Case6 プライベートタイムバレない　作：トマトところてん

　適度な緊張感が最高のパフォーマンスを生むと言っても、一切の緊張感から解放されたプライベートタイムを過ごしたい。夫婦の仲は空気のような存在と言っても、一人でこっそりと暴露本でも読むようなそんな秘密の時間が欲しい。と言っても暴露本を読むわけではなくて、本当に大切なものは公言しない、口には出さない、口に出せるものは本当に心から好きなものではない。まるで拾った木の実を埋めて隠すリスのように、ひっそりこっそりと
　ティアラメンツシェイレーンは毎週ラジオの生ワイド番組を集中して緊張しながら取り組んでいたが故に自分の近況トークでも話さないような秘密のプライベートタイムがあった。それは映画館のレイトショー。シェイレーンは未成年ではないので夜に映画館に行って映画を見ながらポップコーンを食べるのが好きだった。次の日の予定がなかったら23時過ぎに映画を見たりする。これはメイルゥにもハゥフニスにも内緒だ
　ポップコーンといったらやっぱりバターしょうゆよね。しおもキャラメルもいいけど本命はこれ最強ね
　深夜の背徳のポップコーン。これをなんとしても？　秘密にしたかった。だから映画館から帰ってきてからしっかり歯を磨いて風呂に入って匂い消しを徹底する。自分が映画館にいたという痕跡を残さない。スマホを見れば一発でわかるのだが。
　シェイレーンは週刊文秋、センテンスオータムにスクープされるほど有名人でもなかったがこっそりと。ハゥフニスの焼きそば好きには少し憧れていたが同時に少し馬鹿にしていた。好きなものを口に出し、周りにいいふらせるのも、いつも焼きそばばかり食べてるのも良いなと思ったが、本当に大切なものは好きだからこそ言えないよ、郷ひろみの曲でも流すところ。シェイレーンは秘密にしていたかった。しかし、遂にそれがバレる時が来てしまうとすると激震。
　それは休日のある日、シェイレーン、メイルゥ、ハゥフニスの三人はルルカロスの家に集まってカードを触っていた
　にしてもカードを集めるのが下手ね。手札誘発を後回しにして色んなテーマのカードにあれもこれもと手を出しちゃって結果的に満足のいくデッキを組めてないわね
　何かひとつのことを続けるのが大事、ショーマストゴーオンなんていっても、仕事はさておき趣味には計画性がなかった
　メルゥ。メイルゥはこれからピュアリィを集めるメルゥ。とってもかわいくて育成も楽しそうメルゥ
　(いいな、メイルゥはちゃんと言えて)
　と、シェイレーンは思った。ハゥフニスは
　ひとつのことを続けて極めるハゥフ。私はハイパーヨーヨーを続けるハゥフ
　(いや、デュエルしなさいよ。今続けてるのハイパーヨーヨーなの？　)
　と、シェイレーンは思った。すると、メイルゥとハゥフニスの二人がシェイレーンの方を向いて、メイルゥがつぶやく
　シェイレーンは次、どのカードを集めるメルゥ？
　えっと、そうね。プランキッズかな。それとみかんこ
　と言ったシェイレーンだったが
　(言えるってことは、これは本当に心から集めたいカードではないということかしら？　)
と、自問自答していたところ、メイルゥが
　オリカ、ピュアリィシークレットメモリーメルゥ。主の目を盗んで盗み食いするピュアリィの記憶メルゥ。そして進化体はエピュアリィシークレットメルゥ
　ありそうなオリカだ。ハゥフニスが突然、語り出す。
　昔、私も焼きそばを盗み食いしていた。やはり人前で好きだと言うには勇気がいる。他人に、これ秘密なんだけどね、と勝手に知り合いの秘密をしゃべるようなやつとは友達にならない方がよいし、それでもチクる時は何か考えがあってのことでないと困る
　ズーズリュ、ズズズ、ズルズルズーズ
　焼きそばをすするハゥフニス。メイルゥはシェイレーンに話しかける
　ティアラメンツ調査団の力をもってすれば、きっとシェイレーンの秘密のスクープもたやすいメルゥ
　それは地味に困るわね
　シェイレーンは五人の法則って知ってるメルゥ？
　いいえ
　まあ自分と一緒に過ごす人は良い人が良い。ショーヘイオータニや大企業の社長と一緒に仕事できたらシェイレーンもビッグで凄いやつになれるみたいな話メルゥ。自分は他の人とは違うんだと思っていてもだいたいこのサイトをみてる人とはそんなに変わらないはずだという話になるメルゥ
　ま、法則なんて信じてもね、政治の話なんかじゃ自分たちはどこどこと渡り合える、張り合えるから凄いみたいな感じで実力がよくわからないわね。あー、なんかガッカリな一週間だったわ。はー

続く

自分とほぼ同時期にこのサイトでSS始めた人も週一で更新しなくなってしまって、古参の人しか残ってないのがちょっと寂しい。で、話の方も別に秘密はバレない