Case5 明日への焼きそば二丁　作：トマトところてん

ヴィサスのストーリーのネタバレありなので注意。クシャトリラとティアラメンツが争ってるのは、無しで、ティアラメンツハゥフニスがクシャトリラの国パライゾスへ留学しにいく話ほかハゥフニスの過去編二本立て

本編

　ハゥフニスは海外留学としてクシャトリラの国パライゾスへ向かったが、9月から約3ヵ月過ごして12月の冬にはホームシックになってしまっていた。冷たい現地の人、その国の物価高に苦しむ、食事は口にあわずおいしくない。体調を崩してとうとう一歩も部屋から出られずベッドの上で過ごしていることになり、心も崩れて医者へ行くと、クシャトリラの国の医者は意外な処方をする。医師のライズハートはハゥフニスに告げる
　パライゾスの首都の毒気に当てられたな、何が苦しいんだ？
　ハゥフニスは
　もうじきお金が尽きて
　とだけつぶやくと、
　お前さんの宗教はなんだ？　俺は別になんでもないんだが強いて言えば、みかんこ教か。まあ神を誉め称える讃美歌でも歌え。これからお前さんに修道院への紹介状を書いてやる。いくらでも頭を冷やせるぞ。飯も食えるし、泊めてもらえる
　と、言われた。どうやらハゥフニスは首都から離れた郊外の田舎の修道院に行くことになった。修道院に行くということである程度覚悟はしていたが、ハゥフニスに与えられた部屋は石造りの日の当たらない独房のような寒い部屋だった。とにかく暗くて寒い。ベッドだけは石のベッドではなかったから少しはマシだった。医師のライズハートはハゥフニスと別れる時に、寒いから薪をくべて暖めてやるという優しさもなく一言、
　心配するな、お前さんは必ず元気になるよ
　とだけ言った。結果を先に言うとハゥフニスはそこで過ごして少しやせはしたがホームシックはどこかへ吹き飛んでいた。
　ホームシックはどうやって治すのだろうか、克服するのだろうか。やはり故郷へ戻って親と会って休んでから、それでも自分にはやるべきことがあると気づいて再び出発するのを繰り返すとか、それか故郷へ手紙を書いて色んな品を送ってもらったりするのだろうか。人によっては一生の心の病か
　修道院では老若男女が自給自足をして暮らしていた。ハゥフニスはその手伝いをして過ごした。そこで出会った枯れ木のような老人が焼きそばをふるまってくれたのだが、これがあまりおいしくなかった。栄養満点でまずいやつ。しかしハゥフニスは老人がまるで神様がまだこの世に仙人として生きているのではないかと錯覚をおぼえるほどに超然としたものを感じた。
　クシャトリラとティアラメンツの国は友好で、手紙や郵便の品に税はかからなかった。なのでハゥフニスは昔自分の好きだったものを実家から送ってもらった。梅干し、のり、地元のご当地インスタントラーメン、かつおぶし、わかめ、みそ。なんか日本っぽいのは元ネタもまあ日本人だから
　しばらく昔ながらの暮らしをして規則正しい生活をして、皆で讃美歌を歌っていると、本当に自分のやりたいことが見つかっていた。退所するころには現地ではつたないクシャトリラ語を話していたハゥフニスだったが無事仲良くなれていた。そこでも人のぬくもりを感じたからなのか、自分はここで生きていくしかないんだという覚悟からかわからなかったがホームシックは吹き飛んでいた

過去編1　完

過去編2

　ある日ハゥフニスが故郷のペルレイノに帰ってくると、未来から来たレイノハートに襲われた。レイノハートはヴィサスとルルカロスによって倒される未来を変えるために過去のティアラメンツたちを襲う。結果的には同じことをしているのだが、誰よりも未来を生きているレイノハートは過去に縛られているのだった
　焼きそばばかり食ってんじゃねぇ！
　没収されてハゥフニスは焼きそばを食べることも作ることもできなくなった。そこでハゥフニスは思い知る。焼きそばがなくなって初めてわかった。焼きそばがなければ私にできることは何もないんだと、誰かの空腹を満たす事もできないんだと。焼きそばは望んで見つけたものではなかったがそれでもショックだった
　メイルゥはハゥフニスを励ます。キトカロスとシェイレーンはいなかった。レイノハートは二人の不在を狙ってやって来たのだろうか
　焼きそばがなくてもハゥフニスはハゥフニスメルゥ
　(それでも、私は)
　そこに、レイノハートを追って未来からルルカロスがやってきた。ヴィサスもいない状況でレイノハートを倒せるかどうかは怪しかった。実際、レイノハートとルルカロスはほぼ互角だった。レイノハートとルルカロスが鞭と剣でぶつかり合う。そこにハゥフニスは飛び出す。刀を取り出して戦うがすぐにやられてゴロゴロと転がる。未来から来たルルカロスは思わず警告する
　引っ込んでろ、小娘。こいつはアンタの敵う相手じゃないさ。刺し違えてでも私がなんとかする
　小娘じゃない！　うるさいよ、おばさん！
　おばさんって呼ぶんじゃないよ！
　戦いに集中しろよ、俺の前でもめてんじゃねぇ！
　レイノハートはルルカロスも突き飛ばす。ルルカロスもやられてゴロゴロと転がる。仁王立ちするレイノハート、地面に突っ伏すハゥフニスとルルカロス。それをメイルゥやティアラメンツたちは端の方で怯えながらみていた
　いいぜ、これが求めていた景色だぜ、ギャハハハ
　笑うレイノハートを前にしてハゥフニスはよろよろしながらも立ち上がりながらつぶやく
　私の焼きそばを返せ。焼きそばを、焼きそばを経て手に入れたものは、今度こそ手放さない！　負けるもんか！
　焼きそば、焼きそば、頭がイカれてるんじゃねぇか？　今らくにしてやるぜ。おらっ
　レイノハートが鞭をハゥフニスに叩きつけようとしたその瞬間、ハゥフニスが光り輝く。ハゥフニスの身体に鞭が触れそうになると一瞬で鞭が熔けた。炎の鎧をまとっていた
　平成仮面ライダーの負の遺産、自己主張の激しいうるさい待機音がなる
　焼きそバーニング！　焼きそバーニング！　焼きそバーニング！
　ルルカロスは地面に突っ伏しながら叫ぶ
　うっ、小娘！　取れ！　つかめー！　その力を！
　ハゥフニスは左手に掴んだ涙の宝石のようなものを天に向かって突き上げると変身した
　ルーンティアラパワーメイクアップ！
　輝く炎のルーンの力をまとったティアラメンツハゥフニス焼きそバーニングになった。変身音はその場の空気を読まないくらいダサい。CVはエドフェニックスの人。焼きそバーニング！　のダサい待機音のする宝石を天にかざしてルーンティアラパワーメイクアップ！　と叫び、ハゥフニスの持っている刀に宝石をはめると変身音が鳴る　以下　変身音
　カモン！　ジェット湯切り！　マヨビーム！　神の粉末(ソース)！　神のパリッ、じゅわー！　神うまし！　イヤッホウ！　焼きそばの力が信じられないのなら焼きそばをやめろ！　おー！　レオナルドディカプリオ！　空腹退散！　焼きそバーニング！

以上
　と、宝石が光って刀が光って鳴って変身した。レイノハートは驚く
　なんじゃこりゃあ！　その姿は想定していないぞ、まずいことになったな。なんだお前は！？
　つべこべ言うのでハゥフニスは黙らせるように返す
　焼きそば。見ればわかるでしょ。それじゃさよなら
　ハゥフニスが刀を構えると持っている刀の宝石が光って
　マヨビーム！
　と、鳴って光って黄色い光線が飛んだ
　ぎゃあああ
　一瞬で爆発、困難は去った。ルルカロスはお礼を言って未来に帰っていった
　あんたならきっと立派な焼きそば職人になれるさ
　それからハゥフニスはティアラメンツのみんなに焼きそばを振る舞ったのだった

過去編2　完

現在

　ハゥフハゥフハフハフ
　焼きそばを食ってるハゥフニスを見ながらシェイレーンはつぶやく
　いや、冗談でしょこれ。私は一体なにをみせられていたんだ