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HOME > 遊戯王SS一覧 > TURN 2 人から怪物へ

TURN 2 人から怪物へ 作:コンドル

前回までのあらすじ
18歳の青年「八城 遊紅」は、朝目を覚ますと、体が白狼になっていた。
パニックになりそうな気持ちを抑え家を出ると、周りには人の代わりに、正体不明の青い二足歩行でモノアイのスライムが辺りを闊歩していた。
暫く後に遊紅は町の外から車がこちらへ近づいてくるのを察知し、車から降りてきたサングラスをかけている軍服姿の人間達を発見する。
その後、遊紅を見つけた男達の上司はデュエルディスクを展開する。ここまで常識外の理解不能の展開に苛立っていた遊紅はその男と「自分が勝ったらそちらの知っていることを全て教えること」を条件に、デュエルをすることになった。





八城遊紅の住む町は、この町から最も近い大都会の車で出て1時間半かかるような辺境にある。
町名は「若葉町」。
町民が1000を切っている極小規模で、さらに近年は若い世代が都会の方へ渡っていってしまい、町民の約半数以上が老人となっている場所だった。しかし、活気のないところでは無かった。
そこの住民達は老若男女問わず「デュエルモンスターズ」が大好きで、若者達は将来プロを志す者や、デュエルにより悪を取り締まる「セキュリティ」のような職業に就く者、デュエルモンスターズに関わる仕事を志す者が多かった。
また、住民の中には元プロデュエリストもおり、静かに余生を過ごそうとここに来た老人もいた。
兎にも角にもデュエルモンスターズを愛する者達が、この小さな町で陽気に平凡な毎日を過ごしていた。

いたのだ。確かに昨日までは。


(皆居なくなっちまったのか。何故だ。いや、こいつに勝てば教えてもらえるはずだ。とにかく、今はデュエルに集中すべきだよな)

遊紅は目の前の男同様にディスクを展開する。
「なっ」
展開した瞬間、遊紅の体から雪のような真っ白い粒子が体から放出し始め、辺りに霧散する。
遊紅が戸惑っているうちに、どんどん粒子は消えていく。
「戻った...」
全ての粒子が消滅した後、遊紅は銀狼ではなく、ただの人間へと戻っていた。
遊紅は背丈が175以上あるスマートな元の姿へと戻っていた。顔についている2つの鋭い琥珀色の瞳は戸惑いの色を隠しきれず、ただ猿が進化した狼ではない現在の姿で辺りを見回す。
周りの景色には何の変化も無かった。自分が求めた、何気ない日常を写すと淡い期待を寄せていた瞳は、無情にも、理解できない現実を写したのだった。

「・・・っ」
「そうか。自身がカードとなるからか...。タイプB、いや、今はただの少年だな。まぁいい。デュエルを始めるぞ」
遊紅は目を閉じて、震える体を抑えて見開いた。
「・・・ああ。始めるか」

デュエル!!

遊紅 LP4000
男 LP4000

「先攻は私が貰う。まずは手札から『切り込み隊長』を召喚」

切り込み隊長 LV3 地 戦士族
ATK1200 DEF400

①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。

白銀の鎧を身に纏った渋い顔の剣士が刀をむき出しにして現れる。

「切り込み隊長の効果発動。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。『切り込み隊長』を守備表示で特殊召喚」

場に並ぶ2人の切り込み隊長。
「切り込み隊長の効果でお前は自身以外の戦士族モンスターを攻撃出来なくなった。防御壁完成だ。そしてカードを2枚セットしてターンエンド」

フィールド
男 切り込み隊長×2 セット2
手札 1
遊紅 無し

「俺のターン、ドロー」
手札を確認し相手のフィールドを確認する。
切り込み隊長2体によるロック。最近ではあまり見かけなくなったが、攻撃を通さない点は確かに強力だ。が、穴はある。例えば「効果破壊」だ。「ブラック・ホール」や「サンダー・ボルト」と言った除去カードの前ではこのカードは余りにも無力だ。
それに、例に挙げたカード以外にも除去カードはある。
この男がこの方法を取っただけで満足するデュエリストとは、遊紅には到底思えなかった。

(何か裏があるか?まずは切り込みロックを崩さねぇと...な)
「手札から『共鳴騎士団の剣士 レイド』を召喚!」

共鳴騎士団(レゾナイツ)の剣士 レイド LV4 闇 戦士族 ATK1500 DEF1000
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分メインフェイズ1に発動できる。手札から、「共鳴騎士団の剣士 レイド」以外の「レゾナイツ」モンスター1体を特殊召喚する。
②:バトルフェイズ時、このカードがこのカードよりも攻撃力の高いモンスターと戦闘を行う場合、このカードの攻撃力は、ダメージ計算時からこのターンのエンドフェイズまで1000アップする。

西洋風の漆黒の鎧を身に纏い、白いスカーフを首元に付けた若い剣士が遊紅の場に姿を現わす。

「レイドの効果発動。手札から自身以外の『レゾナイツ』モンスターを特殊召喚する。来い!『共鳴騎士団の槍兵 スラス』!」


共鳴騎士団の槍兵 スラス LV4 闇 獣戦士族 ATK1800 DEF1000
このカード名の②の効果は1ターンに一度しか使用できない。
①:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
②:自分メインフェイズに、このカードの守備力を0にして発動できる。このカードの攻撃力は1000アップする。

レイドが剣を掲げると、レイドの後ろから長槍を携えた豹の戦士が駆け付ける。その身にはレイドとは違い軽装の黒い鎧を着ている。

「さらに永続魔法『共鳴騎士団の名の下に』発動。1ターンに1度、フィールドに存在するのとは種族の異なる『レゾナイツ』モンスターをデッキから特殊召喚する。『共鳴騎士団の斧使い ヨック』を特殊召喚」

共鳴騎士団の名の下に 永続魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
①:自分フィールドに存在する「レゾナイツ」モンスターと種族の異なる「レゾナイツ」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
②:自分メインフェイズに、墓地に存在する「レゾナイツ」モンスター1体を対象として発動する。対象のカードをデッキに戻す。その後、カードを1枚ドローする。

共鳴騎士団の斧使い ヨック LV4 闇 魚族 ATK1800 DEF100
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが戦闘を行う場合、相手モンスターの攻撃力は700ダウンする。
②:このカードの攻撃力を1000下げて発動する。相手モンスター1体を破壊する。

持ち手の短い斧を片手に身体中に尾鰭のついた猫背の半魚人が飛び出してくる。

「ヨックの効果発動。このカードの攻撃力を1000下げて、お前のモンスター1体を破壊する!」ATK1800→800

ヨックが斧を捨て跳躍し、守備の姿勢を取っていた切り込み隊長に向かってアイアンクローを放つ。その勢いで顔面を地面に叩きつけ、場から消滅させる。

「これで切り込みロックは崩壊だな!バトルだ!まずはレイドで攻撃!『ダーク・スラッシュ』!」
「たかが300のかすり傷、食らっても構わんのだがな...」
「何?」
「バトルは行わせない!トラップ発動!『威嚇する咆哮』!」

威嚇する咆哮 通常罠
①:このターン相手は攻撃宣言できない。

「これによりバトルフェイズは行えない。残念だったな」
ククク、と男は愉快そうに声を抑えて笑う。対する遊紅はダメージを与えられなかった悔しさで下唇を噛み切りそうなくらいの怒りの表情を見せる。
「ならこれでターンエンド」
遊紅は切り替えて冷静になり、ターンエンド宣言をした。その瞬間、男はニヤリと意味深な笑みを浮かべた。

「トラップ発動。『メタバース』だ」

メタバース 通常罠
①:デッキからフィールド魔法カード1枚を選び、手札に加えるか自分フィールドに発動する。

「この効果でデッキから『歯車街』を発動」

歯車街(ギア・タウン) フィールド魔法
①:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは「アンティーク・ギア」モンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくできる。②:このカードが破壊され墓地へ送られた時に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

街の景色は、発動された歯車街のように、歯車をむき出しにした建築物が多数存在する空間に変貌する。

フィールド
男 切り込み隊長×1 歯車街
墓地 切り込み隊長×1 威嚇する咆哮 メタバース
手札 1
遊紅 共鳴騎士団の剣士 レイド、騎士団の槍兵 スラス、共鳴騎士団の斧使い ヨック、共鳴騎士団の名の下に
墓地 無し
手札3

「歯車街だと」
「さて、私のターン、ドローだ」

カードを引き、再び笑みを浮かべた。
だが、男が謎の笑みを浮かべた事よりも、遊紅は男を見て「なるほどな」と呟いた。
(切り込みロックは完全な騙しの手札って訳か。要するにこいつのデッキは『古代の機械』(アンティーク・ギア)デッキ。てっきり戦士族を中心としたデッキかと思っていたが、くそっ、騙された)
「私は『歯車街』によって『古代の機械』をアドバンス召喚するために必要な数が1つ少なくなっている。よって、私は切り込み隊長1体をリリースし、『古代の機械の巨人』をアドバンス召喚する」

古代機械の巨人 LV8 地 機械族
ATK/DEF3000
このカードは特殊召喚できない。①:このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。②:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

男の場に現れた古代文明に作られたであろう姿をした巨大な体躯を持ったモンスター。その姿はその気になれば人間を一捻りで消せる恐怖を感じさせる見た目をしている。

「そして『古代機械の飛竜』を召喚する」

古代機械の飛竜 地属性 LV4 機械族
ATK 1700 DEF1200
「古代の機械飛竜」の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「古代の機械飛竜」以外の「アンティーク・ギア」カード1枚を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はカードをセットできない。②:このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までモンスターの効果を発動できない。

「バトル。まずは飛竜でヨックを攻撃」
「ヨックの効果発動!このカードが戦闘を行う場合、相手モンスターの攻撃力は700ダウンする!」
「無駄だ。斧を捨てて損をしたな」

遊紅 LP4000→3100

「続けて巨人でスラスを攻撃。『アルティメット・パウンド』!」

古代機械の巨人の腕が、正確にスラスの体に直撃し、その衝撃でスラスは臓物を潰され、呼吸するのも不可能な状態になり、ついには吐血して吹き飛ばされる。

「ぐぉぉっ」LP3100→1800
「さぁ、これでターンエンド」

スラスを吹き飛ばした衝撃は、遊紅の体にもダメージを与える。
ライフを大きく削られた遊紅は、強風で吹き飛ばされる紙のように後方へ吹き飛んだ。吹き飛ばされた先にある大きめの石の先端に頭をぶつけ、そこから赤い血がたらりと一筋の線を描くように流れていく。


フィールド
男 古代機械の巨人 古代機械の飛竜 歯車街
墓地 切り込み隊長×2 威嚇する咆哮 メタバース
手札 0
遊紅 共鳴騎士団の剣士 レイド、共鳴騎士団の名の下に
墓地 騎士団の槍兵 スラス、共鳴騎士団の斧使い ヨック
手札3

(こんな血が流れたくらいで動じるかよ...!)

痛みはなかった。それがアドレナリンの過剰分泌によるものか、今自分が置かれている状況のせいて麻痺してしまったのかは分からないが。

「俺のターン!ドロー!」
(よし、来た!こいつとレイドと、この永続魔法の展開で、巻き返す!必ずな)

「手札から、『共鳴騎士団の旗持ち ラッグ』を召喚!」

共鳴騎士団の旗持ち ラッグ 獣族 LV1 闇 ATK/DEF0
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、どちらか1つしか使用できない。
①:自分メインフェイズに発動できる。デッキから、このカード以外のレベル4以下の『レゾナイツ』モンスター1体を手札に加える。
②:自分メインフェイズに発動できる。墓地に存在するこのカード以外のレベル4以下の『レゾナイツ』モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターは、エンドフェイズ時にデッキに戻る。

軍服を着た白いトラ猫が二足歩行で旗を掲げ現れる。
「ラッグの効果発動!墓地からヨックを特殊召喚する!」

ラッグの旗から黒いオーラが放たれて墓地へ行き、オーラがヨックを連れてきて復活させる。

「更に、手札から『死者蘇生』を発動!スラスを復活させる!」
「ほう、中々にやる...」
「まだだ!レイドの効果発動!手札にあるもう1体のスラスを特殊召喚する!」

これで遊紅のメインモンスターゾーンは全て埋まった。それを見て、遊紅は天高くに腕を掲げる。

アローヘッド確認!
召喚条件は『異なる種族のモンスター2体以上』!
俺はレイド、スラス、ラッグの3体をリンクマーカーにセット!
サーキットコンバイン!

「リンク召喚だと!?」
「あぁそうさ!これが俺のエース...っ!?」

遊紅は言い終える前に突如その場に苦しそうに膝をつきうずくまる。
「な、なんだ...心臓が、昂ぶって...っっ!」

胸元を見ると、遊紅の体から1枚の灰色のカードが獣が暴れそうになる気配を見せるような勢いで飛び出しかけている。
「なん...だ、これ...?体から...カー、ド...?」
男はその光景を見て、ため息を漏らした。
「おお...この少年がダメージを受けたから飛び出そうというのか」
「なに」
「目覚めの時だ。姿を見せろ。タイプB。そのカードはお前そのものだ。それに、出さない限りは永久にその痛みを味わうかもしれんぞ」
「誰が、お前の言うことを...」

そういった次の瞬間。
「なっ」
そのカードは遊紅の体を離れ、自然とデュエルディスクのEXモンスターゾーンに配置された。

そして。

「うおおオオオ!!!」

上空に存在しているリンク召喚のために経由されるポータルは、遊紅の体を連れ去り消滅し、少年だった体はデュエル前とは逆に、白い粒子に包まれ、変容してゆく。その姿は、どんどんと八城遊紅という人間から人間の姿を消し去っていく。
意識はハッキリしている。しかし体はもう少年の姿ではない。その姿は、完全に動物図鑑にあるような真っ白な体毛をした気高き狼であった。

ポータルから上空に再び出現する。そして、遊紅は着地を決め、その鋭い眼で男を睨みつけた。

??? リンクモンスター 闇 ATK???
???
???

「目覚めたかタイプB。ではここからが本当の始まりだな。さぁ、来るが良い」

挑発された「これ」は、怒りを吐き出すように、息を吸い、叫んだ。
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コンドル
ミスを修正しました。 (2020-08-23 22:42)
山女魚
自分自身がモンスターになった......!?
いや、まあ、遊戯王じゃよくあることか。
楽しみにしてます。 (2020-08-24 00:02)
コンドル
山女魚さん初めまして。コメントありがとうございます。
宇宙に行ったり異世界を旅したりする遊戯王じゃ、自分がモンスターになる事もよくあること(?)
次回もお楽しみに。 (2020-08-24 14:22)

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