーーーっ! 全く、こいつが出た時は最高だ! ターンエンドだ!」
「……私の」
遊乃が虚ろな目――黄金色の目でデッキに人差し指を乗せる。その時、遊乃の手先からも金色の光が漏れだした。葵、ブルー、オレンジが呆然と見ていると、遊乃の背後に何やらドラゴンの形が描かれているのが見える。
「私の、ターン、ドロー!」
1回のドロー。たった1回のドローで、空気が一変してしまった。遊乃のライフが少ない事や、ブルーがアステカでウォールバーンを仕掛けていること、オレンジがエアレイドを召喚したことが、全て、記憶から消し飛んでしまった。
そして、遊乃は引いたカードを「一切見ずに」、皆にわかるように公開する。
「――私が引いたカードは、〈RUM 七皇の剣〉」
「何だと!?」
「セブンスワン……」
取り乱したブルーと、言葉を失ったオレンジ。しかし、誰よりも驚いているのは、遊乃の隣に立っている葵であった。
「ここで、引いたのか、遊乃……」
遊乃がカードを発動すると、彼女の背後に現れていた黄金の龍が、いよいよその姿を現す。夜の街にもう一度昼をもたらすかのようなその輝きをまとった龍は、黄金色のギャラクシーアイズだ。
遊乃以外の三人は息をのむしかなかった。龍に圧倒されてしまっていたのだ。だが、オレンジは我に返り、エアレイドの効果を発動する。
「俺は〈ジャイアント・ボマー・エアレイド〉の効果発動! 相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動! 貴様のモンスターを破壊して800のダメージだ!」
「〈ブレイクスルー・スキル〉を発動。エアレイドの効果を無効化します」
「ぐっ……」
遊乃の伏せはもうない。だが、これで十分だ。
「……手札から〈エネミーコントローラー〉を発動。〈アステカの石像〉を表側攻撃表示に変更。そして、デッキトップを1枚墓地に送り、墓地の〈グローアップ・バルブ〉を蘇生。そして、フィールド上の〈星因士 シャム〉〈グローアップ・バルブ〉をリリースし、〈CNo.107 超銀河眼の時空龍〉の効果発動」
シャムとバルブが光になってギャラクシーアイズに吸収されていく。そして、ギャラクシーアイズの輝きが更に増した。遊乃の目の色は完全な黄金へと変わり、身体から発せられるオーラも常人のそれをはるかに超えた段階に到達する。
「オーバーレイユニットを1つ使ってギャラクシーアイズの効果発動。更に巨大化で攻撃力2倍。そして、バトルフェイズ。〈CNo.107 超銀河眼の時空龍〉で〈アステカの石像〉〈ジャイアント・ボマー・エアレイド〉に攻撃」
「ぎにゃああああぁぁぁぁーっ!」
「ちいっ……!」
ブルーは衝撃波で吹き飛ばされ、ライフが0になってしまう。オレンジはまだ残っているようだが、その顔に希望はない。遊乃の次には、葵のターンが待っている。
― ― ― ― ― ― ―
遊乃 650
葵 7400
ブルー 7000 → 0
オレンジ 7000 → 1000
― ― ― ― ― ― ―
「ターンエンド」
「私のターン、ドロー! 私は〈天帝アイテール〉で貴様にダイレクトアタック!」
「ぎにゃぁぁぁぁ!」
オレンジも続けて吹き飛ばされる。相手のライフがどちらも尽きた。
― ― ― ― ― ― ―
オレンジ 1000 → 0
― ― ― ― ― ― ―
デュエルが終わるとともに、遊乃はその場にへたり込んでしまった。葵がそばに駆け寄って遊乃を支えるが、意識がない。今まで散々光を放っていたギャラクシーアイズもどこかに消えてしまったようだった。葵が遊乃を支えている間に、対戦相手の二人はどこかへ姿を消してしまう。
「遊乃、おい、しっかりしろ」
返事がない。だが、一応生きてはいるようだ。葵は遊乃を肩に抱えると、そのまま桔梗の部下が待つアパートの一室へと駆け込む。
遊乃が目を覚ましたのは、それから5時間後の早朝である。薄暗いアパートで目を覚ました。まだ目が慣れていないのか、辺りは暗く、何も見えない。窓もカーテンでふさがれているのか、青白い光すらも入って来ない。
「……あれ」
暗いためか、遊乃は誰の姿も確認できなかった。
「ひとり……こわいよ……」
布団の中で遊乃は丸くなる。すると、遊乃の背中に何かがこつんと当たった。遊乃は暗い中必死に目をこらし、その当たった物体を見る。葵の頭だった。
「葵ちゃん?」
「……なんだ、遊乃、起きたのか」
徐々に部屋の様子が分かって来た。アパートの一室に布団が二枚敷いてあり、そこに遊乃と葵は横になっていたのだ。もっとも、葵は寝相が悪いせいか、90度横向きになってしまっている。
「疲れてんだろ。もっと休め」
「え、でも、葵ちゃん……」
「私の事は気にするな。これでも体力には自身があるんだからな」
葵は遊乃を優しく抱く。遊乃は葵の腕の中でもう一度目を閉じた。もう先程の孤独感は感じない。葵の腕から暖かさが遊乃に伝わっていた。
「……ありがとう。葵ちゃん」
「どうしたしまして」
「あ、あの、らん姉、本当に大丈夫かな?」
「大丈夫大丈夫~。さあ、この人たちを片付けちゃうわよ~」
― ― ― ― ― ― ―
伽藍 8000
桔梗 8000
シロ 8000
男1 8000
男2 8000
男3 8000
男4 8000
― ― ― ― ― ― ―
伽藍はいつも通りに5伏せをしてターンを終える。シロはドローした後、手札から〈ゴブリンドバーグ〉を通常召喚した。その効果で〈H・C サウザンドブレード〉が特殊召喚される。伽藍は何も反応しない。ただにこにことシロの様子を見守っている。
「ぼ、僕はフィールド上の〈H・C サウザンドブレード〉の効果発動! 手札の〈H・C ダブルランス〉を墓地へ送って、デッキから〈H・C エクストラソード〉を特殊召喚します! そして、3体のモンスターでオーバーレイ!」
そして召喚されるのは、甲冑を身に纏ったヒロイック。異色の存在とも言われるそれが、シロの声に応えるかのように現れる。
「神の名を受け継ぎし戦士の魂よ、その名に相応しき力ここに示せ! エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4、〈H-C クサナギ〉!」
― ― ― ― ― ― ―
H―C クサナギ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/地属性/戦士族/攻2500/守2400
戦士族レベル4モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。罠カードの発動を無効にし破壊する。その後、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。
― ― ― ― ― ― ―
「僕はこれでターンエンド!」
「んじゃあたしのターンね。えーっと……」
桔梗は手札を確認した後、それを全部伏せてターンを終える。なにやら不穏な空気が漂っているが、男はカードを引いた。そして、カードを発動する。
「俺は手札を1枚リリースして〈ツインツイスター〉を発動!」
「続けてあたしは〈カース・オブ・スタチュー〉を発動。手札発動系誰か持ってるー?」
その一言にどよめく男たち。誰一人手札誘発を持っていないらしい。桔梗は伽藍に目で合図を送った。彼女たちの勝利が確信したことを、彼らはまだ知らない。
「んじゃ勝負は決まりだね……続けて〈ソウル・オブ・スタチュー〉〈深淵のスタングレイ〉〈死霊ゾーマ〉〈苦紋様の土像〉を発動しまーす。ということで伽藍さん、あとはシクヨロでーす」
「はいは~い。私は〈自業自得〉〈仕込みマシンガン〉〈おジャマトリオ〉〈連鎖爆撃〉〈連鎖爆撃〉を発動よ~」
伽藍の言葉に男たちとシロは凍り付いた。ここまでのチェーンの数は……11。
「1回目の連鎖爆撃は11×400で4400ダメージ。2回目の連鎖爆撃は10×400で4000ダメージ。早かったわね~」
「そうだねー」
「あ、あの……」
ソリッドビジョンの爆発に男たちが巻き込まれているさなか、シロは2人の間で肩身が狭い思いをしながら尋ねる。
「これ、僕のいる意味はあったんでしょうか」
「何言ってるの~? シロちゃんがいなかったら私頑張れないのよ~」
「あ、ちょっと、らん姉……!」
「伽藍はホント変わってないねぇ」
― ― ― ― ― ― ―
伽藍 8000
桔梗 8000
シロ 8000
男1 8000 → 0
男2 8000 → 0
男3 8000 → 0
男4 8000 → 0
― ― ― ― ― ― ―
本部の方で簡単に決着がついてしまった頃、葵は非常に不機嫌な状態にあった。遊乃が必死になだめてくれているからまだ激昂こそしていないが、ブルー・オレンジとのデュエルはどうも気に障る。何か事情があったかもしれないが、そこまで喧嘩するなら最初からタッグを組むなと言いたくなるような二人だ。
現在、遊乃の手札は2枚。場には、攻撃力が半分になったオーバーレイユニット二つのデルタテロス攻撃表示、〈星因子 シャム〉守備表示。伏せは2枚。
葵の手札も2枚だ。場には、アイテールとテスタロス、どちらも攻撃表示。
どこまでも理性的なブルーの手札もまた2枚。フィールドには、守備力が2倍になった表側守備表示の〈アステカの石像〉と伏せカード1枚だ。
一方、感情的になりやすいオレンジの手札は4枚。フィールドには、表側守備表示の〈音響戦士サイザス〉と1枚の伏せ。そして、現在はブルーにターンが回っていた。
「私のターン、ドロー。私は手札から〈ミスフォーチュン〉を発動。そこにいるデルタテロスを破壊し、その元々の攻撃力の半分のダメージを与える」
「ううっ……」
「更にリバースカードオープン! 〈破壊輪〉! 対象は〈星因士 シャム〉!」
破壊輪は対象となったモンスターの元の攻撃力分の値のダメージを自分・相手両方に与えるカード。遊乃のライフは1250。これをまともに食らえば、遊乃の負けになってしまう。
「ライフを半分支払って〈神の宣告〉を発動します……!」
「止められましたか……まぁいいでしょう」
― ― ― ― ― ― ―
ミスフォーチュン
通常魔法
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。このターン自分のモンスターは攻撃する事ができない。
― ― ― ― ― ― ―
遊乃のライフの残りは625だ。隣に立っていた葵も、遊乃が徐々に追いつめられてきていることを肌で感じていた。慣れない夜中のデュエルがもたらした疲労のためか、遊乃の足はふらついており、額からは汗が流れている。
「遊乃、大丈夫か」
「葵ちゃん……?」
遊乃はちらと葵の方を向いた。目を合わせた葵は戦慄した。遊乃の身体から、黄金色のようなオーラが発せられているのがちらと見えたのだ。彼女の目の色は黒、いや、金……? 葵は自分自身の目を疑ってしまう。
「一人にしないよ……大丈夫だよ……」
「遊乃、お前……」
葵は呆然とした。そして感じた。今の遊乃は、いつもの遊乃とは全く違う存在だ。何か、自分の予想をはるかに超えたことが起きている。そしてそれに相手は気が付いていない。
「私は手札の残り2枚を伏せてターンエンドです」
「っしゃ、俺のターン、ドロー!」
遊乃と葵の様子をさておき、相手のターンは進む。
「俺は手札から〈音響戦士ギータス〉をスケールにセッティング! 更に、〈手札抹殺〉を発動! 俺は手札3枚を墓地へ送り、デッキから3枚ドローする!」
ドローしたカードを見たオレンジの顔つきが明るくなった。先ほどまでブルーと喧嘩をしていた時の不機嫌そうな表情はどこにも見当たらない。今のオレンジの表情はまるで、ずっと欲しがっていたおもちゃを買い与えられた子供。
「来たぜ来たぜ来たぜぇぇぇぇ! 俺は手札から〈アイアンコール〉を発動! 墓地からレベル4以下の機械族モンスター……〈トラップ・リアクター・RR〉を蘇生させる!」
現れたのは緑色の人型の機械。だが、攻撃力はそこまで高くはない。効果も非常に限定的だが、オレンジは更にその先を見据えている。
「俺はペンデュラムスケールの〈音響戦士ギータス〉の効果発動! 手札からカードを1枚を墓地へ送って、デッキから〈音響戦士ピアーノ〉を特殊召喚する! 更に、墓地から〈音響戦士ベーシス〉の効果発動! ピアーノのレベルを今の手札の枚数……1だけ上げ、4にする!」
― ― ― ― ― ― ―
音響戦士ギータス
ペンデュラム・効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻1500/守 100
【Pスケール:青7/赤7】
「音響戦士ギータス」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「音響戦士ギータス」以外の「音響戦士」モンスター1体を特殊召喚する。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「音響戦士」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
音響戦士ピアーノ
効果モンスター チューナー
星3/風属性/機械族/攻 900/守1300
種族を1つ宣言し、フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターは宣言した種族になる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、種族を1つ宣言し、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体は宣言した種族になる。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
音響戦士ベーシス
効果モンスター チューナー
星1/風属性/機械族/攻 600/守 400
1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。エンドフェイズ時まで、選択したモンスターのレベルを手札の枚数分上げる。
また、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体のレベルをエンドフェイズ時まで手札の枚数分上げる。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
音響戦士ドラムス
効果モンスター チューナー
星2/風属性/機械族/攻 700/守700
属性を1つ宣言し、フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターは宣言した属性になる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、属性を1つ宣言し、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、自分フィールド上に表側表示で存在する「音響戦士」と名のついたモンスター1体は宣言した属性になる。
― ― ― ― ― ― ―
オレンジのフィールドに存在するのは、レベル4のサイザス、レベル4のチューナーであるピアーノの2体。隣に立っていたブルーがふぅむと唸る。
「俺は墓地に送っていた〈音響戦士ドラムス〉の効果発動! ピアーノの属性を『闇属性』に変更する! そして、レベル4のサイザスに、闇属性レベル4のピアーノをチューニング!」
その時、どこからともなく機械の音が聞こえてきた。葵が音のした方――空を見上げるとそこには長い滑走路を持つ機械が浮いているのが見えた。あれが、男の召喚したシンクロモンスター、〈ダーク・フラット・トップ〉だ。
「更に更にぃぃ! 俺は手札から〈マジック・リアクター・AID〉を通常召喚! そして、〈ダーク・フラット・トップ〉の効果発動! 墓地から〈サモン・リアクター・AI〉を蘇生させる! そして、〈サモン・リアクター・AI〉の効果発動!」
男の場に3体のリアクターが揃う。そして、3体のリアクターは突然光となって空へと昇って行った。代わりに現れるのは、爆撃機をモチーフとした超大型のモンスターだ。
「亜音速の世界を生きる心無き破壊者よ、今ここに現れ、消し炭残さず全てを壊せ! 合体召喚! 現れろ、レベル8、〈ジャイアント・ボマー・エアレイド〉!」
― ― ― ― ― ― ―
ダーク・フラット・トップ
シンクロ・効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻 0/守3000
闇属性チューナー+チューナー以外の機械族モンスター1体以上
1ターンに1度、自分の墓地に存在する「リアクター」と名のついたモンスターまたは「ジャイアント・ボマー・エアレイド」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する事ができる。
このカードが破壊され墓地へ送られた場合、手札からレベル5以下の機械族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
サモン・リアクター・AI
効果モンスター
星5/闇属性/機械族/攻2000/守1500
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上にモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、相手ライフに800ポイントダメージを与える。この効果は1ターンに1度しか使用できない。
この効果を使用したターンのバトルフェイズ時、相手モンスター1体の攻撃を無効にできる。
また、自分フィールド上に表側表示で存在する、このカードと「トラップ・リアクター・RR」「マジック・リアクター・AID」をそれぞれ1体ずつ墓地へ送る事で、自分の手札・デッキ・墓地から「ジャイアント・ボマー・エアレイド」1体を選んで特殊召喚する。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
ジャイアント・ボマー・エアレイド
効果モンスター
星8/風属性/機械族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。「サモン・リアクター・AI」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、手札を1枚墓地へ送る事で相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。
また、相手のターンに1度、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。そのモンスターを破壊し、相手ライフに800ポイントダメージを与える。
●相手がカードをセットした時に発動できる。そのカードを破壊し、相手ライフに800ポイントダメージを与える。
― ― ― ― ― ― ―
オレンジの切り札、〈ジャイアント・ボマー・エアレイド〉。様子のおかしい遊乃のこともあったせいか、葵は柄になく動揺してしまっていた。
「バトルだ! 俺はエアレイドで〈炎帝テスタロス〉を攻撃!」
「くっ……」
― ― ― ― ― ― ―
遊乃 625
葵 8000 → 7400
ブルー 7000
オレンジ 7000
― ― ― ― ― ― ―
「かぁぁぁーーーっ! 全く、こいつが出た時は最高だ! ターンエンドだ!」
「……私の」
遊乃が虚ろな目――黄金色の目でデッキに人差し指を乗せる。その時、遊乃の手先からも金色の光が漏れだした。葵、ブルー、オレンジが呆然と見ていると、遊乃の背後に何やらドラゴンの形が描かれているのが見える。
「私の、ターン、ドロー!」
1回のドロー。たった1回のドローで、空気が一変してしまった。遊乃のライフが少ない事や、ブルーがアステカでウォールバーンを仕掛けていること、オレンジがエアレイドを召喚したことが、全て、記憶から消し飛んでしまった。
そして、遊乃は引いたカードを「一切見ずに」、皆にわかるように公開する。
「――私が引いたカードは、〈RUM 七皇の剣〉」
「何だと!?」
「セブンスワン……」
取り乱したブルーと、言葉を失ったオレンジ。しかし、誰よりも驚いているのは、遊乃の隣に立っている葵であった。
「ここで、引いたのか、遊乃……」
遊乃がカードを発動すると、彼女の背後に現れていた黄金の龍が、いよいよその姿を現す。夜の街にもう一度昼をもたらすかのようなその輝きをまとった龍は、黄金色のギャラクシーアイズだ。
遊乃以外の三人は息をのむしかなかった。龍に圧倒されてしまっていたのだ。だが、オレンジは我に返り、エアレイドの効果を発動する。
「俺は〈ジャイアント・ボマー・エアレイド〉の効果発動! 相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動! 貴様のモンスターを破壊して800のダメージだ!」
「〈ブレイクスルー・スキル〉を発動。エアレイドの効果を無効化します」
「ぐっ……」
遊乃の伏せはもうない。だが、これで十分だ。
「……手札から〈エネミーコントローラー〉を発動。〈アステカの石像〉を表側攻撃表示に変更。そして、デッキトップを1枚墓地に送り、墓地の〈グローアップ・バルブ〉を蘇生。そして、フィールド上の〈星因士 シャム〉〈グローアップ・バルブ〉をリリースし、〈CNo.107 超銀河眼の時空龍〉の効果発動」
シャムとバルブが光になってギャラクシーアイズに吸収されていく。そして、ギャラクシーアイズの輝きが更に増した。遊乃の目の色は完全な黄金へと変わり、身体から発せられるオーラも常人のそれをはるかに超えた段階に到達する。
「オーバーレイユニットを1つ使ってギャラクシーアイズの効果発動。更に巨大化で攻撃力2倍。そして、バトルフェイズ。〈CNo.107 超銀河眼の時空龍〉で〈アステカの石像〉〈ジャイアント・ボマー・エアレイド〉に攻撃」
「ぎにゃああああぁぁぁぁーっ!」
「ちいっ……!」
ブルーは衝撃波で吹き飛ばされ、ライフが0になってしまう。オレンジはまだ残っているようだが、その顔に希望はない。遊乃の次には、葵のターンが待っている。
― ― ― ― ― ― ―
遊乃 650
葵 7400
ブルー 7000 → 0
オレンジ 7000 → 1000
― ― ― ― ― ― ―
「ターンエンド」
「私のターン、ドロー! 私は〈天帝アイテール〉で貴様にダイレクトアタック!」
「ぎにゃぁぁぁぁ!」
オレンジも続けて吹き飛ばされる。相手のライフがどちらも尽きた。
― ― ― ― ― ― ―
オレンジ 1000 → 0
― ― ― ― ― ― ―
デュエルが終わるとともに、遊乃はその場にへたり込んでしまった。葵がそばに駆け寄って遊乃を支えるが、意識がない。今まで散々光を放っていたギャラクシーアイズもどこかに消えてしまったようだった。葵が遊乃を支えている間に、対戦相手の二人はどこかへ姿を消してしまう。
「遊乃、おい、しっかりしろ」
返事がない。だが、一応生きてはいるようだ。葵は遊乃を肩に抱えると、そのまま桔梗の部下が待つアパートの一室へと駆け込む。
遊乃が目を覚ましたのは、それから5時間後の早朝である。薄暗いアパートで目を覚ました。まだ目が慣れていないのか、辺りは暗く、何も見えない。窓もカーテンでふさがれているのか、青白い光すらも入って来ない。
「……あれ」
暗いためか、遊乃は誰の姿も確認できなかった。
「ひとり……こわいよ……」
布団の中で遊乃は丸くなる。すると、遊乃の背中に何かがこつんと当たった。遊乃は暗い中必死に目をこらし、その当たった物体を見る。葵の頭だった。
「葵ちゃん?」
「……なんだ、遊乃、起きたのか」
徐々に部屋の様子が分かって来た。アパートの一室に布団が二枚敷いてあり、そこに遊乃と葵は横になっていたのだ。もっとも、葵は寝相が悪いせいか、90度横向きになってしまっている。
「疲れてんだろ。もっと休め」
「え、でも、葵ちゃん……」
「私の事は気にするな。これでも体力には自身があるんだからな」
葵は遊乃を優しく抱く。遊乃は葵の腕の中でもう一度目を閉じた。もう先程の孤独感は感じない。葵の腕から暖かさが遊乃に伝わっていた。
「……ありがとう。葵ちゃん」
「どうしたしまして」
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73 | 伝言板・修正履歴(3/30) | 1129 | 0 | 2016-01-19 | - | |
91 | 第1話 その少女、黄金の龍と共に有り | 1495 | 5 | 2016-01-19 | - | |
79 | 第2話 スターダスト・ドラゴン消失事件 | 1280 | 6 | 2016-01-23 | - | |
76 | 第3話 誇り高き一族 | 1370 | 7 | 2016-01-27 | - | |
76 | 第4話 勝利は一から積み上げる | 1189 | 6 | 2016-01-30 | - | |
73 | 第5話 絶対支配領域 | 1090 | 6 | 2016-01-31 | - | |
75 | 閑話休題:キャラクター紹介 | 1284 | 0 | 2016-01-31 | - | |
54 | 第6話 溶けていく手札 | 1013 | 8 | 2016-02-05 | - | |
58 | 第7話 手札一枚の戦争 | 1172 | 8 | 2016-02-07 | - | |
137 | 第8話 ネコチャン!? | 1111 | 8 | 2016-02-13 | - | |
138 | 第9話 「帝王」の影 | 1116 | 6 | 2016-02-19 | - | |
128 | 第10話 息の合った二人 | 1096 | 4 | 2016-02-21 | - | |
107 | 第11話 たまにはみんなで温泉旅行! | 1116 | 4 | 2016-02-23 | - | |
135 | 第12話 シロちゃんは二度挟まれる | 1043 | 6 | 2016-02-28 | - | |
147 | 第13話 アルストロメリアの門番 | 1157 | 4 | 2016-03-05 | - | |
110 | 第14話 王者の資格 | 1087 | 6 | 2016-03-09 | - | |
105 | 第15話 Execution | 1116 | 6 | 2016-03-13 | - | |
80 | 第16話 ワン・ナイト・カーニバル | 938 | 6 | 2016-03-17 | - | |
129 | 第17話 キャット・アンド・ドッグ | 1051 | 4 | 2016-03-25 | - | |
55 | 第18話 積み込み・スリ替え・橙一色 | 962 | 6 | 2016-04-02 | - | |
86 | 第19話 孤独への恐怖 | 933 | 2 | 2016-04-10 | - | |
71 | 閑話休題:キャラクター紹介 雑談枠 | 1039 | 4 | 2016-04-19 | - | |
101 | 第20話 アルストロメリアの休日 | 995 | 6 | 2016-04-29 | - | |
128 | 第21話 「ふつうの女性」になりたくて | 1064 | 4 | 2016-05-01 | - | |
71 | 第22話 翌檜の恋心 | 925 | 4 | 2016-05-03 | - | |
68 | 第23話 シロちゃんぐるぐるハンマー伽藍 | 965 | 4 | 2016-06-06 | - | |
91 | 第24話 ボクっ娘決闘者、リンちゃん | 948 | 2 | 2016-07-03 | - | |
67 | 第25話 政治部の苦悩 | 882 | 4 | 2016-07-09 | - | |
99 | 第26話 モノクローム・プライド | 971 | 4 | 2016-07-20 | - | |
61 | 第27話 あなたのそばで | 1055 | 4 | 2016-07-28 | - | |
54 | 第28話 嫉妬 | 958 | 2 | 2016-08-31 | - | |
96 | 第29話 分かり合いたくて | 985 | 0 | 2016-09-15 | - | |
134 | 第30話 Dランド:遊乃&葵√その1 | 947 | 2 | 2016-10-06 | - | |
117 | 第31話 Dランド:遊乃&葵√その2 | 1064 | 2 | 2016-10-09 | - | |
70 | 第32話 Dランド:遊乃&葵√その3 | 983 | 2 | 2016-11-03 | - | |
70 | 第33話 Dランド:遊乃&葵√その4 | 1012 | 4 | 2016-11-08 | - | |
68 | 第34話 Dランド:伽藍&シロ√その1 | 891 | 2 | 2016-11-25 | - | |
106 | 第35話 Dランド:伽藍&シロ√その2 | 903 | 2 | 2016-12-06 | - | |
66 | 第36話 Dランド:伽藍&シロ√その3 | 947 | 2 | 2016-12-14 | - | |
80 | 第37話 Dランド:翌檜√その1 | 809 | 2 | 2016-12-25 | - | |
122 | 第38話 Dランド:翌檜√その2 | 839 | 2 | 2017-01-12 | - | |
76 | フラワリングタウン広報「アイリス」春号 | 984 | 0 | 2017-01-12 | - | |
131 | 第39話 フンキー フンキー フンキー | 1172 | 3 | 2017-01-18 | - | |
109 | 第40話 もりのようかん | 931 | 2 | 2017-01-25 | - | |
115 | 第41話 狂植物の叛乱 | 864 | 4 | 2017-02-05 | - | |
117 | 第42話 桜姫降臨 | 960 | 2 | 2017-02-13 | - | |
110 | リンク召喚について ※SSは書き続けます | 1029 | 5 | 2017-02-18 | - | |
138 | 第43話 Dragula | 1008 | 2 | 2017-02-19 | - | |
106 | 閑話休題:キャラクター紹介3 | 1002 | 0 | 2017-02-23 | - | |
118 | 第44話 不穏 | 777 | 4 | 2017-03-19 | - | |
121 | 第45話 BREAK DOWN | 958 | 2 | 2017-03-21 | - | |
122 | 第46話 その少女、黒紫の竜と共に有り | 949 | 2 | 2017-03-23 | - | |
90 | 第47話 おかえり | 927 | 4 | 2017-03-26 | - | |
120 | 第48話 大切な人 | 925 | 3 | 2017-03-29 | - | |
101 | 第49話 炎 | 755 | 4 | 2017-04-28 | - | |
106 | 第50話 Find Your Way | 875 | 2 | 2017-05-17 | - | |
99 | 第51話 Force Your Way | 954 | 4 | 2017-06-17 | - | |
114 | 第52話 四人目の姫 | 1029 | 2 | 2017-07-22 | - | |
121 | 第53話 一寸先は闇 | 921 | 4 | 2017-07-25 | - | |
107 | 第54話 月夜に咲く姫 | 837 | 4 | 2017-08-22 | - | |
140 | 第55話 OVERLAP | 959 | 0 | 2017-09-16 | - | |
124 | 第56話 幽雅に咲かせ、紫毒の華 | 786 | 5 | 2017-09-21 | - | |
103 | 第57話 帰る場所 | 881 | 4 | 2017-10-01 | - | |
136 | 閑話休題:キャラクター紹介4&作者の呟き | 991 | 0 | 2017-10-01 | - | |
121 | 第58話 前哨戦(△) | 853 | 5 | 2017-11-09 | - | |
126 | 第59話 混沌を制す者(△) | 1044 | 2 | 2017-11-12 | - | |
54 | 第60話 侵略者の領域 | 919 | 4 | 2018-02-20 | - | |
111 | 【報告】現状と暗い見通し【更新できねぇ】 | 1146 | 0 | 2018-05-31 | - |
更新情報 - NEW -
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その一方で遊乃と葵の間がどんどんと深まっていっていますが、情景描写の巧さも相まって2人が仲睦まじく眠る姿が容易に想像できますね。遊乃のトラウマ(?)が比較的早く取り払われることを願っています。 (2016-04-11 13:51)
伽藍さんはドロー力も侮れませんが、実は裏でデッキ構築をこれでもかと考えております。
桔梗さんとは昔からの中なのでお互いの考えてることも分かるんでしょうな。
遊乃ちゃんたちの過去についてはしばらくは触れない予定です。トラウマ克服は葵さんとゆっくりやっていくしかありませんね(´・ω・`)
(2016-04-13 12:37)