53.開戦　作：くちなし

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〈これより、WRGPオープニングセレモニーを開催します、、！〉

アナウンスが響いたとき、出場チームは全員広場に集まっていた。ただ一人、悠里を除いて。

〈出場者の諸君たちよ、良くぞ来てくれた。感謝する。。〉

10分くらいの長い前置きが話され、ルールなどが説明された。

ーーー

「まったく、長いったらありゃしないわ！」
「たった30分じゃないですか」
「前置きが長いのよ！前置き！」
「もう、、我慢なさい。この後の試合で発散すればいいでしょ」
「それいいわね。考えつかなかったわ」
「それ、ただの八つ当たりやん、、」
「でも、お相手さんが誰か、まだわからないっさ、、」
「、、『秘密勝ち上がり方式』ね、、」

WRGPの大会方式は『秘密勝ち上がり方式』(シークレット・トーナメント)。
この形式は、デッキの不利などをなくすための政策であり、試合の始まる直前まで
対戦相手がわからない、という形式である。勝ち上がり式と言っても、そのまま進んでは次の相手が自然に分かってしまうので、トーナメント表は存在しない。
そして、初期LPは6000。これはLPコストの有するカードに負担を与えないためである。

「とにかく、第1戦、行くわよっ！」

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あれからずいぶん時間が経つ。
今頃、オープニングセレモニーとやらが終わったころだろうか。
10分後に第1戦か。終わるまでに間に合えばいいが。

「もうすぐか、、無事に付けばいいが、、」

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〈さあ！WRGP第1回戦は、、！チーム『天使の音響』 VS チーム『エイトスターズ』です！〉

「いつの間にチーム名決まったんだ？」
「なに、良いじゃない。8人だからこの名前よ」
「オレはいいと思うぞ。それより、相手のチーム名は何と読むんだ？」
「えっと、、『エンジェル・ネオン』って読むみたいね」
「瑞穂、第1走者でしょ、、香織はもう行った、、」
「有希がアンカーなのね」
「私はそろそろ行くわ」

肯定する有希。

「そうね。行ってくるわ」

去っていく瑞穂に、残るメンバーが手を振る。

ーーー

「。。。」

歓声の中、瑞穂がスタート位置にDホイールを位置させると、隣にも1台。

「君が第一走者かい？」
「そうだけど何？」
「まあ、ここにいるんならそうだろうね。」
「、、、」
「、、お互いに良いデュエルになるといいね」
「、、そうね」

〈それでは、第1戦、始まります！〉

Dホイールにまたがる2人。スタートへのカウントダウンが始まる。
緊張が高まる中、Dホイールに手をかける

〈5！、4！、3！、2！、1！、、スタート！〉

「始まった、、」
「うぅ～緊張するやんね、、」

第1コーナーを最初に通過したのは、、瑞穂である。

「第1コーナー取られちゃったな、、」

〈戦いの火蓋は落とされました！第1コーナーを取ったのは、チーム『エイトスターズ』の
稲垣瑞穂選手です！後に続いてチーム『天使の羽衣』のアンドレ選手が続いています！〉

『決闘！』　(香織LP6000 VS アンドレLP6000)


Turn01　TP 瑞穂　手札5

「私はモンスターをセット！、、カードを1枚伏せて、ターンエンド！」

「あら、瑞穂にしては物静かね」
「手札が事故ってるようには思えないが、、」
「相手の出方を窺ってたり、、」
「名前からして【天使族】デッキでしょ」

天使族とひとくくりにしても、光属性と闇属性に分かれる。また、ビートダウンなのか、カウンター型なのか、その実態が掴めなかったため、対策もできないのだ。


Turn02　TP アンドレ　手札5→6

「トレード・インを発動し、手札1枚をコストに、2枚ドローする」

早速、強力なドローソースを引いてきたわね。

「僕は手札から、神の居城 ヴァルハラを発動！」

居城ヴァルハラ、、自分の場にモンスターがいない時に、☆4以下の天使族モンスターを特殊召喚できる永続魔法である。

「手札から、サイバー・プチ・エンジェルを守備表示で特殊召喚！」

サイバー・プチ・エンジェル　DEF200

「特殊召喚時効果で、サイバー・エンジェル－弁天－を手札に！」

「もしかして、、」
「いや、確実ね。相手のデッキは、、【機械天使】ね。儀式軸の」

「手札から、マンジュ・ゴットを召喚し、効果で、機械天使の絶対儀式を手札に！」

これで、パーツはそろったわね、、

「手札から、魔法カード、祝祷の聖歌を発動！」
「機械天使じゃない、、【サフィラ天使】ね」
「その通り！僕は場の☆4のマンジュ・ゴットと☆2サイバー・プチ・エンジェルをリリースする！」

≪心技逞しきその身体、小さき天使よ、ここに白き羽煌かせ、竜の女神となれ！≫

【儀式召喚！降臨せよ、竜姫神サフィラ！】

竜姫神サフィラ　ATK2500

「バトル！サフィラで伏せモンスターを攻撃！」
「伏せカードは、、BF－大旆のヴァーユよ！」

BF－大旆のヴァーユ　DEF0

「なるほど。【BF】か、、これでターンエンド。エンド時、サフィラの効果発動！」


竜姫神サフィラ　光属性　天使族　☆6　儀式
「祝祷の聖歌」により降臨。「竜姫神サフィラ」の効果はターンに1度しか使用できない。
①このカードが儀式召喚したターンのエンドフェイズ時及び、このカードが存在し、
手札・デッキから光属性モンスターが墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分はデッキから２枚ドローする。その後、手札を１枚捨てる。
●相手の手札をランダムに１枚選んで墓地へ捨てる。
●自分の墓地の光属性モンスター１体を選んで手札に加える。


「効果で2枚ドローし、、手札1枚を墓地に送る」


Turn03　TP 瑞穂　手札3→4

「、、(サフィラ天使ね、、オネスト握られてると厄介ね、、)」

攻撃力2500は、決して倒せないわけではないけれど、オネストの恩恵がある。
油断は禁物である。

「BF－朧影のゴウフウは自分の場にモンスターがいない時に特殊召喚できるわ！」

BF－朧影のゴウフウ　DEF0

「ゴウフウの効果で、場にトークン2体を特殊召喚！」


BF－朧影のゴウフウ　闇属性　鳥獣族　☆3　チューナー
このカードは通常召喚できない。自分の場にモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。
①このカードが手札からの特殊召喚に成功した時に発動できる。自分の場に「朧影トークン」
(鳥獣族・闇・☆1・攻守0)２体を特殊召喚する。このトークンはリリース及びS素材にできない。
②このカードとチューナー以外のモンスター1体以上を自分の場から除外し、そのレベルの合計と同じレベルを持つ自分の墓地の「BF」Sモンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターをチューナー扱いとして特殊召喚する。


朧影トークン×2　☆1　DEF0

「☆1のトークンに☆5のゴウフウをチューニング！」

≪黒き翼その身に纏いて、空を駆けなさい！≫

【Ｓ召喚！☆6、BF－星影のノートゥング！】

BF－星影のノートゥング　☆6　ATK2400

「ノートゥングの効果発動！相手モンスターの攻守を800下げ、800ダメージ！」

竜姫神サフィラ　ATK2500→1700
アンドレLP6000→5200

「そして、場にBFがいる時、BF－突風のオロシは特殊召喚できるわ！」

BF－突風のオロシ　DEF400

「またチューナー、、」
「☆6の星影のノートゥングに☆1のオロシをチューニング！」

≪孤高の戦士よ！黒き翼その身に纏いて、空を舞いなさい！≫

【S召喚！☆7、ABF－漆黒のホーク・ジョー！】

ABF－漆黒のホーク・ジョー　☆7　ATK2600

「ホーク・ジョーの効果発動！」

ABF－漆黒のホーク・ジョー　闇属性　鳥獣族　☆7　S効果
「BF」チューナー＋チューナー以外の「BF」モンスター1体以上
「BF T－漆黒のホーク・ジョー」の①②の効果はそれぞれターンに1度しか使用できない。
①自分の墓地の☆5以上の鳥獣族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
②このカードが相手の効果の対象になった時、または相手モンスターの攻撃対象になった時、このカード以外の自分の場の「BF」モンスター1体を対象として発動できる。その対象を
正しい対象となるそのモンスターに移し替える。


「墓地に眠る☆5のゴウフウを特殊召喚！」

BF－朧影のゴウフウ　DEF0

「☆1のトークンに☆5のゴウフウをチューニング！」

≪黒き翼その身に纏いて、空を駆けなさい！≫

【Ｓ召喚！☆6、BF－星影のノートゥング！】

BF－星影のノートゥング　☆6　ATK2400

「2体目、、」
「もちろん、2体目の効果も発動するわ！」

竜姫神サフィラ　ATK1700→900
アンドレLP5200→4400

「墓地の大旆のヴァーユの効果発動！」


BF－大旆のヴァーユ　闇属性　鳥獣族　☆1　チューナー
①このカードはモンスターゾーンに存在する限り、S素材にできない。
②このカードが墓地に存在する場合、チューナー以外の自分の墓地の「BF」モンスター1体を
対象として発動できる。そのモンスターとこのカードを墓地から除外し、そのレベルの合計と
同じ☆を持つ「BF」Sモンスター１体をEXデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚した
モンスターの効果は無効化される。


「墓地からS召喚、、！」
「私は墓地の星6のノートゥングと☆1のヴァーユを除外！」

≪漆黒の翼携えし戦士よ！眠りし魂を再燃させ、ここに現れなさい！≫

【S召喚！☆7、ABF－驟雨のライキリ！】

ABF－驟雨のライキリ　☆7　ABF2600　(効果無効)

「バトルよ！」


【フィールド】
アンドレ　LP4400　手札5
竜姫神サフィラ　ATK2500→1700→900

瑞穂　LP6000　手札2
ABF－漆黒のホーク・ジョー　ATK2700
ABF－驟雨のライキリ　ATK2600　(効果無効)
BF－星影のノートゥング　ATK2400


「瑞穂、なかなかやるわね」
「墓地も手玉に取って、出来ることをすべてやる。彼女らしいな」
「でも、あの盤面であの笑み、、まさか握っているのかしら、、」
「あ、理沙も思っとった？」
「まあね。光属性で、伏せカード0って、明らかに釣りよね、、」
「でも、彼女は何があっても突っ込んでいくからな、、」

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「先発は瑞穂か、、瑞穂らしいな」

場には3体のSモンスター。でもって、LPは無傷。
対して相手はLPを1600持ってかれた上に、モンスターの攻撃力が900まで落ちている。
ただ、悠里も火憐、理沙と同じ心配をしていた。

「油断するなよ、、まさかの展開も考えておくのも戦略のうちだからな、、」

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次回(自壊？)予告　By海清
どうも、オレは悠里の幼馴染の高嶺海清！
とうとうWRGPが開幕して、第1戦がスタート！
先鋒は瑞穂だけど、なんか最初から飛ばし過ぎてないか？？
相手はサフィラ天使。あまり見かけないけど、油断は禁物だぜ。
思わぬ策略を見るかもしれないからな！

次回！　第54話「青空に舞い散る黒羽(ブラック・フェザー)」

P.S チーム『エイトスターズ』はアルファベットで書きたかったけど、アポストロフィが使えなかったので止む無くカタカナにしました(+_+)


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