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遊戯VS海馬 超インフレ決闘 作:ぷらちな
※原作ネタバレがあるので未読の方はご注意ください。
見渡す限り果てなく続く宇宙の闇。星の瞬き。
無重力の世界に浮かびながら少年は違和感を覚えていた。
自分が目指すべき場所、向かうべき場所から逸れてしまった。そんな漠然とした違和感であった。
「そうだ……俺は……冥界への扉を……」
「遊戯」
「海馬……ここは……どこだ?」
「ここは海馬コーポレーションの総力を挙げて建造した戦いの舞台、ギャラクシーコロッセウム! 無数の銀河が瞬く最大にして究極のデュエルリングだ!」
半透明の足場が輝度を増し、重力を現す。二人は引き寄せられるようにデュエルフィールドに立っていた。
星々の軌跡がプレイマットのように枠を描き、決闘者それぞれの腕に結晶する。
「……!」
「遊戯! 貴様との決着をつけるのにこれほど相応しい舞台もあるまい!」
「海馬……!」
「互いのライフは5兆! ルールはギャラクシールールで行う!」
「ギャラクシールールだと!?」
「この広大な宇宙において、1000年など瞬きも同然。互いのデッキパワーが1000年後にずれ込む程度の事は些事に過ぎん」
「…………」
「どうした? 怖気づいたか? 遊戯」
星が瞬く中、時が止まった様に二人の視線が鋭く交錯する。不敵に口元を吊り上げたのは、遊戯と呼ばれた少年だった。
「フッ……いいぜ、相手してやる。何千年前だろうが何千年後だろうが、俺は俺のカードを信じて勝利をつかみ取るだけだ。海馬……お前の最高の戦術とカードでかかって来な」
「遊戯……! 貴様のしもべを悉く粉砕し、真の王者がこの俺である事を全宇宙に知らしめてやる……!」
「「デュエル!」」
星を纏ったカードの輪郭を束ね、先に動いたのは海馬だった。
「先行は貰ったぞ遊戯! 俺のターン!」
「来い!」
「……フフフフ……アーッハッハッハッハ!」
海馬の高笑いには聞き覚えがあった。勝利を確信し、昂ぶりが最高潮を迎えた時の笑いであった。
「海馬……何がおかしい」
「遊戯、貴様の負けだ! デッキより特殊召喚! 出でよ! あらゆる銀河、あらゆる龍を統べし我が最強のしもべ! ブルーアイズ! マキシマムドラゴン!」
「……!」
無数の首とその倍の青き瞳を束ねる白き龍に、百戦錬磨の遊戯も腕を構え身構える。だが彼の目には一点の恐怖もなく、宇宙を覆う白龍とその主を見据えていた。
「究極のブルーアイズに相対して身じろぎ一つしないとは……それでこそ我がライバル! だが遊戯、貴様に俺の戦術を打破する事はできまい! ブルーアイズの効果発動! 貴様のデッキと手札を全て、裏側表示で除外する!」
「――!」
手札誘発の発動を狙ったのだろうか、素早くカードを構える遊戯。しかし海馬は手で制す。
「無駄だ遊戯。ブルーアイズの効果に対して、貴様は効果を発動できない!」
「何!?」
「次元の彼方へと消え失せろ! マキシマムバーストストリーム!」
無数の龍頭の悉くが光の螺旋を放ち、全方位から遊戯のデュエルディスクへと収束していく。
閃光。そして爆発。遊戯のカードは塵となって揮発し、そしてまた閃光が奔る。
「更にブルーアイズの効果発動! 除外した相手のカード1枚につき、4500兆のダメージを与える! 貴様の負けだあああああああ! インフィニティバーストストリーム!」
「…………」
「ハーッハッハッハッハ! 圧倒的な力の前に塵一つ残さず消え果てるがいい!」
遊戯へと注ぐ無数の流星群。
しかしそれらは衝突直前で消滅し、遊戯へと届く事は無かった。
遊戯はまるで、巨大な何かによって守られているようであった。
「……甘いぜ、海馬」
「何!? 貴様……何故立っている!?」
「俺の手札を見て見な」
「……!! 馬鹿な!」
遊戯の手札が星座を描くように宙に舞い上がっていく。それぞれのカードに描かれた四肢と頭が激しく揺れ、稲妻のように鎖が弾けていく。
ブルーアイズを遥かに凌ぐ巨体が封印を破りどこまでも肥大し宇宙を覆っていく。
「バカな……! エクゾディアだと!? 奇跡を起こしたとでも言うのか!?」
「奇跡じゃないぜ。海馬。全て俺の読み通りだ。このカードを見てみな」
「エクゾディアピース……!? 『このカードは封印されし者の一部として扱い、デッキに何枚でも入れる事ができる』……だと!?」
「デュエルが始まった時からお前は負けていたって事さ。いくぜ、海馬! 原初の業火! エクゾードプロメテウス!」
「――グアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
デュエルフィールドを形成していた星々は輝きとなって発散し、デュエルは決着を見た。
闇と星の海に倒れ込む海馬に背を向け、遊戯は息を吐く。
「……海馬、俺の勝ちだ」
「遊……戯……!」
「いいデュエルだったぜ」
「…………ぐっ……。……認めよう。……遊戯、貴様こそが最強のデュエリストだ」
「そろそろ時間のようだぜ」
身体から光の粒子が零れ落とす遊戯へと、海馬は手を伸ばしていた。
「待て、遊戯……!」
「海馬……認めるぜ。お前は本物のデュエリストだ」
「俺は……」
「胸を張れよ。お前にも夢があるんだろ」
「夢などと言う生易しい言葉を使うな! 俺が目指すのは栄光の未来のみ! そして俺の未来は……貴様を倒して初めて切り拓かれる……! だが……! 貴様は……!」
「海馬、お前が本当に戦うべきなのはお前自身じゃないのか?」
「俺自身……だと?」
「城之内君も相棒も、俺も。自分自身と向き合って強くなって来た」
「…………」
「フッ。もちろんお前の未来に口出しする気はないぜ。俺は俺自身と向き合い、俺の行くべき道を行く。それだけだ」
「遊戯……! 待て……! 行くな遊戯! 貴様は……!」
「じゃあな……海馬」
少年は光の粒子となって闇へと消えて行った。
残された海馬は敗北の屈辱と喪失に一人打ち震える。しかしその瞳はまだ見ぬ未来を見据えるように、闇の彼方を静かに貫いていた。
見渡す限り果てなく続く宇宙の闇。星の瞬き。
無重力の世界に浮かびながら少年は違和感を覚えていた。
自分が目指すべき場所、向かうべき場所から逸れてしまった。そんな漠然とした違和感であった。
「そうだ……俺は……冥界への扉を……」
「遊戯」
「海馬……ここは……どこだ?」
「ここは海馬コーポレーションの総力を挙げて建造した戦いの舞台、ギャラクシーコロッセウム! 無数の銀河が瞬く最大にして究極のデュエルリングだ!」
半透明の足場が輝度を増し、重力を現す。二人は引き寄せられるようにデュエルフィールドに立っていた。
星々の軌跡がプレイマットのように枠を描き、決闘者それぞれの腕に結晶する。
「……!」
「遊戯! 貴様との決着をつけるのにこれほど相応しい舞台もあるまい!」
「海馬……!」
「互いのライフは5兆! ルールはギャラクシールールで行う!」
「ギャラクシールールだと!?」
「この広大な宇宙において、1000年など瞬きも同然。互いのデッキパワーが1000年後にずれ込む程度の事は些事に過ぎん」
「…………」
「どうした? 怖気づいたか? 遊戯」
星が瞬く中、時が止まった様に二人の視線が鋭く交錯する。不敵に口元を吊り上げたのは、遊戯と呼ばれた少年だった。
「フッ……いいぜ、相手してやる。何千年前だろうが何千年後だろうが、俺は俺のカードを信じて勝利をつかみ取るだけだ。海馬……お前の最高の戦術とカードでかかって来な」
「遊戯……! 貴様のしもべを悉く粉砕し、真の王者がこの俺である事を全宇宙に知らしめてやる……!」
「「デュエル!」」
星を纏ったカードの輪郭を束ね、先に動いたのは海馬だった。
「先行は貰ったぞ遊戯! 俺のターン!」
「来い!」
「……フフフフ……アーッハッハッハッハ!」
海馬の高笑いには聞き覚えがあった。勝利を確信し、昂ぶりが最高潮を迎えた時の笑いであった。
「海馬……何がおかしい」
「遊戯、貴様の負けだ! デッキより特殊召喚! 出でよ! あらゆる銀河、あらゆる龍を統べし我が最強のしもべ! ブルーアイズ! マキシマムドラゴン!」
「……!」
無数の首とその倍の青き瞳を束ねる白き龍に、百戦錬磨の遊戯も腕を構え身構える。だが彼の目には一点の恐怖もなく、宇宙を覆う白龍とその主を見据えていた。
「究極のブルーアイズに相対して身じろぎ一つしないとは……それでこそ我がライバル! だが遊戯、貴様に俺の戦術を打破する事はできまい! ブルーアイズの効果発動! 貴様のデッキと手札を全て、裏側表示で除外する!」
「――!」
手札誘発の発動を狙ったのだろうか、素早くカードを構える遊戯。しかし海馬は手で制す。
「無駄だ遊戯。ブルーアイズの効果に対して、貴様は効果を発動できない!」
「何!?」
「次元の彼方へと消え失せろ! マキシマムバーストストリーム!」
無数の龍頭の悉くが光の螺旋を放ち、全方位から遊戯のデュエルディスクへと収束していく。
閃光。そして爆発。遊戯のカードは塵となって揮発し、そしてまた閃光が奔る。
「更にブルーアイズの効果発動! 除外した相手のカード1枚につき、4500兆のダメージを与える! 貴様の負けだあああああああ! インフィニティバーストストリーム!」
「…………」
「ハーッハッハッハッハ! 圧倒的な力の前に塵一つ残さず消え果てるがいい!」
遊戯へと注ぐ無数の流星群。
しかしそれらは衝突直前で消滅し、遊戯へと届く事は無かった。
遊戯はまるで、巨大な何かによって守られているようであった。
「……甘いぜ、海馬」
「何!? 貴様……何故立っている!?」
「俺の手札を見て見な」
「……!! 馬鹿な!」
遊戯の手札が星座を描くように宙に舞い上がっていく。それぞれのカードに描かれた四肢と頭が激しく揺れ、稲妻のように鎖が弾けていく。
ブルーアイズを遥かに凌ぐ巨体が封印を破りどこまでも肥大し宇宙を覆っていく。
「バカな……! エクゾディアだと!? 奇跡を起こしたとでも言うのか!?」
「奇跡じゃないぜ。海馬。全て俺の読み通りだ。このカードを見てみな」
「エクゾディアピース……!? 『このカードは封印されし者の一部として扱い、デッキに何枚でも入れる事ができる』……だと!?」
「デュエルが始まった時からお前は負けていたって事さ。いくぜ、海馬! 原初の業火! エクゾードプロメテウス!」
「――グアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
デュエルフィールドを形成していた星々は輝きとなって発散し、デュエルは決着を見た。
闇と星の海に倒れ込む海馬に背を向け、遊戯は息を吐く。
「……海馬、俺の勝ちだ」
「遊……戯……!」
「いいデュエルだったぜ」
「…………ぐっ……。……認めよう。……遊戯、貴様こそが最強のデュエリストだ」
「そろそろ時間のようだぜ」
身体から光の粒子が零れ落とす遊戯へと、海馬は手を伸ばしていた。
「待て、遊戯……!」
「海馬……認めるぜ。お前は本物のデュエリストだ」
「俺は……」
「胸を張れよ。お前にも夢があるんだろ」
「夢などと言う生易しい言葉を使うな! 俺が目指すのは栄光の未来のみ! そして俺の未来は……貴様を倒して初めて切り拓かれる……! だが……! 貴様は……!」
「海馬、お前が本当に戦うべきなのはお前自身じゃないのか?」
「俺自身……だと?」
「城之内君も相棒も、俺も。自分自身と向き合って強くなって来た」
「…………」
「フッ。もちろんお前の未来に口出しする気はないぜ。俺は俺自身と向き合い、俺の行くべき道を行く。それだけだ」
「遊戯……! 待て……! 行くな遊戯! 貴様は……!」
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