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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第12.5話 ゴスロリと尾行と着ぐるみ

第12.5話 ゴスロリと尾行と着ぐるみ 作:イベリコ豚丼

5月上旬の昼下がり。
今日が大型連休最終日ということで、少しでも休日を満喫しようと街は多くの人でごった返していた。
周りの迷惑も考えずにたくさんの買い物袋で道を占領する家族連れ。頭の悪いやりとりを頭の悪いテンションで繰り返す頭の悪いカップル。どいつもこいつもなにがそんなに楽しいのか恥ずかしげもなくアホ面を晒している。こいつら脳の代わりに生クリームでも詰まってんじゃないのか。
考えなしに柴戦士タロ像前などを待ち合わせ場所に選ぶんじゃなかった。過去の自分を締め落としてやりたい。
などと益体も無いことを考えつつ、私、樫井 寧子は吐き気を噛み殺しながら時間を潰していた。
左手の腕時計を確認する。
‪ 12時50分。約束の時刻までもうしばらく余裕がある。‬
‪ 汚物を見せられ続けて今にも腐り落ちても不思議はない目で‬もう一度自分の格好をあらためる。
‪ がっつりギャザーが入ったジャンパースカートに長袖のボレロとケープ、下穿きにパニエとドロワーズを着て内側からスカートを膨らませ、足下にはプラットホームシューズを履き、おまけに両端に黒薔薇を咲かせたヘッドドレス。‬
‪ ‬各所にトーションレースをあしらってはいるものの実に表面積の9割が黒。
‪ いわゆるひとつのゴスロリである。‬
‪ ゴスロリを解さない美的感覚ゼロの低脳はミトコンドリアからやり直せ。‬
‪ ‬腕時計を再確認。
‪ 12時51分、さっきから1分しか経っていない。‬
‪ 長い、長すぎる。‬
‪ 開始早々解き終えたのに無意味に待たされるテストより長い。‬
いっそハートピアの公式ホームページにアクセスして『邪神ドレッドルート』の裁定でも読んでいようか————と。
愚昧の海が神話さながらふたつに割れて、向こうから天使が現れた。
来た。ついに来た。
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花、指は白魚肌は紅玉髪は烏の濡れ羽色、花も恥じらい月も隠れる17歳の万年新造、我らがエンジェル九津 麻理の御尊来である。
とりあえず通り一遍の褒め言葉を謳い上げてはみたものの、人語を用いている時点でその後背輝かんばかりの婀娜やかさを表現し尽くせるわけもなく。
されど僭越ながら並びに本日の御召し物についても描写させていただこう。
まず目にとまるのは着用者の純精を体現するかのような皓白のブラウス。しかしその胸部は形ある母性によって『豊穣』というタイトルで美術界を席巻出来るぐらいに天に向かって押し上げられている。
当人は上から羽織った薄若草色のカーディガンで隠しているつもりかもしれないが、それでどうにかなる物量ではない。薄手の生地にはボディラインに沿って滑らかな陰影を生み出すことで艶かしい凹凸を浮き彫りにする効果しかありはしないのだ。
というか膝下のフレアスカートをあそこまで扇情的に着こなすってなんだ、エロスそのものか? 女の私でも腰元にむしゃぶりつきたくなってくるわ。
とは言ってもさすがにまだ距離があるので、代わりに視線で頭からパンプスの先まで舐め回しておく。ぺろぺろ。
「…………む」
そこまでしてようやく異物に気付いた。
天使の周りに余計な羽虫がたかってやがる。
「ねぇねぇキミ、今ヒマ?」
「よかったら俺たちと遊びに行かない?」
「カラオケとかどうよ? 奢るからさ〜」
「え、えぇっと……」
明らかに軽薄そうな男が3人、麻理にしつこく絡んでいた。心根の優しい麻理は強く振り払うことも出来ずに困り顔を浮かべている。
見慣れた光景だ。彼女が外を数歩も歩けばああいう手合いが簡単に釣り上がる。文字通りの入れ食いである。
麻理の美しさに心を射抜かれるのはわかる。少しでも長く同じ時を過ごしたいと考えてしまうのも人の身なら当然の道理だろう。
だが塵芥風情が、よくも他人のデートに水を差しやがったな。
「おい」
「……ん? 誰キミ?」
「あ、寧子ちゃん……!」
こちらに気付いた麻理の面差しがぱあっと華やいだ。にゃろう可愛すぎか。
「今すぐ散りなさい光に群がる蛾ども。でないと顎関節に五寸釘ねじ込むわよ」
「ごす、なに、このメガネちゃんキミの知り合い?」
「だったらキミも一緒に遊びに行こうよ〜」
「ていうかなにその服、ゴスロリってヤツ? ヤベェ初めて見た。超ウケる」
あ? このモグリチビガ今私の服装を馬鹿にしやがったか? そんなに笑いたけりゃいつでも笑顔になれるように顔面を面白おかしく変形させてやろうか。
……いや、ちょうどいい。ここは昨日届いたばかりの新兵器の威力を試してみるとしよう。
『…………は?』
ポシェットから取り出した『それ』を見て、ナンパ野郎どもの薄ら笑いが一様に凍りついた。無理もない。
「ザボルグ社製15インチスタンバトン『轟雷帝』。最大電圧はジャンパーやジーンズも余裕で貫く110万ボルトよ。——さぁ、宣言通り捻じ込んであげるわ」
「いやちょまっ、今それどっから出した!? どう見てもポシェットのサイズ超えてるだろ!!」
「ピーピーとかますびしいわね。まずは貴方からにしましょうか」
手元のスイッチを限界まで押し上げると、轟雷帝の先端が放電してバチバチと空気を焼く。
「ひいぃぃぃい! マジすんませんしたぁ!!」
「ふん」
虫は虫らしく蜘蛛の子を散らすように雑踏の中へ消えていった。
「いつもありがとうね」
「気をつけなさい。貴女は優しくて美人でスタイルもよくて可愛くて頭も悪くなくて愛らしくて気が利いて綺麗なんだから無防備でいちゃ危険よ」
いくつか意味がだぶってる?
たかが一単語で麻理の素晴らしさが語り尽くせると思っているのかしら?
「そうだ、万が一に備えて麻理もなにか護身用グッズを持ち歩くといいわ」
「護身用グッズかぁ。でもわたし非力だからそんなに重いの扱えないよ?」
「大丈夫。小さくても強力なのを見繕ってあげる。例えばこれなんてどうかしら?」
轟雷帝をしまい、空いた手で中央にボタンのついた卵型の物体を取り出す。
「……防犯ブザー?」
「ええ。PSカンパニーの大ヒット作『音響戦士』。ボタンひとつで爆発音と閃光が炸裂、半径15メートル以内の敵に見当識失調を引き起こす優れモノよ」
「オーバーキルすぎない!?」
「ちなみに、それなりの訓練を積んでおかないと同時に自分の意識も刈り取られることになるわ」
「いち女子高生にどんなスペックを要求してるの!? っていうかぶっちゃけそれただのフラッシュバンだよね!? まごうことなき兵器だよ!」
「ならこっちの催涙スプレー『ヴェノミナーガ』は? 強酸の霧で顔面を爛れさせるの」
「だから過剰防衛だよぅ!」
むう。彼女の天使度を考えると過剰防衛ぐらいでちょうどいいと思うのだが。

「やっぱり、わたしには必要ないや」
その後もいくつか紹介したものの、どれも麻理のお気には召さなかったらしい。ついにはそんなことを言い出した。
「どうして?」
「だって、わたしが困ったときには必ず寧子ちゃんが助けてくれるでしょ? だから安心」
なにこの娘結婚したい。そんでもって部屋に軟禁して俗界から完全に隔離したい。
そこまで信頼されたなら応えないわけにはいかない。
「任せて。いついかなるときでも駆けつけられるようにこれからは24時間365日フル装備で見守ることにするわ」
「今さらっと私のプライバシーが消え失せた気がするんだけど……」
「気のせいよ。そんなことよりそろそろ出発しましょう。結構時間を食ってしまったわ」
見れば、アナログの腕時計はちょうど待ち合わせ時刻の13時を示していた。
麻理と一緒なら1日中外に立ちっぱなしでも苦にならないが、どうせなら色々な店を見て回っていちゃこらしたいのも事実。今日は頭の生クリームがどろどろになるまでデートを楽しむと決めているのだ。コンマ1秒だって時間が惜しい。
ポシェットから手帳を取り出しスケジュールを再確認。
「まずは新しくできた雑貨屋を物色してからグランモールに移動。いつもの店で夏物を……って聞いているの、麻理?」
普段は打てば響く麻理がどうしてか、なにひとつ反応を返してこない。
不審に思って手帳から顔を上げると、彼女ははるか遠く、一点を見つめて固まっていた。
「ちょっとどうしたの」
彼女の視線を目で追って、気付く。
デニム地の上下に赤系のシャツを合わせた若い男。腕にシルバーまで巻いて妙に気合いの入った格好をしているアレは間違いなくクラスメイトの白神 遊午だ。
なぜ野郎がここに。まさか麻理のストーカーか? 今度こそ轟雷帝の実地試験が行えるのか?
と思いきや、よく見ると彼は並んで立つ少女と楽しげに会話していた。
どうやら向こうも向こうで約束があって、偶然待ち合わせ場所が被っただけらしい。ちっ。
まぁ高名なタロ像前ならこういうこともあるだろう。
なんにせよ私たちの邪魔にならないならどうでもいい。これから先のスウィートな時間を思えば、野郎がなにをしていようと些事に過ぎな——
「一大事だよ!!」
「は?」
「だから一大事なんだよぅ!!」
「お、落ち着きなさい。一体なにが一大事だっていうのよ」
麻理がツッコミ以外で声を張るなどそうあることではない。私が見落としていただけで白神君になにか不可解な点があったのだろうか。
そういえば、少し前彼が朝教室に入ってくるなり頭のおかしな妄想を垂れ流したことがある。
まさかあの会話の相手は目の前の少女ではなく『八千代』とかいう例の妄想で、少女は見知らぬ男がいきなり独り言を吐き始めて混乱しているだけとかそういうことか?
「そうじゃないよ! あの白神くんが、なにかにつけて女の子を遊びに誘うけど毎回手酷くフラれてる白神くんが休日を女の子と過ごしてるんだよ? つまりついに成功しちゃったんだよ! デートだよ! 逢引きだよ! らぶらぶちゅっちゅだよ!」
「あぁそういう……」
心底悲しげに嘆く麻理。
忌々しいことに野郎は麻理から好意を寄せられていやがるのである。しかも本人はまったく気付いていないときた。なんと贅沢な男だろうか。背骨砕ければいいのに。
「白神くんのばか、私とはふたりで出かけてくれたことなんかないのに……」
「意外ね。あの男のことだから真っ先に貴女を誘っていそうなものだけれど」
「小学校から一緒だと『女の子』を通り越して『幼馴染み』に分類されちゃってるんだよぅ。毎日顔を合わせてるからなかなか遊びに誘おうって気も起きないし、よしんば上手くいったとしても必ず誰かと一緒だし……」
近くて遠い、というヤツか。
心を許している相手なんて麻理しかいない私にはよくわからない感覚だがとりあえず野郎の肋骨も砕けばいいことはわかった。
「どこ行くのかなぁ……気になるなぁ……」
「だからって今さら聞き出すわけにもいかないでしょう。わざわざ尾行するのも馬鹿らしいし。ほら、あんな男のことは忘れて私と買い物に興じましょ」
「それだよ!!」
「どれよ……」
「だから尾行だよ! あの女の子を観察して、私のなにが至らないのかを見つけ出すんだよ! お願い寧子ちゃん、手伝って!」
「つ、ついでにもしいい感じになりそうだったらバレないように水を差して……」という囁きは聞かなかったことにする。
「簡単に言うけれどね、尾行ってそう楽なことじゃないのよ? 標的の視線だけじゃなくて周りの視線にも注意しないといけないし、かといって気にしすぎて素振りが怪しくなってもいけない。初歩の初歩である付かず離れずだって結構技量がいるんだから」
日頃から麻理を尾行している私ならまだしも素人には少々難易度が高いだろう。セキュリティ沙汰になるのも面倒だし、ここはなんと言われようと諦めさせるしかあるまい。
というか麻理とは尾行じゃなくて交尾がしたい。
「どこでなにしてたかなんて明日学校で聞けばいいんだから、今日は諦め……」
「駄目……かなぁ?」
そんな涙目で言われたら断れるわけないじゃないですかやだー。


「……ねぇ寧子ちゃん。あれなにしてるように見える?」
仕方なく尾行を開始してからしばらく。物陰から前を行くふたりの姿を盗み見ていた麻理が尋ねてくる。
促されるままに確認。
あれはまごうことなく、
「翁面のモノマネ」
「だよね」
なんのこっちゃと思うかもしれないが、実際そうにしか見えないのである。
ややつり上がった口としわに紛れて見えない目。能に詳しくない人でも一度は見たことがあるであろうあの顔だ。
「なんで無言であんなことしてるんだろ……。女の子の趣味かな?」
「どんな女よそれ。……あ、顔いじり始めた」
さすがに自分でも不自然に思ったのだろう。白神君は両手でかんばせを入念にこね回す。
結果。
「おたふくだね」
「おたふくね」
なんだその能面レパートリー。通行人ドン引きじゃない。あ、通報されてる。
「というかあの娘いくつよ。不審者うんぬん以前にそっちで懲役くらうんじゃない?」
隣で狼狽している少女はどう見ても中学生、小学生だと名乗られても不思議はない。セキュリティに見咎められれば職質必至。
ついに知人から逮捕者が出るか……。来るべきインタビューに備えてコメントを考えておかねば。
「白神くん、やっぱりちっちゃい女の子ほうが好きなんだ……。うぅ、どうしてこんなに大きくなっちゃったのかなぁ。大きくたって重いし汗かくしいいことないのに……」
「聞き捨てならないわね」
「え?」
「世の中に駄目なオッパイなんて存在しない。ちっさいものもおっきいものも、オッパイというオッパイが世界の宝よ。なんたって私たちは哺乳類。乳を哺めると書いて哺乳類。オッパイなしでは生きられない生き物なの」
「ね、寧子ちゃん! そんなはっきりオッ……を連呼しないで!」
「そもそもオッパイって言葉の響きが素敵よね。オッパイ。五十音で最も発音が容易なあ行の音を頭に置くことで言いやすさを追求し、次の『ッ』と『パ』の破裂音でオッパイの豊かさを表現し、すぐさま再びあ行を滑り込ませることで余韻すらも無駄にしない。なにもかもパーフェクト。日本語の美しさここに極まれり。他の言語じゃこうはいかないわ。日本は唯一無二のオッパイ大国なのよ。貴女はそんな国に生まれた選ばれし(カップが)G級オッパイ戦士」
「オッ……戦士ってなに!?」
「だから麻理、自分のオッパイを嫌わないであげて。オッパイを、貴女の分身を愛してあげて」
「わ、わかったから、その、オッ……の話はもう……!」
「本当にわかってくれたの? じゃあ言って。『私はオッパイが大好きです』って、今ここで宣言して」
「ふえぇ!? そ、そんなこと……!」
「出来ないの? やっぱりまだオッパイに心を、いや胸を開いてくれていないのね……。ああ可哀想なオッパイ。よよよ」
「あうぁ、ご、ごめんなさい! い、言う! ちゃんと言うから泣かないで!」
「そう。ならはりきっていってみましょう」
「…………わ、わたしはオッ……が……」
「聞こえないわ。もっと大きな声で」
「私はオッ……イが……」
「もっと感情を込めて」
「わ、私はオッパイが大好きです————!!」
「——君たち、ちょっといいかな」
そのときの麻理の表情といったら。
「せ、セキュリティさん……っ!」
「さっきこの辺で不審者が幼女を連れ回してるって通報があったから来てみたんだけどね。そしたらいきなり君がオッ……ごほん。ちょっと聞き流せないワードを叫び出すもんだから声をかけたんだけど」
「ち、違うんです……! こっ、これは、なにかの間違いで……」
「あぁ、別に逮捕しようってつもりじゃないよ。ただ、年頃の女の子があんまりそういうことは言わない方がいいんじゃないかな? ほら、みんな見てるわけだし……」
気まずそうなセキュリティ。周りからの好奇の視線。騒ぎが騒ぎを呼び、野次馬の輪はどんどん広がっていく。
麻理の羞恥心が臨界点に達するのにそう時間はかからなかった。
「わ——」
「わ?」
「わたしはえっちな娘なんかじゃないもおおぉぉぉぉおおん!!!」
「あ、ちょ、君!」
絶叫一閃、両手で真っ赤に染まったかんばせを隠しながらどこともなく走り去っていってしまった。
なにはともあれ、大満足である。

☆ ☆ ☆

「うあぁぁぁわたしのばかぁぁぁ二度と外歩けないよぉぉぉ……」
「よしよし」
遁走した麻理を常設GPSで探し出して確保すること数十分前。
未だ先程の痴態に身悶える麻理を頭を撫でてなだめる。
「大丈夫、貴女は見た目の時点でかなりえっちな娘だから今さらよ」
「フォローになってないよ!?」
フォローというか単なる事実なのだが。
「それより、せっかくここまで来たのだから、どうしようもない過去なんて綺麗さっぱり忘れて服を見ましょう。ほら、麻理の好きな『トリシューラ』の新作よ」
ハンガーラックにかかったブランド物の女性服からひとつを取り出して広げる。夏に似合いそうな涼しげな水色のワンピース。本当ならもっとシルエットがはっきりするものを見繕ってあげたいのだが、さすがに今は気を使っておく。
周りを見渡せば、他にも夏に向けたアイテムが無数に陳列されている。
セレクトショップ『Ne:CLOTH』。平均より少し高めの値段設定に見合うだけの商品を取り扱う有名ブランドだ。
先の騒動で白神君たちを見失った私たちは、結局当初の予定に従ってグランモールへとやって来たのだった。
「あ……可愛い」
「それからこれと、あとはこの帽子なんか合わせたらいいんじゃないかしら」
「いい、すごくいいよ! さすが寧子ちゃん!」
麻理の瞳が年頃の女の子らしい輝きを取り戻す。
「元気出た?」
「あ……」
まったく、世話の焼ける。
まぁそこが可愛いのだが。
「……うん。ごめんね」
「謝らなくていいわよ。それが私の役目だもの。それじゃあここで待っているから試着してきたら?」
「うん! えっと、試着室は……」
麻理は軽く首を巡らすと、店の片側に機嫌良く歩いていった。
やれやれ、白神君を尾行するなどといい始めたときはどうなるかと思ったが、これでようやく正規ルートだ。このままデートがおじゃんになろうものなら明日学園で死人が出るところだった。
そう思った矢先。
「寧子ちゃあぁぁぁああん!!」
「ごっふ!!」
「たたた大変だよ寧子ちゃん大変なんだよどうしたらいいんだろわたしどうしたらいいんだろ助けて寧子ちゃあぁぁぁああん!!」
「わあぁぁあかあぁぁったからまあぁぁあずうぅぅうわあぁぁぁあ揺らすのをやあぁぁあめえぇぇぇえなあぁぁあさあぁぁぁいぃぃ」
シャンパンのコルクのように吹っ飛んでいくんじゃないかという勢いで肩と首をがっくんがっくん揺さぶられ、声までが波を打つ。
っていうかこれ凄っ。圧凄っ。後ろから前に帰ってくる度に顔が胸にめりこんで呼吸を持っていかれてまさにノッキン・オン・ヘブンズドア。そのうち本当にイって、違う、逝ってしまいそうだ。
「あ、ごめんっ」
「けほっけほっ……いったい今度はなに?」
「はっ! そそそそうだよ! しりゃっ、白神くんがっ!」
「またあの男……」


麻理に導かれて店舗と店舗の間の従業員専用通路に身を隠す。思いっきり『関係者以外立ち入り禁止』の文字が書かれていた気がしたのだがどうやら麻理には見えていないらしい。
ちなみに私は麻理の行くところなら宇宙空間だろうが虚数時間だろうがついて行くのでどうでもいい。
「ほ、ほら、あれ……」
什器類やなにかのマスコットの着ぐるみが磊々と積み上がった山の陰から指先の延長上にある店を伺う。
いたって普通のデュエル用品店である。木材ならではの茶色が落ち着いたムードを演出するいい店だ。
その店先に超弩級変態がいた。具体的には白神君がさっきの女の子を被写体に不埒な撮影会を開いていやがった。
「通報したわ」
「対応が迅速!? ま、待って! まだ事案だと決まったわけじゃ……」
「スカートめくり上げさせてたら問答無用で確定でしょうよ。直前女の子が気付いてやめたから良かったものの」
「う…………で、でも、やっぱり決めつけるのは良くないよっ。まずは裏付けを取らないと!」
あれを見てまだ信じられるとは恋は盲目というのはその通りらしい。
「裏付けって、具体的にはどうするのよ」
「そこはほら、こっそり近付いてふたりの話に聞き耳を……」
「あのね。貴女自分が目立つこと理解しているの? そんな核弾頭をふたつもぶら下げておいてこっそりなんて無理に決まっているでしょう」
「じゃ、じゃあ変装! 変装したらどうかな!」
「胸も隠すってなると着ぐるみぐらいまでいかないと無理よ。着ぐるみなんてそんな都合よくあるわけ……」
ない、と続けようとした舌が止まる。
あれ? 着ぐるみ? なんだかどこかで見た気がする。それもついさっき。
そう思って今自分が隠れているがらくたの山に視線をやると、麻理もまったく同じ方向を向いていた。
什器類といっしょくたに積まれたなにかのマスコットの着ぐるみ。
うわー都合良いー。


『ね、寧子ちゃん聞こえてる?』
右耳に引っかけた通話状態のD-ゲイザーを介して心配そうな声が届く。
「大丈夫、ちゃんと聞こえてるわよ」
耳はそのまま目線は前に。
吹き抜けに面した2階の通路からは目下のコンコースが一望出来る。
ほっといたら閉店時間までそのままでいそうな老夫婦。ゴブリンドバーグのおもちゃを掲げて母親の井戸端会議の周りを走り回る兄弟。
それから植え込みの裏に、おどおどと周囲を伺っている宇宙モグラが1匹。もふもふボディといかついドリルのギャップが子供に人気のグランモールのマスコットキャラクター、グランくんである。毎週日曜朝8時から絶賛アニメ放送中。
ただし、中身は我が親友九津 麻理。
「ふたりは貴女から見て1時の方向のベンチに座ってコーヒー片手に談笑中。周りにスタッフもいないし、接近するなら今よ」
『う、うん! ……ほんとに大丈夫かなぁ?』
「そこでじっとしている方が怪しいわよ。着ぐるみじゃ視界が悪いから、って私にオペレーターを頼んだのだから信用してちょうだい」
「そ、そうだね…………よし」
ようやくグランくんが重い腰を上げる。
それでもまだへっぴり腰なのはご愛嬌だ。
『それにしても、着ぐるみってすごく蒸し暑いんだね……。中に入ってからまだそんなに時間経ってないのにもう汗かいてきちゃったよ』
「オーケー麻理。それじゃあここでひとつマスコットらしい動きをしておきましょうか。そうね……ダンスがいいわ。なんでもリーフレットによればグランくんはダンスが得意らしいの」
『だ、ダンス!?』
「ええ。それも一瞬で汗だくになるような激しいヤツ。ドリル使ってヘッドスピンとかバンバンしちゃう」
『初耳だなぁ……。えと、こんな感じ?』
「全然動きが足りないわ。それじゃお遊戯会よ。もっと気合い入れて、腰振って」
『んん……っ! ふっ……! っあ……! こ、これでどうかな?』
「グッド。貴女今最高にグランくんよ。さぁもっと私を魅せて、嬌声を聞かせて、着ぐるみの隅から隅まで貴女の汗と匂いを染み渡らせぶぱぁ」
『ま、麻理ちゃん!?』
「気にしないで。ちょっと間欠泉みたいに鼻血が吹き出しただけよ」
あとで店に交渉して着ぐるみ買い取ろう。もちろんクリーニング無しで。
『すごく気になるんだけど…………ほえ?』
「すげー!! グランくんダンスむっちゃうめー!!」
「なーなー! もっとすげーのやって!」
『え、ええ?』
子供ならではの甲高い声がD-ゲイザーを付けた方の耳と素のままの耳、同時に届く。
見れば麻理inグランくんの周囲に、おもちゃで遊んでいた例の兄弟を筆頭に男女問わずたくさんの子供たちが群がっていた。どうやら麻理のさそうおどりが引き寄せてしまったらしい。
「なーやってよー!」
「グランくんあくしゅしてー」
「しゃしんとろー」
「ねーやっててばー!」
『ひゃん! そ、そんなとこ触っちゃだめだよぅ……!』
「あれー? 女の子の声ー? グランくん女の子ー?」
「ちがうよー。グランくんは男の子だよー」
「なんだとー! じゃあこのグランくんはにせものかー!」
「にせものはたいじだー! おらー!」
「むだぁー」
『ふぁう!わわわ……。ね、寧子ちゃん、これどうすれば……』
「落ち着いて麻理。いいえグランくん。グランくんはなにより子供に優しい宇宙モグラなのよ。いくらボディーにいい感じのブローが入ろうと向こう脛に加減を知らないローキックを連打されようと怒らないの。胸や尻を執拗にまさぐられても同じく。だから貴女もゲリラファンミーティングぐらい笑顔で乗り切って。真のグランくんマスターになるのでしょう」
『あれ? 趣旨変わってない?』
年端もいかない子供になすがままになる美少女……なんだか新しい世界が拓いた気がする。鼻血止まんない。
助け船はもうしばらく係留させておこう。
そんな風に眼福ならぬ耳福を堪能していると、

「よう樫井。こんなところで会うとは奇遇だ…………いやそれどういう感情の顔だ?」

「3ヶ月かけて編み出した必勝コンボが翌朝公式の裁定変更でおじゃんになったような感情よ」
横合いから泥水を差すクソッタレ金髪眼鏡が現れやがった。鼻血が一発で止まったわ。
「発狂もんじゃねぇか……」
「休日にまでいったいなんの用? まさかストーカー? ストーカーなのね。通報するわ」
「決断力の鬼かお前は。近く通ったついでにオーナーんとこに顔出しに来ただだけだっての」
「あぁ……、そういえばここも貴方の息がかかっているのだったけ」
「怪しい言い方するな。ただ懇意にしてるってだけだっつの。……で? そういうお前は九津と買い物か」
「うわ……やっぱりストーカーなんじゃない。引くわー」
「ただの推理だ! 九津以外につるむ相手のいないお前が二種類もカバン提げてたらそれしかねぇだろうが!」
「交友関係まで熟知しているなんて、なに、もしかして貴方私のこと好きなの? あ、やば、自分で言ってて吐き気がする」
「凄ぇな……出会ってからここまで暴言しか聞いてねぇぞ……」
「私、好きな子と嫌いな子とそのどちらでもない子にはいじわるしちゃう性格なの」
「ただの人間嫌いじゃねぇか。ったく……」
ため息ひとつ、出浦君は柵にもたれかかって吹き抜けの下に目を落とす。
「……もしかしてあのモグラが九津か? またなんだってそんな…………あぁ。そういうことか」
どうやら奥に座る白神君と合わせて全てを察したらしい。
こういう無駄に察しの良いところが嫌いだ。
「よくやるねぇお前らも」
「貴方に言われる筋合いはないわ」
「でもいいのか? お前としては遊午があの女子とくっついた方がなにかと都合が良いんじゃねぇのか」
……本当、察しが良すぎて腹が立つ。
「……懸想の相手が彼以外なら闇討ちでもして生まれてきたことを後悔させてやるけれどね」
コンコースに視線を戻す。未だ子供たちと格闘中の少女と、ベンチに座ってコーヒーをすする少年を俯瞰する。
「あのふたりは似ている。赤の他人のために全力になれるところも、そのせいで自分を省みないところも。それが上か下かは別にして、彼等は私たち普通の人間にはどうやったって手の届かない位置で生きている。届かないのだから、あのふたりの関係を邪魔することなんて出来っこないわよ」
人間嫌いの例に漏れず、私は白神君が嫌いだ。言動のいちいちが騒がしいし馬鹿で無神経で馴れ馴れしいし後先考えずに思い付きで行動するしTPOをわきまえずに欲望丸出しにするし、麻理がいなければ絶対に関わり合いにならなかったに違いない。
だけれど、その生き方は——私が惚れた麻理に通じるその生き様だけは認めている。認めないわけにはいかない。
「だからってわざわざ関係を進めるのに力を貸す理由にはならねぇだろうよ」
「私の独断で麻理を守れないのなら、私は麻理の判断に従うまでよ。私の感情より麻理の幸福を優先する。樫井 寧子の人生は九津 麻理のためにある。あの娘に救われたときに、そう決めた」
「……つくづく難儀な生き方してんな」
「それはお互い様でしょう。側から見てて気持ち悪いほどに白神君に尽くしているくせに」
「それもそうだな」
そう言われることがわかっていたように、出浦君は苦笑した。翠の瞳が瞼の裏に隠れる。
「貴方のそういうところが嫌い」
「同じようなことしてるのにか?」
「ええ。だから嫌い」
こんなのはただの同族嫌悪だとわかっているけれど。
「ふーん……。ま、今回の『これ』に関してはお前の心配するようなことにはならねーだろうよ」
「どういうこと?」
「ツラ見りゃわかる。遊午があのツラしてるときは決まって——」
示し合わせたかのように。
『——寧子ちゃん』
今まで慌てた声しか上げていなかった麻理が静かに呼びかけてきた。
「どうかした?」
『えっと、あのね。尾行、もうやめていいかな?』
まさかその台詞が麻理の方から出てくるとは想定外で、慌てて柵から身を乗り出す。
階下のコンコース。麻理は子供たちを腰回りに引っ付けたまま、着ぐるみごしに白神君を見つめていた。
「貴女が満足したのなら構わないけれど……。裏付けはとれたの?」
『うーん、裏付けといえば裏付けなんだけど……』
いつの間にか連れ合いの少女はどこかへ消えており、ベンチに残された白神君はひとり思索に耽っている。
彼の振る舞いに特に変わったところは見当たらないが……。
『白神くんがあの顔してるときは、誰かのために頑張ってるときだから』
「…………!」
麻理の言葉に思わず出浦君の方を向くと、向こうもこちらを見ていた。
話を聞いていたのだろう。その顔にはしてやったりと言わんばかりの笑みが浮かんでいた。
『そういうことだから、この子たちをなんとかしたらそっち行くね』
「……そう。わかったわ」
端末を操作して、通話を切断する。
沈黙したD-ゲイザーを耳から外してポーチにしまう。
すると今度は目の前の少年のコートからかん高い着信音が鳴った。
出浦君は内ポケットからアッシュグレーのD-ゲイザーを取り出すと、相手の名前も確認せずに装置する。
「よう、どした。……おう。おう。わかった。じゃあまた連絡する」
この男、人の会話には聞き耳を立てておいて自分はきっちり音漏れ防止してやがる。いや、仮にも裏社会に生きる人間としてはそれが普通なのかもしれないが。
「白神君?」
「ああ。女の素性を調べて欲しいんだとよ」
呆れた。これで本当の本当にこの男の予想通りになったというわけだ。
ため息を吐くのも馬鹿らしくなって、出浦君に横を抜けてエスカレーターへと歩き出す。
「下に行くのか?」
「ええ。麻理はああ言ったけれど、あの娘がひとりでアレをなんとか出来るとは思わないもの」
「お互い過保護が過ぎるな」
「そうね」
と、そこでふと足を止めて考える。
そういえばさっきからしてやられてばかりだった。このままなにもせずに立ち去るのもなんとなく癪である。
ふむ。
「? 忘れ物か?」
その問いに、至極自然な挙動で振り返って、
「——さようなら、大嫌いな出浦君」
見せたことのない全力全開の笑顔で言ってやった。
彼がどんな反応を示したかは見なくてもわかる。


「せっかくの休日を私のせいで無駄にしちゃってごめんね!」
グランモールからの帰り道、麻理は心底申し訳なさそうに謝罪を述べた。
あの後、麻理にまとわりつく少年少女を数日は悪夢に魘されるであろう恐怖体験で無力化し、店に着ぐるみの買取を申し出たもののあっけなく断られ、仕方ないので裏地だけ剥ぎ取った頃にはもう夕暮れ時になってしまっていた。さすがにそこからショッピングを再開する訳にもいかず、今日はもうお開きという運びになったのであった。
「いいのよ。いつも言っているでしょう。私は麻理と一緒にいられるならそれだけで満足なの」
「ううん。だとしてもだよ」
先の言葉はまったくの本心なのだが、それでは麻理の面目が立たないらしい。
こうなると麻理は普段とは打って変わって強情だ。いつものように勢いだけで押し切ってしまうことは出来ないだろう。
仕方ない。ここは彼女の顔を立てておくとしよう。
「それじゃあ、お詫びに手を繋いでちょうだい」
「手? そんなことでいいの?」
「あら、ご不満? だったらしゃぶるとか縛るとかにしましょうか」
「うえぇ!? そ、それは……」
「ふふ、冗談よ」
夕焼けの中でもわかるぐらいに頬を茹だらせて狼狽える麻理に綻ばせつつ、彼女に近い方の左手を差し出す。
「もう!」と口調では怒っていても、麻理は素直にその手を握り返してきた。ほのかな熱量が右手を通じて流れ込んでくる。
「麻理」
「なぁに寧子ちゃん?」
「大好きよ」
いつまで側にいられるかはわからないけれど。
「私も大好きだよ」
そのときが来るまでは、こうして隣で手を繋いでいよう。
壁の外に消えていく夕陽を見ながらそう思った。
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ター坊
11話の麻里サイドということでしょうか。相変わらずのハイテンションですが、5.5話のようにばか騒ぎで終わらない、じーんとくるものがありました。 (2018-03-26 19:50)
イベリコ豚丼
》ター坊さん
コメントありがとうございます!
正確には寧子サイドですね。
ウラと寧子は主人公とヒロインを影から支えるキャラなのでどうしても存在感が薄くなってしまうので少し掘り下げてみました。
麻理と寧子、二人の過去もいつか書きたいです。 (2018-03-26 21:13)
ギガプラント
「一大事なんだよぅ」←なにこれかわいい
友人勢物凄く素敵なキャラが揃ってますね。寧子ちゃんも一話の段階ではただの委員長大好きっ娘くらいのイメージしかありませんでしたが、遊午負けるとも劣らぬ変た…個性と愛を持っていらっしゃいました。顔だけで遊午の事を察せる委員長のヒロイン力も凄まじい…控えめに言って神回か。
「——さようなら、大嫌いな出浦君」
…また奥深い名言が生まれちまったな。 (2018-03-28 00:37)
ギガプラント
あと!ちょこちょこと遊戯王ネタの名前が散らばってるのが凄く面白くて好きです。『Ne:CLOTH』は不覚にも笑った… (2018-03-28 00:41)
イベリコ豚丼
》ギガプラントさん
コメントありがとうございます!
変態が跋扈するのは全部超弩級変態ホイホイ委員長のせい。
遊戯王ネタは自己満の遊び心だったのですが楽しんでいただけたようで幸いです。○.5話シリーズは本編と比べて自由にやりまくっているので特にネタを盛り込みやすいんですよね。 (2018-03-28 09:18)
tres(トレス)
あのデートの横でこのようなやりとりがあったんですね、寧子ちゃんも中々の変態っぷりというか強烈な愛でこちらも楽しいデートとなってます。寧子ちゃんの先を行く出浦君、やりますね。 (2018-06-14 20:36)
イベリコ豚丼
》tresさん
コメントありがとうございます!
個人的にこういう『その頃あいつは……』みたいなのは一度やってみたかったので書けてよかったです。
遊午はアホな変態、寧子は頭のいい変態というイメージで書き分けています。どっちも弩級の変態であることに変わりはありませんが。 (2018-06-14 23:05)

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