ep.2 暗闇に咲く白百合II　作：イツとき

デュエル！！
unknow 4000VS Itsuki 4000

デュエルディスク(DD) 「デュエルモードへ移行。ソリッドビジョンデバイス起動、適用率100%、このデュエルには死の危険が伴いますお気をつけください」

腕に装着したDDが詳細を告げると同時に発せられた黒い光がブレード状に形成される

男の方も同様に光のブレードが形成され、互いのDDからデュエルの開始を告げるブザーが鳴り響いた

イツキ「先行は貰う！俺は『烈火の征剣士』を召喚（星4 炎 戦士 ATK1600）
続けて効果発動！1ターンに1度手札からレベル4以下の「征剣」モンスターを1体特殊召喚する、来い『紅蓮の征剣士』（星3 炎 戦士 ATK1300）
この効果を使用した烈火の征剣士のレベルと攻撃力は半分になる。
俺はレベル2となった烈火の征剣士にレベル3紅蓮の征剣士をチューニング！
戦場に舞い降りよ真紅の翼竜。暁の翼で我が道を照らせ。シンクロ召喚 現れよドーンウィングワイバーン！（星5 炎 ドラゴン ATK2200）
さらにカードを1枚伏せターンエンド」

さあ来い、見せてやるよ俺の全力

ituski LP4000
H2 M1 B1


「俺のターンドロー、俺は『D.Nightmare(デッドリーナイトメア)マリス』を召喚 （星4 闇 悪魔 ATK400）」

レベルに似合わず低い攻撃力のモンスター…不気味だな

「そしてマリスの効果を発動。このカードが召喚・特殊召喚に成功した時相手フィールドにナイトメアトークン（星4 闇 悪魔族 ATK1500）1体を特殊召喚する。
さらに、相手フィールドにナイトメアトークンがいるとき手札の『D.Nightmare レイジ』を特殊召喚できる（星4 闇 悪魔族 ATK200） 」

これで奴のフィールドには同じレベルのモンスターが2体

「俺はレベル4のD.Nightmare マリスとレイジでオーバレイネットワークを構築、呪われし亡者よ、閉ざされた暗闇より姿を現せ。エクシーズ召喚、顕現せよ『D.Nightmare イドラ・スピクス』（ランク4 闇 悪魔族 ATK2200）
そして、D.Nightmare イドラ・スピクスの効果発動。このカードのORUを1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力をフィールド上の同属性モンスターの数×100ポイントダウンさせる。俺はナイトメアトークンを選択」

フィールドの闇属性は2体、よってナイトメアトークンの攻撃力は200下げられた
ナイトメアトークン
ATK1500→1300

「イドラ・スピクスでナイトメアトークンを攻撃！イドラ・スピクスの効果を受けたモンスターとの戦闘で発生するダメージは倍になり、さらにナイトメアトークンがフィールドを離れたときコントローラーは500ポイントのダメージを受ける」

なっ！？合計2300ダメージ…

itsuki LP4000→1700

イツキ「がはっ…！」

ソリッドビジョンによって現実のものとなった衝撃に耐え切れず宙を舞った体が床に叩きつけられ俺の口からうめき声が漏れる

ハクア「イツキくん！」

ハクアさんの声に「大丈夫です」と答えようとするが声が出ない

そもそも体が起き上がらない、どうやら想像以上に大丈夫ではなさそうだ

流石は全力のソリッドビジョンということか

「どうした、まさかこの程度で腰を抜かしたわけじゃないよな？」

腰を抜かすどころか砕けてる可能性すらあるんだけどな

イツキ「まさか、ただもう少し美しい女性に心配される主人公気分って奴を味わいたかっただけだ」

精一杯の力と気力と強がりを振り絞りながらなんとか立ち上がる

イツキ「どうしたもう終わりか？」

それを知ってか知らずか男は鼻で笑う

「俺はカードを1枚セットしてターンエンド、さぁマキナに選ばれた男の力を見せてみろ」

unknow LP4000
H3 M1 B1

だからそのマキナがこのデュエルとなんの関係があるんだよ

そもそもハクアさんもお前も何者なんだ

どうして俺が巻き込まれてる

わからないことが多すぎる

唯一わかってることはその全部の根本に「マキナ」があるってことか

あぁそれともう一つ、これに負けたら殺されるんだったな

くそっ、なんなんだよ本当

これから楽しい高校生活が始まりそうって時に

始まる前からBAD ENDルートとか俺の人生どんだけ無理ゲーだよ

もうなんか笑えてくるな

だったら今やるべきことは１つしかないか

とりあえずこのデュエルに負けなきゃいいんだよな

イツキ「くっ…はは」

俺の笑い声が漏れ出す

「何を笑ってる、この程度でおかしくなったのか」

そうだな可笑しい

こんな状況でやっと浮かれてた頭の中、元に戻ったんだからな

イツキ「俺のターンドロ…」

カードを引くために伸ばした手の先で俺は「それ」を見た

触れようとしていたカードから伸びる植物の根の様な蔦の様なもの

見る見るうちに伸びるそれが俺の指先に触れるとそこから光が溢れ始める

俺はさらに視界の端でそれとは別の光を捉えるとその光源を探した

イツキ「なっ！？」

その場にいた全員が目を見開いて見たのは先ほど男の放ったナイフによって開いた肩の傷口から二の腕にかけて咲き誇る白百合達だった

ハクア「…やっぱり…のね」

俺は何かをつぶやいたハクアさんの方を振り向いた

だがそれに気付いたハクアさんは焦って顔を背ける

「くそ！まさか本当に…！」

苛立ちに満ちたその声に振り返ると男は苦虫を噛み潰した様な顔でこちらを睨みつけていた

「まさかお前が本当にマキナに選ばれるとはな」

これが…マキナ！？

こんなグロい花のせいで俺は命をかける羽目に？

俺はもう一度自分の腕に巻きつく白百合に目を向ける

それは今も光を発しながらただただそこにある

不思議なことに痛みも何も感じない

もともとあった傷口からも、先程打ち付けられた身体からも

「続けろ。それはお前が持つべきものではない」

言わなくても

イツキ「俺のターン…ドロー！」

白百合の根を引きちぎりながらドローしたそのカードは魔法カード『カース・マキナ』

これがマキナの本体か、いつから入って…

イツキ「っ！…がぁあぁぁあぁぁぁ！！」