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第1話 始まりの咆哮 作:いちごT
デュエルモンスターズ。
I2社の社長、ペガサス・J・クロフォードの手で生み出されたカードゲームである。モンスターを召喚、魔法を駆使しながら互いのライフポイントを削りあうそれを人々はデュエルと呼び、そのプレイヤーをデュエリストと呼んだ。かつてこのデュエルモンスターズを巡り超古代からの因縁渦巻く死闘が幾度も繰り広げられたが、初代デュエリストキングをはじめ偉大なるデュエリスト達の手でそれも終結に至る。
それから20年余りが経った現在では全世界を代表するエンターテイメントとして人々に認知されていた。プロのデュエリストは時代のヒーロー、観客は押し寄せ子供達の憧れる存在である。かつての争いの直後、そのプロを要請するための学校、デュエルアカデミアが偉大なるデュエリストの一人である海馬瀬人によって創設され、年間多くの入学希望者が殺到している。そして今年も入学式の日を迎えるのであった。
早朝、澄んだ空気の中で動き始めたばかりの町。靴に足をつっこみ、つま先でトントンと整える。肩にかからないくらいの茶色ががった髪を揺らし、150cmほどの小さな体で大きな荷物を背負ってドアを開ける。
母「大丈夫?本当に忘れ物はないの?」
少女「大丈夫だって。ママは心配性すぎるよ〜」
母「あなたねえ…今まで何度忘れ物して泣きついてきたと思ってるの?」
少女「うちももう今年で16だよ?今日はほんとに平気だから心配しないでよ。」
母「ならいいけれど……。それにしてもあなたももう16でそれもデュエルアカデミアに入学するとはねぇ・・・パパもきっと喜んでるわ。」
今日、その少女はデュエルアカデミアの新入生として家を旅立つ。遠く離れた孤島にあるため全寮制なのだ。
少女「パパなんてもう何年も帰ってきてないじゃん。どうでもいいって……あ、それよりもう行かなきゃ。」
母「あらそう、じゃあ……気をつけて行ってらっしゃい。」
少女「うん!行ってきます!」
少女は我が家を背にして走り出す。
母「夏休みには帰ってくるのよ〜!」
母「ふぅ、ついに娘がプロデュエリストとしての第一歩………か。あなたも応援してやってね。」
走りながら手を振る我が子を見送った母親は遠く空を見上げる。
タッタッタッ………タッ……タッ…
少女は軽快に動く足を止め下を向く。ため息をついてとぼとぼと歩き出すが、その足取りは重い。
少女「はぁ………」
少女(ママにはああ言ったけどやっぱり不安だなあ………デュエルは好きだけど自信があるわけじゃないし、人付き合いも苦手な方だし怖い人がいたらやだな。それに…)
少女は振る舞いこそ明るいけれど自分に自信を持てない、どこにでもいる弱気な女の子だった。これから待ち受ける出来事を考えて不安を感じながら歩き続け、人通りの少ない道に差し掛かった時。
ドッ!
「わっ!あっ、すみません!」
周りが見えていなかった少女は通行人にぶつかってしまったようだ。不注意を反省して慌てて頭を下げるがその目の前には眉間にしわをよせ睨みつけてくる1人の男が立っていた。
不良「………痛えじゃねえか。どこ見て歩いてんだコラ!」
少女「あ、あ………すみません。あの………ぼーっとしてて……その本当にすみ…ません。」
少女が見上げるほど大柄な金髪で見るからに不良といった風貌の男に気圧され、気の弱い少女は後ずさる。逃げ出したいのをこらえて謝るが恐怖でろれつが回らない。助けを求めようにもこれでは声が出ない。抵抗する間も無く路地裏に引っ張られてしまう。
不良「お嬢ちゃん、悪いことしたらちゃんと誠意見せるべきだよなぁ?こっちきてお話ししようぜ!」
少女「ちょっ!?」
不良「どう落とし前つけてもらおうかなぁ。サイフはカバンか?つかでっけえ荷物だな・・・」
少女「やめ……お願い…」
不良「ん?デュエルディスク入ってるじゃねーか。お前デュエリストか?」
男は彼女を抑えつけながらカバンを取り上げて中を漁る。そしてデュエリストの命とも呼べるデュエルディスクを目にするとそれを手に取った。その瞬間それまで泣いて怯えていただけの少女に恐怖とは別の感情が湧き上がり目を見開く。
不良「いいねえ! デッキから使えるカードだけ抜いて残りは売って…」「…して………」
不良「……は?」
少女「………それだけは……返してください!」
先程までの恐怖を感じさせない剣幕で彼女は叫び暴れる。男は一瞬たじろぐがすぐに捉えていた少女を突き飛ばす。
少女「きゃっ!?」
不良「るっせーな!金取らねーだけマシだろ?それにカードも俺みたいな強えデュエリストに使ってもらう方がいーんだよ!じゃあな!ヒャッハッハッハッハッハ!!」
男は路上に転がる少女を尻目に高笑いしながら去ろうとする。少女は幼き頃父からこのデッキを受け取った時のことを思い出しふらふらと立ち上がる。
少女「返して!それはパパからもらった大切な……」「待てよ!」
男につめ寄ろうとする少女の背後で突然声がした。少女と男が視線を向けるとそこには男の背中を睨みつけている黒髪の少年の姿があった。男は舌打ちをすると気だるげに踵を返し、少年も彼女の傍をつかつかとすり抜けて互いに向かっていく。突然の乱入者に少女は困惑する。
少女「あ、あの……あなた…」
不良「あぁ?なんか用かガキ。」
少年「それこの子のだろ?返せよ。」
不良「………怪我したくねーならさっさと失せろ。」
少年「それはデュエリストの魂だ!お前もデュエリストなら分かるだろ! それを返せ!」
不良「デュエリストの魂? くだらねえ……そうだな、もし俺にデュエルで勝てたら返してやってもいいぜ?」
少年「………本当だな?」
不良「ああ、その代わりテメーが負けたらレアカードを寄越しな!」
少年「良いぜ! レアカードなんてケチなことは言わない、ディスクごとくれてやる。 デュエリストの魂にかけてお前を倒す!!」
不良「ハッ!今時珍しいバカだな。あとで泣き言言っても聞いてやんねーぞ?」
二人が顔を突き合わせる。少女はしばらく状況が飲み込めなかったが、自分のために危険な目に遭う前に急いで少年を止めに入る。
少女「ま、待って! うちのことはいいですから早く逃げて…」
少年「いいから任せとけって。すぐ取り返してやるからさ!」
不良「あんまナメてんじゃねーぞ。俺はプロ試験の実技の最終選考まで行ったことだってあんだぜ!」
少年「それ受かってないってことだろ?それにそういうセリフを吐く奴に限って速攻負けるんだぜ!」
不良「ほざけ!!」
少女の気遣いも意に介さず少年はデュエルディスクを起動、対峙する男もすかさず起動する。デュエルディスクは海馬コーポレーションが開発したデュエリストの必須アイテムである。デッキをセットし、カードを置く場を作ることができる。腕につけるためどこでも決闘を行える優れものだ。先人は言った。カードが剣ならデュエルディスクは盾だと。つまりデュエルとは己の剣を交える神聖な儀式なのである。起動を終えた2人はディスクを構えながら高らかに叫ぶ。
少年 VS 不良
デュエル!!!
少年 LP4000
不良 LP4000
少年「俺が先攻を貰う!先攻1ターン目はドローができない、俺は手札から『機動獣-ライガー』を攻撃表示で召喚!」
・機動獣-ライガー ☆4 攻1800 守800
場には機械で出来た真っ白な獅子のモンスターが現れ、唸り声をあげる。デュエルディスクに内蔵された立体映像投影機能によるソリッドビジョンだ。
少年「俺はカードを1枚伏せ、ターン終了。」
不良「俺のターン! ドロー! 攻撃力1800か……なかなか高えがこいつの前では無力だ。俺は『ゴブリン突撃部隊』を攻撃表示で召喚! 」
・ゴブリン突撃部隊 ☆4 攻2300守0
不良「バトルだ!『突撃部隊』で攻撃!」
少年「リバースカードオープン!『エネルギーシールド』!!相手ターンにこのカードを発動した時、自分の機動獣1体は戦闘で破壊されず俺の受けるダメージは半減する!」
ライガーの体を半透明のシールドが覆い鬼の集団の攻撃を和らげる。
少年 LP4000→LP3750
不良「くっ、ゴブリン突撃部隊は攻撃後守備表示になる。カードを1枚伏せてターンエンドだ。」
●少年 LP3750 手札3
モンスター1 「機動獣-ライガー」
魔法、罠 0
●不良 LP4000 手札4
モンスター1 「ゴブリン突撃部隊」
魔法、罠 1
少年「俺のターン!ドロー!手札から『機動獣-ウルフ』召喚!」
・機動獣-ウルフ ☆4 攻1500守1200
ライガーの隣に黒くライフルを背負う機械の狼が召喚される。
少年「バトル!『ウルフ』で『ゴブリン突撃部隊』に攻撃!」
ウルフの砲撃で立膝をついていたゴブリン達が一掃される。
少年「さらに『ライガー』でダイレクトアタック!!『ストライクレーザークロー!!』」
続けて熱を帯び、光を発する鉄の爪が男に向かって振り下ろされる。
不良「ぐぅぅぅぅ!!」
不良LP4000→LP2200
少年「バトルフェイズを終了し俺は永続魔法『補給部隊』を発動してターンエンド。あんた、本当に最終選考いったのか?」
不良「けっ! いい気になんなよ! 俺のターン、ドロー! 俺は『ゴブリン治療部隊』召喚!」
・ゴブリン治療部隊 ☆1 攻500守0
不良「このモンスターは墓地のゴブリンに治療をして蘇らせる。『ゴブリン突撃部隊』復活!その後『治療部隊』は守備表示になる。」
不良「さらに『ゴブリン治療部隊』をリリースして『ゴブリン将軍』を特殊召喚!」
・ゴブリン将軍 ☆8 攻2800守0
場にはものものしい鎧兜をまとった大鬼が現れる。
少女「攻撃力2800!?」
不良「こいつは場のゴブリン1体をリリースすることで特殊召喚できるモンスターだ。」
不良「さらに伏せていた永続罠『追い剥ぎゴブリン』発動! 戦闘ダメージを与えるごとにテメーの手札を1枚ランダムに捨てる。」
少年「………なるほど。最終選考ってのも案外嘘じゃないみたいだな。」
不良「今さら後悔したって遅いぜ! バトル! 『突撃部隊』でウルフに攻撃!」
振り回される無数の棍棒の直撃を受け、ウルフは耐えきれず倒れてしまう。そして突撃部隊は守りの態勢をとる。
少年「………ッ!!」
少年 LP3750→LP2950
不良「『追い剥ぎゴブリン』の効果、1番左のカードを捨てろ!」
少年は命じられた通り1番左のカードを墓地に置く。
少年「……だが『補給部隊』の効果、ウルフが破壊されたことによりデッキから1枚ドローする!」
不良「ふん、だからどうした! もう1体も破壊だ! 行け『ゴブリン将軍』!!」
少年「ぐああ!!」
少年 LP2950→LP1950
ライガーが巨大な斧で叩き伏せられ爆散、少年は爆風に耐えきれず顔を歪める。
少女「そんな……一気にモンスターが全滅…」
不良「さらに捨ててもらうぜ、真ん中のカードだ。」
少年「く……」
不良「これで俺のターンは終了だ。テメーのフィールドはガラ空き、さらに攻撃表示の『ゴブリン将軍』がいる限り守備力0の守備表示モンスターは戦闘破壊されない! こりゃもう勝ち確だな! ヒャッハッハ!」
少年「……そいつは分からないぜ?俺はまだ負けてない。手札の数だけ可能性はある!」
不良「ハッ! 威勢だけは立派だなぁ。せいぜい足搔けや!」
少年「望み通り、そうさせてもらうぜ!」
少女が見守る中デュエルは進行する。しかし見守っているのは少女だけではなかった。奥の通りに止まる黒い一台の車、その中の二つの人影があった。
ー表通りー
???「このままではあの男の子、負けてしまいますねぇ。」
???「そうですなぁ。かたやモンスター2体、かたや0ではなかなか厳しいかと……ってお嬢様! このままでは出航に間に合いませんぞ! 今日は大切なデュエルアカデミアの入学式ではありませんか!早く通報だけして車を出しましょうぞ!」
黒髪の少女「慌てなくてもまだ平気ですよ爺や。男の子が女の子を助けるため…なんて素敵なデュエルを最後まで見られなかったら私でも怒りますよ。通報せずともデュエルが終わったらうちのものに捕らえさせておけばよろしいでしょ。」
車内には長い黒髪の少女と髭を蓄えた細身の老人が双眼鏡でデュエルを観察していた。どうやら少女と男のトラブルから見ていたらしい。
爺や「そう仰られましても!……分かりました。はあ…お嬢様にも困ったものです………」
黒髪の少女「ありがとうございます。爺や。」
黒髪の少女(女の子のために戦う男の子………ふふっ!)
ー路地裏ー
少年 LP1950 手札2
モンスター 0
魔法、罠 0
不良 LP2200 手札2
モンスター 2 『ゴブリン将軍』『ゴブリン突撃部隊』
魔法、罠 1 『追い剥ぎゴブリン』
少年「俺のターン! ドロー! 俺はモンスターをセット。カードを1枚伏せてターン終了。 」
不良「俺のターン、ドロー!………そうだよなァ!? それくらいしか出来ねーよなァ!? この状況じゃあよ! どうせその伏せカードが最後の希望なんだろ?それも消し去ってやる。」
不良「魔法カード『サイクロン』発動! テメーの伏せカードを破壊する!!」
少年の場に伏せられたカードが突風に巻き込まれ、破壊される。
少年「くっ!」
不良「『攻撃の無力化』……攻撃を無効にしてバトルフェイズを終わらせるカードか。これで最後の希望も無くなった訳だ! 」
不良「『ゴブリン将軍』効果発動!ライフを800払うことで条件を無視して『突撃部隊』を攻撃表示に変更!バトルフェイズ。『将軍』でモンスターに攻撃!」
不良 LP2200→LP1400
攻撃対象のカードからは丸い装甲で覆われた機械の虫が出現、それに向かって斧が振り下ろされる。しかしガキンと鈍い音はするも破壊には至らない。
不良「何!? 」
少年「『機動獣-バグキャリー』は1ターンに1度戦闘で破壊されない。この分厚い装甲は一撃じゃ壊せないぜ?」
・機動獣-バグキャリー ☆4 攻0守2000
不良「けっ! 小賢しいモンスターだ。だが守備力は2000、『突撃部隊』で追撃する!」
流石の装甲を持つバグキャリーも2度目の攻撃を受け沈黙、消滅する。
少年「『バグキャリー』の効果発動! 戦闘で破壊された時、デッキから機動獣1体を手札に加える。俺はデッキから『機動獣-O(オーガノイド)・ジーク』を手札に加える!」
少年「さらに『補給部隊』効果で1枚ドロー。」
不良「ちまちまドローしながら逃げやがって往生際の悪いガキだ。『突撃部隊』守備表示、ターンエンドだ。次のターンでいい加減終わりにしてやるぜ!」
状況は絶望的、耐えきれなくなった少女は目に涙を溜めながらたどたどしく口を開く。
少女「もう…いいです………逃げてください。うちなんかのために………デッキとられちゃう…」
少年「………信じなよ。」
少女「え?」
少年「言ったろ?手札の数だけ可能性はある。それにライフがゼロになるまで戦い抜くのがデュエリストってもんさ! あんたもデュエリストなら俺を信じろよ。」
少年から伝わる不屈の闘志は不思議と少女の不安を和らげる。少女もまたデュエリスト、涙を拭い胸に手を当てゆっくり頷く。
不良「カッコいいねぇ。でも現実は甘くないもんだぜ?」
少年 LP1950 手札3
モンスター 0
魔法、罠 0
不良 LP1400 手札2
モンスター 2 『ゴブリン将軍』『ゴブリン突撃部隊』
魔法、罠 1 『追い剥ぎゴブリン』
少年「そうだ、現実は甘くない。このまま押し切れると思ってたらそれこそ甘い考えだぜ!!」
不良「負け惜しみを…」
少年「負け惜しみかどうか試してみろよ! 俺のターン、ドロー! 」
少年「………俺は手札から『機動獣-O・ジーク』を召喚!」
・機動獣-O・ジーク ☆3 攻500守500
場に小型の肉食恐竜のような機動獣があらわれる。
少年「さらに魔法カード、『アイアンコール』! 場に機械族モンスターがいる時、墓地から4つ星以下の機械族モンスターを呼び出す! 来い! 『ライガー』」
不良「ふん、低級を揃えたところで何が出来る!」
少年「『ジーク』はライフを1000払い、場の機動獣1体を選んで『ジーク』とともに墓地に送ることで選んだ機動獣を素材に持つ融合モンスターを特殊召喚できる。」
少女「融合を使わずに融合モンスターを呼ぶモンスター!?」
少年「ライフを1000払って『ジーク』の効果発動! 『オーガノイド・エヴォリューション!!』 」
少年 LP1950→LP950
少年「来い! マイフェイバリットモンスター『機動獣-ライジング・ライガー』」
・機動獣-ライジング・ライガー ☆7 攻2500守2000
少年が高らかに叫び『ジーク』は光球と化し空高く飛び上がる。そして『ライガー』に向かって急降下、衝突し眩い光を放つ。その中から青く、胴体の両側面にブレードを装備した鋼の獅子が姿を見せる。
少年「『ジーク』の効果で特殊召喚された融合モンスターはターン終了時にエクストラデッキに戻る。」
不良「まさか上級モンスターを呼んでくるとはな………だが攻撃力2500じゃ『ゴブリン将軍』には届かねえ!」
少年「そいつはどうかな!俺は手札よりフィールド魔法『zi-コロシアム』発動! 」
地面から白い鉄の壁が次々とせり上がり、場は円形に覆われた闘技場へと変化する。
少年「zi-コロシアムの効果により全ての機動獣の攻撃力は300アップする!」
ライジング・ライガー 攻2500→2800
不良「ちっ! 攻撃力が並んだか! だが教えといてやるよ。『ゴブリン将軍』は破壊される時、他のゴブリンを代わりに破壊できる。相討ち狙いか知らねーが 残念だったなァ!?」
少年「すぐに分かるさ! 『ライジング・ライガー』で『ゴブリン将軍』に攻撃! 」
不良「ハッ! ヤケになったか!? 」
少年「いーや、ヤケになんかなってないぜ! この瞬間『ライジング・ライガー』の効果発動! 『ライジング・ライガー』の元々の攻撃力より攻撃力が高いモンスターとバトルする時、墓地の機動獣1体につき攻撃力が300アップする!!」
不良「何ッ!? ……だがテメーの墓地には確か………4体!それならギリギリ俺のライフは残る!次のターンにはそのモンスターはいねえ、結局俺の勝ちは揺るがねー!!」
少年「お前に次はない! 俺の墓地には『ライガー』『ジーク』『ウルフ』『バグキャリー』『プテラス』の5体!つまり攻撃力は1500アップ!」
・ライジング・ライガー 攻 2800→4300
少女「攻撃力……4300!?」
不良「馬鹿な!『プテラス』? そんなモンスターがいつ………ッ!?」
男は気づいてしまった。そして恐る恐る自分の場に目を向け、顔をひきつらせる。
少年「気づいたか? そう、お前の発動した『追い剥ぎゴブリン』によって墓地に行ったんだ! 」
不良「あ………あ……」
少年「いっけえ!!『レーザーブレードアターック!!!』」
不良「こんな………こんなガキに俺が負けるだとオオオォォォォ!!?」
二振りのブレードを前方に向け、ライガーは突進する。反撃せんと斧を振り回した大鬼はそれを砕かれ、体に深々とブレードを突き刺されて悲鳴をあげ爆散する。その煙の中でライガーは雄叫びをあげ、男はその場に崩れ落ちる。
不良 LP1400→LP0
少年「俺たちの勝ちだっ! やったなライガー!!!」
呼びかけに応えるようにライガーが一声吠える。
少女「凄い…(この人……あんな状況で本当に勝っちゃった…)」
ー表通りー
爺や「あそこから逆転するとは凄い少年ですなあ。」
黒髪の少女「ええ、入学式が始まる前からこんなデュエルを見られるなんて良い一日になりそうです。」
爺や「はは、お嬢様もやはりデュエリストですな。さて、警護の人間も手配したことですし車を出しますぞ?」
黒髪の少女「時間を取らせましたね。お願いいたします。」
黒髪の少女「(ふふ、きっとあの男の子とデュエル出来る日も近いですわね。)」
音を立ててゆっくりと走り出した車の中で景色を眺めながら黒髪の少女はくすりと笑う。
ー路地裏ー
少年「約束だ。あの子のデュエルディスクとデッキを返してもらうぜ。」
何が起きたのか分かってないかのように目を見開き黙って膝をつく男の側からデュエルディスクを拾い、少年は少女の方へ歩み寄る。
不良「……っざけんなクソガ…んぐっ!?」
突如として男は激昂し少年に襲いかかろうと地を蹴るが突如背後から黒服の男たちに腕を掴まれ、口を塞がれ路地裏から連れ去られていく。
少年「ん?あのヤンキーどこいった?……ま、いいか。ほらこれ! ちゃんと取り返せただろ?」
少女「あ、あの……本当になんでお礼を言ったらいいか………ありがとうございますっ!!」
少女は奪われたデュエルディスクを少年から受け取り、涙目で頭を下げ続ける。
少年「気にすんなって、真のデュエリストならこのくらい当然だぜ! 」
少女「でもあなたは一体…」
少年「俺は伴 遊飛 !! いずれデュエリストキングを超越するデュエリストになる男だぜ!」
少女「ばん…ゆうひさん……」
遊飛「そう………って、なあ!いま何時か分かるか?」
少女「え?えっと………6時50分ですけど。」
遊飛「げええ!? もうすぐ船が出ちゃうじゃん! 急がねーと!!」
伴 遊飛と名乗った少年は素っ頓狂な声をあげておろおろする。それを見た少女には一つの推測がついた。
少女「あの……船ってもしかしてデュエルアカデミアの…」
遊飛「え? おう!今日が入学式だからな!」
少女「えと、うちも……新入生です。」
遊飛「そうだったのか!? じゃあ早く行こうぜ! あんた名前は?」
少女「え?あっ、その……ちよって言います。」
遊飛「よし走るぞ!ちよ!」
ちよ「…………はいっ!!」
二人は荷物を手に、駆け出してゆく。
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Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
試合展開が分かりやすく、スッキリと決まったデュエルでした。
起動獣はなんだかゾイドっぽい感じですかね。 (2016-10-30 23:46)
コメントありがとうございます。分かりやすいと言っていただけてとても嬉しいです。
おっしゃる通り機動獣のモデルは完璧ゾイドです笑 (2016-10-31 07:08)
……それはそうと突撃部隊が自身の効果で守備になった場合次のターンでは表示形式を変更できなかったような…。(これも将軍の能力の可能性が微レ存) (2016-10-31 17:51)
児のみ→好み (2016-10-31 17:52)
コメント、ご指摘ありがとうございます。突撃部隊の効果を勘違いしておりました。
無理矢理感はありますが修正致したました。(ゴブリン将軍の効果詰め込みすぎ問題発生) (2016-10-31 19:13)