FILE：019　光の翼　作：ハコネの達人

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現在の状況

○ベイル
LP：9000
手札：0枚
フィールド
　パンキービースト・ワーヘル
　伏せカードなし
墓地
　パンキービースト・アグレス
　パンキービースト・ギロエル
　RUM-パンクビーストフォース
　パンキービースト・バルネフ
　パンキービースト・アビス
　パンキービースト・クローグ
　パンキービースト・ペフトル
　RUM-ビースト・イノベーション
○ユウラ
LP：2900
手札：0枚
フィールド
　伏せカード1枚
墓地
　Crate　シンリア
　Crate　ユナ
　Crateコール
　Crate　メーニャ
　Crate　ラーガ
　Crateアライブ
　Crate　デヴィル
　Crate　アルニーガ
　メカニカル・アライバル
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パンキービースト・ワーヘル
光・格6・攻3100／守2200
獣族／エクシーズ／効果

ユウラ「あれがベイルの…新しい切り札…！」

ベイル「バトルだ！『ワーヘル』でプレイヤーにダイレクトアタック！この瞬間ワーヘルの効果により100のダメージを相手に与えるぜ」

ユウラ「く…！」

ユウラ
LP：2900→2800

ベイル「いけ、『ワーヘル』！」

ユウラ「くっ、リバースカード『明日へ繋ぐ架け橋』を発動！2000ポイントのライフを払うことでこのターンの戦闘ダメージを無効にし、デッキから2枚ドローする！」

明日へ繋ぐ架け橋
通常罠
「明日へ繋ぐ架け橋」を自分はデュエル中に1度しか発動できない。①:2000ポイントのライフを払って発動できる。このターンの戦闘ダメージを無効にし、自分はデッキから2枚ドローする。

ユウラ
LP：2800→800

ベイル「耐えたか…ならばメインフェイズ2、俺様は『ワーヘル』でオーバーレイ！」

ユウラ「バトルフェイズ後に呼ぶエクシーズ…まさか！」

ベイル「刻は満ちた！その最大、最後の究極的一撃を以て、世に蔓延る災禍を撃滅せよ！！」

　雷そのものとなった狼は、光となって眼前に現れた星の渦へと飛び込む。

ベイル「エクシーズ召喚！現れよ『天霆號アーゼウス』！！！」

　渦より現れたのは、ユウラたちの10倍をゆうに超える巨体を持つ人型の兵器だった。神に等しい威厳を放つその機械は、挑戦者たるユウラを見下ろす。

天霆號アーゼウス
光・格12・守3000
機械族／エクシーズ／効果

ユウラ（エクシーズ素材を2つ取り除くことで自身以外のフィールドのカード全てを墓地に送るカード…！これではまともな展開ができない）

ベイル「こいつの効果でテメェの展開を妨害すれば、あとはこいつで殴るだけだ。大人しく降参したらどうだ？」

ユウラ「…そいつはどうかな」

　痛み始めた右腕を押さえながら、ユウラは呻く。

ベイル「はっ、負け惜しみはよせよ。テメェのデッキはフィールドにモンスターを展開するのが強みだ。フィールドを実質押さえたこの状況で、テメェに勝ち目はねぇ…」

　ベイルは乾いた声で笑っていたが、すぐにその笑みが消える。

ベイル「なのに…なんでテメェの目はまだ生きている…？」

ユウラ「簡単さ。俺はデッキを信じているからな」

　ユウラは倒れそうな体をなんとか起こして、左手の手札を確認する。

ユウラ（あと1枚『あのカード』が来れば…！）

　彼がデッキに手をかけると、突如右手が輝き出す。

ユウラ（この力…『王の記憶』にあった『シャイニング・ドロー』ならば…！）

ユウラ「俺のターン、ドロー！！！」

　ユウラの引いたカードが、半楕円の軌跡を描く。彼は引いたカードをチラリと見ると、満足そうに笑った。

ユウラ「ベイル、このターンで決着をつけてやる！」

ベイル「な…」

ユウラ「俺は手札から魔法カード『シンクロス』を発動！」

ベイル「『シンクロス』…？」

シンクロス
通常魔法

ユウラ「このカードにより、自分のライフポイントが1000以下で相手の場のみにカードが存在する場合、EXデッキのSモンスター1体を召喚条件を無視し、効果を無効にして特殊召喚できる！」

ベイル「何ッ！？」

ユウラ「俺が選ぶのは『アスタロト・S・ライザー』！」

アスタロト『グオオオオォォォォ！！！！』

　主の危機に駆けつけた孤高の機士が、王の僕たりうる威圧を持って咆哮を放つ。ビリビリとした空気がベイルの体を通り過ぎていった。

アスタロト・S・ライザー
地・星8・攻2500

ベイル（あれが話に聞いていた奴の『王符』…！これほどの力があるとは…だがッ）

ベイル「だがそいつも『アーゼウス』で吹き飛ばしちまえば…！」

ユウラ「焦るなよ。それにまだ『シンクロス』の効果処理は終わっていない。そしてEXデッキにX召喚可能なモンスターが存在する場合、X召喚を行うことができる！」

ベイル「なんだと！？」

ユウラ「俺はフィールドの『アスタロト・S・ライザー』でオーバーレイ！」

　今までベイルの前にしか現れなかった星の渦。それが今、ユウラの目の前に広がっている。そこに『アスタロト・S・ライザー』が流星となって渦に吸い込まれ、やがて大きな爆風を引き起こした。

ユウラ「孤独なる機士よ！今大いなる翼を得て、不浄の大地を焼き払え！！
エクシーズ召喚！天翔せよ『アスタロト・ライトニング』！！！」

アスタロト・ライトニング
光・格10・攻2500
天使族／エクシーズ／効果

ベイル「くっ…ならば『アーゼウス』の効果発動！このカード以外の場のカードを全て墓地に送る！！！」

ユウラ「残念。手札の『Crate　ラストエ』の効果発動。自分フィールドの『Crate』もしくは『アスタロト』モンスターがフィールドから離れる場合、代わりに手札のこのカードを墓地に送る」

ベイル「何…ッ」

ユウラ「これで『アーゼウス』の効果は空撃ち。除去効果はもう使えなくなった」

ベイル「フン、だが守備力はまだ『アーゼウス』の方が上だ！」

ユウラ「ならば俺は『アスタロト・ライトニング』のモンスター効果発動！このカードのオーバーレイユニットを1つ使い、墓地のSモンスター全ての攻撃力と守備力の合計分、このカードの攻撃力を上げる」

「アスタロト・ライトニング」の効果
①:このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。ターン終了時までこのカードの攻撃力は自分の墓地の全てのSモンスターの攻撃力と守備力の合計分アップする。

ベイル（奴の墓地にあるのは『アルニーガ』と『メーニャ』……俺の記憶が正しければその合計値は6300…！となると、奴のモンスターの攻撃力は8800か）

　その暗算を終えたベイルはニコリと口角を上げた。

ベイル（『アーゼウス』はそもそも守備表示にしてある…仮に守備貫通効果が飛んできても、その時のダメージは5800。その場合、総ダメージ量は5300。俺のライフ9000は削りきれねぇ！）

　彼は徐にデッキの方へ目を向ける。

ベイル（『デッキを信じる』だと…そんぐらい俺様だってできるさ！！次のドローで起死回生の1枚を引いてやる…！！）

ユウラ「まだ次のターンが回ってくると思っているようだな」

　その声でベイルはハッと我に帰り、その言葉に対して眉を顰めてみせた。

ユウラ「何度でも言う。次のお前のターンはない！」

ベイル「！！」

ユウラ「『アスタロト・ライトニング』の効果により、このカードの攻撃力は13300に上昇する！」

アスタロト・ライトニング
2500→13300

ベイル「何ッ…！？墓地のシンクロモンスターは『アルニーガ』と『メーニャ』の2体で、その数値の合計は6300になる筈…！」

ユウラ「…」

ベイル「一体何故…ハッ！」

ユウラ「気付いたようだな。そう、『ライトニング』の効果の発動条件で取り除いたX素材は『アスタロト・S・ライザー』。このモンスターももちろんSモンスターだ。取り除かれたX素材は効果処理の時にはすでに『墓地に存在する』状態になるからな。『アスタロト・S・ライザー』の数値も加算されるってわけさ。
そして速攻魔法『レクイエム・サーガ』を発動」

レクイエム・サーガ
速攻魔法

ユウラ「この効果により『アスタロト・ライトニング』は守備貫通効果を得る！」

ベイル（ああ、また俺は…奴に勝てないのか…）

　ベイルの腕がだらんと垂れ下がる。

ユウラ「バトルだ！『アスタロト・ライトニング』で『天霆號アーゼウス』に攻撃！
『ジャッジメント・レイ』！！！」

　『アスタロト・ライトニング』が天にその両手を掲げると、太陽の如き輝きを放つ巨大な光球を生み出す。その光の塊は、巨体を誇る『天霆號アーゼウス』すら飲み込むほどの大きさだった。

ベイル（この光景…あの時と似ている…）

　あたり一体が光に包まれる。その瞬間、『アーゼウス』は霧散し、ベイルの姿も見えなくなる。

ベイル（ああ、俺は…俺は…）

　ベイルの意識は、闇へと落ちていった。

ベイル
LP：9000→0

YURA IS VICTORY！



　光が収まると、ベイルはその場に倒れ込んで気絶していた。ユウラはそれを確認すると、何も言わずにその場を離れた。

ユウラ（今までで一番肝が冷えたデュエルだったな…もし『シンクロス』を引けてなかったら終わりだった）

　近くに停めておいた相棒『ホワイト・メタル』に跨り、エンジンを吹かすと、そのまま『ストリート』から立ち去っていった。

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4日目終了
ユウラ：169ポイント
エナ：164ポイント
ルーエ：167ポイント
レン：124ポイント
ミナ：128ポイント

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レッド「ベイルがまた失敗しただぁ？」

　とある建物の一室。組織の幹部たるレッドはデスクワークに勤しんでいたが、伝令役の話を聞いてそう言った。

黒装束の男「そのようですね。かなり追い詰めたようですが、あと一歩届かなかったようです」

レッド「まー最初に仕事失敗しちゃって印象悪くなったからなぁ。で、どうすんのあいつ。クビ？」

黒装束の男「まさか。我々の方で『有効活用』しますよ」

レッド「そうかい」

　そういうと黒装束の男はレッドに一礼して部屋を出ていった。レッドはしばらく難しい顔をしていたが、やがて1人ごちる。

レッド「『王』の力…やはり目覚めたか」

　「王」の力。その言葉が意味するものは、未だ彼しか知らない。