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旅立ちの決意 作:ゲトゥ

僕は急いで師匠の住処まで来た。師匠は熟練の召喚魔術の使い手で、魔法陣からの召喚を得意としている。慌てて妹が攫われた事情を説明すると、師匠は腕を組んで思案し始めた。

「ふむ、ライズベル。まさか君の妹が攫われてしまうとは…。だが、これで少し見えてきたな」

「何か分かったんですか!?セームベルは一体どこに…」

師匠は近くに置いてあった手紙の上に手を置いた。

「実は召喚士である私の友人も攫われている。セームベルもまだまだ未熟とはいえ召喚士だ。どうやら狙いは召喚士らしい。ライズベル、まだ情報が足りない。攫った相手の特徴を何か覚えてないか?」

僕は必死に思い返した。

「赤い大きな手…それと…指輪を付けていました!」

師匠は指輪と聴いて、はっと何かに気がついたようだ。

「その特徴に心当たりがある。古の魔人で、かつて召喚士に使役されていたが、当時の召喚士は強大な力を制御しきれなかった為、次元の彼方に封じたという文献を見たことがある」

「ま、魔人…何でそんな奴がセームベルを…」

「召喚士の中には次元を開くことで召喚し、使役することを得意とする者もいる。おそらく魔人の狙いは召喚士に次元を開かせ、封印から抜け出すこと。自力では腕を通す位の次元しか開けないのだろう」

相手は古の魔人、封じなければならない程の力、閉ざされた次元。
だが、そんなことは関係なかった。

師匠はハァと息を吐きだし、やれやれといった表情で、

「…セームベル、賢い君のことだから、今の話だけでとても解決方法とは呼べないものが思い浮かんだのだろうが…」

「止めないで下さい。僕が次元を開き、魔人の所に乗り込んでセームベルを助けます!」

「残念ながら私は次元を開くことはできないし、逆に次元を開く素質があるのは君の方だとは分かってはいるのだがね。魔人すら封じる次元を開くのは、今の君では無理だ」

もう僕は歩きだしていた。

「覚悟はできています。次元を開く力を手に入れること、強大な魔人と戦うこと」

この先の苦難の道を。
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