88.極聖絶臨　作：くちなし

☆★☆★

「、、、」

当たりが静まり返る空間に、有希は走り続ける。
その眼には、一切の悔いはなかった。

「お疲れ、有希」
「、、ごめん、、私はここまで、、後は、、」
「ああ。あとは任せとけ」

悠里は戻ってきた有希の頭をポンポンと軽くたたくと、颯爽とDホイールにまたがって、走っていった。

〈さあ！ここに来て両者最終走者へとバトンが引き継がれた！果たして勝つのはどっちなのか！！〉

「、、さて、いっちょぶちまけるか、、！」

悠里のすぐ後ろを走るサーシャの場に佇むは、極神皇ロキ。

「勝つのはあたし達、覚悟しな！」

『決闘！！』　(サーシャ LP6400 悠里 LP8000)


【フィールド】
サーシャ　LP6400　手札3
極神皇ロキ　ATK3300
伏せカード1枚


有希→悠里　LP0
ブラック・ローズ・ドラゴン　ATK2400
レッド・デーモンズ・ドラゴン　ATK3000
伏せカード2枚


Turn17　TP サーシャ　手札3→4

「永続魔法”極神回帰”発動！」


極神回帰　永続魔法　(オリジナル)
このカード名の①②の効果はそれぞれターンに1度しか発動できない。
①場の【極神】Sモンスター1体を対象にして発動できる。そのモンスターを破壊する。その後、チューナーとチューナー以外のモンスター1体ずつをデッキから守備表示で特殊召喚することができる。
②場に【極神】モンスターのS召喚に成功した場合に発動できる。そのモンスターを破壊する。その後、そのS素材となったモンスター1体を選択し、墓地から特殊召喚する。


「対象は、フィールドのロキよ！」

自分のモンスターを破壊し、墓地のモンスターを特殊召喚、、
攻撃力3300のロキを破壊、、？何をしようとしているんだ、、

「デッキから”極星獣グルファクシ”、”極星將テュール”を特殊召喚！」

極星獣グルファクシ　DEF1000
極星將テュール　DEF2000

「そして、手札から”鍵戦士キーマン”を召喚！」

鍵戦士キーマン　ATK1000

「☆2のキーマンと☆4のテュールに、☆4のグルファクシをチューニング！」

≪広い空に姿移す獣よ、雷をその身に纏い顕現せよ！≫

【S召喚！☆10、”極神皇トール”！！】

極神皇トール　☆10　ATK3300

空が割れ、現れるは大きな槌を持った巨人。

「”極神回帰”の2つ目の効果！S召喚したトールを破壊し、S素材とした”極星將テュール”を特殊召喚！」

極星將テュール　☆4　DEF2000

「まだよ！”極星天ヴァルキュリア”を召喚！」

極星天ヴァルキュリア　☆2　ATK400

「そして永続罠”強化蘇生”発動！墓地のキーマンを特殊召喚！」

極星獣タングニョースト　☆3→4　

「☆4のタングニョーストとテュールに、☆2の”極星天ヴァルキュリア”をチューニング！！」

≪全知全能！降り注ぐ光よ！全ての光を司れ！≫

【S召喚！☆10！極神聖帝オーディン！！】

極神聖帝オーディン　☆10　ATK4000

「バトル！”極神聖帝オーディン”よ！”レッド・デーモンズ・ドラゴン”に攻撃！！」

レッド・デーモンズ・ドラゴン　ATK3000

悠里　LP8000→7000

「ターンエンド。戻れ！極神の二柱よ！」
「、、！？」

太陽が、極神の影を大きく写し出す。

「極神は破壊されたターンのエンドフェイズに、指定されたチューナーを除外することで特殊召喚できる！」

極神皇ロキ　☆10　ATK3300
極神皇トール　☆10　ATK3300

「そしてトールの追加効果により、相手に800ダメージを与える」

悠里　LP7000→6200


Turn18　TP 悠里　手札5→6

(さて、どうしたものかね、、)

「”三極神”を携えた私に勝利の二文字はないわよ！」

ロキ、トール、そしてオーディン。いずれも北欧神話の神の名前である。
戦闘において右に出る者はいないと評された雷と農耕を司るトール。
残された数々の逸話などから北欧神話最大のトリックスターと呼ばれたロキ。
そして最高神と云われ、全ての神を統率した隻眼の神、オーディン。
伝説の三体が場に揃った今、サーシャにとって怖いものなど頭の片隅にもなかった。

「”レッド・リゾネーター”を召喚。その効果で、手札の”ダブル・リゾネーター”を特殊召喚」

レッド・リゾネーター　ATK600
ダブル・リゾネーター　ATK0

「、、カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」

静かに、一言だけ添えた。


Turn19　TP サーシャ　手札1→2

「フン、、三極神よ！相手プレイヤーに攻撃！！」

最初にロキが攻撃を仕掛けようとしたその時。

「罠発動！”シンクロコール”！」


シンクロコール　通常罠
①自分の墓地のモンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、そのモンスターを含む自分の場モンスターのみを素材としてドラゴン族・悪魔族の闇属性Sモンスター１体をＳ召喚する。


レッド・デーモンズ・ドラゴン　ATK3000

「☆8の”レッド・デーモンズ・ドラゴン”に、☆1の”ダブル・リゾネーター”をチューニング！」

≪紅蓮の琰魔よ！悪魔の囁きをその身に聞かせ、覇炎の中から現れろ！≫

【S召喚！☆9、琰魔竜レッド・デーモン・アビス！！】

琰魔竜レッド・デーモン・アビス　☆9　ATK3200

「ロキよ、、！レッド・デーモン・アビスに攻撃せよ！」
「攻撃宣言時！罠発動！”強化蘇生”！」
「、、！」

サーシャの場にも存在する意味をなさなくなった”強化蘇生”。
一方、悠里の場には”ダブル・リゾネーター”が再び特殊召喚される。

「チューナーを並べて、、！」

サーシャは悠里のフィールドを見て疑問を抱く。

(チューナー2体とSモンスター、、S召喚はできないはず、、次のターンの布石、、？)

しかし、ある1枚のカードに気づく。

(、、！まさか、、！)

「まさか、このタイミングで”スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン”を出そうと、、！？」

サーシャの投げかけに、悠里は何も言わない。その代わりに発動させた。”1枚の伏せカード”を。

「罠発動！”緊急同調”！！」

緊急同調、、バトルフェイズにS召喚を行う罠カードである。

「このカードは、、有希の遺した最後の希望だ！」

ピットから悠里を見下ろす有希。澄んだ目をしていて、その表情はうごきもしない。

「☆9の”琰魔竜レッド・デーモン・アビス”に、☆2の”ダブル・リゾネーター”と”レッド・リゾネーター”を、、ダブルチューニング！！」

≪地底より燃えあがる噴炎よ、、






























その雄々しい怒号とともに、






























刃向かう牙を閻滅せよ！≫






























【S召喚！！、、☆12、”琰魔竜王レッド・デーモン・カラミティ”！！】



悠里のもとに、大きな雄たけびをあげ、紅蓮に燃える新しいレッド・デーモンの姿があった。


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次回予告！
サーシャ率いる三極神を前にして、新たな”レッド・デーモン”をフィールドに呼ぶ悠里。互いにチームを背負って戦う大将戦。どちらに軍配が上がるのか、、！？

次回！第89話「琰極双突」